第44話『リヒトモスインセクトと弱点』
「グラビティ!!」
ブライトは詠唱を終えると銃口をリヒトモスインセクトへ向ける。
瞬間、全身銀色の蝶は前へ風に送るように大きく羽を動かすとその翼力により一度の羽ばたきで大きく後退した。
すると重力震は蝶の眼前に発生し先程までリヒトモスインセクトが飛んでいた箇所の地面をへこませた。
「外したのか!!」
グラビティで落ちてきたところを狙っていたジークは口に出さずにはいられなかった。
重力震が消えた直後、リヒトモスインセクトは今度は自分の番だと言わんばかりに体勢を斜め下に向け始めた。
頭の触覚がジーク達に向いている状態に彼等の脳裏に嫌な予感がよぎる。
その予感を裏切ることなくリヒトモスインセクトはジェットエンジンを積んだジェット機のように羽を広げた状態で突進する。
下からみる巨大な蝶が迫ってくる様子はジャンボジェット機が迫ってくる様子そのもので大量の空気が上へ押しあげられるため突風が吹き荒れる。
しかし突風に耐えているだけでは迫る銀翼に切り裂かれるか、巨体と衝突してミンチになってしまう。
だったらどうするべきか。
ジーク達は少しでも横に回避しようと左右それぞれへ跳躍する。
その際上へ上がる突風に巻き込まれ一人残らず上空へと舞い上がる。
そのおかげでリヒトモスインセクトは舞い上がったジーク達の下を素通りしていくが、風が突然止むとジーク達は地面に強く叩きつけられる。
そしてリヒトモスインセクトは空中で旋回しジーク達に向き直ると銀翼から突風を巻き起こす。
今度は先程の竜巻ではない。
攻撃のための突風であった。
フィオナが打ち消そうにも地面に打ち付けられた痛みからまだ扇を開けていない。
突風がジーク達を包むとその中には銀色の刃、おそらく蝶の羽の破片が混ざっており服を切り裂き肉までも切り裂いていった。
「はぁ…はぁ……」
ユージーンが立ち上がると全員所々から血が流れ、肩で息をしていた。
「さすがに次同じ攻撃がきたらやばいかも……」
カインが苦笑いしながら言うと、ブライトは悔しそうに俯いた。
「すまん。次は当てる……」
自分で言って嫌になるほど自信の篭っていない言葉だった。
当てられる保障はどこにもない。
先程のグラビティも詠唱はとっくに終え、絶対に当たるタイミングを見計らってからの発動だった。
最高のタイミングで放った自慢の一撃を軽々とかわされた精神的ダメージは計り知れないものだった。
「先生、当てなくても良いよ?」
弱々しく、傷だらけの体で、恐怖心と戦いながらルルは言う。
「わ、私が、何とかするから!!」
「……ルル」
ブライトは無意識に小さな背中の女の子の名前呟いていた。
すると、ジンが震えるルルの肩に手を添える。
「さっきも言っただろ?俺も手伝うって」
ブライトはふっと笑う。
直後、拳銃を持つ手で自分の顔を殴った。
その様子を見てついに頭がどうかしてしまったのかと全員ぎょっとした顔でブライトを見た。
「てめぇら俺を誰だと思ってんだ?二回も外さねぇよ」
ブライトは鼻血を垂らしながら言い切った。
「ブライトさん」
隣にいるアニーに呼ばれ、右を向くと二人はアイコンタクトを交わした。
そうこうしている間にもリヒトモスインセクトは再び突風を送ってくる。
「えぇぇい!!」
今度は扇を開ききっていたフィオナは負けじと突風を送る。
しかし肩の傷が痛んだのか顔をしかめるとリヒトモスインセクトの出した突風の半分にしか満たなかった。
「切り裂け!ウィンドスラッシュ!」
マオが咄嗟に詠唱に入り援護するとフィオナの突風と交わり巨大化し、リヒトモスインセクトの突風を打ち消した。
「お願いします。パワークラフト!」
アニーは誰もいないところで陣を展開し布石を打つ。
そしてブライトも既に詠唱に入っていた。
「はぁぁぁ……」
アニーは一度神経を集中させると先程展開した陣が収束するように消滅する。
そして、くるっと一度回転した後杖を地面に突き立てる。
「お願い!」
アニーの周囲から風が巻き上がるが陣は展開されない。
その代わりに巨大な雨雲が辺り一体に急速に広がったかと思うと土砂降りの雨が降り出した。
「なるほど、そういうことか」
アニーの意図を理解したヴェイグはリヒトモスインセクトの真下へ潜り込んだ。
それに倣いジーク達も真下へ集結する。
肝心のリヒトモスインセクトはアニーの奥義、ペイン・レーゲンにより動きが止まっていた。
「深淵に誘いし星の力。グラビティ!!」
雨が降りしきる中、ブライトが銃口を向けると同時にリヒトモスインセクトは見えない力に押さえつけられるかのように地面に叩きつけられた。
大きな重量が沈んだだけあって激しい地響きと地鳴りがあったが雲が消え、重力波が消えた瞬間を狙ってヴェイグ達が一斉に飛び出す。
「切り刻む!!」
アクセサリーを付け替えたヴェイグは虎牙破斬のように切り上げてから切り下ろす。
その後に続くようにティトレイ、ユージーン、カイン、フィオナと攻撃を加えていく。
その攻撃もバラバラの箇所を狙うのではなくボディの中央を一点集中する。
「ルル!!」
既に上空へ跳躍していたジンがルルの肩を抱きながら指示を出す。
ルルは目を瞑っているがフォルスを流すことによって如意棒を振り下ろすタイミングでビルの大きさまで巨大化させる。
「いっけぇええええ!!!」
ジンによってタイミングと角度が完璧に合わせられた如意棒はリヒトモスインセクトを貫くコースを捉えていた。
しかし、そこへ地面に埋まっていたはずの一匹のリヒトワームがロケットのように射出された。
このままではジンとルルに当たり軌道がそれてしまう。
「うぉぉおおお!!!」
そこへジークが加速しながら跳躍すると空中でオーバーヘッドをするようにリヒトワームを蹴り飛ばした。
咄嗟に蹴り飛ばしたため洞窟で食いちぎられた足を使ってしまったジークは顔をしかめながら地面に落下する。
だがそのおかげで巨大なビルがジャンボジェット機の機体を押しつぶした。
如意棒はこれまでにヴェイグ達が集中的に攻撃したボディの中央をピンポイントで捉えると、鐘を打ち鳴らしたような音が響くのと同時に鋼のボディにヒビが入った。
