第10話『姉弟と喧嘩の理由』
海岸から石畳の道路を歩くこと10分、フリィース家へと到着した。
「い、意外とかかったな……」
すっかり痩せこけたオーちゃんは声を絞りながら言うと、ルルもえらく息切れしていた。
「だって……オーちゃん……重いんだもん」
フリィース家は二階建てとなっており、正面の玄関から見て両脇に二つ小窓がある。
その内の右側の窓からルルは背伸びをしながら覗き込んだ。
するとキッチンが見え、中には誰もいなかった。
ルルは反対側の窓へオーちゃんを引き摺りながら移動し、同様に中を覗いてみると、リビングにはジンの姿があった。
「(2人ともどっか行ったのかな……?)オーちゃんちょっと待ってて」
ルルは無造作にオーちゃんを捨てると彼は花壇の角に頭を強打し「グエッ」という断末魔を上げて気絶した。
その間にもルルは玄関の扉を開き、中に入った。
家の中はキッチンとリビングが繋がっており、ジンはソファに座っていた。
「ただいま〜……」
「あ、お帰り、ルル」
恐る恐る入ると、9歳のジンが何食わぬ顔で迎えてくれた。
「どうしたの?なんか猫でも拾ってきたような顔をしてるけど」
それを聞いてルルは内心で「さすが、鋭い…」と思いながら先程から気にしていた不安をぶつけた。
「ジークお兄ちゃんと……お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんなら友達のとこ行ったよ。当分帰ってこないってさ。お兄ちゃんはお昼の買出し中。でもそろそろ帰ってくるんじゃない?今日はカレーだってさ」
「カレー!?私ジークお兄ちゃんのつくるカレー大好き!!」
「今更そんなこと言わなくても知ってるって」
ジンはメタ発言をしながらも笑うと、ルルは鼻歌混じりでリビングのソファに座った。
すると、タイミングを図ったように13歳のジークが買出しから帰ってきた。
「ただいま。外にこんなモノが落ちてたんだが……」
買い物袋を持つ手とは反対の手に掴まれていたオーちゃんはベロンと伸びきっていた。
「あ……」
すっかり忘れていたルルは一言漏らしてから急いで介抱し、水を顔に勢いよくかけると目を覚ました。
「貴様……殺す気か……?」
ルルは両手を合わせて謝ってから、ジークとジンに事情を説明した。
勿論ジークとチャリティの仲直りをさせるということは抜いて。
「そ、それでね?オーちゃんにもご飯を食べさせてほしいんだけど……ダメ……かな?」
ルルはえらく緊張しながら言うと、ジークは何も言わずに立ち上がりキッチンへと向かった。
「おい、何か言ったらどうなのだ?妹が訊いているのだぞ?」
「うっせーな。何で食べさせてもらうお前が偉そうなんだよ?」
水を飲んで多少復活したオーちゃんはジークに掴みかかったが、当然のごとく言い返されてしまった。
それからジークは溜息を吐いてからオーちゃんの手を払い、手を洗い始めた。
「まぁ、良いんじゃねぇの?どうせ今日は1人分余るところだったんだしな」
「あ、ありがとう…ジークお兄ちゃん……」
「なんでてめぇが礼を言うんだよ?」
またもや緊張しながら言うルルに対してジークは冷たくあしらうと買い物袋から食材を取り出した。
「ジン、あいつは何時もあんな調子なのか?」
オーちゃんは2人の間を見て、ジンに小さな声で訊ねた。
「うんそうだよ?まぁ色々と理由はあるんだけどね」
「そうか……。姉上との喧嘩の八つ当たりであるのならばガツンと一発かましてやろうかとも思ったが……そうか、何時もなのか……」
何処か寂しそうで、しかし羨ましそうに見るオーちゃんにジンは首を傾げたが、一つ疑問が浮かんだ。
「オーちゃん、お兄ちゃんとお姉ちゃんが喧嘩してるの知ってたの?」
オーちゃんがそれを知っているのは内緒だった。
