第17話『世紀末と再出立』
翌朝、一同は学校の校門前に集まった。
昨夜一騒動起こしたヒルダとマティアスも何食わぬ顔で肩を並べており、ジークは安心した。
「それで、これからどうする」
校門に寄りかかりながら腕組みをしているヴェイグが問いかける。
しばらくの目的であったユージーンとブライトの思念の問題は解決し、残るはユリスをどうするかという問題だけである。
「ユリスを探そうにも見当が付きませんし……」
「酋長も分からないって言ってたもんね」
アニーが頬に手を添えながら言うとルルも頭の犬耳を下に垂らした。
「だったら情報収集するしかないんじゃないかしら?」
マティアスは呆れたように赤紫の髪を掻き上げながら言うと、全員は注目した。
「バルカは今あんな状況だけれど、それでも首都なだけあってヒトの数は圧倒的に多いわ。情報の量も期待できると思うんだけれど」
「でもよぅ、バルカに行ったら元老院の奴等に見つかってマオが召集されちまうじゃねぇか?」
そう、今はマティアスが監視という形で同行しているがバルカに戻り元老院の手の者に囲まれたら逃れようがない。
しかしマティアスは自信満々にティトレイに向かって指を差した。
「その心配は無いわ!あんたらみたいなのを護衛に付けても何のメリットもないことは同行してみて良く分かったから報告しておいてあげる。むしろ、護衛に付けたほうが心配だわ」
ティトレイはその言葉に苛立ちを覚えたが拳を強く握り、こらえた。
「ふむ、ではバルカへ向かうか」
ユージーンが冷静に言うと一同は頷いた。
「そうと決まればますば港だな!また長い道のりだが、弱音吐くんじゃねぇぞ!」
ブライトは笑いながらフィオナの肩を叩いた。
「うっさいわね、私そんなに文句言わないわよ」
「フィオナって自分で言ってて自覚無いんだネ……」
マオがフィオナに聞こえないように呟いた後、一同は港に向かって出発した。
そして夕暮れ時に港へ着くと、いの一番に彼女は口を開いた。
「長い!!『パッと行く?』とか無いわけ!?」
それに対して待ってましたと言わんばかりに教師は歩み寄る。
「パッと着いたじゃねぇか」
「私達の歩く距離が変わってない!確かに文一行で着いたけど、その一行でどれだけ歩いたと思ってんの?バカでしょ!?」
フィオナの文句をブライトが面白がって聞く中、一同は最後の橋にさしかかった。
この橋を渡れば船の停留所へと行けるのだが、その橋を占領するかのように2人の男が立っていた。
「あいつら……」
ジークから見て右に立っている男は金髪の髪をしており、左の男は金髪の髪を更にモヒカンにしていた。
どちらもヒューマである。
「よぅジーク〜。またどこかにお出かけかい?」
金髪の男が不良の定番のような台詞を吐きながらジークに歩み寄り、モヒカンの男もツバをペッペペッペ吐きながら近付いて来た。
「そりゃ居づらいよなぁ、ここに居てもチャリティさんを殺した罪で延々問われ続けるんだもんなぁ」
台詞だけ聞けば同情しているように聞こえるが顔はニタ付いており、しかし憎しみの表情も見え隠れしていた。
「……で?」
ジークは眉をひそめながら問うが手からは黒いオーラが立ち込めていた。
いくら感情が高まろうとも本人の思い通りに使用できないフォルスがこの時ばかりは反応している。
その珍しさにヴェイグ達は見守っていたが、金髪の男が動いた。
「でも安心しろよ。俺達はフルぼっこにさせてくれれば許してやるからよぉ!!」
金髪の男は拳を振り上げながら駆け出し、拳を突き出す。
しかしそれはジークに背を向けたカインの手によって止められた。
「何かなカイン君、この手は?」
「お前等の相手なら僕で十分だ。面倒だから2人一緒においでよ」
カインは空いてる左手で挑発すると、モヒカンの男は木刀を片手で構えた。
「ヒャッハー!汚物は消毒だぁ!!」
世紀末のような事を叫びながら、2対1の戦闘が始まった。
が、ものの数秒で世紀末コンビはフルぼっこにされた。
「まっ、だてに世界滅亡とか企んでなかったってことだね」
「カインの勝ち台詞、あれで良いのかしら?」
パッパと手を払うカインを見ながらヒルダはユージーンに訪ねると彼は「う〜む……」と唸るだけだった。
「てめッ、カイン……。お前もチャリティさんを殺したジークを恨んでんじゃねぇのかよ……?」
「確かに恨んでたさ。でもジーク君はチャリティさんを殺してなんかいない。あれは事故だ」
「んなもん詭弁(きべん)じゃねぇか!」
「何とでも言えば良い。だけど、ジーク君に手を出すならまずは僕を倒せるようになってから出直してくることだね」
カインは何とか立ち上がろうとする世紀末コンビを見下しながら言うと、金髪の男は舌打ちをした。
「……今回は見逃してやる。だがな!覚えとけよジーク!この集落にはお前を恨んでいるやつはそこらじゅうにいる!せいぜい逃げ回るんだな!!」
「あばよ!!」
モヒカンの男が折れた木刀を投げ捨てると、2人はそそくさと夕日を背に走り去った。
「ジーク、大丈夫?」
「あぁ……」
マオの問いにジークはすっかりオーラが消え失せた両手を見つめながら短く応えた。
