第50話『次期国王と忍冬』
フィレンツェが外へ出ると、足元には陣が展開されていた。
「いつの間に……」
フィレンツェは何となく陣の全貌を見ようとした。
しかしその陣は建物の脇を通っており、どうやら会場内を囲むように展開されているようだった。
「このような巨大な陣をあの娘が描いたというのか!?しかし何時だ……」
フィレンツェは主催者の机の上から全体を見ていたがアニーが陣を描く様子は見受けられなかった。
そもそも、彼女にはフィレンツェのフォルスに対する陣は無かったはずである。
「まさか、アニー・バースでも描けない陣を描くやつがるというのか……」
桃色の花を咲かせる木々が風に吹かれてざわめき、そのざわめきが妙に恐ろしく聞こえたフィレンツェは即座にキョグエンを後にした。
一方会場内ではヒューマとガジュマが戸惑っている影で未だに馬乗り状態で固まっている2人がいた。
「……ジ、ジーク?そそ、そんなところで何してるの?」
「フィ、フィオナこそ、顔真っ赤だけど……ね、熱あんのか?」
2人の姿を客観的に見るとジークがフィオナの腕を掴んでおり、顔は吐息がかかるほど近くにあった。
更にフィオナの顔は真っ赤に紅潮しており、瞳は今にも泣きそうな程涙目になっている。
もう幻覚も洗脳も解けている。
だが2人ともその状態のまま動こうとしなかった。
いや、動こうとしても動けなかった。
「ジーク君、あぶなーい!!」
大声を上げながらカインが走ってくるとカインはジークをサッカーボールのように蹴り飛ばした。
見事に鳩尾にクリーンヒットした蹴りはジークの体を打ち上げ、壁へバウンドさせた。
「てめぇ……何しやがる……!!」
ジークは鳩尾を押さえながらゆらりと立ち上がる。
「いやだってジーク君!今危険だったんだよ!危険が危なかったんだよ!!」
「危ねぇのはてめぇだ!!」
カインとジークが怒鳴りあっていると、そこにハーフの青年が歩み寄ってきた。
「2人とも久しいな」
ハーフの青年は馴れ馴れしく握手を求めるとカインは青年に向き直り握手した。
「まさかこんなとこで会うとはね」
「カイン、そいつ知ってんのか?」
カインの後ろでジークが眉をひそめていると、ハーフの青年は眉間に皺を寄せた。
「貴様、よもや次期王たるこの俺の顔を忘れたわけではあるまいな」
青年はカインの手を離すとジークに近付き、額をジークの額とぶつけた。
猫の耳、深い青色をした髪と瞳と偉そうな口調。
昔の記憶が深海から浮上してくるかのような感覚と共にジークは目を見開いた。
「お前……オーちゃんか?」
「ふんっ、今頃思い出したか。もし俺が既に王だったならば極刑ものだぞ、たわけが」
オーちゃんは怒り心頭といった様子で顔を離しながら腕を組む。
そこへヴェイグやブライト達も集まってくる。
「ねぇ、さっきから王って何度も口癖みたいに言ってるけど、もしかして君がレラーブが探してた第二王子なの?」
マオが訪ねるとオーちゃんは眉をピクリと動かし、ヴェイグ達にもう少し寄るように促した。
「レラーブを知っているとはさすがマオ大佐だ。確かに俺が第二王子だ」
「ぇえっ!?オーちゃんって王子様だったの!?」
オーちゃんは声を潜めて喋ろうとするが、ルルは驚愕のあまり声を張り上げてしまい、オーちゃんは口に人差し指を当て声を落とすよう促す。
「俺は便宜上死んでいる身なのでな。あまり公表しないでいただきたい」
アガーテ以外の兄妹は王の剣による暗殺計画が昔あったことをマティアスから聞いていた。
その際第二王子だけは生き残ったとも聞いていたが、どうやら彼が今まで生きてこれたのは既に死んだことになっているからだということだった。
「だが、少し手遅れのようだな」
ルルが驚いたような残念なような複雑な表情を浮かべている中、オーちゃんは一瞬でヴェイグ達の輪からバックステップで抜け出す。
するとオーちゃんの前にある自分の影から赤い瞳を眼鏡で覆うナイラがクナイを光らせ飛び出すと、迷うことなくオーちゃんに投げつける。
それをオーちゃんは腰から二つのチャクラムを取り出し左手で払う。
そしてナイラがもう一本のクナイを懐から取り出し今度はナイフのように切りかかるとオーちゃんは右手のチャクラムで防御し鍔迫り合いになった。
金属音と火花を散らしながらオーちゃんはナイラの左腕に付いている腕章をチラリと見る。
「貴様、王の剣か。今宵は懐かしい面々とよく会う日だ」
「ようやく見つけた……」
ナイラは殺意と憎しみを込めた視線でオーちゃんを睨みながらクナイに力を込めていく。
「お前さえ死んでいればマッティは!!!」
普段は声を張らないナイラが悲痛にも似た怒号を上げる。
が、しかし。
不意にナイラの足元にある影から腕が伸びてくると、その腕はナイラの足を掴み、ナイラは湖に引きずり込まれるかのように影の中に沈んでいった。
「マッティ、待っ……」
最後にはナイラが伸ばしていた腕も影の中に沈み、オークション会場には謎の沈黙だけが残った。
「あんたら大丈夫か?」
その沈黙を破るかのようにイゴルが黄色いバンダナを頭に巻きながら歩み寄ってきた。
「俺達がそう簡単にくたばる訳ねぇだろ!?」
ティトレイはガッツポーズしながら笑ってみせた。
すると、その隣にいたユージーンは頭を下げた。
「すまない、乱闘を止めるはずが俺達のせいで酷くしてしまった」
「頭を上げてくれ旦那!あんたらがいたからヒューマもガジュマも大した怪我がなくて済んだんだ」
周囲を見渡すと、イゴルの言うとおり大怪我をしたヒトはいないようだった。
ヴェイグとカインが転がってきたりヒルダが当身をしたりで気絶していたヒト達も周囲のヒト達に起こされ何があったのかと周りを見渡している。
しかしジンは、溜息をついてチャクラムを腰に収めるオーちゃんを見て首を傾げる。
