第20話『敗北と夕暮れ』
【Cチーム】
「そういえば、ティトレイと手合わせするのは初めてだね」
カインに言われて思い出してみると、カインを止めるためにヴェイグ達は何度も戦闘をしてきたが、カインと直接拳を交えたことがあるのはジークだけだった。
しかもジークと戦っていた時は無意識のうちに手加減をしていたらしく、本気のカインと戦った経験のある者はいない。
「確かに殴り合うのは初めてたけどよぉ、一緒になら何度も戦ったことがあるだろ?」
ティトレイはストレッチをして全身の筋肉を伸ばしながら言った。
「別に手合わせしなくたって分かることもあるんだぜ?」
同意を求めるように後ろにいるヒルダのほうへと振り返るとヒルダはカードを投げるための素振りを行っていた。
先程までの顔色の悪さは微塵も感じられない。
「ヒルダは大丈夫なのか?」
「愚問ね、ジーク。もし今バイラスかユリスが攻めてきたとして、負けたら船酔いを言い訳にすれば良いのかしら?生憎だけど、私はそんなの御免だわ。二日酔いも船酔いも気持ちの持ちようでどうにでもなるの。そう、スイッチの切り替えとでも言うのかしら?」
つい先刻まで二日酔いだの船酔いだのとグダグダ言っていたのが別人のようにヒルダの言葉にはいつもどおりの棘(とげ)が含まれていた。
「だから遠慮は無用よ。まぁ、あんた達にそんなことをしている余裕があればの話だけど」
「まっ、ジーク達じゃヒルダに指一本触れないだろうけどな〜」
多方ストレッチを終えたティトレイが腕を組みながらヒルダの挑発を煽ると、ジークとカインは拳を握りしめた。
「そうね、もし私に一撃も攻撃を与えられなかったら一日何でも言うことを聞いてもらおうかしら」
「罰ゲームか。上等だ!」
「だったら僕達がヒルダに一撃でも与えられたらそっちにも何か罰ゲームを用意してよ」
「その時は語尾にニャを付けて喋ってやるぜ!」
「・・・・・・は?」
こうして双方罰ゲームが決まったことでより一層気合が入るジークとカインだった。
「あんた、死ぬ気で守らないと後ろから撃つわよ」
「わぁってるって!」
「後悔すんじゃねぇぞ!!」
ジークは強く甲板の床を蹴ると持ち前の瞬速でティトレイとの間を瞬時に詰める。
(相変わらず速ぇ!!)
気付けばジークの拳が眼前に迫っており、ティトレイは即座に右手で受け止めた。
(今のを止めんのかよ!?)
奇襲に失敗したジークだったがそれでも構わなかった。
ジークはティトレイに抑えられた右手に更に力を加えていく。
するとティトレイは何かに気付いたのか、ふと上を見上げるともう片方の手でジークの胸ぐらを掴み上空へと放り投げた。
(まずい!)
放り投げられたジークは空中で身をよじりティトレイとは逆の方向を向く。
ティトレイがなげかけた視線の先には開始早々にヒルダへと攻撃をしかけようと鳳凰天駆で上空から斜め下方へと突撃しようとするカインの姿があった。
ジークはティトレイを足止めをする囮だったのだが、その囮が空に放り投げられたことで蹴りの体制で斜め下に突撃するカインと衝突し、ティトレイの目の前に落下した。
ぶつかった衝撃と甲板に打ち付けられた衝撃に苦痛の色を浮かべる二人だったが、その痛みに悶えている暇はなく、すぐにその場から跳ねのけた。
ティトレイのボウガンからの追撃がきたのである。
そしてこの間にヒルダはライトニング・ソーサリーにより詠唱時間の短縮をさせ、ライトニング・ローブにより一撃だけ攻撃を無効化させた。
「容赦無いっていうか、ティトレイ信用されてないね」
前衛のティトレイを信頼し本当に一撃も受ける心配をしないのならばライトニング・ローブで身を固める必要はないはずだ。
ティトレイもそれは感じたのかヒルダの方を見る。
「保険よ保険」
ヒルダは一枚のカードを口元に寄せて言うが、目は本気そのものだった。
最早二日酔いのヒルダはどこにもいない。
恐らく今彼女の頭の中にはどうやって罰ゲームを確実に回避するかということでいっぱいなのだろう。
「いくわよ」
ヒルダは短く牽制してから詠唱に入る。
「いくよジーク君!」
一瞬寒気を感じた後熱気を感じた気がしたがジークが頷くのと同時に二人はティトレイに向かって飛び、左右から空中で蹴り飛ばした。
しかしティトレイは左右からの攻撃を両腕でガードするとカインは顔をしかめ空中でそのまま反対の足で蹴りをくりだす。