「一気にきめるわよ」
気付けば後衛のはずのヒルダが前衛まで出てきていた。
しかし誰も戸惑うことはなく、ヴェイグはヒルダと目を合わせる。
「絶氷の剣!」
ヴェイグはヒルダのフォルスを帯びた大剣でリヒトモスインセクトを通り過ぎながらヒビの入った所を狙って斬り抜ける。
すると、無数の斬撃がヒビを更に広げる。
リヒトモスインセクトはもがきながら羽をばたつかせるが如意棒に押さえつけられているため動くことができない。
「断罪の剣!」
ヒルダが天に片手を掲げると光の大剣が具現化し、ヒビの入った箇所から柔らかいボディへと光の剣が突き刺す。
「その身に刻め」
ヴェイグは一度露を払うように剣を振り抜いた後、大剣を掲げる。
すると、そこへ氷と雷を纏った光が収束し、リヒトモスインセクトのボディと同じ大きさまで膨れ上がった。
そして、その剣をヴェイグは躊躇することなく振り下ろす。
「「奥義!セルシウスキャリバー!!!」」
ヒルダのフォルスの供給を受けながら氷の精霊の名前を冠した剣は一度ヒビが入りもろくなった鋼を更に切り裂き、紫の本体さえも豆腐を切るかのように斬り進んでいく。
更に剣に帯電している雷は鋼を通じて本体へ更なるダメージを与え、肉を焦がしていく。
リヒトモスインセクトは断末魔を上げながらも最後の抵抗を試みるが洞窟内で受けたコンボが響き、奮闘虚しくセリウスキャリバーにより真っ二つとなった。
辺りは秘奥義の余波から霜が立ち込め、空気中に雷が帯電しバチバチと紫の電気が飛び散っていた。
しかしヴェイグの大剣からエネルギーが拡散していき、元の大剣へと戻ると持ち主もエネルギーが切れたかのように膝から崩れ落ちた。
「っと、大丈夫かよ?」
そこへティトレイがとっさに脇から肩を差し込み、ヴェイグの体重を支えた。
「あぁ、問題無い」
リヒトモスインセクトはもう動く気配は無い。
女王がやられたことにより地中で生き残っているリヒトワームも今度こそ諦めたのか出てくる様子もなかった。
「ジーク!」
フォオナはリヒトモスインセクトからは少し離れたところで倒れているジークに駆け寄った。
彼は大の字になって倒れてはいるが意識はきちんとあり、目も開いていた。
「あんた足!こんなに怪我してるじゃない!」
「これぐらい大したことねぇよ。ちゃんとくっついてんだろ?噛み切られるより全然マシだっての」
ジークは笑いながら言い、無事に生き残ったことを噛み締めながら空を見る。
すると突然鳩尾(みぞおち)に激痛が走った。
原因はフィオナの拳だった。
「このバカ!!私をおいてくからこうなるんじゃない!!私より頭良いくせにホントバカ!!」
フィオナの八つ当たりのような拳の連打にジークの肋骨がミシミシと音を立てる。
(やばい……死ぬ……)
ジークは咄嗟に回避するために上体を起こす。
すると間合いが悪かったのか上体を起こした反動でジークの頭とフィオナの頭が鈍い音を立ててぶつかった。
「ふがッ!!」
奇妙な声を上げながらフィオナは自分の額を抑える。
見るとフィオナの目が少し潤んでいるように見えた。
ほんの一瞬にも満たない間だったがフィオナは瞬時に背を向けた。
「フィオナ、お前……」
「違う!これはおでこが痛いからよ!!」
まだ何も言ってないのにと思いながらも、もし今フィオナの『声』が聞こえていたら彼女は一体何と言っていたのか、それが聞けないのがジークはとてももどかしかった。
「それで、結局糸は集まったの?」
ヒルダが問うとユージーンは首を横に降った。
「すまない、結局半分しか集まらなかった」
「洞窟も潰しちゃったし、今度こそ全滅しちゃったかな?」
ジンが心配そうに陥没した地面を見るとブライトがその頭に手を乗せた。
「あいつらは地面を掘り進めるんだ、死んではいねぇよ。ただ、糸の回収には行けなくなっちまったけどな」
そこで何を思ったのかアニーはリヒトモスインセクトに歩み寄り、真っ二つになった胴体の切り口を覗き込んだ。
「みなさん!このリヒトモスインセクトも体内に糸をもってます!これだけあれば足りるんじゃないでしょうか!」
アニーは満面の笑みで言うが流石に全員顔色を悪くした。
「それって解剖するってこと!?すごく気持ち悪いんですけど……」
「だったら僕とアニーでやるからみんなは休んでなよ」
「あんたらがやるって言うなら止めはしないけど……アニー、あんたには客がいるんだからあんたも休みながらやりなさいよ」
「私にお客ですか?」
「お客というか、患者と言ったほうが正しいかしらね。今は宿屋でぐっすり寝てるわ。カイトの見張りつきでね」
アニーが首を傾げる傍らでカインがジンからテディホビンを受け取ると、二人は解剖作業にとりかかった。
「しっかし、こいつにも弱点があったなんてなぁ。よく気付いたなジーク」
ティトレイは極力リヒトモスインセクトを視界に入れないようにジークに訪ねた。
「俺だって確信があった訳じゃねぇよ。鋼に電気が通用しないなんて常識だからな」
そう、その常識を捨てるきっかけを作ったのは敵が慌てたのを見逃さなかったティトレイの感性によるものが大きい。
「鋼って伝導体とかによく使われるだろ?だから少しでもヒビが入ってればヤツにとって致命傷になる。だからあいつも慌てたんじゃねぇか?」
「それに、光も弱点のようだったな」
ヴェイグが腕を組みながら続ける。
「リヒトワームはおそらく一生をあの洞窟で過ごすのだろう。だとしたら成虫のリヒトモスインセクトも外に出る必要はないはずだ。捕食に出る時も夜に出ればいいだけの話だしな」
「なるほど〜」
ティトレイは何か納得したように手をポンっと叩いた。
「つまりリヒトモスインセクトの天敵はヒルダなんだな!」
「……ぶつよ?」
お前の天敵もヒルダだろうという視線を浴びながらティトレイは防御の構えに入った。
〜続く〜
ブライトは詠唱を終えると銃口をリヒトモスインセクトへ向ける。
瞬間、全身銀色の蝶は前へ風に送るように大きく羽を動かすとその翼力により一度の羽ばたきで大きく後退した。