(逃げる……か)
「そろそろ出港時間みたいだし、船に乗らない?」
ジンが提案するのと同時に船員からまもなく出航するアナウンスが響き渡った。ヴェイグ達はチケットを購入し乗船しようとするが、そこへ見覚えのある鳥が飛んでくると、ゲートの上に止まった。
「ホッホゥ、何とか間に合ったわい」
飛んできたのは酋長のケナードであった。
「なんだ?ケナードさんも一緒に行くのか?」
「ホッホッ、そんな訳なかろう。ただの見送りじゃよ」
ケナードは微笑みながらティトレイに言った後、険しい表情をヴェイグ達に向けた。
「最近大陸でのバイラスの動きに乱れが見られる。しかもソレは日が経つに連れて増しているようじゃ。新月も近い、くれぐれも用心されよ」
新月とは満月とは真逆で月の光がまったく見えない状態をさす。
この国は代々『月』のフォルスを持つ家系の者が王だったためか、月の恩恵が届かない新月の日は不吉だと伝えられているようだ。
ちなみに昨晩はマティアスがボソっと呟いていたが半月であった。
「月か……」
ヴェイグはふとベルトに付けられているアクセサリーの水晶を手に取った。
この水晶は小さい頃河辺でクレアから誕生日プレゼントにともらったのだが、月の満ち欠けに応じて輝きを変えるという不思議な性質を持っている。
今その水晶も半分の輝きを放っていた。
「月なんざは気にしねぇが、一応覚えとくよ。サンキューな酋長!」
ブライトは腕を上げながら言い、ヴェイグ達も腕を振りながら船に乗船した。
すると、船は汽笛を鳴らして出発した。
船が出港して間もなく、相変わらず1人が落ち着くジークは甲板へと向かった。
すると甲板にはブライトがおり、ジークは歩み寄る。
「なぁ先生。俺、進めてんのかな?」
「なんだ?お前が質問してくるなんて珍しいな」
ブライトはジークの行動に笑いながら驚き、そこから少し離れた所にいるカインは聞き耳を立てた。
「大丈夫だ、お前はちゃんと自分の足で歩いて進んでるよ。ま、前か後ろかはお前の考え方次第だがな」
「そうか……」
ジークは安心したかのように少し笑みを浮かべた。
「なんにせよ、歩き続けることが大事ってことだな!」
「んなことは分かってんだよ」
ジークは昔から散々姉に言われ続けていたことを思い出しながら今度はカインの方へと向いた。
「それとカイン。ありがとな」
「いや僕はただ露払いをしただけで……」
カインを後ろ髪をかきながら歩み寄るが、ジークの顔は不機嫌なものへと変わった。
「それじゃねぇよ。お前が手を出さなくてもあんな奴等俺一人でどうにかなったんだよ」
「いや今のジーク君じゃ無理だよ。僕にだって勝てないじゃないか」
そう、あの時世紀末コンビをカインが止めたのはバイラスにも勝てず喧嘩にも滅法弱いジークがあの2人に勝てないと判断したからであった。
「だったら今試してみろよ」
「まぁ、ジーク君がケガしても僕が治すから構わないけど……」
そう言って2人はリストとグローブを装着した。
「待て待て待て!何を勝手にバトろうとしてんだ」
ファイティングポーズをとる2人の間にブライトが入る。
「別に弱いのはジークだけじゃねぇ。カインも、勿論俺だってヴェイグ達から見たら同じレベルなんだろうよ」
それを聞いてカインは何も言い返せなかった。
「だがそこら辺は俺に考えがある。2人とも船室に全員を集めてきな」
そう言ってブライトは先に船室へ向かうとジークとカインは渋々武器をしまい、仲間達を探しに向かった。
それから数分後、一同は船室に会した。
「全員いるな?」
ブライトは一度全体を見渡してから話を続けた。
「まずバルカ港の到着時間なんだが、今度は波に逆らって進むから明後日の明朝になる。そこでだ、この時間を利用して特訓をしようと思う」
「特訓とは、船の上でやるのか?」
「そりゃ俺達は海の上に立てねぇからな。なぁに、巨大イカがのしかかっても沈まなかったんだ。頑丈にできてんだろ」
ジーク達の故郷であるクインシェルに向かう時の怪獣大戦争を一同は思い出した。
「今日は流石に港までの道のりで疲れてるだろうからな。特訓は明日から始める。それと、勉強の方の特訓も明日から始めるから覚悟しとけよ?」
「「は?」」
勉強の特訓に、ジーク、ティトレイ、マオが反応した。
どうやらブライトは家に戻った際に色々と準備をしたらしく、黒板や教材といったものもアイテムバッグに入れてきたらしく他にも何か入れてきたらしい。
相変わらずどういう構造になっているのか気になるバッグである。
「ちょっと良いかしら?その特訓には私も参加するのかしら?」
ここで何故かヴェイグ一向に含まれていたマティアスが手を挙げるとブライトは眉を寄せた。
「お前が参加したら特訓にならないだろ。好きにしてろ」
「そうね、私も殺さない程度に手加減できるか自信ないもの」
マティアスは不適な笑みを浮かべながら部屋を出ていった。
「……まぁ、なんだ。話は以上だ。特訓の内容は明日話すから、今日はゆっくり休んでおけよ」
「特訓も良いけど、リノアさんのことは良いのかしら?」
