第46話『イゴルとクウ・ホウ』
ヴェイグ達は湿地帯を抜けると木製でできた小さな橋を渡ると緑の新芽が芽吹く緑の大地へ足を踏み入れた。
「やっと湿地を抜けたか〜」
ジンは橋の向こう側を振り返りながらブーツの泥を落とすが、ヴェイグ達6人に加えジークとカインの8人は不思議そうな顔をして足元とその先にある渓谷を見つめていた。
「何か気になることでもあんの?」
ジンはジークに訪ねるとジークはカインを見た。
「俺達が前に来た時は杉が多かったっつうか、もっと茶色だったよな?」
「うん」
ジークとカインの問答を聞いてユージーンが唸る。
「やはり俺達の予想通り、ここでも季節の変化が生じてるようだ。しかも、つい最近にな」
ジークがカインを追ってここを通ったのは2、3週間前の話だ。
その時はまだヴェイグ達の知るキョグエン近郊の季節の風景だったことから、ここの季節が変化したのは少なくとも3週間は前だということが分かる。
ヴェイグ達12人は暖かい風を肌で感じながら夕日を背に渓谷を抜け、半分の月が昇る頃キョグエンへと到着した。
「やっ……なんだこりゃー!?」
ティトレイはキョグエンに着いてそうそう「やっと着いたぜ!野宿しなくてすんで良かったな!」と言う気持ちでいた。
しかし街に着いて早々ティトレイの目に入ったのは桃色や紅色といった鮮やかな色の木々が並ぶ夢のような風景だった。
普段ならば枯葉が舞い散り地面には紅葉の絨毯がしかれているのだが、今は桜の花びらが月の光の下でヒラヒラと舞っていた。
「……きれい」
幻想的な景色を前にアニーはつい言葉に出してしまう。
ルルもまるで吹雪のように舞っている花びらの一枚を掴むと掌の上に乗せ目を輝かせた。
「こんな中でお酒を飲んだらさぞや美味しいでしょうね」
「うわ、なんか台無し……」
ヒルダの一言で一気に興が冷めたフィオナは肩を落とした。
「これで黒い霧がかかっていなければ最高だっただろうな」
今まで気にしないようにしていたがヴェイグの一言で今まで見えるか見えないか程度だった黒い霧を急に意識してしまい、月下に照らされる桜が黒くくすんで見えるようになってしまった。
「ヴェイグ、あんた……」
さすがのヒルダの興も冷めたようでヒルダは額に手を当て呆れた。
「おい!さっさと宿屋へ行って休もうぜ!もうクタクタだぜ〜」
ブライトは既に入り口から遠く離れた赤い橋の上からこちらに声を張り上げており、気付けば男性陣は全員橋の上にいた。
何ともデリカシーの無い男性陣に女性陣は溜息を吐きつつ、桜並木の間の道を歩き始めた。
左手に広がる湖畔を視野に入れながら並木道をほどなく歩いていくと分かれ道があり、ここを左に曲がればブライト達が待っている赤い橋があり、まっすぐに行けばオークション会場等がある。
今回は左に曲がると直後に赤い橋がかかっており、湖畔の中央に浮かぶ島へかかっていた。
橋の中央にて男性陣と合流し、湖畔の北側を見ると湖の畔(ほとり)に設置されていたのであろう倉庫が、瓦礫の状態のまま放置されているのが気になったが橋を渡り切るとすぐに宿屋が待ち構えていた。
「まだ空いていると良いんだが……」
時間も時間なため、12人が泊まるスペースがあるか稀有しつつもヴェイグは横開きの木製扉を開く。
ドアを開くだけでキョグエン名物の中華まんを蒸かす香りが漂ってきた。
しかし、ヴェイグは扉を開けたまま中に入ろうとはしなかった。
「どうしたの?ヴェイグ」
マオは小さい身長を活かしてヴェイグの腰辺りから顔を出し、中を覗いた。
すると、宿屋の中はロビーから既にガジュマで埋め尽くされていた。
さらによく見てみると全員高級そうな服が汚れており、怪我をしているヒトさえもおり宿屋は殺気で満ちていた。
「ヒューマの姿がないね」
マオはヴェイグを見上げながら言うがその瞬間に小さく開けていた扉が中から大きく開かれた。
「何の用だい?」
扉を開けたガジュマのおばさんはエプロンをしており、どうやら宿屋の店員のようだった。
しかしガジュマのおばさんはヴェイグとマオ、その他面々を眺めてから眉を吊り上げた。
「うちはヒューマはお断りだよ。勿論ハーフもね。どうしても泊まりたいってんなら裏を訪ねるんだね」
おばさんは今ヴェイグ達の後ろにある赤い橋のある方角とは逆の方角を親指でさしてから扉をピシャリと閉めた。
「なっ!?」
フィオナは怒りが爆発し、怒鳴ろうとしたが砂漠と湿地越えで怒鳴る体力はさすがになかった。
「や、やってらんないわね、もう……」
とりあえず大きく開けた口の体裁を保つため、苦し紛れに愚痴を漏らしてからフィオナを先頭にして宿屋の裏へ周り込み、対岸へと繋がれた赤い橋を渡った。
橋は巨大な民家の入り口と繋がっており、その民家に扉というものはなく全て吹き抜けになっており廊下と部屋が繋がっていた。
その中でも特に大きな入り口を持つ部屋からは先程からヒューマの男女が入ったり出たりと忙しそうに走り回っていた。
「何かあったのでしょうか?」
消毒液の臭いをかぎとったアニーの表情が険しいものに変わる。
アニーはヴェイグ達の返事を待つことなく一人で大部屋に向かってしまい、ヴェイグ達も急いで後を追う。
そして、大部屋と廊下を区切る敷居を跨(また)ぐと、そこには大勢のヒューマが怪我をして倒れていた。
「こ、これは……!!」
アニーは口を両手でふさぐようにして愕然とした。
体のあちこに包帯を巻かれる者や、それを手当てをする者、戦場の医療現場さながらだった。
そんな時、右往左往していたヒューマの1人がブライトとユージーンの姿を見るなり、人差し指をさし、声を張り上げた。
「ガジュマだ!!ガジュマがいるぞ!!」
男の声に反応し、全員の視線がヴェイグ達に集まる。
広間内は先程とは違ったざわつきが生まれ、少なくともヴェイグ達は同じヒューマだというのにまるで奇異なものを見るような目つきだった。
そんな中、部屋の隅で重傷者を介抱していた黒いニット帽をかぶったヒューマがこちらに気付くと、突然立ち上がった。
「待ってくれ!この人達は俺の友人だ!勿論、一緒にいるガジュマもな」
