第40話『洞窟と職人』
ヴェイグ達は巨大な鳥が描かれた地上絵を辿りながらクチバシへあたる箇所へ到着した。
すると、遠目では分からなかったが確かに人一人分の大きさの穴が垂直に地下へ向かって空いていた。
その穴には縄梯子がかかっており、どうやら骨董屋の店主はこの縄梯子を利用して降りていたことが伺えた。
「結構深そうだな」
ティトレイが覗き込んだ後ユージーンがどうように覗き込んでみる。
「いや、そうでもないようだ。7メートルほどくだれば地面に着くだろう」
中は薄暗いためよく見えないが、夜目のきくユージーンが目を光らせながら言うのだから間違い無い。
8人は縄梯子をつたい、洞窟の中へ潜り始めた。
一方、ピピスタでお留守番のマオ、ヒルダ、フィオナ、ルル、カイトの5人は再び街を散策していた。
というのも金属の問題は何とかなりそうだが、まだ人手の問題が残っている。
エンジンの軽量化にはユージーンに心当たりがあると言っていたがそれも絶対ではない。
今のうちにやれることはやっておこうとマオ達は何かヒントがないか街を歩き周り、入り口にさしかかった時である。
「や、やっと見つけた……」
木の枝を杖代わりにし、男性の視線を釘付けにするいかにも重たそうなメロンを胸にぶらさげながら緑の髪の女性がよたよたと歩み寄ると、マオの手前でばたりと地面に倒れた。
「だ、大丈夫!?」
「み、みず……」
「ミミズ?」
「殺すぞコラ!あっ……」
ルルが首を傾げながら言うと緑の髪の女性はルルを睨んだ後気絶した。
「とにかく宿屋に運ぼうよ!!」
カイトが慌てながら言うが、男性がこの女性を背負うとなると胸が背中でお祭り騒ぎになってしまうためフィオナが
「私が運ぶ」
背負うと思いきや影からナイラが瞬時に飛び出し、気付いた時には既に女性を背負っていた。
「では宿屋まで運んでもらおうかしら?」
「私に命令するな」
そう言いながらもナイラは宿屋へ向かい、ヒルダはため息をついた。
「にやけながら言われても全然迫力無いのだけど」
「ねぇヒルダ、今のヒトって船を修理してくれたヒトじゃない?」
フィオナは薔薇の香りと爆乳を思い出しながら言うとヒルダは頷いた。
「そうね。彼女が目をさましたらいろいろときく必要がありそうね」
こうしてマオ達もナイラの後を追うようにして宿屋へ向かった。
「中は意外と明るいんだ……」
最後にジンが縄梯子から地面に足を下ろすと率直な感想を漏らした。
中はトンネルのように先へ繋がっているようだが幅も高さも2メートル強しかなく、ユージーンに至っては天井スレスレである。
しかしジンの言うとおり鉱石のような物が外からの僅かな光を反射し、蝋燭のような役割を果たしていた。
「これは石英が光を反射してんのか?」
「ブライト、研究熱心なのはいいが今はリヒトワームを探すことが先決だ」
「わかってるよ」
石英をまじまじと観察していたブライトだがユージーンに指摘されたことで名残惜しさはあったが先へ進むことにする。
「く、暗いですね……」
さっきジンが意外と明るいと言ったばかりななのにと思いながら、何故か最後尾を歩いているアニーを振り返るとおどおどした様子で歩いていた。
「何か話しながら歩こうか」
アニーの前を歩いていたカインが提案するとアニーは何か思い出したのか両手を胸の前で合わせた。
「だったら私、カインさんに聞きたいことがあったんです」
カインは首を傾げる。
「物を再生するというのはどんな感覚なんですか?」
「難しい質問だなぁ。感覚というよりイメージして再生するんだよ」
「イメージ?」
「そう。だから物体とヒトを再生する時じゃ違うイメージなんだけど……分かる?」
「つまり元はどんな状態だったかイメージしながらフォルスを使うってことですよね。じゃあヒトを再生する時も体の一部一部をイメージしてるんですか?」
「うんまぁ……。でも血管をイメージするのって難しいんだよね。なんか迷路みたいでさ」
「あ、分かります!ヒトによって血管の位置が違うから覚えても無意味なんですよね!私なんてお父さんに注射の練習につきあってもらったのに何本も針をダメにしてしまったんですよ?」
「たまに血管が細いヒトもいるもんね。でもガジュマって血管が硬いから注射大変じゃない?」
「あぁ、それは……」
二人の会話を前を歩く6人は顔を青くしながら聞いていた。
「カインは生体について詳しいんだな」
ヴェイグがぼそっと呟くとブライトは笑った。
「あいつは循環機能あたりの成績はずば抜けてたからな」
「俺、カインに再生された時に中身のこと想像されてたのかよ……」
「むぅ……」
ジークとユージーンは突然寒気に襲われたかのように身震いした。
「しっかし、アニーも楽しそうに話すよな!」
「医者を目指すものなど今までミーシャしかいなかったからな。目指す道は違えど自分の得意分野の話をできる相手が見つかって嬉しいのだろう」
ティトレイにつられてユージーンもフっと笑みをこぼした。
もうアニーの中に恐怖という2文字はすっかり消えたようだった。
一方、宿屋では緑のモブ子が目を覚まし、上体だけ起き上がると額に乗っていた氷嚢が膝に落ちた。
「ここはどこだ?」
「宿屋よ」
緑のモブ子が周囲を見渡しているとフィオナがお盆にのったコップを差し出した。
それを見て緑のモブ子は喉が渇いていたことを思い出すとコップを受け取るなり一気に飲み干した。
「くぁ〜っ!生き返るぅ〜!!」
「そんな大袈裟な……」
豪快な飲みっぷりにフィオナが若干引くと、それを察した緑のモブ子は目を逸らしながらフィオナのお盆にそっとコップを戻した。
「あ、ありがとう……」
緑のモブ子は手遅れだと思いながらも一応礼を言うと、マオ達もふきぬけの階段を登ってきた。
「あら、気がついたのね」
