第19話『特訓と新技』
【Bチーム】
ユージーンとマオは槍とトンファーを構えると、フィオナとブライトも扇と銃を構えた。
ただしブライトの場合はいつもの二丁拳銃ではなく、右手には銃口が2つ横に並列しているショットガンを左手にはグリップから弧を描くように伸びた刃物が付いた拳銃を装備していた。
「なんか、ブライトって戦う度に武器が変わるよね……」
マオは呆れた風に言うが確かに彼はバイラスとの戦闘時には二丁拳銃を使い、この前説教をされた時はグローブを使っていた。
グローブを使う時は使う時で特別な理由があると後からジークから聞いたが今回はまた別の理由があるのだろうか。
「おまえらには最初から本気出せとか怒鳴っておいてなんだが、これが俺の本来のスタイルなんだわ」
ブライトが言うにはジーク達を追うためにクインシェルを出る際に装備で相当悩んだらしい。
「俺はこう見えて導術主体だから後衛タイプなんだよ。だが俺が後衛に回ったら生徒達を護れねぇだろ?」
クインシェルを出る直前のブライトには当然ながらジーク達がどのような状況にあるのか分からない。
凶暴なバイラスに襲われるかもしれないし盗賊等に襲われる可能性もある。
更にカインを止めるとなれば説得で終わることは考えにくい。
というよりブライトの教育方針上説得で終わらせるという考えは無かった。
そのため前衛の第1戦線で戦えるよう二丁拳銃を選んだのだと言う。
しかしジークがカインに対抗するために人見知りなのにもかかわらず必死に英雄達に協力を仰いでいたことを知り、バルカで拳を交えたことで英雄達の強さを知った。
故にブライトは安心して自分の実力を発揮できる後衛に戻ることができたのだ。
「今回は説教でもなければ喧嘩でも無いからな。実戦同様殺す気で行くから覚悟しとけよ」
「え?ちょっと待って。じゃあ私が前衛やるの?」
「当たり前だろうが。後ろから突風が来るっつうのに敵に突っ込めるティトレイ達の気持ちが俺には分からんね」
実はこれまでもブライトは背後から来る突風が怖かったらしく、思い出してみればフィオナが風を出す時はいつもブライトは後ろで詠唱をしていた。
「味方になんか当てないわよ……」
弾丸が背後から飛んでくるほうがよっぽど恐いんじゃないかと思いながらフィオナは身の丈ほどの扇を開いた。
そしてそれが戦闘開始の合図となる。
「いっくよ〜!」
マオは早速詠唱に入るとユージーンは駆け出した。
まずはマオの詠唱を止めなければならないと考えたフィオナは扇を後ろに引き、溜めを作る。
ユージーンを越えてマオに届かせないとならないためマオが詠唱を終える前に届くか分からない。
更に今マオが詠唱している導術が下級の場合間もなく術が発動してしまう。
だが今はとにかくダメ元でも扇を振るしかない。
(間に合って!)
まだユージーンとの距離は8mほどあるがフィオナの願いも虚しく、マオが片手を振り上げ口を開きかけた瞬間である。
フィオナの背後より爆音が聞こえたと思った瞬間、青空に掲げられたマオのトンファーが弾かれ宙を舞った。
時間にして戦闘開始から数秒も経ってはいないだろう。
「弾を込める仕草は見えなかったが?」
不覚にも後衛への攻撃を許してしまったユージーンは煙が上がっているショットガンの銃口をにらめ付けた。
「そりゃ弾なんて込めてねぇからな。ベテランほど偏見を持ちやすいってのは弱点だぜ?ユージーン」
そう、ブライトのショットガンに金属の弾丸は存在しない。
彼のフォルスである重力を利用すれば銃身内の空気を圧縮し強固な弾丸を作成することができるからである。
後はトリガーを引くだけで弾は発射され、弾数に制限もない。
ショットガンという激しい衝撃が伴う武器を片手で扱えるのも彼が手元で繊細な重力コントロールを行っているからである。
「金属の弾も使えるが、どうせユージーン相手じゃ意味ねぇだろ?」
鋼のフォルスを持つユージーンに対して鉛のような物は何に利用されるか分からない。
ならば実体の無い攻撃のほうが有効性は高い。
「マオ、いけるか?」
「ん〜……もうチョイかな?」
ユージーンの意味深な問いにマオは首を傾げて答える。
「質問に質問で返すのは感心せんな」
ユージーンはマオに口癖をお見舞いしてから再び駆け出した。
同時に大気の温度が下がったのかフィオナは一瞬寒気を感じたが気にせず扇を左から右へと大きく振る。
風の刃を伴う突風が迫るとユージーンは真横に飛ぶことで突風をかわし、更に直進を続けた。
「よく見てるわねっ!」
フィオナは再び突風を送るがユージーンは真横に飛んでから直進するという行動を繰り返す。
フィオナが作る突風は一見広範囲に見えるが弱点がある。
それが直線的なものでしかないという点である。
ゲーム的に言えば攻撃範囲は1ラインにしか飛ばないためライン変更を行えばかわせるし飛距離も中距離が限界なため彼女は中衛を得意とするのだ。