青年が野太い声で言うと全員「なんだ」と安心したかのような声を端々であげ、冷たい視線も、喧騒もなくなっていた。
どうやら今こちらに歩み寄ってくる黒いニット帽のヒューマの男性がここのリーダー格のようだ。
「久しぶりだな。あんたらと会うのは1年ぶりか?元気そうで何よりだ」
「お前は元気そうでもないな、クウ・ホウ」
ヴェイグはクウ・ホウという男と握手をした。
クウ・ホウも右腕に包帯をしており、やはり負傷していた。
「クウ・ホウさん、事情は知りませんがお手伝いしてもよろしいですか?」
アニーは祈るように両手を胸の前で組みながら訪ねるとクウ・ホウは大きく頷いた。
「こちらからお願いしたいくらいです。よろしくお願いします」
「僕も手伝うよ」
クウ・ホウが頭を下げた後、カインが申し出るとアニーは慌てたように急いで頭を下げた。
「あ、ありがとうございますっ!」
カインは恐縮したように腕を振り、頭を上げたアニーは即座に指示を出した。
すると、アニーに頭を下げながらすれ違った黄色のバンダナを付けたヒューマがアニーを目で追いながらもクウ・ホウに歩み寄ってきた。
「クウ・ホウ、今知り合いに会ったから紹介したいんだが……」
黄色のバンダナを付けた青年はクウ・ホウの対面にいるヴェイグ達を見て目を丸くした。
「あ、あんたら!!あの娘だけかと思ったら全員来てたのか!!」
「イゴル!お前もキョグエンにいたのかよ!」
ヴェイグがイゴルとも握手している傍らでティトレイが嬉しそうに驚いた。
冷静そうなクウ・ホウとは違い活発な雰囲気を持つイゴルもまた嬉しそうに笑顔をつくった。
「つうか、仲間増えてねぇか?」
イゴルがジーク達を見回すと、フィオナと目が合った。
「イゴルさん、お久しぶりです」
「あぁ、ギュナルスさんとこの。こうして直接会うのは何年振りだろうな。無事に会えて嬉しいよ」
「わ、私も……です」
「何だか訳分かんねーな!ヴェイグ、俺達のことも含めて紹介してくれ!」
やけに潮らしいフィオナのことも含めて人間関係がよく分からなくなったブライトはしびれをきらしてヴェイグに説明を求めた。
まずヴェイグはクウ・ホウについて説明した。
彼はキョグエン出身のヒューマらしく1年前までワン・ギンという、この街の大富豪の腰巾着をしていた。
「そういえばワン・ギンさんは?」
マオが首を傾げるとクウ・ホウは少し俯いた。
「ワン・ギンは……死んだ」
それを聞いてもヴェイグ達は特になんとも思わなかった。
あのティトレイでさえも「そっか。自業自得ってやつだな」という始末だった。
それだけでワン・ギンという男がどういう男だったのか分かった気がした。
実際それほどのことをしてきた男なのは間違いない。
次にヴェイグはイゴルの説明をする。
イゴルはフィオナと面識があったことから分かるとおりラジルダ出身の男である。
イゴルはラジルダにおいてヒューマの族長であったイーガの息子であり、1年前にラジルダが沈んだ際にキョグエンへと非難した。
彼の父親はラジルダのヒューマ族長というだけあってガジュマを目の敵にしていた。
それに反してイゴルは差別を良しとは思わず、1年前はアガーテの姿をしたクレアを父親の目から匿(かくま)うほどだった。
「この前ラジルダに戻った時にカイトが君を探そうとしていたが、会えたのか?」
イゴルが問うとフィオナは軽く頷いた。
「はい。今は居ませんけど一緒に旅をしてます」
それを聞いてイゴルは「それは良かった」と満足そうに頷いた。
そして今度は逆にヴェイグは今回の旅の経緯を話しながらジーク達を紹介した。
「そうか……ギュナルスさんも関わってんのか……」
事情を聞いてイゴルは残念そうに俯いた。
「それで、今度は逆に俺達が聞きたいんだがこの惨状は一体何があったんだ?」
ヴェイグが訪ねるとクウ・ホウとイゴルは一度目を合わせ、クウ・ホウが「実は」と切り出した。
「バルカがバイラスの大群から襲撃にあったという噂を聞いたんだ。そこで俺達は1年前のようにバイラスが進入してこないよう外壁を建てるか、傭兵を雇うかで口論をしていた」
「ここにもバイラスが入り込んできていたのか……」
ヴェイグ達はその頃、ユリスの領域内にて最終決戦に臨んでいたため、その時大陸で何が起きていたのかは詳しく知らなかった。
ただ、ヒューマとガジュマが憎み合っていたことや、どこかの街にバイラスが進入したということだけは後から知っただけにすぎない。
「ワン・ギンはその時に犠牲になったのだが、今はその話は置いておこう。幸いここは裕福なヒトが多いおかげで外壁も、傭兵も資金の面は何も問題は無かった。ただ、どちらを優先させるかで議論になってな」
そこでヒルダは首を傾げた。
「確かここの連中って街の外を出歩くだけでも護衛を付けるぐらい暴力を使いたがらない性格だったわよね。それがどうして議論からここまでに発展したの?」
ヒルダはアニーに介抱される怪我人を見ながら皮肉のように言うがクウ・ホウは表情一つ変えなかった。
「それも1年前の事件に関係するのだが、あのバイラスの一件以来富豪達は自分の身は自分で護ろうという気持ちが芽吹いたんだ。最初の頃は良い傾向だと俺もイゴルも思っていたし、オークションで珍しい武器を出品すれば飛ぶように売れる塩梅だった。だが、それがこのような結果を生むことになるとはな」
クウ・ホウは眉間に皺を寄せながら腕を組む。
「いや、それだけだったらここまでの惨状にはならなかったさ」
そこでイゴルが口を挟んだ。
「ここ2、3日は議論で済んでたんだ。ただ、喧嘩までいった原因は明らかにあの女が口を出してきてからだ」
「あの女?」
ヴェイグ達はイゴルの言う「あの女」という言葉に異様な反応を見せる。
「今日になって突然現れたんだ。名前をフィレンツェって名乗ってだぜ」
「フィレンツェだと!?」
ティトレイが声を張り上げたが、他の11人も穏やかではいられなかった。
〜続く〜
「やっと湿地を抜けたか〜」
ジンは橋の向こう側を振り返りながらブーツの泥を落とすが、ヴェイグ達6人に加えジークとカインの8人は不思議そうな顔をして足元とその先にある渓谷を見つめていた。
「何か気になることでもあんの?」