すると重力震は蝶の眼前に発生し先程までリヒトモスインセクトが飛んでいた箇所の地面をへこませた。
「外したのか!!」
グラビティで落ちてきたところを狙っていたジークは口に出さずにはいられなかった。
重力震が消えた直後、リヒトモスインセクトは今度は自分の番だと言わんばかりに体勢を斜め下に向け始めた。
頭の触覚がジーク達に向いている状態に彼等の脳裏に嫌な予感がよぎる。
その予感を裏切ることなくリヒトモスインセクトはジェットエンジンを積んだジェット機のように羽を広げた状態で突進する。
下からみる巨大な蝶が迫ってくる様子はジャンボジェット機が迫ってくる様子そのもので大量の空気が上へ押しあげられるため突風が吹き荒れる。
しかし突風に耐えているだけでは迫る銀翼に切り裂かれるか、巨体と衝突してミンチになってしまう。
だったらどうするべきか。
ジーク達は少しでも横に回避しようと左右それぞれへ跳躍する。
その際上へ上がる突風に巻き込まれ一人残らず上空へと舞い上がる。
そのおかげでリヒトモスインセクトは舞い上がったジーク達の下を素通りしていくが、風が突然止むとジーク達は地面に強く叩きつけられる。
そしてリヒトモスインセクトは空中で旋回しジーク達に向き直ると銀翼から突風を巻き起こす。
今度は先程の竜巻ではない。
攻撃のための突風であった。
フィオナが打ち消そうにも地面に打ち付けられた痛みからまだ扇を開けていない。
突風がジーク達を包むとその中には銀色の刃、おそらく蝶の羽の破片が混ざっており服を切り裂き肉までも切り裂いていった。
「はぁ…はぁ……」
ユージーンが立ち上がると全員所々から血が流れ、肩で息をしていた。
「さすがに次同じ攻撃がきたらやばいかも……」
カインが苦笑いしながら言うと、ブライトは悔しそうに俯いた。
「すまん。次は当てる……」
自分で言って嫌になるほど自信の篭っていない言葉だった。
当てられる保障はどこにもない。
先程のグラビティも詠唱はとっくに終え、絶対に当たるタイミングを見計らってからの発動だった。
最高のタイミングで放った自慢の一撃を軽々とかわされた精神的ダメージは計り知れないものだった。
「先生、当てなくても良いよ?」
弱々しく、傷だらけの体で、恐怖心と戦いながらルルは言う。
「わ、私が、何とかするから!!」
「……ルル」
ブライトは無意識に小さな背中の女の子の名前呟いていた。
すると、ジンが震えるルルの肩に手を添える。
「さっきも言っただろ?俺も手伝うって」
ブライトはふっと笑う。
直後、拳銃を持つ手で自分の顔を殴った。
その様子を見てついに頭がどうかしてしまったのかと全員ぎょっとした顔でブライトを見た。
「てめぇら俺を誰だと思ってんだ?二回も外さねぇよ」
ブライトは鼻血を垂らしながら言い切った。
「ブライトさん」
隣にいるアニーに呼ばれ、右を向くと二人はアイコンタクトを交わした。
そうこうしている間にもリヒトモスインセクトは再び突風を送ってくる。
「えぇぇい!!」
今度は扇を開ききっていたフィオナは負けじと突風を送る。
しかし肩の傷が痛んだのか顔をしかめるとリヒトモスインセクトの出した突風の半分にしか満たなかった。
「切り裂け!ウィンドスラッシュ!」
マオが咄嗟に詠唱に入り援護するとフィオナの突風と交わり巨大化し、リヒトモスインセクトの突風を打ち消した。
「お願いします。パワークラフト!」
アニーは誰もいないところで陣を展開し布石を打つ。
そしてブライトも既に詠唱に入っていた。
「はぁぁぁ……」
アニーは一度神経を集中させると先程展開した陣が収束するように消滅する。
そして、くるっと一度回転した後杖を地面に突き立てる。
「お願い!」
アニーの周囲から風が巻き上がるが陣は展開されない。
その代わりに巨大な雨雲が辺り一体に急速に広がったかと思うと土砂降りの雨が降り出した。
「なるほど、そういうことか」
アニーの意図を理解したヴェイグはリヒトモスインセクトの真下へ潜り込んだ。
それに倣いジーク達も真下へ集結する。
肝心のリヒトモスインセクトはアニーの奥義、ペイン・レーゲンにより動きが止まっていた。
「深淵に誘いし星の力。グラビティ!!」
雨が降りしきる中、ブライトが銃口を向けると同時にリヒトモスインセクトは見えない力に押さえつけられるかのように地面に叩きつけられた。
大きな重量が沈んだだけあって激しい地響きと地鳴りがあったが雲が消え、重力波が消えた瞬間を狙ってヴェイグ達が一斉に飛び出す。
「切り刻む!!」
アクセサリーを付け替えたヴェイグは虎牙破斬のように切り上げてから切り下ろす。
その後に続くようにティトレイ、ユージーン、カイン、フィオナと攻撃を加えていく。
その攻撃もバラバラの箇所を狙うのではなくボディの中央を一点集中する。
「ルル!!」
既に上空へ跳躍していたジンがルルの肩を抱きながら指示を出す。
ルルは目を瞑っているがフォルスを流すことによって如意棒を振り下ろすタイミングでビルの大きさまで巨大化させる。
「いっけぇええええ!!!」
ジンによってタイミングと角度が完璧に合わせられた如意棒はリヒトモスインセクトを貫くコースを捉えていた。
しかし、そこへ地面に埋まっていたはずの一匹のリヒトワームがロケットのように射出された。
このままではジンとルルに当たり軌道がそれてしまう。
「うぉぉおおお!!!」
そこへジークが加速しながら跳躍すると空中でオーバーヘッドをするようにリヒトワームを蹴り飛ばした。
咄嗟に蹴り飛ばしたため洞窟で食いちぎられた足を使ってしまったジークは顔をしかめながら地面に落下する。
だがそのおかげで巨大なビルがジャンボジェット機の機体を押しつぶした。
如意棒はこれまでにヴェイグ達が集中的に攻撃したボディの中央をピンポイントで捉えると、鐘を打ち鳴らしたような音が響くのと同時に鋼のボディにヒビが入った。
「一気にきめるわよ」
気付けば後衛のはずのヒルダが前衛まで出てきていた。
しかし誰も戸惑うことはなく、ヴェイグはヒルダと目を合わせる。
「絶氷の剣!」