今度は受け止めずにしゃがんでやりすごしたティトレイはそのまま右手だけで体重を支え、カインを蹴り上げた。
「チッ」
一度着地したジークはまだ右手だけで逆立ちをしているティトレイの右手を払おうと低い蹴りをいれたがティトレイは右手だけで跳ね回避し、そのままサマーソルトのように空中で縦回転し、つま先でジークの頭部を蹴り顔面から甲板に打ち付けた。
「貫け。サンダースピア!」
カインが上空へ、ジークが甲板へ蹴り飛ばされた直後にその間を縫うように紫電の槍が光の速度で通りすぎていった。
その槍は甲板の縁を貫通すると海の高波と衝突すると水蒸気爆発を起こした。
(今・・・・・・見えなかった)
(あんなの片手で止められるかよ!!)
ジークの脳裏にたった今船の一部を豆腐のように貫通していった槍を昨晩片手で止めたマティアスの姿が蘇った。
ヒルダは片手が吹き飛んでいるはずと言っていたが、それはハッタリではなかったのだとジークはハッキリと認識した。
「・・・・・・ティトレイ?あんた、邪魔したい訳?」
「わ、悪かったって!!」
今のは本当にティトレイの無計画さに救われた。
だがジークとカインにはここまでの戦闘で新たに分かったことが一つあった。
それはティトレイがほぼ本能に従って戦っているということだ。
本能で戦っているということは一見考え無しに戦っているように思えるが、裏を返せば反射神経がずば抜けているということでもある。
故に速さで上回っているジークの奇襲も通用せず裏をかいた作戦が通じない。
「考えてる暇はねぇぞカイン!」
「分かってる!」
本来ならば一度距離を取り仕切り直したいところが、そんなことをしている間にもヒルダの高速詠唱が終わってしまう。
今はとにかくティトレイという壁を乗り越えヒルダの詠唱を止めるしかない。
そうでなければ罰ゲームを受ける前に命の危機にかかわる。
幸いティトレイは格闘タイプのためリーチは広くない。
突き入る隙があるとすればそこなのだがこちらもリーチの短い格闘が二人である。
そこらへんは組み合わせを考えたブライトから悪意を感じなくもない二人であった。
「扇翔閃!」
ティトレイが上空に向かってボウガンを打つと弾は無数に分裂しジーク達に降り注ぐ。
2人はよけられる物はよけ、よけられないものは殴り落とすことで難を逃れた。
「あのボウガンが厄介だね」
2人はまずティトレイのボウガンを破壊することを目標とし、再び左右二方向に別れながら走った。
そしてやはりジークが先にティトレイとの距離を詰めると右、左、右と拳を伸ばす。
ティトレイは腕を胸の前でクロスさせ防御し、ジークはそこから特技へと繋げる。
「爆砕拳!」
左足を強く踏みしめ、右拳を叩き込む。
ここでフォルスが付加されていれば絶大な破壊力を産む特技だが今のジークは期待していない。
ティトレイのガードを崩すことはできずともボウガンからミシっという音が鳴った。
「はぁあああ!!」
そこへカインが更に追撃を加えるように拳で三撃、攻撃を加える。
「ぐっ・・・・・・」
ここでティトレイが顔をしかめた。
本当ならばティトレイはカインの攻撃を防御するのではなく回避したかった。
さすが6芒星を束ねていただけあって攻撃力はジークと比較にならいのだ。
そしてカインは両足を広げ闘気を両手に集中させ、掌を突き出す。
「掌底破!!」
「ぐあっ!」
ティトレイの防御が崩れたのと当時にボウガンからバギッという音が聞こえた。
矢を装填する部分が完璧にひしゃげてしまい、これではもう撃つことはできない。
もうティトレイからの中距離攻撃はない。
しかし、2人はもう少し早く気づくべきだった。
ヒルダの詠唱がなかなか終わらないことに。
「濁流よ、すべてを吹き飛ばせ!」
「まさか上級導術!?」
ジークとカインは顔色を変えて急いでティトレイから距離をとろうとする。
ティトレイとの距離をとることで再びジークが囮になればカインだけでもヒルダに接近できるはず。
そう考えた2人だったが、ティトレイは笑みを浮かべた。
「甘いぜ二人共!」
ティトレイは両腕に闘気を込めたが構えからして掌底破ではない。
「轟裂破!!」
少しばかり空いていた間を瞬時に詰められ、まだお互いに肩が触れ合う距離にいたジークとカインはティトレイの掌から噴出された闘気に飲み込まれた。