もしオーちゃんが2人を仲直りさせようとしているとジークとチャリティに知られてしまっては第三者にまで心配されているということがお互いのプライドを傷つけ、余計に悪化してしまう可能性があったからである。
そのため、オーちゃんは急いで言い訳を考えた。
「し、知らん!断じて知らん!ルルからは何一つ聞いていない!!むしろ仲直りさせるなど、無謀なことこの上ないだろうな!」
少年が混乱する頭で必死に考えた言い訳だった。
と、そこへキッチンよりお声がかかった。
「そういやオーちゃんは嫌いな物とかあるのか?」
「あぁ、イカが嫌いだ」
「そうか、じゃあ今日はシーフードカレーだな」
そう言ってジークは買い物袋からイカを取り出すと、綺麗にさばいていった。
「待てぃ!」
オーちゃんは即座に後ろからジークの腕を掴むと調理を邪魔された彼は機嫌悪そうに振り返った。
「んだよ?」
「貴様人の話を聞いていなかったのか?俺はイカが嫌いだと言ったのだ。なのに何故イカを入れる?」
ジークは一回考えてから答えた。
「……シーフードカレーだからだろ?つうか食いたくねぇなら食うなよ、面倒くせぇな」
「め、面倒ならば最初から訊かなければよかろう!なぜ訊いた!?」
「興味本位だよ興味本位」
「……そ、そうか。ならば仕方あるまい」
ルルがワクワクしながらジークの手元を見つめているのを気にせずにジークは食材を洗い、包丁で切り始めるとオーちゃんはトボトボとリビングのソファに座った。
それからしばらくしてオーちゃんが遺言書を考えていると、皿に盛り付けれたカレーが運ばれてきた。
「あっ、私も手伝う!!」
「邪魔だから座っとけ」
ジークは軽くあしらったが、ルルは「は〜い」と返事をしてから運ばれてくる料理に目を輝かせた。
「ちなみに、今のは火傷したら危ないから座ってなっていう意味ね」
ジンは囁(ささや)くような声でオーちゃんに言うと、彼は自分の前に運ばれてきたカレーを見て絶句した。
「なぜ俺のカレーだけイカが山盛りなのだ?その代わりにニンジンが入っていないのだが……」
「よく見てみろよ」
ジークもソファに座りオーちゃんはカレーを凝視すると、確かに米粒と化したニンジンが入っていた。
一言にカレーと言っても家庭によって様々な形がある。
昔そう教えられた気がしたオーちゃんはとりあえず納得し、3人に倣(なら)って食べ始めた。
「うむ、これは予想以上だ……」
「でしょでしょ!?ジークお兄ちゃんは料理がすごく上手なんだよ!?」
「ルル、食べながら喋らない」
調度ジークが持ってきた布巾でジンはルルの口を拭ってやった。
そしてイカだけを見事に除けて完食したオーちゃんは早速本題に入った。
「ふむ、何はともあれ命を救ってもらった訳だ、何か礼をしなくてはな。そうだ折角ジークにカレーを作ってもらったのだ、貴様の愚痴でも聞いてやっても良いぞ?」
「愚痴なんかよりも片付けを手伝ってもらった方がよっぽど助かるけどな」
オーちゃんは無理やり話を進めるが、正論を言われたオーちゃんは黙って洗い物を手伝った。
「いや!これだけでは恩を返せたとは言えん!小さなことでも良い、愚痴を言ってみろ!」
さぁ!と促され、ジークは少し考えたあと水道の蛇口を止めた。
「ねぇな」
「いやあるだろう!!」
洗い物を終え、リビングに戻るジークに必死にかじるつくオーちゃんを見かね、ジンが口を開いた。
「どうせだからお姉ちゃんとの喧嘩のことでも話してみたら?少しはスッキリするかもよ?」
ジンは何かを察しているかのように言ったが次の瞬間にジークからでこピンをくらった。
「痛っ!何!?」
「思い出したら苛々してついな……」
ジンが涙目になる一方でジークはオーちゃんを見た。
「……聞きてぇの?」