ヒルダの声に反応して緑のモブ子はヒルダをまじまじと観察した後、フィオナを見た。
そしてもう一度ヒルダを見た後フィオナに視線を移す。
「そうだ!あたしはあんたらのせいでエライ目にあったんだ!礼なんか言って損しちまったじゃねぇか!!」
「それって、君が街の入り口で倒れたことと関係あるの?」
緑のモブ子は大きく頷くと、ことの経緯を勝手に話し始めた。
事の発端はバルカから始まったらしい。
クインシェルからの大型船がバルカ港に到着した後、緑のモブ子の故郷へ帰るための便に乗り換えるため港で時間を潰していた。
しかし出港時刻までもう少しというところでバイラスの大群が襲来し、船は沈没した。
これでは帰れないと困っているところに黒い船が入港し、その船に大型船で会ったヒルダとフィオナが乗り込んだため自分も乗り込んだのだという。
どこに向かうのかは知らないがとにかくどこかの港へ着けばそこから故郷行きの船を探す。
そう思っていたのにもかかわらず船は何もない湿原と砂丘の境目に接岸したため、モブ子も致し方なく降りた。
そこから彼女の苦難は幕を開けた。
当てにしていたフィオナ達はラジルダ方面に向かうがあの街は沈んでいるため行っても何もないことは知っている。
ならばピピスタへ向かおう。
そう決意して砂丘を登ったが如何せん土地勘がないため昼夜彷徨い続け、夜になると一気に冷え込んだため地上絵の接点である聖壇に火を灯し、一晩を明かそうとしたがその火を目印に大量のバイラスが群がってきたため一晩中逃げ回ったという。
いつからバイラスが追ってこなくなったのかは分からないが空腹と喉の渇きに耐え、大きな塔の中で夜を明かした後ようやくヒルダとフィオナを発見したのだということだった。
「えぇっと、気の毒だけど今はどこの港からも船は出てないと思うよ?」
「何だと!?」
緑のモブ子は座ったままマオに掴みかかるとその迫力にルルは思わず目を閉じ耳が垂れた。
しかしそこでヒルダは何か閃いたのか笑みを浮かべた。
「あんた、金槌があれば大抵のことはできるって言ってたわよね?」
「あ?まぁな」
「じゃあ私達の手伝いをしてくれないかしら?そしたらあなたを故郷に帰らせてあげるわ」
得意気な表情をしていた緑のモブ子はヒルダの言葉を聞くなり鼻で笑った。
「はっ、生憎あたしは金にならない仕事は請け負わない主義なんでね」
「そう、残念ね。今私達は空を飛ぶためのものを作っているのだけど、もし完成すればどこにでも飛んでいけるというのに」
「空……だって?」
緑のモブ子は眉をひそめるがヒルダは気にせずに続ける。
「本当に残念だわ。凄腕の職人が手伝ってくれれば完成も早くなって、何処かへ帰りたいってヒトも優先的に帰らせてあげられるっていうのに」
最後にヒルダは緑のモブ子を見下げながら、ため息をつく。
「でも、仕方ないわね」
緑のモブ子は舌打ちをする。
「は、話を聞こうじゃないか……」
ヒルダは勝ち誇ったように笑みを浮かべると、マオとルルがハイタッチした。
「つうか、設計図くらいあるんだろうな?」
悔しそうに上目遣いで訪ねるとカイトは懐から折りたたんだ羊皮紙を取り出した。
「一応これが設計図だよ」
緑のモブ子は羊皮紙を広げると一瞬で目を通した。
「なるほどな。確かにこれなら浮くぐらいはできるかもな」
緑のモブ子は一瞬でカイトの模型が空を浮く程度でまだ飛べる段階ではないことを見破った。
「飛ぶ算段はもうついているわ。ただあなたは一度倒れたのだし仲間に医者がいるから彼女が帰ってくるまで休んでなさい」
「へいへい、じゃああたしはもう少し寝かせてもらうとするかね」
そういって緑のモブ子は大きなメロンを揺らしながら布団に潜った。
そんなメロンを見てルルがこっそりと自分の胸を何回かさすった。
ルルの小さな乙女心など露知らずジーク達は少し広い空間に出ていた。
どうやらここが行き止まりのようで天井は5メートルほど上にある。
更に奥行きや横幅も十分にあり、その壁にはいくつもの小さな穴が開いていた。
その無数の小さな穴からは紫色をした芋虫のような形をした生物、おそらくリヒトワームが出入りしていた。
そして空間の奥中央には大仏が鎮座するかのように白い繭に包まれた楕円形の物体が無数の糸を束ねたもので吊るされていた。
「これって成虫の繭じゃねぇか?」
ジークが言うと全員咄嗟に武器を構えた。
が、ブライトが武器を下ろすように指示する。
「落ち着けって。店主が言ってただろ?孵化するのは100年に1度。それにこの土地の暑さじゃ孵化できねぇって」
「ブライトの言うとおりだ。だが油断はするなよ。少しの衝撃で目を覚ます可能性もある」
ユージーンの言葉に全員頷いた。
「で?リヒトワームからはどうやって糸を吐かせるんだ?警戒したら糸を吐くっつっても、こいつらのほほんとしてやがるぜ?」
ティトレイの言う通り、これだけ人間が接近しているというのにリヒトワームは地面を這いながらスピードを崩さず洞窟を徘徊し続けている。
「心は痛むが、脅すしかねぇだろうな」
「結局戦うんだね……」
ブライトは困ったように言い、カインも苦笑いしながらグローブを構えた。
〜続く〜
すると、遠目では分からなかったが確かに人一人分の大きさの穴が垂直に地下へ向かって空いていた。
その穴には縄梯子がかかっており、どうやら骨董屋の店主はこの縄梯子を利用して降りていたことが伺えた。
「結構深そうだな」
ティトレイが覗き込んだ後ユージーンがどうように覗き込んでみる。
「いや、そうでもないようだ。7メートルほどくだれば地面に着くだろう」
中は薄暗いためよく見えないが、夜目のきくユージーンが目を光らせながら言うのだから間違い無い。
8人は縄梯子をつたい、洞窟の中へ潜り始めた。