したがって移動速度の遅いユージーンと対峙する時は距離を保っていれば勝算はあるが弱点がばれていたのは計算外だった。
ユージーンは徐々に距離を詰め5mしか間はなく、近距離時のフィオナとユージーンのリーチから考えて後2mも近付けば衝突は必至である。
更にマオの詠唱も止まっていない。
「ちょっとブライト!」
フィオナは一瞬後ろを振り向くとブライトは必死にショットガンを連射していた。
だがその弾丸はことごとくユージーンの槍で弾かれていた。
彼は持ち前のリーチの長さを利用しフィオナの突風を避けながら近付くついでに弾丸を払い落とすという偉業を行っていたのだ。
ブライトの弾丸は鉛ではないため目視は不可能だが、銃口の向き、トリガーのタイミングと初撃でマオに当たった時間などから対空時間等を計算しタイミングを合わせていた。
これが百戦錬磨の達人がなせる技である。
「引き裂け!アーチシェイド!」
マオは詠唱を終えると先程の仕返しと言わんばかりに闇の刃にてブライトを切り裂いた。
「ぐぁああっ!」
ブライトの目の前に突如出現した漆黒の刃はガードする暇すら許さず胸からお腹にかけて一刀両断しそのまま木製の甲板をえぐった。なんとか意識を繋いだブライトは踏張ろうとしたがダメージが大きく膝に力が入らずその場に倒れこんでしまい、肺にたまっていた酸素を強引に吐き出されたブライトは何回か咳き込んだ。
「ッ!!」
フィオナは射程範囲内に入ったユージーンを確認すると扇を閉じ、大きな棒として横凪ぎに振った。
それに対してユージーンは上から槍を振り下ろし、槍と扇が衝突した。
「いけるよユージーン」
何かを調整していたのかマオはフォルスキューブを回転させてからしまい、再び詠唱に入った。
フィオナはユージーンの槍をさばくので精一杯だがマオの詠唱を止めようにもブライトはまだ立ち上がれそうにない。
「双打鍾!!」
フィオナは扇の柄の部分で突き、ユージーンの横凪ぎの槍を弾いてから横に一回転することで遠心力をつけてホームランを打つかのようなフォームでユージーンをマオの手前まで吹き飛ばした。
しかしユージーンに物理攻撃は効果は今一つのようですぐに態勢を立て直す。
その間にもフィオナは瞬時に扇を開き突風をおくる。
(うまい!)
ようやく膝を立てられるようになったブライトは素直にそう思った。
このままユージーンがパターン通りに横に避けようが避けまいが突風は間違いなくライン上にいるマオを巻き込む。
しかし、マオはユージーンと共に横に飛んで回避した。
詠唱を中断することなくである。
フィオナは更に突風を送るがそれでも避けられる。
それでもマオはまだ詠唱を終えないということは中級以上の導術を詠唱していることが分かる。
フィオナに焦りが生まれるがとにかくフィオナは突風を送る。
するとユージーンは今回の突風に対して回避行動はとらずに槍を振りかぶった。
「旋風槍!」
振りかぶった槍に旋風が纏い、その槍をユージーンが左から右へ振ると旋風にてフィオナの突風を打ち消した。
「バカにしないでよね!!」
フィオナは手から汗が噴き出すのを感じながら溜めに入った。
多少接近されるが、今は次の一手にかけるしかない。
「ウィンドスラッシュ!」
ユージーンが2mほど進んだ所で彼の周囲から無数の風の刃が屈強な体を切り刻んだ。
「ぬぉお!」
ユージーンは避けようとしなかった。
だがそのおかげでマオはバックステップをしながら距離をとることで直撃を免れた。
そしてマオはトンファーを空に掲げる。
「来たれ爆炎、焼き尽くせ!バーンストライク!!」
フィオナとユージーンの斜め上空より爆炎が降り注ぐ。
「ッ!こんなもの!!」
「バカ!振るんじゃねぇ!!」
フィオナは突風で爆炎を吹き飛ばそうとするがようやく立ち上がったブライトが怒号を散らす。
しかしフィオナはモーションを止めることができず爆炎と突風が衝突すると豊富な酸素を吸収した爆炎の一つが大きく膨れ上がった。
「嘘でしょ!?」
2人は跳躍することで何とか二発は回避するが肥大した爆炎だけはフィオナに直撃した。
「きゃぁああああ!!!」
灼熱の炎が全身を包み、全身の肌がジリジリと焦げる痛みがフィオナを襲った。
寸前のところで回避したブライトでさえも呼吸をしようとすれば肺が火傷しそうになり体内部に熱い痛みを感じた。
服が焦げ、全身から煙を上げるフィオナだが立ち上がろうと甲板に爪を立てる。
普通ならば木製の甲板で火などを使えば火事になるところだが、このような船には造船の過程で特殊な術を施すのか炎は沈下していた。
「こんなもんかな?」
マオは挑発するかのようにトンファーをクルッと回すとブライトの弾丸が嵐のように飛んできた。
しかしそれをユージーンが全て弾く。
(せめて俺が詠唱できる時間があれば……!!)