咄嗟にガードした2人だったがそれでも3mほど吹き飛ばされてからようやく止まった。
そして、ヒルダの詠唱が終わる。
「アクアストリーム!」
立ち上がろうにも轟裂破のダメージが残っており膝が言うことをきかない。
「くっそぉおおお!!!」
ジークは悔しさのあまり怒号を散らすが足元から圧縮された水圧が彼らの身を飲み込む。
まるでロケットのように発射された水圧は2人の体をくの字に曲げながら海へと放り投げた。
「目じゃないわ」
「じゃあ何?」
「そういうことじゃなくって・・・・・・。というか、マオ。あんた達も終わったの?」
「今終わったところだヨ」
見るとフィオナが機嫌悪そうにグミを食べていた。
服装は所々が焦げており、かなり際どいことになっている。
だがそれ以上に髪もチリヂリになっておりまともな部分が残っていない。
それでも気にせずにグミばかりを頬張っているのはそれだけ悔しいのだろう。
「どぉれ、回収してやっか!ヒルダ、浮き輪を頼む」
ヒルダの導術を受けるのと同時にカインが回復を行っていたので致命傷にはなっていないだろうが大海を泳ぐ体力までは残っていないだろう。
ティトレイは壊れたボウガンを放り投げてから海へと飛び込んだ。
彼は後でボウガンを修理しなければならない。
マオはマオで氷の像にされたルルとジンの解凍作業へと向かった。
こうして1日目の特訓は終わった。
一旦シャワーを浴び服装を着替えた一同は一つの船室に集まった。
特訓の後はブライトの授業が待っていた。
「勉強よりも今は特訓よ特訓!」
フィオナは不服だとでも言うように文句を言うとブライトはプリントの束でフィオナの頭を叩いた。
「身体だけ鍛えても意味ねぇんだよ。それにお前はとっかかりを掴んだじゃねぇか。短時間でも良い経験になっただろ?」
「まぁ・・・・・・そこらへんのバイラスを相手にするよりは何倍も勉強になったけど・・・・・・」
「じゃあ今度は頭な!」
そういってブライトはプリントを全員に配った。
「とりあえず今日は全員の実力を知るためにテストだ」
直後、全員からブーイングが出たことは言うまでもない。
「そういえば、ティトレイと手合わせするのは初めてだね」
カインに言われて思い出してみると、カインを止めるためにヴェイグ達は何度も戦闘をしてきたが、カインと直接拳を交えたことがあるのはジークだけだった。
しかもジークと戦っていた時は無意識のうちに手加減をしていたらしく、本気のカインと戦った経験のある者はいない。
「確かに殴り合うのは初めてたけどよぉ、一緒になら何度も戦ったことがあるだろ?」
ティトレイはストレッチをして全身の筋肉を伸ばしながら言った。
「別に手合わせしなくたって分かることもあるんだぜ?」
同意を求めるように後ろにいるヒルダのほうへと振り返るとヒルダはカードを投げるための素振りを行っていた。
先程までの顔色の悪さは微塵も感じられない。
「ヒルダは大丈夫なのか?」
「愚問ね、ジーク。もし今バイラスかユリスが攻めてきたとして、負けたら船酔いを言い訳にすれば良いのかしら?生憎だけど、私はそんなの御免だわ。二日酔いも船酔いも気持ちの持ちようでどうにでもなるの。そう、スイッチの切り替えとでも言うのかしら?」
つい先刻まで二日酔いだの船酔いだのとグダグダ言っていたのが別人のようにヒルダの言葉にはいつもどおりの棘(とげ)が含まれていた。
「だから遠慮は無用よ。まぁ、あんた達にそんなことをしている余裕があればの話だけど」
「まっ、ジーク達じゃヒルダに指一本触れないだろうけどな〜」
多方ストレッチを終えたティトレイが腕を組みながらヒルダの挑発を煽ると、ジークとカインは拳を握りしめた。
「そうね、もし私に一撃も攻撃を与えられなかったら一日何でも言うことを聞いてもらおうかしら」
「罰ゲームか。上等だ!」
「だったら僕達がヒルダに一撃でも与えられたらそっちにも何か罰ゲームを用意してよ」
「その時は語尾にニャを付けて喋ってやるぜ!」
「・・・・・・は?」
こうして双方罰ゲームが決まったことでより一層気合が入るジークとカインだった。
「あんた、死ぬ気で守らないと後ろから撃つわよ」
「わぁってるって!」
「後悔すんじゃねぇぞ!!」
ジークは強く甲板の床を蹴ると持ち前の瞬速でティトレイとの間を瞬時に詰める。
(相変わらず速ぇ!!)