「人質、勝手に解放しちゃったけど結局取引はどうすんの?」
イゴルは苦笑いしながら主催者の机にてガジュマの男性と話をしているクウ・ホウを指差した。
「それなら問題ない。これ以上戦っても武器と医療費の無駄だからオークションの後、また一から討論しなおさないか提案に行ってるところだ」
「それで納得すれば良いのだが……」
オーちゃんは不安気に腕を組みながら主催者の机を見る。
「大丈夫さ、ここのヒト達は種族の違いよりも金が大事だからな」
イゴルが話している間にも話し合いは終わったのかクウ・ホウがこちらに歩み寄ってきた。
「明日再びここで討論を開くことになった」
クウ・ホウの言葉にイゴルはニヤリと笑みを浮かべ、ヴェイグ達は胸を撫で下ろした。
「会場を整理した後予定通りオークションを開始するが、あんた達も参加するか?今回の商品は忍冬(スイカズラ)という希少な花をあしらった簪なのだが一級品だ。しかも今回は二本セットだ」
クウ・ホウの誘いにヴェイグは首を振った。
「いや、俺達は……」
「ティトレイさん!?」
ヴェイグが断っていると、不意にティトレイが倒れアニーが急いでかけよる。
うつぶせに倒れているティトレイの背中からは大量の血が流れていた。
「この傷は……俺のものか」
ユージーンにはティトレイを攻撃した時の記憶はない。
ユージーンはあの時、フィレンツェと対峙していると思い込んでいたのだから。
しかし傷を見ると槍で切り裂かれたもので間違いなかった。
「急いで宿屋へ運ぶぞ!」
アニーが簡単に止血処置をした後、ユージーンはティトレイを背負い一同は宿屋へ向かった。
「無理だね」
宿屋の前でエプロンを付けたガジュマのおばさんが仁王立ちしておりユージーン達の道を塞いでいた。
「怪我人がいるんだ!どうか休ませてほしい!」
ユージーンは懇願するとおばさんも困ったように眉をしかめる。
「あたしもねぇ、客なら泊めてやりたいさ。追い払ったところで一文の得にもなりゃしないからね。でもこっちはヒューマは入れるなって言われてんだよ。そのための金ももうもらっちまってるしね」
「ご婦人、金が必要だというのなら俺が出そう。俺は次期王となる男だ。王となったあかつきにはいくらでも出してやろう」
それを聞いておばさんは鼻で笑った。
「あんたが次期国王だって!?偉そうな口ききやがって、冗談も限度ってものがあるよ」
「なっ!?決して冗談等では……!!」
「そもそもハーフが国王になれるわけないだろう!王ってあれかい?アルファベットのOのことかい?」
「き、貴様……最も言ってはならぬことを言ってしまったようだな……」
オーちゃんは眉をピクピクさせながら腰のチャクラムに手を伸ばす。
その時だった。
「入れてやってくれ」
ヴェイグ達の後ろ、赤い橋の方からガジュマの男性の声がしたので振り返ってみると主催者の机にてクウ・ホウと話し合っていた羊のガジュマが立っていた。
「俺達が訳も分からず攻撃した時、この人達は俺達の言うことを信じて反撃してこなかったんだ。おかげで俺達は明日からも金を稼げる。だからさ、こいつらを泊めてやってくれ。金は返さなくて良いからよ」
それだけ言って羊のガジュマは踵(きびす)を返し赤い橋を渡ってオークション会場に戻って行った。
「あんたら何やってんだい!?怪我人がいるんだろ!?そんなとこに突っ立ってないでさっさと入んな!!」
ガジュマの許可が下りるなり即座に血相を変えたガジュマのおばさんに促されるままにヴェイグ達は宿屋へ入って行った。
それから数時間してティトレイの発熱も治まり、やることもない11人は風に舞う桜吹雪を外で眺めていた。
するとオークションが終わったのか会場の方からぞろぞろとヒトが出て来た。
その中には肩を落とすガジュマや「あと一押しだったのに」と悔しがるヒューマなど、落札を逃がしたのが丸分かりな面々が赤い橋へと向かって来ていた。
それからクウ・ホウの言っていた外部から来た客は宿屋へと入り、キョグエンに在住のヒト達は宿屋から更に橋を渡った先にある居住区へ向かった。
そんな集団がヴェイグ達を避けながら通り過ぎて行った後、スキップをして着物を翻しながら会場からこちらに向かってくる女性の姿があった。
「あら、皆さんおそろいで」
着物の女性はヴェイグ達に気付くと赤い橋を渡り、笑みを向けてきた。
頭には先程まで無かった簪を付けている。
「あら?その簪……」
「あぁ、これな?」
着物の女性は嬉しそうに簪に手を添える。
「オークションで落札したんよ〜」
「確か一級品だっつってな。高かったんじゃねぇのか?」
ブライトが訪ねると着物の女性は眉間に皺を寄せ、こめかみに指を当てて悩む素振りを見せた。
「せやな〜、バルカのホテルに1年泊まれる額はしたと思うわ」
それを聞いて女性の簪に背伸びをしながら触れようとしていたルルの手が止まった。
「そこまで値打ちがあるものなのか……」
ヴェイグは感心するように腕組みをしながら頷いた。
だが着物の女性は苦笑いを浮かべた。
「ちゃうねん。確かに高級なモンや、せやかて、なんでも欲しい理由があってん」
ヴェイグ達は首を傾げる。
「これな、ウチの親友の宝物やねん。あの子、引きこもりやさかい生活が苦しくなると何でも売ってしまうクセがあんねん」
「そ、それはほっとけないね……」
頬に片手を添えて溜息をつく女性に対して、マオも苦笑いをするしかなかった。
「せやねん!でも今回は運が良かったわ〜。こうして買い戻せたし、ウチもお揃いの手に入れることができたし、ホンマ満足やわ!」
クウ・ホウは忍冬(スイカズラ)の簪は二本セットと言っていた。
その親友の分は別できちんと保管しているのだろう。
着物の女性は嬉しさを体現するかのように腕を広げて一回転した後、踵(きびす)を返した。