ブライトが歯痒さを感じている間にもマオが次の詠唱に入る。
届かない。
遠すぎる。
英雄と呼ばれる者との力の差がこれまであるのか。
「疾風の爪にて引き裂かん」
そうこうしている間にもマオの詠唱が終わろうとしている。
フィオナは悔しさのあまり甲板を拳で叩いた。
「ふざけんじゃないわよ!!!!」
「ガスティーネイル!」
無情にもマオの詠唱が終わる。
が、何も起こらない。
「……あれ?」
「強制詠唱(スペルインターセプト)か!」
ブライトは驚嘆した後すぐに詠唱に入った。
「え?何?」
今一状況を掴めていないフィオナだったがとにかく立ち上がるとブライトの援護のためにも火傷した体を気にすることなく突風を送り続けた。
マオも詠唱を始めるがブライトの詠唱が先に終わる。
「遥か天空にて大地の恩恵を知れ!トラクタービーム!!」
マオとユージーンの周り広範囲を無重力状態にすることで天高く浮上させ、そこから重力を倍加することで2人は地上に突っ込む弾丸と化し甲板に打ち付けられた。
「仕返しはさせてもらうわ!」
2人が上空にいた間にフィオナは力を十分過ぎるほど溜めることができた。
「サイクロン!!」
フィオナの渾身の一撃がマオとユージーンを襲い、元々術防御力が低いユージーンにとって先程のウィンドスラッシュと合わせれば大ダメージとなった。
そもそも導術等という詠唱を必要とする術は脳内で言葉を紡ぐことで必要な元素、必要な量を調整し座標を設定するのである。
それを口に出すことでより明確化するのだがフィオナは『声』のフォルスによって詠唱中の脳内に別の情報を割り込ませることで混乱させ、導術を無効化することができた。
それが強制詠唱(スペルインターセプト)という錬術なのである。
〜続く〜
ユージーンとマオは槍とトンファーを構えると、フィオナとブライトも扇と銃を構えた。
ただしブライトの場合はいつもの二丁拳銃ではなく、右手には銃口が2つ横に並列しているショットガンを左手にはグリップから弧を描くように伸びた刃物が付いた拳銃を装備していた。
「なんか、ブライトって戦う度に武器が変わるよね……」
マオは呆れた風に言うが確かに彼はバイラスとの戦闘時には二丁拳銃を使い、この前説教をされた時はグローブを使っていた。
グローブを使う時は使う時で特別な理由があると後からジークから聞いたが今回はまた別の理由があるのだろうか。
「おまえらには最初から本気出せとか怒鳴っておいてなんだが、これが俺の本来のスタイルなんだわ」
ブライトが言うにはジーク達を追うためにクインシェルを出る際に装備で相当悩んだらしい。
「俺はこう見えて導術主体だから後衛タイプなんだよ。だが俺が後衛に回ったら生徒達を護れねぇだろ?」
クインシェルを出る直前のブライトには当然ながらジーク達がどのような状況にあるのか分からない。
凶暴なバイラスに襲われるかもしれないし盗賊等に襲われる可能性もある。
更にカインを止めるとなれば説得で終わることは考えにくい。
というよりブライトの教育方針上説得で終わらせるという考えは無かった。
そのため前衛の第1戦線で戦えるよう二丁拳銃を選んだのだと言う。
しかしジークがカインに対抗するために人見知りなのにもかかわらず必死に英雄達に協力を仰いでいたことを知り、バルカで拳を交えたことで英雄達の強さを知った。
故にブライトは安心して自分の実力を発揮できる後衛に戻ることができたのだ。
「今回は説教でもなければ喧嘩でも無いからな。実戦同様殺す気で行くから覚悟しとけよ」
「え?ちょっと待って。じゃあ私が前衛やるの?」
「当たり前だろうが。後ろから突風が来るっつうのに敵に突っ込めるティトレイ達の気持ちが俺には分からんね」
実はこれまでもブライトは背後から来る突風が怖かったらしく、思い出してみればフィオナが風を出す時はいつもブライトは後ろで詠唱をしていた。
「味方になんか当てないわよ……」
弾丸が背後から飛んでくるほうがよっぽど恐いんじゃないかと思いながらフィオナは身の丈ほどの扇を開いた。
そしてそれが戦闘開始の合図となる。
「いっくよ〜!」
マオは早速詠唱に入るとユージーンは駆け出した。
まずはマオの詠唱を止めなければならないと考えたフィオナは扇を後ろに引き、溜めを作る。
ユージーンを越えてマオに届かせないとならないためマオが詠唱を終える前に届くか分からない。
更に今マオが詠唱している導術が下級の場合間もなく術が発動してしまう。
だが今はとにかくダメ元でも扇を振るしかない。
(間に合って!)
