第18話『朝と特訓』
翌朝、大剣といった各々の武器を携えたヴェイグ達は船の甲板に集合した。
長距離用の大型船なだけあり木製の甲板は100m四方はある。
空を見上げると一面の青空が広がっており海面はギラつく太陽の光を反射し宝石のように輝いていた。
「気分悪いわね……」
冒頭の描写を台無しにしたヒルダの顔は眼下に広がる海に負けず劣らず青ざめていた。
「ヒルダ……一応訊くが船酔いと酒酔いのどっちだ?」
「そうね、両方……かしら」
呆れるユージーンの問いに対しヒルダは口元を抑えながら答える。
「お前、うちであれだけ飲んでおいてまた飲んだのかよ?」
「うるさいわね。船の上で飲むお酒はまた別なのよ」
「そういや、ミナールで初めて会った時も二日酔いだったよな?」
ジークはカインを止めるために仲間集めをしていた時、ヒルダがミナールに診療所を構えるアニーに二日酔いに効く薬をもらいに来ていたことを思い出した。
「ヒルダってお酒弱いの?」
「いえ、ヒルダさんの場合雰囲気に酔ってしまうのが大きな原因だと思うんです。ほら、ヒルダさんって何かと格好付けたがるじゃないですか」
「あぁ確かに。たまに勝ち台詞で何言ってるか分からねぇ時があるもんな!」
「え?ティトレイ知らないの?あれは古代カレギア語なんだヨ?」
「そう俺が教えたんだったな」
「あんたら……ぶつよ?」
「ちなみにチャンポン飲みという飲み方をすると酔いやすいって言いますけど、あれは味が変わるから飽きずに飲み過ぎてしまうだけで同じ種類のお酒を同量飲んだ時と酔い加減は変わらないんですよ」
「チャンポンって何?鍋?」
「この場では違う種類のお酒を気の向くままに飲むことをチャンポンと言うのよ。まぁ、少なくとも私はそんな飲み方はしないわね」
「チャンポンでは無くてもそこまで酔っていては世話ないな」
「そういうヴェイグはまだお酒を飲まないのね。寒い地方では体を温めるために好んで飲まれると聞いたことがあるわ」
「俺はポプラおばさんのピーチパイがあれば十分だ。勿論クレアが作るものも絶品だ」
「確かにあれは上手かったな」
「ジークあんた食べたの!?じゃあ作りなさいよ!」
「あれは無理だな。昔クインシェルにレシピが流れ着いたとかで食べてみたけど全く別物だった」
「フィオナもスールズに来てみると良い。何も無いところだがクレアも喜ぶだろう」
「その時は俺も行く」
「何でジークも行くのよ?招待されたのは私だし、そもそもあんた寒い所苦手じゃなかった?」
「れ、レシピを盗みに行くんだよ文句あんのか?」
ふと、ジークはブライトを見た。
というより視界に入ってしまった。
無駄話ばかりが進み、全く本題に入ろうとしない現状に怒りの表情を浮かべるブライトがグラビティの詠唱に入っていた。
「特訓……するか」
ジークに言われて気付いたのか他の面々もわざとらしく大袈裟に準備体操を始めた。
「ったく、気付くのがおせぇんだよ」
ブライトはため息を吐きながら詠唱を中断し、腰に手を当てた。
「特訓の内容を今から説明するから、よく聞くように」
低いが全体に良く響き渡る声は教室でよく聞いていた先生の声だった。
「まずは4人ずつ3チームに分ける。そしてチーム内で2対2の模擬戦闘を行う。戦闘の経験において実戦にかなうものはないからな、これが特訓内容だ」
そして、ブライトからチームの振り分けが発表され、便宜上A・B・Cというチーム名が振られた。
【Aチーム】
ヴェイグ・アニー・ジン・ルル
【Bチーム】
ユージーン・マオ・フィオナ・ブライト
【Cチーム】
ティトレイ・ヒルダ・ジーク・カイン
この3チームの中で更に2人でタッグを組む。
だがそのタッグも任意で選べる訳ではない。
そもそもチーム分けの時点でブライトがアミダクジ等で適当に決めたのではなく、きちんとした理由に基づいて振り分けたのだ。
したがって既に組むべきタッグも決まっている。
「なるほどな。俺とカインが組んでティトレイをボコボコにすれば良いわけか」
そう、各チームには2人ずつ英雄が組み込まれている。
なので残りの2人がタッグを組み、かつてユリスを倒した英雄2人に実戦を交えた特訓を行おうというのが今回の趣旨なのである。
「やれるもんならやってみろジーク!」
こうして12人は3チームに分かれて特訓を開始した。
【Aチーム】
「これだけ離れれば大丈夫だろう」
まずヴェイグ達を含め3チームはチーム間との距離をとり、他のチームのユージーンやジークが米粒程度に見える程度に離れた。
「これはさすがに大袈裟じゃない?」
ジンは米と化した兄を見ながら言うが、ヴェイグは首を横に振った。
「マオやヒルダの導術に巻き込まれたら特訓どころの話ではない」
「流れ弾でも油断できないんですよ?」
幾多の死闘を共にくぐり抜けてきた2人が言うのだから間違いないのだろう。
そして、熟知しているからこそこの距離が安全圏だと分かる。
「言っとくけど、手加減したら許さないからね!」
ルルとジンは如意棒と剣をそれぞれ構える。
「当然だ。ブライトにまた説教されるのはごめんだからな」
ヴェイグとアニーも大剣と杖を構える。
ヴェイグが大剣を抜いた刹那、体感温度が2、3度下がったように感じた。
冷気を纏った大剣がヴェイグの真剣さを物語っている。
「いきます!」
まず先手を取ったのはアニーだった。
ルルとジンも既に駆け出していたが10mの距離を詰める間にアニーが陣を書き終えた。
「レジスト・ヴィレ」
アニーを中心に緑色の円陣が浮かび上がると輪の中に含まれるヴェイグの術防御力が上昇した。
(攻撃力じゃない……?)
