第42話『リヒトモスインセクトと鱗粉』
リヒトモスインセクトは体の何倍もの大きさがある羽を羽ばたかせると突風が生じ、近づこうとしていたヴェイグ達の足が浮いたかと思った次の瞬間にはリヒトモスインセクトとは反対側の壁へと背中を打ち付けていた。
背中に衝撃がはしるがヴェイグ達はすぐさま体勢を立て直し走り出す。
そうしなければ壁や天井と、至るところからリヒトワームが突進をしかけてくる。
したがって再びリヒトモスインセクトへアタックをしかけるヴェイグ達だがリヒトモスインセクトも先程と同様に羽をはばたかせる。
しかし相手はフィオナと違い突風を生み出すのに時間がかかる。
その隙にまずジークが跳躍し、左の羽を右足で蹴る。
間近で見ると余計に大きく見え、羽はジーク3人分はあった。
視界は銀色の羽一色に染まり本体の様子や周りの様子など見えないが反撃してくる様子もないためジークはそのまま左足、右足と二発滞空中に蹴った後着地した。
ジークの直後に跳んだティトレイも同様に着地するが彼は舌打ちした。
「ちっとも怯まねぇな!」
それでも後続のユージーン、ヴェイグもジークとティトレイを尻目に跳躍していく。
「ふんっ!」
ユージーンはその重量故にティトレイ達ほどの跳躍力はないが槍を突き出すことで左右の羽の間にある紫色の本体に突き刺した。
しかしその本体もユージーンと比較してもユージーンが小さく見えてしまうほど大きく、槍が突き刺さったというのにリヒトモスインセクトは大した反応も示さなかった。
後方からはブライトも射撃しているが道を開くためにリヒトワームを一掃するので手が離せない。
「何とかそいつを落とせねぇか!?」
「俺に任せろ!」
ブライトが叫ぶと、既に右側の羽を凍らせて着地したヴェイグが左側へ旋回し、再び跳躍した。
「絶翔斬!」
ヴェイグは冷気を大剣に込めながら左側の銀翼を切り上げる。
すると、ヴェイグの3倍は大きい羽が縦一線に凍りついた。
これでリヒトモスインセクトは羽を動かすことができなくなった。
「飛天翔駆!!」
そこへリヒトモスインセクトより高く跳躍したカインが足を突き出しながら急降下するとリヒトインセクトの頭部をとらえ、そのままリヒトモスインセクトを地上へ叩き付けた。
ズズンという鈍い音と共に天井からぱらぱらと砂が降り、砂埃が舞う。
その中にリヒトモスインセクトは巨体をばたばたさせながらもがいていた。
その巨体の上にジンがバランスを取りながら乗り、紫の本体を切り裂く。
それでもリヒトモスインセクトは再び飛ぼうともがくだけだった。
しかしリヒトモスインセクトが倒れている地面とその上の天井からはリヒトワームが飛び出してこない。
おそらく女王に当たってしまうことを考えて迂闊に飛び出せないのだろう。
ヴェイグ達は大きな銀翼に乗るとジン同様紫の本体に攻撃を集中させた。
「飛燕連脚!」
「掌底破!」
「瞬迅槍!」
「牙連撃!」
「瞬迅剣!」
「裂破衝!」
「アサルトバレット!」
7人はここぞとばかりにコンボを繋げていく。
さすがの巨体とはいえ飛べなければ攻撃はしてこない。
逆に言えばこの好機を逃がせば立場は逆転してしまう。
7人の息が上がっていくなか、リヒトモスインセクトの傷もさすがに増えていく。
が、とっさにアニーから号令が飛ぶ。
「みなさん!よけてください!!」
その声と共に全員バックステップで回避すると小さな火炎球の雨が降り注いだ。
雨というのは誇張しすぎかもしれないが、リヒトワーム数百匹が詠唱した小さなバーンストライクがヴェイグ達に向かって降り注いでいた。
ヴェイグ達はその場を離れるが不可解なことに炎の雨は未だにヴェイグ達が居た場所に降り続けている。
「おいおい、嫌な予感がするぜ?」
ティトレイが冷や汗を拭う。
炎の雨はヴェイグ達ではなくリヒトモスインセクトに向かって降っている。
この光景は先程見たばかりだ。
「ちっ!」
ブライトは急いで詠唱しているリヒトワームへ銃を向ける。
だがその間にもリヒトモスインセクトの凍った銀翼は解凍され、更に炎の効果により硬度を増していく。
(詠唱さえできればこんなやつらあっという間なのによぉ!!)
