第43話『リヒトモスインセクトと天才』
左半身が凍結したリヒトモスインセクトがゆっくりと降ってくる。
地面では落下してくる女王の氷を溶かして更に鋼のコーティングを施すためにリヒトワームが炎系の導術を詠唱している。
相手は体育館程の体長をもち、最早視界に全長は収まりきらないがそれでもティトレイ、カイン、ジークの三人はティトレイを中心にして跳躍した。
「翔連脚!」
ティトレイは最早視界が紫一色にそまる中その広大なボディに空中で回転しながら右足のカカトで蹴り飛ばした後左足のつま先で同じ箇所を蹴り飛ばす。
「飛燕連脚!」
ジークはティトレイの右側、まだ生きている右翼の付け根に三連の蹴りを叩き込む。
「連牙弾!」
カインはティトレイのすぐ左側、ボディの凍っている部分との境目に散発の蹴りを入れる。
三人の下からの同時攻撃によりリヒトモスインセクトの落下が一瞬止まる。
そして、足を負傷しているジークとカインは顔をしかめるとそのまま地上へ着地するため落下するがティトレイの体が熱くなる。
今回ユージーンが提示した作戦はまずジンが道を切り開き、その道を閉じさせないようにユージーンが先導するというものだった。
そしてジンが作った道とリヒトモスインセクトが重なった時、ブライトが敵の動きを止め高度を下げさせる。
そうしたらヴェイグが敵の動きを封じる。
ここまでは作戦通りに進んだ。
そしてここからが重要なポイントになる。
ヴェイグが敵の動きを止めることにより落下すると再びリヒトワームに溶かされるため、ジークとカイン、ティトレイの三人で止めるのだが最終目的はそれではない。
リヒトモスインセクトの落下を止めた直後、今度は打ち上げ天井へ打ち付けることで洞窟を崩壊させることが今回の作戦の最終目的である。
しかしジークとカインはリヒトワームの攻撃により足を負傷しているため高い攻撃力は望めない。
そのため、この作戦におけるキーマンはティトレイであった。
この責任重大ともとれる状況にティトレイはワクワクしていた。
作戦の成功も失敗も自分にかかっている。
こういった状況になると俄然燃えるのがティトレイという男である。
ティトレイは自分の体の奥から熱いものがこみ上げて来るのを感じながら空中で更に体を回転させる。
「飛連!斬空脚!!」
カカト、つま先とティトレイの奥義がリヒトモスインセクトにヒットするたびにピストルが撃たれたかのような音が洞窟に木霊し、巨体がくの字に屈曲しながら天井へと登っていく。
「うおおおおおお!!!」
リヒトモスインセクトの背中が天井スレスレまで届いた時、ティトレイは渾身の力を振り絞って胴体を蹴り上げる。
「ぐぅっ!!」
しかし天井を打ち破れない。
更に腰に痛みが走り足に力がうまく伝達しない。
そこでようやくティトレイは自分もリヒトワームの鋼の頭突きを腰にくらっていたことを思い出した。
「ちっくっしょおおおおお!!!」
そろそろ助走した勢いが消える。
ティトレイは悔しさのあまり奥歯を噛み締める。
「ティトレイ!!」
不意に、背後から声がした。
直後、ティトレイの両脇からジークとカインがリヒトモスインセクトを蹴り上げる。
地上ではヴェイグとユージーンが見上げている。
二人がジークとカインを上へ飛ばしたのだろう。
「「「ォォォおおおおおおおお!!!!!!」」」
三人の咆哮が洞窟内に木霊し、天井はミシミシと音を立てる。
そして、ついに亀裂が入るとあっという間に広がった。
三人は着地すると、ヴェイグ達は既に来る時に通ってきた小さな洞穴へ向かっていた。
「急げ!崩れるぞ!!」
ユージーンに言われるまでもなく三人は洞穴へ走り、トンネルへ入った直後に重い音と地響きを立てながらリヒトモスインセクトが落下した。
同時に洞窟の崩壊も始まり大きな岩がリヒトモスインセクト達を押し潰していく。
だがそんな様子を観察している暇はなくトンネルが塞がれる前にヴェイグ達は縄梯子があった地点まで全力疾走する。
地響きでバランスがとりにくく、ヴェイグ達を追うようにトンネルは崩壊していく。
そして、縄梯子のある地点まで辿り着いてみると崩壊の影響か来た時よりも穴が広がっていた。
入る時は人一人分が通るだけで精一杯の穴だったが今は8人全員を太陽が照らしている。
「梯子が……ない……」
カインが絶望する足元に縄梯子は転がっていた。
穴が広がった時に落ちてしまったのだろう。
だが今から地上へ投げてる時間も余裕もない。
「全員固まれ!!」
ユージーンの号令に従い、7人は組み合うようにユージーンの周りに固まった。
「むぉおおおおおお!!!!!」
ユージーンが地面に手をつき、フォルスを急速に流す。
すると、地面が隆起しエレベーターのように上昇した。
まるで穴を塞ぐように隆起した鋼の地面は地上と同じ高さまでくると完全に洞穴に蓋をするような形となった。
今ヴェイグ達がいる地上絵でいうところのクチバシから見て500メートル離れた目玉にあたる部分がアリ地獄のように沈んでいく。
おそらくそこが先程までリヒトモスインセクトと戦っていたところなのだろう。
「生きてるん……だよな?」
ジークはその場に座り込み誰とも無しに訪ねる。
他の7人も満身創痍のようで座り込むか大地に大の字になってねそべっている。
「あぁ……」
ヴェイグが短く答える。
大剣を背負ったままだが仰向けになると大地の熱を感じ、太陽からは焼けるような熱が伝わってくる。
来る時は煩わしかったこの暑さも、ジリジリとした痛みも今は生きてるという実感を与えてくれる。
それがとても心地よかった。
「さてと、帰るか!」
ブライトが立ち上がった時だった。