ヴェイグの攻撃力を強化し一気に片を付けてくると予想していたジンは不信感を抱きつつもルルと同時にヴェイグの懐に入る。
一方のヴェイグは円陣から離れては意味が無いため一歩も動かず待ち構えていた。
「瞬刃剣!」
「蒼翔閃!」
まずはジンが剣を突き出す。
しかしその剣は空を切るだけだった。
ヴェイグは一歩後退しているが片手で大剣を振り切る体勢に入っていた。
「無影衝!」
ルルが跳ねるのと同時にヴェイグは踏み込み、冷気を纏った大剣を横凪ぎに振り切った。
その軌道をなぞるかのように大気は凍り、ジンはその冷気に斬られた。
その衝激により後方へ吹き飛ばされたジンは何とか剣を杖にして立ち上がるが大剣によって斬られた痛みなのか冷気の衝撃によるものなのか判断のつかない痛みが脇腹を走った。
一方上空に跳躍したルルは如意棒を巨大化させ重力と重量に任せて振り下ろす。
巨大な影がヴェイグとアニーを覆い、最早壁となった如意棒が2人を襲うがヴェイグは表情を変えずにただ大剣を横に構えた。
そして如意棒と大剣が衝突するとヴェイグの体に衝撃が襲い、曲げた両膝で衝撃を吸収しようとするが木製の足元がミシミシと音を立てて亀裂が入っていく。
だがヴェイグは身の丈の3倍はあろう如意棒を受け止めた。
「ぇえっ!?」
必殺の一撃を受け止められたルルは如意棒にぶらさがるような形になりながら驚嘆した。
ルルの計算ではヴェイグが如意棒を避けたところでそのままアニーを潰すか、あわよくばヴェイグもろともぺちゃんこにするつもりだったのだが、予想外の展開に頭が真っ白になってしまった。
ルルは如意棒の大きさを元に戻し着地するが次の手が分からない。
するとルルの背後から詠唱の声が聞こえた。
「弾け。セイントバブル!」
脇腹をおさえながら詠唱を終えたジンは更に駆け出した。
アニーには最初からこの展開が読めていたのだろう。
ヴェイグはガードすることもなく足元に広がる水泡に手を突っ込むと瞬時に水溜まりをスケートリンクに変えてみせた。
しかもヴェイグはアニーのおかげで術防御力が上がっているため大したダメージはない。
緑色の円陣が消えるとアニーは次の円陣を瞬時に描く。
「お願いします。パワー・クラフト!」
この円陣の変化は2人の攻守転換を意味していた。
更にこの円陣は術者を追尾する効果もあるらしくヴェイグ、アニーが走りだすとオレンジの円陣もそのあとを追った。
(手加減はしない。それが約束だからな)
ヴェイグはティトレイに顔面パンチをもらっているジークを視界の端に捉えながらルルの目の前で大剣を振り上げる。
ルルは咄嗟にガードするが紙切れのように後ろへ弾かれてしまう。
そしてヴェイグは更に一歩踏み込み、振り下ろした下段の構えの大剣を振り上げる。
しかしそこへジンが割り込むと剣で防御するが凄まじい衝撃が柄を握る両手に走り力が入らなくなると剣は大空高く舞ってしまった。
(しまった!)
武器を失ったジンにヴェイグの攻撃を防ぐ術(すべ)はない。
「瞬刃槍ッ!」
絶体絶命の兄の後ろから鋭い一撃が伸びた。
先ほどまで頭が回らずしりもちまでついていたため体勢はめちゃくちゃであったがルルが伸ばした如意棒は瞬時にヴェイグの脇を抜け、アニーの肩を弾いた。
「きゃっ!」
術者がダメージを負ったことにより円陣が消え、ヴェイグがアニーに気をとられている間にジンは跳躍して剣を掴むと着地と同時にアニーへ斬り付けた。
「させるか!」
ヴェイグも大剣を横凪ぎに振るとジンの剣の軌道は逸れた。
そこへ今度はルルがヴェイグの懐に入り鳩尾を目がけて突きをくりだす。
ヴェイグはそれを更にさばくがジンも剣を斜めに振り下ろし、それを大剣で受けとめる。
ルルはそこへ更に突きを入れるがヴェイグのガードは崩れない。
しかしそれでも2人は何とかアニーに一撃加えようと目の前のヴェイグに攻撃を加え続けた。
最早作戦も何も無い。
ただがむしゃらに攻め続けることしか考えられなかった。
ヴェイグの凍気により異常なまでに体を動かしているのにもかかわらず体の温度は徐々に奪われ動きのキレも悪くなっていくように感じた。
長期戦に持ち込めばジン達が圧倒的に不利である。
それでもヴェイグは攻撃に転じる隙を見つけることができず顔をしかめていた。
〜続く〜
長距離用の大型船なだけあり木製の甲板は100m四方はある。
空を見上げると一面の青空が広がっており海面はギラつく太陽の光を反射し宝石のように輝いていた。
「気分悪いわね……」
冒頭の描写を台無しにしたヒルダの顔は眼下に広がる海に負けず劣らず青ざめていた。
「ヒルダ……一応訊くが船酔いと酒酔いのどっちだ?」
「そうね、両方……かしら」
呆れるユージーンの問いに対しヒルダは口元を抑えながら答える。
「お前、うちであれだけ飲んでおいてまた飲んだのかよ?」
「うるさいわね。船の上で飲むお酒はまた別なのよ」