一方、ピピスタでお留守番のマオ、ヒルダ、フィオナ、ルル、カイトの5人は再び街を散策していた。
というのも金属の問題は何とかなりそうだが、まだ人手の問題が残っている。
エンジンの軽量化にはユージーンに心当たりがあると言っていたがそれも絶対ではない。
今のうちにやれることはやっておこうとマオ達は何かヒントがないか街を歩き周り、入り口にさしかかった時である。
「や、やっと見つけた……」
木の枝を杖代わりにし、男性の視線を釘付けにするいかにも重たそうなメロンを胸にぶらさげながら緑の髪の女性がよたよたと歩み寄ると、マオの手前でばたりと地面に倒れた。
「だ、大丈夫!?」
「み、みず……」
「ミミズ?」
「殺すぞコラ!あっ……」
ルルが首を傾げながら言うと緑の髪の女性はルルを睨んだ後気絶した。
「とにかく宿屋に運ぼうよ!!」
カイトが慌てながら言うが、男性がこの女性を背負うとなると胸が背中でお祭り騒ぎになってしまうためフィオナが
「私が運ぶ」
背負うと思いきや影からナイラが瞬時に飛び出し、気付いた時には既に女性を背負っていた。
「では宿屋まで運んでもらおうかしら?」
「私に命令するな」
そう言いながらもナイラは宿屋へ向かい、ヒルダはため息をついた。
「にやけながら言われても全然迫力無いのだけど」
「ねぇヒルダ、今のヒトって船を修理してくれたヒトじゃない?」
フィオナは薔薇の香りと爆乳を思い出しながら言うとヒルダは頷いた。
「そうね。彼女が目をさましたらいろいろときく必要がありそうね」
こうしてマオ達もナイラの後を追うようにして宿屋へ向かった。
「中は意外と明るいんだ……」
最後にジンが縄梯子から地面に足を下ろすと率直な感想を漏らした。
中はトンネルのように先へ繋がっているようだが幅も高さも2メートル強しかなく、ユージーンに至っては天井スレスレである。
しかしジンの言うとおり鉱石のような物が外からの僅かな光を反射し、蝋燭のような役割を果たしていた。
「これは石英が光を反射してんのか?」
「ブライト、研究熱心なのはいいが今はリヒトワームを探すことが先決だ」
「わかってるよ」
石英をまじまじと観察していたブライトだがユージーンに指摘されたことで名残惜しさはあったが先へ進むことにする。
「く、暗いですね……」
さっきジンが意外と明るいと言ったばかりななのにと思いながら、何故か最後尾を歩いているアニーを振り返るとおどおどした様子で歩いていた。
「何か話しながら歩こうか」
アニーの前を歩いていたカインが提案するとアニーは何か思い出したのか両手を胸の前で合わせた。
「だったら私、カインさんに聞きたいことがあったんです」
カインは首を傾げる。
「物を再生するというのはどんな感覚なんですか?」
「難しい質問だなぁ。感覚というよりイメージして再生するんだよ」
「イメージ?」
「そう。だから物体とヒトを再生する時じゃ違うイメージなんだけど……分かる?」
「つまり元はどんな状態だったかイメージしながらフォルスを使うってことですよね。じゃあヒトを再生する時も体の一部一部をイメージしてるんですか?」
「うんまぁ……。でも血管をイメージするのって難しいんだよね。なんか迷路みたいでさ」
「あ、分かります!ヒトによって血管の位置が違うから覚えても無意味なんですよね!私なんてお父さんに注射の練習につきあってもらったのに何本も針をダメにしてしまったんですよ?」
「たまに血管が細いヒトもいるもんね。でもガジュマって血管が硬いから注射大変じゃない?」
「あぁ、それは……」
二人の会話を前を歩く6人は顔を青くしながら聞いていた。
「カインは生体について詳しいんだな」
ヴェイグがぼそっと呟くとブライトは笑った。
「あいつは循環機能あたりの成績はずば抜けてたからな」
「俺、カインに再生された時に中身のこと想像されてたのかよ……」
「むぅ……」
ジークとユージーンは突然寒気に襲われたかのように身震いした。
「しっかし、アニーも楽しそうに話すよな!」
「医者を目指すものなど今までミーシャしかいなかったからな。目指す道は違えど自分の得意分野の話をできる相手が見つかって嬉しいのだろう」
ティトレイにつられてユージーンもフっと笑みをこぼした。
もうアニーの中に恐怖という2文字はすっかり消えたようだった。
一方、宿屋では緑のモブ子が目を覚まし、上体だけ起き上がると額に乗っていた氷嚢が膝に落ちた。
「ここはどこだ?」
「宿屋よ」
緑のモブ子が周囲を見渡しているとフィオナがお盆にのったコップを差し出した。
それを見て緑のモブ子は喉が渇いていたことを思い出すとコップを受け取るなり一気に飲み干した。
「くぁ〜っ!生き返るぅ〜!!」
「そんな大袈裟な……」
豪快な飲みっぷりにフィオナが若干引くと、それを察した緑のモブ子は目を逸らしながらフィオナのお盆にそっとコップを戻した。
「あ、ありがとう……」
緑のモブ子は手遅れだと思いながらも一応礼を言うと、マオ達もふきぬけの階段を登ってきた。
「あら、気がついたのね」
ヒルダの声に反応して緑のモブ子はヒルダをまじまじと観察した後、フィオナを見た。
そしてもう一度ヒルダを見た後フィオナに視線を移す。
「そうだ!あたしはあんたらのせいでエライ目にあったんだ!礼なんか言って損しちまったじゃねぇか!!」
「それって、君が街の入り口で倒れたことと関係あるの?」
緑のモブ子は大きく頷くと、ことの経緯を勝手に話し始めた。
事の発端はバルカから始まったらしい。
クインシェルからの大型船がバルカ港に到着した後、緑のモブ子の故郷へ帰るための便に乗り換えるため港で時間を潰していた。
しかし出港時刻までもう少しというところでバイラスの大群が襲来し、船は沈没した。