「ほな、ウチそろそろ行くわ。親友が待っとるさかい」
着物の女性はカランコロンと足音を立てながら後ろ向きに手を振った。
「ほなな〜」
〜続く〜
【※キャラクター名鑑・下のルーベルトが更新されました】
「いつの間に……」
フィレンツェは何となく陣の全貌を見ようとした。
しかしその陣は建物の脇を通っており、どうやら会場内を囲むように展開されているようだった。
「このような巨大な陣をあの娘が描いたというのか!?しかし何時だ……」
フィレンツェは主催者の机の上から全体を見ていたがアニーが陣を描く様子は見受けられなかった。
そもそも、彼女にはフィレンツェのフォルスに対する陣は無かったはずである。
「まさか、アニー・バースでも描けない陣を描くやつがるというのか……」
桃色の花を咲かせる木々が風に吹かれてざわめき、そのざわめきが妙に恐ろしく聞こえたフィレンツェは即座にキョグエンを後にした。
一方会場内ではヒューマとガジュマが戸惑っている影で未だに馬乗り状態で固まっている2人がいた。
「……ジ、ジーク?そそ、そんなところで何してるの?」
「フィ、フィオナこそ、顔真っ赤だけど……ね、熱あんのか?」
2人の姿を客観的に見るとジークがフィオナの腕を掴んでおり、顔は吐息がかかるほど近くにあった。
更にフィオナの顔は真っ赤に紅潮しており、瞳は今にも泣きそうな程涙目になっている。
もう幻覚も洗脳も解けている。
だが2人ともその状態のまま動こうとしなかった。
いや、動こうとしても動けなかった。
「ジーク君、あぶなーい!!」
大声を上げながらカインが走ってくるとカインはジークをサッカーボールのように蹴り飛ばした。
見事に鳩尾にクリーンヒットした蹴りはジークの体を打ち上げ、壁へバウンドさせた。
「てめぇ……何しやがる……!!」
ジークは鳩尾を押さえながらゆらりと立ち上がる。
「いやだってジーク君!今危険だったんだよ!危険が危なかったんだよ!!」
「危ねぇのはてめぇだ!!」
カインとジークが怒鳴りあっていると、そこにハーフの青年が歩み寄ってきた。
「2人とも久しいな」
ハーフの青年は馴れ馴れしく握手を求めるとカインは青年に向き直り握手した。
「まさかこんなとこで会うとはね」
「カイン、そいつ知ってんのか?」
カインの後ろでジークが眉をひそめていると、ハーフの青年は眉間に皺を寄せた。
「貴様、よもや次期王たるこの俺の顔を忘れたわけではあるまいな」
青年はカインの手を離すとジークに近付き、額をジークの額とぶつけた。
猫の耳、深い青色をした髪と瞳と偉そうな口調。
昔の記憶が深海から浮上してくるかのような感覚と共にジークは目を見開いた。
「お前……オーちゃんか?」
「ふんっ、今頃思い出したか。もし俺が既に王だったならば極刑ものだぞ、たわけが」
オーちゃんは怒り心頭といった様子で顔を離しながら腕を組む。
そこへヴェイグやブライト達も集まってくる。
「ねぇ、さっきから王って何度も口癖みたいに言ってるけど、もしかして君がレラーブが探してた第二王子なの?」
マオが訪ねるとオーちゃんは眉をピクリと動かし、ヴェイグ達にもう少し寄るように促した。
「レラーブを知っているとはさすがマオ大佐だ。確かに俺が第二王子だ」
「ぇえっ!?オーちゃんって王子様だったの!?」
オーちゃんは声を潜めて喋ろうとするが、ルルは驚愕のあまり声を張り上げてしまい、オーちゃんは口に人差し指を当て声を落とすよう促す。
「俺は便宜上死んでいる身なのでな。あまり公表しないでいただきたい」
アガーテ以外の兄妹は王の剣による暗殺計画が昔あったことをマティアスから聞いていた。
その際第二王子だけは生き残ったとも聞いていたが、どうやら彼が今まで生きてこれたのは既に死んだことになっているからだということだった。
「だが、少し手遅れのようだな」
ルルが驚いたような残念なような複雑な表情を浮かべている中、オーちゃんは一瞬でヴェイグ達の輪からバックステップで抜け出す。
するとオーちゃんの前にある自分の影から赤い瞳を眼鏡で覆うナイラがクナイを光らせ飛び出すと、迷うことなくオーちゃんに投げつける。
それをオーちゃんは腰から二つのチャクラムを取り出し左手で払う。
そしてナイラがもう一本のクナイを懐から取り出し今度はナイフのように切りかかるとオーちゃんは右手のチャクラムで防御し鍔迫り合いになった。
金属音と火花を散らしながらオーちゃんはナイラの左腕に付いている腕章をチラリと見る。
「貴様、王の剣か。今宵は懐かしい面々とよく会う日だ」
「ようやく見つけた……」
ナイラは殺意と憎しみを込めた視線でオーちゃんを睨みながらクナイに力を込めていく。
「お前さえ死んでいればマッティは!!!」
普段は声を張らないナイラが悲痛にも似た怒号を上げる。
が、しかし。
不意にナイラの足元にある影から腕が伸びてくると、その腕はナイラの足を掴み、ナイラは湖に引きずり込まれるかのように影の中に沈んでいった。
「マッティ、待っ……」
最後にはナイラが伸ばしていた腕も影の中に沈み、オークション会場には謎の沈黙だけが残った。
「あんたら大丈夫か?」
その沈黙を破るかのようにイゴルが黄色いバンダナを頭に巻きながら歩み寄ってきた。
「俺達がそう簡単にくたばる訳ねぇだろ!?」
ティトレイはガッツポーズしながら笑ってみせた。
すると、その隣にいたユージーンは頭を下げた。
「すまない、乱闘を止めるはずが俺達のせいで酷くしてしまった」
「頭を上げてくれ旦那!あんたらがいたからヒューマもガジュマも大した怪我がなくて済んだんだ」
周囲を見渡すと、イゴルの言うとおり大怪我をしたヒトはいないようだった。
ヴェイグとカインが転がってきたりヒルダが当身をしたりで気絶していたヒト達も周囲のヒト達に起こされ何があったのかと周りを見渡している。