ヒルダは壁に寄りかかりながら話を続ける。
「思念の影響で暴れた生徒は俺が何とかしとくみたいな事を言っておきながら何もしないで出てきたけど、それで良かったの?」
「その事なら心配いらねぇよ。さっきの2人を見ただろ?あいつらの矛先は種族じゃなくジークに向かってる。てことは思念の影響はそこまで出てないことが分かったからな。でなけりゃあと1週間は留まってただろうさ」
ブライトは大口を開けて笑うが、ヒルダは心配して損したと溜め息をついた。
こうして明日からのスケジュールが決まり各々は自由行動へと戻った。
夕日が海に沈み、半分に満たない月が1日の終わりを告げようとしていた。
〜続く〜
昨夜一騒動起こしたヒルダとマティアスも何食わぬ顔で肩を並べており、ジークは安心した。
「それで、これからどうする」
校門に寄りかかりながら腕組みをしているヴェイグが問いかける。
しばらくの目的であったユージーンとブライトの思念の問題は解決し、残るはユリスをどうするかという問題だけである。
「ユリスを探そうにも見当が付きませんし……」
「酋長も分からないって言ってたもんね」
アニーが頬に手を添えながら言うとルルも頭の犬耳を下に垂らした。
「だったら情報収集するしかないんじゃないかしら?」
マティアスは呆れたように赤紫の髪を掻き上げながら言うと、全員は注目した。
「バルカは今あんな状況だけれど、それでも首都なだけあってヒトの数は圧倒的に多いわ。情報の量も期待できると思うんだけれど」
「でもよぅ、バルカに行ったら元老院の奴等に見つかってマオが召集されちまうじゃねぇか?」
そう、今はマティアスが監視という形で同行しているがバルカに戻り元老院の手の者に囲まれたら逃れようがない。
しかしマティアスは自信満々にティトレイに向かって指を差した。
「その心配は無いわ!あんたらみたいなのを護衛に付けても何のメリットもないことは同行してみて良く分かったから報告しておいてあげる。むしろ、護衛に付けたほうが心配だわ」
ティトレイはその言葉に苛立ちを覚えたが拳を強く握り、こらえた。
「ふむ、ではバルカへ向かうか」
ユージーンが冷静に言うと一同は頷いた。
「そうと決まればますば港だな!また長い道のりだが、弱音吐くんじゃねぇぞ!」
ブライトは笑いながらフィオナの肩を叩いた。
「うっさいわね、私そんなに文句言わないわよ」
「フィオナって自分で言ってて自覚無いんだネ……」
マオがフィオナに聞こえないように呟いた後、一同は港に向かって出発した。
そして夕暮れ時に港へ着くと、いの一番に彼女は口を開いた。
「長い!!『パッと行く?』とか無いわけ!?」
それに対して待ってましたと言わんばかりに教師は歩み寄る。
「パッと着いたじゃねぇか」
「私達の歩く距離が変わってない!確かに文一行で着いたけど、その一行でどれだけ歩いたと思ってんの?バカでしょ!?」
フィオナの文句をブライトが面白がって聞く中、一同は最後の橋にさしかかった。
この橋を渡れば船の停留所へと行けるのだが、その橋を占領するかのように2人の男が立っていた。
「あいつら……」
ジークから見て右に立っている男は金髪の髪をしており、左の男は金髪の髪を更にモヒカンにしていた。
どちらもヒューマである。
「よぅジーク〜。またどこかにお出かけかい?」
金髪の男が不良の定番のような台詞を吐きながらジークに歩み寄り、モヒカンの男もツバをペッペペッペ吐きながら近付いて来た。
「そりゃ居づらいよなぁ、ここに居てもチャリティさんを殺した罪で延々問われ続けるんだもんなぁ」
台詞だけ聞けば同情しているように聞こえるが顔はニタ付いており、しかし憎しみの表情も見え隠れしていた。
「……で?」
ジークは眉をひそめながら問うが手からは黒いオーラが立ち込めていた。
いくら感情が高まろうとも本人の思い通りに使用できないフォルスがこの時ばかりは反応している。
その珍しさにヴェイグ達は見守っていたが、金髪の男が動いた。
「でも安心しろよ。俺達はフルぼっこにさせてくれれば許してやるからよぉ!!」
金髪の男は拳を振り上げながら駆け出し、拳を突き出す。
しかしそれはジークに背を向けたカインの手によって止められた。
「何かなカイン君、この手は?」
「お前等の相手なら僕で十分だ。面倒だから2人一緒においでよ」
カインは空いてる左手で挑発すると、モヒカンの男は木刀を片手で構えた。
「ヒャッハー!汚物は消毒だぁ!!」
世紀末のような事を叫びながら、2対1の戦闘が始まった。
が、ものの数秒で世紀末コンビはフルぼっこにされた。
「まっ、だてに世界滅亡とか企んでなかったってことだね」
「カインの勝ち台詞、あれで良いのかしら?」
パッパと手を払うカインを見ながらヒルダはユージーンに訪ねると彼は「う〜む……」と唸るだけだった。
「てめッ、カイン……。お前もチャリティさんを殺したジークを恨んでんじゃねぇのかよ……?」
「確かに恨んでたさ。でもジーク君はチャリティさんを殺してなんかいない。あれは事故だ」
「んなもん詭弁(きべん)じゃねぇか!」
