第82話『混戦と混同』+『外伝〜ソード草刈ワールド・序〜』
「お願いします!パワークラフト!」
ブライトを囲むようにアニーはオレンジ色の陣を描く。
これによりブライトの銃弾の威力が上がると、地面に当たっただけで床のレンガを砕くようになった。
当たれば一撃で致命傷になりかねない。
それでもジルバは構わず走り続ける。
「確かにヤバそうだね。だがそれは当たればの話さ!」
「旋空閃!」
ルルは如意棒を回転させながらジルバに接近する。
目の前で振り回しているため防御にも使えるこの技だがジルバは鞭を伸ばすと如意棒に絡ませ引っ張ることで回転を止める。
「ふん!」
そこで更に力一杯引っ張ることでルルの手から如意棒を奪う。
「ぁあっ!」
ルルは如意棒を目で追うがその間にも距離を詰めるジルバがルルの目の前で右足のヒールをカツンと地面に踏み込み、身体を回転させ左足でルルの腹部を蹴り飛ばす。
ヒールが腹部に突き刺さり、ルルはその場にうずくまる。
だが同時にルルに攻撃をくりだしたことで足が止まったジルバにブライトから銃弾の嵐が襲い掛かる。
「使わせてもらおうか」
銃弾の嵐をジルバはルルから奪った如意棒を振り回すことで全てガードする。
「か、返して……!!」
アイテム袋からピーチグミを取り出し食べながらルルは立ち上がる。
「ふんっ、こんなもの邪魔でしかないよ」
ジルバはルルへ如意棒を放り投げる。
{ブライト!!」
ユージーンがブライトの名を叫ぶ。
ジルバの仕草に集中していたブライトだったがまさかと思い頭上を見上げると光の粒子が今正に降り注ごうとしていた。
「何時の間に!?」
先程ブライトの銃弾を如意棒でガードした時に照準を設定していたのかと推測しながらもブライトはとにかく範囲外に飛ぼうとする。
だが、光の光線は容赦なくブライトへ降り注ぐ。
そのはずだった。
「バーンストライク!」
ヒルダと共にユリスを担当していたマオがトンファーを掲げると炎の球が光の粒子の更に上空から降り注ぐ。
炎球は粒子と衝突すると誘爆を起こし、シャイニングレイを回避するためにヘッドダイビングしていたブライトは上空からの爆風に煽られ地面を何回か転がった後膝を着き停止する。
「マオ!てめぇはユリスに集中しろ!無駄遣いしてんじゃねぇ!」
「え〜?あのままだったらブライトまずかったと思うんですケド……」
ブライトに怒鳴られたマオは唇を突き出し拗ねた。
が、すぐさま次の詠唱に入る。
「ちっ」
仕損じた事にジルバは舌打ちをうつ。
その隙にルルが返してもらった如意棒で突く。
ジルバは身を捻ることで回避し、接近してくるカインとユージーンを月閃光により牽制する。
そして踵を返すとブライトの銃弾の嵐が到達する前に走り始める。
* * *
濁流に飲み込まれたユリスをジークとティトレイが追撃する。
「絶・霧氷装!」
ヴェイグは大剣にフォルスを込めると、錬術により通常攻撃を含むすべての攻撃において氷の属性を付加させる。
真横でそれを見たジンが問いかける。
「ねぇヴェイグ。ユリスってフォルス能力とかってあんのかな?」
「いや、考えたことが無かったな……。恐らく無能力か、もしくは月のフォルスのどっちかなんじゃないか?」
1年前、ユリスがまだ不完全だった頃、ジルバと同じように多種多様な導術を繰り出してきた。
そのことからもしユリスにもフォルスという概念があるのなら『月』のフォルスの可能性が高い。
「そっか。じゃあやっぱ弱点とか期待できそうにないね」
ジンは苦笑いを浮かべてからジーク達を追う。
「あぁ」
ヴェイグも頷いてから走り出す。
「飛燕連脚!」
ジークが跳躍しながらユリスの顔面を蹴り飛ばすとメキッという音がする。
更に、二回、三回と蹴った後着地するとユリスはよろけたものの体勢は崩さずジークに向かって拳を振り上げる。
その前にティトレイがユリスの脇腹に拳をめり込ませる。
「このッ!」
ユリスは虫を払うようにティトレイへ向かって腕を振り回す。
ティトレイは腕でガードするがミシミシミシッと腕の骨が嫌な音を立てる。
(防御にならねぇ!!)