しかしジンは、溜息をついてチャクラムを腰に収めるオーちゃんを見て首を傾げる。
「人質、勝手に解放しちゃったけど結局取引はどうすんの?」
イゴルは苦笑いしながら主催者の机にてガジュマの男性と話をしているクウ・ホウを指差した。
「それなら問題ない。これ以上戦っても武器と医療費の無駄だからオークションの後、また一から討論しなおさないか提案に行ってるところだ」
「それで納得すれば良いのだが……」
オーちゃんは不安気に腕を組みながら主催者の机を見る。
「大丈夫さ、ここのヒト達は種族の違いよりも金が大事だからな」
イゴルが話している間にも話し合いは終わったのかクウ・ホウがこちらに歩み寄ってきた。
「明日再びここで討論を開くことになった」
クウ・ホウの言葉にイゴルはニヤリと笑みを浮かべ、ヴェイグ達は胸を撫で下ろした。
「会場を整理した後予定通りオークションを開始するが、あんた達も参加するか?今回の商品は忍冬(スイカズラ)という希少な花をあしらった簪なのだが一級品だ。しかも今回は二本セットだ」
クウ・ホウの誘いにヴェイグは首を振った。
「いや、俺達は……」
「ティトレイさん!?」
ヴェイグが断っていると、不意にティトレイが倒れアニーが急いでかけよる。
うつぶせに倒れているティトレイの背中からは大量の血が流れていた。
「この傷は……俺のものか」
ユージーンにはティトレイを攻撃した時の記憶はない。
ユージーンはあの時、フィレンツェと対峙していると思い込んでいたのだから。
しかし傷を見ると槍で切り裂かれたもので間違いなかった。
「急いで宿屋へ運ぶぞ!」
アニーが簡単に止血処置をした後、ユージーンはティトレイを背負い一同は宿屋へ向かった。
「無理だね」
宿屋の前でエプロンを付けたガジュマのおばさんが仁王立ちしておりユージーン達の道を塞いでいた。
「怪我人がいるんだ!どうか休ませてほしい!」
ユージーンは懇願するとおばさんも困ったように眉をしかめる。
「あたしもねぇ、客なら泊めてやりたいさ。追い払ったところで一文の得にもなりゃしないからね。でもこっちはヒューマは入れるなって言われてんだよ。そのための金ももうもらっちまってるしね」
「ご婦人、金が必要だというのなら俺が出そう。俺は次期王となる男だ。王となったあかつきにはいくらでも出してやろう」
それを聞いておばさんは鼻で笑った。
「あんたが次期国王だって!?偉そうな口ききやがって、冗談も限度ってものがあるよ」
「なっ!?決して冗談等では……!!」
「そもそもハーフが国王になれるわけないだろう!王ってあれかい?アルファベットのOのことかい?」
「き、貴様……最も言ってはならぬことを言ってしまったようだな……」
オーちゃんは眉をピクピクさせながら腰のチャクラムに手を伸ばす。
その時だった。
「入れてやってくれ」
ヴェイグ達の後ろ、赤い橋の方からガジュマの男性の声がしたので振り返ってみると主催者の机にてクウ・ホウと話し合っていた羊のガジュマが立っていた。
「俺達が訳も分からず攻撃した時、この人達は俺達の言うことを信じて反撃してこなかったんだ。おかげで俺達は明日からも金を稼げる。だからさ、こいつらを泊めてやってくれ。金は返さなくて良いからよ」
それだけ言って羊のガジュマは踵(きびす)を返し赤い橋を渡ってオークション会場に戻って行った。
「あんたら何やってんだい!?怪我人がいるんだろ!?そんなとこに突っ立ってないでさっさと入んな!!」
ガジュマの許可が下りるなり即座に血相を変えたガジュマのおばさんに促されるままにヴェイグ達は宿屋へ入って行った。
それから数時間してティトレイの発熱も治まり、やることもない11人は風に舞う桜吹雪を外で眺めていた。
するとオークションが終わったのか会場の方からぞろぞろとヒトが出て来た。
その中には肩を落とすガジュマや「あと一押しだったのに」と悔しがるヒューマなど、落札を逃がしたのが丸分かりな面々が赤い橋へと向かって来ていた。
それからクウ・ホウの言っていた外部から来た客は宿屋へと入り、キョグエンに在住のヒト達は宿屋から更に橋を渡った先にある居住区へ向かった。
そんな集団がヴェイグ達を避けながら通り過ぎて行った後、スキップをして着物を翻しながら会場からこちらに向かってくる女性の姿があった。
「あら、皆さんおそろいで」
着物の女性はヴェイグ達に気付くと赤い橋を渡り、笑みを向けてきた。
頭には先程まで無かった簪を付けている。
「あら?その簪……」
「あぁ、これな?」
着物の女性は嬉しそうに簪に手を添える。
「オークションで落札したんよ〜」
「確か一級品だっつってな。高かったんじゃねぇのか?」
ブライトが訪ねると着物の女性は眉間に皺を寄せ、こめかみに指を当てて悩む素振りを見せた。
「せやな〜、バルカのホテルに1年泊まれる額はしたと思うわ」
それを聞いて女性の簪に背伸びをしながら触れようとしていたルルの手が止まった。
「そこまで値打ちがあるものなのか……」
ヴェイグは感心するように腕組みをしながら頷いた。
だが着物の女性は苦笑いを浮かべた。
「ちゃうねん。確かに高級なモンや、せやかて、なんでも欲しい理由があってん」
ヴェイグ達は首を傾げる。
「これな、ウチの親友の宝物やねん。あの子、引きこもりやさかい生活が苦しくなると何でも売ってしまうクセがあんねん」
「そ、それはほっとけないね……」
頬に片手を添えて溜息をつく女性に対して、マオも苦笑いをするしかなかった。
「せやねん!でも今回は運が良かったわ〜。こうして買い戻せたし、ウチもお揃いの手に入れることができたし、ホンマ満足やわ!」
クウ・ホウは忍冬(スイカズラ)の簪は二本セットと言っていた。
その親友の分は別できちんと保管しているのだろう。