「何とでも言えば良い。だけど、ジーク君に手を出すならまずは僕を倒せるようになってから出直してくることだね」
カインは何とか立ち上がろうとする世紀末コンビを見下しながら言うと、金髪の男は舌打ちをした。
「……今回は見逃してやる。だがな!覚えとけよジーク!この集落にはお前を恨んでいるやつはそこらじゅうにいる!せいぜい逃げ回るんだな!!」
「あばよ!!」
モヒカンの男が折れた木刀を投げ捨てると、2人はそそくさと夕日を背に走り去った。
「ジーク、大丈夫?」
「あぁ……」
マオの問いにジークはすっかりオーラが消え失せた両手を見つめながら短く応えた。
(逃げる……か)
「そろそろ出港時間みたいだし、船に乗らない?」
ジンが提案するのと同時に船員からまもなく出航するアナウンスが響き渡った。ヴェイグ達はチケットを購入し乗船しようとするが、そこへ見覚えのある鳥が飛んでくると、ゲートの上に止まった。
「ホッホゥ、何とか間に合ったわい」
飛んできたのは酋長のケナードであった。
「なんだ?ケナードさんも一緒に行くのか?」
「ホッホッ、そんな訳なかろう。ただの見送りじゃよ」
ケナードは微笑みながらティトレイに言った後、険しい表情をヴェイグ達に向けた。
「最近大陸でのバイラスの動きに乱れが見られる。しかもソレは日が経つに連れて増しているようじゃ。新月も近い、くれぐれも用心されよ」
新月とは満月とは真逆で月の光がまったく見えない状態をさす。
この国は代々『月』のフォルスを持つ家系の者が王だったためか、月の恩恵が届かない新月の日は不吉だと伝えられているようだ。
ちなみに昨晩はマティアスがボソっと呟いていたが半月であった。
「月か……」
ヴェイグはふとベルトに付けられているアクセサリーの水晶を手に取った。
この水晶は小さい頃河辺でクレアから誕生日プレゼントにともらったのだが、月の満ち欠けに応じて輝きを変えるという不思議な性質を持っている。
今その水晶も半分の輝きを放っていた。
「月なんざは気にしねぇが、一応覚えとくよ。サンキューな酋長!」
ブライトは腕を上げながら言い、ヴェイグ達も腕を振りながら船に乗船した。
すると、船は汽笛を鳴らして出発した。
船が出港して間もなく、相変わらず1人が落ち着くジークは甲板へと向かった。
すると甲板にはブライトがおり、ジークは歩み寄る。
「なぁ先生。俺、進めてんのかな?」
「なんだ?お前が質問してくるなんて珍しいな」
ブライトはジークの行動に笑いながら驚き、そこから少し離れた所にいるカインは聞き耳を立てた。
「大丈夫だ、お前はちゃんと自分の足で歩いて進んでるよ。ま、前か後ろかはお前の考え方次第だがな」
「そうか……」
ジークは安心したかのように少し笑みを浮かべた。
「なんにせよ、歩き続けることが大事ってことだな!」
「んなことは分かってんだよ」
ジークは昔から散々姉に言われ続けていたことを思い出しながら今度はカインの方へと向いた。
「それとカイン。ありがとな」
「いや僕はただ露払いをしただけで……」
カインを後ろ髪をかきながら歩み寄るが、ジークの顔は不機嫌なものへと変わった。
「それじゃねぇよ。お前が手を出さなくてもあんな奴等俺一人でどうにかなったんだよ」
「いや今のジーク君じゃ無理だよ。僕にだって勝てないじゃないか」
そう、あの時世紀末コンビをカインが止めたのはバイラスにも勝てず喧嘩にも滅法弱いジークがあの2人に勝てないと判断したからであった。
「だったら今試してみろよ」
「まぁ、ジーク君がケガしても僕が治すから構わないけど……」
そう言って2人はリストとグローブを装着した。
「待て待て待て!何を勝手にバトろうとしてんだ」
ファイティングポーズをとる2人の間にブライトが入る。
「別に弱いのはジークだけじゃねぇ。カインも、勿論俺だってヴェイグ達から見たら同じレベルなんだろうよ」
それを聞いてカインは何も言い返せなかった。
「だがそこら辺は俺に考えがある。2人とも船室に全員を集めてきな」
そう言ってブライトは先に船室へ向かうとジークとカインは渋々武器をしまい、仲間達を探しに向かった。
それから数分後、一同は船室に会した。
「全員いるな?」
ブライトは一度全体を見渡してから話を続けた。
「まずバルカ港の到着時間なんだが、今度は波に逆らって進むから明後日の明朝になる。そこでだ、この時間を利用して特訓をしようと思う」
「特訓とは、船の上でやるのか?」
「そりゃ俺達は海の上に立てねぇからな。なぁに、巨大イカがのしかかっても沈まなかったんだ。頑丈にできてんだろ」
ジーク達の故郷であるクインシェルに向かう時の怪獣大戦争を一同は思い出した。
「今日は流石に港までの道のりで疲れてるだろうからな。特訓は明日から始める。それと、勉強の方の特訓も明日から始めるから覚悟しとけよ?」
「「は?」」
勉強の特訓に、ジーク、ティトレイ、マオが反応した。
どうやらブライトは家に戻った際に色々と準備をしたらしく、黒板や教材といったものもアイテムバッグに入れてきたらしく他にも何か入れてきたらしい。
相変わらずどういう構造になっているのか気になるバッグである。