アリ地獄のように地面が崩れていた部分から巨大な蝶のような生物が砂や岩などを撒き散らしながら大空へ舞い上がった。
「嘘だろ……」
ジンは目を見開いた。
今青空の下で羽ばたいているのは間違いなくリヒトモスインセクトだ。
しかも先程は柔らかかった紫の胴体も銀色の鋼にコーティングされている。
リヒトモスインセクトが4枚羽根の擦り合わせる音が木霊する。
500メートルは離れているのに耳を塞ぎたくなるほど響いてくる。
「おいおい、こっち来るぜ!」
ティトレイが急いでグローブを構える。
500メートルも距離があればそんなに慌てる必要はない。
だが巨大な銀翼が生む推進力は並ではなかった。
既にブライトの射程範囲内に入っている。
しかしまだブライトは照準を合わせるところまで動作が追いついていない。
「ちっ!」
ブライトは舌打ちをする。
そんな時だ。
ブライト達から見て右側、街のある方角の上空より無数の火炎球が飛来するとリヒトモスインセクトの頭部に当たり、その衝撃から高度が下がった。
二発目、三発目と次々に火炎球はリヒトモスインセクトを殴りつけるように降下していき地面に叩き付けた。
そして火炎球が止んだ直後、リヒトモスインセクトが浮上しようた瞬間に今度はその巨体を囲むように大地が隆起し身動きを封じた。
「ユージーン!」
火炎球が飛んできた方向から声がしたので向いてみると、そこにはマオ、ヒルダ、フィオナ、ルルの4人がいた。
どうやらさっきのはマオのバーンストライクとヒルダのストーンブレイクのようだ。
リヒトモスインセクトが身動きとれないうちにマオ達はユージーン達と合流する。
「結構でっかかったけど、何なのあれ?」
フィオナの質問にジークとジンは目を逸らし、ユージーンが答える。
「リヒトワームの成虫だ。名をリヒトモスインセクトというらしい」
「む、虫なの!?」
ルルの顔が青ざめている内にも岩壁の砦がリヒトモスインセクトの羽により切り裂かれ、再び空へ舞い上がった。
「火属性の攻撃を加えると硬くなってしまうので注意してください」
アニーの忠告に今合流した4人は頷いた。
その間にもリヒトモスインセクトは巨大な4枚羽根を動かし、大人3人分の高さはある竜巻を発生させる。
「洞窟内だと使えなかった技ってわけか!」
ここにきて始めてくりだしてきた技に対してブライトは弾丸を放つ。
しかし竜巻によって周囲の気流が乱れ、空気を圧縮して作った弾丸では弾かれてしまう。
「鬱陶しいわね!」
フィオナは扇を開くと少し溜めを作ってから大きく振り回す。
するとフィオナの鋭い風がリヒトモスインセクトの前に鎮座していた竜巻を打ち消した。
「洞窟内で思うように戦えなかったのはてめぇだけじゃねぇんだよ!」
言葉が通じないのは分かってはいるがブライトはつい挑発してしまう。
すると、言葉を理解したのかリヒトモスインセクトは悔しそうに羽を擦り合わせた。
「まずい!」
ヴェイグは咄嗟に耳を塞いだ。
屋外なため反響する心配はないが、先程500メートルも離れているのにもかかわらず耳を劈くような音量だった。
この近距離で聞けば洞窟内で聞いたのと大差はない。
しかし、事情を知らないフィオナはもう一度扇を振るう。
すると確かに音は響いているのだが耳を塞ぐほどではなかった。
むしろ金属音はどこかへ流されている感覚だった。
「そうか、風に流されていきやがったのか!」
ブライトは納得した。
そもそも音というのは空気を振動させることによって耳に届く。
しかしその音の波を突風などで崩し、気流を乱すことによって音の波も直進することができずおかしな方向へと飛んでいく。
「お前天才かもな!」
ブライトは適当にフィオナを褒めた後に詠唱に入った。
一方でヴェイグ達前衛は金属音の心配がなくなったためリヒトモスインセクトの真下まで入り込んだが洞窟内とは違って高度が高すぎるため跳躍しても攻撃が届かずにいた。
「今落としてあげるから待ってなさい」
ヒルダが詠唱に入る傍らでマオの詠唱が終わる。
「裁きの十字よ、敵を討て!ブラッディクロス!!」
マオがトンファーを掲げると地中より血塗られた十字架が出現し、蝶のボディを貫く。
鋼のボディと十字架がぶつかり、ゴッという音と共にリヒトモスインセクトはバランスを崩す。
「貫け、サンダースピア!」
ヒルダから光の矢が放たれる。
するとリヒトモスインセクトは今までなになく羽を多く羽ばたかせ体勢を立て直すと光の矢は蝶の羽と胴体の間をすり抜けていった。
「外した?」
ヒルダは舌打ちしてからもう一度詠唱に入るが、真下にいるティトレイは首を傾げた。
「今こいつ……慌てなかったか?」
「ティトレイもそう思った?気のせいかとも思ったんだけど……」
カインも同じことを思ったようだったがジークとヴェイグは顔を見合わせた。
「俺にはそうは見えなかったが……」
「だよな。仮に慌てたとしても鋼に電気は……」
そこまで考えてジークは何か閃いたかのようにヒルダを見た。
すると、ヒルダも同じことを思ったのか頷いた。
「ジン、ルルを説得してこい」
「ルルを?」
ジンは虫に怯えて遠くから見守っているルルを見た。
「兄さんが説得すれば?」
「俺が言っても聞かねぇだろ。言い方は何でも良い。とにかくルルを引っ張ってこい」
ジンは諦めたようにため息をついた後ルルのところへ向かった。
〜続く〜
地面では落下してくる女王の氷を溶かして更に鋼のコーティングを施すためにリヒトワームが炎系の導術を詠唱している。
相手は体育館程の体長をもち、最早視界に全長は収まりきらないがそれでもティトレイ、カイン、ジークの三人はティトレイを中心にして跳躍した。
「翔連脚!」
