第45話『特技と導術』
リヒトモスインセクトの解剖作業が続く中、マオがルルに歩み寄る。
「お疲れ様、ルル。虫嫌いなのによく頑張ったね!」
「……マオ、なんか私のこと子供扱いしてない?」
褒められて嬉しかったがルルは照れを隠すように頬を膨らませた。
「えぇ!?そんなつもりはなかったんだけどな〜……」
マオは困ったように首を傾げながら後ろ髪をかいた。
しかしルルは顔の形を戻すなり俯いた。
「でも私何にもしてないよ?ジン兄さんに言われた通りにやっただけだし……」
「でも最終的にやるって決めたのはルルでしょ?もしルルがいなかったら僕達今頃負けてただろうし、やっぱりルルのおかげだヨ!」
マオはウィンクしながら親指を突き出すというお決まりのポーズをする。
すると、ルルはハニカムように笑った。
「そっか……へへへ」
「みなさん、終わりました!」
見ると糸は大分テディホビンからはみ出し、巨大なバームクーヘンのようになっていた。
「随分と採取できたものだな」
「隅々までかき集めたからね」
ユージーンは感心したように唸っていたがカインの自慢話はヘビーな内容が含まれている気がしたので咄嗟に手で制した。
待っている間にグミを食べてジークも歩けるようになったため、アニーとカインがグミを食べ終わるのを待ってからヴェイグ達はピピスタへの帰路へついた。
そして宿屋へ到着するなりヒルダから事の成り行きを聞き、アニーは診察に入った。
「軽い脱水症状ですね。今日一日きちんと水分をとって休んでいれば明日には元気になりますよ。あと、今日だけは首と脇、太ももは冷やしてくださいね?」
「あ〜はいはい。迷惑かけたね」
緑のモブ子が適当に礼を言うと診察が終わったことを聞きヒルダが歩み寄った。
「礼を言うわ。もしあんたが倒れなかったら私達はアニーを呼ぶために砂漠へ出ようとしなかったもの」
「なんかあったのか?」
「私達の仲間が死に掛けてたのよ」
ヒルダの後を追うようにしてフィオナが顔をだした。
その後ろから例の死に掛けてた面子がぞろぞろとやってくる。
その中からユージーンが一歩前に出ると手を差し出した。
「ヒルダから大体の事情は聞いている。巻き込む形になってしまったが協力感謝する」
「感謝するなら現物ができあがってからにしろよ」
緑のモブ子は不敵な笑みを浮かべながらユージーンの手を握った。
それから一晩経ち緑のモブ子が完治したのを確認した後ヴェイグ達は早速骨董屋へ向かった。
店主は糸の回収量とその速さに腰を抜かしたが、快く裏の工房へと案内してくれた。
「リヒトモスインセクトね〜。あんたらが持ち帰ってきた情報は俺が責任をもって広めといてやるよ」
骨董屋のテディベアのような店主は金属の扉を開けながら言うと油の臭いが扉から飛び出してきた。
「どうやって広めるの?」
もう片方の扉も開く店主にマオが訪ねる。
「俺の他にも同業者はいるんだ。そいつらに聞かせてやれば喜ぶぜきっと」
店主が完全に開ききると鉄釜、水桶などといった錬金用に改造された工房が姿を表した。
緑のモブ子はテディホビンを中央のテーブルに置くと、ハンマーや石釜などを触り始めた。
「本当に即興の工房なんだな。必要最低限の物は揃ってるみたいだし、何とかなんだろ」
店主は苦笑いしながらヴェイグに耳打ちした。
「あのメロンは何者なんだい?」
「実は俺達もよく知らない。だが腕は確かだ」
「ほ、ほほぅ……。ちなみにあんた、リヒトメタルの加工はやったことあるのかい?」
「ないに決まってんだろ。でも確かこの糸を熱して打ち付ければ鉄になる過程で伸びるんだよな?あたしの場合相当伸びるから今のうちに保管場所を確保しとけよ」
「大した自信なこって」
店主が呆れた後、ヴェイグ達は一度外へ出た。
「あたしはこのまま作業に入るけど流石に時間かかるぞ?その間あんたらはどうすんだ?」
「職人と素材の問題は何とかなったから後は機体を作る人員とエンジンの軽量化か……」
ジークが確認するように言うと、緑のモブ子は鼻で笑った。
「設計図を見たがあれぐらいの大きさならあたし1人で十分だ。多分あんたらが戻ってくる頃にはエンジンを積むだけにしといてやるよ」
「本当に!?」
マオが驚くと緑のモブ子は任せろと言わんばかりに胸を叩いた。
その際に豊満な胸が揺れる。
「ではあとはエンジンの軽量化だけということか……。ユージーン、心当たりがあると言っていたな」
ヴェイグがユージーンを見ると彼は一度頷いた。
「心当たりはあるが、それにはまずノルゼンへ行く必要がある」
ノルゼンというのはここから北方にあるキョグエンよりも更に北にある雪国である。
「結局寒い所に行くのか……」
ジークが落胆するがユージーンは「いや」と否定した。
「バルカでワルトゥが言っていたが、どうやら各地で季節が変動しているのは事実のようだ。本来ならビビスタももっと暑くなければおかしいのだが今は比較的涼しい方だ。気のせいかとも思ったが温暖な地域でしか孵化しないというリヒトモスインセクトが孵化したのも気候が変動した証拠だろう」
「ということはもしかしたらノルゼンの気候も変わってるかもしれないんですね?」
アニーの仮定にユージーンが頷くと、ジークの表情が少し明るくなった。
「じゃあ次の目的地はノルゼンで決まりだね!」
カイトが意気揚々と言うが、その肩を緑のモブ子が鷲掴みにした。
「お前はあたしの手伝いな」
「ぇえっ!?」
「気持ち悪い声出してんじゃねぇ!そもそも何だあのへなちょこな設計図は!?一から書き直せ!こちとらヒトの命を預かるんだ、徹底的にやるぞ」