ブライトは奥歯を噛み締めながらも詠唱しているリヒトワームを撃ち続ける。
しかしその努力も虚しく、リヒトモスインセクトは砂埃を起こしながら羽を動かし、再び洞窟の天井すれすれまで舞い上がった。
「もう凍らせて落とすわけにはいかないか……」
自分の責任で相手を強化させてしまったことにヴェイグは悔いた。
「どっちにしろ落とさなかったら何もできなかったけどな」
ヴェイグをフォローするようにジークは上を見据えながら言う。
すると、リヒトモスインセクトは再び銀の4枚羽根を左右で擦り合わせるとギイイイインという音が木霊した。
先程よりも硬度が上がっており洞窟の反響効果も手伝い甲高い音は聴覚に絶大なダメージを与えた。
「すごい音……」
思わず耳を塞いだアニーだったがその直後にリヒトワーム達が今まで以上のスピードで突進を始めたため杖で防御する。
「こいつら何で突然……」
まだ耳鳴りがする中ジークは何とかリヒトワームの弾丸をさばく。
もう少し耳が敏感だったらどうなっていたかと思うと恐ろしい。
「まさか……」
ジークは先程から動かないジンを凝視した。
ジンは兄妹の中でも特に耳がよく、ハーフ故に五感も優れている。
そんな彼が今の音に耐えられるわけがなかった。
今のジンは聴覚を強く揺さぶられ平衡感覚が麻痺し、剣を杖代わりに立っているのが精一杯だった。
そんなジンの足元から銀色の牙が光る。
「ジン!!!」
ジークはジンをタックルするかのようにして吹き飛ばすが、地面から射出されたリヒトワームはジークの左足の肉を食い千切りながら天井へ突っ込んでいった。
「兄さん!!」
ジンの悲痛な叫びに6人はジークを見るがジークは何とか立ち上がった。
「掠り傷だ!気にすんな!」
幸い、足は繋がっていたがみるみるうちに血が流れていった。
「今回復します!」
アニーは即座にジークにかけよると陣を描いた。
その間にジンは飛んでくるリヒトワームを切り落とす。
まだ耳の中ではキンキン音が反響しており足元もふらつくが、今のジンにとってはそんなことはどうでもよかった。
とにかく兄を護る。
昔読んだ本の一説に目で見るな、感じろという言葉があったがそれは今の自分には逆効果だと悟った。
感性を研ぎ澄ませば平衡感覚の歪みを自覚してしまう。
ならば視覚で捉えた情報を全てとし、他の耳や鼻から得る情報は全てシャットダウンする。
ジンの眼つきは闇夜で獲物を狙う狼の眼のごとく金色に光っていた。
「でやっ!!」
ティトレイが跳躍し羽を攻撃するも鋼鉄の羽に弾かれてしまい、ブライトが左手のライフルで射撃するも豆鉄砲が当たったような音しかしかない。
「あいつ、さっきみたく風を出してこなくなったな」
ブライトは首を傾げるがリヒトモスインセクトは期待に応えるかのように次の行動に移る。
羽をばたつかせ体を地面と水平にすると、それだけで洞窟の天井半分が埋め尽くされた。
このまま落ちてくれば間違いなく全員下敷きになってしまう。
だがリヒトモスインセクトは落下することなくそのまま水平移動し、空間内を一周した。
そして2週、3週としていく姿をヴェイグ達はリヒトワームの弾丸を避けながら注視していた。
すると、何週したか忘れた頃に頭上より銀色の粉が降り始めた。
アニーはその粉を掌の上に乗せ、一粒摘むんで鼻を近付けた。
「これは!」
急いで周囲を見てみるとユージーン達が肩膝をついていた。
「ち、力が入らない……」
何とか立つことはできるが思うように力が入らないことにカインは歯痒さを感じていた。
「どうやら神経を麻痺させる鱗粉のようです!なるべく吸わないようにしてください!」
「これを生成するために溜めてやがったのか!」
アニーの言葉を聞いてブライトは即座に片腕で口と鼻を覆い隠す。
それでも鱗粉は降り続き、7人の動きは鈍くなる一方リヒトワームはとどまることがなかった。
やはり同じ種族なだけあって耐性もあるのだろう。
「ぐあっ!」
これまで何とか回避してきたヴェイグでさえもリヒトワームの頭突きを受けてしまう。
先程の炎の雨でほとんどの固体がメタル化しているがメタル化した固体はアゴの開閉が小さく、おかげでなんとかアゴだけは避けられるようにはなっていた。
それでも砲丸がぶつかると激痛ははしる。
「くそ!」
常軌を逸した集中力で弾丸の嵐の中二人を護っていたジンだったが彼にも粉の影響から目が霞み始めていた。
「アニー!俺はもういい!それより麻痺を!!」
「わ、分かりました!」
了解はしたがアニーはとても不服そうな顔をしていた。
医者として完治していない患者を放置するのはプライドにかかわるのだろう。
だがそんなプライドに拘っている場合ではないことはアニーも分かっている。
故にアニーは一度陣を消し、新しい陣を描き始めた。
「マインドガイスト!」
アニーが唱えると同時に暖かい風が辺りを包み、陣が黄色に発光した。
「みなさん!早くこちらへ!」
アニーが促すとヴェイグ達は一度円陣の中へ集まった。
すると、体の痺れが綺麗に取り除かれ、カインも掌を開閉して力の具合を確かめた。
ひとまずこの陣の中にいれば安心だがそれでは対策にならない。
ユージーンは一度唸ってから未だに旋回し続けているリヒトモスインセクトを見上げた。
「危険だが、作戦を変更するしかないようだな」
ユージーンの言葉に全員首を傾げると、ユージーンは変更した作戦の内容を告げる。
すると、全員真剣な表情になり一度頷く。
「最後に確認するぞ!俺達の目的はあくまでも生きて帰ることだ!生きてさえいれば金属などどうにでもなる!」
「よっしゃいくぜ!」
ティトレイの掛け声と共に全員一斉に陣から飛び出した。
「蒼破刃!」
ジンが剣を振り抜くとその剣圧により衝撃波が縦ライン一直線に飛んだ。
その衝撃波にまくられるようにリヒトワームは吹き飛ぶと一本の道が完成した。
その道をヴェイグ、ユージーン、カイン、ジーク、ティトレイの順で走っていく。
ブライトは残り、溜めに入っているが導術を詠唱しているわけではない。
そしてブライトの足元には依然として黄色の陣術が敷かれている。