ヴェイグはヒルダのフォルスを帯びた大剣でリヒトモスインセクトを通り過ぎながらヒビの入った所を狙って斬り抜ける。
すると、無数の斬撃がヒビを更に広げる。
リヒトモスインセクトはもがきながら羽をばたつかせるが如意棒に押さえつけられているため動くことができない。
「断罪の剣!」
ヒルダが天に片手を掲げると光の大剣が具現化し、ヒビの入った箇所から柔らかいボディへと光の剣が突き刺す。
「その身に刻め」
ヴェイグは一度露を払うように剣を振り抜いた後、大剣を掲げる。
すると、そこへ氷と雷を纏った光が収束し、リヒトモスインセクトのボディと同じ大きさまで膨れ上がった。
そして、その剣をヴェイグは躊躇することなく振り下ろす。
「「奥義!セルシウスキャリバー!!!」」
ヒルダのフォルスの供給を受けながら氷の精霊の名前を冠した剣は一度ヒビが入りもろくなった鋼を更に切り裂き、紫の本体さえも豆腐を切るかのように斬り進んでいく。
更に剣に帯電している雷は鋼を通じて本体へ更なるダメージを与え、肉を焦がしていく。
リヒトモスインセクトは断末魔を上げながらも最後の抵抗を試みるが洞窟内で受けたコンボが響き、奮闘虚しくセリウスキャリバーにより真っ二つとなった。
辺りは秘奥義の余波から霜が立ち込め、空気中に雷が帯電しバチバチと紫の電気が飛び散っていた。
しかしヴェイグの大剣からエネルギーが拡散していき、元の大剣へと戻ると持ち主もエネルギーが切れたかのように膝から崩れ落ちた。
「っと、大丈夫かよ?」
そこへティトレイがとっさに脇から肩を差し込み、ヴェイグの体重を支えた。
「あぁ、問題無い」
リヒトモスインセクトはもう動く気配は無い。
女王がやられたことにより地中で生き残っているリヒトワームも今度こそ諦めたのか出てくる様子もなかった。
「ジーク!」
フォオナはリヒトモスインセクトからは少し離れたところで倒れているジークに駆け寄った。
彼は大の字になって倒れてはいるが意識はきちんとあり、目も開いていた。
「あんた足!こんなに怪我してるじゃない!」
「これぐらい大したことねぇよ。ちゃんとくっついてんだろ?噛み切られるより全然マシだっての」
ジークは笑いながら言い、無事に生き残ったことを噛み締めながら空を見る。
すると突然鳩尾(みぞおち)に激痛が走った。
原因はフィオナの拳だった。
「このバカ!!私をおいてくからこうなるんじゃない!!私より頭良いくせにホントバカ!!」
フィオナの八つ当たりのような拳の連打にジークの肋骨がミシミシと音を立てる。
(やばい……死ぬ……)
ジークは咄嗟に回避するために上体を起こす。
すると間合いが悪かったのか上体を起こした反動でジークの頭とフィオナの頭が鈍い音を立ててぶつかった。
「ふがッ!!」
奇妙な声を上げながらフィオナは自分の額を抑える。
見るとフィオナの目が少し潤んでいるように見えた。
ほんの一瞬にも満たない間だったがフィオナは瞬時に背を向けた。
「フィオナ、お前……」
「違う!これはおでこが痛いからよ!!」
まだ何も言ってないのにと思いながらも、もし今フィオナの『声』が聞こえていたら彼女は一体何と言っていたのか、それが聞けないのがジークはとてももどかしかった。
「それで、結局糸は集まったの?」
ヒルダが問うとユージーンは首を横に降った。
「すまない、結局半分しか集まらなかった」
「洞窟も潰しちゃったし、今度こそ全滅しちゃったかな?」
ジンが心配そうに陥没した地面を見るとブライトがその頭に手を乗せた。
「あいつらは地面を掘り進めるんだ、死んではいねぇよ。ただ、糸の回収には行けなくなっちまったけどな」
そこで何を思ったのかアニーはリヒトモスインセクトに歩み寄り、真っ二つになった胴体の切り口を覗き込んだ。
「みなさん!このリヒトモスインセクトも体内に糸をもってます!これだけあれば足りるんじゃないでしょうか!」
アニーは満面の笑みで言うが流石に全員顔色を悪くした。
「それって解剖するってこと!?すごく気持ち悪いんですけど……」
「だったら僕とアニーでやるからみんなは休んでなよ」
「あんたらがやるって言うなら止めはしないけど……アニー、あんたには客がいるんだからあんたも休みながらやりなさいよ」
「私にお客ですか?」
「お客というか、患者と言ったほうが正しいかしらね。今は宿屋でぐっすり寝てるわ。カイトの見張りつきでね」
アニーが首を傾げる傍らでカインがジンからテディホビンを受け取ると、二人は解剖作業にとりかかった。
「しっかし、こいつにも弱点があったなんてなぁ。よく気付いたなジーク」
ティトレイは極力リヒトモスインセクトを視界に入れないようにジークに訪ねた。
「俺だって確信があった訳じゃねぇよ。鋼に電気が通用しないなんて常識だからな」
そう、その常識を捨てるきっかけを作ったのは敵が慌てたのを見逃さなかったティトレイの感性によるものが大きい。
「鋼って伝導体とかによく使われるだろ?だから少しでもヒビが入ってればヤツにとって致命傷になる。だからあいつも慌てたんじゃねぇか?」
「それに、光も弱点のようだったな」
ヴェイグが腕を組みながら続ける。
「リヒトワームはおそらく一生をあの洞窟で過ごすのだろう。だとしたら成虫のリヒトモスインセクトも外に出る必要はないはずだ。捕食に出る時も夜に出ればいいだけの話だしな」
「なるほど〜」
ティトレイは何か納得したように手をポンっと叩いた。
「つまりリヒトモスインセクトの天敵はヒルダなんだな!」
「……ぶつよ?」
お前の天敵もヒルダだろうという視線を浴びながらティトレイは防御の構えに入った。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート27】
takeshi「ども〜!やっと倒したぞォォオオオオ!!!!と吼えたいtakeshiです」
チャリティ「なんか久しぶりに秘奥義みたわね!」
takeshi「お気付きの方がいるかどうか分かりませんが最近になってちょいちょい奥義も出すようになってきたんですが、今まで奥義を出さなかったのには理由があるんです」