ジンはジークに訪ねるとジークはカインを見た。
「俺達が前に来た時は杉が多かったっつうか、もっと茶色だったよな?」
「うん」
ジークとカインの問答を聞いてユージーンが唸る。
「やはり俺達の予想通り、ここでも季節の変化が生じてるようだ。しかも、つい最近にな」
ジークがカインを追ってここを通ったのは2、3週間前の話だ。
その時はまだヴェイグ達の知るキョグエン近郊の季節の風景だったことから、ここの季節が変化したのは少なくとも3週間は前だということが分かる。
ヴェイグ達12人は暖かい風を肌で感じながら夕日を背に渓谷を抜け、半分の月が昇る頃キョグエンへと到着した。
「やっ……なんだこりゃー!?」
ティトレイはキョグエンに着いてそうそう「やっと着いたぜ!野宿しなくてすんで良かったな!」と言う気持ちでいた。
しかし街に着いて早々ティトレイの目に入ったのは桃色や紅色といった鮮やかな色の木々が並ぶ夢のような風景だった。
普段ならば枯葉が舞い散り地面には紅葉の絨毯がしかれているのだが、今は桜の花びらが月の光の下でヒラヒラと舞っていた。
「……きれい」
幻想的な景色を前にアニーはつい言葉に出してしまう。
ルルもまるで吹雪のように舞っている花びらの一枚を掴むと掌の上に乗せ目を輝かせた。
「こんな中でお酒を飲んだらさぞや美味しいでしょうね」
「うわ、なんか台無し……」
ヒルダの一言で一気に興が冷めたフィオナは肩を落とした。
「これで黒い霧がかかっていなければ最高だっただろうな」
今まで気にしないようにしていたがヴェイグの一言で今まで見えるか見えないか程度だった黒い霧を急に意識してしまい、月下に照らされる桜が黒くくすんで見えるようになってしまった。
「ヴェイグ、あんた……」
さすがのヒルダの興も冷めたようでヒルダは額に手を当て呆れた。
「おい!さっさと宿屋へ行って休もうぜ!もうクタクタだぜ〜」
ブライトは既に入り口から遠く離れた赤い橋の上からこちらに声を張り上げており、気付けば男性陣は全員橋の上にいた。
何ともデリカシーの無い男性陣に女性陣は溜息を吐きつつ、桜並木の間の道を歩き始めた。
左手に広がる湖畔を視野に入れながら並木道をほどなく歩いていくと分かれ道があり、ここを左に曲がればブライト達が待っている赤い橋があり、まっすぐに行けばオークション会場等がある。
今回は左に曲がると直後に赤い橋がかかっており、湖畔の中央に浮かぶ島へかかっていた。
橋の中央にて男性陣と合流し、湖畔の北側を見ると湖の畔(ほとり)に設置されていたのであろう倉庫が、瓦礫の状態のまま放置されているのが気になったが橋を渡り切るとすぐに宿屋が待ち構えていた。
「まだ空いていると良いんだが……」
時間も時間なため、12人が泊まるスペースがあるか稀有しつつもヴェイグは横開きの木製扉を開く。
ドアを開くだけでキョグエン名物の中華まんを蒸かす香りが漂ってきた。
しかし、ヴェイグは扉を開けたまま中に入ろうとはしなかった。
「どうしたの?ヴェイグ」
マオは小さい身長を活かしてヴェイグの腰辺りから顔を出し、中を覗いた。
すると、宿屋の中はロビーから既にガジュマで埋め尽くされていた。
さらによく見てみると全員高級そうな服が汚れており、怪我をしているヒトさえもおり宿屋は殺気で満ちていた。
「ヒューマの姿がないね」
マオはヴェイグを見上げながら言うがその瞬間に小さく開けていた扉が中から大きく開かれた。
「何の用だい?」
扉を開けたガジュマのおばさんはエプロンをしており、どうやら宿屋の店員のようだった。
しかしガジュマのおばさんはヴェイグとマオ、その他面々を眺めてから眉を吊り上げた。
「うちはヒューマはお断りだよ。勿論ハーフもね。どうしても泊まりたいってんなら裏を訪ねるんだね」
おばさんは今ヴェイグ達の後ろにある赤い橋のある方角とは逆の方角を親指でさしてから扉をピシャリと閉めた。
「なっ!?」
フィオナは怒りが爆発し、怒鳴ろうとしたが砂漠と湿地越えで怒鳴る体力はさすがになかった。
「や、やってらんないわね、もう……」
とりあえず大きく開けた口の体裁を保つため、苦し紛れに愚痴を漏らしてからフィオナを先頭にして宿屋の裏へ周り込み、対岸へと繋がれた赤い橋を渡った。
橋は巨大な民家の入り口と繋がっており、その民家に扉というものはなく全て吹き抜けになっており廊下と部屋が繋がっていた。
その中でも特に大きな入り口を持つ部屋からは先程からヒューマの男女が入ったり出たりと忙しそうに走り回っていた。
「何かあったのでしょうか?」
消毒液の臭いをかぎとったアニーの表情が険しいものに変わる。
アニーはヴェイグ達の返事を待つことなく一人で大部屋に向かってしまい、ヴェイグ達も急いで後を追う。
そして、大部屋と廊下を区切る敷居を跨(また)ぐと、そこには大勢のヒューマが怪我をして倒れていた。
「こ、これは……!!」
アニーは口を両手でふさぐようにして愕然とした。
体のあちこに包帯を巻かれる者や、それを手当てをする者、戦場の医療現場さながらだった。
そんな時、右往左往していたヒューマの1人がブライトとユージーンの姿を見るなり、人差し指をさし、声を張り上げた。
「ガジュマだ!!ガジュマがいるぞ!!」
男の声に反応し、全員の視線がヴェイグ達に集まる。
広間内は先程とは違ったざわつきが生まれ、少なくともヴェイグ達は同じヒューマだというのにまるで奇異なものを見るような目つきだった。
そんな中、部屋の隅で重傷者を介抱していた黒いニット帽をかぶったヒューマがこちらに気付くと、突然立ち上がった。
「待ってくれ!この人達は俺の友人だ!勿論、一緒にいるガジュマもな」
青年が野太い声で言うと全員「なんだ」と安心したかのような声を端々であげ、冷たい視線も、喧騒もなくなっていた。
どうやら今こちらに歩み寄ってくる黒いニット帽のヒューマの男性がここのリーダー格のようだ。
「久しぶりだな。あんたらと会うのは1年ぶりか?元気そうで何よりだ」
「お前は元気そうでもないな、クウ・ホウ」
ヴェイグはクウ・ホウという男と握手をした。
クウ・ホウも右腕に包帯をしており、やはり負傷していた。