「裂駆槍!」
ジンが作った道の先が早速リヒトワームの弾丸で埋め尽くされると、そこをバリスタが通過するがごとく槍を前に構えたユージーンが高速で突進して道を開いていく。
すると、調度進路の先と旋回していたリヒトモスインセクトの進路が重なった。
「レイジレーザー!!」
今までエネルギーを充填していたブライトは二つの銃を目の前で合わせると、トリガーを引く。
すると、眩い光がリヒトモスインセクトの銀翼の右側に当たり拡散する。
水平に飛んでいたリヒトモスインセクトは煙を出しながらバランスを崩しながら斜めに傾く。
高度が下がったところを狙ってヴェイグは跳躍する。
しかしその跳躍したヴェイグを一網打尽にするかのようにリヒトワームが四方八方の壁から飛び出す。
「はぁあああああ!!!!」
そこへ金色の眼を光らせたジンが壁を蹴りながら走り、そのまま勢いを殺すことなく空中を走るようにヴェイグに迫るリヒトワームを切り裂いていった。
すると切り裂かれたはずのリヒトワームはひとつの大きな膜に閉じ込められる。
「空刃風縛殺!!」
ジンが着地するのと同時に膜は爆発し虫の残骸がぱらぱらと落下していく。
(あいつ、今どこまで見えてんのかね)
ブライトがジンを見ている間にもヴェイグは空中で氷を纏いながらリヒトモスインセクトに突撃する。
「霧氷翔!」
突進するかのように剣を突き出しながら空中でリヒトモスインセクトとすれ違うと、リヒトモスインセクトの左の羽を貫通しながら凍らせた。
そのまま大剣は壁に突き刺さったが、そのまま大剣を土台にし壁を踏み台にするとロケットのように再びヴェイグはリヒトモスインセクトにきりかかった。
「瞬連塵!」
大剣を両手で掴みリヒトモスインセクトを何回も突き刺す。
残った右翼を凍らせることはできなかったがこれにより左半身は完全に凍り、浮力を確保できない女王は落下を始める。
だが地上には勿論氷を溶かすべく詠唱部隊も待機している。
「さぁて、ここからは俺達の喧嘩だぜ!?」
降ってくるリヒトモスインセクトを見上げながら気合を入れるティトレイの両隣でジークとカインも見上げながら地面を踏みしめる。
〜続く〜
背中に衝撃がはしるがヴェイグ達はすぐさま体勢を立て直し走り出す。
そうしなければ壁や天井と、至るところからリヒトワームが突進をしかけてくる。
したがって再びリヒトモスインセクトへアタックをしかけるヴェイグ達だがリヒトモスインセクトも先程と同様に羽をはばたかせる。
しかし相手はフィオナと違い突風を生み出すのに時間がかかる。
その隙にまずジークが跳躍し、左の羽を右足で蹴る。
間近で見ると余計に大きく見え、羽はジーク3人分はあった。
視界は銀色の羽一色に染まり本体の様子や周りの様子など見えないが反撃してくる様子もないためジークはそのまま左足、右足と二発滞空中に蹴った後着地した。
ジークの直後に跳んだティトレイも同様に着地するが彼は舌打ちした。
「ちっとも怯まねぇな!」
それでも後続のユージーン、ヴェイグもジークとティトレイを尻目に跳躍していく。
「ふんっ!」
ユージーンはその重量故にティトレイ達ほどの跳躍力はないが槍を突き出すことで左右の羽の間にある紫色の本体に突き刺した。
しかしその本体もユージーンと比較してもユージーンが小さく見えてしまうほど大きく、槍が突き刺さったというのにリヒトモスインセクトは大した反応も示さなかった。
後方からはブライトも射撃しているが道を開くためにリヒトワームを一掃するので手が離せない。
「何とかそいつを落とせねぇか!?」
「俺に任せろ!」
ブライトが叫ぶと、既に右側の羽を凍らせて着地したヴェイグが左側へ旋回し、再び跳躍した。
「絶翔斬!」
ヴェイグは冷気を大剣に込めながら左側の銀翼を切り上げる。
すると、ヴェイグの3倍は大きい羽が縦一線に凍りついた。
これでリヒトモスインセクトは羽を動かすことができなくなった。
「飛天翔駆!!」
そこへリヒトモスインセクトより高く跳躍したカインが足を突き出しながら急降下するとリヒトインセクトの頭部をとらえ、そのままリヒトモスインセクトを地上へ叩き付けた。
ズズンという鈍い音と共に天井からぱらぱらと砂が降り、砂埃が舞う。
その中にリヒトモスインセクトは巨体をばたばたさせながらもがいていた。
その巨体の上にジンがバランスを取りながら乗り、紫の本体を切り裂く。
それでもリヒトモスインセクトは再び飛ぼうともがくだけだった。
しかしリヒトモスインセクトが倒れている地面とその上の天井からはリヒトワームが飛び出してこない。
おそらく女王に当たってしまうことを考えて迂闊に飛び出せないのだろう。
ヴェイグ達は大きな銀翼に乗るとジン同様紫の本体に攻撃を集中させた。
「飛燕連脚!」
「掌底破!」
「瞬迅槍!」
「牙連撃!」
「瞬迅剣!」
「裂破衝!」
「アサルトバレット!」
7人はここぞとばかりにコンボを繋げていく。
さすがの巨体とはいえ飛べなければ攻撃はしてこない。
逆に言えばこの好機を逃がせば立場は逆転してしまう。
7人の息が上がっていくなか、リヒトモスインセクトの傷もさすがに増えていく。
が、とっさにアニーから号令が飛ぶ。
「みなさん!よけてください!!」
その声と共に全員バックステップで回避すると小さな火炎球の雨が降り注いだ。
雨というのは誇張しすぎかもしれないが、リヒトワーム数百匹が詠唱した小さなバーンストライクがヴェイグ達に向かって降り注いでいた。
ヴェイグ達はその場を離れるが不可解なことに炎の雨は未だにヴェイグ達が居た場所に降り続けている。
「おいおい、嫌な予感がするぜ?」
ティトレイが冷や汗を拭う。
炎の雨はヴェイグ達ではなくリヒトモスインセクトに向かって降っている。
この光景は先程見たばかりだ。
「ちっ!」
ブライトは急いで詠唱しているリヒトワームへ銃を向ける。
だがその間にもリヒトモスインセクトの凍った銀翼は解凍され、更に炎の効果により硬度を増していく。
(詠唱さえできればこんなやつらあっという間なのによぉ!!)