「は、はい……」
緑のモブ子の真剣な表情にカイトは生唾を飲んだ。
「じゃあフィオナも……」
残るか?と訊こうとしたところでジークの口が止まった。
フィオナの口は笑っているが、目が笑ってない。
「ジーク、また死にたいの?」
「カイト、なるべく早く戻ってくる。機体は頼んだ」
「う、うん……」
反対の肩をジークに鷲掴みにされ、カイトはさらに戸惑うばかりだった。
しかし緑のモブ子の言葉から大きな責任感を感じたヴェイグ達は安心して任せることができるとも思えた。
こうして緑のモブ子とカイトにしばしの別れを告げると、ヴェイグ達はまずキョグエンへ向かうために再び湿原へと戻るのだった。
「ここを通らないといけないの、忘れてたわ……」
フィオナは広大に広がる湿地を見て肩を落とした。
「俺はこっちのほうが楽だがな」
砂漠を乗り切ったヴェイグが涼しそうな顔で言うとフィオナは鼻で笑った。
「地元をそんなふうに言ってもらえたら嬉しいわね」
そうは言うが砂漠の猛暑により消費した体力で湿原を越えるのはさすがに覚悟が必要だった。
更にはペース配分も重要となるためヴェイグ達は改めて気を引き締めてから湿原に足を踏み入れた。
「ジン」
まだ比較的浅いながらもずぶずぶと沈んでいくブーツを引き抜きながら、ブライトに声をかけられたジンは振り向く。
「お前、接近タイプに決めたのか?」
「まだ決めてない」
ジンは首を横に振る。
今更だがこの世界には戦闘タイプは3つに区分される。
ヴェイグのような特技を駆使して戦う近接タイプ。
マオのように導術を詠唱して戦う導術師。
そしてアニーのように陣を展開してサポートする陣術師。
本来ヒトは生まれた時から才能によってこの3つのどれか一つに区分される。
区分されるというよりもなるべくしてなると表現したほうが正しいかもしれない。
例えば特技を駆使して戦うヴェイグはどんなに血の滲む努力を重ねようとも導術を使うことはできず、逆にマオもどんなに努力しようと特技を使うことはできない。
ましてやアニーのような陣術タイプは滅多に発現することがないためとても希少な戦闘スタイルだと言える。
しかし、その陣術師よりも更に稀な確率で導術と特技の両方を使えるヒトが現れることがある。
それがサレやジン、ブライトのようなタイプである。
もっともサレの場合はヒューマにフォルスが発現しなかった頃からフォルスを使えたり、導術と特技の両方を使えたことから鬼才の持ち主だったことが分かる。
しかし特技と導術の両方を使えるというのは決して長所にはなり得ない。
これは例えるなら10桁の暗算をしながら暗記をするような作業のため上位の術技になればなるほど脳がパンクしてしまう。
そのため、種類は豊富だが強力な術技を習得することができず結果器用貧乏となってしまう。
それを危惧していたブライトは以前よりどちらかの戦闘スタイルに絞るように言っていたのだがジンは今まで決断できずにいた。
それでもリヒトモスインセクトと戦った時は肉体強化系の錬術で強化し、前衛で戦っていた。
その姿からブライトは近接タイプに決めたのだと思っていたのだが、答えはNOだった。
ブライトはため息をつく。
「だったら、キョグエンに着くまでに導術の感覚を思い出しておけよ?あまり接近戦ばかりしてると戻れなくなっちまうからな」
本当ならブライトは今の内にジンの進路は決めておきたかった。
ジンは今まさに成長期に入ろうとしている。
この時点でどちらかに絞っておけば伸びるのは早い。
しかし焦って決断した結果後悔だけは絶対にしてほしくはなかった。
今のジンはどちらにでもなれる。
ならばその才能を潰さずにゆっくりと決断させ、いざという時にどちらにでも転べるようにしておきたい。
それがブライトの本心だった。
そんな事を考えていると黒い霧が固まって人間の骸骨の頭のような形をしたバイラスが三匹、ヴェイグ達の前に立ちふさがった。
バルカでも同じようなバイラスがいたが、このバイラスはバルカのバイラスが白色だったのに対して黒のガスでできていた。
「飛んで火にいる夏の虫だな」
会話を聞いていたジークがリストをはめると、ヴェイグ達が狙っている中央のガスのバイラスへ走りにくそうに向かっていった。
そしてジンは詠唱に入る。
目を閉じ、一昨日までの感覚を一から頭に思い浮かべる。
感覚を研ぎ澄まし、大気と一体となる。
「セイントバブル!」
ジンが一番左のガスのバイラスに手を掲げると、そのバイラスの真下がぶくぶくと泡立つ。
しかし、若干ずれたのか泡はバイラスより手前で消えていった。
「お前詠唱を省略しただろ?面倒臭がってねぇで、一つ一つ丁寧にやれよ」
少し苛立ったのかジンは眉をピクっと動かしたが、再び目を閉じ集中する。
(なるほど、両方の戦闘スタイルを持つからこそジンにもアドバイスができるわけか)
ユージーンは中央のバイラスを切り裂きとどめをさしながら後衛で行われているやりとりに感心していた。
そして、ヒルダの光の矢が一番右のガスを貫いた頃、ジンの詠唱が終わる。
「弾けろ!セイントバブル!!」
今度はバイラスの真下の湿原から泡が上昇するとガスのバイラスを瞬く間に包み込み、爆弾が連鎖するかのように泡は弾け、バイラスは拡散していった。
「よし」
ジンは小さくガッツポーズすると完全に感覚を取り戻したようでその後の戦闘において導術を外したのは先の一回が最初で最後となった。
〜続く〜