「クウ・ホウさん、事情は知りませんがお手伝いしてもよろしいですか?」
アニーは祈るように両手を胸の前で組みながら訪ねるとクウ・ホウは大きく頷いた。
「こちらからお願いしたいくらいです。よろしくお願いします」
「僕も手伝うよ」
クウ・ホウが頭を下げた後、カインが申し出るとアニーは慌てたように急いで頭を下げた。
「あ、ありがとうございますっ!」
カインは恐縮したように腕を振り、頭を上げたアニーは即座に指示を出した。
すると、アニーに頭を下げながらすれ違った黄色のバンダナを付けたヒューマがアニーを目で追いながらもクウ・ホウに歩み寄ってきた。
「クウ・ホウ、今知り合いに会ったから紹介したいんだが……」
黄色のバンダナを付けた青年はクウ・ホウの対面にいるヴェイグ達を見て目を丸くした。
「あ、あんたら!!あの娘だけかと思ったら全員来てたのか!!」
「イゴル!お前もキョグエンにいたのかよ!」
ヴェイグがイゴルとも握手している傍らでティトレイが嬉しそうに驚いた。
冷静そうなクウ・ホウとは違い活発な雰囲気を持つイゴルもまた嬉しそうに笑顔をつくった。
「つうか、仲間増えてねぇか?」
イゴルがジーク達を見回すと、フィオナと目が合った。
「イゴルさん、お久しぶりです」
「あぁ、ギュナルスさんとこの。こうして直接会うのは何年振りだろうな。無事に会えて嬉しいよ」
「わ、私も……です」
「何だか訳分かんねーな!ヴェイグ、俺達のことも含めて紹介してくれ!」
やけに潮らしいフィオナのことも含めて人間関係がよく分からなくなったブライトはしびれをきらしてヴェイグに説明を求めた。
まずヴェイグはクウ・ホウについて説明した。
彼はキョグエン出身のヒューマらしく1年前までワン・ギンという、この街の大富豪の腰巾着をしていた。
「そういえばワン・ギンさんは?」
マオが首を傾げるとクウ・ホウは少し俯いた。
「ワン・ギンは……死んだ」
それを聞いてもヴェイグ達は特になんとも思わなかった。
あのティトレイでさえも「そっか。自業自得ってやつだな」という始末だった。
それだけでワン・ギンという男がどういう男だったのか分かった気がした。
実際それほどのことをしてきた男なのは間違いない。
次にヴェイグはイゴルの説明をする。
イゴルはフィオナと面識があったことから分かるとおりラジルダ出身の男である。
イゴルはラジルダにおいてヒューマの族長であったイーガの息子であり、1年前にラジルダが沈んだ際にキョグエンへと非難した。
彼の父親はラジルダのヒューマ族長というだけあってガジュマを目の敵にしていた。
それに反してイゴルは差別を良しとは思わず、1年前はアガーテの姿をしたクレアを父親の目から匿(かくま)うほどだった。
「この前ラジルダに戻った時にカイトが君を探そうとしていたが、会えたのか?」
イゴルが問うとフィオナは軽く頷いた。
「はい。今は居ませんけど一緒に旅をしてます」
それを聞いてイゴルは「それは良かった」と満足そうに頷いた。
そして今度は逆にヴェイグは今回の旅の経緯を話しながらジーク達を紹介した。
「そうか……ギュナルスさんも関わってんのか……」
事情を聞いてイゴルは残念そうに俯いた。
「それで、今度は逆に俺達が聞きたいんだがこの惨状は一体何があったんだ?」
ヴェイグが訪ねるとクウ・ホウとイゴルは一度目を合わせ、クウ・ホウが「実は」と切り出した。
「バルカがバイラスの大群から襲撃にあったという噂を聞いたんだ。そこで俺達は1年前のようにバイラスが進入してこないよう外壁を建てるか、傭兵を雇うかで口論をしていた」
「ここにもバイラスが入り込んできていたのか……」
ヴェイグ達はその頃、ユリスの領域内にて最終決戦に臨んでいたため、その時大陸で何が起きていたのかは詳しく知らなかった。
ただ、ヒューマとガジュマが憎み合っていたことや、どこかの街にバイラスが進入したということだけは後から知っただけにすぎない。
「ワン・ギンはその時に犠牲になったのだが、今はその話は置いておこう。幸いここは裕福なヒトが多いおかげで外壁も、傭兵も資金の面は何も問題は無かった。ただ、どちらを優先させるかで議論になってな」
そこでヒルダは首を傾げた。
「確かここの連中って街の外を出歩くだけでも護衛を付けるぐらい暴力を使いたがらない性格だったわよね。それがどうして議論からここまでに発展したの?」
ヒルダはアニーに介抱される怪我人を見ながら皮肉のように言うがクウ・ホウは表情一つ変えなかった。
「それも1年前の事件に関係するのだが、あのバイラスの一件以来富豪達は自分の身は自分で護ろうという気持ちが芽吹いたんだ。最初の頃は良い傾向だと俺もイゴルも思っていたし、オークションで珍しい武器を出品すれば飛ぶように売れる塩梅だった。だが、それがこのような結果を生むことになるとはな」
クウ・ホウは眉間に皺を寄せながら腕を組む。
「いや、それだけだったらここまでの惨状にはならなかったさ」
そこでイゴルが口を挟んだ。
「ここ2、3日は議論で済んでたんだ。ただ、喧嘩までいった原因は明らかにあの女が口を出してきてからだ」
「あの女?」
ヴェイグ達はイゴルの言う「あの女」という言葉に異様な反応を見せる。
「今日になって突然現れたんだ。名前をフィレンツェって名乗ってだぜ」
「フィレンツェだと!?」
ティトレイが声を張り上げたが、他の11人も穏やかではいられなかった。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート29】
takeshi「ども〜!モンハン4をオンラインでやってるとモンスターを狩り終わって「お疲レイア〜」とコメントした時、「どういたしまティポ〜」と返ってくるか「お疲レウス〜」と返ってくるかで大体その人のことが分かるtakeshiです」
チャリティ「いまだにやってんの?」
takeshi「たまにですけどね。秋には4Gが発売されるとのことですし、フレンド募集中です!」
チャリティ「登録するためにはフレンドIDが必要……なんだっけ?」
takeshi「そうなんです!という訳で教えても良いよ?という人は感想欄にチョチョイとお願いします」