ティトレイは最早視界が紫一色にそまる中その広大なボディに空中で回転しながら右足のカカトで蹴り飛ばした後左足のつま先で同じ箇所を蹴り飛ばす。
「飛燕連脚!」
ジークはティトレイの右側、まだ生きている右翼の付け根に三連の蹴りを叩き込む。
「連牙弾!」
カインはティトレイのすぐ左側、ボディの凍っている部分との境目に散発の蹴りを入れる。
三人の下からの同時攻撃によりリヒトモスインセクトの落下が一瞬止まる。
そして、足を負傷しているジークとカインは顔をしかめるとそのまま地上へ着地するため落下するがティトレイの体が熱くなる。
今回ユージーンが提示した作戦はまずジンが道を切り開き、その道を閉じさせないようにユージーンが先導するというものだった。
そしてジンが作った道とリヒトモスインセクトが重なった時、ブライトが敵の動きを止め高度を下げさせる。
そうしたらヴェイグが敵の動きを封じる。
ここまでは作戦通りに進んだ。
そしてここからが重要なポイントになる。
ヴェイグが敵の動きを止めることにより落下すると再びリヒトワームに溶かされるため、ジークとカイン、ティトレイの三人で止めるのだが最終目的はそれではない。
リヒトモスインセクトの落下を止めた直後、今度は打ち上げ天井へ打ち付けることで洞窟を崩壊させることが今回の作戦の最終目的である。
しかしジークとカインはリヒトワームの攻撃により足を負傷しているため高い攻撃力は望めない。
そのため、この作戦におけるキーマンはティトレイであった。
この責任重大ともとれる状況にティトレイはワクワクしていた。
作戦の成功も失敗も自分にかかっている。
こういった状況になると俄然燃えるのがティトレイという男である。
ティトレイは自分の体の奥から熱いものがこみ上げて来るのを感じながら空中で更に体を回転させる。
「飛連!斬空脚!!」
カカト、つま先とティトレイの奥義がリヒトモスインセクトにヒットするたびにピストルが撃たれたかのような音が洞窟に木霊し、巨体がくの字に屈曲しながら天井へと登っていく。
「うおおおおおお!!!」
リヒトモスインセクトの背中が天井スレスレまで届いた時、ティトレイは渾身の力を振り絞って胴体を蹴り上げる。
「ぐぅっ!!」
しかし天井を打ち破れない。
更に腰に痛みが走り足に力がうまく伝達しない。
そこでようやくティトレイは自分もリヒトワームの鋼の頭突きを腰にくらっていたことを思い出した。
「ちっくっしょおおおおお!!!」
そろそろ助走した勢いが消える。
ティトレイは悔しさのあまり奥歯を噛み締める。
「ティトレイ!!」
不意に、背後から声がした。
直後、ティトレイの両脇からジークとカインがリヒトモスインセクトを蹴り上げる。
地上ではヴェイグとユージーンが見上げている。
二人がジークとカインを上へ飛ばしたのだろう。
「「「ォォォおおおおおおおお!!!!!!」」」
三人の咆哮が洞窟内に木霊し、天井はミシミシと音を立てる。
そして、ついに亀裂が入るとあっという間に広がった。
三人は着地すると、ヴェイグ達は既に来る時に通ってきた小さな洞穴へ向かっていた。
「急げ!崩れるぞ!!」
ユージーンに言われるまでもなく三人は洞穴へ走り、トンネルへ入った直後に重い音と地響きを立てながらリヒトモスインセクトが落下した。
同時に洞窟の崩壊も始まり大きな岩がリヒトモスインセクト達を押し潰していく。
だがそんな様子を観察している暇はなくトンネルが塞がれる前にヴェイグ達は縄梯子があった地点まで全力疾走する。
地響きでバランスがとりにくく、ヴェイグ達を追うようにトンネルは崩壊していく。
そして、縄梯子のある地点まで辿り着いてみると崩壊の影響か来た時よりも穴が広がっていた。
入る時は人一人分が通るだけで精一杯の穴だったが今は8人全員を太陽が照らしている。
「梯子が……ない……」
カインが絶望する足元に縄梯子は転がっていた。
穴が広がった時に落ちてしまったのだろう。
だが今から地上へ投げてる時間も余裕もない。
「全員固まれ!!」
ユージーンの号令に従い、7人は組み合うようにユージーンの周りに固まった。
「むぉおおおおおお!!!!!」
ユージーンが地面に手をつき、フォルスを急速に流す。
すると、地面が隆起しエレベーターのように上昇した。
まるで穴を塞ぐように隆起した鋼の地面は地上と同じ高さまでくると完全に洞穴に蓋をするような形となった。
今ヴェイグ達がいる地上絵でいうところのクチバシから見て500メートル離れた目玉にあたる部分がアリ地獄のように沈んでいく。
おそらくそこが先程までリヒトモスインセクトと戦っていたところなのだろう。
「生きてるん……だよな?」
ジークはその場に座り込み誰とも無しに訪ねる。
他の7人も満身創痍のようで座り込むか大地に大の字になってねそべっている。
「あぁ……」
ヴェイグが短く答える。
大剣を背負ったままだが仰向けになると大地の熱を感じ、太陽からは焼けるような熱が伝わってくる。
来る時は煩わしかったこの暑さも、ジリジリとした痛みも今は生きてるという実感を与えてくれる。
それがとても心地よかった。
「さてと、帰るか!」
ブライトが立ち上がった時だった。
アリ地獄のように地面が崩れていた部分から巨大な蝶のような生物が砂や岩などを撒き散らしながら大空へ舞い上がった。
「嘘だろ……」
ジンは目を見開いた。
今青空の下で羽ばたいているのは間違いなくリヒトモスインセクトだ。
しかも先程は柔らかかった紫の胴体も銀色の鋼にコーティングされている。
リヒトモスインセクトが4枚羽根の擦り合わせる音が木霊する。
500メートルは離れているのに耳を塞ぎたくなるほど響いてくる。