「お疲れ様、ルル。虫嫌いなのによく頑張ったね!」
「……マオ、なんか私のこと子供扱いしてない?」
褒められて嬉しかったがルルは照れを隠すように頬を膨らませた。
「えぇ!?そんなつもりはなかったんだけどな〜……」
マオは困ったように首を傾げながら後ろ髪をかいた。
しかしルルは顔の形を戻すなり俯いた。
「でも私何にもしてないよ?ジン兄さんに言われた通りにやっただけだし……」
「でも最終的にやるって決めたのはルルでしょ?もしルルがいなかったら僕達今頃負けてただろうし、やっぱりルルのおかげだヨ!」
マオはウィンクしながら親指を突き出すというお決まりのポーズをする。
すると、ルルはハニカムように笑った。
「そっか……へへへ」
「みなさん、終わりました!」
見ると糸は大分テディホビンからはみ出し、巨大なバームクーヘンのようになっていた。
「随分と採取できたものだな」
「隅々までかき集めたからね」
ユージーンは感心したように唸っていたがカインの自慢話はヘビーな内容が含まれている気がしたので咄嗟に手で制した。
待っている間にグミを食べてジークも歩けるようになったため、アニーとカインがグミを食べ終わるのを待ってからヴェイグ達はピピスタへの帰路へついた。
そして宿屋へ到着するなりヒルダから事の成り行きを聞き、アニーは診察に入った。
「軽い脱水症状ですね。今日一日きちんと水分をとって休んでいれば明日には元気になりますよ。あと、今日だけは首と脇、太ももは冷やしてくださいね?」
「あ〜はいはい。迷惑かけたね」
緑のモブ子が適当に礼を言うと診察が終わったことを聞きヒルダが歩み寄った。
「礼を言うわ。もしあんたが倒れなかったら私達はアニーを呼ぶために砂漠へ出ようとしなかったもの」
「なんかあったのか?」
「私達の仲間が死に掛けてたのよ」
ヒルダの後を追うようにしてフィオナが顔をだした。
その後ろから例の死に掛けてた面子がぞろぞろとやってくる。
その中からユージーンが一歩前に出ると手を差し出した。
「ヒルダから大体の事情は聞いている。巻き込む形になってしまったが協力感謝する」
「感謝するなら現物ができあがってからにしろよ」
緑のモブ子は不敵な笑みを浮かべながらユージーンの手を握った。
それから一晩経ち緑のモブ子が完治したのを確認した後ヴェイグ達は早速骨董屋へ向かった。
店主は糸の回収量とその速さに腰を抜かしたが、快く裏の工房へと案内してくれた。
「リヒトモスインセクトね〜。あんたらが持ち帰ってきた情報は俺が責任をもって広めといてやるよ」
骨董屋のテディベアのような店主は金属の扉を開けながら言うと油の臭いが扉から飛び出してきた。
「どうやって広めるの?」
もう片方の扉も開く店主にマオが訪ねる。
「俺の他にも同業者はいるんだ。そいつらに聞かせてやれば喜ぶぜきっと」
店主が完全に開ききると鉄釜、水桶などといった錬金用に改造された工房が姿を表した。
緑のモブ子はテディホビンを中央のテーブルに置くと、ハンマーや石釜などを触り始めた。
「本当に即興の工房なんだな。必要最低限の物は揃ってるみたいだし、何とかなんだろ」
店主は苦笑いしながらヴェイグに耳打ちした。
「あのメロンは何者なんだい?」
「実は俺達もよく知らない。だが腕は確かだ」
「ほ、ほほぅ……。ちなみにあんた、リヒトメタルの加工はやったことあるのかい?」
「ないに決まってんだろ。でも確かこの糸を熱して打ち付ければ鉄になる過程で伸びるんだよな?あたしの場合相当伸びるから今のうちに保管場所を確保しとけよ」
「大した自信なこって」
店主が呆れた後、ヴェイグ達は一度外へ出た。
「あたしはこのまま作業に入るけど流石に時間かかるぞ?その間あんたらはどうすんだ?」
「職人と素材の問題は何とかなったから後は機体を作る人員とエンジンの軽量化か……」
ジークが確認するように言うと、緑のモブ子は鼻で笑った。
「設計図を見たがあれぐらいの大きさならあたし1人で十分だ。多分あんたらが戻ってくる頃にはエンジンを積むだけにしといてやるよ」
「本当に!?」
マオが驚くと緑のモブ子は任せろと言わんばかりに胸を叩いた。
その際に豊満な胸が揺れる。
「ではあとはエンジンの軽量化だけということか……。ユージーン、心当たりがあると言っていたな」
ヴェイグがユージーンを見ると彼は一度頷いた。
「心当たりはあるが、それにはまずノルゼンへ行く必要がある」
ノルゼンというのはここから北方にあるキョグエンよりも更に北にある雪国である。
「結局寒い所に行くのか……」
ジークが落胆するがユージーンは「いや」と否定した。
「バルカでワルトゥが言っていたが、どうやら各地で季節が変動しているのは事実のようだ。本来ならビビスタももっと暑くなければおかしいのだが今は比較的涼しい方だ。気のせいかとも思ったが温暖な地域でしか孵化しないというリヒトモスインセクトが孵化したのも気候が変動した証拠だろう」
「ということはもしかしたらノルゼンの気候も変わってるかもしれないんですね?」
アニーの仮定にユージーンが頷くと、ジークの表情が少し明るくなった。
「じゃあ次の目的地はノルゼンで決まりだね!」
カイトが意気揚々と言うが、その肩を緑のモブ子が鷲掴みにした。
「お前はあたしの手伝いな」
「ぇえっ!?」
「気持ち悪い声出してんじゃねぇ!そもそも何だあのへなちょこな設計図は!?一から書き直せ!こちとらヒトの命を預かるんだ、徹底的にやるぞ」
「は、はい……」
緑のモブ子の真剣な表情にカイトは生唾を飲んだ。