チャリティ「ちゃっかり感想もらおうとしてんじゃない!」
takeshi「このtakeshi、ただでフレンドIDは渡さん!感想と引き換えです!」
チャリティ「そんなんじゃ誰も教えてくれそうにないわね……。そういえば、今月は母の日があったんじゃない?」
takeshi「もう過ぎてしまいましたが、ちゃんとカーネーション買いましたよ!(あげたとは言ってない)」
チャリティ「あんたねぇ……」
takeshi「冗談ですよ、ちゃんとあげましたよ!そういうチャリティさんは何かしてあげたんですか?」
チャリティ「私は今こんな状態だし、お母さんだってアレなのは皆知ってんでしょ?やろうとしたって何もできないわよ」
takeshi「そんな今回は特別ゲストを呼んであります!!どうぞ!」
マリア「マリア・フリィースです。よろしくお願いいたします」
チャリティ「お母さん!!」
マリア「あらあらチャリティちゃんったら、いつもママと呼びなさいって言ってたでしょ?」
チャリティ「あ、あんた……なんてヒトを呼んでくれちゃってるのよ……!!」
takeshi「オイラはtakeshi。あの世とこの世とついでにその世を結ぶ者!」
チャリティ「シャーマンみたく言うな!!」
マリア「そんなことよりチャリティちゃん、見たわよ?あなた、私がせっかくジーク君にあげたぬいぐるみを踏ん付けやがってくれたみたいね」
チャリティ「そ、そんなことしてなくってよママ!第一、ママはもう死んでるから見ていないはずよ!」
マリア「第10話を読んだら書いてあったわ」
チャリティ「あんた消しておきなさいよ!!」
takeshi「そんな編集技術がこのサイトにあるなら私も教えてほしいですよ」
マリア「ふふふ、嘘を吐く時口調がおかしくなる癖はまだ直ってないのね。でも、母の日に誰もお墓参りに来てくれないのはどういうことかしら?」
チャリティ「ほ、ほら!ジーク達も忙しいのよ!ユリスとかフィオナとかヤコとか!」
マリア「まぁ!全部女の子絡みじゃない!ジーク君、ジゴロになってしまったの?」
チャリティ「ユリスは女の子じゃないわよ?」
マリア「えぇ!?じゃあ男の子なの!?それはもっと問題じゃない!」
チャリティ(ごめんジーク、このバカの誤解は解けそうにないわ……)
マリア「チャリティちゃん、今バカとか思ったかしら?」
チャリティ「思ってないですわよ!?」
マリア「もう、ジン君もルルちゃんもお兄ちゃんのことばかり気にして私のことはちっとも思い出してくれないし、ママ悲しいわ」
チャリティ「こ、この流れは……」
マリア「チャリティちゃん、あなた長女なんだし責任もって罰を受けてもらいます」
チャリティ「やっぱり!」
takeshi「といってもマリアさん温厚そうなので、罰といっても軽そうですね」
チャリティ「待ってお母さん!!ジークだって長男じゃない!!」
マリア「チャリティちゃんが一番近くにいるからチャリティちゃんで確定です」
チャリティ「おぅふ……」
takeshi「いやだからそんなに嫌がる必要は……」
マリア「それじゃあ今日はチャリティちゃんの机の引き出しの奥から見つけたポエムを読ませてもらうわね」
takeshi「……へ?」
チャリティ「こっち見んな!!!」
マリア「私の頬を撫でる暖かな風さん。あなたはどこから来たの?」
チャリティ「キャー!!キャー!!」
マリア「もし叶うならあなたの背中に私のこの想いを載せてって。大丈夫、あのヒトの心に届かないと知ってるから。分かっているから。だってあのヒトは風なんか届かない、太陽だから」
チャリティ「やってられるかぁあぁぁあ!!!!」
takeshi「うわ……いろいろと酷い……」
マリア「あらあら、チャリティちゃん逃げてしまったのね」
takeshi「困りましたね、マリアさんとだと話すことがないですよ?」
マリア「あら?私にはあるわよ?」
takeshi「え?」
マリア「あなた、未だに私の旦那の名前を決めていないようね?」
takeshi「あ〜……父の日までには必ず」
マリア「それにこのスペースもなぁに?楽談、と言ったかしら?何をするところなの?」
takeshi「本編内では説明できなかった所の補足をしたり、裏側をお話するところ……です」
マリア「へぇ〜そうなの〜。私、初めて知ったわ」
takeshi「確かに最近は雑談が多かった気もしますが、たまには補足だって……」
マリア「あらあら、この前ケナードさんが来た時に「これからはきちんとやる!」って宣言していなかったかしら?」
takeshi「よく見てますね……」
マリア「あなたとはチャリティちゃんの教育方針も含めてじっくりと話し合う必要があるようね。今から裏に集合です」
takeshi「今からですか?でもクウ・ホウの読み方は「クウホウ」で区切らずに読んでくださいとかまだ説明してませんよ」
マリア「困ったわねぇ。私は「来てくれるかしら?」ではなく「集合です」と言ったのだけれど、どうしてあなたに選択の余地があると勘違いさせてしまったのかしら?」
takeshi「イエッサー」
マリア「うふふ、楽しみだわ♪」
―――オマケ―――
レイア「私モンスター扱い!?」
リッド「お疲レックスとか言われないだけマシだろ」
レイア「そんなこと言われたらお嫁にいけない!!」
ディオ「その前に作者大丈夫なのか?」
ロンドリーネ「ご冥福をお祈りするしかないわね……」
ガイ「幸運を祈ってやれよ……」
メル「はいエト!私とディオからプレゼントだよ!」
エトス「あレ?もシかシて誕生日プレゼント?」
ディオ「何言ってんだよエト。母の日のプレゼントに決まってんだろ?」
エトス「ディオ〜!メル〜!」
ロンドリーネ「あらら、あんなに泣いちゃって♪」
カイル「母さん!俺からも花束を受け取ってくれ!」
ルーティ「ありがとうカイル、ありがたくもらっておくわね!」
ソフィ「シェリア、私も」
シェリア「ありがとう、嬉しいわ♪」
アニス「はうわ!二人とも経産婦だったの!?」
ルーティ「違うっての!!」
シェリア「いろいろとあるのよ」
ルーティ「ところでカイル、この花なんて名前なの?」