「そういや、ミナールで初めて会った時も二日酔いだったよな?」
ジークはカインを止めるために仲間集めをしていた時、ヒルダがミナールに診療所を構えるアニーに二日酔いに効く薬をもらいに来ていたことを思い出した。
「ヒルダってお酒弱いの?」
「いえ、ヒルダさんの場合雰囲気に酔ってしまうのが大きな原因だと思うんです。ほら、ヒルダさんって何かと格好付けたがるじゃないですか」
「あぁ確かに。たまに勝ち台詞で何言ってるか分からねぇ時があるもんな!」
「え?ティトレイ知らないの?あれは古代カレギア語なんだヨ?」
「そう俺が教えたんだったな」
「あんたら……ぶつよ?」
「ちなみにチャンポン飲みという飲み方をすると酔いやすいって言いますけど、あれは味が変わるから飽きずに飲み過ぎてしまうだけで同じ種類のお酒を同量飲んだ時と酔い加減は変わらないんですよ」
「チャンポンって何?鍋?」
「この場では違う種類のお酒を気の向くままに飲むことをチャンポンと言うのよ。まぁ、少なくとも私はそんな飲み方はしないわね」
「チャンポンでは無くてもそこまで酔っていては世話ないな」
「そういうヴェイグはまだお酒を飲まないのね。寒い地方では体を温めるために好んで飲まれると聞いたことがあるわ」
「俺はポプラおばさんのピーチパイがあれば十分だ。勿論クレアが作るものも絶品だ」
「確かにあれは上手かったな」
「ジークあんた食べたの!?じゃあ作りなさいよ!」
「あれは無理だな。昔クインシェルにレシピが流れ着いたとかで食べてみたけど全く別物だった」
「フィオナもスールズに来てみると良い。何も無いところだがクレアも喜ぶだろう」
「その時は俺も行く」
「何でジークも行くのよ?招待されたのは私だし、そもそもあんた寒い所苦手じゃなかった?」
「れ、レシピを盗みに行くんだよ文句あんのか?」
ふと、ジークはブライトを見た。
というより視界に入ってしまった。
無駄話ばかりが進み、全く本題に入ろうとしない現状に怒りの表情を浮かべるブライトがグラビティの詠唱に入っていた。
「特訓……するか」
ジークに言われて気付いたのか他の面々もわざとらしく大袈裟に準備体操を始めた。
「ったく、気付くのがおせぇんだよ」
ブライトはため息を吐きながら詠唱を中断し、腰に手を当てた。
「特訓の内容を今から説明するから、よく聞くように」
低いが全体に良く響き渡る声は教室でよく聞いていた先生の声だった。
「まずは4人ずつ3チームに分ける。そしてチーム内で2対2の模擬戦闘を行う。戦闘の経験において実戦にかなうものはないからな、これが特訓内容だ」
そして、ブライトからチームの振り分けが発表され、便宜上A・B・Cというチーム名が振られた。
【Aチーム】
ヴェイグ・アニー・ジン・ルル
【Bチーム】
ユージーン・マオ・フィオナ・ブライト
【Cチーム】
ティトレイ・ヒルダ・ジーク・カイン
この3チームの中で更に2人でタッグを組む。
だがそのタッグも任意で選べる訳ではない。
そもそもチーム分けの時点でブライトがアミダクジ等で適当に決めたのではなく、きちんとした理由に基づいて振り分けたのだ。
したがって既に組むべきタッグも決まっている。
「なるほどな。俺とカインが組んでティトレイをボコボコにすれば良いわけか」
そう、各チームには2人ずつ英雄が組み込まれている。
なので残りの2人がタッグを組み、かつてユリスを倒した英雄2人に実戦を交えた特訓を行おうというのが今回の趣旨なのである。
「やれるもんならやってみろジーク!」
こうして12人は3チームに分かれて特訓を開始した。
【Aチーム】
「これだけ離れれば大丈夫だろう」
まずヴェイグ達を含め3チームはチーム間との距離をとり、他のチームのユージーンやジークが米粒程度に見える程度に離れた。
「これはさすがに大袈裟じゃない?」
ジンは米と化した兄を見ながら言うが、ヴェイグは首を横に振った。
「マオやヒルダの導術に巻き込まれたら特訓どころの話ではない」
「流れ弾でも油断できないんですよ?」
幾多の死闘を共にくぐり抜けてきた2人が言うのだから間違いないのだろう。
そして、熟知しているからこそこの距離が安全圏だと分かる。
「言っとくけど、手加減したら許さないからね!」
ルルとジンは如意棒と剣をそれぞれ構える。
「当然だ。ブライトにまた説教されるのはごめんだからな」
ヴェイグとアニーも大剣と杖を構える。
ヴェイグが大剣を抜いた刹那、体感温度が2、3度下がったように感じた。
冷気を纏った大剣がヴェイグの真剣さを物語っている。
「いきます!」
まず先手を取ったのはアニーだった。
ルルとジンも既に駆け出していたが10mの距離を詰める間にアニーが陣を書き終えた。
「レジスト・ヴィレ」
アニーを中心に緑色の円陣が浮かび上がると輪の中に含まれるヴェイグの術防御力が上昇した。
(攻撃力じゃない……?)