「うむ!あ、いや、貴様等が喧嘩をしていたのは初耳だぞ!?うむ、初耳だ!」
「あっそ。喧嘩のきっかけは……そうだな、姉貴が俺のぬいぐるみを壊しやがったからカッとなって怒鳴ったんだよ。そしたらあっちも怒鳴ってきたから喧嘩になったんだ。……おい、ジン。全然スッキリしねぇぞ」
「え?そ、そう?おかしいな〜……」
余計に機嫌が悪くなったジークにジンは目を合わせることができず、目を泳がせていた。
そしてそれを聞いたオーちゃんは下を見つめ、思案していた。
(たかがぬいぐるみを壊されたくらいで喧嘩するとはどういうことだ?これは姉上のほうにも話を聞きにいく必要があるか……)
オーちゃんはルルにチャリティにも話を聞きに行きたいという旨を伝えると、ルルは頷いた。
「あっそうだ!私用事があるんだった!」
そう言ってルルは突然立ち上がると、オーちゃんの後ろ襟を掴み「行ってきま〜す」と言って強引に引き摺りだした。
「お、俺も用事があるんだった!」
これ以上ジークと一緒にいたら何をされるか分からないと察知したジンは急いでルル達の後を追った。
「ジンお兄ちゃん一緒に来てくれてありがとう!私達だけじゃお姉ちゃんがいるところが分からなかったもん……」
家から出てすぐの所で立ち止まっていたルル達と合流したジンは苦笑いした。
「確かヴィーナお姉ちゃんのところへ行くって言ってたから、家に行けば会えるんじゃないかな?」
ヴィーナとはチャリティの親友の名前らしく、ジン達が幼い頃からよく面倒をみてもらっていたため姉のように慕っているのだという。
こうして三人はヴィーナの家を目指すことになり、歩き始めると彼女の家は意外と遠く河を三本越えた先にある学校から更に河を一本越えたところにあった。
ドアを二回ノックすると中から元気のある返事がし、しばらくしてから扉が開かれた。
「あら、ルルちゃん達じゃない!そっちは新しいお友達?」
青い髪をしたヒューマの女性、ヴィーナはオーちゃんを見るなり訊ねた。
出会った経緯をルルが簡単に説明するとヴィーナは笑いながら聞き、話を続けた。
「そうそう、チャリティとジークが喧嘩したんですってね。チャリティってば突然家に来るなり何も喋らなかったんだけど、さっきお昼を食べたら少しは機嫌が直ったみたいでやっと喧嘩の理由を話してくれる気になったみたいなの。調度良いから聞いていって」
何と言う偶然とオーちゃんは目を輝かせながらヴィーナに招かれるまま、三人は家に上がりこんだ。
〜続く〜
【※ヴィーナがキャラクター名鑑(上)に追加されました】
「い、意外とかかったな……」
すっかり痩せこけたオーちゃんは声を絞りながら言うと、ルルもえらく息切れしていた。
「だって……オーちゃん……重いんだもん」
フリィース家は二階建てとなっており、正面の玄関から見て両脇に二つ小窓がある。
その内の右側の窓からルルは背伸びをしながら覗き込んだ。
するとキッチンが見え、中には誰もいなかった。
ルルは反対側の窓へオーちゃんを引き摺りながら移動し、同様に中を覗いてみると、リビングにはジンの姿があった。
「(2人ともどっか行ったのかな……?)オーちゃんちょっと待ってて」
ルルは無造作にオーちゃんを捨てると彼は花壇の角に頭を強打し「グエッ」という断末魔を上げて気絶した。
その間にもルルは玄関の扉を開き、中に入った。
家の中はキッチンとリビングが繋がっており、ジンはソファに座っていた。
「ただいま〜……」
「あ、お帰り、ルル」
恐る恐る入ると、9歳のジンが何食わぬ顔で迎えてくれた。
「どうしたの?なんか猫でも拾ってきたような顔をしてるけど」
それを聞いてルルは内心で「さすが、鋭い…」と思いながら先程から気にしていた不安をぶつけた。
「ジークお兄ちゃんと……お姉ちゃんは?」