ティトレイが顔を歪ませている間に反対側からジンの蒼破刃がユリスの背中に命中する。
ユリスは振り返りがてらジークを吹き飛ばすために腕を振り回すが、既にジークはバックステップで距離をとった後だった。
とにかくユリスはジンへ突進する。
が、ユリスの眼前に突然岩壁が隆起すると勢いを殺すこともできずユリスは岩壁に衝突する。
「ストーンブレイク!」
ヒルダが腕をクロスさせている。
ユリスが衝突した岩壁を始めとして円を描くように岩が隆起し、最後に円の中央からユリスを下から突き上げながら岩が突起する。
ユリスの体が宙を舞う。
ストーンブレイクにより隆起した岩壁が地面に戻ろうとする。
そこへヴェイグはジャンプ台のように岩壁に飛び乗りそこから更に跳躍し、ユリスと同じ高さまで飛ぶ。
「絶氷斬!」
空中からの落下速度も加わった氷の大剣でもってユリスを叩き切る。
「ぐあぁ!!」
成すすべなくヴェイグの斬撃を正面から受けたユリスは猛スピードで地上へ落下する。
そこへ完全に地面に戻るまえのストーンブレイクを伝って跳躍していたジンがユリスとの擦れ違い様に一閃、剣を振り抜く。
ユリスは薄い膜に包まれ空中に浮遊し、ジンは地面に着地する。
「空刃封縛殺!!」
瞬間、膜が破裂するのと同時に複数の斬撃がユリスを切り裂く。
「があああああ!!!」
ユリスは声を上げるがまだ意識がある。
まだ宙に浮いているユリスに向かってティトレイが跳躍する。
「翔連脚!」
ティトレイは空中で腰を捻り、ユリスの身体を二回、三回と蹴り上げる。
そして今度はそこから身体全体を回転させる。
「飛連斬空脚!!」
回転させながらユリスを何度も蹴り上げることで更に上空へと上昇していき、トドメと言わんばかりに10mの高さから地上へ蹴り落とす。
「ッッ!!!」
グシャァという音を立てながら屋上に叩き尽きられたユリスはその衝撃によりバウンドし僅かに身体が浮き上がる。
ユリスは体勢を立て直そうと浮いた状態から地面に手を突く。
が、ユリスの手が屋上に触れるその直前にユリスの身体を再び上空へと誘う風が包む。
「サイクロン!!」
フィオナによりまるでドラム式の洗濯機のようにユリスの身体は風の渦の中で切り裂かれながら高速回転し、瞬く間に上空へと放り出される。
「いい加減に……!!!」
タコ殴り状態で何もさせてもらえない状況に苛立ち、ユリスは掌に赤紫のエネルギー弾を収縮させ視線を真下の屋上に向ける。
後はこれを放れば屋上諸共全員木端微塵にすることができる。
「鳳堕閃!!」
声と同時にユリスの背中に熱と衝撃が襲った。
それが先程のサイクロンでユリスと一緒に浮上したジークによるものだと認識した頃にはもう屋上に向けて落下が始まっていた。
「バーンストライク!」
そこへ更に追い討ちをかけるべくマオのバーンストライクがユリスを襲う。
ユリスの背中へ直撃した火炎弾はユリスにダメージを与えるのと同時に落下スピードを更に加速させ、ユリスが屋上と衝突する瞬間に更に2弾、3弾とユリスに直撃し火の海と化した。
生身の人間ならばミンチになってもおかしくない落下速度だったがそれでも油断はできない。
先程のストーンブレイクの後すぐに詠唱に入っていたヒルダの詠唱が調度終わると、彼女は腕をクロスさせる。
「フラッシュティア!!」
数多の光の剣がユリスの真上に出現すると、その光の剣は容赦なく一斉にユリスを突き刺した。
「ど、どうだ!?」
光の剣は粒子となり辺り一帯に濃霧のように拡散し炎もまだ鎮火する様子はない。
ジークに肩を貸してもらいながらティトレイは光と炎の海の中心を見据える。
「そ、そんな……バカな……」
その光景を見て気付けばジルバも足を止めて呆然と呟いていた。
「ゲームセットだ」
ブライトがジルバの側頭部に銃口を突きつける。
すると次の瞬間、ゴォ!という音を立てて突風が吹き荒れると一瞬にして光の粒子と炎が消失した。
突風は一瞬にして吹き止むと、恐らく突風の中心地点にいたのであろうユリスの姿だけが取り残されていた。
身体には無数の傷があり、それがヒビのように見えるためまるで割れた骨董品を雑につなぎ合わせたような姿に見える。
だがその例えはあながち間違っていないのかもしれない。
「っ!!!」
フィオナは思わず口を両手でふさいでしまった。
ユリスは何事もなかったかのように立ち上がった。
それだけでも衝撃的なのだが、今のユリスには顔面の右半分と肩から右腕にかての部分がごっそり無くなっていた。
かと言って血が大量に流出していることもなく、まるで砂がこぼれるように破損箇所から黒い霧がさらさらと流れ出ていた。
ユリスは左手で自分の顔面の右側だった部分を触れる。
「あぁ、右目が開かねぇと思ったら無くなってたのか」
顔が半分しかないというのに大して動揺もせず流暢に喋ることが気味の悪さをより一層強くし、それは戦う気力を削ぐのに十分すぎる効果を生み出した。
「わ、私達は一体何と戦っているというの?」
さすがのヒルダもカードを握る指が震えていた。
「何と……だって?」
ヒルダからは背中しか見えなかったが、ユリスはゆっくりと振り返る。
と同時にパイプを束ねてできたイスから大量の黒い霧が溢れ出し、ユリスの破損箇所から今まで流出するだけだった黒い霧が逆流し始める。
そして細胞分裂の早送りをみてるかのようにユリスの右目、鼻、腕、肘と肉体が蘇っていく。
「化け物さ」
完全にヒルダに向き直った頃には全てが元通りになり、今にも耳まで届き、裂けそうなほど広く口を広げてユリスは不気味な笑みを見せた。
「く!!」
これ以上の再生を止めるため、ヴェイグはパイプイスを叩き切る。
「ハハハハハハ!!!」
パイプイスは真っ二つになり、黒い霧は霧散していったがジルバが突如高笑う。
「さっさと引き金を引いていれば良かったものを!!」
ジルバは教鞭でブライトの腕をはたくと拳銃を吹き飛ばす。
「しまっ……」
ジルバは間をおかずにヒールでブライトの鳩尾を蹴り飛ばす。
「ブラッディクロス」