これでは帰れないと困っているところに黒い船が入港し、その船に大型船で会ったヒルダとフィオナが乗り込んだため自分も乗り込んだのだという。
どこに向かうのかは知らないがとにかくどこかの港へ着けばそこから故郷行きの船を探す。
そう思っていたのにもかかわらず船は何もない湿原と砂丘の境目に接岸したため、モブ子も致し方なく降りた。
そこから彼女の苦難は幕を開けた。
当てにしていたフィオナ達はラジルダ方面に向かうがあの街は沈んでいるため行っても何もないことは知っている。
ならばピピスタへ向かおう。
そう決意して砂丘を登ったが如何せん土地勘がないため昼夜彷徨い続け、夜になると一気に冷え込んだため地上絵の接点である聖壇に火を灯し、一晩を明かそうとしたがその火を目印に大量のバイラスが群がってきたため一晩中逃げ回ったという。
いつからバイラスが追ってこなくなったのかは分からないが空腹と喉の渇きに耐え、大きな塔の中で夜を明かした後ようやくヒルダとフィオナを発見したのだということだった。
「えぇっと、気の毒だけど今はどこの港からも船は出てないと思うよ?」
「何だと!?」
緑のモブ子は座ったままマオに掴みかかるとその迫力にルルは思わず目を閉じ耳が垂れた。
しかしそこでヒルダは何か閃いたのか笑みを浮かべた。
「あんた、金槌があれば大抵のことはできるって言ってたわよね?」
「あ?まぁな」
「じゃあ私達の手伝いをしてくれないかしら?そしたらあなたを故郷に帰らせてあげるわ」
得意気な表情をしていた緑のモブ子はヒルダの言葉を聞くなり鼻で笑った。
「はっ、生憎あたしは金にならない仕事は請け負わない主義なんでね」
「そう、残念ね。今私達は空を飛ぶためのものを作っているのだけど、もし完成すればどこにでも飛んでいけるというのに」
「空……だって?」
緑のモブ子は眉をひそめるがヒルダは気にせずに続ける。
「本当に残念だわ。凄腕の職人が手伝ってくれれば完成も早くなって、何処かへ帰りたいってヒトも優先的に帰らせてあげられるっていうのに」
最後にヒルダは緑のモブ子を見下げながら、ため息をつく。
「でも、仕方ないわね」
緑のモブ子は舌打ちをする。
「は、話を聞こうじゃないか……」
ヒルダは勝ち誇ったように笑みを浮かべると、マオとルルがハイタッチした。
「つうか、設計図くらいあるんだろうな?」
悔しそうに上目遣いで訪ねるとカイトは懐から折りたたんだ羊皮紙を取り出した。
「一応これが設計図だよ」
緑のモブ子は羊皮紙を広げると一瞬で目を通した。
「なるほどな。確かにこれなら浮くぐらいはできるかもな」
緑のモブ子は一瞬でカイトの模型が空を浮く程度でまだ飛べる段階ではないことを見破った。
「飛ぶ算段はもうついているわ。ただあなたは一度倒れたのだし仲間に医者がいるから彼女が帰ってくるまで休んでなさい」
「へいへい、じゃああたしはもう少し寝かせてもらうとするかね」
そういって緑のモブ子は大きなメロンを揺らしながら布団に潜った。
そんなメロンを見てルルがこっそりと自分の胸を何回かさすった。
ルルの小さな乙女心など露知らずジーク達は少し広い空間に出ていた。
どうやらここが行き止まりのようで天井は5メートルほど上にある。
更に奥行きや横幅も十分にあり、その壁にはいくつもの小さな穴が開いていた。
その無数の小さな穴からは紫色をした芋虫のような形をした生物、おそらくリヒトワームが出入りしていた。
そして空間の奥中央には大仏が鎮座するかのように白い繭に包まれた楕円形の物体が無数の糸を束ねたもので吊るされていた。
「これって成虫の繭じゃねぇか?」
ジークが言うと全員咄嗟に武器を構えた。
が、ブライトが武器を下ろすように指示する。
「落ち着けって。店主が言ってただろ?孵化するのは100年に1度。それにこの土地の暑さじゃ孵化できねぇって」
「ブライトの言うとおりだ。だが油断はするなよ。少しの衝撃で目を覚ます可能性もある」
ユージーンの言葉に全員頷いた。
「で?リヒトワームからはどうやって糸を吐かせるんだ?警戒したら糸を吐くっつっても、こいつらのほほんとしてやがるぜ?」
ティトレイの言う通り、これだけ人間が接近しているというのにリヒトワームは地面を這いながらスピードを崩さず洞窟を徘徊し続けている。
「心は痛むが、脅すしかねぇだろうな」
「結局戦うんだね……」
ブライトは困ったように言い、カインも苦笑いしながらグローブを構えた。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート23】
takeshi「ども〜!いつから楽談が無いと錯覚していた」
チャリティ「あんた前回言ったこと覚えてる?」
takeshi「覚えてますよ?ただ、楽談をやらないとは言ってません」
チャリティ「あっそ。じゃあ私はスパゲッティ食べてるからあんたやっといて」
takeshi「仕方ないですね。では、誰でも分かるかもしれない中二病講座ー!!」
チャリティ「ゴフッ」
takeshi「気にせずに食べててください?」
チャリティ「うん」
takeshi「中二病って結局何なの?と思う方は少なからず存在します。なので今回は中二病について知っていこうと思います」
チャリティ「案外ベーコン薄いわね……」
takeshi「まず中二病の定義ですが、主に中学二年生の時に発祥する病気だと言われています。ちなみに高2病、更には大2病という病気もありますが今回はスルーします。そもそも中二病の特徴というのは自分が格好良いと思う独自の世界を創造したり格好良いと思ったキャラの技名と唱える、発展して唱えながらモーションを真似する、自分で考えた技名で同様の行動を起こすといったことが挙げられます」
チャリティ「あ、野菜はシャキシャキしてて好きかも」