「お姉ちゃんなら友達のとこ行ったよ。当分帰ってこないってさ。お兄ちゃんはお昼の買出し中。でもそろそろ帰ってくるんじゃない?今日はカレーだってさ」
「カレー!?私ジークお兄ちゃんのつくるカレー大好き!!」
「今更そんなこと言わなくても知ってるって」
ジンはメタ発言をしながらも笑うと、ルルは鼻歌混じりでリビングのソファに座った。
すると、タイミングを図ったように13歳のジークが買出しから帰ってきた。
「ただいま。外にこんなモノが落ちてたんだが……」
買い物袋を持つ手とは反対の手に掴まれていたオーちゃんはベロンと伸びきっていた。
「あ……」
すっかり忘れていたルルは一言漏らしてから急いで介抱し、水を顔に勢いよくかけると目を覚ました。
「貴様……殺す気か……?」
ルルは両手を合わせて謝ってから、ジークとジンに事情を説明した。
勿論ジークとチャリティの仲直りをさせるということは抜いて。
「そ、それでね?オーちゃんにもご飯を食べさせてほしいんだけど……ダメ……かな?」
ルルはえらく緊張しながら言うと、ジークは何も言わずに立ち上がりキッチンへと向かった。
「おい、何か言ったらどうなのだ?妹が訊いているのだぞ?」
「うっせーな。何で食べさせてもらうお前が偉そうなんだよ?」
水を飲んで多少復活したオーちゃんはジークに掴みかかったが、当然のごとく言い返されてしまった。
それからジークは溜息を吐いてからオーちゃんの手を払い、手を洗い始めた。
「まぁ、良いんじゃねぇの?どうせ今日は1人分余るところだったんだしな」
「あ、ありがとう…ジークお兄ちゃん……」
「なんでてめぇが礼を言うんだよ?」
またもや緊張しながら言うルルに対してジークは冷たくあしらうと買い物袋から食材を取り出した。
「ジン、あいつは何時もあんな調子なのか?」
オーちゃんは2人の間を見て、ジンに小さな声で訊ねた。
「うんそうだよ?まぁ色々と理由はあるんだけどね」
「そうか……。姉上との喧嘩の八つ当たりであるのならばガツンと一発かましてやろうかとも思ったが……そうか、何時もなのか……」
何処か寂しそうで、しかし羨ましそうに見るオーちゃんにジンは首を傾げたが、一つ疑問が浮かんだ。
「オーちゃん、お兄ちゃんとお姉ちゃんが喧嘩してるの知ってたの?」
オーちゃんがそれを知っているのは内緒だった。
もしオーちゃんが2人を仲直りさせようとしているとジークとチャリティに知られてしまっては第三者にまで心配されているということがお互いのプライドを傷つけ、余計に悪化してしまう可能性があったからである。
そのため、オーちゃんは急いで言い訳を考えた。
「し、知らん!断じて知らん!ルルからは何一つ聞いていない!!むしろ仲直りさせるなど、無謀なことこの上ないだろうな!」
少年が混乱する頭で必死に考えた言い訳だった。
と、そこへキッチンよりお声がかかった。
「そういやオーちゃんは嫌いな物とかあるのか?」
「あぁ、イカが嫌いだ」
「そうか、じゃあ今日はシーフードカレーだな」
そう言ってジークは買い物袋からイカを取り出すと、綺麗にさばいていった。
「待てぃ!」
オーちゃんは即座に後ろからジークの腕を掴むと調理を邪魔された彼は機嫌悪そうに振り返った。
「んだよ?」
「貴様人の話を聞いていなかったのか?俺はイカが嫌いだと言ったのだ。なのに何故イカを入れる?」
ジークは一回考えてから答えた。
「……シーフードカレーだからだろ?つうか食いたくねぇなら食うなよ、面倒くせぇな」
「め、面倒ならば最初から訊かなければよかろう!なぜ訊いた!?」
「興味本位だよ興味本位」
「……そ、そうか。ならば仕方あるまい」
ルルがワクワクしながらジークの手元を見つめているのを気にせずにジークは食材を洗い、包丁で切り始めるとオーちゃんはトボトボとリビングのソファに座った。