「ちょっと良いかしら?その特訓には私も参加するのかしら?」
ここで何故かヴェイグ一向に含まれていたマティアスが手を挙げるとブライトは眉を寄せた。
「お前が参加したら特訓にならないだろ。好きにしてろ」
「そうね、私も殺さない程度に手加減できるか自信ないもの」
マティアスは不適な笑みを浮かべながら部屋を出ていった。
「……まぁ、なんだ。話は以上だ。特訓の内容は明日話すから、今日はゆっくり休んでおけよ」
「特訓も良いけど、リノアさんのことは良いのかしら?」
ヒルダは壁に寄りかかりながら話を続ける。
「思念の影響で暴れた生徒は俺が何とかしとくみたいな事を言っておきながら何もしないで出てきたけど、それで良かったの?」
「その事なら心配いらねぇよ。さっきの2人を見ただろ?あいつらの矛先は種族じゃなくジークに向かってる。てことは思念の影響はそこまで出てないことが分かったからな。でなけりゃあと1週間は留まってただろうさ」
ブライトは大口を開けて笑うが、ヒルダは心配して損したと溜め息をついた。
こうして明日からのスケジュールが決まり各々は自由行動へと戻った。
夕日が海に沈み、半分に満たない月が1日の終わりを告げようとしていた。
〜続く〜
■作者メッセージ
【お返事to雷電さん&楽談パート2】
takeshi「ども〜!感想をいただいていたくせにかなりお久しぶりになってしまったtakeshiです。本当にすみません……。ちなみに今回はこいつらです」
サレ「なんか僕たちって本編に出ない分、レス返し要因として利用されてないかい?」
ギュナルス「それはけしからんな。そもそも、次に私が出る時はフィオナと共にという約束だったはずだが?」
takeshi「そんな古(いにしえ)時代の事は忘れました。そんな事より、感想ありがとうございました!!」
ギュナルス「ほう、こんな拙い構成でも原作を思い出すことができているのか」
takeshi「まぁ、そこら辺は否定しませんが……。でもなるべく、本当になるべくですが原作をプレイしたことない人も楽しんで読んでもらおうとしているので、嬉しいです!そして種族の問題はやはり永遠のテーマなので難しいですね」
サレ「僕はガジュマやハーフなんかよりラズベリーの方が好きだけどね」
ギュナルス「恋など実らせはせん……実らせはせんぞ!!」
takeshi「……ギュナルスさん、いい感じに楽屋裏キャラになってきましたね」
サレ「てゆうかさ、マティアスって本当は大した事ないんじゃないかい?僕もあの時ヒルダは死んだと思ったよ」
takeshi「最初の時は武器も装備していたので実力はかなり変わるのですが、マッティも半分トレーニング気分だったんじゃないですか?とりあえず書く側も大変なので気安く喧嘩を売ってほしくない相手ですね」
ギュナルス「作者は貴様だろうに……。だからオマケが主力になりつつあるのだ」
takeshi「良いじゃないですかオマケ。私も書いてて楽しいですよ?オマケ。流石にそろそろ片付けないとまずいですが……。更新頑張ります!」
サレ「ところで、本編に出てきたあのモヒカン君は何だい?」
takeshi「あれは完璧に私の趣味です。多分彼は暗殺拳をくらうとソゲブ!と叫びますね。そして私はこの場を利用して一言叫びたい。携帯からだと更新できないじゃないか!!はめられたよコンチクショウ!!」
サレ「はっはっはっは!今携帯しか使えない君はとっても滑稽だよ!!」
takeshi「一時帰宅の時に更新できたから良いものの、入院中の身にはキツイですよ・・・」
ギュナルス「とりあえず今回はここでお開きとしようではないか」
takeshi「そうですね。ではまた〜」
───おまけ───
シャーリィ「すごい……。光に包まれたと思ったら全然違う場所に着いちゃった」
メル「ここは?」
ロンドリーネ「テルカ・リュミレースという世界のダングレストという街よ。まっ、簡単に言えばヴェスペリアの世界だね」
カイル「なんか怖そうな人がたくさんいるけど、誰をスカウトするの?」
ロンドリーネ「あの子よ」
レイヴン「おっとお嬢さん、俺に何か要かな?話ならあそこの酒場でゆっくりと……」
ロンドリーネ「死ね」
エト「ぁあっ!見ず知ラずのおっさんの顔がつぶレたアンパンミたいになっちゃった!!」
カロル「ギャーー!!!レイヴンの顔がつぶれたアンパンみたいになってる!!一体誰にやられたの!?」
ロンドリーネ「この子が今回スカウトする子ね」
カイル「なんかデジャビュを感じるよ……」
カロル「え?スカウト?何の話?」
ロンドリーネ「君さ、ファミレスの店長とかやってみない?」
メル「ぇえっ!?この子が店長なの!?」
カロル「ぼ、ボクが店長……。できるかな?」
ロンドリーネ「大丈夫♪キミは延々とパフェを食べていれば良いだけだから!」
カロル「そうなの?でもそれはそれでなんか複雑だ……」
ロンドリーネ「ちなみにこれは勿論ギルドへの依頼として出すから報酬はこれだけ出すわ。ただし、参加するのはカロル1人だけという条件付きだけど」