ジルバがそう呟くのと同時にブライトを血の十字架が地面から突き上げる。
「がっ!!」
「銃口をつきつけて舌なめずりすることは三流のすることだ!よく覚えておくんだねぇ!」
一気に聳(そび)え立った十字架はブライトの後ろより突進してきていたユージーンとルルに対する壁の役割も担った。
「そろそろか」
ユリスはバルカのある南方、ヒルダから見て右側を向きながら呟き、ヒルダはタロットカードを構えながら眉をひそめる。
直後にユリスは再び後ろへ振り返るとヴェイグとジークがこちらに走り出していた。
「一つ、お前達に面白いものを見せてやろう」
ユリスは両手を地面に着く。
するとジークの真下からは氷のヴェイグの真下からは鋼の塔が突出すると2人を打ち上げた。
「兄さん!!」
「ヴェイグ!!」
ジンとマオが同時に声を張り上げる。
「ちょっと!ユリスって何でもありなわけ!?」
フィオナは愚痴りながらもユリスの真横から扇を振るう。
ユリスは右手をフィオナに向けて伸ばすと屋上のレンガ造りの床から樹木が林のように何本も聳え立ちフィオナの風はその樹木達を切り裂くだけに終わった。
「おかしいわ……1人がこんなに多用な属性を操れるなんて、そんなの不可能のはず……」
ヒルダが逡巡していると、不意に足をツタで絡まれ身動きが取れなくなった。
「しまった!」
気付いた時には両手も縛りつけられ、一瞬のうちに宙吊りにされた。
「な、何をしようっていうの?」
ヒルダは周囲を確認するとヴェイグやジーク、ユージーン達までもが同様に宙吊りになっていた。
ただの植物のツタだというのに、いつも大剣を振り回すヴェイグがいくらもがこうともびくともしない。
「戦ってばっかだと疲れるだろ?ちょっと休憩しようじゃないか」
ユリスは演説する大統領のように両手を広げて全員に向けて言った後、南の空からユリスの周囲をいつも浮遊しているピンクの目玉が一つ飛来するとユリスの近くで静止した。
「ようやく準備は整った」
ユリスはジークに向けて笑みを浮かべた。
〜続く〜
ブライトを囲むようにアニーはオレンジ色の陣を描く。
これによりブライトの銃弾の威力が上がると、地面に当たっただけで床のレンガを砕くようになった。
当たれば一撃で致命傷になりかねない。
それでもジルバは構わず走り続ける。
「確かにヤバそうだね。だがそれは当たればの話さ!」
「旋空閃!」
ルルは如意棒を回転させながらジルバに接近する。
目の前で振り回しているため防御にも使えるこの技だがジルバは鞭を伸ばすと如意棒に絡ませ引っ張ることで回転を止める。
「ふん!」
そこで更に力一杯引っ張ることでルルの手から如意棒を奪う。
「ぁあっ!」
ルルは如意棒を目で追うがその間にも距離を詰めるジルバがルルの目の前で右足のヒールをカツンと地面に踏み込み、身体を回転させ左足でルルの腹部を蹴り飛ばす。
ヒールが腹部に突き刺さり、ルルはその場にうずくまる。
だが同時にルルに攻撃をくりだしたことで足が止まったジルバにブライトから銃弾の嵐が襲い掛かる。
「使わせてもらおうか」
銃弾の嵐をジルバはルルから奪った如意棒を振り回すことで全てガードする。
「か、返して……!!」
アイテム袋からピーチグミを取り出し食べながらルルは立ち上がる。
「ふんっ、こんなもの邪魔でしかないよ」
ジルバはルルへ如意棒を放り投げる。
{ブライト!!」
ユージーンがブライトの名を叫ぶ。
ジルバの仕草に集中していたブライトだったがまさかと思い頭上を見上げると光の粒子が今正に降り注ごうとしていた。
「何時の間に!?」
先程ブライトの銃弾を如意棒でガードした時に照準を設定していたのかと推測しながらもブライトはとにかく範囲外に飛ぼうとする。
だが、光の光線は容赦なくブライトへ降り注ぐ。
そのはずだった。
「バーンストライク!」
ヒルダと共にユリスを担当していたマオがトンファーを掲げると炎の球が光の粒子の更に上空から降り注ぐ。
炎球は粒子と衝突すると誘爆を起こし、シャイニングレイを回避するためにヘッドダイビングしていたブライトは上空からの爆風に煽られ地面を何回か転がった後膝を着き停止する。
「マオ!てめぇはユリスに集中しろ!無駄遣いしてんじゃねぇ!」
「え〜?あのままだったらブライトまずかったと思うんですケド……」
ブライトに怒鳴られたマオは唇を突き出し拗ねた。
が、すぐさま次の詠唱に入る。
「ちっ」
仕損じた事にジルバは舌打ちをうつ。
その隙にルルが返してもらった如意棒で突く。
ジルバは身を捻ることで回避し、接近してくるカインとユージーンを月閃光により牽制する。
そして踵を返すとブライトの銃弾の嵐が到達する前に走り始める。
* * *
濁流に飲み込まれたユリスをジークとティトレイが追撃する。
「絶・霧氷装!」
ヴェイグは大剣にフォルスを込めると、錬術により通常攻撃を含むすべての攻撃において氷の属性を付加させる。
真横でそれを見たジンが問いかける。
「ねぇヴェイグ。ユリスってフォルス能力とかってあんのかな?」
「いや、考えたことが無かったな……。恐らく無能力か、もしくは月のフォルスのどっちかなんじゃないか?」
1年前、ユリスがまだ不完全だった頃、ジルバと同じように多種多様な導術を繰り出してきた。
そのことからもしユリスにもフォルスという概念があるのなら『月』のフォルスの可能性が高い。
「そっか。じゃあやっぱ弱点とか期待できそうにないね」
ジンは苦笑いを浮かべてからジーク達を追う。
「あぁ」
ヴェイグも頷いてから走り出す。
「飛燕連脚!」
ジークが跳躍しながらユリスの顔面を蹴り飛ばすとメキッという音がする。
更に、二回、三回と蹴った後着地するとユリスはよろけたものの体勢は崩さずジークに向かって拳を振り上げる。
その前にティトレイがユリスの脇腹に拳をめり込ませる。
「このッ!」
ユリスは虫を払うようにティトレイへ向かって腕を振り回す。
ティトレイは腕でガードするがミシミシミシッと腕の骨が嫌な音を立てる。
(防御にならねぇ!!)