ブライトは奥歯を噛み締めながらも詠唱しているリヒトワームを撃ち続ける。
しかしその努力も虚しく、リヒトモスインセクトは砂埃を起こしながら羽を動かし、再び洞窟の天井すれすれまで舞い上がった。
「もう凍らせて落とすわけにはいかないか……」
自分の責任で相手を強化させてしまったことにヴェイグは悔いた。
「どっちにしろ落とさなかったら何もできなかったけどな」
ヴェイグをフォローするようにジークは上を見据えながら言う。
すると、リヒトモスインセクトは再び銀の4枚羽根を左右で擦り合わせるとギイイイインという音が木霊した。
先程よりも硬度が上がっており洞窟の反響効果も手伝い甲高い音は聴覚に絶大なダメージを与えた。
「すごい音……」
思わず耳を塞いだアニーだったがその直後にリヒトワーム達が今まで以上のスピードで突進を始めたため杖で防御する。
「こいつら何で突然……」
まだ耳鳴りがする中ジークは何とかリヒトワームの弾丸をさばく。
もう少し耳が敏感だったらどうなっていたかと思うと恐ろしい。
「まさか……」
ジークは先程から動かないジンを凝視した。
ジンは兄妹の中でも特に耳がよく、ハーフ故に五感も優れている。
そんな彼が今の音に耐えられるわけがなかった。
今のジンは聴覚を強く揺さぶられ平衡感覚が麻痺し、剣を杖代わりに立っているのが精一杯だった。
そんなジンの足元から銀色の牙が光る。
「ジン!!!」
ジークはジンをタックルするかのようにして吹き飛ばすが、地面から射出されたリヒトワームはジークの左足の肉を食い千切りながら天井へ突っ込んでいった。
「兄さん!!」
ジンの悲痛な叫びに6人はジークを見るがジークは何とか立ち上がった。
「掠り傷だ!気にすんな!」
幸い、足は繋がっていたがみるみるうちに血が流れていった。
「今回復します!」
アニーは即座にジークにかけよると陣を描いた。
その間にジンは飛んでくるリヒトワームを切り落とす。
まだ耳の中ではキンキン音が反響しており足元もふらつくが、今のジンにとってはそんなことはどうでもよかった。
とにかく兄を護る。
昔読んだ本の一説に目で見るな、感じろという言葉があったがそれは今の自分には逆効果だと悟った。
感性を研ぎ澄ませば平衡感覚の歪みを自覚してしまう。
ならば視覚で捉えた情報を全てとし、他の耳や鼻から得る情報は全てシャットダウンする。
ジンの眼つきは闇夜で獲物を狙う狼の眼のごとく金色に光っていた。
「でやっ!!」
ティトレイが跳躍し羽を攻撃するも鋼鉄の羽に弾かれてしまい、ブライトが左手のライフルで射撃するも豆鉄砲が当たったような音しかしかない。
「あいつ、さっきみたく風を出してこなくなったな」
ブライトは首を傾げるがリヒトモスインセクトは期待に応えるかのように次の行動に移る。
羽をばたつかせ体を地面と水平にすると、それだけで洞窟の天井半分が埋め尽くされた。
このまま落ちてくれば間違いなく全員下敷きになってしまう。
だがリヒトモスインセクトは落下することなくそのまま水平移動し、空間内を一周した。
そして2週、3週としていく姿をヴェイグ達はリヒトワームの弾丸を避けながら注視していた。
すると、何週したか忘れた頃に頭上より銀色の粉が降り始めた。
アニーはその粉を掌の上に乗せ、一粒摘むんで鼻を近付けた。
「これは!」
急いで周囲を見てみるとユージーン達が肩膝をついていた。
「ち、力が入らない……」
何とか立つことはできるが思うように力が入らないことにカインは歯痒さを感じていた。
「どうやら神経を麻痺させる鱗粉のようです!なるべく吸わないようにしてください!」
「これを生成するために溜めてやがったのか!」
アニーの言葉を聞いてブライトは即座に片腕で口と鼻を覆い隠す。
それでも鱗粉は降り続き、7人の動きは鈍くなる一方リヒトワームはとどまることがなかった。
やはり同じ種族なだけあって耐性もあるのだろう。
「ぐあっ!」
これまで何とか回避してきたヴェイグでさえもリヒトワームの頭突きを受けてしまう。
先程の炎の雨でほとんどの固体がメタル化しているがメタル化した固体はアゴの開閉が小さく、おかげでなんとかアゴだけは避けられるようにはなっていた。
それでも砲丸がぶつかると激痛ははしる。
「くそ!」
常軌を逸した集中力で弾丸の嵐の中二人を護っていたジンだったが彼にも粉の影響から目が霞み始めていた。
「アニー!俺はもういい!それより麻痺を!!」
「わ、分かりました!」
了解はしたがアニーはとても不服そうな顔をしていた。
医者として完治していない患者を放置するのはプライドにかかわるのだろう。
だがそんなプライドに拘っている場合ではないことはアニーも分かっている。
故にアニーは一度陣を消し、新しい陣を描き始めた。
「マインドガイスト!」
アニーが唱えると同時に暖かい風が辺りを包み、陣が黄色に発光した。
「みなさん!早くこちらへ!」
アニーが促すとヴェイグ達は一度円陣の中へ集まった。
すると、体の痺れが綺麗に取り除かれ、カインも掌を開閉して力の具合を確かめた。
ひとまずこの陣の中にいれば安心だがそれでは対策にならない。
ユージーンは一度唸ってから未だに旋回し続けているリヒトモスインセクトを見上げた。
「危険だが、作戦を変更するしかないようだな」
ユージーンの言葉に全員首を傾げると、ユージーンは変更した作戦の内容を告げる。
すると、全員真剣な表情になり一度頷く。
「最後に確認するぞ!俺達の目的はあくまでも生きて帰ることだ!生きてさえいれば金属などどうにでもなる!」
「よっしゃいくぜ!」
ティトレイの掛け声と共に全員一斉に陣から飛び出した。
「蒼破刃!」
ジンが剣を振り抜くとその剣圧により衝撃波が縦ライン一直線に飛んだ。
その衝撃波にまくられるようにリヒトワームは吹き飛ぶと一本の道が完成した。