ヴェイグの攻撃力を強化し一気に片を付けてくると予想していたジンは不信感を抱きつつもルルと同時にヴェイグの懐に入る。
一方のヴェイグは円陣から離れては意味が無いため一歩も動かず待ち構えていた。
「瞬刃剣!」
「蒼翔閃!」
まずはジンが剣を突き出す。
しかしその剣は空を切るだけだった。
ヴェイグは一歩後退しているが片手で大剣を振り切る体勢に入っていた。
「無影衝!」
ルルが跳ねるのと同時にヴェイグは踏み込み、冷気を纏った大剣を横凪ぎに振り切った。
その軌道をなぞるかのように大気は凍り、ジンはその冷気に斬られた。
その衝激により後方へ吹き飛ばされたジンは何とか剣を杖にして立ち上がるが大剣によって斬られた痛みなのか冷気の衝撃によるものなのか判断のつかない痛みが脇腹を走った。
一方上空に跳躍したルルは如意棒を巨大化させ重力と重量に任せて振り下ろす。
巨大な影がヴェイグとアニーを覆い、最早壁となった如意棒が2人を襲うがヴェイグは表情を変えずにただ大剣を横に構えた。
そして如意棒と大剣が衝突するとヴェイグの体に衝撃が襲い、曲げた両膝で衝撃を吸収しようとするが木製の足元がミシミシと音を立てて亀裂が入っていく。
だがヴェイグは身の丈の3倍はあろう如意棒を受け止めた。
「ぇえっ!?」
必殺の一撃を受け止められたルルは如意棒にぶらさがるような形になりながら驚嘆した。
ルルの計算ではヴェイグが如意棒を避けたところでそのままアニーを潰すか、あわよくばヴェイグもろともぺちゃんこにするつもりだったのだが、予想外の展開に頭が真っ白になってしまった。
ルルは如意棒の大きさを元に戻し着地するが次の手が分からない。
するとルルの背後から詠唱の声が聞こえた。
「弾け。セイントバブル!」
脇腹をおさえながら詠唱を終えたジンは更に駆け出した。
アニーには最初からこの展開が読めていたのだろう。
ヴェイグはガードすることもなく足元に広がる水泡に手を突っ込むと瞬時に水溜まりをスケートリンクに変えてみせた。
しかもヴェイグはアニーのおかげで術防御力が上がっているため大したダメージはない。
緑色の円陣が消えるとアニーは次の円陣を瞬時に描く。
「お願いします。パワー・クラフト!」
この円陣の変化は2人の攻守転換を意味していた。
更にこの円陣は術者を追尾する効果もあるらしくヴェイグ、アニーが走りだすとオレンジの円陣もそのあとを追った。
(手加減はしない。それが約束だからな)
ヴェイグはティトレイに顔面パンチをもらっているジークを視界の端に捉えながらルルの目の前で大剣を振り上げる。
ルルは咄嗟にガードするが紙切れのように後ろへ弾かれてしまう。
そしてヴェイグは更に一歩踏み込み、振り下ろした下段の構えの大剣を振り上げる。
しかしそこへジンが割り込むと剣で防御するが凄まじい衝撃が柄を握る両手に走り力が入らなくなると剣は大空高く舞ってしまった。
(しまった!)
武器を失ったジンにヴェイグの攻撃を防ぐ術(すべ)はない。
「瞬刃槍ッ!」
絶体絶命の兄の後ろから鋭い一撃が伸びた。
先ほどまで頭が回らずしりもちまでついていたため体勢はめちゃくちゃであったがルルが伸ばした如意棒は瞬時にヴェイグの脇を抜け、アニーの肩を弾いた。
「きゃっ!」
術者がダメージを負ったことにより円陣が消え、ヴェイグがアニーに気をとられている間にジンは跳躍して剣を掴むと着地と同時にアニーへ斬り付けた。
「させるか!」
ヴェイグも大剣を横凪ぎに振るとジンの剣の軌道は逸れた。
そこへ今度はルルがヴェイグの懐に入り鳩尾を目がけて突きをくりだす。
ヴェイグはそれを更にさばくがジンも剣を斜めに振り下ろし、それを大剣で受けとめる。
ルルはそこへ更に突きを入れるがヴェイグのガードは崩れない。
しかしそれでも2人は何とかアニーに一撃加えようと目の前のヴェイグに攻撃を加え続けた。
最早作戦も何も無い。
ただがむしゃらに攻め続けることしか考えられなかった。
ヴェイグの凍気により異常なまでに体を動かしているのにもかかわらず体の温度は徐々に奪われ動きのキレも悪くなっていくように感じた。
長期戦に持ち込めばジン達が圧倒的に不利である。
それでもヴェイグは攻撃に転じる隙を見つけることができず顔をしかめていた。
〜続く〜
■作者メッセージ
【お返事toライズさん&楽談パート3】
takeshi「ども〜!最近失恋祭りが開催されたせいで身も心もライフが0のtakeshiです。そんな今回はこやつらです」
ユリス「不幸は蜜の味だな」
ジルバ「その調子で負のエネルギーを出し続けるが良いさ!」
takeshi「そんなこんなでライズさん初めまして!感想ありがとうございます」
ユリス「感動しただと?世紀末にか?」
takeshi「いやストーリー全体を通してでしょ!私には勿体ない評価です。本当にありがとうございます」
ジルバ「貴様は社交辞令という言葉を知らないのか?」
takeshi「なんかこの2人だと楽しくないのは何故?しかし頑張りモス!」
ユリス「楽しくないのはお前の勝手だが、今回の冒頭の無駄話は何だ?」
takeshi「あれは俗に言うスキットのようなものです。まぁ、ただ単に私が雑談をさせたかっただけなんですけどね?そのせいでAチームの描写しかできませんでしたが、いつか丸々1話雑談で埋め尽くしてみたいものです♪」
ジルバ「少しは身の程をわきまえるんだね」
ユリス「お前もな」