takeshi「その他にも特徴としては多々あるのですがありすぎて最早曖昧になってきています。ただ厄介なのが中二病が発症してる最中、患者に発症している自覚が無いということです。また、中二病という名前にも関わらず一度発症すると大人になっても治らないというケースも多々ありますよね」
チャリティ「なかなかいけるわね」
takeshi「では肝心の治療方法なのですが、これはもう自覚するしかないのではないでしょうか。最早治したいと思った時点で自覚しているということなのでかいほうに向かっていると思って大丈夫なはずです。無駄に英単語が格好良く見える、アニメのキャラの台詞を興味本位で真似したことがある、世の中みんな敵だと思う、この中のいずれかに当てはまればあなたは立派な中二病です。おめでとうございます」
チャリティ「ん?あぁ、何のことか分からないけどありがとう」
takeshi「ただ難しい言葉を使うのも中二病の典型的な例と言われていますが、これは結構曖昧ですよね。例えばTPPならまだしもEPAによってアメリカを牽制できると言われても聞く人によっては中二病?と思われていまうかもしれませんし。無知と中二病をわきまえていただきたいものです」
チャリティ「ごちそうさま〜」
takeshi「最後に、「もし今この場に強盗とかエイリアンみたいな敵が襲ってきたら俺の隠された能力が突然開花して瞬殺してやるのに」と思ったことがある人は間違いなく中二病です!これを否定するということは頭から血を流して泣きながら「痛くねぇし」と言ってるようなものです。いかがでしたでしょうか?ちなみに中二病は悪いというような印象を受けるかもしれませんがそれを極限まで悪化させ、昇華させた先にはノベル作家や俳優といった輝かしい未来が待っているので決して病気にかかること自体は悪ではないと考えています。豆も腐らせるのではなく醗酵させて味噌や納豆にすると美味いのと同じですね。ただ、発症したままずるずると引きずるのはただの怠惰と自己満足なので私は許せません」
チャリティ「終わった?」
takeshi「ちょうど終わったところです。ではまた〜」
―――オマケ―――
ロンドリーネ「ダオスぅ、私ぃ、騙されちゃったぁ」
ダオス「そ、そうか。残念だったな」
レイア「ジュード、少しでも何か思い出せないの?」
ジュード「えぇっと……」
エリーゼ「ジュードがコメカミをツンツンしてます!」
ティポ「久しぶりー!!」
ローエン「ほう、これが噂のコメカミツンツンですか。見るのは初めてです」
ミラ「そうか、ジュードが考え事をしている時のこの仕草はコメカミツンツンというのか」
レイヴン「なんかよく分からんけど、ギャ○マンガ日和みたいなネーミングセンスね」
ジュード「ちょっと静かにしてくれると嬉しいんだけど……」
プレザ「それで、何か思い出したの?」
ジュード「パスタがふにゃふにゃだった気がする。茹で過ぎたのかな?」
イバル「それなら俺も感じたぞ!まるで貴様のようだと思いながら平らげてやったわ!」
ローエン「ジュードさんのことを想いながら食すとは……なるほど、イバルさんはそちらのかたでしたか」
イバル「む?どういうことだ?」
プレザ「今度詳しく聞かせてちょうだい!!」
アルヴィン「お前そういう人間だったの!?」
ディオ「つうか今食べ終わってるのってあんたらだけなんだけど、答えねぇの?」
レイア「ここは私に任せて!こんなこともあろうかと秘密兵器を持ってきてるんだから!」
ミラ「その鉛筆が秘密兵器なのか?」
ジュード「まさか……」
レイア「いくよ!そーっれっ!!出ました3!答えは3だよ!!」
ディオ「数字を当てるルールじゃねぇよ!!」
レイア「あ、そっか!じゃあえぇっと、3……さん……サン……あっ!サンダーブレードが得意そうなアーチェ!!」
イバル「ミラ様!こんなバカを信用してよろしいのですか!?」
レイア「ば、バカァ!?」
ミラ「ここはレイアを信じてみようじゃないか」
ディオ「ロディ〜、仕事だぞ」
ロンドリーネ「あってますかー!?」
エトス「ドこから声飛ばシてるんだろ……?」
アーチェ「ブッブー!残念でした、ハッズレ〜♪」
スタン「くっ、さすがにこの辛さのスパッゲティを二皿はきついぞ!!」
ロニ「おいナナリー!てめぇちゃんと食ってんのか!?」
ナナリー「私……もう十分頑張ったよね……もう、ゴールしても良いよね?」
ロニ「やめろおおおお!!!そのセリフはやめろおおおお!!!作者が涙が出ないくせに号泣しちまうだろうが!!もしかしたら画面の前の元ネタを知ってる人が悲しい気持ちになっちまうだろうが!!」
ナナリー「がお……」
ロニ「ちっくしょー!!最初からクライマックスだぜ!!」
ヴェイグ「なっ、何故だ!?あいつの食べるスピードが突然速くなったぞ!!」
スタン「もう終盤だから普通のクライマックスだけどな」
ダリス「ぐはぁっ!か、辛すぎる!私はもうここまでのようだ……」
マリー「ダリス!死ぬなダリス!」
プレセア「近藤さん!」
ウィル「呼んだか?」
プレセア「いえ、私が呼んだのは綺麗な方の近藤さんです」
ウィル「ならば俺だろう」
クロエ「レイナード!もう少しで食べきれるという時にテーブルを離れるな!!」
ウィル「しかしだな……」
モーゼス「クッちゃんの言うとおりじゃ。近藤さんなんぞみんなゴリラじゃ。なんだかんだ言うてもワイの土方が一番っちゅうことじゃの!」
ミルハウスト「それは聞き捨てならんな」
モーゼス「なんじゃと!?」
ミルハウスト「いいか、土方というのはサラサラロン毛ヘアーの時代があったからこそイケメンなのだ。最初から西洋かぶれの土方など認められるものか!」
モーゼス「白髪よりはマシと想うがの。ジジくそうてかなわんわ」
ミルハウスト「あれはそういう白髪ではない!!」