その道をヴェイグ、ユージーン、カイン、ジーク、ティトレイの順で走っていく。
ブライトは残り、溜めに入っているが導術を詠唱しているわけではない。
そしてブライトの足元には依然として黄色の陣術が敷かれている。
「裂駆槍!」
ジンが作った道の先が早速リヒトワームの弾丸で埋め尽くされると、そこをバリスタが通過するがごとく槍を前に構えたユージーンが高速で突進して道を開いていく。
すると、調度進路の先と旋回していたリヒトモスインセクトの進路が重なった。
「レイジレーザー!!」
今までエネルギーを充填していたブライトは二つの銃を目の前で合わせると、トリガーを引く。
すると、眩い光がリヒトモスインセクトの銀翼の右側に当たり拡散する。
水平に飛んでいたリヒトモスインセクトは煙を出しながらバランスを崩しながら斜めに傾く。
高度が下がったところを狙ってヴェイグは跳躍する。
しかしその跳躍したヴェイグを一網打尽にするかのようにリヒトワームが四方八方の壁から飛び出す。
「はぁあああああ!!!!」
そこへ金色の眼を光らせたジンが壁を蹴りながら走り、そのまま勢いを殺すことなく空中を走るようにヴェイグに迫るリヒトワームを切り裂いていった。
すると切り裂かれたはずのリヒトワームはひとつの大きな膜に閉じ込められる。
「空刃風縛殺!!」
ジンが着地するのと同時に膜は爆発し虫の残骸がぱらぱらと落下していく。
(あいつ、今どこまで見えてんのかね)
ブライトがジンを見ている間にもヴェイグは空中で氷を纏いながらリヒトモスインセクトに突撃する。
「霧氷翔!」
突進するかのように剣を突き出しながら空中でリヒトモスインセクトとすれ違うと、リヒトモスインセクトの左の羽を貫通しながら凍らせた。
そのまま大剣は壁に突き刺さったが、そのまま大剣を土台にし壁を踏み台にするとロケットのように再びヴェイグはリヒトモスインセクトにきりかかった。
「瞬連塵!」
大剣を両手で掴みリヒトモスインセクトを何回も突き刺す。
残った右翼を凍らせることはできなかったがこれにより左半身は完全に凍り、浮力を確保できない女王は落下を始める。
だが地上には勿論氷を溶かすべく詠唱部隊も待機している。
「さぁて、ここからは俺達の喧嘩だぜ!?」
降ってくるリヒトモスインセクトを見上げながら気合を入れるティトレイの両隣でジークとカインも見上げながら地面を踏みしめる。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート25】
takeshi「いいえ先輩、私達の喧嘩です!」
チャリティ「喧嘩すんの?上等じゃない、どっからでもかかってきなさい」
takeshi「いえ、本編の流れからだと読者様はこういうのを期待してるかな〜と思っただけで、別に喧嘩がしたいわけでは……」
チャリティ「そういえば今日あんた、甘い香りがするわね」
takeshi「そうですか?もしかしてパンケーキの匂いですかね」
チャリティ「パンケーキですって!?私に隠れて食べようだなんて良い度胸じゃない、さっさとよこしなさい!」
takeshi「ジャイアンめ……。作ったものの食べ切れなかったので調度良いですけど」
チャリティ「これあんたが作ったの……?」
takeshi「見た目は普通にできましたけど……あからさまに嫌そうな目するのやめてもらえます?」
チャリティ「いやだってこれ近くで見ると見た目も相当怪しいわよ?」
takeshi「この掲示板に写真を載せられないのが非常に残念ですが、形はともかく色合いは自信あります!ていうかそんなに文句言うなら食べてみなさいよ!なんならあーんしてあげましょうか?ほれほれ」
チャリティ「ぁあん!?」
takeshi「だからジャイアンかっての……。で、どうですか?」
チャリティ「……」
takeshi「黙られると困るのですが……」
チャリティ「(・ω・)」
takeshi「だから何!?」
チャリティ「……美味しいのではなくって?」
takeshi「本当ですか!?」
チャリティ「えぇ、お上品な味わいでございました」
takeshi「空気が読めるけど読まないチャリティさんがそう言うなら間違いありませんね!よし!ではこれをオマケに送りましょう!これでイアハートのハートもオープンマイハートだぜデュフフフフフフ!!」
チャリティ「大変美味でしてよ(美味しいとは言ってない)」
takeshi「ん?」
チャリティ「ん?」
takeshi「そういえば先月末映画を見に行ってきたんですよ!」
チャリティ「珍しそうに言うけど最早毎月恒例行事じゃない?あ、でも先月は映画の話してないわね」
takeshi「あれ?猫侍を見に行った話はしてませんでしたっけ?」
チャリティ「あんた先月は無駄な事に無駄に熱を入れて語っていたから多分聞いてないわよ」
takeshi「じゃあ猫侍の感想だけ先に簡単に言わせていただきますが、兎に角猫がキュートです!そして一輝かっけぇ!」
チャリティ「犬のハーフである私の前でよく猫可愛いとか言えるわね」
takeshi「あの映画には犬もでてきますが私は断然猫派ですからね!ぬこ可愛いよぬこ!」
チャリティ「ふ、ふぅ〜ん」
takeshi「で、先月末に見てきた映画なのですがコナン君とキャプテン・アメリカの二本見てきました!」
チャリティ「コナンを見たのは賢明な判断ね。でも二本連続って久しぶりね」
takeshi「そらのおとしものと戦国BASARAを見た時以来じゃないですかね。その当時はまだ楽談もオマケも無かったんですよ、懐かしいですね〜」
チャリティ「で、まずコナンはどうだったの!?」
takeshi「CMで重大なことが明かされるようなこと言ってるじゃないですか。あれマジですからね!どうせ釣りでしょ?とか私も見る前は半信半疑だったのですが最後「あ…言いやがった」てなりました。ただ実は一番印象的だったのはそこじゃなく福士蒼太の英語が意外とうまいってこととパドリックの熱演です」