「おいおい、こっち来るぜ!」
ティトレイが急いでグローブを構える。
500メートルも距離があればそんなに慌てる必要はない。
だが巨大な銀翼が生む推進力は並ではなかった。
既にブライトの射程範囲内に入っている。
しかしまだブライトは照準を合わせるところまで動作が追いついていない。
「ちっ!」
ブライトは舌打ちをする。
そんな時だ。
ブライト達から見て右側、街のある方角の上空より無数の火炎球が飛来するとリヒトモスインセクトの頭部に当たり、その衝撃から高度が下がった。
二発目、三発目と次々に火炎球はリヒトモスインセクトを殴りつけるように降下していき地面に叩き付けた。
そして火炎球が止んだ直後、リヒトモスインセクトが浮上しようた瞬間に今度はその巨体を囲むように大地が隆起し身動きを封じた。
「ユージーン!」
火炎球が飛んできた方向から声がしたので向いてみると、そこにはマオ、ヒルダ、フィオナ、ルルの4人がいた。
どうやらさっきのはマオのバーンストライクとヒルダのストーンブレイクのようだ。
リヒトモスインセクトが身動きとれないうちにマオ達はユージーン達と合流する。
「結構でっかかったけど、何なのあれ?」
フィオナの質問にジークとジンは目を逸らし、ユージーンが答える。
「リヒトワームの成虫だ。名をリヒトモスインセクトというらしい」
「む、虫なの!?」
ルルの顔が青ざめている内にも岩壁の砦がリヒトモスインセクトの羽により切り裂かれ、再び空へ舞い上がった。
「火属性の攻撃を加えると硬くなってしまうので注意してください」
アニーの忠告に今合流した4人は頷いた。
その間にもリヒトモスインセクトは巨大な4枚羽根を動かし、大人3人分の高さはある竜巻を発生させる。
「洞窟内だと使えなかった技ってわけか!」
ここにきて始めてくりだしてきた技に対してブライトは弾丸を放つ。
しかし竜巻によって周囲の気流が乱れ、空気を圧縮して作った弾丸では弾かれてしまう。
「鬱陶しいわね!」
フィオナは扇を開くと少し溜めを作ってから大きく振り回す。
するとフィオナの鋭い風がリヒトモスインセクトの前に鎮座していた竜巻を打ち消した。
「洞窟内で思うように戦えなかったのはてめぇだけじゃねぇんだよ!」
言葉が通じないのは分かってはいるがブライトはつい挑発してしまう。
すると、言葉を理解したのかリヒトモスインセクトは悔しそうに羽を擦り合わせた。
「まずい!」
ヴェイグは咄嗟に耳を塞いだ。
屋外なため反響する心配はないが、先程500メートルも離れているのにもかかわらず耳を劈くような音量だった。
この近距離で聞けば洞窟内で聞いたのと大差はない。
しかし、事情を知らないフィオナはもう一度扇を振るう。
すると確かに音は響いているのだが耳を塞ぐほどではなかった。
むしろ金属音はどこかへ流されている感覚だった。
「そうか、風に流されていきやがったのか!」
ブライトは納得した。
そもそも音というのは空気を振動させることによって耳に届く。
しかしその音の波を突風などで崩し、気流を乱すことによって音の波も直進することができずおかしな方向へと飛んでいく。
「お前天才かもな!」
ブライトは適当にフィオナを褒めた後に詠唱に入った。
一方でヴェイグ達前衛は金属音の心配がなくなったためリヒトモスインセクトの真下まで入り込んだが洞窟内とは違って高度が高すぎるため跳躍しても攻撃が届かずにいた。
「今落としてあげるから待ってなさい」
ヒルダが詠唱に入る傍らでマオの詠唱が終わる。
「裁きの十字よ、敵を討て!ブラッディクロス!!」
マオがトンファーを掲げると地中より血塗られた十字架が出現し、蝶のボディを貫く。
鋼のボディと十字架がぶつかり、ゴッという音と共にリヒトモスインセクトはバランスを崩す。
「貫け、サンダースピア!」
ヒルダから光の矢が放たれる。
するとリヒトモスインセクトは今までなになく羽を多く羽ばたかせ体勢を立て直すと光の矢は蝶の羽と胴体の間をすり抜けていった。
「外した?」
ヒルダは舌打ちしてからもう一度詠唱に入るが、真下にいるティトレイは首を傾げた。
「今こいつ……慌てなかったか?」
「ティトレイもそう思った?気のせいかとも思ったんだけど……」
カインも同じことを思ったようだったがジークとヴェイグは顔を見合わせた。
「俺にはそうは見えなかったが……」
「だよな。仮に慌てたとしても鋼に電気は……」
そこまで考えてジークは何か閃いたかのようにヒルダを見た。
すると、ヒルダも同じことを思ったのか頷いた。
「ジン、ルルを説得してこい」
「ルルを?」
ジンは虫に怯えて遠くから見守っているルルを見た。
「兄さんが説得すれば?」
「俺が言っても聞かねぇだろ。言い方は何でも良い。とにかくルルを引っ張ってこい」
ジンは諦めたようにため息をついた後ルルのところへ向かった。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート26】
takeshi「ども〜!お腹いっぱいなtakeshiです」
チャリティ「どうしたの?」
takeshi「前回パンケーキをおまけに送ったじゃないですか。でもあれはデータ上であって、実際に作った以上やはり現物は残るんですよ。なので残った分は作者が美味しくいただいたのですが本当に作りすぎてしまったためもうお腹がポンポンですよ」
チャリティ「よく食べたわね……」
takeshi「よくも美味しいとか言って食べてくれましたね。まぁ、不味いと分かってておまけに送ったので別に良いですが」
チャリティ「私は設定どおり空気を読まずに言っただけだし」