ティトレイが顔を歪ませている間に反対側からジンの蒼破刃がユリスの背中に命中する。
ユリスは振り返りがてらジークを吹き飛ばすために腕を振り回すが、既にジークはバックステップで距離をとった後だった。
とにかくユリスはジンへ突進する。
が、ユリスの眼前に突然岩壁が隆起すると勢いを殺すこともできずユリスは岩壁に衝突する。
「ストーンブレイク!」
ヒルダが腕をクロスさせている。
ユリスが衝突した岩壁を始めとして円を描くように岩が隆起し、最後に円の中央からユリスを下から突き上げながら岩が突起する。
ユリスの体が宙を舞う。
ストーンブレイクにより隆起した岩壁が地面に戻ろうとする。
そこへヴェイグはジャンプ台のように岩壁に飛び乗りそこから更に跳躍し、ユリスと同じ高さまで飛ぶ。
「絶氷斬!」
空中からの落下速度も加わった氷の大剣でもってユリスを叩き切る。
「ぐあぁ!!」
成すすべなくヴェイグの斬撃を正面から受けたユリスは猛スピードで地上へ落下する。
そこへ完全に地面に戻るまえのストーンブレイクを伝って跳躍していたジンがユリスとの擦れ違い様に一閃、剣を振り抜く。
ユリスは薄い膜に包まれ空中に浮遊し、ジンは地面に着地する。
「空刃封縛殺!!」
瞬間、膜が破裂するのと同時に複数の斬撃がユリスを切り裂く。
「があああああ!!!」
ユリスは声を上げるがまだ意識がある。
まだ宙に浮いているユリスに向かってティトレイが跳躍する。
「翔連脚!」
ティトレイは空中で腰を捻り、ユリスの身体を二回、三回と蹴り上げる。
そして今度はそこから身体全体を回転させる。
「飛連斬空脚!!」
回転させながらユリスを何度も蹴り上げることで更に上空へと上昇していき、トドメと言わんばかりに10mの高さから地上へ蹴り落とす。
「ッッ!!!」
グシャァという音を立てながら屋上に叩き尽きられたユリスはその衝撃によりバウンドし僅かに身体が浮き上がる。
ユリスは体勢を立て直そうと浮いた状態から地面に手を突く。
が、ユリスの手が屋上に触れるその直前にユリスの身体を再び上空へと誘う風が包む。
「サイクロン!!」
フィオナによりまるでドラム式の洗濯機のようにユリスの身体は風の渦の中で切り裂かれながら高速回転し、瞬く間に上空へと放り出される。
「いい加減に……!!!」
タコ殴り状態で何もさせてもらえない状況に苛立ち、ユリスは掌に赤紫のエネルギー弾を収縮させ視線を真下の屋上に向ける。
後はこれを放れば屋上諸共全員木端微塵にすることができる。
「鳳堕閃!!」
声と同時にユリスの背中に熱と衝撃が襲った。
それが先程のサイクロンでユリスと一緒に浮上したジークによるものだと認識した頃にはもう屋上に向けて落下が始まっていた。
「バーンストライク!」
そこへ更に追い討ちをかけるべくマオのバーンストライクがユリスを襲う。
ユリスの背中へ直撃した火炎弾はユリスにダメージを与えるのと同時に落下スピードを更に加速させ、ユリスが屋上と衝突する瞬間に更に2弾、3弾とユリスに直撃し火の海と化した。
生身の人間ならばミンチになってもおかしくない落下速度だったがそれでも油断はできない。
先程のストーンブレイクの後すぐに詠唱に入っていたヒルダの詠唱が調度終わると、彼女は腕をクロスさせる。
「フラッシュティア!!」
数多の光の剣がユリスの真上に出現すると、その光の剣は容赦なく一斉にユリスを突き刺した。
「ど、どうだ!?」
光の剣は粒子となり辺り一帯に濃霧のように拡散し炎もまだ鎮火する様子はない。
ジークに肩を貸してもらいながらティトレイは光と炎の海の中心を見据える。
「そ、そんな……バカな……」
その光景を見て気付けばジルバも足を止めて呆然と呟いていた。
「ゲームセットだ」
ブライトがジルバの側頭部に銃口を突きつける。
すると次の瞬間、ゴォ!という音を立てて突風が吹き荒れると一瞬にして光の粒子と炎が消失した。
突風は一瞬にして吹き止むと、恐らく突風の中心地点にいたのであろうユリスの姿だけが取り残されていた。
身体には無数の傷があり、それがヒビのように見えるためまるで割れた骨董品を雑につなぎ合わせたような姿に見える。
だがその例えはあながち間違っていないのかもしれない。
「っ!!!」
フィオナは思わず口を両手でふさいでしまった。
ユリスは何事もなかったかのように立ち上がった。
それだけでも衝撃的なのだが、今のユリスには顔面の右半分と肩から右腕にかての部分がごっそり無くなっていた。
かと言って血が大量に流出していることもなく、まるで砂がこぼれるように破損箇所から黒い霧がさらさらと流れ出ていた。
ユリスは左手で自分の顔面の右側だった部分を触れる。
「あぁ、右目が開かねぇと思ったら無くなってたのか」
顔が半分しかないというのに大して動揺もせず流暢に喋ることが気味の悪さをより一層強くし、それは戦う気力を削ぐのに十分すぎる効果を生み出した。
「わ、私達は一体何と戦っているというの?」