気付けばジークの拳が眼前に迫っており、ティトレイは即座に右手で受け止めた。
(今のを止めんのかよ!?)
奇襲に失敗したジークだったがそれでも構わなかった。
ジークはティトレイに抑えられた右手に更に力を加えていく。
するとティトレイは何かに気付いたのか、ふと上を見上げるともう片方の手でジークの胸ぐらを掴み上空へと放り投げた。
(まずい!)
放り投げられたジークは空中で身をよじりティトレイとは逆の方向を向く。
ティトレイがなげかけた視線の先には開始早々にヒルダへと攻撃をしかけようと鳳凰天駆で上空から斜め下方へと突撃しようとするカインの姿があった。
ジークはティトレイを足止めをする囮だったのだが、その囮が空に放り投げられたことで蹴りの体制で斜め下に突撃するカインと衝突し、ティトレイの目の前に落下した。
ぶつかった衝撃と甲板に打ち付けられた衝撃に苦痛の色を浮かべる二人だったが、その痛みに悶えている暇はなく、すぐにその場から跳ねのけた。
ティトレイのボウガンからの追撃がきたのである。
そしてこの間にヒルダはライトニング・ソーサリーにより詠唱時間の短縮をさせ、ライトニング・ローブにより一撃だけ攻撃を無効化させた。
「容赦無いっていうか、ティトレイ信用されてないね」
前衛のティトレイを信頼し本当に一撃も受ける心配をしないのならばライトニング・ローブで身を固める必要はないはずだ。
ティトレイもそれは感じたのかヒルダの方を見る。
「保険よ保険」
ヒルダは一枚のカードを口元に寄せて言うが、目は本気そのものだった。
最早二日酔いのヒルダはどこにもいない。
恐らく今彼女の頭の中にはどうやって罰ゲームを確実に回避するかということでいっぱいなのだろう。
「いくわよ」
ヒルダは短く牽制してから詠唱に入る。
「いくよジーク君!」
一瞬寒気を感じた後熱気を感じた気がしたがジークが頷くのと同時に二人はティトレイに向かって飛び、左右から空中で蹴り飛ばした。
しかしティトレイは左右からの攻撃を両腕でガードするとカインは顔をしかめ空中でそのまま反対の足で蹴りをくりだす。
今度は受け止めずにしゃがんでやりすごしたティトレイはそのまま右手だけで体重を支え、カインを蹴り上げた。
「チッ」
一度着地したジークはまだ右手だけで逆立ちをしているティトレイの右手を払おうと低い蹴りをいれたがティトレイは右手だけで跳ね回避し、そのままサマーソルトのように空中で縦回転し、つま先でジークの頭部を蹴り顔面から甲板に打ち付けた。
「貫け。サンダースピア!」
カインが上空へ、ジークが甲板へ蹴り飛ばされた直後にその間を縫うように紫電の槍が光の速度で通りすぎていった。
その槍は甲板の縁を貫通すると海の高波と衝突すると水蒸気爆発を起こした。
(今・・・・・・見えなかった)
(あんなの片手で止められるかよ!!)