着物の女性は嬉しさを体現するかのように腕を広げて一回転した後、踵(きびす)を返した。
「ほな、ウチそろそろ行くわ。親友が待っとるさかい」
着物の女性はカランコロンと足音を立てながら後ろ向きに手を振った。
「ほなな〜」
〜続く〜
【※キャラクター名鑑・下のルーベルトが更新されました】
■作者メッセージ
【楽談パート33】
takeshi「祝!!50話ああああ!!!!」
チャリティ「やっとここまで来たって感じがするわね」
マリア「おめでと〜♪」
takeshi「この小説も何だかんだ言いながら50話まで来ましたね〜。当初のプロットを見てみると実はちゃっかり既に第3部へ突入しているのですが目標が第2部のままなのでこのまま第3部へ移行することなく第2部としてやっていこうと密かに決めていたのです。ちなみに、当初の予定ではユリスが第2形態へと進化したところが区切りになるはずだったのですが、様々な、本っ当に様々な理由でプロットが変更となり50話まできてしまいました。今回の新キャラも含め、本来ならば第三部での登場予定でした。しかし、過去編でルーベルトを初登場させた時、既にキョグエンで再会というビジョンも完成していたのですが、そこまで連載続けてるかな〜という気持ちでした。その後私が死に掛けたので本当にここまで来るのは夢のまた夢だと思っていたので感慨深いです」
マリア「チャリティちゃん、そこのレモンとってくれる?」
チャリティ「まだカップ温まってないわよ?」
takeshi「聞いて!?優雅にティータイムしてないで聞いて!?」
マリア「だって長いんですもの」
チャリティ「ママ、こいつ感情が高ぶるといつも話しが長くなるの」
マリア「あらあら」
チャリティ「それにしても、誰からも感想こないわね。もう1年たつんじゃない?」
takeshi「そうなんですよ!同時に退院してからも1年経つのですが誰からも感想をいただけないのでちょっと寂しいです。というより、このままこのスタイルを貫いていっていいいのかすごく不安です。確かに誤字脱字も大事ですが、そんなものは時間が経過すれば私も読み直しますし、自分でも気付けますからね。ただ人との感性の違いって何度読み直したところで分からないじゃないですか!この戦闘シーンがイメージしにくいとか、この例えよく分からないとか、そういう指摘がないと何処を歩いて良いのか分からないんですよ!逆にこのセリフにはぐっと来たとか、このキャラ可愛いとかこの戦闘シーンカッコよかったとかそういう感想をいただけるとテンションがあがります!ぶっちゃけ、1人で書いててもポテンシャルを保てないんですよね。成功した方々が「成功する秘訣は続けること。でも続けることは言葉は簡単だけどすごく大変」とよく言いますが本当にそれです。まぁここの掲示板はテイルズ人口が少ないので仕方ないと言えば仕方ないのですが、GAYMで書いてた時はいろいろな人と感想を言い合って書いていたので皆で書いていたという感じがして楽しかったです。今の私の文章力はまだまだ全然拙いですが、それでも拙いレベルまでこれたのは星の数ほど感想を言い合ってきたおかげだと思っています。それに(以下略」
マリア「チャリティちゃん、口にクリームが付いているわよ?」
チャリティ「子供じゃないんだから自分で取れるわよ」
takeshi「だから聞いて!?ていうかそれ私のケーキ!!」
チャリティ「あっ、お疲れ様でした〜」
takeshi「何が!?誰に!?」
チャリティ「ここまでスクロールしてくれたかもしれない人達によ。あんたの独り言なんか興味無いのに一生懸命ここまで読んでくれた人がもし、万が一、億が一の可能性でいたら可愛そうでしょう。だから私が労ってあげるんじゃない」
takeshi「まぁ色々言いましたが結局は読む人によって思うところは違いますからね。もしかしてそう思っているのは俺だけかも、とか、書いてる人が楽しく書ければそれで良いんじゃない?とか思って恥ずかしくて書けないだけかもしれませんしね」
マリア「寒気がするわ」
チャリティ「ママ、それはさすがに言いすぎ……。でもこう思っているのは自分だけって思っている人間の思考が私には理解できないわね。70億人いる人類の中で自分は特別な人間だとでも思っているんじゃいの?」
takeshi「それはないと思いますが……。ただ私は楽しく書くことよりも成長するために書き続けていきたいので、どんな感想でも喜んで読ませていただくのでそれだけ理解していただければと思います。そして必ず返事をこの場で返します」
マリア「私は嫌よ?」
チャリティ「大丈夫、感想は来ないから」
マリア「あら、それもそうね♪」
takeshi「……このままコーナーやらないで終わっても良いんですよ?」
マリア「ケーキ食べる?あ〜んしてあげるわよ?はい、あ〜ん」
takeshi「そんな食べかけのイチゴいりませんよ!!」
チャリティ「でももうケーキないわよ?」
takeshi「馬鹿な!!ワンホールあったはずなのに……」
マリア「私の胃袋は小宇宙を感じているわ」
takeshi「親娘で同じこと言いやがって……!!」
チャリティ「で、コーナーはどうすんの?」
takeshi「折角千の風になって質問を集めてきたんですから、やりますよ」
マリア「じゃあいくわよ?『教えて☆マリアちゃん!』」
takeshi「はい、ではまず一人目」
チャリティ「お母さんのこのタイトルコールには意地でも突っ込まないのね……」
【相手がヒューマだけど愛さえあれば関係ないよね?】
チャリティ「これもしかしてカイン?」
takeshi「いえ、カインだったら相手が違いますよ。これはダナさんからです」
マリア「……誰かしら?」
takeshi「バビログラード出身のガジュマで、ヒューマのオックス君の恋人です」