さすがのヒルダもカードを握る指が震えていた。
「何と……だって?」
ヒルダからは背中しか見えなかったが、ユリスはゆっくりと振り返る。
と同時にパイプを束ねてできたイスから大量の黒い霧が溢れ出し、ユリスの破損箇所から今まで流出するだけだった黒い霧が逆流し始める。
そして細胞分裂の早送りをみてるかのようにユリスの右目、鼻、腕、肘と肉体が蘇っていく。
「化け物さ」
完全にヒルダに向き直った頃には全てが元通りになり、今にも耳まで届き、裂けそうなほど広く口を広げてユリスは不気味な笑みを見せた。
「く!!」
これ以上の再生を止めるため、ヴェイグはパイプイスを叩き切る。
「ハハハハハハ!!!」
パイプイスは真っ二つになり、黒い霧は霧散していったがジルバが突如高笑う。
「さっさと引き金を引いていれば良かったものを!!」
ジルバは教鞭でブライトの腕をはたくと拳銃を吹き飛ばす。
「しまっ……」
ジルバは間をおかずにヒールでブライトの鳩尾を蹴り飛ばす。
「ブラッディクロス」
ジルバがそう呟くのと同時にブライトを血の十字架が地面から突き上げる。
「がっ!!」
「銃口をつきつけて舌なめずりすることは三流のすることだ!よく覚えておくんだねぇ!」
一気に聳(そび)え立った十字架はブライトの後ろより突進してきていたユージーンとルルに対する壁の役割も担った。
「そろそろか」
ユリスはバルカのある南方、ヒルダから見て右側を向きながら呟き、ヒルダはタロットカードを構えながら眉をひそめる。
直後にユリスは再び後ろへ振り返るとヴェイグとジークがこちらに走り出していた。
「一つ、お前達に面白いものを見せてやろう」
ユリスは両手を地面に着く。
するとジークの真下からは氷のヴェイグの真下からは鋼の塔が突出すると2人を打ち上げた。
「兄さん!!」
「ヴェイグ!!」
ジンとマオが同時に声を張り上げる。
「ちょっと!ユリスって何でもありなわけ!?」
フィオナは愚痴りながらもユリスの真横から扇を振るう。
ユリスは右手をフィオナに向けて伸ばすと屋上のレンガ造りの床から樹木が林のように何本も聳え立ちフィオナの風はその樹木達を切り裂くだけに終わった。
「おかしいわ……1人がこんなに多用な属性を操れるなんて、そんなの不可能のはず……」
ヒルダが逡巡していると、不意に足をツタで絡まれ身動きが取れなくなった。
「しまった!」
気付いた時には両手も縛りつけられ、一瞬のうちに宙吊りにされた。
「な、何をしようっていうの?」
ヒルダは周囲を確認するとヴェイグやジーク、ユージーン達までもが同様に宙吊りになっていた。
ただの植物のツタだというのに、いつも大剣を振り回すヴェイグがいくらもがこうともびくともしない。
「戦ってばっかだと疲れるだろ?ちょっと休憩しようじゃないか」
ユリスは演説する大統領のように両手を広げて全員に向けて言った後、南の空からユリスの周囲をいつも浮遊しているピンクの目玉が一つ飛来するとユリスの近くで静止した。
「ようやく準備は整った」
ユリスはジークに向けて笑みを浮かべた。
〜続く〜
■作者メッセージ
【外伝〜ソード草刈ワールド・序〜】
時は6年前のクインシェル。
この日は生徒全員が校庭に集合していた。
「え〜諸君、よく集まってくれた!」
休日だというのに半ば強制的に集合させたブライトが全員の前で腕を後ろで組み、声を張り上げている。
「君達にはこれからここで」
「殺し合いでもすんのか?」
「しねぇよバーカ!」
ジークの発言にすかさずブライトは突っ込む。
「ブライト先生、生徒にバカというのは良くありませんよ?」
ブライトの隣でリノアが首を傾げるのと同時に胸が小さく揺れ、軽く微笑む。
「ですよねー!殺し合いなんてしねぇよ、このお馬鹿様♪」
「『お』と『様』を付ければ良いってもんじゃねぇぞ……」
ジークが白い目で見てくるのを無視してブライトは本題に戻る。
「これから校舎裏の草刈をやってもらう!」
「「なっ、なんだってー!?」」
「おいおいマジかよ」
「校舎裏ってまさかあの校舎裏か?」
「もう何年も立ち入り禁止になってるんでしょ?」
「なんか死体とか埋まってるらしいよ?」
「俺はバイラスの巣と繋がってるって聞いた。落とし穴があって落ちたが最後、バイラス達の餌になっちまうんだってよ!」
「え?俺は野生の電気ネズミが飛び出してくるって聞いたけど?」
「そんな所に私達を連れていくなんて先生どうかしてるわ!ていうか最後の本当!?どこ情報!?」
生徒達が一斉にざわつき始める。
「あら?ルルちゃんは?」
先程までチャリティと手を繋いでいたルルが突然居なくなったことに気付き、周囲をきょろきょろと見回す。
「ここだ……」
ジークが反転するとルルがジークの後ろに隠れていた。
「校舎裏怖い……」
「あぁ〜あいつらの話信じちゃったのね……」
チャリティは苦笑いしながら未だにざわついてる生徒達を一瞥した後、ジークの正面に腰を下ろしルルの頭を優しく撫でた。