「じゃあフィオナも……」
残るか?と訊こうとしたところでジークの口が止まった。
フィオナの口は笑っているが、目が笑ってない。
「ジーク、また死にたいの?」
「カイト、なるべく早く戻ってくる。機体は頼んだ」
「う、うん……」
反対の肩をジークに鷲掴みにされ、カイトはさらに戸惑うばかりだった。
しかし緑のモブ子の言葉から大きな責任感を感じたヴェイグ達は安心して任せることができるとも思えた。
こうして緑のモブ子とカイトにしばしの別れを告げると、ヴェイグ達はまずキョグエンへ向かうために再び湿原へと戻るのだった。
「ここを通らないといけないの、忘れてたわ……」
フィオナは広大に広がる湿地を見て肩を落とした。
「俺はこっちのほうが楽だがな」
砂漠を乗り切ったヴェイグが涼しそうな顔で言うとフィオナは鼻で笑った。
「地元をそんなふうに言ってもらえたら嬉しいわね」
そうは言うが砂漠の猛暑により消費した体力で湿原を越えるのはさすがに覚悟が必要だった。
更にはペース配分も重要となるためヴェイグ達は改めて気を引き締めてから湿原に足を踏み入れた。
「ジン」
まだ比較的浅いながらもずぶずぶと沈んでいくブーツを引き抜きながら、ブライトに声をかけられたジンは振り向く。
「お前、接近タイプに決めたのか?」
「まだ決めてない」
ジンは首を横に振る。
今更だがこの世界には戦闘タイプは3つに区分される。
ヴェイグのような特技を駆使して戦う近接タイプ。
マオのように導術を詠唱して戦う導術師。
そしてアニーのように陣を展開してサポートする陣術師。
本来ヒトは生まれた時から才能によってこの3つのどれか一つに区分される。
区分されるというよりもなるべくしてなると表現したほうが正しいかもしれない。
例えば特技を駆使して戦うヴェイグはどんなに血の滲む努力を重ねようとも導術を使うことはできず、逆にマオもどんなに努力しようと特技を使うことはできない。
ましてやアニーのような陣術タイプは滅多に発現することがないためとても希少な戦闘スタイルだと言える。
しかし、その陣術師よりも更に稀な確率で導術と特技の両方を使えるヒトが現れることがある。
それがサレやジン、ブライトのようなタイプである。
もっともサレの場合はヒューマにフォルスが発現しなかった頃からフォルスを使えたり、導術と特技の両方を使えたことから鬼才の持ち主だったことが分かる。
しかし特技と導術の両方を使えるというのは決して長所にはなり得ない。
これは例えるなら10桁の暗算をしながら暗記をするような作業のため上位の術技になればなるほど脳がパンクしてしまう。
そのため、種類は豊富だが強力な術技を習得することができず結果器用貧乏となってしまう。
それを危惧していたブライトは以前よりどちらかの戦闘スタイルに絞るように言っていたのだがジンは今まで決断できずにいた。
それでもリヒトモスインセクトと戦った時は肉体強化系の錬術で強化し、前衛で戦っていた。
その姿からブライトは近接タイプに決めたのだと思っていたのだが、答えはNOだった。
ブライトはため息をつく。
「だったら、キョグエンに着くまでに導術の感覚を思い出しておけよ?あまり接近戦ばかりしてると戻れなくなっちまうからな」
本当ならブライトは今の内にジンの進路は決めておきたかった。
ジンは今まさに成長期に入ろうとしている。
この時点でどちらかに絞っておけば伸びるのは早い。
しかし焦って決断した結果後悔だけは絶対にしてほしくはなかった。
今のジンはどちらにでもなれる。
ならばその才能を潰さずにゆっくりと決断させ、いざという時にどちらにでも転べるようにしておきたい。
それがブライトの本心だった。
そんな事を考えていると黒い霧が固まって人間の骸骨の頭のような形をしたバイラスが三匹、ヴェイグ達の前に立ちふさがった。
バルカでも同じようなバイラスがいたが、このバイラスはバルカのバイラスが白色だったのに対して黒のガスでできていた。
「飛んで火にいる夏の虫だな」
会話を聞いていたジークがリストをはめると、ヴェイグ達が狙っている中央のガスのバイラスへ走りにくそうに向かっていった。
そしてジンは詠唱に入る。
目を閉じ、一昨日までの感覚を一から頭に思い浮かべる。
感覚を研ぎ澄まし、大気と一体となる。
「セイントバブル!」
ジンが一番左のガスのバイラスに手を掲げると、そのバイラスの真下がぶくぶくと泡立つ。
しかし、若干ずれたのか泡はバイラスより手前で消えていった。
「お前詠唱を省略しただろ?面倒臭がってねぇで、一つ一つ丁寧にやれよ」
少し苛立ったのかジンは眉をピクっと動かしたが、再び目を閉じ集中する。
(なるほど、両方の戦闘スタイルを持つからこそジンにもアドバイスができるわけか)
ユージーンは中央のバイラスを切り裂きとどめをさしながら後衛で行われているやりとりに感心していた。
そして、ヒルダの光の矢が一番右のガスを貫いた頃、ジンの詠唱が終わる。
「弾けろ!セイントバブル!!」
今度はバイラスの真下の湿原から泡が上昇するとガスのバイラスを瞬く間に包み込み、爆弾が連鎖するかのように泡は弾け、バイラスは拡散していった。
「よし」
ジンは小さくガッツポーズすると完全に感覚を取り戻したようでその後の戦闘において導術を外したのは先の一回が最初で最後となった。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート28】