チャリティ「単に覚えてなかっただけじゃないの?」
takeshi「ジーク達オリキャラメンバーは新参なのでチャリティさんの言うとおり旅の過程で覚えていったものなのですが、ヴェイグ達はいつでも出せる状況だったんです。でも奥義というのはRG(ラッシュゲージ)、つまりテンションを高めるためにコンボを繋いだり長時間戦闘をする必要があるんです。ですがこれまでは極端に敵が弱すぎて瞬殺するか極端に敵が強すぎて瞬殺されるかのどちらかだったのでRGを溜めている時間がなかったんです」
チャリティ「でも最近は相互の実力が均衡してきたから奥義を出せるようになったというわけね?」
takeshi「そうなんです!そうして敵を追い詰めることでようやく秘奥義をだせるところまで漕ぎ着けたということなんです!いやぁ、ここまで来るのに長かったっ!秘奥義を以前に出したのはこの小説を初めて書いた5、6年前の1回きりだったので、もしかしたらヴェイグ達も使い方忘れてしまっていたかもしれません」
チャリティ「忘れるってそんな……」
takeshi「例えば」
ティトレイ「頼むぜ、マオ!」
マオ「この炎から逃れられるか!」
ティトレイ「今だっ!俺は鳥になる!!ってアッチィ!!」
マオ「ティトレイ早く飛んで!!」
ティトレイ「お、おまっ!火力強すぎ!!」
マオ「あれ?こんなもんじゃなかった?」
ヴェイグ「無影衝!!」
バイラス「ギャー」
ヴェイグ「お笑いショーだったな」
ティトレイ「何だとぅ!?」
takeshi「みたいなね」
チャリティ「NGシーン集とかでありそうね」
takeshi「NGというか没ネタがたくさん溜まってるのでNGシーンとかこつけていつかまとめてやりたいですね〜」
チャリティ「その前に私立案の企画をやるのが先よ!」
takeshi「そうですね〜(やるとは言ってない)」
チャリティ「いい加減、その2chネタやめたら?」
takeshi「あなたが先にやり始めたのですが……」
チャリティ「そういえば今回はおまけの料理、こっちにはないの?」
takeshi「まだ食べるんですか!?」
チャリティ「私の胃袋はコスモを感じてるわ」
takeshi「また色々混ぜてからに……。とりあえず次回あたりには届いてるんじゃないですか?しかしオマケの方でも見た目や味の感想などでかなりのヒントを出してるので少しは予想しやすくなったのではないでしょうか!?そこで頬杖つきながら読んでる貴方も考えてみてくださいね!」
チャリティ「私頬杖なんてついてないわよ?」
takeshi「チャリティさんと言えば犬のガジュマとヒューマのハーフじゃないですか」
チャリティ「そうだけど、それがどうかした?」
takeshi「進化論というのがあるのですが、犬って狼の子供と子供を交配させ続けて生まれたものと言われてるんですよ?」
チャリティ「そうなの?」
takeshi「本当かどうかは知りませんがキリンは昔馬と同じ首の長さだったというのと同じ話です。高い木の葉っぱを食べるために首の長い種族だけが生き残り、結果的に今のキリンさんに進化したと言われてますがこの仮説には欠点があって馬とキリンの中間型の化石がまだ発掘されていないんです」
チャリティ「犬と狼の中間も?」
takeshi「そうなんです。だからその化石が見つかれば歴史的大発見になるんです!こうしちゃいられませんよ!すぐにドリルを持っておでかけしなければ!!」
チャリティ「何でドリルなのよ……」
takeshi「やはりドリルでしょ!俺のドリルは天を貫くドリルだ!!とか言いながら滞っていた歴史の1ページを貫いたら格好良いじゃないですか!!」
チャリティ「それはなかなかロマンチックが止まらないわね!」
takeshi「そんなわけで早速今から化石ホリダーを買ってきますね!」
チャリティ「え?」
takeshi「化石を掘りに行くにはまず練習しなくてなならいのでまずはゲームで予習しなくては!」
チャリティ「えーっと……」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
ウィル「化石は良いぞ〜化石は」
ノーマ「やばっ!オヤジの変なスイッチが入っちゃった……」
ウィル「よし!俺達も化石を発掘しに行くぞ!!」
リフィル「待たんか貴様!!」
クロエ「すまないリフィル!レイナードを止めてくれ!」
ジーニアス「違うんだクロエ。今の姉さんは善意で止めたんじゃなくて……」
リフィル「貴様、まさか遺跡を荒らそうというのではないだろうな?」
ウィル「化石発掘は歴史との対話だ。俺も遺跡を荒らすつもりはないが歴史を読み解く上では多少の犠牲もやむをえまい」
リフィル「それでも学者か!古代の遺跡を護り後世へ文明を伝えることこそ我々の使命だろうが!!」
セネル「なぁ……リフィルの性格が変わってないか?」
ウィル「ふんっ、遺跡など所詮低俗なトレージャーハンターの溜まり場にすぎん!」
ロイド「ウィルも大概だぞ?」
ノーマ「ていうかさりげなくあたしディスられたんだけど!?」
ルーティ「本当、失礼しちゃうわ!」
ジューダス「あながち間違ってはいないと思うがな」
ルーティ「何ですって!?闇の炎がどうとか言ってるやつよりかはマシよ!」
カイル「母さん!その話はやめて!!」
ジューダス「貴様……触れてはいけない所に触れたようだな。闇の炎に抱かれてっ」
カイル「カイル・デュナミスが命じる。好きな車種でも答えてろ!!」
ジューダス「フェラーリなんだよっ!」
キール「またギアスか!!」
ジューダス「はっ!僕は一体何を言って……」
キール「ジューダス……お前は今、泣いて良い!!」
エトス「名言の無駄遣いだね……」
ゼロス「ハニー、そんな料理食べてないで俺様とレザレノホテルでディナーでもどうだい?」
シェリア「えぇと……場所はよく分からないけれど高級そうな名前ね」
アスベル「シェリア?心成しか嬉しそうに見えるのは気のせいか?」
シェリア「え?そうみえる?」
ユージーン「最早疲れて指摘する気になれないのだが……」