「大丈夫よ、何があってもルルちゃんは必ず護るから。ジークがね」
「おい」
「本当?」
ルルは不安そうにジークの背中の裾を掴んで見上げる。
「本当よね?」
反対側、ジークの正面からはチャリティが鬼の形相で見上げてくる。
「お、おう!俺に任せろ!」
ジークは冷や汗を流しながら拳を握って見せる。
「んじゃ、行くぞ〜」
ブライトとリノアから草刈鎌とゴミ袋を支給された後、校舎をぐるっと回り裏へと周りこむ。
すると、縦200m、横100mの広大な土地にブライトの腰の高さまである緑の雑草が生い茂っていた。
ルルにいたっては調度同じ身長のため草で視界が覆いつくされ向こう側が全く見えない。
そこでルルが思わず口を開いた。
「ふ、普通〜」
太陽の日差しを草が反射して光り、風が吹くとサラサラと音をなびかせ波打つように揺れる。
ありふれた草原だった。
「そりゃただの校舎の裏側だからな」
ブライトも淡々と答える。
「でもこれだけ雑草が伸びるまで放置するなんて異常じゃない?」
チャリティが草むらを見渡しながら言うとヴィーナも、そうねぇと言いながら頬に手をあてる。
「先生、何でこんなに広い土地を放っておいたんですか?」
ヴィーナが質問するとブライトは渋い顔をしたため代わりにリノアが答えた。
「それはね、最初はここに体育館を建てる予定だったの。でも校舎を建てたらそれだけで予算を使っちゃったんだ〜」
「じゃあ今回ここの草刈をするってことは……」
ジンが言いかけると苦笑いしてたリノアがにっこりと笑い、ブライトがえらそうに腕を組む。
「体育館を建てる目処が立ったってことだ!じいさんを説得するのに苦労したぜまったく」
「じゃあこれからは雨の日も体育ができるのね!?体育館裏に呼び出しとかできるのね!?」
「あんた、冗談じゃなく本当に呼び出しそうだからやめなさいよね?」
興奮するチャリティの後頭部をヴィーナが叩いた後、ブライトは全員の注目を集めるように手を二回叩いた。
「よ〜し、これから草刈大会を始めるぞ〜!」
「草刈大会?」
茶髪ボブのイーリスが小首を傾げる。
「ルールは簡単だ!1家族を1グループとして刈った草の総重量が一番重いグループを優勝とする!」
「あ〜競争心を奮い立たせてテンションアップ効率アップっていう子供だましね」
「今時そんな方法でやる気出るかよ。やることは結局草刈じゃねぇか」
チャリティとジークが呆れたように肩をすくめる。
「お前等冷めてんな〜。ちなみに優勝商品は豪華絢爛鍋の具材セットだ!」
「鍋ですって!?」
「豪華絢爛具材セットだと!?」
チャリティとジークの目の色が一瞬にして変わるとブライトは商品についての詳細な説明を始める。。
「石狩鍋、キムチ鍋、塩鍋チャンコ鍋、モツ鍋等々、この季節に嬉しい鍋を好きな時に好きな分だけ作れる量を具材を用意してある!」
「この季節とかよく分かんないけど絶対に優勝するのよジーク!」
「当たり前だ!!」
「既に人任せっていうね……」
「ジークお兄ちゃん!私も手伝うよっ!」
ジンが白い目でチャリティを見る中、大会開始のゴングが鳴る。
全員一斉に草むらへ飛び込んでいき、まるで芋虫が葉っぱを食い進むように草が薙ぎ倒され道になっていく。
〜続く〜
【楽談パート62】
takeshi「ども〜!ゼスティリアのアニメ見てからゲームの期待値が爆発的に上がったtakeshiです!」
マティアス「天族って、私からしてみるとなんか微妙な響きだわ……」
takeshi「それ以上は絶対に言わないでくださいね?次の部で外伝としてやるんですから!それ以上言ったら外伝が中止になってしまいますからね!?絶対に言っちゃだめですよ!?」
マティアス「それはフリなの?」
takeshi「マジです」
マティアス「眼が本気だからやめておくわ。それにしても、鍋の材料の調達ってそういうことだったのね」
takeshi「はい、チャリティさん達が優勝できるかできないかで私達が鍋をつつけるかどうかが決まるのです!ちなみに、今回の時間軸としてはルーベルトが流れ着いた時と校外学習に行った時の間あたりです」
マティアス「あのバカ王子、どこに消えたかと思ったらまさかクインシェルまで漂流してたとわね。ぬかったわ」
takeshi「そして本編中では現在ユリスがフルブッコにされていましたが、ラスボスがボコボコにされるのもテイルズのあるあるですよね」
マティアス「でも最近はコンボを繋げすぎると謎の無敵状態になるかすぐオーバーリミッツしてコンボが繋げにくくなったのも特徴よね。本当に蛇足だわ、誰が考えたのかしら?」
takeshi「きっと心の優しい人ですよ。それと、今はオリジナル設定でユリスは氷とか色々なフォルスを使ってますが、ゲームの中でもジルバ同様に光と闇といったまさかの組み合わせの導術を使ってくるので結局能力が分かるずじまいなんです。なのでユリスの能力については完全オリジナルですのであしからず」