takeshi「空気を読んで美味しいとか言ったんじゃないんですか?」
チャリティ「あんたの場合は好きな子に渡すために私に感想を聞いたんでしょ?あそこで正直に不味いって言ってたらおまけに送らなかったでしょうし、イアハートの好感度も下がらなかったでしょうね。でもあえて嘘をついて美味しいって言えば好感度は下がってあんたの喜ぶ顔を見なくてすむでしょ?空気の読み方にもいろいろあるってことね」
takeshi「むぅ。リヒトモスインセクト戦もなかなか終わりませんし、どうにかなりませんかね?」
チャリティ「本当、あんたって戦闘と日常パートの比率が極端よね」
takeshi「今戦っているのがギガント戦みたいなものなので仕方ないと言えば仕方ないのですが、なんか最近すっごいテイルズっぽい気がするんですよ」
チャリティ「それでいいじゃない」
takeshi「私は日常が書きたいの!!いつまでも虫なんか書いていたくないんですよ!なんかこうラブに飢えているというか何と言うか……」
チャリティ「あんた大したラブコメ書けないでしょ?」
takeshi「やかましいです!でもまぁキーアイテム収集イベントなんてのはテイルズの王道イベントですらね、その王道パターンに入った時点でテイルズ臭が強く出てしまう宿命なのでしょうか」
チャリティ「RPGの定番よね。伝説の武器を作るためには素材が必要でその素材を取りにいくには洞窟に行く必要があって洞窟に行ってみたら入るための許可証が必要でお城に行ってみたら許可証を出してくれる大臣が調査に出かけててその調査場所は王族の私有地だから王族の許可が必要で許可をとりにいったらヤンチャなお姫様が仲間になって大臣がいるダンジョンに行ってみたら釣り橋効果でナイスカップリングになっちゃうけど実はお姫様は隣国と政略結婚することになっててその結婚を破棄させるために隣国と戦争をすることになって隣国の王子と敵対するけど剣を交えてみると王子も結婚には乗り気じゃないことが分かって王子を仲間にした後王子の父親である王様のもとへ行ってみると王様は既に死んでいてその正体は魔界からきた魔王が裏で糸を引いていてその魔王を倒すためには幻の剣が必要でその幻の剣を作るために素材を手に入れようとするけど」
takeshi「おうおうおう!!ここまで黙って聞いてたけどループし始めましたよ!!ていうかRPGってよくたらい回しにされるよねっていう例を述べるのにどんだけ尺を使うんですか!?」
チャリティ「何よこっからがいいところなのに。この後魔王の娘とエルフも仲間になって主人公がハーレムを作るっていうウハウハ展開になるのよ?」
takeshi「ハーレムってちゃっかり隣国の王子も含まれてるじゃないですか!!しかも最初の伝説の剣放置だし!」
チャリティ「大丈夫よ。主人公が両手を叩いて地面を触るとそこからニョキって出てくるから」
takeshi「えっ、主人公ってニーサンなの?」
チャリティ「我ながら良いシナリオができたわ!今やってるオマケが終わったら次私原作の物語やるわよ!」
takeshi「そういやリーガルハイ見たんですよ!ドラマの再放送!噂通り面白いですね!」
チャリティ「無言の肯定と受け取って良いのね?」
takeshi「え?無言の法廷?とんでもない!あんなにセリフ量の多いドラマ、台本の厚さを考えただけでも寒気がしますよ!ていうか顔芸が半端無い」
チャリティ「お得意の人の話聞かないモードってわけね……」
takeshi「というか私もセリフ量云々よりもリヒトモスインセクトと打つだけで10文字も消費してしまうのをどうにかしたいものです!ではまた〜」
チャット「ちょっ、終わるの!?」
―――オマケ―――
メル「チャリティさんの企画、やるのかな?」
ロンドリーネ「穏やかじゃないわね……」
ダオス「私の心中も穏やかではないのだが……」
セネル「しっかし、これはこれで見た目がとんでもないものが出てきたな」
モーゼス「卵がカッチカチじゃの」
クロエ「メニューの写真を見る限り半熟の卵でとじてあるはずじゃないのか?」
ジェイ「おそらく半熟ではお腹を壊してしまうという気遣いからでしょう」
ウィル「ということは料理人はやつか?」
ジェイ「いえ、まだ見ただけで決めるのは早いですよ。この味噌汁やライスにも何か隠されているかもしれません」
リタ「とりあえず見た目は普通みたいね」
ゴーシュ「見た目は……ね」
パティ「そう言われると食べるのが恐ろしくなるのじゃ……」
レイヴン「おっさんもう食べられないかんね!」
ユーリ「ラピードが反応しねぇってことは刺激物が入ってる可能性も低そうだな」
デューク「面倒だ。私が食そう」
ソフィ「アスベル、素っ裸」
アスベル「まったくだな」
シェリア「ね、ねぇ?今の言い方だとまるでアスベルが裸みたいよ?」
リチャード「残念だアスベル。よもや親友を牢へ送ることになるとは……」
アスベル「……は?」
マリク「陛下、アスベルの場合牢へ放り込んでもテイルズ主人公補正でプリズンブレイクする恐れがあります」
ヒューバート「一番プリズンブレイクしそうな声をしている人が何を言ってるんですか……」
アスベル「待ってくれ!そもそも主人公がやすやすと牢屋に入るわけがないじゃないか!」
クレス「大丈夫だアスベル。牢屋は意外と広いんだ」
スタン「毎朝起こしにくる妹とかいないからいくらでも寝ていられるしな!」
アスベル「……へ?」
リッド「お前ら馬鹿だろ?」
アスベル「そ、そうだ!言ってやってくれリッド!」
リッド「俺なんか呑気にしてたら水攻めにされたんだぞ?」
ロイド「牢屋なんてソーサラーリングさえあれば一発だぜ!」