カロル「え?報酬ってこれだけ?これじゃあユーリとジュディスに怒られちゃうよ」
ロンドリーネ「キミ、本当にギルドのリーダーなのよね……?お願い!キミだけにしか頼めないことなの!」
カロル「ボクにしかできない……。よく分からないけど分かったよ!ボクやるよ!!」
メル「ありがと〜!」
カイル「これからよろしくな!」
シャーリィ「ところでキミ、どこかで聞いた声な気がするんだけど……」
カロル「気のせいであります!それにしてもメル殿は小さいでありますな!」
メル「ちっちゃくないよッ!」
ロンドリーネ「(このメンツだと皆変わらないわね……)さて、今日はもう一件行くわよ!」
エト「今日は忙シイんだね」
ロンドリーネ「だってもう二期はとっくの昔に終わっているのよ!?今じゃ三期きぼんぬとかいう声も挙がってるし、もしかしたらもう三期が始まってる頃にこれを読んでる人がいるかもしれないわ!」
エト「ソレは仕方ないんじゃないかな……」
カロル「二期とか三期とかって何の話?」
メル「さぁ?」
カイル「ロディ、次の世界に行くんだろ?だったら早く行こうよ!次はどんな奴が仲間になるのか、俺ワクワクしてきたよ!」
ロンドリーネ「オッケー!そんじゃ、行くわよ!」
ロンドリーネがペンダントをオレンジ色の空に掲げると、4人と一匹は光に包まれた。
メル「あれ?光は消えたのに周りは真っ白だよ?」
ロンドリーネ「そういう部屋なんだよきっと。ちなみにここはオールドラントという世界のエルトラント、要するにアビスの世界よ」
カイル「アビスって……何でヴェスペリアの前に来なかったの?」
ロンドリーネ「ここでスカウトするのはオーナーなの。だからここが最後の方が色々都合が良かったって訳。で、あそこで正座してるおっさんがオーナー」
エト「一気に平均年齢が上がるね……」
ヴァン「話は聞かせてもらった。だが生憎私も成さねばなるのことがあるのでな。お引き取り願おうか」
カロル「そうだよね、ラスボスなんだからここで決着を着けないといけないよね」
ヴァン「レプリカ等が問題なのではない。奴等も今頃は第二超振動を手に入れサブイベントを消化しに行っている頃だろう。なに、当分はここを訪れることはないだろう。私が今最も成さねばならぬこと。それは聖杯戦争なのだ」
ロンドリーネ「はい、じゃあここにサインしたら持ち金全部準備してね」
ヴァン「何だと!?」
ロンドリーネ「あとマニュアルも渡しておくからさっさと目を通しておくこと。お店に着いたらさっさと開店するわよ」
ヴァン「待て!私の聖杯戦争はどうなる!?」
ロンドリーネ「はぁ?んなもん結果は遥か昔から分かってるでしょうが。分からないならステイナ○トでも見ておきなさい」
ヴァン「むぅ……。だが、スタッフがこのような女子供ばかりで果たしてうまくいくのか?」
ロンドリーネ「そう言われると思っていたわ。カモン!」
ガイ「ガイ様華麗に参上」
シャーリィ「キャッ」
カイル「どこから現れたんだ!?」
ロンドリーネ「彼には時空を越えて華麗に参上できるという特殊スキルがあるのよ」
カロル「そうなの!?」
ロンドリーネ「作者が今作った設定だけどね☆」
エト「何でもありだね」
ヴァン「ガイラルディア……こんなことをしていて貴公は良いのか?」
ガイ「仕方ないだろう。うまいこと言いくるめられちまったんだ。やると決めたらやってやるさ」
ロンドリーネ「ちなみに彼は男性恐怖症ならぬ女性恐怖症要因ね」
カロル「明らかに恋愛コメディとは無縁だね……」
シャーリィ「私はオーナーのことをオトーサンと呼べば良いのかな?」
ヴァン「お、お父……。私はまだそのような年ではないのだが……」
シャーリィ「じゃあギロr」
ヴァン「オトーサンで頼む!」
カロル「よろしくな!」
ヴァン「あ、あぁ……(怒鳴りたい衝動に駆られるのはなぜだ?)」
ロンドリーネ「さてと!これで全員揃ったことだし、私達の世界のガストに戻るわよ!」
ロンドリーネは再びペンダントを掲げ、光に包まれると警戒なBGMのかかるファミレスへと到着した。
テーブルは綺麗にならんでおり、奥には厨房やスタッフルームも用意されていた。
メル「ここが私達のお店……」
カロル「なんか緊張してきた……」
カイル「そう?俺はワクワクしてる!ていうかカロルはパフェ食べてるだけなんだから心配いらないって!」
カロル「そうなんだろうけど、何か悪い予感がするんだよね」
ロンドリーネ「さっ!着替えたら早速ワグナ○ア開店よ!」
エト「ワグナ○ア!?ガストじゃないの!?」
カロル「やっぱりそういう基準で選ばれてたんだ……」
シャーリィ「さ、着替えよ?メル」
メル「うん!」
こうしてメル達はワグナ○アの制服を身を包むと、ノリと勢いだけで始まったレストランが開店した。
〜続く〜
※捕捉※
ここまでで本来のメルの要望であったウェイトレスの制服を着るというのは叶いましたが、実はここからが本番だったりします。
おまけと楽談だけで本編並みに長くなってしまいましたが、誰にも怒られないので知ったことではありません。
怒られたらその時考えれば良いじゃなイカ!