takeshi「ども〜!最高にハイってやつだぜ!なtakeshiです」
チャリティ「はい?」
takeshi「なんとかピピスタを脱出することができましたね!」
チャリティ「船の上に1年近くならまだしも砂漠で虫相手に1年はさすがにちょっとねぇ〜」
takeshi「本当ならば先月のうちにピピスタは出ておきたかったのですが、やはりまだ体調を崩しやすいようで、なかなか予定通りに進みません」
チャリティ「一ヶ月先の予定とか怖いんでしょ?」
takeshi「むしろ最近は一週間先でさえもどうなっているか分からないので怖いです。安易に約束とか予約したものの、いつ体調が崩れるかまったく予想ができないのでドタキャンとかなった日にはもう想像するだけで恐ろしいです」
チャリティ「それよりさ」
takeshi「今、結構私的に重い話をしていたのですが……何ですか?」
チャリティ「ローエンの企画やるの?」
takeshi「あれは企画倒れですよ!だって彼等が口頭で説明した時点でもうどうなるか大体想像できたでしょうし、イメージの世界であるノベルにおいて読者に展開をイメージさせた時点であの企画は終了ですよ」
チャリティ「じゃ、じゃあ私の企画は?」
takeshi「何の話か分からないな〜(・3・)〜♪」
チャリティ「だから顔文字やめろっての!!」
takeshi「とにかくですね!そろそろ今やってるオマケの終わりが近いからってどんどん企画を持ってこられても困るんですよ!やりたいことが後でつっかえているんですよ!!」
チャリティ「例えば?」
takeshi「前回言ったティトレイのNGシーンとか」
ティトレイ「今度こそいくぜ!」
マオ「この炎から逃れられるか!」
ティトレイ「今だっ!俺は鳥になる!!」
ティトレイ&マオ「「紅蓮天翔ォー!!」」
アニー「ティトレイさん飛ぶ方向逆です!!」
ティトレイ「何ィ!?」
takeshi「みたいなね」
チャリティ「あぁ、そう……」
takeshi「さてさて!オマケも残り3グループとなりましたね!」
チャリティ「そうよ!私の分のひれかつ煮Cセットは!?」
takeshi「忘れてなかったんですね……。はいどうぞ」
チャリティ「これはなかなかボリューミーね」
takeshi「さて、気を取り直して……果たして自腹はどこのグループになるのか!今のところエクシリアが劣勢ですが逆転はあるのか!?乞うご期待!」
チャリティ「漬物はジークが漬けたやつの方が美味しいわね」
takeshi「え?ジークって糠漬けとかやるんですか?」
チャリティ「キッチンの床下収納に漬物用のタルが眠ってるわよ?あいつ毎日帰ってくるたびにかき混ぜてたからキッチンがすごい臭いになるのよね。今はどうしてるのかしら?」
takeshi「主婦を通り越しておばあちゃんですね、最早……。もしかしてこの前クインシェルに戻った時も皆が病院に行ってる間に1混ぜしてたんでしょうか?」
チャリティ「さぁ?でもお米の炊き加減とかヒレカツの揚げ具合とかは抜群ね。さすがレストランの厨房だわ」
takeshi「話が逸れましたが果たして自腹総額1億5千万ベリーを覚えているキャラが一体何人いるんでしょうか!?ちなみに次回本編にて遂にヤツが出ます!!」
チャリティ「ヤツって?」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
ティトレイ「何で俺ばっかNG出してる風なんだよ」
クレア「でもティトレイってあの秘奥義出す時たまに外してたわよね」
ヴェイグ「攻撃は外れているのに空気を読んだバイラスが勝手に消滅する様子は見ていて滑稽だったな」
ティトレイ「あれはマオが先に炎で吹き飛ばしちまうから悪いんだろ!?」
マオ「違うよ!ティトレイが俺は鳥になるとか意味不明なこと言ってなかなか飛ばないからはずすんだよ!」
ユージーン「コラ、喧嘩はやめろ!」
マオ「だってティトレイが〜!」
ティトレイ「マオが〜!」
アニー「単純に敵が小さいから当たらないんじゃないでしょうか?」
ヒルダ「バカっぽい……」
ルーク「あそこのテーブル、すっげぇ家族っぽいな」
モーゼス「わいらだって家族じゃ!!」
シャオルーン『僕も混ぜてー!!』
ミラ「むぅ、さすがに皆食べ終わってるだけあって余裕だな」
プレザ「ここはグレイセスのテーブルみたいにゼロスにプレゼントするしかないんじゃないかしら?」
アグリア「おっ!お得意のお色気作戦か!」
ローエン「しかしゼロスさんから声をかけていただかなければ意味がないのでは?」
ミラ「任せろ。元々私は大多数の男性の好みに合わせて作られたものだ。私がちょっと本気を出せば自ずとあっちから声を……」
ゼロス「俺様リフィル先生に怒られるの嫌だからパス。いくらミラ様の絶対領域にも釣られないもんね〜」
ミラ「む、無念!ジュードなら簡単に釣れるというのに!!」
ジュード「今のは聞き捨てならないよミラ!!」
アルヴィン「入れ食いだよな」
ローエン「掴み取りもできますね」
ティポ「ジュード単純〜♪」
アグリア「分かったか?お前はあんな単純なやつさえも落とせなかったんだぜ?」
レイア「私に飛び火した!?」
エトス「ちょっとキミ達」
ディオ「お、おい、なんかエトの目がすわってねぇか?」
エトス「ちょっと、頭冷やそうか?」
メル「「そ」がカタカナになってない!!」
ジュード「ごめんなさい!真面目にやります!」
ミラ「よ、よし!まずは料理を片付けるか!」
パスカル「こわっ!何あれ!?」