ジークの脳裏にたった今船の一部を豆腐のように貫通していった槍を昨晩片手で止めたマティアスの姿が蘇った。
ヒルダは片手が吹き飛んでいるはずと言っていたが、それはハッタリではなかったのだとジークはハッキリと認識した。
「・・・・・・ティトレイ?あんた、邪魔したい訳?」
「わ、悪かったって!!」
今のは本当にティトレイの無計画さに救われた。
だがジークとカインにはここまでの戦闘で新たに分かったことが一つあった。
それはティトレイがほぼ本能に従って戦っているということだ。
本能で戦っているということは一見考え無しに戦っているように思えるが、裏を返せば反射神経がずば抜けているということでもある。
故に速さで上回っているジークの奇襲も通用せず裏をかいた作戦が通じない。
「考えてる暇はねぇぞカイン!」
「分かってる!」
本来ならば一度距離を取り仕切り直したいところが、そんなことをしている間にもヒルダの高速詠唱が終わってしまう。
今はとにかくティトレイという壁を乗り越えヒルダの詠唱を止めるしかない。
そうでなければ罰ゲームを受ける前に命の危機にかかわる。
幸いティトレイは格闘タイプのためリーチは広くない。
突き入る隙があるとすればそこなのだがこちらもリーチの短い格闘が二人である。
そこらへんは組み合わせを考えたブライトから悪意を感じなくもない二人であった。
「扇翔閃!」
ティトレイが上空に向かってボウガンを打つと弾は無数に分裂しジーク達に降り注ぐ。
2人はよけられる物はよけ、よけられないものは殴り落とすことで難を逃れた。
「あのボウガンが厄介だね」
2人はまずティトレイのボウガンを破壊することを目標とし、再び左右二方向に別れながら走った。
そしてやはりジークが先にティトレイとの距離を詰めると右、左、右と拳を伸ばす。
ティトレイは腕を胸の前でクロスさせ防御し、ジークはそこから特技へと繋げる。
「爆砕拳!」
左足を強く踏みしめ、右拳を叩き込む。
ここでフォルスが付加されていれば絶大な破壊力を産む特技だが今のジークは期待していない。
ティトレイのガードを崩すことはできずともボウガンからミシっという音が鳴った。
「はぁあああ!!」
そこへカインが更に追撃を加えるように拳で三撃、攻撃を加える。
「ぐっ・・・・・・」
ここでティトレイが顔をしかめた。
本当ならばティトレイはカインの攻撃を防御するのではなく回避したかった。
さすが6芒星を束ねていただけあって攻撃力はジークと比較にならいのだ。
そしてカインは両足を広げ闘気を両手に集中させ、掌を突き出す。
「掌底破!!」
「ぐあっ!」
ティトレイの防御が崩れたのと当時にボウガンからバギッという音が聞こえた。
矢を装填する部分が完璧にひしゃげてしまい、これではもう撃つことはできない。
もうティトレイからの中距離攻撃はない。
しかし、2人はもう少し早く気づくべきだった。
ヒルダの詠唱がなかなか終わらないことに。
「濁流よ、すべてを吹き飛ばせ!」
「まさか上級導術!?」
ジークとカインは顔色を変えて急いでティトレイから距離をとろうとする。
ティトレイとの距離をとることで再びジークが囮になればカインだけでもヒルダに接近できるはず。
そう考えた2人だったが、ティトレイは笑みを浮かべた。
「甘いぜ二人共!」
ティトレイは両腕に闘気を込めたが構えからして掌底破ではない。
「轟裂破!!」
少しばかり空いていた間を瞬時に詰められ、まだお互いに肩が触れ合う距離にいたジークとカインはティトレイの掌から噴出された闘気に飲み込まれた。
咄嗟にガードした2人だったがそれでも3mほど吹き飛ばされてからようやく止まった。
そして、ヒルダの詠唱が終わる。
「アクアストリーム!」
立ち上がろうにも轟裂破のダメージが残っており膝が言うことをきかない。
「くっそぉおおお!!!」
ジークは悔しさのあまり怒号を散らすが足元から圧縮された水圧が彼らの身を飲み込む。
まるでロケットのように発射された水圧は2人の体をくの字に曲げながら海へと放り投げた。
「目じゃないわ」
「じゃあ何?」
「そういうことじゃなくって・・・・・・。というか、マオ。あんた達も終わったの?」
「今終わったところだヨ」
見るとフィオナが機嫌悪そうにグミを食べていた。