takeshi「いや〜、ホントこのメンツだとまとまらない……。ではまた〜」
―――おまけ―――
エトス「あっ、早速お客さんが来たミたいだよ?」
メル「い、いらっしゃいませー!!」
クレス「うわぁっ!メル、どうしたんだいその格好は?」
メル「ク、クレスさん!?」
ミント「素敵なお洋服ですね。これもなりきり士のお仕事ですか?」
メル「はい。今回はウェイトレスなんです」
チェスター「なん……だと!?メイドさんじゃねぇのか?」
クラース「そんなに驚くところではないだろう……。それより我々はアーチェを……」
ロンドリーネ「ファンタジアの席はあっちよ。メルちゃん、案内してあげて」
クラース「いや私達は客ではなくてだなぁ!」
メル「五名様ご案内で〜す」
ロンドリーネ「さて、お次は誰かしら?」
スタン「うちのカイルを誘拐したのはこの店か!?返してもらうぞ!」
カイル「父さん!?」
ナナリー「あたし達もいるよ」
ロニ「無事かカイル!?潰れたアンパンにされてないか!?」
カイル「ロニじゃないんだからされないよ」
ディムロス『なん……だと!?』
エトス「ソレ流行ってるの?」
ハロルド「ちなみにソーディアン達には特殊なマイクを付けておいたから誰でも声が聞こえるわよ」
ロンドリーネ「んじゃま、デスティニーの席はあっちだから。カイル、案内よろしく☆」
シャーリィ「すごい。お客さんがいっぱいだね」
ロンドリーネ「こんなのまだまだ序の口よん♪」
リッド「綺羅星☆」
カイル&シャーリィ「「綺羅星☆」」
エトス「何か変なのが来た!!」
ファラ「も〜リッド。その変な挨拶やめなよ」
チャット「一緒にいるこっちが恥ずかしいですよ」
リッド「んなことどうだって良いだろ?それより、ただで飯が食えるって本当なんだろうな?」
シャーリィ「え?」
ロンドリーネ「何組かのお客には招待状を送っておいたの。だからホントだよ?」
リッド「ィイイッヤッホー!!」
シャーリィ「じゃあこの人達は私が案内するね」
フォッグ「おぅ!6名だ!」
キール「……だからどうした?」
ルーティ「カイルが不良に……」
スタン「今はあぁいうのが流行ってるんじゃないか?」
ウッドロウ「なん……だと!?」
リオン「それはもう良いだろう」
ロイド「リフィル先生はどこだ!?」
エトス「次のお客さんかな?」
ロイド「リフィル先生がここにいるのは分かってるんだ!居場所を教えろ!」
メル「いらっしゃいませ。お席に案内しますね」
ロイド「なん……だと!?」
マルタ「完全に無視されちゃってるね」
エミル「とりあえず11名です」
ロンドリーネ「シンフォニアはあっちね」
プレセア「綺羅星」
リッド&カイル&シャーリィ「「綺羅星☆」」
エトス「だから何ソレ?」
ヴェイグ「ここがガスト、もとい、ワグ○リアか」
カイル「いらっしゃい!て、ちょっとお客さんペットを入れちゃだめだよ」
ユージーン「ペットとは俺のことか?」
ヴェイグ「貴様……。ペットとか人間とか関係無い。みんな同じヒトだろう。邪気眼が開眼していようと邪王炎殺黒龍波だろうがピーチパイを食べて美味いと感じる心に違いはない。それがなぜ分からない?クレア、お前からも一言いってやってくれ」
クレア「え?私?えぇっと、彼は私達の仲間なの。だから大目に見てもらえないかしら?」
カイル「いいやダメだ!まず美しくない!」
ヴェイグ「なん……だと!?」
ユージーン「身だしなみには自信があるのだがな」
カイル「はっ、エトスの霊圧が消えた!?」
エトス「ボクなラここにいるよ?」
カイル「まぁいいや!仲間なら仕方ない。席に案内してあげるよ」
セネル「シャーリィ!!シャーリィはどこだ!?迎えに来たぞシャーリィ!!ステラァアアアア!!!」
クロエ「なぜ最後にステラさんの名前を叫ぶんだ?」
ウィル「恐らく今のセネルは傷付いた白い野獣病なのだろう。そっとしといてやれ」
ジェイ「そんな病気聞いたことがありませんよ……」
カロル「なんか変なお客さんが多いけど、この店大丈夫なのかな?」
シャーリィ「綺羅星!」
セネル「綺羅星☆」
ノーマ「あり?リッちゃん何その格好?コスプレ?」
シャーリィ「いろいろあって今アルバイトしてるんだよ?とりあえず席に案内するね」
ジェイ「ていうかセネルさんを黙らせたあの言葉は何なんですか?そしてモーゼスさんはなぜギートと一緒に入ろうとしているんですか?」
モーゼス「あ?」
ガイ「悪いがペット禁制なんでね」
モーゼス「ギートはペットと違う!ワイの家族じゃ!」
ガイ「よくいるんだよな〜。うちのブウサギのネフリーは家族の一員だとか言うペット愛好家が」
モーゼス「じゃからギートはペットと違う言うとるじゃろうが!豹のおっさんが入れてギートが入れんっちゅうのは納得いかん!」
コレット「わぁ〜可愛いワンちゃんだね!カトリーナおいで〜」
モーゼス「おかしな名前付けんな!」
ガイ「あの旦那は二本足で歩いてるんだ、少なくとも家畜ではないだろう。それとも、オタクのカトリーナは二足歩行ができるっていうのかい?」
モーゼス「誰がカトリーナじゃ!ようは二本足で立てればえぇ話じゃろ!?ギート、チンチ……」
ガイ「獅子戦吼!!」
モーゼス「ギートォオオオオ!!!」
セネル「うるさいぞモーゼス。早く席に移動するぞ」
モーゼス「じゃがギートが!!」
ジェイ「セネルさんに諭された時点でモーゼスさんの負けですよ。それにギートなら外で大きな犬のような動物と遊ばせておけば大丈夫でしょう」