アスベル「お、俺なんか今度パーティ開くし!ドレスとかたくさん用意してるし!」
マリク「ガキかお前は……」
シェリア「ふふふ、楽しみにしてるわね♪」
ゼロス「ちぇっ、結局幼馴染かよ……」
パスカル「あれ?何でシェリア、ゼロスに料理渡してんの?」
シェリア「あら?何でか体が勝手に……」
しいな「ちょいとゼロス!変なものもらってないでさっさと返しな!!」
ゼロス「馬鹿野郎!!レディから折角もらったプレゼントを返すなんて男として最低な行為、このゼロス・ワイルダー様がするわけねぇだろうが!!」
クラトス「どうやら神子のパーソナル効果が働いたようだな」
リーガル「EXスキルか」
コレット「女の子に話しかけると物をもらえるやつだよね!」
ジーニアス「ゼロスがもらってきたんだからゼロスが全部食べてよね」
ゼロス「マジかよ……」
マリク「ちょっと待て!実質的に俺達のテーブルからは料理が無くなったがこの場合は完食扱いになるのか?それともまさかゼロスが食べ終わるまで待つしかないということは……」
ロンドリーネ「さっき料理を粉砕することでもOK出しちゃったし、もうテーブルの上から料理がなくなれば答えて良いよ」
モーゼス「何じゃと!?」
ティポ「ずるいぞー!!」
ソフィ「ゼロス、ありがとう」
ゼロス「でっひゃっひゃっひゃ!いいってことよ!」
しいな「調子に乗るなアホ神子!!」
ロンドリーネ「で、答えは?」
リチャード「ふむ、ひれかつ煮がすっぱだカーニバルだったことを踏まえると……」
レイヴン「何?そのギャグマンガ的なノリ」
リチャード「これはタイガーフェスティバルとしての勘なのだがハリエットではいか?」
ヒューバート「なるほど、つまりハリエットさん意外の候補から考えればいいわけですね?」
リチャード「……おや?」
シェリア「逆に衣が付いてる部分には中に何も入っていなかったわ」
アスベル「シェリア、何故か怖いぞ」
リトルクイーン「IQ1300の私の推理によれば犯人はナタリアで間違い無い」
ミラ「さすがこころちゃんだな!」
リトルクイーン「こころちゃん言うな!!」
ソフィ「じゃあ答えはナタリアなんやよ」
メル「や、やよ?えっと…ロディ?」
ロンドリーネ「グレイセスの料理を作ったのはナタリアで、合ってますかー!?」
ナタリア「正解ですわ!私、どうもパン粉をまぶす作業が苦手でして、精一杯努力はしたのですが、やはり二度付けを怠ったのがいけませんでしたわね」
エミル「本当に当てるなんて……」
エトス「まぐれなう〜」
メル「おめでとう!!それじゃあ勝利の一言をどうぞ!」
パスカル「嶺上開花」
カイル「本当一言だな」
マルタ「タコスが食べたいじぇ!」
ユーリ「お〜いゼロ〜ス、エステルが呼んでるぞ〜」
ゼロス「は〜い!今いくよハニー♪」
ロイド「おいゼロス!この料理はどうすんだよ!?」
ミトス「ほっといても大丈夫だよ」
エステリーゼ「あ、あの、ゼロスさん!」
ゼロス「何かな?」
エステリーゼ「えぇっとぉ……そのぉ……」
ゼロス「ん?」
エステリーゼ「い、良いお天気ですね?」
ゼロス「俺様は太陽よりもエステルちゃんの笑顔のほうが100倍眩しいぜ!!」
エステリーゼ「は、はぁ……私の顔って太陽の光を反射しやすいのでしょうか?」
レイヴン「プッ!」
ユーリ「おいゼロス、さっさと料理持ってけよ」
ゼロス「ぁあ?何で俺様がお前らの料理を持っていかなきゃいけないわけ〜?」
リタ「どうやらこのアホから話しかけてこないと効果は発動しないみたいね」
ユーリ「ちっ、使えねぇな。お前さっさと戻れよ」
ゼロス「カッチーン!俺様ちょ〜っときれちゃったかもしれねぇなぁしれねぇよぉ。ちょっと表でろやぶっ!!」
リフィル「ゼロス!!よそ様に迷惑かけるなと言ってるでしょうが!!」
ゼロス「って〜!!だからって殴ることないでしょうよ〜」
リフィル「あら、次は蹴りをお望みかしら?それともビンタかしら?」
ゼロス「こんなところで黄金の左手とか洒落になんねぇっての!俺様戻りま〜す!!」
エリーゼ「先生って暴力を振るう人が多いんですね……」
ティポ「学校怖いー!!!」
ジュード「一部だけだから!!あの人達が特殊なだけだから!!」
ローエン「現代の教育現場に鋭いメスを入れる。これは良い題材の企画ができるかもしれませんね」
ディオ「あんたも何か提案するのか?」
ローエン「体罰が横行する学校の不良教師役アルヴィンさん。それを打ち砕くべく赴任した新任教師役ジュードさん」
アグリア「いじめられ役はちびっ子で決定だな」
ティポ「エリーゼを苛めるな!」
エリーゼ「アルヴィン、最低です」
アルヴィン「実際にやるわけじゃねぇだろ!!」
レイア「新任で分からないことだらけのジュード。そこへ手を差し伸べる保健医のミラ!そこからドロドロのドラマが始まるんだね!」
ジュード「何でドロドロって決まってるのさ!?」
プレザ「体育教師のイバルとの三角関係ね!!」
アルヴィン「その矢印はちゃんと全部ミラに向いてるんだろうな?」
エリーゼ「レイアは何の役をやるんですか?」
レイア「私はもちろん生徒会長だよ!」
アグリア「若い新任教師に憧れるパターンのやつだろ?」
レイア「なぁっ!?」
ロンドリーネ「あのさ、盛り上がってるとこ悪いんだけど、もうみんな食べ終わってシンキングタムに入ってるよ?」
ローエン「いけません!すっかりアルヴィンさんの口車に乗せられてしまいました!」
アルヴィン「あんたが余計な事言い始めたんだろうが!!」
エリーゼ「人のせいにするなんて、やっぱりアルヴィンは最低です」
アルヴィン「何故だ!?俺と同じ臭いがするゼロスとジューダスは何だかんだで仲間に受け入れられてるってのに何で俺だけこんな不当な扱いを受けなきゃいけねぇんだ!?」
レイヴン「青年、それが生き残っちまった者の宿命なわけよ」
アルヴィン「おっさん……」
〜続く〜
takeshi「ども〜!やっと倒したぞォォオオオオ!!!!と吼えたいtakeshiです」
チャリティ「なんか久しぶりに秘奥義みたわね!」