それからしばらくしてオーちゃんが遺言書を考えていると、皿に盛り付けれたカレーが運ばれてきた。
「あっ、私も手伝う!!」
「邪魔だから座っとけ」
ジークは軽くあしらったが、ルルは「は〜い」と返事をしてから運ばれてくる料理に目を輝かせた。
「ちなみに、今のは火傷したら危ないから座ってなっていう意味ね」
ジンは囁(ささや)くような声でオーちゃんに言うと、彼は自分の前に運ばれてきたカレーを見て絶句した。
「なぜ俺のカレーだけイカが山盛りなのだ?その代わりにニンジンが入っていないのだが……」
「よく見てみろよ」
ジークもソファに座りオーちゃんはカレーを凝視すると、確かに米粒と化したニンジンが入っていた。
一言にカレーと言っても家庭によって様々な形がある。
昔そう教えられた気がしたオーちゃんはとりあえず納得し、3人に倣(なら)って食べ始めた。
「うむ、これは予想以上だ……」
「でしょでしょ!?ジークお兄ちゃんは料理がすごく上手なんだよ!?」
「ルル、食べながら喋らない」
調度ジークが持ってきた布巾でジンはルルの口を拭ってやった。
そしてイカだけを見事に除けて完食したオーちゃんは早速本題に入った。
「ふむ、何はともあれ命を救ってもらった訳だ、何か礼をしなくてはな。そうだ折角ジークにカレーを作ってもらったのだ、貴様の愚痴でも聞いてやっても良いぞ?」
「愚痴なんかよりも片付けを手伝ってもらった方がよっぽど助かるけどな」
オーちゃんは無理やり話を進めるが、正論を言われたオーちゃんは黙って洗い物を手伝った。
「いや!これだけでは恩を返せたとは言えん!小さなことでも良い、愚痴を言ってみろ!」
さぁ!と促され、ジークは少し考えたあと水道の蛇口を止めた。
「ねぇな」
「いやあるだろう!!」
洗い物を終え、リビングに戻るジークに必死にかじるつくオーちゃんを見かね、ジンが口を開いた。
「どうせだからお姉ちゃんとの喧嘩のことでも話してみたら?少しはスッキリするかもよ?」
ジンは何かを察しているかのように言ったが次の瞬間にジークからでこピンをくらった。
「痛っ!何!?」
「思い出したら苛々してついな……」
ジンが涙目になる一方でジークはオーちゃんを見た。
「……聞きてぇの?」
「うむ!あ、いや、貴様等が喧嘩をしていたのは初耳だぞ!?うむ、初耳だ!」
「あっそ。喧嘩のきっかけは……そうだな、姉貴が俺のぬいぐるみを壊しやがったからカッとなって怒鳴ったんだよ。そしたらあっちも怒鳴ってきたから喧嘩になったんだ。……おい、ジン。全然スッキリしねぇぞ」
「え?そ、そう?おかしいな〜……」
余計に機嫌が悪くなったジークにジンは目を合わせることができず、目を泳がせていた。
そしてそれを聞いたオーちゃんは下を見つめ、思案していた。
(たかがぬいぐるみを壊されたくらいで喧嘩するとはどういうことだ?これは姉上のほうにも話を聞きにいく必要があるか……)
オーちゃんはルルにチャリティにも話を聞きに行きたいという旨を伝えると、ルルは頷いた。
「あっそうだ!私用事があるんだった!」
そう言ってルルは突然立ち上がると、オーちゃんの後ろ襟を掴み「行ってきま〜す」と言って強引に引き摺りだした。
「お、俺も用事があるんだった!」
これ以上ジークと一緒にいたら何をされるか分からないと察知したジンは急いでルル達の後を追った。
「ジンお兄ちゃん一緒に来てくれてありがとう!私達だけじゃお姉ちゃんがいるところが分からなかったもん……」
家から出てすぐの所で立ち止まっていたルル達と合流したジンは苦笑いした。
「確かヴィーナお姉ちゃんのところへ行くって言ってたから、家に行けば会えるんじゃないかな?」