エトス「メル〜。またお客さんが来たよ」
メル「は〜い!」
ルーク「おい!ガイはどこだよ!?俺はガイのご主人だぞ!?さっさと返しやがれ!!」
ガイ「ルーク!お前、いつの間に髪伸ばしたんだ!?」
ジェイド「あぁ、これはカツラですよ。ちなみにこれをとると……」
ルーク「ガイこんなところにいたのかよ。急にいなくなるからみんな心配したんだぞ?」
アニス「長髪モードから短髪モードに早変わりってわけ!」
ティア「2人とも、ルークをおもちゃにするのはやめて!」
ガイ「まぁまぁ、折角来たんだ。何か食べていってくれよ。そうすればあいつも喜ぶからさ」
ルーク「あいつ?あいつって誰だよ?」
ガイ「カイル。悪いがこいつらをあそこの席に案内してやってくれ」
カイル「分かった」
ティア「綺羅星!」
カイル「綺羅星☆」
エトス「だかラソレ何!?」
ガイ「で?次の客もペット連れか」
ユーリ「あ?俺達は客じゃねぇよ。それと、ラピードをペット扱いすると痛い目見るぜ?」
コレット「またワンちゃんだ〜♪テリ〜、てんこ盛りお食べ〜」
ラピード「バウ!」
リタ「懐いてるわね」
ジュディス「ラピードってバトルウルフだったのね」
ユーリ「ちげぇよ。てか、テリーって誰だよ?」
レイヴン「まぁまぁ細かい事は良いじゃないのよ青年。カロル君を連れて帰るのは飯食べてからでもできるっしょ?」
ユーリ「おっさんは飯じゃなくて女目当てだろ?」
レイヴン「ま〜ね〜」
パティ「聞いたことがあるのじゃ。恋仲になったばかりの男女はふぁみれすに行くことが多いと。つまりこれはでーとというやつじゃなユーリ!?」
ユーリ「もう好きにしろよ。ただし、ラピードも入れてもらうぜ?」
ガイ「まぁ……バトルウルフなら仕方ないな」
ユーリ「どんな理由だよ?」
メル「ねぇロディ。テーブルがあと2つしか空いてないけど大丈夫かな?」
ロンドリーネ「大丈夫だよ。招待状はあと二組にしか送ってないし、そろそろ来るはずだよ?」
シェリア「ここね、ただでご飯が食べられるっていうお店は」
ロンドリーネ「いらっしゃいませー」
アスベル「……間に合ったのか?」
ロンドリーネ「はい?」
アスベル「招待状には詳しい時間が書かれていなかったが、俺達は集合時間を守れたのか?」
ロンドリーネ「まぁちょっぴり遅いけどあと一組もまだ来ていないし気にしないで!」
アスベル「なん……だと!?集合時間を……マモレナカッタ……。かくなるうえはこうべを垂れるしか……」
リチャード「アスベル、君が悪いわけではない。そもそもマリクが寄り道などしなければ遅れることはなかったのだ」
マリク「なん……だと!?お言葉ですが陛下、団子が食べたいから買ってこいと俺に命じた貴方も同罪では?」
リチャード「なん……だと!?」
ロンドリーネ「はいはいもう良いからテーブルに案内するわよ」
ローエン「いやはや、ようやく着きましたな」
メル「最後のお客さんが来たみたい。いらっしゃいませ〜!って、ぇえ!?」
ジュード「あ、驚かせてしまってすみません」
アルヴィン「女の子が担がれて来れば誰だって驚くわな」
ミラ「すまないジュード。また世話になった」
ジュード「僕は大丈夫だけど……」
メル「あの、一体何が?」
エリーゼ「えっと、」
ティポ「ミラったらただで食べ放題のお店に招待されたからって昨日から何も食べてなかったんだって。だからここに来る途中でお腹が空きすぎて倒れちゃったんだけど、良い迷惑だよ」
エリーゼ「ティ、ティポ!!」
カイル「あれは何?ペット?」
アルヴィン「どっちかつうとペットかもな」
ティポ「アルヴィン酷い!!」
アルヴィン「あだだだだだ!!悪かった!悪かったって!!」
クラトス「あれは古代兵器ジャスタウェイか!」
リッド「国一つを滅ぼす威力を持つっていうアレか!」
ウィル「よもやこんな所でお目にかかるとはな」
エリーゼ「ティ、ティポはティポです!そんな変なのじゃありません!」
ロンドリーネ「さてと、やっと全員そろったわね」
クレス「あの〜、さっきからメニューが無いんですけど……」
カロル「メニューだね!ちょっと待ってて!」
クラース「思ったのだが妙じゃないか?元々計算された来客数。全員集まるまでメニューが配られないばかりか水の一杯も出てこない」
ローエン「何か裏がある、と考えるのが妥当でしょうな」
ロンドリーネ「さすが知将が沢山集まると隠し事はできないね。そう、今回はある企画を用意しているの」
エトス「企画?」
ミラ「ジュード、注文はまだしてはいけないのか?」
ジュード「多分もう少しだと思うよ?」
リッド「企画って何だよ?」
ロンドリーネ「フッフッフ、それは……」
パスカル「それは?」
ロンドリーネ「次回発表するわ!」
レイア「オマケのくせに次回に引っ張るの!?」
ロンドリーネ「今回全員集めただけでも相当無茶したのよ?それぐらい大目に見てくれたって良いじゃない」
〜そんな訳で続く〜
takeshi「ども〜!最近失恋祭りが開催されたせいで身も心もライフが0のtakeshiです。そんな今回はこやつらです」
ユリス「不幸は蜜の味だな」
ジルバ「その調子で負のエネルギーを出し続けるが良いさ!」
takeshi「そんなこんなでライズさん初めまして!感想ありがとうございます」
ユリス「感動しただと?世紀末にか?」
takeshi「いやストーリー全体を通してでしょ!私には勿体ない評価です。本当にありがとうございます」
ジルバ「貴様は社交辞令という言葉を知らないのか?」