takeshi「お気付きの方がいるかどうか分かりませんが最近になってちょいちょい奥義も出すようになってきたんですが、今まで奥義を出さなかったのには理由があるんです」
チャリティ「単に覚えてなかっただけじゃないの?」
takeshi「ジーク達オリキャラメンバーは新参なのでチャリティさんの言うとおり旅の過程で覚えていったものなのですが、ヴェイグ達はいつでも出せる状況だったんです。でも奥義というのはRG(ラッシュゲージ)、つまりテンションを高めるためにコンボを繋いだり長時間戦闘をする必要があるんです。ですがこれまでは極端に敵が弱すぎて瞬殺するか極端に敵が強すぎて瞬殺されるかのどちらかだったのでRGを溜めている時間がなかったんです」
チャリティ「でも最近は相互の実力が均衡してきたから奥義を出せるようになったというわけね?」
takeshi「そうなんです!そうして敵を追い詰めることでようやく秘奥義をだせるところまで漕ぎ着けたということなんです!いやぁ、ここまで来るのに長かったっ!秘奥義を以前に出したのはこの小説を初めて書いた5、6年前の1回きりだったので、もしかしたらヴェイグ達も使い方忘れてしまっていたかもしれません」
チャリティ「忘れるってそんな……」
takeshi「例えば」
ティトレイ「頼むぜ、マオ!」
マオ「この炎から逃れられるか!」
ティトレイ「今だっ!俺は鳥になる!!ってアッチィ!!」
マオ「ティトレイ早く飛んで!!」
ティトレイ「お、おまっ!火力強すぎ!!」
マオ「あれ?こんなもんじゃなかった?」
ヴェイグ「無影衝!!」
バイラス「ギャー」
ヴェイグ「お笑いショーだったな」
ティトレイ「何だとぅ!?」
takeshi「みたいなね」
チャリティ「NGシーン集とかでありそうね」
takeshi「NGというか没ネタがたくさん溜まってるのでNGシーンとかこつけていつかまとめてやりたいですね〜」
チャリティ「その前に私立案の企画をやるのが先よ!」
takeshi「そうですね〜(やるとは言ってない)」
チャリティ「いい加減、その2chネタやめたら?」
takeshi「あなたが先にやり始めたのですが……」
チャリティ「そういえば今回はおまけの料理、こっちにはないの?」
takeshi「まだ食べるんですか!?」
チャリティ「私の胃袋はコスモを感じてるわ」
takeshi「また色々混ぜてからに……。とりあえず次回あたりには届いてるんじゃないですか?しかしオマケの方でも見た目や味の感想などでかなりのヒントを出してるので少しは予想しやすくなったのではないでしょうか!?そこで頬杖つきながら読んでる貴方も考えてみてくださいね!」
チャリティ「私頬杖なんてついてないわよ?」
takeshi「チャリティさんと言えば犬のガジュマとヒューマのハーフじゃないですか」
チャリティ「そうだけど、それがどうかした?」
takeshi「進化論というのがあるのですが、犬って狼の子供と子供を交配させ続けて生まれたものと言われてるんですよ?」
チャリティ「そうなの?」
takeshi「本当かどうかは知りませんがキリンは昔馬と同じ首の長さだったというのと同じ話です。高い木の葉っぱを食べるために首の長い種族だけが生き残り、結果的に今のキリンさんに進化したと言われてますがこの仮説には欠点があって馬とキリンの中間型の化石がまだ発掘されていないんです」
チャリティ「犬と狼の中間も?」
takeshi「そうなんです。だからその化石が見つかれば歴史的大発見になるんです!こうしちゃいられませんよ!すぐにドリルを持っておでかけしなければ!!」
チャリティ「何でドリルなのよ……」
takeshi「やはりドリルでしょ!俺のドリルは天を貫くドリルだ!!とか言いながら滞っていた歴史の1ページを貫いたら格好良いじゃないですか!!」
チャリティ「それはなかなかロマンチックが止まらないわね!」
takeshi「そんなわけで早速今から化石ホリダーを買ってきますね!」
チャリティ「え?」
takeshi「化石を掘りに行くにはまず練習しなくてなならいのでまずはゲームで予習しなくては!」
チャリティ「えーっと……」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
ウィル「化石は良いぞ〜化石は」
ノーマ「やばっ!オヤジの変なスイッチが入っちゃった……」
ウィル「よし!俺達も化石を発掘しに行くぞ!!」
リフィル「待たんか貴様!!」
クロエ「すまないリフィル!レイナードを止めてくれ!」
ジーニアス「違うんだクロエ。今の姉さんは善意で止めたんじゃなくて……」
リフィル「貴様、まさか遺跡を荒らそうというのではないだろうな?」
ウィル「化石発掘は歴史との対話だ。俺も遺跡を荒らすつもりはないが歴史を読み解く上では多少の犠牲もやむをえまい」
リフィル「それでも学者か!古代の遺跡を護り後世へ文明を伝えることこそ我々の使命だろうが!!」
セネル「なぁ……リフィルの性格が変わってないか?」
ウィル「ふんっ、遺跡など所詮低俗なトレージャーハンターの溜まり場にすぎん!」
ロイド「ウィルも大概だぞ?」
ノーマ「ていうかさりげなくあたしディスられたんだけど!?」
ルーティ「本当、失礼しちゃうわ!」
ジューダス「あながち間違ってはいないと思うがな」
ルーティ「何ですって!?闇の炎がどうとか言ってるやつよりかはマシよ!」
カイル「母さん!その話はやめて!!」
ジューダス「貴様……触れてはいけない所に触れたようだな。闇の炎に抱かれてっ」
カイル「カイル・デュナミスが命じる。好きな車種でも答えてろ!!」
ジューダス「フェラーリなんだよっ!」
キール「またギアスか!!」
ジューダス「はっ!僕は一体何を言って……」
キール「ジューダス……お前は今、泣いて良い!!」
エトス「名言の無駄遣いだね……」
ゼロス「ハニー、そんな料理食べてないで俺様とレザレノホテルでディナーでもどうだい?」
シェリア「えぇと……場所はよく分からないけれど高級そうな名前ね」