ヴィーナとはチャリティの親友の名前らしく、ジン達が幼い頃からよく面倒をみてもらっていたため姉のように慕っているのだという。
こうして三人はヴィーナの家を目指すことになり、歩き始めると彼女の家は意外と遠く河を三本越えた先にある学校から更に河を一本越えたところにあった。
ドアを二回ノックすると中から元気のある返事がし、しばらくしてから扉が開かれた。
「あら、ルルちゃん達じゃない!そっちは新しいお友達?」
青い髪をしたヒューマの女性、ヴィーナはオーちゃんを見るなり訊ねた。
出会った経緯をルルが簡単に説明するとヴィーナは笑いながら聞き、話を続けた。
「そうそう、チャリティとジークが喧嘩したんですってね。チャリティってば突然家に来るなり何も喋らなかったんだけど、さっきお昼を食べたら少しは機嫌が直ったみたいでやっと喧嘩の理由を話してくれる気になったみたいなの。調度良いから聞いていって」
何と言う偶然とオーちゃんは目を輝かせながらヴィーナに招かれるまま、三人は家に上がりこんだ。
〜続く〜
【※ヴィーナがキャラクター名鑑(上)に追加されました】
■作者メッセージ
―――オマケ―――
ここはとある庭にある一軒の家。
メル「エト〜。エトどこ〜?」
エトス「は〜い、呼んだ?」
メル「あっ、突然なんだけどエトにお願いがあるの」
エトス「お願い?メルが僕にお願いだなんて、珍しいね」
メル「うん・・・。あのね、エト。私、ウェイトレスさんになりたいの!」
エトス「・・・え?」
メル「私達ってなりきり士じゃない?なりきり士っていろんな職業になりきって人々の役に立つ仕事っていうのは分かるんだけど、私達がなれるのって戦う職業ばっかりな気がするんだ」
エトス「まぁ・・・テイルズだからね」
メル「でもね!最近テイルズにもウェイトレスの仕事があるって知ったの!それにね、専用の衣装だってあるんだよ!?」
エトス「だ、誰から教わったの?そんなの・・・」
ロンドリーネ「私よ!」
エト「ロディ!?ていうか何時の間に居たの!?」
ロンドリーネ「ついさっきよ。それにしても、あの時は驚いたわ。愛しのダオスを追って時間移動を繰り返していたら、おかしな時空へ飛ばされてしまったのだもの」
エトス「そりゃ、ぶっちゃけストーカーみたいなことしてたらダオスも怒るよ・・・」
ロンドリーネ「でも甘いわ!私はこうして帰ってきた!時間だけでなく時空さえも飛び越える術を習得してね!!」
エトス「変体に技術を持たせるとロクなことにならないっていうのはこういうことを言うんだろうね・・・」
ロンドリーネ「そういう訳だからメルちゃん!話は聞かせてもらったわ!あなたのその願い、私が叶えてあげる!!」
メル「え?本当!?」
ロンドリーネ「ホントも本当♪お店だったら今問題になってお客が全然入ってないガストを使えば良いわ」
エトス「ちょっと!そんな堂々と名前出しちゃって良いの!?」
ロンドリーネ「大丈夫よ。ガストと私達の作品は提携してたんだもの。さっ!そうと決まればまずは店員を集めなきゃ!行くわよメルちゃん!」
メル「い、行くってどこに!?」
ロンドリーネ「決まってるじゃない。異世界に飛んで、バイトをスカウトするの。すでに大体目星はついてるから安心して!あとは交渉次第ってとこかな?」
エトス「ディオは連れてかなくて良いの?」
ロンドリーネ「ディオ君だったらさっきオンラインゲームでハセラがどうとか言ってたから邪魔しないほうが良いんじゃない?それより、勿論エトも付いてくるわよね?」
エトス「うん、なんか心配だもん・・・」
ロンドリーネ「決まり!それじゃ、早速行くわよ〜?」
ロンドリーネがペンダントを掲げると、2人と一匹は眩い光に包まれ消えていった。
〜続くかな?〜
てな訳でオマケ第1話です!