ではまた〜
takeshi「ども〜!感想をいただいていたくせにかなりお久しぶりになってしまったtakeshiです。本当にすみません……。ちなみに今回はこいつらです」
サレ「なんか僕たちって本編に出ない分、レス返し要因として利用されてないかい?」
ギュナルス「それはけしからんな。そもそも、次に私が出る時はフィオナと共にという約束だったはずだが?」
takeshi「そんな古(いにしえ)時代の事は忘れました。そんな事より、感想ありがとうございました!!」
ギュナルス「ほう、こんな拙い構成でも原作を思い出すことができているのか」
takeshi「まぁ、そこら辺は否定しませんが……。でもなるべく、本当になるべくですが原作をプレイしたことない人も楽しんで読んでもらおうとしているので、嬉しいです!そして種族の問題はやはり永遠のテーマなので難しいですね」
サレ「僕はガジュマやハーフなんかよりラズベリーの方が好きだけどね」
ギュナルス「恋など実らせはせん……実らせはせんぞ!!」
takeshi「……ギュナルスさん、いい感じに楽屋裏キャラになってきましたね」
サレ「てゆうかさ、マティアスって本当は大した事ないんじゃないかい?僕もあの時ヒルダは死んだと思ったよ」
takeshi「最初の時は武器も装備していたので実力はかなり変わるのですが、マッティも半分トレーニング気分だったんじゃないですか?とりあえず書く側も大変なので気安く喧嘩を売ってほしくない相手ですね」
ギュナルス「作者は貴様だろうに……。だからオマケが主力になりつつあるのだ」
takeshi「良いじゃないですかオマケ。私も書いてて楽しいですよ?オマケ。流石にそろそろ片付けないとまずいですが……。更新頑張ります!」
サレ「ところで、本編に出てきたあのモヒカン君は何だい?」
takeshi「あれは完璧に私の趣味です。多分彼は暗殺拳をくらうとソゲブ!と叫びますね。そして私はこの場を利用して一言叫びたい。携帯からだと更新できないじゃないか!!はめられたよコンチクショウ!!」
サレ「はっはっはっは!今携帯しか使えない君はとっても滑稽だよ!!」
takeshi「一時帰宅の時に更新できたから良いものの、入院中の身にはキツイですよ・・・」
ギュナルス「とりあえず今回はここでお開きとしようではないか」
takeshi「そうですね。ではまた〜」
───おまけ───
シャーリィ「すごい……。光に包まれたと思ったら全然違う場所に着いちゃった」
メル「ここは?」
ロンドリーネ「テルカ・リュミレースという世界のダングレストという街よ。まっ、簡単に言えばヴェスペリアの世界だね」
カイル「なんか怖そうな人がたくさんいるけど、誰をスカウトするの?」
ロンドリーネ「あの子よ」
レイヴン「おっとお嬢さん、俺に何か要かな?話ならあそこの酒場でゆっくりと……」
ロンドリーネ「死ね」
エト「ぁあっ!見ず知ラずのおっさんの顔がつぶレたアンパンミたいになっちゃった!!」
カロル「ギャーー!!!レイヴンの顔がつぶれたアンパンみたいになってる!!一体誰にやられたの!?」
ロンドリーネ「この子が今回スカウトする子ね」
カイル「なんかデジャビュを感じるよ……」
カロル「え?スカウト?何の話?」
ロンドリーネ「君さ、ファミレスの店長とかやってみない?」
メル「ぇえっ!?この子が店長なの!?」
カロル「ぼ、ボクが店長……。できるかな?」
ロンドリーネ「大丈夫♪キミは延々とパフェを食べていれば良いだけだから!」
カロル「そうなの?でもそれはそれでなんか複雑だ……」
ロンドリーネ「ちなみにこれは勿論ギルドへの依頼として出すから報酬はこれだけ出すわ。ただし、参加するのはカロル1人だけという条件付きだけど」
カロル「え?報酬ってこれだけ?これじゃあユーリとジュディスに怒られちゃうよ」
ロンドリーネ「キミ、本当にギルドのリーダーなのよね……?お願い!キミだけにしか頼めないことなの!」
カロル「ボクにしかできない……。よく分からないけど分かったよ!ボクやるよ!!」
メル「ありがと〜!」
カイル「これからよろしくな!」
シャーリィ「ところでキミ、どこかで聞いた声な気がするんだけど……」
カロル「気のせいであります!それにしてもメル殿は小さいでありますな!」
メル「ちっちゃくないよッ!」
ロンドリーネ「(このメンツだと皆変わらないわね……)さて、今日はもう一件行くわよ!」