セネル「どっちの土方も俺は気に食わないがな」
イバル「まったくだ!」
ノーマ「あ〜、セネセネまで会話に参加しちゃったよ〜」
クロエ「グリューネさん!グリューネさんはどうした!?」
グリューネ「お姉さん、お腹がいっぱいだわぁ〜」
ジェイ「味覚音痴のおかげでここまで一番食べていましたからね」
ノーマ「そういうジェージェーもさっきから食べてなくない?」
ジェイ「ぼくは元々小食ですのでとっくに限界です」
ヴァーツラフ「ふっ、正義の魂が足らんようだな」
ジェイ「メインストーリーのラスボスが何言ってるんですか!?」
ジェイド「すみませ〜ん。完食したので答えてもよろしいですか?」
ジュディス「あら?さっきまで半分以上残っていなかったかしら?」
アリエッタ「青い髪の人にトラップ入りのスパゲッティを食べた罰ゲームとして全部食べてもらいました」
チャット「キールさんが白目向いてますよ!それにこれはダイイングメッセージでしょうか?」
ファラ「『ウッディ』……どういうことだろ?」
ガイ「それで答えは誰なんだ?」
ルーク「ベーコンが高級ハムだったりトッピングにキャビアを乗せる料理人なんて一人しかいねぇだろ?答えはナタリアだ」
ガイ「おいロディ!」
ロンドリーネ「あってますかー!?」
エトス「もうロディの件(くだり)省いちゃえば?」
ナタリア「残念ですが……当たりですわ」
ガイ「それじゃ、勝利の一言でも言ってみたらどうだ?」
アニス「フェイリスたん大勝利〜☆」
メル「回答権はあと1組だよ!!」
ソフィ「リチャードまだ?」
マリク「陛下!ビリになったら借金大国になってしまいますぞ!」
ヒューバート「もう国家予算を使う気満々じゃないですか!!」
リチャード(だったら手伝えと言いたいが口が痺れて喋れん……)
リタ「まったく!なんでこんなに切羽詰った状況になってんのよ!?」
ゴーシュ「あの青髪ポニーテールが他のテーブルの料理を全部食べたからだろ」
メルディ「キール大丈夫か?」
キール「な、なんとか……」
エステリーゼ「何でそんなことしたのかな?かな?」
キール「ちょ、ちょっと待て!不可抗力だ!」
シェリア「鉈、使います?」
エステリーゼ「は〜うぅ!お持ち帰りぃ〜!!」
キール「だ、誰か!誰か金属バットを持っていないか!?」
カノンノE「これ使って!」
キール「すまない!」
ムルモ「何で持ってんの?」
カノンノE「護身のため?」
ユージーン「質問を質問で返すのは感心せんな」
クラース「同じネタを乱用するのも感心しないがな」
ユージーン「本編では突っ込まなかったが、ネタではない」
マオ「そうなの?」
クレア「私はてっきり……」
アニー「ですよね」
ファラ「キール!店内で暴れちゃだめだよ!!」
エトス「L5が発症しちゃったラもう手遅れだよ……」
ファラ「L5?」
ヴァーツラフ「レベル5の略だな」
リグレット「なぜ私を見る?」
プレザ「レベル5が発症するものですって?」
ワンダーシェフ「とんでもないね」
ロニ「ス、スタンさん……食べ終わりました……後は頼みま……」
ナナリー「ロニ、あんたはよくやったよ」
ルーティ「それにしても私達の料理と同じようにグレイセスの料理も辛いみたいじゃない。もしかして同じ料理人なのかしら?」
スタン「だったら答えは決まりだな。すみませ〜ん!」
メル「はーい!」
ティトレイ「答えはフレンで決まりだろうな。リチャードのやつフレンをすっげぇ睨んでたしよ」
ヨーデル「それは違うよ!」
ティトレイ「ろ、論破だと!?」
ヨーデル「確かに二つのテーブルとも辛い料理ですがよく思い出してください。リチャードさんはよく頑張って食べていますがソフィさんが食べてみて分かる通り食べることさえままならない辛さなのに対してスタンさん達の辛さは何とか食べられる辛さなんです」
リッド「んなもんロニがリチャードより根性があっただけなんじゃねぇの?辛さなんて一緒だろ」
ヨーデル「それは違うよ!」
リッド「な、何!?」
ヨーデル「貴方の仲間のキールさんは失礼ですがリッドさんの言う根性のある方ではありませんよね。彼はアーチェさんの激辛トラップにはまったのにもかかわらずそれでも今は金属バットでエステリーゼさんと戦っている」
リッド「た、確かに……」
ミラ「なるほど、キールは実は辛いものなど食べていなかったのだな」
ヨーデル「それは違うよ!」
ミラ「ぬう、難しいな……」
ヨーデル「アーチェさんの入れた辛子はフレンさんの辛子よりは辛いものではなかったんです。そして、これまで辛い料理を出してきた料理人は二人だけ。これにより、辛子を所有している料理人はフレンさんとアーチェさんの2人だけということになる。つまり、」
ウッドロウ「ロニ君が苦しみながらも食べることができたということはアーチェ君の辛子が入っていた。我々の料理を作ったのはアーチェ君ということか」
ロンドリーネ「あってますかー!?」
アーチェ「ピンポーン!正解!」
メル「おめでとうございます!では勝利の一言をどうぞ!」
フィリア「永遠の17歳です☆」
スタン「おいおい……」
メル「エトと同じだね!」
〜続く〜
takeshi「ども〜!いつから楽談が無いと錯覚していた」
チャリティ「あんた前回言ったこと覚えてる?」
takeshi「覚えてますよ?ただ、楽談をやらないとは言ってません」
チャリティ「あっそ。じゃあ私はスパゲッティ食べてるからあんたやっといて」
takeshi「仕方ないですね。では、誰でも分かるかもしれない中二病講座ー!!」
チャリティ「ゴフッ」
takeshi「気にせずに食べててください?」
チャリティ「うん」
takeshi「中二病って結局何なの?と思う方は少なからず存在します。なので今回は中二病について知っていこうと思います」