ヴェイグ「牢屋か……。今思えば何故俺達は個室だったのだろうな。まさかあれがVIP待遇というやつだったのだろうか」
ルーク「俺達も個室だったぜ?かなり埃っぽい所だったけどよ」
ユーリ「牢屋ってのは大抵個室だろ。あのヒンヤリとした床が懐かしいぜ」
アスベル「何で牢屋あるあるが始まってるんだ!?」
セネル「俺は一軒家の地下に牢屋があることが一番驚きだったがな……」
ミラ「私はエリーゼと一緒だったぞ?」
カイル「やっぱ牢屋は英雄の登竜門だよな!ていうかアスベルは入ったことないのかよ?」
アスベル「当たり前だ!騎士として領主として、牢に入ったことがるという経歴は信頼に関わるからな」
カイル「お前は英雄なんかじゃない!ただのマモリタカッタだ!!」
ハロルド「はい、カイルの英雄取り消し宣言いただきました〜♪」
ジュード「あの〜、一応僕も牢屋に入ったことないんだけど……」
イバル「はっ!所詮貴様など主人公ではなくヒロインがお似合いということだ!」
ローエン「なるほど。つまりイバルさんがジュードさんの主人公になるということですね?」
プレザ「その話もっと詳しく!!」
アルヴィン「だからそのキャラやめろって!エクシリアやったことない人が勘違いしちゃうだろうが!!」
パスカル「ねーねー。弟君、裸の件はどうするの?」
ヒューバート「その言葉の切り方だとボクまで裸みたいじゃないですか!ちゃんとヒレカツが、という主語を付けてください!」
リトルクイーン「兄弟とヒレカツがすっぽんぽん……なるほど」
ヒューバート「あなたは今何を納得したんですか!?ていうかそういうキャラだったんですか!?」
マリク「まぁ種明かしをしてしまえばひれかつ煮の衣がきちんとくっついていなために中身が見えてしまっているということなのだがな」
リチャード「僕としては丸見えよりもチラリズムの方が得点は高いのだがね」
マリク「ふっ、陛下もまだまだですな。見えないからこそ妄想が膨らみ夢が広がるのではないですか」
リチャード「これは次の国連会議で議論する必要がありそうだね」
シェリア「私達の世界は大丈夫なのかしら……」
エリーゼ「ローエン、私達の料理にだけお味噌汁がありません」
ローエン「おや、こちらにあるスープが味噌汁のはずなのですが……色が薄いですね」
ミラ「ふむ、味噌を控え目にしたのだろうか。塩分の取りすぎは体によくないからな」
ジュード「味噌の塩分自体を抑えない限り量を変えても大差ないはずだけど……。ていうかこれ本当にお味噌入ってるのかな?」
アグリア「こんなんお湯飲んでるのと変わらねぇぞ!」
クラース「しかし味噌をお湯に溶かして飲むなど、何て贅沢な食しかたなのだろうか」
チェスター「だよな〜。どうせなら生で食いたかったぜ」
すず「私の里に来ていただければいつでも食べられます」
クレス「それはそうだけど、高いんだよね……」
ミント「メロンの10倍以上の値段はさすがに出せませんよね……」
ジェイ「というか、あのすずという人居たんですね。初回以降全然喋らないから気付きませんでしたよ」
すず「忍びは気配を消すのが仕事です。逆に忍びがペラペラと喋るのはどうかと思います」
ジェイ「言われてますよ、しいなさん」
しいな「あんたもだろ!!ていうか、ここに来てからのセリフ量はあんたの方が多いはずだよ」
ジェイ「ところで王族は揚げ物を作るのが苦手という情報があるのですが何故ですか?」
しいな「話を逸らすんじゃないよ!」
ゼロス「そりゃあ手が汚れるからじゃねぇの?」
ルーク「あーそうそう!卵に漬けた後パン粉にまぶす時手にめちゃくちゃ付くのが嫌なんだよな〜」
エステリーゼ「私も最初は苦手でしたけどパン粉が付いて大きくなるととても面白いです」
デューク「食物をお遊び気分で弄ぶとは……嘆かわしい」
ユーリ「嘆いてないで味の感想言えっての」
デューク「美味くも不味くもない。敢えて言うなら普通だ」
リタ「てことはワンダー辺りが怪しいわね。まったく、一番予想しずらい奴等じゃない」
ゴーシュ「気になるところといえば衣が若干厚いところか」
ユーリ「確かに微妙に厚いな」
エステリーゼ「そうなんです?」
レイヴン「衣の厚さなんて貧乏人くらいしか気にしないからねぇ」
ジュディス「でも、この二人が言うなら間違いないのでしょうね」
グリューネ「大変です!」
ノーマ「急に神様モードになってどったの!?」
グリューネ「この味噌汁……大根が入っています」
レジェンディア「「何だって!!??」」
セネル「ど、どうする?みんなで分けて食べるか?」
ヴァーツラフ「弱肉強食。決闘で勝った者が食べるに決まっている」
ウィル「いや待て。ここは幸いにも助っ人カードを使えば料理が追加されるというルールがある。8枚使えば全員食べられるぞ」
モーゼス「ヒョォォォオオオオオオ!!!」
クロエ「ここは私に任せてくれ!こう見えても小覇王と呼ばれていたんだ、助っ人の8人ぐらい」
バルバトス「カードなんぞ……」
ウィル「はっ!待てクロエ!早まるな!!」
クロエ「ちぃ、あいつの目がある限りカードは使えないというのか……!」
グリューネ「仕方がありません。皆で分け合って食べるとしましょう」
ノーマ「うぅ〜」
セネル「よく見てみると大根以外にも色々なものが入ってるんだな」
ヴァーツラフ「これは……ミニトマトか。是非もない」
〜続く〜
takeshi「ども〜!お腹いっぱいなtakeshiです」
チャリティ「どうしたの?」
takeshi「前回パンケーキをおまけに送ったじゃないですか。でもあれはデータ上であって、実際に作った以上やはり現物は残るんですよ。なので残った分は作者が美味しくいただいたのですが本当に作りすぎてしまったためもうお腹がポンポンですよ」