エステリーゼ「あれは……魔法少女界の白い悪魔、です」
コレット「あんまり怒らせるとシュートされちゃうんだよ?」
ノーマ「あの妖精だけは怒らせないようにしないとね〜」
エリーゼ「でももう誰も食べられませんよ?」
アルヴィン「これ以上食ったらさすがに死んじまうぞ」
ローエン「これはどうでも良い情報、じじいのただの独り言なのですが、ジューダスさんもゼロスさんも裏切った後命を絶ったそうですよ?そのおかげで当時は人気も急上昇だったとか」
アルヴィン「おい……それってまさか……」
ジュード「アルヴィン」
アルヴィン「待てジュード!さすがにそれは無理だ!できねぇって!!」
ジュード「できるかできないかじゃない」
アルヴィン「おいおい、この流れはまさか……」
ジュード「殺るか殺らないかだよ!!」
アルヴィン「そこ漢字じゃなかっただろ!!何?殺人衝動にでも駆られてんの!?」
レイア「アルヴィン、あの世でプレザと仲直りしてね」
ミラ「アルヴィン、すまない!!」
アルヴィン「ぎゃああああああ!!!!!」
ユーリ「テレッテッテ〜♪閃いちまったぜ〜」
リタ「あんた、また壊れ始めてるわよ?」
パティ「ユーリ、疲れているなら膝枕をしてやらんこともないぞ?キャッ☆」
ユーリ「生憎、俺は正常だぜ?」
フレン「それで、答えは誰なんだい?」
ユーリ「俺達の料理を作ったのはフレン、お前だ!」
ロンドリーネ「ヴェスペリアの料理を作ったのはフレンで合ってますかーっ!?」
フレン「キミは、僕を選ぶんだね」
ユーリ「選ぶんじゃねぇ、」
リタ「もういいっての!!」
フレン「残念だけど、ハズレだよ」
ユーリ「だろうな。つうことは本格的にワンダーの中のどいつかってことか……」
リタ「あんた何考えてんのよ!!自信有り気に閃いたとか言ってたじゃない!!」
ユーリ「あぁ、とりあえずフレンじゃねぇなと思ったんだ。んで、その確認をしたかっただけだ」
リタ「んなっ!!?」
ジュディス「あなた、もしかして勝負を投げたわけではないでしょうね?」
ユーリ「んな訳あるかよ。どうせ回答権はなくならねぇんだ、ゆっくり考えるとしようぜ?」
ロンドリーネ「そんな余裕ぶっこていられるのも今のうちだよ」
カロル「ロディ、ユーリにプレッシャーは効かないよ」
パティ「なんじゃカロル、もうパフェはいいのか?」
カロル「えっと……」
ロンドリーネ「お代わりならまだまだたくさんあるわよ!!」
カロル「もうたくさんであります!!」
ノーマ「ちょっとジェージェー!このままだと本当にビリになっちゃうよぉ!!」
グリューネ「ノーマちゃん、落ち着きましょう?」
ノーマ「これが落ち着いていられるかっての!!」
ジェイ「大丈夫ですよノーマさん。万が一ビリになっても僕がマルタさんの家で執事をすれば万事解決です」
マルタ「私の家、1億5千万も出せないよ?」
ジェイ「だ、そうです」
ノーマ「ダメじゃん!!」
グリューネ「私がジェイちゃんを雇ってあげるわよぉ〜」
クロエ「それでは何の解決にもならいのではないか?」
クレス「さっきからアーチェ、水飲みすぎじゃないか?」
アーチェ「だって喉が渇いて仕方ないんだも〜ん」
ジェイ「どうやら、僕達は1億5千万を払わなくても済みそうですよ」
ヴァーツラフ「ほう?」
ウィル「誰が作ったのか分かったのか!?」
ジェイ「えぇ。大体の見当はついていたのですが、たった今確信に変わりました」
シャーリィ「じゃあ答えをどうぞ」
セネル「そうか、これを作ったのはミミーだな?答えは聞いてない」
ロンドリーネ「……えぇっと?」
ジェイ「すいません今の無しです!」
パティ「しかし今はっきりと答えたのじゃ」
ウィル「ほ、本人も答えは聞いてないと言っているだろう!ただの独り言だ!」
ミルハウスト「独り言なら仕方あるまい」
ロンドリーネ「紛らわしいなぁもう。で、答えは?」
ジェイ「僕達の料理を作ったのはリフィルさんです」
ロンドリーネ「レジェンディアの料理を作ったのはリフィルで合ってますかー!?」
リフィル「正解よ。よく分かったわね」
ジーニアス「そうだよ、姉さんが料理を成功させる確率なんて天文学的数字なのに何で姉さんだと思ったのさ?」
リフィル「ジーニアス?」
ジーニアス「な、何でもないです」
ジェイ「味噌汁ですよ。僕の情報では味噌汁というのはこんなに具材は入れないのが普通のようなのですが、この味噌汁には多種多様な具材が入っていたんです。そこで僕はアーチェさんかリフィルさんのどちらかで仮定を立てたのですが、先程のアーチェさんとクレスさんの会話を聞いてアーチェさんを除外したんです」
アーチェ「え?あたし?」
ジェイ「これ以上言ってしまうと残り2組のヒントとなってしまうので黙っておくことにします」
リタ「あんたに言われなくたってあんたの言いたいことくらい私だって分かってんのよ!!」
レイヴン「ということはリタッチはこの料理を作ったのが誰か分かったってこと?」
リタ「悔しいけど、それでも私達の料理を作った人間までは分からないわ」
ヴァン「いよいよ残り二組となり終焉が近付く。果たして辛酸を舐めるのは先頭を切って抜けたファンタジアと相反する新作のエクシリアか、はたまた余裕を見せるヴェスペリアか。結末は神のみぞ知る」
エミル「エンディングが見えた!」
カノンノE「ついにおじさんまでも攻略するんだね!」
エミル「別にヴァンさんを攻略する意味で言ったんじゃないよ!?」
ヴァン「私はまだ27なのだが」
〜続く〜