まだユージーンとの距離は8mほどあるがフィオナの願いも虚しく、マオが片手を振り上げ口を開きかけた瞬間である。
フィオナの背後より爆音が聞こえたと思った瞬間、青空に掲げられたマオのトンファーが弾かれ宙を舞った。
時間にして戦闘開始から数秒も経ってはいないだろう。
「弾を込める仕草は見えなかったが?」
不覚にも後衛への攻撃を許してしまったユージーンは煙が上がっているショットガンの銃口をにらめ付けた。
「そりゃ弾なんて込めてねぇからな。ベテランほど偏見を持ちやすいってのは弱点だぜ?ユージーン」
そう、ブライトのショットガンに金属の弾丸は存在しない。
彼のフォルスである重力を利用すれば銃身内の空気を圧縮し強固な弾丸を作成することができるからである。
後はトリガーを引くだけで弾は発射され、弾数に制限もない。
ショットガンという激しい衝撃が伴う武器を片手で扱えるのも彼が手元で繊細な重力コントロールを行っているからである。
「金属の弾も使えるが、どうせユージーン相手じゃ意味ねぇだろ?」
鋼のフォルスを持つユージーンに対して鉛のような物は何に利用されるか分からない。
ならば実体の無い攻撃のほうが有効性は高い。
「マオ、いけるか?」
「ん〜……もうチョイかな?」
ユージーンの意味深な問いにマオは首を傾げて答える。
「質問に質問で返すのは感心せんな」
ユージーンはマオに口癖をお見舞いしてから再び駆け出した。
同時に大気の温度が下がったのかフィオナは一瞬寒気を感じたが気にせず扇を左から右へと大きく振る。
風の刃を伴う突風が迫るとユージーンは真横に飛ぶことで突風をかわし、更に直進を続けた。
「よく見てるわねっ!」
フィオナは再び突風を送るがユージーンは真横に飛んでから直進するという行動を繰り返す。
フィオナが作る突風は一見広範囲に見えるが弱点がある。
それが直線的なものでしかないという点である。
ゲーム的に言えば攻撃範囲は1ラインにしか飛ばないためライン変更を行えばかわせるし飛距離も中距離が限界なため彼女は中衛を得意とするのだ。
したがって移動速度の遅いユージーンと対峙する時は距離を保っていれば勝算はあるが弱点がばれていたのは計算外だった。
ユージーンは徐々に距離を詰め5mしか間はなく、近距離時のフィオナとユージーンのリーチから考えて後2mも近付けば衝突は必至である。
更にマオの詠唱も止まっていない。
「ちょっとブライト!」
フィオナは一瞬後ろを振り向くとブライトは必死にショットガンを連射していた。
だがその弾丸はことごとくユージーンの槍で弾かれていた。
彼は持ち前のリーチの長さを利用しフィオナの突風を避けながら近付くついでに弾丸を払い落とすという偉業を行っていたのだ。
ブライトの弾丸は鉛ではないため目視は不可能だが、銃口の向き、トリガーのタイミングと初撃でマオに当たった時間などから対空時間等を計算しタイミングを合わせていた。
これが百戦錬磨の達人がなせる技である。
「引き裂け!アーチシェイド!」
マオは詠唱を終えると先程の仕返しと言わんばかりに闇の刃にてブライトを切り裂いた。
「ぐぁああっ!」
ブライトの目の前に突如出現した漆黒の刃はガードする暇すら許さず胸からお腹にかけて一刀両断しそのまま木製の甲板をえぐった。なんとか意識を繋いだブライトは踏張ろうとしたがダメージが大きく膝に力が入らずその場に倒れこんでしまい、肺にたまっていた酸素を強引に吐き出されたブライトは何回か咳き込んだ。
「ッ!!」
フィオナは射程範囲内に入ったユージーンを確認すると扇を閉じ、大きな棒として横凪ぎに振った。
それに対してユージーンは上から槍を振り下ろし、槍と扇が衝突した。
「いけるよユージーン」
何かを調整していたのかマオはフォルスキューブを回転させてからしまい、再び詠唱に入った。
フィオナはユージーンの槍をさばくので精一杯だがマオの詠唱を止めようにもブライトはまだ立ち上がれそうにない。
「双打鍾!!」
フィオナは扇の柄の部分で突き、ユージーンの横凪ぎの槍を弾いてから横に一回転することで遠心力をつけてホームランを打つかのようなフォームでユージーンをマオの手前まで吹き飛ばした。
しかしユージーンに物理攻撃は効果は今一つのようですぐに態勢を立て直す。
その間にもフィオナは瞬時に扇を開き突風をおくる。
(うまい!)
ようやく膝を立てられるようになったブライトは素直にそう思った。
このままユージーンがパターン通りに横に避けようが避けまいが突風は間違いなくライン上にいるマオを巻き込む。
しかし、マオはユージーンと共に横に飛んで回避した。
詠唱を中断することなくである。
フィオナは更に突風を送るがそれでも避けられる。
それでもマオはまだ詠唱を終えないということは中級以上の導術を詠唱していることが分かる。
フィオナに焦りが生まれるがとにかくフィオナは突風を送る。
するとユージーンは今回の突風に対して回避行動はとらずに槍を振りかぶった。
「旋風槍!」
振りかぶった槍に旋風が纏い、その槍をユージーンが左から右へ振ると旋風にてフィオナの突風を打ち消した。
「バカにしないでよね!!」
フィオナは手から汗が噴き出すのを感じながら溜めに入った。
多少接近されるが、今は次の一手にかけるしかない。
「ウィンドスラッシュ!」
ユージーンが2mほど進んだ所で彼の周囲から無数の風の刃が屈強な体を切り刻んだ。
「ぬぉお!」
ユージーンは避けようとしなかった。
だがそのおかげでマオはバックステップをしながら距離をとることで直撃を免れた。
そしてマオはトンファーを空に掲げる。
「来たれ爆炎、焼き尽くせ!バーンストライク!!」
フィオナとユージーンの斜め上空より爆炎が降り注ぐ。
「ッ!こんなもの!!」
「バカ!振るんじゃねぇ!!」
フィオナは突風で爆炎を吹き飛ばそうとするがようやく立ち上がったブライトが怒号を散らす。
しかしフィオナはモーションを止めることができず爆炎と突風が衝突すると豊富な酸素を吸収した爆炎の一つが大きく膨れ上がった。
「嘘でしょ!?」
2人は跳躍することで何とか二発は回避するが肥大した爆炎だけはフィオナに直撃した。
「きゃぁああああ!!!」
灼熱の炎が全身を包み、全身の肌がジリジリと焦げる痛みがフィオナを襲った。
寸前のところで回避したブライトでさえも呼吸をしようとすれば肺が火傷しそうになり体内部に熱い痛みを感じた。
服が焦げ、全身から煙を上げるフィオナだが立ち上がろうと甲板に爪を立てる。
普通ならば木製の甲板で火などを使えば火事になるところだが、このような船には造船の過程で特殊な術を施すのか炎は沈下していた。
「こんなもんかな?」
マオは挑発するかのようにトンファーをクルッと回すとブライトの弾丸が嵐のように飛んできた。
しかしそれをユージーンが全て弾く。
(せめて俺が詠唱できる時間があれば……!!)