カイル「えっと、確かティトッレーイの花……だったっけな?」
ルーティ「……ん?」
ソフィ「違うよカイル。ティットレーイだよ」
シェリア「もしかして……」
ティトレイ「違うぜ二人とも。ティ〜トレ〜イの花だぜ!」
ルーティ「あんたが出したやつか!!」
ティトレイ「なにィ!?俺がフォルスで咲かせた花じゃ不満だってのか!?」
ヴェイグ「そうだ、ティトレイの花をバカにするな。この花をおばあさんにプレゼントしたラジルダの幼女に謝れ」
シェリア「そう言われるとむげにはできないわね……」
ティトレイ「だからティ〜トレ〜イの花だって言ってんだろ?」
クレア「そこに拘るのね……」
ソフィ「シェリア、嫌だった?」
シェリア「そんなことないわ!ソフィからのプレゼントなら何でも嬉しいわ!」
パスカル「ん?今何でもって言ったよね?」
シェリア「い、言ったけど……。ソフィからのプレゼントだけよ!?」
スタン「カイル、ルーティは花より団子なんだぞ?」
ルーティ「ちょっとスタン!あんた何言ってんのよ!!ていうか、スカタンのくせによくそんな言葉知ってたじゃない?」
ハロルド「そりゃあっちこっちで言われてりゃさすがに覚えるっしょ」
ルーティ「そ、そんなに言われてたかしら?」
ハロルド「フィリアも毎晩耳元で囁いてたしね」
フィリア「ハロルドさん何故それを!?」
ハロルド「あら?一番低い可能性を言ってみたんだけど、当たっちゃったみたいね」
ナナリー「ロニ!カイルの耳をふさぐよ!」
ロニ「もうやってらぁ!!」
マルタ「ちょっとあんた!さっきからエミルのことずっと見つめて何なの!?」
リグレット「何でもない、気にするな」
エミル「僕が気にするんだけど……」
マルタ「ま、まさか!あんたもエミルのこと好きになっちゃったの!?」
リグレット「バカを言うな。私はもっと髭が長い男が好みだ」
ジェイド「ヴァンのような男ですね?」
リグレット「ななななな、何のここここことだ?」
ティア「教官が分かりやすいぐらいに動揺してる!?」
マリク「俺はいたって落ち着いているが?……む?髭が長い男性……まさか俺のことか!?」
パスカル「それはないと思うよ」
ヒューバート「同感です」
アスベル「教官、今度教官の家の鏡を拭かせてください」
マリク「冗談で言ったのだが、お前等容赦無いな……」
カノンノE「もしかして……さっきエミルが攻略しようとしたからライバル視してる?」
エミル「だからそういう意味で言ったんじゃないって!!」
レイヴン「髭ねぇ、髭」
ユーリ「おっさん、そろそろ真剣に考えねぇとその髭全部引っこ抜くぞ」
レイヴン「なんだかんだでここまで一番遊んでた青年にだけは言われたくないわ〜」
ジュディス「ワンダー職人はワンダーシェフ、ダークワンダーシェフ、ミミー、りっちゃんの4人。問題はこの中の誰が作ったのかってことね」
リタ「間違いなくミミーは違うでしょうね」
エステリーゼ「今更なのですが、ワンダーシェフとダークワンダーシェフの違いって何なんです?」
パティ「ダークと言うぐらいじゃから、ペンギンとアザラシみたいに仲が悪いのかの?」
ユーリ「どっちがどっちだよ?つうか、論点がずれてんぞ?」
レイヴン「ロディちゅわ〜ん」
ロンドリーネ「な、何かな?」
レイヴン「答えはずばりワンダーシェフでしょ!そして俺と付き合ってください!」
カロル「あ」
ユーリ「おいおっさん!」
ロンドリーネ「もう独り言とか無しだよ?今ハッキリと聞いたからね!」
レイヴン「じゃあOKと受け取らせてもらうよん?」
ロンドリーネ「あ、私もうダオスと結婚してるから無理」
ダオス&レイヴン「「何だと!?」」
レイヴン「へ?」
ロンドリーネ「ヴェスペリアの料理を作ったのはワンダーシェフであってますかー!?」
ワンダーシェフ「正解!と、言いたいところだけどハズレだよ。僕がそんな衣が分厚くて油の多そうな料理を作るわけないじゃないか。そこまで厚いと詐欺だよね」
ユーリ「そうか!てことは……」
クロエ「ローウェルが何かに気付いたみたいだぞ!」
ジェイ「さすがにここまでヒントがでれば分かって当然です」
アルヴィン「食ったぞ優等生!ぶちかましてやれぇ!!」
ミラ「回答権はどっちだ!?」
ヴァン「シークレットルールにより2チームが回答権を得た場合、1度回答し不正だったチームの回答権はもう片方のチームへ移行される」
ロンドリーネ「つまり、2チームが食べ終わってる時は二回連続で答えられないってこと。正解するまで回答権がローテーションするんだよ」
エリーゼ「ということは……」
イバル「回答権は俺達にあるということか!」
ジュード「アルヴィンの犠牲を無駄にしないため、そしてここで主人公っぽいところを見せるため、絶対に正解してみせる!!」
アルヴィン「俺生きてっから」
ジュード「僕達の料理を作ったのはアーチェだ!」
ロンドリーネ「エクシリアの料理を作ったのはアーチェで、あってますかーっ!?」
ジェイ「勝負……ありましたね」
アーチェ「えっと……ファイナルアンサー?」
アグリア「なんだその焦らしは!?」
セネル「そこはかとなく苛立ちを覚えるな」
ノーマ「アグリンとセネセネって気が合うんだね〜」
セネル&アグリア「「誰がこんなやつと!?」」
クロエ「おい……なぜそこで顔が赤くなる?」
チェスター「それよか答えはどうした!?アーチェもさっさと答え言えよ!!」
アーチェ「だってまだファイナルアンサーか聞いてないし」
ジュード「それ待ちだったの!?もちろんファイナルアンサーだよ」
フレン「ジュード、君は……」
リタ「ラピード、やっておしまい」
ラピード「バウ!」
フレン「是非も無し!」
アーチェ「……正解!は次回発表☆」
ロンドリーネ「尺が無くなっちゃった!ごめんね」
ユーリ&ミラ「「おい!!」」
〜続く〜
takeshi「ども〜!モンハン4をオンラインでやってるとモンスターを狩り終わって「お疲レイア〜」とコメントした時、「どういたしまティポ〜」と返ってくるか「お疲レウス〜」と返ってくるかで大体その人のことが分かるtakeshiです」
チャリティ「いまだにやってんの?」
