第56話『ノルゼンと想い出』
「それで、どうやって下山するんだ?」
ヴェイグ達は低空飛行するユーフォーを連行するかのようにプランターを引きずりながら、昨日ここにきた時に着地した魔法陣のような紋様が描かれている庭園の先端に来ていた。
「わ、私1人なら、何とかなるんですけど……あの、12人はちょっと……」
ニノンは申し訳なさそうにもじもじしている。
小屋を出発する前、ニノンにどうやって下山しているのか聞いてみると『羽』のフォルスを利用しているとのことだった。
自分の体を軽くしてから飛び出し、その後は自分の両翼を駆使して紙飛行機のように麓へ下山するという何とも大胆なことをしていた。
しかしそれは翼を持つニノンだからこそできる芸当であり、同じガジュマのユージーンやブライトもできるかと言われれば二人は首を横に振るだろう。
一番の問題はやはり高所に吹き荒れる風である。
今こうしている時も風の音が鳴り響き、ヴェイグの長髪もなびいたまま落ち着く様子がない。
そんな状況で羽のフォルスを使用し落下すれば紙吹雪のように全員明後日の方向へ舞っていってしまうだろう。
「来る時のようにブライトさんに風を遮断してもらえば良いんじゃないですか?」
「……あ?」
アニーは笑顔でブライトに言うとブライトはプランターに向けていた視線を上に上げた。
「昨日の今日でブライトには負担をかけてしまうが他に手はない。頼めるか?」
ユージーンの言葉を聞いてブライトは鼻で笑う。
「俺はなぁ、頼りにされるのは好きだが当てにされるのは大っ嫌いなんだよ」
「ごめんなさい!!わわわ、私がっ……もっとフォルスを、つ、使いこなせていれば……」
ニノンが羽をパタパタさせながら涙目になる。
するとブライトは舌打ちし、後ろ髪をかきながらニノンに歩み寄るとニノンの頭に彼の大きな手を乗せた。
「お前はもっと自信を持て!お前やカインとは逆に人を傷つけることにしかフォルスの使い道を見出せねぇやつだっているんだ。悔しいが俺よりこいつらの役に立つことだってできるんだ!この教師の俺よりもだ!だから……俺のためにもそんなに自分を過小評価すんじゃねぇよ」
ブライトは最後に優しく微笑んでから円陣が描かれている庭の端に立った。
眼科には垂直にも見える急勾配の山肌が広がっている。
「だがまぁ自信を持つったって難しいよな?特にニノン、お前はな。だったら作れば良い。壁ってのは壊すだけが全てじゃねぇ。それを階段にして進むのも俺はありだと思う。どんなに小さな壁だって構わない。ただ、お前が積んだ実績は確実に自信に繋がる。その証拠にヴェイグ達と仲良くなれた実績があったから街へ降りれた。自信があったからヒトと話せた。その実績と自信が今こうして俺達と一緒にいることに繋がっているとは思わねぇか?」
ブライトは両手を目の前にかざしてから後ろにいるニノンに振り返る。
もう風の音はしない。
「覚悟しろよ?実績がたくさんできすぎて笑い死ぬことになっても俺は責任をもたねぇからな。ただし、作り方が分からない時は俺に聞け。ヒントぐらいは出してやるからよ」
ニノンは体の中から熱いものが込み上げてくるのを感じた。
全身の羽が逆立つような感覚。
これは以前まで毎日のように感じていた恐怖とは違う。
しかしニノンはまだその感情の正体を知らない。
いや、忘れてしまっている。
ニノンは羽を拳を握るかのように丸く握り締め、笑顔を浮かべる。
「は、はい!」
「良い返事だ!んじゃ、さっそく最初の仕事だぜ?」
ニノンに恐怖心はもうない。
彼女は一回深呼吸するとブライトが立っている調度前の辺りに翼をかざす。
「ねぇ、何時の間にか先生がニノンを元気付けてるけど、そもそもは先生がさっさとフォルスを使ってくれればニノンも困らずに済んだんじゃ……」
「尊厳とかあるんじゃない?ホント、世話が焼けるわね」
ジンとヒルダはやれやれといった感じで肩をすくめた。
「み、皆さん!ブライト先生の前から飛んでください!は、跳ねた瞬間にフォルスをかけるので一人ずつお願いします!」