ブライトが歯痒さを感じている間にもマオが次の詠唱に入る。
届かない。
遠すぎる。
英雄と呼ばれる者との力の差がこれまであるのか。
「疾風の爪にて引き裂かん」
そうこうしている間にもマオの詠唱が終わろうとしている。
フィオナは悔しさのあまり甲板を拳で叩いた。
「ふざけんじゃないわよ!!!!」
「ガスティーネイル!」
無情にもマオの詠唱が終わる。
が、何も起こらない。
「……あれ?」
「強制詠唱(スペルインターセプト)か!」
ブライトは驚嘆した後すぐに詠唱に入った。
「え?何?」
今一状況を掴めていないフィオナだったがとにかく立ち上がるとブライトの援護のためにも火傷した体を気にすることなく突風を送り続けた。
マオも詠唱を始めるがブライトの詠唱が先に終わる。
「遥か天空にて大地の恩恵を知れ!トラクタービーム!!」
マオとユージーンの周り広範囲を無重力状態にすることで天高く浮上させ、そこから重力を倍加することで2人は地上に突っ込む弾丸と化し甲板に打ち付けられた。
「仕返しはさせてもらうわ!」
2人が上空にいた間にフィオナは力を十分過ぎるほど溜めることができた。
「サイクロン!!」
フィオナの渾身の一撃がマオとユージーンを襲い、元々術防御力が低いユージーンにとって先程のウィンドスラッシュと合わせれば大ダメージとなった。
そもそも導術等という詠唱を必要とする術は脳内で言葉を紡ぐことで必要な元素、必要な量を調整し座標を設定するのである。
それを口に出すことでより明確化するのだがフィオナは『声』のフォルスによって詠唱中の脳内に別の情報を割り込ませることで混乱させ、導術を無効化することができた。
それが強制詠唱(スペルインターセプト)という錬術なのである。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート4】
takeshi「どういうことだオイ……戦闘パートが終わらないじゃなイカ」
リノア「ご利用は計画的にしないとね」
takeshi「当初の計画では特訓1話、ストーリー進行1話のはずだったんですけどねぇ〜」
イーリス「雑談なんかしてるからこうなるんです」
takeshi「雑談は悪くない!と、思います……。そんな訳で今回の楽談はこの二人にお付き合いいただこうと思います」
イーリス「それにしても、Bチームだけ長くないですか?Aチームの2倍はありますよ」
takeshi「Bチームはブライトとフィオナがオリジナル武器なため今まで入れられなかった特徴の解説やらをしてたらこんなことになってしまいました……」
リノア「ブライト先生はいつも生徒のことを考えてるんですね〜」
takeshi「いや、半分はリノア先生のことを考えてますよ。ちなみにマオが詠唱中に歩けるというのもオリジナルです」
イーリス「てめぇやりたい放題だな」
takeshi「いたたたたた!二重人格は設定的にイタイのでやめて!」
イーリス「てめぇが設定したんだろうが!!」
takeshi「ちなみにフィオナの強制詠唱(スペルインターセプト)ですが発動するための決まった台詞はありません。発動する度に「ふざけんじゃないわよ!!!」なんて叫んでたらおかしな人ですからね」
リノア「ヒトをおかしなヒト呼ばわりするのは良くないよ?」
イーリス「というか、強制詠唱(スペルインターセプト)ってパクりですよね?」
takeshi「まぁ、とあるベランダ系アイドルからいただきましたが……それが何か?別にあの術は腹ペコシスターさんだけのものじゃないんだよ?そこらへん勘違いしてほしくないかも」
リノア「開きなおるのもよくないよ?」
takeshi「女神には何も言い返せない……。そんな訳で今回はこの辺で!ではまた〜」
※署名掲示板跡地にて雷電さんを始めとしてコメントをくださった方々、誠にありがとうございました。
掲示板でも述べましたがこの場もお借りして感謝させていただきます。
―――おまけ―――
ロンドリーネ「最近おまけが本編を食い殺す勢いね」
エトス「良いかラ早く前回の続きを始めなよ……」
ロイド「ガストに俺達を集めて何をするつもりなんだ!?」
ロンドリーネ「あぁ、そうだったわね。題して!料理人を当てるまで帰れまテン!!」
チェスター「どっかで聞いたタイトルだなぁおい」
ロンドリーネ「これから貴方達にはメニューを注文してもらって、その料理を誰が作ったのかを当ててもらうわ!注文した料理は一人前を各テーブル毎に分け合って食べても良いし、1人で食べてしまってもかまわない。料理は全テーブル共通だから先に食べおわったテーブルから回答権があたえられるわ。ちなみに料理を選ぶ権利はファンタジアから発売順に変わるから慎重に選ばないと損だよ?」
リッド「要するに料理したヤツを当てたら帰らされちまうんだろ?こっちはたらふく食いてぇんだ。誰も当てようとしねぇだろ」
ロンドリーネ「ふっふっふ、それはこの9人のアイアンシェフを見ても同じことが言えるかしら?」