チャリティ「よく食べたわね……」
takeshi「よくも美味しいとか言って食べてくれましたね。まぁ、不味いと分かってておまけに送ったので別に良いですが」
チャリティ「私は設定どおり空気を読まずに言っただけだし」
takeshi「空気を読んで美味しいとか言ったんじゃないんですか?」
チャリティ「あんたの場合は好きな子に渡すために私に感想を聞いたんでしょ?あそこで正直に不味いって言ってたらおまけに送らなかったでしょうし、イアハートの好感度も下がらなかったでしょうね。でもあえて嘘をついて美味しいって言えば好感度は下がってあんたの喜ぶ顔を見なくてすむでしょ?空気の読み方にもいろいろあるってことね」
takeshi「むぅ。リヒトモスインセクト戦もなかなか終わりませんし、どうにかなりませんかね?」
チャリティ「本当、あんたって戦闘と日常パートの比率が極端よね」
takeshi「今戦っているのがギガント戦みたいなものなので仕方ないと言えば仕方ないのですが、なんか最近すっごいテイルズっぽい気がするんですよ」
チャリティ「それでいいじゃない」
takeshi「私は日常が書きたいの!!いつまでも虫なんか書いていたくないんですよ!なんかこうラブに飢えているというか何と言うか……」
チャリティ「あんた大したラブコメ書けないでしょ?」
takeshi「やかましいです!でもまぁキーアイテム収集イベントなんてのはテイルズの王道イベントですらね、その王道パターンに入った時点でテイルズ臭が強く出てしまう宿命なのでしょうか」
チャリティ「RPGの定番よね。伝説の武器を作るためには素材が必要でその素材を取りにいくには洞窟に行く必要があって洞窟に行ってみたら入るための許可証が必要でお城に行ってみたら許可証を出してくれる大臣が調査に出かけててその調査場所は王族の私有地だから王族の許可が必要で許可をとりにいったらヤンチャなお姫様が仲間になって大臣がいるダンジョンに行ってみたら釣り橋効果でナイスカップリングになっちゃうけど実はお姫様は隣国と政略結婚することになっててその結婚を破棄させるために隣国と戦争をすることになって隣国の王子と敵対するけど剣を交えてみると王子も結婚には乗り気じゃないことが分かって王子を仲間にした後王子の父親である王様のもとへ行ってみると王様は既に死んでいてその正体は魔界からきた魔王が裏で糸を引いていてその魔王を倒すためには幻の剣が必要でその幻の剣を作るために素材を手に入れようとするけど」
takeshi「おうおうおう!!ここまで黙って聞いてたけどループし始めましたよ!!ていうかRPGってよくたらい回しにされるよねっていう例を述べるのにどんだけ尺を使うんですか!?」
チャリティ「何よこっからがいいところなのに。この後魔王の娘とエルフも仲間になって主人公がハーレムを作るっていうウハウハ展開になるのよ?」
takeshi「ハーレムってちゃっかり隣国の王子も含まれてるじゃないですか!!しかも最初の伝説の剣放置だし!」
チャリティ「大丈夫よ。主人公が両手を叩いて地面を触るとそこからニョキって出てくるから」
takeshi「えっ、主人公ってニーサンなの?」
チャリティ「我ながら良いシナリオができたわ!今やってるオマケが終わったら次私原作の物語やるわよ!」
takeshi「そういやリーガルハイ見たんですよ!ドラマの再放送!噂通り面白いですね!」
チャリティ「無言の肯定と受け取って良いのね?」
takeshi「え?無言の法廷?とんでもない!あんなにセリフ量の多いドラマ、台本の厚さを考えただけでも寒気がしますよ!ていうか顔芸が半端無い」
チャリティ「お得意の人の話聞かないモードってわけね……」
takeshi「というか私もセリフ量云々よりもリヒトモスインセクトと打つだけで10文字も消費してしまうのをどうにかしたいものです!ではまた〜」
チャット「ちょっ、終わるの!?」
―――オマケ―――
メル「チャリティさんの企画、やるのかな?」
ロンドリーネ「穏やかじゃないわね……」
ダオス「私の心中も穏やかではないのだが……」
セネル「しっかし、これはこれで見た目がとんでもないものが出てきたな」
モーゼス「卵がカッチカチじゃの」
クロエ「メニューの写真を見る限り半熟の卵でとじてあるはずじゃないのか?」
ジェイ「おそらく半熟ではお腹を壊してしまうという気遣いからでしょう」
ウィル「ということは料理人はやつか?」
ジェイ「いえ、まだ見ただけで決めるのは早いですよ。この味噌汁やライスにも何か隠されているかもしれません」
リタ「とりあえず見た目は普通みたいね」
ゴーシュ「見た目は……ね」
パティ「そう言われると食べるのが恐ろしくなるのじゃ……」
レイヴン「おっさんもう食べられないかんね!」
ユーリ「ラピードが反応しねぇってことは刺激物が入ってる可能性も低そうだな」
デューク「面倒だ。私が食そう」
ソフィ「アスベル、素っ裸」
アスベル「まったくだな」
シェリア「ね、ねぇ?今の言い方だとまるでアスベルが裸みたいよ?」
リチャード「残念だアスベル。よもや親友を牢へ送ることになるとは……」
アスベル「……は?」
マリク「陛下、アスベルの場合牢へ放り込んでもテイルズ主人公補正でプリズンブレイクする恐れがあります」
ヒューバート「一番プリズンブレイクしそうな声をしている人が何を言ってるんですか……」
アスベル「待ってくれ!そもそも主人公がやすやすと牢屋に入るわけがないじゃないか!」
クレス「大丈夫だアスベル。牢屋は意外と広いんだ」