takeshi「たまにですけどね。秋には4Gが発売されるとのことですし、フレンド募集中です!」
チャリティ「登録するためにはフレンドIDが必要……なんだっけ?」
takeshi「そうなんです!という訳で教えても良いよ?という人は感想欄にチョチョイとお願いします」
チャリティ「ちゃっかり感想もらおうとしてんじゃない!」
takeshi「このtakeshi、ただでフレンドIDは渡さん!感想と引き換えです!」
チャリティ「そんなんじゃ誰も教えてくれそうにないわね……。そういえば、今月は母の日があったんじゃない?」
takeshi「もう過ぎてしまいましたが、ちゃんとカーネーション買いましたよ!(あげたとは言ってない)」
チャリティ「あんたねぇ……」
takeshi「冗談ですよ、ちゃんとあげましたよ!そういうチャリティさんは何かしてあげたんですか?」
チャリティ「私は今こんな状態だし、お母さんだってアレなのは皆知ってんでしょ?やろうとしたって何もできないわよ」
takeshi「そんな今回は特別ゲストを呼んであります!!どうぞ!」
マリア「マリア・フリィースです。よろしくお願いいたします」
チャリティ「お母さん!!」
マリア「あらあらチャリティちゃんったら、いつもママと呼びなさいって言ってたでしょ?」
チャリティ「あ、あんた……なんてヒトを呼んでくれちゃってるのよ……!!」
takeshi「オイラはtakeshi。あの世とこの世とついでにその世を結ぶ者!」
チャリティ「シャーマンみたく言うな!!」
マリア「そんなことよりチャリティちゃん、見たわよ?あなた、私がせっかくジーク君にあげたぬいぐるみを踏ん付けやがってくれたみたいね」
チャリティ「そ、そんなことしてなくってよママ!第一、ママはもう死んでるから見ていないはずよ!」
マリア「第10話を読んだら書いてあったわ」
チャリティ「あんた消しておきなさいよ!!」
takeshi「そんな編集技術がこのサイトにあるなら私も教えてほしいですよ」
マリア「ふふふ、嘘を吐く時口調がおかしくなる癖はまだ直ってないのね。でも、母の日に誰もお墓参りに来てくれないのはどういうことかしら?」
チャリティ「ほ、ほら!ジーク達も忙しいのよ!ユリスとかフィオナとかヤコとか!」
マリア「まぁ!全部女の子絡みじゃない!ジーク君、ジゴロになってしまったの?」
チャリティ「ユリスは女の子じゃないわよ?」
マリア「えぇ!?じゃあ男の子なの!?それはもっと問題じゃない!」
チャリティ(ごめんジーク、このバカの誤解は解けそうにないわ……)
マリア「チャリティちゃん、今バカとか思ったかしら?」
チャリティ「思ってないですわよ!?」
マリア「もう、ジン君もルルちゃんもお兄ちゃんのことばかり気にして私のことはちっとも思い出してくれないし、ママ悲しいわ」
チャリティ「こ、この流れは……」
マリア「チャリティちゃん、あなた長女なんだし責任もって罰を受けてもらいます」
チャリティ「やっぱり!」
takeshi「といってもマリアさん温厚そうなので、罰といっても軽そうですね」
チャリティ「待ってお母さん!!ジークだって長男じゃない!!」
マリア「チャリティちゃんが一番近くにいるからチャリティちゃんで確定です」
チャリティ「おぅふ……」
takeshi「いやだからそんなに嫌がる必要は……」
マリア「それじゃあ今日はチャリティちゃんの机の引き出しの奥から見つけたポエムを読ませてもらうわね」
takeshi「……へ?」
チャリティ「こっち見んな!!!」
マリア「私の頬を撫でる暖かな風さん。あなたはどこから来たの?」
チャリティ「キャー!!キャー!!」
マリア「もし叶うならあなたの背中に私のこの想いを載せてって。大丈夫、あのヒトの心に届かないと知ってるから。分かっているから。だってあのヒトは風なんか届かない、太陽だから」
チャリティ「やってられるかぁあぁぁあ!!!!」
takeshi「うわ……いろいろと酷い……」
マリア「あらあら、チャリティちゃん逃げてしまったのね」
takeshi「困りましたね、マリアさんとだと話すことがないですよ?」
マリア「あら?私にはあるわよ?」
takeshi「え?」
マリア「あなた、未だに私の旦那の名前を決めていないようね?」
takeshi「あ〜……父の日までには必ず」
マリア「それにこのスペースもなぁに?楽談、と言ったかしら?何をするところなの?」
takeshi「本編内では説明できなかった所の補足をしたり、裏側をお話するところ……です」
マリア「へぇ〜そうなの〜。私、初めて知ったわ」
takeshi「確かに最近は雑談が多かった気もしますが、たまには補足だって……」
マリア「あらあら、この前ケナードさんが来た時に「これからはきちんとやる!」って宣言していなかったかしら?」
takeshi「よく見てますね……」
マリア「あなたとはチャリティちゃんの教育方針も含めてじっくりと話し合う必要があるようね。今から裏に集合です」
takeshi「今からですか?でもクウ・ホウの読み方は「クウホウ」で区切らずに読んでくださいとかまだ説明してませんよ」
マリア「困ったわねぇ。私は「来てくれるかしら?」ではなく「集合です」と言ったのだけれど、どうしてあなたに選択の余地があると勘違いさせてしまったのかしら?」
takeshi「イエッサー」
マリア「うふふ、楽しみだわ♪」
―――オマケ―――
レイア「私モンスター扱い!?」
リッド「お疲レックスとか言われないだけマシだろ」
レイア「そんなこと言われたらお嫁にいけない!!」
ディオ「その前に作者大丈夫なのか?」
ロンドリーネ「ご冥福をお祈りするしかないわね……」
ガイ「幸運を祈ってやれよ……」
メル「はいエト!私とディオからプレゼントだよ!」
エトス「あレ?もシかシて誕生日プレゼント?」
ディオ「何言ってんだよエト。母の日のプレゼントに決まってんだろ?」
エトス「ディオ〜!メル〜!」
ロンドリーネ「あらら、あんなに泣いちゃって♪」
カイル「母さん!俺からも花束を受け取ってくれ!」