マティアス「今回はこの辺で良いかしら?」
takeshi「ゼスティリアについてまだ語ってないのですが……」
マティアス「じゃあさっさと語りなさい」
takeshi「今回の作画は歴代テイルズをてがけた人達ということでレジェンディアファンまでもを網羅しててすっごく嬉しいです!しかもアニメではレジェンディアで流れそうなBGMまで流れ、もしかしたら音響スタッフの中にもチームメルネスのメンバーが混ざってるかもしれないと考えるともうテンションマックスです!まぁ、アニメで散々導師はいるかいないか分からん、でも居ると信じてる。と、サンタクロースみたいな扱いだったのにED明けてからのゲームの解説で主人公がハッキリと「これが導師の力……!!」と言っててさすがに「おい……」と突っ込んでしまいましたとさ。おしまい」
マティアス「気絶している私の体って今どうなってるのかしら?まさかあいつに変なことされてないでしょうね……?」
takeshi「……終わりましたよ?」
マティアス「あぁ、そう。お疲れ様」
takeshi「あなたも人の話を聞かない族か……」
マティアス「勝手に新しい種族を作らないでくれるかしら?私達、特に今の私はそこらへんナーバスなのだから」
takeshi「これは失礼しました」
マティアス「ところで、私達このまま最後まで2人でやるのかしら?」
takeshi「いえ?次回あたりもう1人来るはずです」
マティアス「そう、それなら安心したわ♪」
takeshi「へ?」
マティアス「それではまた次回!見ないと、暴れちゃうわよ!?」
時は6年前のクインシェル。
この日は生徒全員が校庭に集合していた。
「え〜諸君、よく集まってくれた!」
休日だというのに半ば強制的に集合させたブライトが全員の前で腕を後ろで組み、声を張り上げている。
「君達にはこれからここで」
「殺し合いでもすんのか?」
「しねぇよバーカ!」
ジークの発言にすかさずブライトは突っ込む。
「ブライト先生、生徒にバカというのは良くありませんよ?」
ブライトの隣でリノアが首を傾げるのと同時に胸が小さく揺れ、軽く微笑む。
「ですよねー!殺し合いなんてしねぇよ、このお馬鹿様♪」
「『お』と『様』を付ければ良いってもんじゃねぇぞ……」
ジークが白い目で見てくるのを無視してブライトは本題に戻る。
「これから校舎裏の草刈をやってもらう!」
「「なっ、なんだってー!?」」
「おいおいマジかよ」
「校舎裏ってまさかあの校舎裏か?」
「もう何年も立ち入り禁止になってるんでしょ?」
「なんか死体とか埋まってるらしいよ?」
「俺はバイラスの巣と繋がってるって聞いた。落とし穴があって落ちたが最後、バイラス達の餌になっちまうんだってよ!」
「え?俺は野生の電気ネズミが飛び出してくるって聞いたけど?」
「そんな所に私達を連れていくなんて先生どうかしてるわ!ていうか最後の本当!?どこ情報!?」
生徒達が一斉にざわつき始める。
「あら?ルルちゃんは?」
先程までチャリティと手を繋いでいたルルが突然居なくなったことに気付き、周囲をきょろきょろと見回す。
「ここだ……」
ジークが反転するとルルがジークの後ろに隠れていた。
「校舎裏怖い……」
「あぁ〜あいつらの話信じちゃったのね……」
チャリティは苦笑いしながら未だにざわついてる生徒達を一瞥した後、ジークの正面に腰を下ろしルルの頭を優しく撫でた。
「大丈夫よ、何があってもルルちゃんは必ず護るから。ジークがね」
「おい」
「本当?」
ルルは不安そうにジークの背中の裾を掴んで見上げる。
「本当よね?」
反対側、ジークの正面からはチャリティが鬼の形相で見上げてくる。
「お、おう!俺に任せろ!」
ジークは冷や汗を流しながら拳を握って見せる。
「んじゃ、行くぞ〜」
ブライトとリノアから草刈鎌とゴミ袋を支給された後、校舎をぐるっと回り裏へと周りこむ。
すると、縦200m、横100mの広大な土地にブライトの腰の高さまである緑の雑草が生い茂っていた。
ルルにいたっては調度同じ身長のため草で視界が覆いつくされ向こう側が全く見えない。
そこでルルが思わず口を開いた。
「ふ、普通〜」
太陽の日差しを草が反射して光り、風が吹くとサラサラと音をなびかせ波打つように揺れる。
ありふれた草原だった。
「そりゃただの校舎の裏側だからな」
ブライトも淡々と答える。
「でもこれだけ雑草が伸びるまで放置するなんて異常じゃない?」
チャリティが草むらを見渡しながら言うとヴィーナも、そうねぇと言いながら頬に手をあてる。
「先生、何でこんなに広い土地を放っておいたんですか?」
ヴィーナが質問するとブライトは渋い顔をしたため代わりにリノアが答えた。
「それはね、最初はここに体育館を建てる予定だったの。でも校舎を建てたらそれだけで予算を使っちゃったんだ〜」
「じゃあ今回ここの草刈をするってことは……」
ジンが言いかけると苦笑いしてたリノアがにっこりと笑い、ブライトがえらそうに腕を組む。