ヴァン「発表しよう。彼等が審議員に選ばれたアイアンシェフだ」
ヒューバート「番組が変わってるじゃないですか!」
ヴァン「クラトス。貴公にはこの原稿を読んでいただきたい」
クラトス「私がか。……うむ。エントリーNo.1」
ロイド「ナレーションはやっぱクラトスだな!」
ミラ「料理人ではなく格闘家が出てくるような雰囲気を感じるのは私だけだろうか?」
クラトス「エルフの森が生み出せし元祖超絶味覚ブレイカー、アーチェ・クライン!」
アーチェ「イェーイ!!」
チェスター「あいつピースなんてしてるぞ!」
クラース「おそらく悪口を言われている自覚がないんだろう……」
クラトス「エントリーNo.2。最早味覚ブレイカーはハーフエルフの宿命なのか!?リフィル・セイジ!」
リフィル「そこの格好悪い天使さん?少し失礼ではなくって?」
ゼロス「さっすがリフィル様!特典ディスクのジャッジメントに全然懲りていないぜ!!」
プレセア「同じハーフエルフのジーニアスは料理がとても上手です」
ジーニアス「あ、ありがとう!プ、プレ、プレ、プレセア!!」
クラトス「エントリーNo.3。釜の魔術士ハリエット・キャンベル!」
ウィル「ハァリエェーーット!!!」
シャーリィ「ハティも来てたの?」
ハリエット「えぇそうよ。どうしてもハティの料理が食べたいって言うから仕方なくね」
パティ「誰か呼んだかの?」
ユーリ「気のせいだろ」
クラトス「エントリーNo.4。キッチンのジェットストリームアタック、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア」
ナタリア「よく分かりませんが、頑張らせていただきますわ」
ティア「ナタリア!?」
ジェイド「おや、困りましたね〜」
クラトス「エントリーNo.5。下町上がりの秀才がどこで何を間違えたのか!?苦労人フレン・シーフォ!」
フレン「あげていこうか!」
エステリーゼ「フレンが楽しそうでなによりです」
クラトス「エントリーNo.6。戦うパン屋さんとは彼女のこと。フランスパン片手に今日も時空を越えてやってきた!28代目ワンダーパン職人、ミミー・ブレッド!」
ミミー「ヤッホーだパン!」
リオン「結局あいつはどこのシリーズ出身なんだ?」
セネル「さぁな」
ミミー「ひどいパン!!」
ノーマ「グー姉さんあいつ知ってる?」
グリューネ「え〜っと……忘れてしまったわね〜。でもきっと大事なことではないわ。だって忘れてしまう事ですもの」
ミミー「天然が言うとシャレにならないパン……」
クラトス「エントリーNo.7。漆黒の割烹着に身を包みナイフ片手にライバルへ挑む。ダークワンダーシェフ!」
ダークワンダーシェフ「秘伝のレシピは私のものだ」
ゼロス「コアなやつが出てきたもんだね〜」
クラトス「エントリーNo.8。ある時はフォーク、ある時はフライパン。アイアンを片手に世界を巡る伝道師。ワンダーシェフ!」
ワンダーシェフ「今日は私が料理しよう」
キール「レシピを書けても作れないのでは困るからな」
リーガル「うむ。お手並み拝見といこう」
クラトス「エントリーNo.9。味の結社「すばらしき味の世界」主任料理長!ドラムを叩くような包丁さばきから人はこう呼ぶ。稲妻のリリアン!」
リリアン「親しみを込めてリッちゃんって呼んでね!」
ノーマ「よろしく!リッちゃん!」
シャーリィ「え?」
ノーマ「あり?」
クロエ「ノーマ、少しは考えてしゃべったらどうなんだ?」
ノーマ「いや〜参ったね〜」
ヴァン「以上、9名のアイアンシェフの作った料理をこれから食してもらう」
アニス「アイアンシェフっていうより鉄そのものを作ってきそうな人がいるんだけど……」
ロイド「この企画、油断してたら死人が出るぞ」
シェリア「死人って大袈裟なんじゃ……?」
ミント「世の中には知らない方が幸せなことというものがあるんです」
ミラ「待て。ロンドリーネと言ったか?キミは先ほど誰がどの料理を作ったのかを当てるのがこの企画の趣旨だと言ったな」
ロンドリーネ「そうだよ?例えば最初にファンタジアが何か注文したらそれと同じ料理が全部のテーブルに運ばれるわ。ただし同じ料理でもテーブル毎に作った料理人が違うから、それが誰なのかを当てるんだよ?」
ミラ「欠点が一つあるな。皆の反応を見るかぎり9人の料理人の中には見知った仲がいるようだが、彼等は料理人の作る料理を何度も食べているはずだ。もし私ならジュードの作るマーボーカレーならば絶対に当てる自信がある」
ジュード「ミラ……」
ミラ「だが9人の料理人の中に私達が知る者は1人もいない。これは大きなハンデになるのではないか?」
ユージーン「うむ、彼女の言うとおりだ」
ロンドリーネ「そこは心配しなくて大丈夫だと思うよ?注文するメニューはガストのメニューだからね。作る方も食べる方も初めての料理だから安心して♪」