エト「今日は忙シイんだね」
ロンドリーネ「だってもう二期はとっくの昔に終わっているのよ!?今じゃ三期きぼんぬとかいう声も挙がってるし、もしかしたらもう三期が始まってる頃にこれを読んでる人がいるかもしれないわ!」
エト「ソレは仕方ないんじゃないかな……」
カロル「二期とか三期とかって何の話?」
メル「さぁ?」
カイル「ロディ、次の世界に行くんだろ?だったら早く行こうよ!次はどんな奴が仲間になるのか、俺ワクワクしてきたよ!」
ロンドリーネ「オッケー!そんじゃ、行くわよ!」
ロンドリーネがペンダントをオレンジ色の空に掲げると、4人と一匹は光に包まれた。
メル「あれ?光は消えたのに周りは真っ白だよ?」
ロンドリーネ「そういう部屋なんだよきっと。ちなみにここはオールドラントという世界のエルトラント、要するにアビスの世界よ」
カイル「アビスって……何でヴェスペリアの前に来なかったの?」
ロンドリーネ「ここでスカウトするのはオーナーなの。だからここが最後の方が色々都合が良かったって訳。で、あそこで正座してるおっさんがオーナー」
エト「一気に平均年齢が上がるね……」
ヴァン「話は聞かせてもらった。だが生憎私も成さねばなるのことがあるのでな。お引き取り願おうか」
カロル「そうだよね、ラスボスなんだからここで決着を着けないといけないよね」
ヴァン「レプリカ等が問題なのではない。奴等も今頃は第二超振動を手に入れサブイベントを消化しに行っている頃だろう。なに、当分はここを訪れることはないだろう。私が今最も成さねばならぬこと。それは聖杯戦争なのだ」
ロンドリーネ「はい、じゃあここにサインしたら持ち金全部準備してね」
ヴァン「何だと!?」
ロンドリーネ「あとマニュアルも渡しておくからさっさと目を通しておくこと。お店に着いたらさっさと開店するわよ」
ヴァン「待て!私の聖杯戦争はどうなる!?」
ロンドリーネ「はぁ?んなもん結果は遥か昔から分かってるでしょうが。分からないならステイナ○トでも見ておきなさい」
ヴァン「むぅ……。だが、スタッフがこのような女子供ばかりで果たしてうまくいくのか?」
ロンドリーネ「そう言われると思っていたわ。カモン!」
ガイ「ガイ様華麗に参上」
シャーリィ「キャッ」
カイル「どこから現れたんだ!?」
ロンドリーネ「彼には時空を越えて華麗に参上できるという特殊スキルがあるのよ」
カロル「そうなの!?」
ロンドリーネ「作者が今作った設定だけどね☆」
エト「何でもありだね」
ヴァン「ガイラルディア……こんなことをしていて貴公は良いのか?」
ガイ「仕方ないだろう。うまいこと言いくるめられちまったんだ。やると決めたらやってやるさ」
ロンドリーネ「ちなみに彼は男性恐怖症ならぬ女性恐怖症要因ね」
カロル「明らかに恋愛コメディとは無縁だね……」
シャーリィ「私はオーナーのことをオトーサンと呼べば良いのかな?」
ヴァン「お、お父……。私はまだそのような年ではないのだが……」
シャーリィ「じゃあギロr」
ヴァン「オトーサンで頼む!」
カロル「よろしくな!」
ヴァン「あ、あぁ……(怒鳴りたい衝動に駆られるのはなぜだ?)」
ロンドリーネ「さてと!これで全員揃ったことだし、私達の世界のガストに戻るわよ!」
ロンドリーネは再びペンダントを掲げ、光に包まれると警戒なBGMのかかるファミレスへと到着した。
テーブルは綺麗にならんでおり、奥には厨房やスタッフルームも用意されていた。
メル「ここが私達のお店……」
カロル「なんか緊張してきた……」
カイル「そう?俺はワクワクしてる!ていうかカロルはパフェ食べてるだけなんだから心配いらないって!」
カロル「そうなんだろうけど、何か悪い予感がするんだよね」
ロンドリーネ「さっ!着替えたら早速ワグナ○ア開店よ!」
エト「ワグナ○ア!?ガストじゃないの!?」
カロル「やっぱりそういう基準で選ばれてたんだ……」
シャーリィ「さ、着替えよ?メル」
メル「うん!」
こうしてメル達はワグナ○アの制服を身を包むと、ノリと勢いだけで始まったレストランが開店した。
〜続く〜
※捕捉※
ここまでで本来のメルの要望であったウェイトレスの制服を着るというのは叶いましたが、実はここからが本番だったりします。
おまけと楽談だけで本編並みに長くなってしまいましたが、誰にも怒られないので知ったことではありません。
怒られたらその時考えれば良いじゃなイカ!
ではまた〜