takeshi「なんかこの2人だと楽しくないのは何故?しかし頑張りモス!」
ユリス「楽しくないのはお前の勝手だが、今回の冒頭の無駄話は何だ?」
takeshi「あれは俗に言うスキットのようなものです。まぁ、ただ単に私が雑談をさせたかっただけなんですけどね?そのせいでAチームの描写しかできませんでしたが、いつか丸々1話雑談で埋め尽くしてみたいものです♪」
ジルバ「少しは身の程をわきまえるんだね」
ユリス「お前もな」
takeshi「いや〜、ホントこのメンツだとまとまらない……。ではまた〜」
―――おまけ―――
エトス「あっ、早速お客さんが来たミたいだよ?」
メル「い、いらっしゃいませー!!」
クレス「うわぁっ!メル、どうしたんだいその格好は?」
メル「ク、クレスさん!?」
ミント「素敵なお洋服ですね。これもなりきり士のお仕事ですか?」
メル「はい。今回はウェイトレスなんです」
チェスター「なん……だと!?メイドさんじゃねぇのか?」
クラース「そんなに驚くところではないだろう……。それより我々はアーチェを……」
ロンドリーネ「ファンタジアの席はあっちよ。メルちゃん、案内してあげて」
クラース「いや私達は客ではなくてだなぁ!」
メル「五名様ご案内で〜す」
ロンドリーネ「さて、お次は誰かしら?」
スタン「うちのカイルを誘拐したのはこの店か!?返してもらうぞ!」
カイル「父さん!?」
ナナリー「あたし達もいるよ」
ロニ「無事かカイル!?潰れたアンパンにされてないか!?」
カイル「ロニじゃないんだからされないよ」
ディムロス『なん……だと!?』
エトス「ソレ流行ってるの?」
ハロルド「ちなみにソーディアン達には特殊なマイクを付けておいたから誰でも声が聞こえるわよ」
ロンドリーネ「んじゃま、デスティニーの席はあっちだから。カイル、案内よろしく☆」
シャーリィ「すごい。お客さんがいっぱいだね」
ロンドリーネ「こんなのまだまだ序の口よん♪」
リッド「綺羅星☆」
カイル&シャーリィ「「綺羅星☆」」
エトス「何か変なのが来た!!」
ファラ「も〜リッド。その変な挨拶やめなよ」
チャット「一緒にいるこっちが恥ずかしいですよ」
リッド「んなことどうだって良いだろ?それより、ただで飯が食えるって本当なんだろうな?」
シャーリィ「え?」
ロンドリーネ「何組かのお客には招待状を送っておいたの。だからホントだよ?」
リッド「ィイイッヤッホー!!」
シャーリィ「じゃあこの人達は私が案内するね」
フォッグ「おぅ!6名だ!」
キール「……だからどうした?」
ルーティ「カイルが不良に……」
スタン「今はあぁいうのが流行ってるんじゃないか?」
ウッドロウ「なん……だと!?」
リオン「それはもう良いだろう」
ロイド「リフィル先生はどこだ!?」
エトス「次のお客さんかな?」
ロイド「リフィル先生がここにいるのは分かってるんだ!居場所を教えろ!」
メル「いらっしゃいませ。お席に案内しますね」
ロイド「なん……だと!?」
マルタ「完全に無視されちゃってるね」
エミル「とりあえず11名です」
ロンドリーネ「シンフォニアはあっちね」
プレセア「綺羅星」
リッド&カイル&シャーリィ「「綺羅星☆」」
エトス「だから何ソレ?」
ヴェイグ「ここがガスト、もとい、ワグ○リアか」
カイル「いらっしゃい!て、ちょっとお客さんペットを入れちゃだめだよ」
ユージーン「ペットとは俺のことか?」
ヴェイグ「貴様……。ペットとか人間とか関係無い。みんな同じヒトだろう。邪気眼が開眼していようと邪王炎殺黒龍波だろうがピーチパイを食べて美味いと感じる心に違いはない。それがなぜ分からない?クレア、お前からも一言いってやってくれ」
クレア「え?私?えぇっと、彼は私達の仲間なの。だから大目に見てもらえないかしら?」
カイル「いいやダメだ!まず美しくない!」
ヴェイグ「なん……だと!?」
ユージーン「身だしなみには自信があるのだがな」
カイル「はっ、エトスの霊圧が消えた!?」
エトス「ボクなラここにいるよ?」
カイル「まぁいいや!仲間なら仕方ない。席に案内してあげるよ」
セネル「シャーリィ!!シャーリィはどこだ!?迎えに来たぞシャーリィ!!ステラァアアアア!!!」
クロエ「なぜ最後にステラさんの名前を叫ぶんだ?」
ウィル「恐らく今のセネルは傷付いた白い野獣病なのだろう。そっとしといてやれ」
ジェイ「そんな病気聞いたことがありませんよ……」
カロル「なんか変なお客さんが多いけど、この店大丈夫なのかな?」
シャーリィ「綺羅星!」
セネル「綺羅星☆」
ノーマ「あり?リッちゃん何その格好?コスプレ?」
シャーリィ「いろいろあって今アルバイトしてるんだよ?とりあえず席に案内するね」
ジェイ「ていうかセネルさんを黙らせたあの言葉は何なんですか?そしてモーゼスさんはなぜギートと一緒に入ろうとしているんですか?」
モーゼス「あ?」
ガイ「悪いがペット禁制なんでね」
モーゼス「ギートはペットと違う!ワイの家族じゃ!」
ガイ「よくいるんだよな〜。うちのブウサギのネフリーは家族の一員だとか言うペット愛好家が」
モーゼス「じゃからギートはペットと違う言うとるじゃろうが!豹のおっさんが入れてギートが入れんっちゅうのは納得いかん!」
コレット「わぁ〜可愛いワンちゃんだね!カトリーナおいで〜」
モーゼス「おかしな名前付けんな!」