「何時の間にか呼び方がブライト『先生』になってるな……」
ヴェイグは微笑ましくニノンの背中を見つめる。
しかし全員同じように見つめているため誰も飛ぼうとしないことにニノンは不安になりキョキョロし始める。
「てめぇら早くしろ!!俺のフォルスは無限じゃねぇんだぞ!?」
ブライトに怒鳴られたことでヴェイグ達はようやく我に帰り、ジークから順にブライトの目の前で踏み切り、ニノンのフォルスにより適度の重さになった体が風船のようにゆっくりと銀世界へと落下していく。
* * *
最後にニノンが着地し、プランターがきちんと地面に接地していることを確認した後フォルスを解除する。
すると、体に重りを乗せられたかのような感覚が襲ってくる。
「すぐ慣れるからいいけど、私達ってよくこんな重りを背負って毎日生活してるわよね」
フィオナは扇を担ぎなおしながら言う。
「フィオナの場合は特にハンデがあるもんね」
「え?ハンデ?何で?」
カインの言葉にフィオナは首を傾げた。
フィオナにとって身の丈程もある巨大な扇は自分の体重の1部になっているのだろうか。
その一方でニノンはプランターが全て無事であることを確認してから再び持ち運べるようにフォルスをかける。
「行き先はノルゼンだったよね!」
マオの「しゅっぱーつ!」という掛け声と共に一同は歩を進める。
* * *
連峰の麓を縫うように北上し、途中直進に進む道と左に開かれた道が伸びる分岐路に刺し当たる。
それをヴェイグ達は左の開かれた道へ左折し、再び道が狭くなっていく。
そして周りの木々は枯れてはいるがやはり雪は積もっていない。
そんな景色を眺めていると海の波のせせらぎが聞こえてくる。
「そういえば陸からノルゼンに入るのって初めてだね」
ルルがそんなことを言っている間に視界を塞いでいた山脈がなくなり視界が開けると海に隣接するように構えられた街が見えた。
「とうちゃーく!」
ティトレイは腕で額の汗をぬぐう。
街の入り口には二軒の小さな家があるが、雪はつもっているものの溶け始めており水が屋根をつたい地面を穿っていた。
「……ん?」
しかしジークは寒気を感じ自分の腕をさすった。
空を見ると先程まで晴れていた天気がうっすらと曇り始めていた。
(気温が下がったのか?)
「ニノンの友達はどこにいるの?」
ルルが問いかけるとニノンは翼を口に当て、考える仕草を見せた。
「えっと、ど、道具屋の近くにいると思います」
「よし、行くか」
ヴェイグはプランターの紐を持ち、13人は道具屋へ向かう。
* * *
ノルゼンの広場中央にたつ人魚像。
腰まで伸びる赤い髪を持つヒューマの男は人魚像を見上げていたが、視線は遥か遠くを見ているようだった。
ここではない、遥か過去を。
「ここに来るのも久しいな。よくここで待ち合わせたものだ……」
視線はそのまま、男は腰の剣に手を伸ばす。
「思い出は剣を鈍らせる重りにしかなりえんか。ならばいっそ私の手で……」
鞘の中から銀に光る刀身が顔を覗かせる。
しかし、男は一度抜きかけた刀身を収めてから踵を返した。
「ふっ、皮肉な物だな。運命の悪戯とでも言うべきか」
男の視線の先、二軒の小さな家の間にある道から大人数の団体がこちらに向かって歩いてくる。
皆楽しそうに話しながら歩いているが、男の視線は13人の中の1人のヒューマの少女に固定される。
その視線に気付いたのか、少女は人魚像の方を見て歩みを止め固まる。
距離にして100m。
他の面々もこちらに気付くなり表情を強張らせる。
ただ1人見知らぬガジュマがあたふたとしていたが。
13人はゆっくりとこちらに近付いてくると顔がはっきりと視認できる位置で止まり、紫の髪の少女が前に出る。
「……お父さん」
「やぁフィオナ。元気そうで何よりだ」
腰まで伸びる長く赤い髪をもつ男、ギュナルスは優しく笑いかける。
しかしその瞳には何処か寂しさのような憂いを帯びているように見える。