チャリティ「あ〜、大陸では種族間の結婚はタブーなんだっけ?メンドクサイわね〜」
takeshi「しかもバビログラードでは結婚していない男女が会話もしてはいけないんです」
マリア「禁じられた恋!!これは燃えるわね!!」
takeshi「いやまぁそうなんですけど、質問のタイトルがタイトルなだけに如何わしく聞こえてしまいますね……」
マリア「周囲の目なんか気にしちゃダメよ!大事なのは貴方達がどうしたいのか、あなたの一番の幸せはなんなのか。それが分かれば貴方達はきっと幸せになれるわ」
takeshi「おぉ、コーナーが始まって以来初めてのまともな意見ですね」
チャリティ「娘の私が一番ビックリよ……」
マリア「私はあなた達とは立場が逆だけど、最初はやっぱりいろんな人に反対されたし、あの人も私がヒューマだからってOKしてくれなかったの」
チャリティ「そうだったんだ……」
マリア「でもね、何回もアタックして最後はあの人から結婚してくれって言ってくるまでになったわ!」
takeshi「そのマリアさんがアタックしてから旦那さんが心変わりするまでの過程を聞きたいのですが……」
マリア「それは、な・い・しょ♪」
チャリティ「い、一瞬、フォルスが暴走しそうになったわ……」
takeshi「新しい拒絶反応の一種ですか?」
マリア「ダナさんと言ったかしら?女の子をこんなに悩ませるなんて、きっとオックスという人はへタレなのね。そういうヘタレは一度押し倒してしまいなさい!」
takeshi「ダメですよ!!折角感心したのに、最後になんてこと言うんですか!!」
チャリティ「そういうオチだとは思ったわよ……」
takeshi「もう次いきますよ!」
マリア「次は誰かしら?」
takeshi「えっと、名前を伏せてほしいとのことなので偽名を考えたからこれで紹介してくれとのことです」
チャリティ「偽名?」
takeshi「七色のフォルスの持ち主さんです」
チャリティ「それって……」
【なんか気付けば第3部に入っていたらしいですね。しかしいまだに出番がありません。マリアさんのように輝くにはどうしたら良いでしょうか?】
マリア「キロっツァちゃんね!!」
takeshi「もうそれで良いです……」
チャリティ「彼女、普段の喋り方と全然違うのね……」
takeshi「普段喋らない女の子とメールをしたら顔文字がいっぱい付いてたような感じですね」
マリア「持っているフォルスの割りに暗いのがよくないと思うの。ゲームのEDで花畑にいるあなたを見てドキっとしちゃった人もいるようだけど……」
takeshi「トキッ!」
チャリティ「え?」
マリア「でもそれだけで出番を勝ち取れるほどこの業界はあまくはないの」
チャリティ「お、お母さんがわけの分からないことを言ってる!!」
マリア「いいですか?この小説はただでさえ2、3人ほど既にキャラ被りしているんです」
takeshi「きーこーえーなーいー」
チャリティ「あんたさっきどんな感想でも喜んで読むって言ってなかった?」
マリア「でもあなたは既存キャラなのでもうキャラ設定はいじれません。なのでここで重要なのはギャップなのです!」
takeshi「ほう」
チャリティ「例えば?」
マリア「語尾にニャンと付けるとか、怒った時「プンプン」と効果音を自分で言ったりして萌えを狙うのです」
takeshi「うわぁ〜例のチョイスが古いですね〜」
マリア「あらあら、何か?」
takeshi「いえ、何も……」
チャリティ「んん?ちょっと、質問が一つだけ落っこちてるじゃない。ちゃんとまとめておきなさいよね」
takeshi「あっ!それは!!」
チャリティ「どれどれ?」
【私と同名のキャラが/ビリビリビリ
チャリティ「ちょっとあんた!何破いてんのよ!!」
マリア「チャリティちゃん!抑えなさい!」
チャリティ「イエッサー!」
takeshi「HANASE!!」
チャリティ「あんたの古さも大概だわ!!」
マリア「何とか繋げれば読めそうね。これは……ナイラさんからね」
チャリティ「ナイラ……さん?」
【私と同名のキャラが最近登場したようなのですが、どういうことなのでしょうか?もしかして私、忘れられているのでしょうか?】
チャリティ「これ……王の剣のナイラにしては随分とかしこまった文面ね」
マリア「チャリティちゃんよく見て。最近同名のキャラが登場したって書いてあるでしょ?この人は既存キャラなのよ。名前はナイラ・ランブリングと書いてあるわ」
チャリティ「ランブリング?ランブリングってヒルダと同じファミリーネームじゃない。まさか……」
マリア「ヒルダちゃんのお母さんみたいね」
チャリティ「これはどういうこと?」
takeshi「ほら、マイケルとかエミリーとか同名って結構ありがちじゃないですか。そういうスタイルで……ね?」
マリア「でも私、キャラの個性が勝負のノベルで名前が被るのはどうかと思うわ?」
チャリティ「死刑ね、死刑」
takeshi「本っ当にすみませんでした!!でもこれってすごくないですか!?ナイラなんていう滅多にない名前で既存のキャラと被って、それに気付いたのが調度母の日月間って!!運命を感じません?」
チャリティ「感じないわバカ!」
takeshi「ていうかいい加減離してもらえます?背中にまな板が当たって痛いのですが」
チャリティ「まっ……。ちょ、ちょっとは膨らみもあるわよ!!」
マリア「ほんと、何で性格もお胸と同じくらい謙遜してくれないのかしら?もしかして、性格の変わりにお胸が謙遜してくれているのかしらね」
チャリティ「なんか憂いを帯びた溜息なんか吐いちゃってるけど100%お母さんの遺伝だから!!」
マリア「何かおっしゃって?」
チャリティ「け、謙遜したぐらいで胸が大きくなるならいくらでも謙遜してやるわよ……」