服装は所々が焦げており、かなり際どいことになっている。
だがそれ以上に髪もチリヂリになっておりまともな部分が残っていない。
それでも気にせずにグミばかりを頬張っているのはそれだけ悔しいのだろう。
「どぉれ、回収してやっか!ヒルダ、浮き輪を頼む」
ヒルダの導術を受けるのと同時にカインが回復を行っていたので致命傷にはなっていないだろうが大海を泳ぐ体力までは残っていないだろう。
ティトレイは壊れたボウガンを放り投げてから海へと飛び込んだ。
彼は後でボウガンを修理しなければならない。
マオはマオで氷の像にされたルルとジンの解凍作業へと向かった。
こうして1日目の特訓は終わった。
一旦シャワーを浴び服装を着替えた一同は一つの船室に集まった。
特訓の後はブライトの授業が待っていた。
「勉強よりも今は特訓よ特訓!」
フィオナは不服だとでも言うように文句を言うとブライトはプリントの束でフィオナの頭を叩いた。
「身体だけ鍛えても意味ねぇんだよ。それにお前はとっかかりを掴んだじゃねぇか。短時間でも良い経験になっただろ?」
「まぁ・・・・・・そこらへんのバイラスを相手にするよりは何倍も勉強になったけど・・・・・・」
「じゃあ今度は頭な!」
そういってブライトはプリントを全員に配った。
「とりあえず今日は全員の実力を知るためにテストだ」
直後、全員からブーイングが出たことは言うまでもない。
■作者メッセージ
【楽談パート5】takeshi「ども〜!最近黒子のバスケにドハマリしてしまったtakeshiです」
アニー「あの……なぜ今日は私だけなんですか?」
takeshi「そりゃあやっぱりアレですよ。とある魔術が映画化したじゃないですか!そこら辺どう思っているのかなって」
アニー「そんな理由なんですか!?というか、結局中の人ネタなんですね」
takeshi「いやだって劇場版では佐天さんも出るっぽいじゃないですか!それに佐天さんと言えば花咲くいろはも映画化ということで、退院したら借りるDVDが目白押しですよ!」
アニー「はぁ……。こんなことを言うのもなんですけど、それでしたら私よりカノンノさんを呼べば良かったんじゃないですか?」
takeshi「イアハートさんはTORキャラじゃないからダメですよ。基本的にここで雑談するのは本編に出てくるキャラと暗黙の了解で決っているのです」
アニー「でしたら本編の話をしませんか?」
takeshi「アニーがそこまで言うならちょっとだけしましょうか。ちなみに今回は珍しく二話連続投稿したので調子に乗って楽談オンリーです。その分次回はオマケオンリーです」
アニー「ふ、2人だけでそんなに話すんですか!?」
takeshi「2人だからこそですよ!あまり人が多いとそのぶん字数が余計に取られてしまい、あまり話せなくなってしまいますからね」
アニー「何をそんなに話すんですか?」
takeshi「例えば京都アニメーションの作品はどれを見てもハズレがないこととか」
アニー「でもtakeshiさん、たまこまーけっとは劣化けいおんだって言ってましたよね?」
takeshi「ま、まぁそれはそうなんですけど……。でも他の日常系アニメと比べると面白いほうなんですよ!京アニにしてはつまらないだけであって、相変わらず無駄に豪華な声優ばかりを使わないところとかスゴいじゃないですか!」
アニー「takeshiさんって京アニ信者という人だったんですね……」
takeshi「ちなみに京都アニメーションが制作したアニメのランキングというのがあるのですが、フルメタルパニック、ラキ☆スタ、中二病でも恋がしたいを抑えて氷菓が上位に食い込んでるんですよ!氷菓は友達からDVDを借りる予定なのでまだ見てないから何も言えませんがフルメタを越えるのか!?それに中二病にいたっては近年稀にみるドハマリしたアニメで多分私が今まで見たアニメの中でも上位に入るアニメなんです。それを越えるとかちょっと信じられない今日この頃です」
アニー「…………」
takeshi「聞いてました?」
アニー「ここまで読んでくれている人ってどれくらいいるんでしょうか?」
takeshi「い、いますよ!きっと!私の京アニに対する持論に文句がある方は感想欄にじゃんじゃん書きこんでいただきたいぐらいです!」