「暴動はまだ起きてないみたいだね」
マオは周囲を見渡すと広場には誰もいなかった。
ノルゼンは極寒地のため他の街のように何の用もないのに1日中外に出ているヒトはおらず、一日の大半を屋内で過ごす。
今回はそれが幸いした。
「何か勘違いをしているようだな」
ギュナルスは不適な笑みを浮かべる。
「ユリスから聞いている。サレとトーマ、そしてフィレンツェが起こした暴動を貴君等が止めたそうじゃないか。だが暴動はあくまで手段にすぎない」
ジークは何か気付いたのか目を見開き、リストをしめる。
「物分りの良い者もいるようだね。そう、我々の目的は思念を増幅させること。そのためにはヒトの悪意や憎悪を生む必要があり、この世界で最もその感情が生まれやすいのが種族間による暴動だ。しかし、手段はそれだけではない。例えば……」
ギュナルスは振り返りながら剣を抜く。
「こんなふうにな!!」
ギュナルスは跳躍しながら今までギュナルスの背後にあった人魚像を横一文字に切り裂く。
その真下ではジークが拳を空振りしていた。
瞬時に距離を詰めたものの、ジークがギュナルの言いたいことを理解した瞬間から次にギュナルスがどんな行動をとるのかを理解したように、ギュナルスもジークがどんな行動にでるかは理解していた。
故にギュナルスはジークが地面を蹴った瞬間に跳躍し、ジークが拳をふりかざした瞬間には既にギュナルスは剣を振り抜いていた。
人魚像の魚の部分とヒトの部分が分断されるかのように上半身がゆっくりとスライドしていき、ドスン!という鈍い音を響かせながら人魚像の上半身が広場に落下した。
「な、なんだなんだ?」
「何の音?」
「すっごい音がしたわよ?」
大きな音を聞きつけた住民が宿屋や、広場の周りに並び立つ民家から顔を出す。
そして真っ二つにされた人魚像を見るなり顔色を驚愕に染める。
この人魚像はノルゼンにとっての街のシンボルである。
そのシンボルを破壊されたとなれば自然と憎悪が膨らむ。
「おいあんた!」
そんな中、白髪の老人が杖をつきながら民家から出てギュナルスに歩み寄る。
「わしは見ておったぞ!あんたが人魚像を斬るところをな!!どうしてくれるんじゃ!!」
「ふっ」
杖をぶんぶん振り回しながら激怒する老人に対してギュナルスは鼻で笑いながら剣を振るう。
しかし振り切る前にジークがギュナルスの前に出るとギュナルスの右手首を掴み、剣が振り切られることはなかった。
しかしジークが止めるまでに振られた分の剣圧が地面を切り裂き、老人の足元すれすれの位置には雪原に大きな傷跡ができていた。
「ひ、ひぇえぇええ!!!」
老人は何回も転びながらもなんとか民家に避難する。
「あのヒトを殺す必要はねぇだろうが!」
ジークはなおも手首を掴んだままギュナルスを睨むが、ギュナルスは眉をひそめる。
「それは違うな。思念を集めるためには憎悪だけでは足りんのだよ。私は憎悪よりも恐怖心のほうが効率的に集め易いと考えているのでね」
「これは……」
いつでもジークの援護にいけるよう大剣を構えていたヴェイグだったが周囲を見て唖然とする。
老人とギュナルスのやりとりを見たのであろう広場の周りの民家から黒い霧が大量に立ち上り始めた。
まるで火事でも起きているかのような霧の量に確かに恐怖心のほうが思念を増長させるという裏付けがされてしまう。
フィオナは扇を強く握り締める。
〜続く〜
ヴェイグ達は低空飛行するユーフォーを連行するかのようにプランターを引きずりながら、昨日ここにきた時に着地した魔法陣のような紋様が描かれている庭園の先端に来ていた。
「わ、私1人なら、何とかなるんですけど……あの、12人はちょっと……」
ニノンは申し訳なさそうにもじもじしている。
小屋を出発する前、ニノンにどうやって下山しているのか聞いてみると『羽』のフォルスを利用しているとのことだった。
自分の体を軽くしてから飛び出し、その後は自分の両翼を駆使して紙飛行機のように麓へ下山するという何とも大胆なことをしていた。