takeshi「なんかチャリティさんが泣きそうなので今回はこの辺にしましょう。ではまた〜」
―――おまけ―――
〜閉店中〜
takeshi「祝!!50話ああああ!!!!」
チャリティ「やっとここまで来たって感じがするわね」
マリア「おめでと〜♪」
takeshi「この小説も何だかんだ言いながら50話まで来ましたね〜。当初のプロットを見てみると実はちゃっかり既に第3部へ突入しているのですが目標が第2部のままなのでこのまま第3部へ移行することなく第2部としてやっていこうと密かに決めていたのです。ちなみに、当初の予定ではユリスが第2形態へと進化したところが区切りになるはずだったのですが、様々な、本っ当に様々な理由でプロットが変更となり50話まできてしまいました。今回の新キャラも含め、本来ならば第三部での登場予定でした。しかし、過去編でルーベルトを初登場させた時、既にキョグエンで再会というビジョンも完成していたのですが、そこまで連載続けてるかな〜という気持ちでした。その後私が死に掛けたので本当にここまで来るのは夢のまた夢だと思っていたので感慨深いです」
マリア「チャリティちゃん、そこのレモンとってくれる?」
チャリティ「まだカップ温まってないわよ?」
takeshi「聞いて!?優雅にティータイムしてないで聞いて!?」
マリア「だって長いんですもの」
チャリティ「ママ、こいつ感情が高ぶるといつも話しが長くなるの」
マリア「あらあら」
チャリティ「それにしても、誰からも感想こないわね。もう1年たつんじゃない?」
takeshi「そうなんですよ!同時に退院してからも1年経つのですが誰からも感想をいただけないのでちょっと寂しいです。というより、このままこのスタイルを貫いていっていいいのかすごく不安です。確かに誤字脱字も大事ですが、そんなものは時間が経過すれば私も読み直しますし、自分でも気付けますからね。ただ人との感性の違いって何度読み直したところで分からないじゃないですか!この戦闘シーンがイメージしにくいとか、この例えよく分からないとか、そういう指摘がないと何処を歩いて良いのか分からないんですよ!逆にこのセリフにはぐっと来たとか、このキャラ可愛いとかこの戦闘シーンカッコよかったとかそういう感想をいただけるとテンションがあがります!ぶっちゃけ、1人で書いててもポテンシャルを保てないんですよね。成功した方々が「成功する秘訣は続けること。でも続けることは言葉は簡単だけどすごく大変」とよく言いますが本当にそれです。まぁここの掲示板はテイルズ人口が少ないので仕方ないと言えば仕方ないのですが、GAYMで書いてた時はいろいろな人と感想を言い合って書いていたので皆で書いていたという感じがして楽しかったです。今の私の文章力はまだまだ全然拙いですが、それでも拙いレベルまでこれたのは星の数ほど感想を言い合ってきたおかげだと思っています。それに(以下略」
マリア「チャリティちゃん、口にクリームが付いているわよ?」
チャリティ「子供じゃないんだから自分で取れるわよ」
takeshi「だから聞いて!?ていうかそれ私のケーキ!!」
チャリティ「あっ、お疲れ様でした〜」
takeshi「何が!?誰に!?」
チャリティ「ここまでスクロールしてくれたかもしれない人達によ。あんたの独り言なんか興味無いのに一生懸命ここまで読んでくれた人がもし、万が一、億が一の可能性でいたら可愛そうでしょう。だから私が労ってあげるんじゃない」
takeshi「まぁ色々言いましたが結局は読む人によって思うところは違いますからね。もしかしてそう思っているのは俺だけかも、とか、書いてる人が楽しく書ければそれで良いんじゃない?とか思って恥ずかしくて書けないだけかもしれませんしね」
マリア「寒気がするわ」
チャリティ「ママ、それはさすがに言いすぎ……。でもこう思っているのは自分だけって思っている人間の思考が私には理解できないわね。70億人いる人類の中で自分は特別な人間だとでも思っているんじゃいの?」
takeshi「それはないと思いますが……。ただ私は楽しく書くことよりも成長するために書き続けていきたいので、どんな感想でも喜んで読ませていただくのでそれだけ理解していただければと思います。そして必ず返事をこの場で返します」
マリア「私は嫌よ?」
チャリティ「大丈夫、感想は来ないから」
マリア「あら、それもそうね♪」
takeshi「……このままコーナーやらないで終わっても良いんですよ?」
マリア「ケーキ食べる?あ〜んしてあげるわよ?はい、あ〜ん」
takeshi「そんな食べかけのイチゴいりませんよ!!」
チャリティ「でももうケーキないわよ?」
takeshi「馬鹿な!!ワンホールあったはずなのに……」
マリア「私の胃袋は小宇宙を感じているわ」
takeshi「親娘で同じこと言いやがって……!!」
チャリティ「で、コーナーはどうすんの?」
takeshi「折角千の風になって質問を集めてきたんですから、やりますよ」
マリア「じゃあいくわよ?『教えて☆マリアちゃん!』」
takeshi「はい、ではまず一人目」
チャリティ「お母さんのこのタイトルコールには意地でも突っ込まないのね……」
【相手がヒューマだけど愛さえあれば関係ないよね?】
チャリティ「これもしかしてカイン?」
takeshi「いえ、カインだったら相手が違いますよ。これはダナさんからです」
マリア「……誰かしら?」
takeshi「バビログラード出身のガジュマで、ヒューマのオックス君の恋人です」
チャリティ「あ〜、大陸では種族間の結婚はタブーなんだっけ?メンドクサイわね〜」
takeshi「しかもバビログラードでは結婚していない男女が会話もしてはいけないんです」