ガイ「あの旦那は二本足で歩いてるんだ、少なくとも家畜ではないだろう。それとも、オタクのカトリーナは二足歩行ができるっていうのかい?」
モーゼス「誰がカトリーナじゃ!ようは二本足で立てればえぇ話じゃろ!?ギート、チンチ……」
ガイ「獅子戦吼!!」
モーゼス「ギートォオオオオ!!!」
セネル「うるさいぞモーゼス。早く席に移動するぞ」
モーゼス「じゃがギートが!!」
ジェイ「セネルさんに諭された時点でモーゼスさんの負けですよ。それにギートなら外で大きな犬のような動物と遊ばせておけば大丈夫でしょう」
エトス「メル〜。またお客さんが来たよ」
メル「は〜い!」
ルーク「おい!ガイはどこだよ!?俺はガイのご主人だぞ!?さっさと返しやがれ!!」
ガイ「ルーク!お前、いつの間に髪伸ばしたんだ!?」
ジェイド「あぁ、これはカツラですよ。ちなみにこれをとると……」
ルーク「ガイこんなところにいたのかよ。急にいなくなるからみんな心配したんだぞ?」
アニス「長髪モードから短髪モードに早変わりってわけ!」
ティア「2人とも、ルークをおもちゃにするのはやめて!」
ガイ「まぁまぁ、折角来たんだ。何か食べていってくれよ。そうすればあいつも喜ぶからさ」
ルーク「あいつ?あいつって誰だよ?」
ガイ「カイル。悪いがこいつらをあそこの席に案内してやってくれ」
カイル「分かった」
ティア「綺羅星!」
カイル「綺羅星☆」
エトス「だかラソレ何!?」
ガイ「で?次の客もペット連れか」
ユーリ「あ?俺達は客じゃねぇよ。それと、ラピードをペット扱いすると痛い目見るぜ?」
コレット「またワンちゃんだ〜♪テリ〜、てんこ盛りお食べ〜」
ラピード「バウ!」
リタ「懐いてるわね」
ジュディス「ラピードってバトルウルフだったのね」
ユーリ「ちげぇよ。てか、テリーって誰だよ?」
レイヴン「まぁまぁ細かい事は良いじゃないのよ青年。カロル君を連れて帰るのは飯食べてからでもできるっしょ?」
ユーリ「おっさんは飯じゃなくて女目当てだろ?」
レイヴン「ま〜ね〜」
パティ「聞いたことがあるのじゃ。恋仲になったばかりの男女はふぁみれすに行くことが多いと。つまりこれはでーとというやつじゃなユーリ!?」
ユーリ「もう好きにしろよ。ただし、ラピードも入れてもらうぜ?」
ガイ「まぁ……バトルウルフなら仕方ないな」
ユーリ「どんな理由だよ?」
メル「ねぇロディ。テーブルがあと2つしか空いてないけど大丈夫かな?」
ロンドリーネ「大丈夫だよ。招待状はあと二組にしか送ってないし、そろそろ来るはずだよ?」
シェリア「ここね、ただでご飯が食べられるっていうお店は」
ロンドリーネ「いらっしゃいませー」
アスベル「……間に合ったのか?」
ロンドリーネ「はい?」
アスベル「招待状には詳しい時間が書かれていなかったが、俺達は集合時間を守れたのか?」
ロンドリーネ「まぁちょっぴり遅いけどあと一組もまだ来ていないし気にしないで!」
アスベル「なん……だと!?集合時間を……マモレナカッタ……。かくなるうえはこうべを垂れるしか……」
リチャード「アスベル、君が悪いわけではない。そもそもマリクが寄り道などしなければ遅れることはなかったのだ」
マリク「なん……だと!?お言葉ですが陛下、団子が食べたいから買ってこいと俺に命じた貴方も同罪では?」
リチャード「なん……だと!?」
ロンドリーネ「はいはいもう良いからテーブルに案内するわよ」
ローエン「いやはや、ようやく着きましたな」
メル「最後のお客さんが来たみたい。いらっしゃいませ〜!って、ぇえ!?」
ジュード「あ、驚かせてしまってすみません」
アルヴィン「女の子が担がれて来れば誰だって驚くわな」
ミラ「すまないジュード。また世話になった」
ジュード「僕は大丈夫だけど……」
メル「あの、一体何が?」
エリーゼ「えっと、」
ティポ「ミラったらただで食べ放題のお店に招待されたからって昨日から何も食べてなかったんだって。だからここに来る途中でお腹が空きすぎて倒れちゃったんだけど、良い迷惑だよ」
エリーゼ「ティ、ティポ!!」
カイル「あれは何?ペット?」
アルヴィン「どっちかつうとペットかもな」
ティポ「アルヴィン酷い!!」
アルヴィン「あだだだだだ!!悪かった!悪かったって!!」
クラトス「あれは古代兵器ジャスタウェイか!」
リッド「国一つを滅ぼす威力を持つっていうアレか!」
ウィル「よもやこんな所でお目にかかるとはな」
エリーゼ「ティ、ティポはティポです!そんな変なのじゃありません!」
ロンドリーネ「さてと、やっと全員そろったわね」
クレス「あの〜、さっきからメニューが無いんですけど……」
カロル「メニューだね!ちょっと待ってて!」
クラース「思ったのだが妙じゃないか?元々計算された来客数。全員集まるまでメニューが配られないばかりか水の一杯も出てこない」
ローエン「何か裏がある、と考えるのが妥当でしょうな」
ロンドリーネ「さすが知将が沢山集まると隠し事はできないね。そう、今回はある企画を用意しているの」
エトス「企画?」
ミラ「ジュード、注文はまだしてはいけないのか?」
ジュード「多分もう少しだと思うよ?」
リッド「企画って何だよ?」
ロンドリーネ「フッフッフ、それは……」
パスカル「それは?」
ロンドリーネ「次回発表するわ!」
レイア「オマケのくせに次回に引っ張るの!?」
ロンドリーネ「今回全員集めただけでも相当無茶したのよ?それぐらい大目に見てくれたって良いじゃない」
〜そんな訳で続く〜