しかしそれは翼を持つニノンだからこそできる芸当であり、同じガジュマのユージーンやブライトもできるかと言われれば二人は首を横に振るだろう。
一番の問題はやはり高所に吹き荒れる風である。
今こうしている時も風の音が鳴り響き、ヴェイグの長髪もなびいたまま落ち着く様子がない。
そんな状況で羽のフォルスを使用し落下すれば紙吹雪のように全員明後日の方向へ舞っていってしまうだろう。
「来る時のようにブライトさんに風を遮断してもらえば良いんじゃないですか?」
「……あ?」
アニーは笑顔でブライトに言うとブライトはプランターに向けていた視線を上に上げた。
「昨日の今日でブライトには負担をかけてしまうが他に手はない。頼めるか?」
ユージーンの言葉を聞いてブライトは鼻で笑う。
「俺はなぁ、頼りにされるのは好きだが当てにされるのは大っ嫌いなんだよ」
「ごめんなさい!!わわわ、私がっ……もっとフォルスを、つ、使いこなせていれば……」
ニノンが羽をパタパタさせながら涙目になる。
するとブライトは舌打ちし、後ろ髪をかきながらニノンに歩み寄るとニノンの頭に彼の大きな手を乗せた。
「お前はもっと自信を持て!お前やカインとは逆に人を傷つけることにしかフォルスの使い道を見出せねぇやつだっているんだ。悔しいが俺よりこいつらの役に立つことだってできるんだ!この教師の俺よりもだ!だから……俺のためにもそんなに自分を過小評価すんじゃねぇよ」
ブライトは最後に優しく微笑んでから円陣が描かれている庭の端に立った。
眼科には垂直にも見える急勾配の山肌が広がっている。
「だがまぁ自信を持つったって難しいよな?特にニノン、お前はな。だったら作れば良い。壁ってのは壊すだけが全てじゃねぇ。それを階段にして進むのも俺はありだと思う。どんなに小さな壁だって構わない。ただ、お前が積んだ実績は確実に自信に繋がる。その証拠にヴェイグ達と仲良くなれた実績があったから街へ降りれた。自信があったからヒトと話せた。その実績と自信が今こうして俺達と一緒にいることに繋がっているとは思わねぇか?」
ブライトは両手を目の前にかざしてから後ろにいるニノンに振り返る。
もう風の音はしない。
「覚悟しろよ?実績がたくさんできすぎて笑い死ぬことになっても俺は責任をもたねぇからな。ただし、作り方が分からない時は俺に聞け。ヒントぐらいは出してやるからよ」
ニノンは体の中から熱いものが込み上げてくるのを感じた。
全身の羽が逆立つような感覚。
これは以前まで毎日のように感じていた恐怖とは違う。
しかしニノンはまだその感情の正体を知らない。
いや、忘れてしまっている。
ニノンは羽を拳を握るかのように丸く握り締め、笑顔を浮かべる。
「は、はい!」
「良い返事だ!んじゃ、さっそく最初の仕事だぜ?」
ニノンに恐怖心はもうない。
彼女は一回深呼吸するとブライトが立っている調度前の辺りに翼をかざす。
「ねぇ、何時の間にか先生がニノンを元気付けてるけど、そもそもは先生がさっさとフォルスを使ってくれればニノンも困らずに済んだんじゃ……」
「尊厳とかあるんじゃない?ホント、世話が焼けるわね」
ジンとヒルダはやれやれといった感じで肩をすくめた。
「み、皆さん!ブライト先生の前から飛んでください!は、跳ねた瞬間にフォルスをかけるので一人ずつお願いします!」
「何時の間にか呼び方がブライト『先生』になってるな……」
ヴェイグは微笑ましくニノンの背中を見つめる。
しかし全員同じように見つめているため誰も飛ぼうとしないことにニノンは不安になりキョキョロし始める。
「てめぇら早くしろ!!俺のフォルスは無限じゃねぇんだぞ!?」
ブライトに怒鳴られたことでヴェイグ達はようやく我に帰り、ジークから順にブライトの目の前で踏み切り、ニノンのフォルスにより適度の重さになった体が風船のようにゆっくりと銀世界へと落下していく。
* * *
最後にニノンが着地し、プランターがきちんと地面に接地していることを確認した後フォルスを解除する。