ここまで読んだだけでこの後の展開が読めてしまう人もいるのではないでしょうか?
ちなみに物語の中心となるのはテイルズオブファンタジアなりきりXです。
続きはまた何も書くネタがない時にでも書こうと思います。
ではまた〜
ここはとある庭にある一軒の家。
メル「エト〜。エトどこ〜?」
エトス「は〜い、呼んだ?」
メル「あっ、突然なんだけどエトにお願いがあるの」
エトス「お願い?メルが僕にお願いだなんて、珍しいね」
メル「うん・・・。あのね、エト。私、ウェイトレスさんになりたいの!」
エトス「・・・え?」
メル「私達ってなりきり士じゃない?なりきり士っていろんな職業になりきって人々の役に立つ仕事っていうのは分かるんだけど、私達がなれるのって戦う職業ばっかりな気がするんだ」
エトス「まぁ・・・テイルズだからね」
メル「でもね!最近テイルズにもウェイトレスの仕事があるって知ったの!それにね、専用の衣装だってあるんだよ!?」
エトス「だ、誰から教わったの?そんなの・・・」
ロンドリーネ「私よ!」
エト「ロディ!?ていうか何時の間に居たの!?」
ロンドリーネ「ついさっきよ。それにしても、あの時は驚いたわ。愛しのダオスを追って時間移動を繰り返していたら、おかしな時空へ飛ばされてしまったのだもの」
エトス「そりゃ、ぶっちゃけストーカーみたいなことしてたらダオスも怒るよ・・・」
ロンドリーネ「でも甘いわ!私はこうして帰ってきた!時間だけでなく時空さえも飛び越える術を習得してね!!」
エトス「変体に技術を持たせるとロクなことにならないっていうのはこういうことを言うんだろうね・・・」
ロンドリーネ「そういう訳だからメルちゃん!話は聞かせてもらったわ!あなたのその願い、私が叶えてあげる!!」
メル「え?本当!?」
ロンドリーネ「ホントも本当♪お店だったら今問題になってお客が全然入ってないガストを使えば良いわ」
エトス「ちょっと!そんな堂々と名前出しちゃって良いの!?」
ロンドリーネ「大丈夫よ。ガストと私達の作品は提携してたんだもの。さっ!そうと決まればまずは店員を集めなきゃ!行くわよメルちゃん!」
メル「い、行くってどこに!?」
ロンドリーネ「決まってるじゃない。異世界に飛んで、バイトをスカウトするの。すでに大体目星はついてるから安心して!あとは交渉次第ってとこかな?」
エトス「ディオは連れてかなくて良いの?」
ロンドリーネ「ディオ君だったらさっきオンラインゲームでハセラがどうとか言ってたから邪魔しないほうが良いんじゃない?それより、勿論エトも付いてくるわよね?」
エトス「うん、なんか心配だもん・・・」
ロンドリーネ「決まり!それじゃ、早速行くわよ〜?」
ロンドリーネがペンダントを掲げると、2人と一匹は眩い光に包まれ消えていった。
〜続くかな?〜
てな訳でオマケ第1話です!
ここまで読んだだけでこの後の展開が読めてしまう人もいるのではないでしょうか?
ちなみに物語の中心となるのはテイルズオブファンタジアなりきりXです。
続きはまた何も書くネタがない時にでも書こうと思います。
ではまた〜