takeshi「ども〜!最高にハイってやつだぜ!なtakeshiです」
チャリティ「はい?」
takeshi「なんとかピピスタを脱出することができましたね!」
チャリティ「船の上に1年近くならまだしも砂漠で虫相手に1年はさすがにちょっとねぇ〜」
takeshi「本当ならば先月のうちにピピスタは出ておきたかったのですが、やはりまだ体調を崩しやすいようで、なかなか予定通りに進みません」
チャリティ「一ヶ月先の予定とか怖いんでしょ?」
takeshi「むしろ最近は一週間先でさえもどうなっているか分からないので怖いです。安易に約束とか予約したものの、いつ体調が崩れるかまったく予想ができないのでドタキャンとかなった日にはもう想像するだけで恐ろしいです」
チャリティ「それよりさ」
takeshi「今、結構私的に重い話をしていたのですが……何ですか?」
チャリティ「ローエンの企画やるの?」
takeshi「あれは企画倒れですよ!だって彼等が口頭で説明した時点でもうどうなるか大体想像できたでしょうし、イメージの世界であるノベルにおいて読者に展開をイメージさせた時点であの企画は終了ですよ」
チャリティ「じゃ、じゃあ私の企画は?」
takeshi「何の話か分からないな〜(・3・)〜♪」
チャリティ「だから顔文字やめろっての!!」
takeshi「とにかくですね!そろそろ今やってるオマケの終わりが近いからってどんどん企画を持ってこられても困るんですよ!やりたいことが後でつっかえているんですよ!!」
チャリティ「例えば?」
takeshi「前回言ったティトレイのNGシーンとか」
ティトレイ「今度こそいくぜ!」
マオ「この炎から逃れられるか!」
ティトレイ「今だっ!俺は鳥になる!!」
ティトレイ&マオ「「紅蓮天翔ォー!!」」
アニー「ティトレイさん飛ぶ方向逆です!!」
ティトレイ「何ィ!?」
takeshi「みたいなね」
チャリティ「あぁ、そう……」
takeshi「さてさて!オマケも残り3グループとなりましたね!」
チャリティ「そうよ!私の分のひれかつ煮Cセットは!?」
takeshi「忘れてなかったんですね……。はいどうぞ」
チャリティ「これはなかなかボリューミーね」
takeshi「さて、気を取り直して……果たして自腹はどこのグループになるのか!今のところエクシリアが劣勢ですが逆転はあるのか!?乞うご期待!」
チャリティ「漬物はジークが漬けたやつの方が美味しいわね」
takeshi「え?ジークって糠漬けとかやるんですか?」
チャリティ「キッチンの床下収納に漬物用のタルが眠ってるわよ?あいつ毎日帰ってくるたびにかき混ぜてたからキッチンがすごい臭いになるのよね。今はどうしてるのかしら?」
takeshi「主婦を通り越しておばあちゃんですね、最早……。もしかしてこの前クインシェルに戻った時も皆が病院に行ってる間に1混ぜしてたんでしょうか?」
チャリティ「さぁ?でもお米の炊き加減とかヒレカツの揚げ具合とかは抜群ね。さすがレストランの厨房だわ」
takeshi「話が逸れましたが果たして自腹総額1億5千万ベリーを覚えているキャラが一体何人いるんでしょうか!?ちなみに次回本編にて遂にヤツが出ます!!」
チャリティ「ヤツって?」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
ティトレイ「何で俺ばっかNG出してる風なんだよ」
クレア「でもティトレイってあの秘奥義出す時たまに外してたわよね」
ヴェイグ「攻撃は外れているのに空気を読んだバイラスが勝手に消滅する様子は見ていて滑稽だったな」
ティトレイ「あれはマオが先に炎で吹き飛ばしちまうから悪いんだろ!?」
マオ「違うよ!ティトレイが俺は鳥になるとか意味不明なこと言ってなかなか飛ばないからはずすんだよ!」
ユージーン「コラ、喧嘩はやめろ!」
マオ「だってティトレイが〜!」
ティトレイ「マオが〜!」
アニー「単純に敵が小さいから当たらないんじゃないでしょうか?」
ヒルダ「バカっぽい……」
ルーク「あそこのテーブル、すっげぇ家族っぽいな」
モーゼス「わいらだって家族じゃ!!」
シャオルーン『僕も混ぜてー!!』
ミラ「むぅ、さすがに皆食べ終わってるだけあって余裕だな」
プレザ「ここはグレイセスのテーブルみたいにゼロスにプレゼントするしかないんじゃないかしら?」
アグリア「おっ!お得意のお色気作戦か!」
ローエン「しかしゼロスさんから声をかけていただかなければ意味がないのでは?」
ミラ「任せろ。元々私は大多数の男性の好みに合わせて作られたものだ。私がちょっと本気を出せば自ずとあっちから声を……」
ゼロス「俺様リフィル先生に怒られるの嫌だからパス。いくらミラ様の絶対領域にも釣られないもんね〜」
ミラ「む、無念!ジュードなら簡単に釣れるというのに!!」
ジュード「今のは聞き捨てならないよミラ!!」
アルヴィン「入れ食いだよな」
ローエン「掴み取りもできますね」
ティポ「ジュード単純〜♪」
アグリア「分かったか?お前はあんな単純なやつさえも落とせなかったんだぜ?」
レイア「私に飛び火した!?」
エトス「ちょっとキミ達」
ディオ「お、おい、なんかエトの目がすわってねぇか?」
エトス「ちょっと、頭冷やそうか?」
メル「「そ」がカタカナになってない!!」
ジュード「ごめんなさい!真面目にやります!」
ミラ「よ、よし!まずは料理を片付けるか!」
パスカル「こわっ!何あれ!?」