スタン「毎朝起こしにくる妹とかいないからいくらでも寝ていられるしな!」
アスベル「……へ?」
リッド「お前ら馬鹿だろ?」
アスベル「そ、そうだ!言ってやってくれリッド!」
リッド「俺なんか呑気にしてたら水攻めにされたんだぞ?」
ロイド「牢屋なんてソーサラーリングさえあれば一発だぜ!」
ヴェイグ「牢屋か……。今思えば何故俺達は個室だったのだろうな。まさかあれがVIP待遇というやつだったのだろうか」
ルーク「俺達も個室だったぜ?かなり埃っぽい所だったけどよ」
ユーリ「牢屋ってのは大抵個室だろ。あのヒンヤリとした床が懐かしいぜ」
アスベル「何で牢屋あるあるが始まってるんだ!?」
セネル「俺は一軒家の地下に牢屋があることが一番驚きだったがな……」
ミラ「私はエリーゼと一緒だったぞ?」
カイル「やっぱ牢屋は英雄の登竜門だよな!ていうかアスベルは入ったことないのかよ?」
アスベル「当たり前だ!騎士として領主として、牢に入ったことがるという経歴は信頼に関わるからな」
カイル「お前は英雄なんかじゃない!ただのマモリタカッタだ!!」
ハロルド「はい、カイルの英雄取り消し宣言いただきました〜♪」
ジュード「あの〜、一応僕も牢屋に入ったことないんだけど……」
イバル「はっ!所詮貴様など主人公ではなくヒロインがお似合いということだ!」
ローエン「なるほど。つまりイバルさんがジュードさんの主人公になるということですね?」
プレザ「その話もっと詳しく!!」
アルヴィン「だからそのキャラやめろって!エクシリアやったことない人が勘違いしちゃうだろうが!!」
パスカル「ねーねー。弟君、裸の件はどうするの?」
ヒューバート「その言葉の切り方だとボクまで裸みたいじゃないですか!ちゃんとヒレカツが、という主語を付けてください!」
リトルクイーン「兄弟とヒレカツがすっぽんぽん……なるほど」
ヒューバート「あなたは今何を納得したんですか!?ていうかそういうキャラだったんですか!?」
マリク「まぁ種明かしをしてしまえばひれかつ煮の衣がきちんとくっついていなために中身が見えてしまっているということなのだがな」
リチャード「僕としては丸見えよりもチラリズムの方が得点は高いのだがね」
マリク「ふっ、陛下もまだまだですな。見えないからこそ妄想が膨らみ夢が広がるのではないですか」
リチャード「これは次の国連会議で議論する必要がありそうだね」
シェリア「私達の世界は大丈夫なのかしら……」
エリーゼ「ローエン、私達の料理にだけお味噌汁がありません」
ローエン「おや、こちらにあるスープが味噌汁のはずなのですが……色が薄いですね」
ミラ「ふむ、味噌を控え目にしたのだろうか。塩分の取りすぎは体によくないからな」
ジュード「味噌の塩分自体を抑えない限り量を変えても大差ないはずだけど……。ていうかこれ本当にお味噌入ってるのかな?」
アグリア「こんなんお湯飲んでるのと変わらねぇぞ!」
クラース「しかし味噌をお湯に溶かして飲むなど、何て贅沢な食しかたなのだろうか」
チェスター「だよな〜。どうせなら生で食いたかったぜ」
すず「私の里に来ていただければいつでも食べられます」
クレス「それはそうだけど、高いんだよね……」
ミント「メロンの10倍以上の値段はさすがに出せませんよね……」
ジェイ「というか、あのすずという人居たんですね。初回以降全然喋らないから気付きませんでしたよ」
すず「忍びは気配を消すのが仕事です。逆に忍びがペラペラと喋るのはどうかと思います」
ジェイ「言われてますよ、しいなさん」
しいな「あんたもだろ!!ていうか、ここに来てからのセリフ量はあんたの方が多いはずだよ」
ジェイ「ところで王族は揚げ物を作るのが苦手という情報があるのですが何故ですか?」
しいな「話を逸らすんじゃないよ!」
ゼロス「そりゃあ手が汚れるからじゃねぇの?」
ルーク「あーそうそう!卵に漬けた後パン粉にまぶす時手にめちゃくちゃ付くのが嫌なんだよな〜」
エステリーゼ「私も最初は苦手でしたけどパン粉が付いて大きくなるととても面白いです」
デューク「食物をお遊び気分で弄ぶとは……嘆かわしい」
ユーリ「嘆いてないで味の感想言えっての」
デューク「美味くも不味くもない。敢えて言うなら普通だ」
リタ「てことはワンダー辺りが怪しいわね。まったく、一番予想しずらい奴等じゃない」
ゴーシュ「気になるところといえば衣が若干厚いところか」
ユーリ「確かに微妙に厚いな」
エステリーゼ「そうなんです?」
レイヴン「衣の厚さなんて貧乏人くらいしか気にしないからねぇ」
ジュディス「でも、この二人が言うなら間違いないのでしょうね」
グリューネ「大変です!」
ノーマ「急に神様モードになってどったの!?」
グリューネ「この味噌汁……大根が入っています」
レジェンディア「「何だって!!??」」
セネル「ど、どうする?みんなで分けて食べるか?」
ヴァーツラフ「弱肉強食。決闘で勝った者が食べるに決まっている」
ウィル「いや待て。ここは幸いにも助っ人カードを使えば料理が追加されるというルールがある。8枚使えば全員食べられるぞ」
モーゼス「ヒョォォォオオオオオオ!!!」
クロエ「ここは私に任せてくれ!こう見えても小覇王と呼ばれていたんだ、助っ人の8人ぐらい」
バルバトス「カードなんぞ……」
ウィル「はっ!待てクロエ!早まるな!!」
クロエ「ちぃ、あいつの目がある限りカードは使えないというのか……!」
グリューネ「仕方がありません。皆で分け合って食べるとしましょう」
ノーマ「うぅ〜」
セネル「よく見てみると大根以外にも色々なものが入ってるんだな」
ヴァーツラフ「これは……ミニトマトか。是非もない」
〜続く〜