チャリティ「彼も蒼の名を持つ者なのね……」
takeshi「何で急にポエマーになったんですか?それはともかく英検2級ってあそこまで喋れるんですね。ちょっと取りたくなってきました」
チャリティ「キャプテン・アメリカは?」
takeshi「シビれました」
チャリティ「毒でも盛られたの?」
takeshi「違いますよ!彼は最近のヒーローのように俺TUEEE展開を望めるようなヒーローではなく地味で人間臭いのが売りのヒーローなので好みは分かれるのですが、能力に頼らず己の体一つで勝負という展開が好きな私にとってはすごく高評価です!」
チャリティ「でも盾使うじゃない」
takeshi「盾ぐらい使わせてあげましょうよ……。でもハリウッド映画とかってどこから予算を捻出してるんですかね?何年かけて描いたのか知りませんが劇場版エヴァに出てきたでっかい空飛ぶ基地あるじゃないですか?」
チャリティ「Qに出てきたやつね?」
takeshi「あれぐらいの規模の艦隊を僅か数カットで平気で落としますからね、外国人は。しかも何十機も!」
チャリティ「日本人は創るのに命かけるけど、彼等は壊すために創ってるんじゃない?だとしたらとんだドMだけど……」
takeshi「次のアベンジャーズが楽しみですね!」
チャリティ「でも今のヒーロー達が集まったらやっぱりキャプテンは最弱じゃない?」
takeshi「きっとね、最強の敵か味方かが出てきたらキャプテンはこう言うと思うんですよ。「歯ぁ食いしばれよ最強(最弱)、俺の最弱(最強)はちっとばかし響くぞ!!」とか言いながら盾でぶん殴ったら最高に格好いいですよね!!!」
チャリティ「いやそれただの上条さんじゃない。しかも盾使っちゃってるし」
takeshi「盾ぐらい使わせてあげましょうよ……。というか、あの最弱の上条さんが支持されてるのはやはりキャプテン・アメリカと一緒で能力に頼らず己の体と場の状況に合わせた機転によりどんなピンチでも脱するところにあるんですかね」
チャリティ「どうなのかしらね。どうでもいいけどね」
takeshi「チャリティさん、ずいぶんと「ね」を強調しますね」
チャリティ「あんたの口癖を真似たのよ。最後に「ね」でしめるやつ」
takeshi「結構めざといですね……あっ」
チャリティ「ニヤリ」
takeshi「さぁ私は今回何回語尾に「ね」を付けたでしょうか!?」
チャリティ「開き直るな!!」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
ロンドリーネ「和風パスタがまさかこんな形になって帰ってくるとは思わなかったわ……」
カイル「ロディ、全てのテーブルに配膳してきたぜ」
チェスター「俺達が食うのかよ!?」
リーガル「よく全員分あったものだ」
ロンドリーネ「なんか作りすぎちゃったらしいよ?」
Pカノンノ「見た目は普通だけど……」
カノンノG「イアハートに食べてもらいとか言ってたんでしょ?だったらちゃんとイアハートが食べないとね!」
カノンノE「う、うん……」
主人公「あーんしてあげようか?」
カノンノE「ぁあん!?」
パニール「カノンノ、レディがそんな汚い言葉を使ってはいけませんよ」
ユーリ「このパンケーキ、上に乗ってるのはバナナとゆず蜂蜜か?」
マオ「クリームとかじゃないんだね」
アルヴィン「んなもんさすがにこっちに送れねぇだろ。クリームが乗った物が出てきた日にゃオタクがソフィちゃんにぶちまけちまうのがオチだからな」
マオ「しないヨそんなこと!!ていうか何でソフィ限定なのさ!?」
グリューネ「エッチなのはいけないと思います!」
ジェイド「これは紛らわしいですねぇ。今のグリューネのセリフを某生徒会長のセリフととるかメイドアンドロイドのセリフととるかで世代が分かってしまいますよ?」
ロクス「それで、お味のほうはどうなんですか?」
カノンノE「あ、甘すぎ……。生地は表面はパサパサで中はにちゃにちゃで食感も最悪」
ユーリ「いいねぇ。俺もそんなふぅに罵られたいぜ」
リタ「は!?」
ジュディス「ごめんなさい?ちょっと今何を言っているのか分からなかったわ?」
ユーリ「あ?俺は何も言ってねぇぞ?」
クレス「おかしいな、こっちのパンケーキの生地は表面がカリカリしているけどパンケーキというのはこういうものなのか?」
セネル「パン屋の称号を持つ俺達から言わせてもらえばどちらもパンケーキの生地の食感じゃない」
チャット「これ同じフライパンで焼いたものを切り分けたんですよね?元は同じ生地なのに切る場所によって焼き加減が違うとかどんなトリックを使ったんでしょうか……」
フィリア「これは……リアルに不味いというものですね」
ルーティ「フィリアが不味いっていうなら相当なもんだわ」
リッド「なんかみんな不味いとかいろいろ言ってるけどよぉ、バナナは美味いぜ?」
ティトレイ「うおお!本当だぜ!バナナだけ食べると確かに美味いぜ!」
パスカル「ねぇねぇ!このバナナにゆず蜂蜜をかけて食べるともっと美味しいよ!」
ミント「まぁ、とっても上品な味になりました」
ジェイ「結論から言うと、パンケーキをどけて食べるのが正解のようですね」
プレザ「このパンケーキ邪魔ね。バナナが食べにくいわ」
ユーリ「俺はそのパンケーキになりたい!!」
エステリーゼ「ユーリ!?」
ソフィ「変態とは目を合わせちゃいけないんだよね、教官」
マリク「あ、あぁ……」
ユーリ「放置プレイもたまらんぜ!!」
レイヴン「青年、悩みがあるならおっさんが乗ってあげるとあれほど言ったのに……」
アルヴィン「貴様!Sに見せかけてMだな!!」