チェスター「安心できるかバカ野郎!!てことは熟練度1の一番やばかった時期の料理が来るってことじゃねぇか!!」
プレセア「アリシア、そろそろ会えるかも……」
エミル「会っちゃダメだ!!」
ロンドリーネ「納得できた?」
ミラ「うむ、公平性が立証されていれば問題ない。マクスウェルとして見守ろう」
アルヴィン「さり気なく観戦決め込んでんじゃねぇ!!オタクも食うんだよ!!」
ミラ「む、ばれたか」
ローエン「私の目からは逃れられませんよ?」
ロンドリーネ「んじゃ、さっさと始めよっか!」
パスカル「死ぬほど美味しい料理ってなんかワクワクするね!」
ヒューバート「皆さんの顔色を伺う限り、美味しい物が運ばれて来る気が全然しませんよ」
リチャード「心配するなヒューバート。いざとなったら僕が皆を守る。友達だろ?」
ソフィ「リチャード頼もしい」
アスベル「俺も負けられないな!」
メル「じゃあ早速注文だね!えっと…クレスさん、ご注文はお決まりですか?」
〜続く〜
takeshi「どういうことだオイ……戦闘パートが終わらないじゃなイカ」
リノア「ご利用は計画的にしないとね」
takeshi「当初の計画では特訓1話、ストーリー進行1話のはずだったんですけどねぇ〜」
イーリス「雑談なんかしてるからこうなるんです」
takeshi「雑談は悪くない!と、思います……。そんな訳で今回の楽談はこの二人にお付き合いいただこうと思います」
イーリス「それにしても、Bチームだけ長くないですか?Aチームの2倍はありますよ」
takeshi「Bチームはブライトとフィオナがオリジナル武器なため今まで入れられなかった特徴の解説やらをしてたらこんなことになってしまいました……」
リノア「ブライト先生はいつも生徒のことを考えてるんですね〜」
takeshi「いや、半分はリノア先生のことを考えてますよ。ちなみにマオが詠唱中に歩けるというのもオリジナルです」
イーリス「てめぇやりたい放題だな」
takeshi「いたたたたた!二重人格は設定的にイタイのでやめて!」
イーリス「てめぇが設定したんだろうが!!」
takeshi「ちなみにフィオナの強制詠唱(スペルインターセプト)ですが発動するための決まった台詞はありません。発動する度に「ふざけんじゃないわよ!!!」なんて叫んでたらおかしな人ですからね」
リノア「ヒトをおかしなヒト呼ばわりするのは良くないよ?」
イーリス「というか、強制詠唱(スペルインターセプト)ってパクりですよね?」
takeshi「まぁ、とあるベランダ系アイドルからいただきましたが……それが何か?別にあの術は腹ペコシスターさんだけのものじゃないんだよ?そこらへん勘違いしてほしくないかも」
リノア「開きなおるのもよくないよ?」
takeshi「女神には何も言い返せない……。そんな訳で今回はこの辺で!ではまた〜」
※署名掲示板跡地にて雷電さんを始めとしてコメントをくださった方々、誠にありがとうございました。
掲示板でも述べましたがこの場もお借りして感謝させていただきます。
―――おまけ―――
ロンドリーネ「最近おまけが本編を食い殺す勢いね」
エトス「良いかラ早く前回の続きを始めなよ……」
ロイド「ガストに俺達を集めて何をするつもりなんだ!?」
ロンドリーネ「あぁ、そうだったわね。題して!料理人を当てるまで帰れまテン!!」
チェスター「どっかで聞いたタイトルだなぁおい」
ロンドリーネ「これから貴方達にはメニューを注文してもらって、その料理を誰が作ったのかを当ててもらうわ!注文した料理は一人前を各テーブル毎に分け合って食べても良いし、1人で食べてしまってもかまわない。料理は全テーブル共通だから先に食べおわったテーブルから回答権があたえられるわ。ちなみに料理を選ぶ権利はファンタジアから発売順に変わるから慎重に選ばないと損だよ?」
リッド「要するに料理したヤツを当てたら帰らされちまうんだろ?こっちはたらふく食いてぇんだ。誰も当てようとしねぇだろ」
ロンドリーネ「ふっふっふ、それはこの9人のアイアンシェフを見ても同じことが言えるかしら?」
ヴァン「発表しよう。彼等が審議員に選ばれたアイアンシェフだ」
ヒューバート「番組が変わってるじゃないですか!」
ヴァン「クラトス。貴公にはこの原稿を読んでいただきたい」
クラトス「私がか。……うむ。エントリーNo.1」
ロイド「ナレーションはやっぱクラトスだな!」
ミラ「料理人ではなく格闘家が出てくるような雰囲気を感じるのは私だけだろうか?」
クラトス「エルフの森が生み出せし元祖超絶味覚ブレイカー、アーチェ・クライン!」
アーチェ「イェーイ!!」
チェスター「あいつピースなんてしてるぞ!」
クラース「おそらく悪口を言われている自覚がないんだろう……」
クラトス「エントリーNo.2。最早味覚ブレイカーはハーフエルフの宿命なのか!?リフィル・セイジ!」
リフィル「そこの格好悪い天使さん?少し失礼ではなくって?」