チャリティ「案外ベーコン薄いわね……」
takeshi「まず中二病の定義ですが、主に中学二年生の時に発祥する病気だと言われています。ちなみに高2病、更には大2病という病気もありますが今回はスルーします。そもそも中二病の特徴というのは自分が格好良いと思う独自の世界を創造したり格好良いと思ったキャラの技名と唱える、発展して唱えながらモーションを真似する、自分で考えた技名で同様の行動を起こすといったことが挙げられます」
チャリティ「あ、野菜はシャキシャキしてて好きかも」
takeshi「その他にも特徴としては多々あるのですがありすぎて最早曖昧になってきています。ただ厄介なのが中二病が発症してる最中、患者に発症している自覚が無いということです。また、中二病という名前にも関わらず一度発症すると大人になっても治らないというケースも多々ありますよね」
チャリティ「なかなかいけるわね」
takeshi「では肝心の治療方法なのですが、これはもう自覚するしかないのではないでしょうか。最早治したいと思った時点で自覚しているということなのでかいほうに向かっていると思って大丈夫なはずです。無駄に英単語が格好良く見える、アニメのキャラの台詞を興味本位で真似したことがある、世の中みんな敵だと思う、この中のいずれかに当てはまればあなたは立派な中二病です。おめでとうございます」
チャリティ「ん?あぁ、何のことか分からないけどありがとう」
takeshi「ただ難しい言葉を使うのも中二病の典型的な例と言われていますが、これは結構曖昧ですよね。例えばTPPならまだしもEPAによってアメリカを牽制できると言われても聞く人によっては中二病?と思われていまうかもしれませんし。無知と中二病をわきまえていただきたいものです」
チャリティ「ごちそうさま〜」
takeshi「最後に、「もし今この場に強盗とかエイリアンみたいな敵が襲ってきたら俺の隠された能力が突然開花して瞬殺してやるのに」と思ったことがある人は間違いなく中二病です!これを否定するということは頭から血を流して泣きながら「痛くねぇし」と言ってるようなものです。いかがでしたでしょうか?ちなみに中二病は悪いというような印象を受けるかもしれませんがそれを極限まで悪化させ、昇華させた先にはノベル作家や俳優といった輝かしい未来が待っているので決して病気にかかること自体は悪ではないと考えています。豆も腐らせるのではなく醗酵させて味噌や納豆にすると美味いのと同じですね。ただ、発症したままずるずると引きずるのはただの怠惰と自己満足なので私は許せません」
チャリティ「終わった?」
takeshi「ちょうど終わったところです。ではまた〜」
―――オマケ―――
ロンドリーネ「ダオスぅ、私ぃ、騙されちゃったぁ」
ダオス「そ、そうか。残念だったな」
レイア「ジュード、少しでも何か思い出せないの?」
ジュード「えぇっと……」
エリーゼ「ジュードがコメカミをツンツンしてます!」
ティポ「久しぶりー!!」
ローエン「ほう、これが噂のコメカミツンツンですか。見るのは初めてです」
ミラ「そうか、ジュードが考え事をしている時のこの仕草はコメカミツンツンというのか」
レイヴン「なんかよく分からんけど、ギャ○マンガ日和みたいなネーミングセンスね」
ジュード「ちょっと静かにしてくれると嬉しいんだけど……」
プレザ「それで、何か思い出したの?」
ジュード「パスタがふにゃふにゃだった気がする。茹で過ぎたのかな?」
イバル「それなら俺も感じたぞ!まるで貴様のようだと思いながら平らげてやったわ!」
ローエン「ジュードさんのことを想いながら食すとは……なるほど、イバルさんはそちらのかたでしたか」
イバル「む?どういうことだ?」
プレザ「今度詳しく聞かせてちょうだい!!」
アルヴィン「お前そういう人間だったの!?」
ディオ「つうか今食べ終わってるのってあんたらだけなんだけど、答えねぇの?」
レイア「ここは私に任せて!こんなこともあろうかと秘密兵器を持ってきてるんだから!」
ミラ「その鉛筆が秘密兵器なのか?」
ジュード「まさか……」
レイア「いくよ!そーっれっ!!出ました3!答えは3だよ!!」
ディオ「数字を当てるルールじゃねぇよ!!」
レイア「あ、そっか!じゃあえぇっと、3……さん……サン……あっ!サンダーブレードが得意そうなアーチェ!!」
イバル「ミラ様!こんなバカを信用してよろしいのですか!?」
レイア「ば、バカァ!?」
ミラ「ここはレイアを信じてみようじゃないか」
ディオ「ロディ〜、仕事だぞ」
ロンドリーネ「あってますかー!?」
エトス「ドこから声飛ばシてるんだろ……?」
アーチェ「ブッブー!残念でした、ハッズレ〜♪」
スタン「くっ、さすがにこの辛さのスパッゲティを二皿はきついぞ!!」
ロニ「おいナナリー!てめぇちゃんと食ってんのか!?」
ナナリー「私……もう十分頑張ったよね……もう、ゴールしても良いよね?」
ロニ「やめろおおおお!!!そのセリフはやめろおおおお!!!作者が涙が出ないくせに号泣しちまうだろうが!!もしかしたら画面の前の元ネタを知ってる人が悲しい気持ちになっちまうだろうが!!」
ナナリー「がお……」
ロニ「ちっくしょー!!最初からクライマックスだぜ!!」
ヴェイグ「なっ、何故だ!?あいつの食べるスピードが突然速くなったぞ!!」
スタン「もう終盤だから普通のクライマックスだけどな」
ダリス「ぐはぁっ!か、辛すぎる!私はもうここまでのようだ……」
マリー「ダリス!死ぬなダリス!」
プレセア「近藤さん!」
ウィル「呼んだか?」
プレセア「いえ、私が呼んだのは綺麗な方の近藤さんです」
ウィル「ならば俺だろう」