マリア「禁じられた恋!!これは燃えるわね!!」
takeshi「いやまぁそうなんですけど、質問のタイトルがタイトルなだけに如何わしく聞こえてしまいますね……」
マリア「周囲の目なんか気にしちゃダメよ!大事なのは貴方達がどうしたいのか、あなたの一番の幸せはなんなのか。それが分かれば貴方達はきっと幸せになれるわ」
takeshi「おぉ、コーナーが始まって以来初めてのまともな意見ですね」
チャリティ「娘の私が一番ビックリよ……」
マリア「私はあなた達とは立場が逆だけど、最初はやっぱりいろんな人に反対されたし、あの人も私がヒューマだからってOKしてくれなかったの」
チャリティ「そうだったんだ……」
マリア「でもね、何回もアタックして最後はあの人から結婚してくれって言ってくるまでになったわ!」
takeshi「そのマリアさんがアタックしてから旦那さんが心変わりするまでの過程を聞きたいのですが……」
マリア「それは、な・い・しょ♪」
チャリティ「い、一瞬、フォルスが暴走しそうになったわ……」
takeshi「新しい拒絶反応の一種ですか?」
マリア「ダナさんと言ったかしら?女の子をこんなに悩ませるなんて、きっとオックスという人はへタレなのね。そういうヘタレは一度押し倒してしまいなさい!」
takeshi「ダメですよ!!折角感心したのに、最後になんてこと言うんですか!!」
チャリティ「そういうオチだとは思ったわよ……」
takeshi「もう次いきますよ!」
マリア「次は誰かしら?」
takeshi「えっと、名前を伏せてほしいとのことなので偽名を考えたからこれで紹介してくれとのことです」
チャリティ「偽名?」
takeshi「七色のフォルスの持ち主さんです」
チャリティ「それって……」
【なんか気付けば第3部に入っていたらしいですね。しかしいまだに出番がありません。マリアさんのように輝くにはどうしたら良いでしょうか?】
マリア「キロっツァちゃんね!!」
takeshi「もうそれで良いです……」
チャリティ「彼女、普段の喋り方と全然違うのね……」
takeshi「普段喋らない女の子とメールをしたら顔文字がいっぱい付いてたような感じですね」
マリア「持っているフォルスの割りに暗いのがよくないと思うの。ゲームのEDで花畑にいるあなたを見てドキっとしちゃった人もいるようだけど……」
takeshi「トキッ!」
チャリティ「え?」
マリア「でもそれだけで出番を勝ち取れるほどこの業界はあまくはないの」
チャリティ「お、お母さんがわけの分からないことを言ってる!!」
マリア「いいですか?この小説はただでさえ2、3人ほど既にキャラ被りしているんです」
takeshi「きーこーえーなーいー」
チャリティ「あんたさっきどんな感想でも喜んで読むって言ってなかった?」
マリア「でもあなたは既存キャラなのでもうキャラ設定はいじれません。なのでここで重要なのはギャップなのです!」
takeshi「ほう」
チャリティ「例えば?」
マリア「語尾にニャンと付けるとか、怒った時「プンプン」と効果音を自分で言ったりして萌えを狙うのです」
takeshi「うわぁ〜例のチョイスが古いですね〜」
マリア「あらあら、何か?」
takeshi「いえ、何も……」
チャリティ「んん?ちょっと、質問が一つだけ落っこちてるじゃない。ちゃんとまとめておきなさいよね」
takeshi「あっ!それは!!」
チャリティ「どれどれ?」
【私と同名のキャラが/ビリビリビリ
チャリティ「ちょっとあんた!何破いてんのよ!!」
マリア「チャリティちゃん!抑えなさい!」
チャリティ「イエッサー!」
takeshi「HANASE!!」
チャリティ「あんたの古さも大概だわ!!」
マリア「何とか繋げれば読めそうね。これは……ナイラさんからね」
チャリティ「ナイラ……さん?」
【私と同名のキャラが最近登場したようなのですが、どういうことなのでしょうか?もしかして私、忘れられているのでしょうか?】
チャリティ「これ……王の剣のナイラにしては随分とかしこまった文面ね」
マリア「チャリティちゃんよく見て。最近同名のキャラが登場したって書いてあるでしょ?この人は既存キャラなのよ。名前はナイラ・ランブリングと書いてあるわ」
チャリティ「ランブリング?ランブリングってヒルダと同じファミリーネームじゃない。まさか……」
マリア「ヒルダちゃんのお母さんみたいね」
チャリティ「これはどういうこと?」
takeshi「ほら、マイケルとかエミリーとか同名って結構ありがちじゃないですか。そういうスタイルで……ね?」
マリア「でも私、キャラの個性が勝負のノベルで名前が被るのはどうかと思うわ?」
チャリティ「死刑ね、死刑」
takeshi「本っ当にすみませんでした!!でもこれってすごくないですか!?ナイラなんていう滅多にない名前で既存のキャラと被って、それに気付いたのが調度母の日月間って!!運命を感じません?」
チャリティ「感じないわバカ!」
takeshi「ていうかいい加減離してもらえます?背中にまな板が当たって痛いのですが」
チャリティ「まっ……。ちょ、ちょっとは膨らみもあるわよ!!」
マリア「ほんと、何で性格もお胸と同じくらい謙遜してくれないのかしら?もしかして、性格の変わりにお胸が謙遜してくれているのかしらね」
チャリティ「なんか憂いを帯びた溜息なんか吐いちゃってるけど100%お母さんの遺伝だから!!」
マリア「何かおっしゃって?」
チャリティ「け、謙遜したぐらいで胸が大きくなるならいくらでも謙遜してやるわよ……」
takeshi「なんかチャリティさんが泣きそうなので今回はこの辺にしましょう。ではまた〜」
―――おまけ―――
〜閉店中〜