アスベル「シェリア?心成しか嬉しそうに見えるのは気のせいか?」
シェリア「え?そうみえる?」
ユージーン「最早疲れて指摘する気になれないのだが……」
アスベル「お、俺なんか今度パーティ開くし!ドレスとかたくさん用意してるし!」
マリク「ガキかお前は……」
シェリア「ふふふ、楽しみにしてるわね♪」
ゼロス「ちぇっ、結局幼馴染かよ……」
パスカル「あれ?何でシェリア、ゼロスに料理渡してんの?」
シェリア「あら?何でか体が勝手に……」
しいな「ちょいとゼロス!変なものもらってないでさっさと返しな!!」
ゼロス「馬鹿野郎!!レディから折角もらったプレゼントを返すなんて男として最低な行為、このゼロス・ワイルダー様がするわけねぇだろうが!!」
クラトス「どうやら神子のパーソナル効果が働いたようだな」
リーガル「EXスキルか」
コレット「女の子に話しかけると物をもらえるやつだよね!」
ジーニアス「ゼロスがもらってきたんだからゼロスが全部食べてよね」
ゼロス「マジかよ……」
マリク「ちょっと待て!実質的に俺達のテーブルからは料理が無くなったがこの場合は完食扱いになるのか?それともまさかゼロスが食べ終わるまで待つしかないということは……」
ロンドリーネ「さっき料理を粉砕することでもOK出しちゃったし、もうテーブルの上から料理がなくなれば答えて良いよ」
モーゼス「何じゃと!?」
ティポ「ずるいぞー!!」
ソフィ「ゼロス、ありがとう」
ゼロス「でっひゃっひゃっひゃ!いいってことよ!」
しいな「調子に乗るなアホ神子!!」
ロンドリーネ「で、答えは?」
リチャード「ふむ、ひれかつ煮がすっぱだカーニバルだったことを踏まえると……」
レイヴン「何?そのギャグマンガ的なノリ」
リチャード「これはタイガーフェスティバルとしての勘なのだがハリエットではいか?」
ヒューバート「なるほど、つまりハリエットさん意外の候補から考えればいいわけですね?」
リチャード「……おや?」
シェリア「逆に衣が付いてる部分には中に何も入っていなかったわ」
アスベル「シェリア、何故か怖いぞ」
リトルクイーン「IQ1300の私の推理によれば犯人はナタリアで間違い無い」
ミラ「さすがこころちゃんだな!」
リトルクイーン「こころちゃん言うな!!」
ソフィ「じゃあ答えはナタリアなんやよ」
メル「や、やよ?えっと…ロディ?」
ロンドリーネ「グレイセスの料理を作ったのはナタリアで、合ってますかー!?」
ナタリア「正解ですわ!私、どうもパン粉をまぶす作業が苦手でして、精一杯努力はしたのですが、やはり二度付けを怠ったのがいけませんでしたわね」
エミル「本当に当てるなんて……」
エトス「まぐれなう〜」
メル「おめでとう!!それじゃあ勝利の一言をどうぞ!」
パスカル「嶺上開花」
カイル「本当一言だな」
マルタ「タコスが食べたいじぇ!」
ユーリ「お〜いゼロ〜ス、エステルが呼んでるぞ〜」
ゼロス「は〜い!今いくよハニー♪」
ロイド「おいゼロス!この料理はどうすんだよ!?」
ミトス「ほっといても大丈夫だよ」
エステリーゼ「あ、あの、ゼロスさん!」
ゼロス「何かな?」
エステリーゼ「えぇっとぉ……そのぉ……」
ゼロス「ん?」
エステリーゼ「い、良いお天気ですね?」
ゼロス「俺様は太陽よりもエステルちゃんの笑顔のほうが100倍眩しいぜ!!」
エステリーゼ「は、はぁ……私の顔って太陽の光を反射しやすいのでしょうか?」
レイヴン「プッ!」
ユーリ「おいゼロス、さっさと料理持ってけよ」
ゼロス「ぁあ?何で俺様がお前らの料理を持っていかなきゃいけないわけ〜?」
リタ「どうやらこのアホから話しかけてこないと効果は発動しないみたいね」
ユーリ「ちっ、使えねぇな。お前さっさと戻れよ」
ゼロス「カッチーン!俺様ちょ〜っときれちゃったかもしれねぇなぁしれねぇよぉ。ちょっと表でろやぶっ!!」
リフィル「ゼロス!!よそ様に迷惑かけるなと言ってるでしょうが!!」
ゼロス「って〜!!だからって殴ることないでしょうよ〜」
リフィル「あら、次は蹴りをお望みかしら?それともビンタかしら?」
ゼロス「こんなところで黄金の左手とか洒落になんねぇっての!俺様戻りま〜す!!」
エリーゼ「先生って暴力を振るう人が多いんですね……」
ティポ「学校怖いー!!!」
ジュード「一部だけだから!!あの人達が特殊なだけだから!!」
ローエン「現代の教育現場に鋭いメスを入れる。これは良い題材の企画ができるかもしれませんね」
ディオ「あんたも何か提案するのか?」
ローエン「体罰が横行する学校の不良教師役アルヴィンさん。それを打ち砕くべく赴任した新任教師役ジュードさん」
アグリア「いじめられ役はちびっ子で決定だな」
ティポ「エリーゼを苛めるな!」
エリーゼ「アルヴィン、最低です」
アルヴィン「実際にやるわけじゃねぇだろ!!」
レイア「新任で分からないことだらけのジュード。そこへ手を差し伸べる保健医のミラ!そこからドロドロのドラマが始まるんだね!」
ジュード「何でドロドロって決まってるのさ!?」
プレザ「体育教師のイバルとの三角関係ね!!」
アルヴィン「その矢印はちゃんと全部ミラに向いてるんだろうな?」
エリーゼ「レイアは何の役をやるんですか?」
レイア「私はもちろん生徒会長だよ!」
アグリア「若い新任教師に憧れるパターンのやつだろ?」
レイア「なぁっ!?」
ロンドリーネ「あのさ、盛り上がってるとこ悪いんだけど、もうみんな食べ終わってシンキングタムに入ってるよ?」
ローエン「いけません!すっかりアルヴィンさんの口車に乗せられてしまいました!」
アルヴィン「あんたが余計な事言い始めたんだろうが!!」
エリーゼ「人のせいにするなんて、やっぱりアルヴィンは最低です」
アルヴィン「何故だ!?俺と同じ臭いがするゼロスとジューダスは何だかんだで仲間に受け入れられてるってのに何で俺だけこんな不当な扱いを受けなきゃいけねぇんだ!?」
レイヴン「青年、それが生き残っちまった者の宿命なわけよ」
アルヴィン「おっさん……」
〜続く〜