ゼロス「さっすがリフィル様!特典ディスクのジャッジメントに全然懲りていないぜ!!」
プレセア「同じハーフエルフのジーニアスは料理がとても上手です」
ジーニアス「あ、ありがとう!プ、プレ、プレ、プレセア!!」
クラトス「エントリーNo.3。釜の魔術士ハリエット・キャンベル!」
ウィル「ハァリエェーーット!!!」
シャーリィ「ハティも来てたの?」
ハリエット「えぇそうよ。どうしてもハティの料理が食べたいって言うから仕方なくね」
パティ「誰か呼んだかの?」
ユーリ「気のせいだろ」
クラトス「エントリーNo.4。キッチンのジェットストリームアタック、ナタリア・ルツ・キムラスカ・ランバルディア」
ナタリア「よく分かりませんが、頑張らせていただきますわ」
ティア「ナタリア!?」
ジェイド「おや、困りましたね〜」
クラトス「エントリーNo.5。下町上がりの秀才がどこで何を間違えたのか!?苦労人フレン・シーフォ!」
フレン「あげていこうか!」
エステリーゼ「フレンが楽しそうでなによりです」
クラトス「エントリーNo.6。戦うパン屋さんとは彼女のこと。フランスパン片手に今日も時空を越えてやってきた!28代目ワンダーパン職人、ミミー・ブレッド!」
ミミー「ヤッホーだパン!」
リオン「結局あいつはどこのシリーズ出身なんだ?」
セネル「さぁな」
ミミー「ひどいパン!!」
ノーマ「グー姉さんあいつ知ってる?」
グリューネ「え〜っと……忘れてしまったわね〜。でもきっと大事なことではないわ。だって忘れてしまう事ですもの」
ミミー「天然が言うとシャレにならないパン……」
クラトス「エントリーNo.7。漆黒の割烹着に身を包みナイフ片手にライバルへ挑む。ダークワンダーシェフ!」
ダークワンダーシェフ「秘伝のレシピは私のものだ」
ゼロス「コアなやつが出てきたもんだね〜」
クラトス「エントリーNo.8。ある時はフォーク、ある時はフライパン。アイアンを片手に世界を巡る伝道師。ワンダーシェフ!」
ワンダーシェフ「今日は私が料理しよう」
キール「レシピを書けても作れないのでは困るからな」
リーガル「うむ。お手並み拝見といこう」
クラトス「エントリーNo.9。味の結社「すばらしき味の世界」主任料理長!ドラムを叩くような包丁さばきから人はこう呼ぶ。稲妻のリリアン!」
リリアン「親しみを込めてリッちゃんって呼んでね!」
ノーマ「よろしく!リッちゃん!」
シャーリィ「え?」
ノーマ「あり?」
クロエ「ノーマ、少しは考えてしゃべったらどうなんだ?」
ノーマ「いや〜参ったね〜」
ヴァン「以上、9名のアイアンシェフの作った料理をこれから食してもらう」
アニス「アイアンシェフっていうより鉄そのものを作ってきそうな人がいるんだけど……」
ロイド「この企画、油断してたら死人が出るぞ」
シェリア「死人って大袈裟なんじゃ……?」
ミント「世の中には知らない方が幸せなことというものがあるんです」
ミラ「待て。ロンドリーネと言ったか?キミは先ほど誰がどの料理を作ったのかを当てるのがこの企画の趣旨だと言ったな」
ロンドリーネ「そうだよ?例えば最初にファンタジアが何か注文したらそれと同じ料理が全部のテーブルに運ばれるわ。ただし同じ料理でもテーブル毎に作った料理人が違うから、それが誰なのかを当てるんだよ?」
ミラ「欠点が一つあるな。皆の反応を見るかぎり9人の料理人の中には見知った仲がいるようだが、彼等は料理人の作る料理を何度も食べているはずだ。もし私ならジュードの作るマーボーカレーならば絶対に当てる自信がある」
ジュード「ミラ……」
ミラ「だが9人の料理人の中に私達が知る者は1人もいない。これは大きなハンデになるのではないか?」
ユージーン「うむ、彼女の言うとおりだ」
ロンドリーネ「そこは心配しなくて大丈夫だと思うよ?注文するメニューはガストのメニューだからね。作る方も食べる方も初めての料理だから安心して♪」
チェスター「安心できるかバカ野郎!!てことは熟練度1の一番やばかった時期の料理が来るってことじゃねぇか!!」
プレセア「アリシア、そろそろ会えるかも……」
エミル「会っちゃダメだ!!」
ロンドリーネ「納得できた?」
ミラ「うむ、公平性が立証されていれば問題ない。マクスウェルとして見守ろう」
アルヴィン「さり気なく観戦決め込んでんじゃねぇ!!オタクも食うんだよ!!」
ミラ「む、ばれたか」
ローエン「私の目からは逃れられませんよ?」
ロンドリーネ「んじゃ、さっさと始めよっか!」
パスカル「死ぬほど美味しい料理ってなんかワクワクするね!」
ヒューバート「皆さんの顔色を伺う限り、美味しい物が運ばれて来る気が全然しませんよ」
リチャード「心配するなヒューバート。いざとなったら僕が皆を守る。友達だろ?」
ソフィ「リチャード頼もしい」
アスベル「俺も負けられないな!」
メル「じゃあ早速注文だね!えっと…クレスさん、ご注文はお決まりですか?」
〜続く〜