アニー「さりげなく感想の数を増やそうとしないでください!そういうやりかたは汚いと思います」
takeshi「アニーの視線が痛いので結局触れてない本編の話をしますか……」
アニー「退屈そうにしないでください」
takeshi「(なんか真面目すぎて人選間違えたかな……?)とりあえず今回の話で一日目の特訓は終了です。読み返してみるとジークとカインだけが一方的に負けたように見えますが彼らは元からのポテンシャルが既にヴェイグ達と匹敵しているため、では彼らに足りないものは何なのか?それを見つけるのが2人の課題だったりします」
アニー「やればできるんですね……」
takeshi「ちなみに次回の話にも触れておきますと、久し振りに自分の書きたいように書けた話なのでちょっとお気に入りだったりします。最近ご無沙汰だった彼女も登場しますしね!」
アニー「彼女の存在を忘れてたんですか?」
takeshi「実は登場キャラを1人忘れてたなんてことはザラにあるのですが彼女のことは一度も忘れたことはありません!いなかったことにはきちんとした理由があるので覚えておいてください」
アニー「あと新しい出会いもありましたよね?」
takeshi「そうなんです!ここにきてまたもや新キャラ登場です!今回は第二部のストーリーを進めているわけですが実は全部通して登場キャラ数を平均的にするというのが私のモットーなのです。ということは次の第三部では一体キャラクター数がどれだけになるのか。覚えていただくキャラが多くて大変です……」
アニー「そういえばキャラクター数が無駄に多い小説は駄作だってヒルダさんが言っていましたよ?」
takeshi「まぁ確かに駄作が多いですけど、それを言ったらとある魔術だって第三期から登場キャラが爆発的に増えるじゃないですか。しかも使い捨てキャラもいるし。それを踏まえれば私のところには使い捨てキャラは1人もいませんからね!」
アニー「すごく喧嘩を売っていませんか?」
takeshi「いえいえ?純粋に尊敬してますよ?」
アニー「そうですか?」
takeshi「そういえばさっきチョロっとカノンノの話が出ましたが、パスカ・カノンノも懐かしいですね!」
アニー「あの自称魔法少女ですね?」
takeshi「あまりにオリジナルがどうしようもないので私が勝手にキャラ付けしたものなのですが、出番こそ無かったものの他の2人にも第二のキャラ付けがあったんですよ?」
アニー「どういうキャラなんですか?」
takeshi「まずイアハートはツンデレ。そしてグラスバレーはビッチ」
アニー「ビッチって……。怒られてもしりませんよ?」
takeshi「その時はその時です」
アニー「でも何で突然カノンノさんの話をし始めたんですか?」
takeshi「実は次回のオマケへの伏線だったりします」
アニー「次回も楽しみですね」
takeshi「楽しみにしていてくださると幸いです!ではまた〜」
アニー「あの……なぜ今日は私だけなんですか?」
takeshi「そりゃあやっぱりアレですよ。とある魔術が映画化したじゃないですか!そこら辺どう思っているのかなって」
アニー「そんな理由なんですか!?というか、結局中の人ネタなんですね」
takeshi「いやだって劇場版では佐天さんも出るっぽいじゃないですか!それに佐天さんと言えば花咲くいろはも映画化ということで、退院したら借りるDVDが目白押しですよ!」
アニー「はぁ……。こんなことを言うのもなんですけど、それでしたら私よりカノンノさんを呼べば良かったんじゃないですか?」
takeshi「イアハートさんはTORキャラじゃないからダメですよ。基本的にここで雑談するのは本編に出てくるキャラと暗黙の了解で決っているのです」
アニー「でしたら本編の話をしませんか?」
takeshi「アニーがそこまで言うならちょっとだけしましょうか。ちなみに今回は珍しく二話連続投稿したので調子に乗って楽談オンリーです。その分次回はオマケオンリーです」
アニー「ふ、2人だけでそんなに話すんですか!?」
takeshi「2人だからこそですよ!あまり人が多いとそのぶん字数が余計に取られてしまい、あまり話せなくなってしまいますからね」
アニー「何をそんなに話すんですか?」
takeshi「例えば京都アニメーションの作品はどれを見てもハズレがないこととか」