「体育館を建てる目処が立ったってことだ!じいさんを説得するのに苦労したぜまったく」
「じゃあこれからは雨の日も体育ができるのね!?体育館裏に呼び出しとかできるのね!?」
「あんた、冗談じゃなく本当に呼び出しそうだからやめなさいよね?」
興奮するチャリティの後頭部をヴィーナが叩いた後、ブライトは全員の注目を集めるように手を二回叩いた。
「よ〜し、これから草刈大会を始めるぞ〜!」
「草刈大会?」
茶髪ボブのイーリスが小首を傾げる。
「ルールは簡単だ!1家族を1グループとして刈った草の総重量が一番重いグループを優勝とする!」
「あ〜競争心を奮い立たせてテンションアップ効率アップっていう子供だましね」
「今時そんな方法でやる気出るかよ。やることは結局草刈じゃねぇか」
チャリティとジークが呆れたように肩をすくめる。
「お前等冷めてんな〜。ちなみに優勝商品は豪華絢爛鍋の具材セットだ!」
「鍋ですって!?」
「豪華絢爛具材セットだと!?」
チャリティとジークの目の色が一瞬にして変わるとブライトは商品についての詳細な説明を始める。。
「石狩鍋、キムチ鍋、塩鍋チャンコ鍋、モツ鍋等々、この季節に嬉しい鍋を好きな時に好きな分だけ作れる量を具材を用意してある!」
「この季節とかよく分かんないけど絶対に優勝するのよジーク!」
「当たり前だ!!」
「既に人任せっていうね……」
「ジークお兄ちゃん!私も手伝うよっ!」
ジンが白い目でチャリティを見る中、大会開始のゴングが鳴る。
全員一斉に草むらへ飛び込んでいき、まるで芋虫が葉っぱを食い進むように草が薙ぎ倒され道になっていく。
〜続く〜
【楽談パート62】
takeshi「ども〜!ゼスティリアのアニメ見てからゲームの期待値が爆発的に上がったtakeshiです!」
マティアス「天族って、私からしてみるとなんか微妙な響きだわ……」
takeshi「それ以上は絶対に言わないでくださいね?次の部で外伝としてやるんですから!それ以上言ったら外伝が中止になってしまいますからね!?絶対に言っちゃだめですよ!?」
マティアス「それはフリなの?」
takeshi「マジです」
マティアス「眼が本気だからやめておくわ。それにしても、鍋の材料の調達ってそういうことだったのね」
takeshi「はい、チャリティさん達が優勝できるかできないかで私達が鍋をつつけるかどうかが決まるのです!ちなみに、今回の時間軸としてはルーベルトが流れ着いた時と校外学習に行った時の間あたりです」
マティアス「あのバカ王子、どこに消えたかと思ったらまさかクインシェルまで漂流してたとわね。ぬかったわ」
takeshi「そして本編中では現在ユリスがフルブッコにされていましたが、ラスボスがボコボコにされるのもテイルズのあるあるですよね」
マティアス「でも最近はコンボを繋げすぎると謎の無敵状態になるかすぐオーバーリミッツしてコンボが繋げにくくなったのも特徴よね。本当に蛇足だわ、誰が考えたのかしら?」
takeshi「きっと心の優しい人ですよ。それと、今はオリジナル設定でユリスは氷とか色々なフォルスを使ってますが、ゲームの中でもジルバ同様に光と闇といったまさかの組み合わせの導術を使ってくるので結局能力が分かるずじまいなんです。なのでユリスの能力については完全オリジナルですのであしからず」
マティアス「今回はこの辺で良いかしら?」
takeshi「ゼスティリアについてまだ語ってないのですが……」
マティアス「じゃあさっさと語りなさい」
takeshi「今回の作画は歴代テイルズをてがけた人達ということでレジェンディアファンまでもを網羅しててすっごく嬉しいです!しかもアニメではレジェンディアで流れそうなBGMまで流れ、もしかしたら音響スタッフの中にもチームメルネスのメンバーが混ざってるかもしれないと考えるともうテンションマックスです!まぁ、アニメで散々導師はいるかいないか分からん、でも居ると信じてる。と、サンタクロースみたいな扱いだったのにED明けてからのゲームの解説で主人公がハッキリと「これが導師の力……!!」と言っててさすがに「おい……」と突っ込んでしまいましたとさ。おしまい」
マティアス「気絶している私の体って今どうなってるのかしら?まさかあいつに変なことされてないでしょうね……?」
takeshi「……終わりましたよ?」
マティアス「あぁ、そう。お疲れ様」
takeshi「あなたも人の話を聞かない族か……」
マティアス「勝手に新しい種族を作らないでくれるかしら?私達、特に今の私はそこらへんナーバスなのだから」
takeshi「これは失礼しました」
マティアス「ところで、私達このまま最後まで2人でやるのかしら?」
takeshi「いえ?次回あたりもう1人来るはずです」
マティアス「そう、それなら安心したわ♪」
takeshi「へ?」
マティアス「それではまた次回!見ないと、暴れちゃうわよ!?」