エステリーゼ「あれは……魔法少女界の白い悪魔、です」
コレット「あんまり怒らせるとシュートされちゃうんだよ?」
ノーマ「あの妖精だけは怒らせないようにしないとね〜」
エリーゼ「でももう誰も食べられませんよ?」
アルヴィン「これ以上食ったらさすがに死んじまうぞ」
ローエン「これはどうでも良い情報、じじいのただの独り言なのですが、ジューダスさんもゼロスさんも裏切った後命を絶ったそうですよ?そのおかげで当時は人気も急上昇だったとか」
アルヴィン「おい……それってまさか……」
ジュード「アルヴィン」
アルヴィン「待てジュード!さすがにそれは無理だ!できねぇって!!」
ジュード「できるかできないかじゃない」
アルヴィン「おいおい、この流れはまさか……」
ジュード「殺るか殺らないかだよ!!」
アルヴィン「そこ漢字じゃなかっただろ!!何?殺人衝動にでも駆られてんの!?」
レイア「アルヴィン、あの世でプレザと仲直りしてね」
ミラ「アルヴィン、すまない!!」
アルヴィン「ぎゃああああああ!!!!!」
ユーリ「テレッテッテ〜♪閃いちまったぜ〜」
リタ「あんた、また壊れ始めてるわよ?」
パティ「ユーリ、疲れているなら膝枕をしてやらんこともないぞ?キャッ☆」
ユーリ「生憎、俺は正常だぜ?」
フレン「それで、答えは誰なんだい?」
ユーリ「俺達の料理を作ったのはフレン、お前だ!」
ロンドリーネ「ヴェスペリアの料理を作ったのはフレンで合ってますかーっ!?」
フレン「キミは、僕を選ぶんだね」
ユーリ「選ぶんじゃねぇ、」
リタ「もういいっての!!」
フレン「残念だけど、ハズレだよ」
ユーリ「だろうな。つうことは本格的にワンダーの中のどいつかってことか……」
リタ「あんた何考えてんのよ!!自信有り気に閃いたとか言ってたじゃない!!」
ユーリ「あぁ、とりあえずフレンじゃねぇなと思ったんだ。んで、その確認をしたかっただけだ」
リタ「んなっ!!?」
ジュディス「あなた、もしかして勝負を投げたわけではないでしょうね?」
ユーリ「んな訳あるかよ。どうせ回答権はなくならねぇんだ、ゆっくり考えるとしようぜ?」
ロンドリーネ「そんな余裕ぶっこていられるのも今のうちだよ」
カロル「ロディ、ユーリにプレッシャーは効かないよ」
パティ「なんじゃカロル、もうパフェはいいのか?」
カロル「えっと……」
ロンドリーネ「お代わりならまだまだたくさんあるわよ!!」
カロル「もうたくさんであります!!」
ノーマ「ちょっとジェージェー!このままだと本当にビリになっちゃうよぉ!!」
グリューネ「ノーマちゃん、落ち着きましょう?」
ノーマ「これが落ち着いていられるかっての!!」
ジェイ「大丈夫ですよノーマさん。万が一ビリになっても僕がマルタさんの家で執事をすれば万事解決です」
マルタ「私の家、1億5千万も出せないよ?」
ジェイ「だ、そうです」
ノーマ「ダメじゃん!!」
グリューネ「私がジェイちゃんを雇ってあげるわよぉ〜」
クロエ「それでは何の解決にもならいのではないか?」
クレス「さっきからアーチェ、水飲みすぎじゃないか?」
アーチェ「だって喉が渇いて仕方ないんだも〜ん」
ジェイ「どうやら、僕達は1億5千万を払わなくても済みそうですよ」
ヴァーツラフ「ほう?」
ウィル「誰が作ったのか分かったのか!?」
ジェイ「えぇ。大体の見当はついていたのですが、たった今確信に変わりました」
シャーリィ「じゃあ答えをどうぞ」
セネル「そうか、これを作ったのはミミーだな?答えは聞いてない」
ロンドリーネ「……えぇっと?」
ジェイ「すいません今の無しです!」
パティ「しかし今はっきりと答えたのじゃ」
ウィル「ほ、本人も答えは聞いてないと言っているだろう!ただの独り言だ!」
ミルハウスト「独り言なら仕方あるまい」
ロンドリーネ「紛らわしいなぁもう。で、答えは?」
ジェイ「僕達の料理を作ったのはリフィルさんです」
ロンドリーネ「レジェンディアの料理を作ったのはリフィルで合ってますかー!?」
リフィル「正解よ。よく分かったわね」
ジーニアス「そうだよ、姉さんが料理を成功させる確率なんて天文学的数字なのに何で姉さんだと思ったのさ?」
リフィル「ジーニアス?」
ジーニアス「な、何でもないです」
ジェイ「味噌汁ですよ。僕の情報では味噌汁というのはこんなに具材は入れないのが普通のようなのですが、この味噌汁には多種多様な具材が入っていたんです。そこで僕はアーチェさんかリフィルさんのどちらかで仮定を立てたのですが、先程のアーチェさんとクレスさんの会話を聞いてアーチェさんを除外したんです」
アーチェ「え?あたし?」
ジェイ「これ以上言ってしまうと残り2組のヒントとなってしまうので黙っておくことにします」
リタ「あんたに言われなくたってあんたの言いたいことくらい私だって分かってんのよ!!」
レイヴン「ということはリタッチはこの料理を作ったのが誰か分かったってこと?」
リタ「悔しいけど、それでも私達の料理を作った人間までは分からないわ」
ヴァン「いよいよ残り二組となり終焉が近付く。果たして辛酸を舐めるのは先頭を切って抜けたファンタジアと相反する新作のエクシリアか、はたまた余裕を見せるヴェスペリアか。結末は神のみぞ知る」
エミル「エンディングが見えた!」
カノンノE「ついにおじさんまでも攻略するんだね!」
エミル「別にヴァンさんを攻略する意味で言ったんじゃないよ!?」
ヴァン「私はまだ27なのだが」
〜続く〜