アニー「でもtakeshiさん、たまこまーけっとは劣化けいおんだって言ってましたよね?」
takeshi「ま、まぁそれはそうなんですけど……。でも他の日常系アニメと比べると面白いほうなんですよ!京アニにしてはつまらないだけであって、相変わらず無駄に豪華な声優ばかりを使わないところとかスゴいじゃないですか!」
アニー「takeshiさんって京アニ信者という人だったんですね……」
takeshi「ちなみに京都アニメーションが制作したアニメのランキングというのがあるのですが、フルメタルパニック、ラキ☆スタ、中二病でも恋がしたいを抑えて氷菓が上位に食い込んでるんですよ!氷菓は友達からDVDを借りる予定なのでまだ見てないから何も言えませんがフルメタを越えるのか!?それに中二病にいたっては近年稀にみるドハマリしたアニメで多分私が今まで見たアニメの中でも上位に入るアニメなんです。それを越えるとかちょっと信じられない今日この頃です」
アニー「…………」
takeshi「聞いてました?」
アニー「ここまで読んでくれている人ってどれくらいいるんでしょうか?」
takeshi「い、いますよ!きっと!私の京アニに対する持論に文句がある方は感想欄にじゃんじゃん書きこんでいただきたいぐらいです!」
アニー「さりげなく感想の数を増やそうとしないでください!そういうやりかたは汚いと思います」
takeshi「アニーの視線が痛いので結局触れてない本編の話をしますか……」
アニー「退屈そうにしないでください」
takeshi「(なんか真面目すぎて人選間違えたかな……?)とりあえず今回の話で一日目の特訓は終了です。読み返してみるとジークとカインだけが一方的に負けたように見えますが彼らは元からのポテンシャルが既にヴェイグ達と匹敵しているため、では彼らに足りないものは何なのか?それを見つけるのが2人の課題だったりします」
アニー「やればできるんですね……」
takeshi「ちなみに次回の話にも触れておきますと、久し振りに自分の書きたいように書けた話なのでちょっとお気に入りだったりします。最近ご無沙汰だった彼女も登場しますしね!」
アニー「彼女の存在を忘れてたんですか?」
takeshi「実は登場キャラを1人忘れてたなんてことはザラにあるのですが彼女のことは一度も忘れたことはありません!いなかったことにはきちんとした理由があるので覚えておいてください」
アニー「あと新しい出会いもありましたよね?」
takeshi「そうなんです!ここにきてまたもや新キャラ登場です!今回は第二部のストーリーを進めているわけですが実は全部通して登場キャラ数を平均的にするというのが私のモットーなのです。ということは次の第三部では一体キャラクター数がどれだけになるのか。覚えていただくキャラが多くて大変です……」
アニー「そういえばキャラクター数が無駄に多い小説は駄作だってヒルダさんが言っていましたよ?」
takeshi「まぁ確かに駄作が多いですけど、それを言ったらとある魔術だって第三期から登場キャラが爆発的に増えるじゃないですか。しかも使い捨てキャラもいるし。それを踏まえれば私のところには使い捨てキャラは1人もいませんからね!」
アニー「すごく喧嘩を売っていませんか?」
takeshi「いえいえ?純粋に尊敬してますよ?」
アニー「そうですか?」
takeshi「そういえばさっきチョロっとカノンノの話が出ましたが、パスカ・カノンノも懐かしいですね!」
アニー「あの自称魔法少女ですね?」
takeshi「あまりにオリジナルがどうしようもないので私が勝手にキャラ付けしたものなのですが、出番こそ無かったものの他の2人にも第二のキャラ付けがあったんですよ?」
アニー「どういうキャラなんですか?」
takeshi「まずイアハートはツンデレ。そしてグラスバレーはビッチ」
アニー「ビッチって……。怒られてもしりませんよ?」
takeshi「その時はその時です」
アニー「でも何で突然カノンノさんの話をし始めたんですか?」
takeshi「実は次回のオマケへの伏線だったりします」
アニー「次回も楽しみですね」
takeshi「楽しみにしていてくださると幸いです!ではまた〜」