ユーリ「シークレットサービスを呼んだ覚えはねぇぞ?」
ヨーデル「ユーリさん、貴方は殿堂入りしたのですから仕事は選んだほうがいいですよ?」
ユーリ「選ぶんじゃねぇ。もう、選んだんだ」
デューク「最早手遅れということか……哀れな」
ロイド「水臭いぞユーリ!!」
ユーリ「あ?」
ロイド「俺達は同じ主人公じゃねぇか!俺はバカだから1位の悩みとか分からねぇけど、相談ぐらいにはのれるぞ!!」
ユーリ「急に熱くなられてもな……」
ロイド「目の前の人間も救えないで、世界再生なんてできるかよ!!」
ジーニアス「ロイド、実はそれを言いたかっただけなんじゃ……」
ゼロス「ロイドくーん!俺様なら1位の気持ち分かるぜ?」
ロイド「あばよ……ダチ公」
ゼロス「それ絶交ってこと!?何万人もの人間を感動させたセリフを、そんな使い方していいわけ!?」
りっちゃん「料理が完成したよん☆」
ロンドリーネ「それじゃ、パンケーキもどきはもう正解しているテーブルに食べてもらうとして、実食!!」
ナナリー「あたし達が食べるのかい!?」
ハロルド「ワンダーシェフの料理に当たる確率を考慮すると、不正解のほうがまだマシだったかもしれないわね〜」
ディムロス『そう言いながらよく平気でバクバクと食べられるな……』
〜続く〜
takeshi「いいえ先輩、私達の喧嘩です!」
チャリティ「喧嘩すんの?上等じゃない、どっからでもかかってきなさい」
takeshi「いえ、本編の流れからだと読者様はこういうのを期待してるかな〜と思っただけで、別に喧嘩がしたいわけでは……」
チャリティ「そういえば今日あんた、甘い香りがするわね」
takeshi「そうですか?もしかしてパンケーキの匂いですかね」
チャリティ「パンケーキですって!?私に隠れて食べようだなんて良い度胸じゃない、さっさとよこしなさい!」
takeshi「ジャイアンめ……。作ったものの食べ切れなかったので調度良いですけど」
チャリティ「これあんたが作ったの……?」
takeshi「見た目は普通にできましたけど……あからさまに嫌そうな目するのやめてもらえます?」
チャリティ「いやだってこれ近くで見ると見た目も相当怪しいわよ?」
takeshi「この掲示板に写真を載せられないのが非常に残念ですが、形はともかく色合いは自信あります!ていうかそんなに文句言うなら食べてみなさいよ!なんならあーんしてあげましょうか?ほれほれ」
チャリティ「ぁあん!?」
takeshi「だからジャイアンかっての……。で、どうですか?」
チャリティ「……」
takeshi「黙られると困るのですが……」
チャリティ「(・ω・)」
takeshi「だから何!?」
チャリティ「……美味しいのではなくって?」
takeshi「本当ですか!?」
チャリティ「えぇ、お上品な味わいでございました」
takeshi「空気が読めるけど読まないチャリティさんがそう言うなら間違いありませんね!よし!ではこれをオマケに送りましょう!これでイアハートのハートもオープンマイハートだぜデュフフフフフフ!!」
チャリティ「大変美味でしてよ(美味しいとは言ってない)」
takeshi「ん?」
チャリティ「ん?」
takeshi「そういえば先月末映画を見に行ってきたんですよ!」
チャリティ「珍しそうに言うけど最早毎月恒例行事じゃない?あ、でも先月は映画の話してないわね」
takeshi「あれ?猫侍を見に行った話はしてませんでしたっけ?」
チャリティ「あんた先月は無駄な事に無駄に熱を入れて語っていたから多分聞いてないわよ」
takeshi「じゃあ猫侍の感想だけ先に簡単に言わせていただきますが、兎に角猫がキュートです!そして一輝かっけぇ!」
チャリティ「犬のハーフである私の前でよく猫可愛いとか言えるわね」
takeshi「あの映画には犬もでてきますが私は断然猫派ですからね!ぬこ可愛いよぬこ!」
チャリティ「ふ、ふぅ〜ん」
takeshi「で、先月末に見てきた映画なのですがコナン君とキャプテン・アメリカの二本見てきました!」
チャリティ「コナンを見たのは賢明な判断ね。でも二本連続って久しぶりね」
takeshi「そらのおとしものと戦国BASARAを見た時以来じゃないですかね。その当時はまだ楽談もオマケも無かったんですよ、懐かしいですね〜」
チャリティ「で、まずコナンはどうだったの!?」
takeshi「CMで重大なことが明かされるようなこと言ってるじゃないですか。あれマジですからね!どうせ釣りでしょ?とか私も見る前は半信半疑だったのですが最後「あ…言いやがった」てなりました。ただ実は一番印象的だったのはそこじゃなく福士蒼太の英語が意外とうまいってこととパドリックの熱演です」
チャリティ「彼も蒼の名を持つ者なのね……」
takeshi「何で急にポエマーになったんですか?それはともかく英検2級ってあそこまで喋れるんですね。ちょっと取りたくなってきました」
チャリティ「キャプテン・アメリカは?」
takeshi「シビれました」
チャリティ「毒でも盛られたの?」
takeshi「違いますよ!彼は最近のヒーローのように俺TUEEE展開を望めるようなヒーローではなく地味で人間臭いのが売りのヒーローなので好みは分かれるのですが、能力に頼らず己の体一つで勝負という展開が好きな私にとってはすごく高評価です!」
チャリティ「でも盾使うじゃない」
takeshi「盾ぐらい使わせてあげましょうよ……。でもハリウッド映画とかってどこから予算を捻出してるんですかね?何年かけて描いたのか知りませんが劇場版エヴァに出てきたでっかい空飛ぶ基地あるじゃないですか?」
チャリティ「Qに出てきたやつね?」
takeshi「あれぐらいの規模の艦隊を僅か数カットで平気で落としますからね、外国人は。しかも何十機も!」