クロエ「レイナード!もう少しで食べきれるという時にテーブルを離れるな!!」
ウィル「しかしだな……」
モーゼス「クッちゃんの言うとおりじゃ。近藤さんなんぞみんなゴリラじゃ。なんだかんだ言うてもワイの土方が一番っちゅうことじゃの!」
ミルハウスト「それは聞き捨てならんな」
モーゼス「なんじゃと!?」
ミルハウスト「いいか、土方というのはサラサラロン毛ヘアーの時代があったからこそイケメンなのだ。最初から西洋かぶれの土方など認められるものか!」
モーゼス「白髪よりはマシと想うがの。ジジくそうてかなわんわ」
ミルハウスト「あれはそういう白髪ではない!!」
セネル「どっちの土方も俺は気に食わないがな」
イバル「まったくだ!」
ノーマ「あ〜、セネセネまで会話に参加しちゃったよ〜」
クロエ「グリューネさん!グリューネさんはどうした!?」
グリューネ「お姉さん、お腹がいっぱいだわぁ〜」
ジェイ「味覚音痴のおかげでここまで一番食べていましたからね」
ノーマ「そういうジェージェーもさっきから食べてなくない?」
ジェイ「ぼくは元々小食ですのでとっくに限界です」
ヴァーツラフ「ふっ、正義の魂が足らんようだな」
ジェイ「メインストーリーのラスボスが何言ってるんですか!?」
ジェイド「すみませ〜ん。完食したので答えてもよろしいですか?」
ジュディス「あら?さっきまで半分以上残っていなかったかしら?」
アリエッタ「青い髪の人にトラップ入りのスパゲッティを食べた罰ゲームとして全部食べてもらいました」
チャット「キールさんが白目向いてますよ!それにこれはダイイングメッセージでしょうか?」
ファラ「『ウッディ』……どういうことだろ?」
ガイ「それで答えは誰なんだ?」
ルーク「ベーコンが高級ハムだったりトッピングにキャビアを乗せる料理人なんて一人しかいねぇだろ?答えはナタリアだ」
ガイ「おいロディ!」
ロンドリーネ「あってますかー!?」
エトス「もうロディの件(くだり)省いちゃえば?」
ナタリア「残念ですが……当たりですわ」
ガイ「それじゃ、勝利の一言でも言ってみたらどうだ?」
アニス「フェイリスたん大勝利〜☆」
メル「回答権はあと1組だよ!!」
ソフィ「リチャードまだ?」
マリク「陛下!ビリになったら借金大国になってしまいますぞ!」
ヒューバート「もう国家予算を使う気満々じゃないですか!!」
リチャード(だったら手伝えと言いたいが口が痺れて喋れん……)
リタ「まったく!なんでこんなに切羽詰った状況になってんのよ!?」
ゴーシュ「あの青髪ポニーテールが他のテーブルの料理を全部食べたからだろ」
メルディ「キール大丈夫か?」
キール「な、なんとか……」
エステリーゼ「何でそんなことしたのかな?かな?」
キール「ちょ、ちょっと待て!不可抗力だ!」
シェリア「鉈、使います?」
エステリーゼ「は〜うぅ!お持ち帰りぃ〜!!」
キール「だ、誰か!誰か金属バットを持っていないか!?」
カノンノE「これ使って!」
キール「すまない!」
ムルモ「何で持ってんの?」
カノンノE「護身のため?」
ユージーン「質問を質問で返すのは感心せんな」
クラース「同じネタを乱用するのも感心しないがな」
ユージーン「本編では突っ込まなかったが、ネタではない」
マオ「そうなの?」
クレア「私はてっきり……」
アニー「ですよね」
ファラ「キール!店内で暴れちゃだめだよ!!」
エトス「L5が発症しちゃったラもう手遅れだよ……」
ファラ「L5?」
ヴァーツラフ「レベル5の略だな」
リグレット「なぜ私を見る?」
プレザ「レベル5が発症するものですって?」
ワンダーシェフ「とんでもないね」
ロニ「ス、スタンさん……食べ終わりました……後は頼みま……」
ナナリー「ロニ、あんたはよくやったよ」
ルーティ「それにしても私達の料理と同じようにグレイセスの料理も辛いみたいじゃない。もしかして同じ料理人なのかしら?」
スタン「だったら答えは決まりだな。すみませ〜ん!」
メル「はーい!」
ティトレイ「答えはフレンで決まりだろうな。リチャードのやつフレンをすっげぇ睨んでたしよ」
ヨーデル「それは違うよ!」
ティトレイ「ろ、論破だと!?」
ヨーデル「確かに二つのテーブルとも辛い料理ですがよく思い出してください。リチャードさんはよく頑張って食べていますがソフィさんが食べてみて分かる通り食べることさえままならない辛さなのに対してスタンさん達の辛さは何とか食べられる辛さなんです」
リッド「んなもんロニがリチャードより根性があっただけなんじゃねぇの?辛さなんて一緒だろ」
ヨーデル「それは違うよ!」
リッド「な、何!?」
ヨーデル「貴方の仲間のキールさんは失礼ですがリッドさんの言う根性のある方ではありませんよね。彼はアーチェさんの激辛トラップにはまったのにもかかわらずそれでも今は金属バットでエステリーゼさんと戦っている」
リッド「た、確かに……」
ミラ「なるほど、キールは実は辛いものなど食べていなかったのだな」
ヨーデル「それは違うよ!」
ミラ「ぬう、難しいな……」
ヨーデル「アーチェさんの入れた辛子はフレンさんの辛子よりは辛いものではなかったんです。そして、これまで辛い料理を出してきた料理人は二人だけ。これにより、辛子を所有している料理人はフレンさんとアーチェさんの2人だけということになる。つまり、」
ウッドロウ「ロニ君が苦しみながらも食べることができたということはアーチェ君の辛子が入っていた。我々の料理を作ったのはアーチェ君ということか」
ロンドリーネ「あってますかー!?」
アーチェ「ピンポーン!正解!」
メル「おめでとうございます!では勝利の一言をどうぞ!」
フィリア「永遠の17歳です☆」
スタン「おいおい……」
メル「エトと同じだね!」
〜続く〜