ルーティ「ありがとうカイル、ありがたくもらっておくわね!」
ソフィ「シェリア、私も」
シェリア「ありがとう、嬉しいわ♪」
アニス「はうわ!二人とも経産婦だったの!?」
ルーティ「違うっての!!」
シェリア「いろいろとあるのよ」
ルーティ「ところでカイル、この花なんて名前なの?」
カイル「えっと、確かティトッレーイの花……だったっけな?」
ルーティ「……ん?」
ソフィ「違うよカイル。ティットレーイだよ」
シェリア「もしかして……」
ティトレイ「違うぜ二人とも。ティ〜トレ〜イの花だぜ!」
ルーティ「あんたが出したやつか!!」
ティトレイ「なにィ!?俺がフォルスで咲かせた花じゃ不満だってのか!?」
ヴェイグ「そうだ、ティトレイの花をバカにするな。この花をおばあさんにプレゼントしたラジルダの幼女に謝れ」
シェリア「そう言われるとむげにはできないわね……」
ティトレイ「だからティ〜トレ〜イの花だって言ってんだろ?」
クレア「そこに拘るのね……」
ソフィ「シェリア、嫌だった?」
シェリア「そんなことないわ!ソフィからのプレゼントなら何でも嬉しいわ!」
パスカル「ん?今何でもって言ったよね?」
シェリア「い、言ったけど……。ソフィからのプレゼントだけよ!?」
スタン「カイル、ルーティは花より団子なんだぞ?」
ルーティ「ちょっとスタン!あんた何言ってんのよ!!ていうか、スカタンのくせによくそんな言葉知ってたじゃない?」
ハロルド「そりゃあっちこっちで言われてりゃさすがに覚えるっしょ」
ルーティ「そ、そんなに言われてたかしら?」
ハロルド「フィリアも毎晩耳元で囁いてたしね」
フィリア「ハロルドさん何故それを!?」
ハロルド「あら?一番低い可能性を言ってみたんだけど、当たっちゃったみたいね」
ナナリー「ロニ!カイルの耳をふさぐよ!」
ロニ「もうやってらぁ!!」
マルタ「ちょっとあんた!さっきからエミルのことずっと見つめて何なの!?」
リグレット「何でもない、気にするな」
エミル「僕が気にするんだけど……」
マルタ「ま、まさか!あんたもエミルのこと好きになっちゃったの!?」
リグレット「バカを言うな。私はもっと髭が長い男が好みだ」
ジェイド「ヴァンのような男ですね?」
リグレット「ななななな、何のここここことだ?」
ティア「教官が分かりやすいぐらいに動揺してる!?」
マリク「俺はいたって落ち着いているが?……む?髭が長い男性……まさか俺のことか!?」
パスカル「それはないと思うよ」
ヒューバート「同感です」
アスベル「教官、今度教官の家の鏡を拭かせてください」
マリク「冗談で言ったのだが、お前等容赦無いな……」
カノンノE「もしかして……さっきエミルが攻略しようとしたからライバル視してる?」
エミル「だからそういう意味で言ったんじゃないって!!」
レイヴン「髭ねぇ、髭」
ユーリ「おっさん、そろそろ真剣に考えねぇとその髭全部引っこ抜くぞ」
レイヴン「なんだかんだでここまで一番遊んでた青年にだけは言われたくないわ〜」
ジュディス「ワンダー職人はワンダーシェフ、ダークワンダーシェフ、ミミー、りっちゃんの4人。問題はこの中の誰が作ったのかってことね」
リタ「間違いなくミミーは違うでしょうね」
エステリーゼ「今更なのですが、ワンダーシェフとダークワンダーシェフの違いって何なんです?」
パティ「ダークと言うぐらいじゃから、ペンギンとアザラシみたいに仲が悪いのかの?」
ユーリ「どっちがどっちだよ?つうか、論点がずれてんぞ?」
レイヴン「ロディちゅわ〜ん」
ロンドリーネ「な、何かな?」
レイヴン「答えはずばりワンダーシェフでしょ!そして俺と付き合ってください!」
カロル「あ」
ユーリ「おいおっさん!」
ロンドリーネ「もう独り言とか無しだよ?今ハッキリと聞いたからね!」
レイヴン「じゃあOKと受け取らせてもらうよん?」
ロンドリーネ「あ、私もうダオスと結婚してるから無理」
ダオス&レイヴン「「何だと!?」」
レイヴン「へ?」
ロンドリーネ「ヴェスペリアの料理を作ったのはワンダーシェフであってますかー!?」
ワンダーシェフ「正解!と、言いたいところだけどハズレだよ。僕がそんな衣が分厚くて油の多そうな料理を作るわけないじゃないか。そこまで厚いと詐欺だよね」
ユーリ「そうか!てことは……」
クロエ「ローウェルが何かに気付いたみたいだぞ!」
ジェイ「さすがにここまでヒントがでれば分かって当然です」
アルヴィン「食ったぞ優等生!ぶちかましてやれぇ!!」
ミラ「回答権はどっちだ!?」
ヴァン「シークレットルールにより2チームが回答権を得た場合、1度回答し不正だったチームの回答権はもう片方のチームへ移行される」
ロンドリーネ「つまり、2チームが食べ終わってる時は二回連続で答えられないってこと。正解するまで回答権がローテーションするんだよ」
エリーゼ「ということは……」
イバル「回答権は俺達にあるということか!」
ジュード「アルヴィンの犠牲を無駄にしないため、そしてここで主人公っぽいところを見せるため、絶対に正解してみせる!!」
アルヴィン「俺生きてっから」
ジュード「僕達の料理を作ったのはアーチェだ!」
ロンドリーネ「エクシリアの料理を作ったのはアーチェで、あってますかーっ!?」
ジェイ「勝負……ありましたね」
アーチェ「えっと……ファイナルアンサー?」
アグリア「なんだその焦らしは!?」
セネル「そこはかとなく苛立ちを覚えるな」
ノーマ「アグリンとセネセネって気が合うんだね〜」
セネル&アグリア「「誰がこんなやつと!?」」
クロエ「おい……なぜそこで顔が赤くなる?」
チェスター「それよか答えはどうした!?アーチェもさっさと答え言えよ!!」
アーチェ「だってまだファイナルアンサーか聞いてないし」
ジュード「それ待ちだったの!?もちろんファイナルアンサーだよ」
フレン「ジュード、君は……」
リタ「ラピード、やっておしまい」
ラピード「バウ!」
フレン「是非も無し!」
アーチェ「……正解!は次回発表☆」
ロンドリーネ「尺が無くなっちゃった!ごめんね」
ユーリ&ミラ「「おい!!」」
〜続く〜