チャリティ「日本人は創るのに命かけるけど、彼等は壊すために創ってるんじゃない?だとしたらとんだドMだけど……」
takeshi「次のアベンジャーズが楽しみですね!」
チャリティ「でも今のヒーロー達が集まったらやっぱりキャプテンは最弱じゃない?」
takeshi「きっとね、最強の敵か味方かが出てきたらキャプテンはこう言うと思うんですよ。「歯ぁ食いしばれよ最強(最弱)、俺の最弱(最強)はちっとばかし響くぞ!!」とか言いながら盾でぶん殴ったら最高に格好いいですよね!!!」
チャリティ「いやそれただの上条さんじゃない。しかも盾使っちゃってるし」
takeshi「盾ぐらい使わせてあげましょうよ……。というか、あの最弱の上条さんが支持されてるのはやはりキャプテン・アメリカと一緒で能力に頼らず己の体と場の状況に合わせた機転によりどんなピンチでも脱するところにあるんですかね」
チャリティ「どうなのかしらね。どうでもいいけどね」
takeshi「チャリティさん、ずいぶんと「ね」を強調しますね」
チャリティ「あんたの口癖を真似たのよ。最後に「ね」でしめるやつ」
takeshi「結構めざといですね……あっ」
チャリティ「ニヤリ」
takeshi「さぁ私は今回何回語尾に「ね」を付けたでしょうか!?」
チャリティ「開き直るな!!」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
ロンドリーネ「和風パスタがまさかこんな形になって帰ってくるとは思わなかったわ……」
カイル「ロディ、全てのテーブルに配膳してきたぜ」
チェスター「俺達が食うのかよ!?」
リーガル「よく全員分あったものだ」
ロンドリーネ「なんか作りすぎちゃったらしいよ?」
Pカノンノ「見た目は普通だけど……」
カノンノG「イアハートに食べてもらいとか言ってたんでしょ?だったらちゃんとイアハートが食べないとね!」
カノンノE「う、うん……」
主人公「あーんしてあげようか?」
カノンノE「ぁあん!?」
パニール「カノンノ、レディがそんな汚い言葉を使ってはいけませんよ」
ユーリ「このパンケーキ、上に乗ってるのはバナナとゆず蜂蜜か?」
マオ「クリームとかじゃないんだね」
アルヴィン「んなもんさすがにこっちに送れねぇだろ。クリームが乗った物が出てきた日にゃオタクがソフィちゃんにぶちまけちまうのがオチだからな」
マオ「しないヨそんなこと!!ていうか何でソフィ限定なのさ!?」
グリューネ「エッチなのはいけないと思います!」
ジェイド「これは紛らわしいですねぇ。今のグリューネのセリフを某生徒会長のセリフととるかメイドアンドロイドのセリフととるかで世代が分かってしまいますよ?」
ロクス「それで、お味のほうはどうなんですか?」
カノンノE「あ、甘すぎ……。生地は表面はパサパサで中はにちゃにちゃで食感も最悪」
ユーリ「いいねぇ。俺もそんなふぅに罵られたいぜ」
リタ「は!?」
ジュディス「ごめんなさい?ちょっと今何を言っているのか分からなかったわ?」
ユーリ「あ?俺は何も言ってねぇぞ?」
クレス「おかしいな、こっちのパンケーキの生地は表面がカリカリしているけどパンケーキというのはこういうものなのか?」
セネル「パン屋の称号を持つ俺達から言わせてもらえばどちらもパンケーキの生地の食感じゃない」
チャット「これ同じフライパンで焼いたものを切り分けたんですよね?元は同じ生地なのに切る場所によって焼き加減が違うとかどんなトリックを使ったんでしょうか……」
フィリア「これは……リアルに不味いというものですね」
ルーティ「フィリアが不味いっていうなら相当なもんだわ」
リッド「なんかみんな不味いとかいろいろ言ってるけどよぉ、バナナは美味いぜ?」
ティトレイ「うおお!本当だぜ!バナナだけ食べると確かに美味いぜ!」
パスカル「ねぇねぇ!このバナナにゆず蜂蜜をかけて食べるともっと美味しいよ!」
ミント「まぁ、とっても上品な味になりました」
ジェイ「結論から言うと、パンケーキをどけて食べるのが正解のようですね」
プレザ「このパンケーキ邪魔ね。バナナが食べにくいわ」
ユーリ「俺はそのパンケーキになりたい!!」
エステリーゼ「ユーリ!?」
ソフィ「変態とは目を合わせちゃいけないんだよね、教官」
マリク「あ、あぁ……」
ユーリ「放置プレイもたまらんぜ!!」
レイヴン「青年、悩みがあるならおっさんが乗ってあげるとあれほど言ったのに……」
アルヴィン「貴様!Sに見せかけてMだな!!」
ユーリ「シークレットサービスを呼んだ覚えはねぇぞ?」
ヨーデル「ユーリさん、貴方は殿堂入りしたのですから仕事は選んだほうがいいですよ?」
ユーリ「選ぶんじゃねぇ。もう、選んだんだ」
デューク「最早手遅れということか……哀れな」
ロイド「水臭いぞユーリ!!」
ユーリ「あ?」
ロイド「俺達は同じ主人公じゃねぇか!俺はバカだから1位の悩みとか分からねぇけど、相談ぐらいにはのれるぞ!!」
ユーリ「急に熱くなられてもな……」
ロイド「目の前の人間も救えないで、世界再生なんてできるかよ!!」
ジーニアス「ロイド、実はそれを言いたかっただけなんじゃ……」
ゼロス「ロイドくーん!俺様なら1位の気持ち分かるぜ?」
ロイド「あばよ……ダチ公」
ゼロス「それ絶交ってこと!?何万人もの人間を感動させたセリフを、そんな使い方していいわけ!?」
りっちゃん「料理が完成したよん☆」
ロンドリーネ「それじゃ、パンケーキもどきはもう正解しているテーブルに食べてもらうとして、実食!!」
ナナリー「あたし達が食べるのかい!?」
ハロルド「ワンダーシェフの料理に当たる確率を考慮すると、不正解のほうがまだマシだったかもしれないわね〜」
ディムロス『そう言いながらよく平気でバクバクと食べられるな……』
〜続く〜