すると、体に重りを乗せられたかのような感覚が襲ってくる。
「すぐ慣れるからいいけど、私達ってよくこんな重りを背負って毎日生活してるわよね」
フィオナは扇を担ぎなおしながら言う。
「フィオナの場合は特にハンデがあるもんね」
「え?ハンデ?何で?」
カインの言葉にフィオナは首を傾げた。
フィオナにとって身の丈程もある巨大な扇は自分の体重の1部になっているのだろうか。
その一方でニノンはプランターが全て無事であることを確認してから再び持ち運べるようにフォルスをかける。
「行き先はノルゼンだったよね!」
マオの「しゅっぱーつ!」という掛け声と共に一同は歩を進める。
* * *
連峰の麓を縫うように北上し、途中直進に進む道と左に開かれた道が伸びる分岐路に刺し当たる。
それをヴェイグ達は左の開かれた道へ左折し、再び道が狭くなっていく。
そして周りの木々は枯れてはいるがやはり雪は積もっていない。
そんな景色を眺めていると海の波のせせらぎが聞こえてくる。
「そういえば陸からノルゼンに入るのって初めてだね」
ルルがそんなことを言っている間に視界を塞いでいた山脈がなくなり視界が開けると海に隣接するように構えられた街が見えた。
「とうちゃーく!」
ティトレイは腕で額の汗をぬぐう。
街の入り口には二軒の小さな家があるが、雪はつもっているものの溶け始めており水が屋根をつたい地面を穿っていた。
「……ん?」
しかしジークは寒気を感じ自分の腕をさすった。
空を見ると先程まで晴れていた天気がうっすらと曇り始めていた。
(気温が下がったのか?)
「ニノンの友達はどこにいるの?」
ルルが問いかけるとニノンは翼を口に当て、考える仕草を見せた。
「えっと、ど、道具屋の近くにいると思います」
「よし、行くか」
ヴェイグはプランターの紐を持ち、13人は道具屋へ向かう。
* * *
ノルゼンの広場中央にたつ人魚像。
腰まで伸びる赤い髪を持つヒューマの男は人魚像を見上げていたが、視線は遥か遠くを見ているようだった。
ここではない、遥か過去を。
「ここに来るのも久しいな。よくここで待ち合わせたものだ……」
視線はそのまま、男は腰の剣に手を伸ばす。
「思い出は剣を鈍らせる重りにしかなりえんか。ならばいっそ私の手で……」
鞘の中から銀に光る刀身が顔を覗かせる。
しかし、男は一度抜きかけた刀身を収めてから踵を返した。
「ふっ、皮肉な物だな。運命の悪戯とでも言うべきか」
男の視線の先、二軒の小さな家の間にある道から大人数の団体がこちらに向かって歩いてくる。
皆楽しそうに話しながら歩いているが、男の視線は13人の中の1人のヒューマの少女に固定される。
その視線に気付いたのか、少女は人魚像の方を見て歩みを止め固まる。
距離にして100m。
他の面々もこちらに気付くなり表情を強張らせる。
ただ1人見知らぬガジュマがあたふたとしていたが。
13人はゆっくりとこちらに近付いてくると顔がはっきりと視認できる位置で止まり、紫の髪の少女が前に出る。
「……お父さん」
「やぁフィオナ。元気そうで何よりだ」
腰まで伸びる長く赤い髪をもつ男、ギュナルスは優しく笑いかける。
しかしその瞳には何処か寂しさのような憂いを帯びているように見える。
「暴動はまだ起きてないみたいだね」
マオは周囲を見渡すと広場には誰もいなかった。
ノルゼンは極寒地のため他の街のように何の用もないのに1日中外に出ているヒトはおらず、一日の大半を屋内で過ごす。
今回はそれが幸いした。
「何か勘違いをしているようだな」
ギュナルスは不適な笑みを浮かべる。
「ユリスから聞いている。サレとトーマ、そしてフィレンツェが起こした暴動を貴君等が止めたそうじゃないか。だが暴動はあくまで手段にすぎない」
ジークは何か気付いたのか目を見開き、リストをしめる。
「物分りの良い者もいるようだね。そう、我々の目的は思念を増幅させること。そのためにはヒトの悪意や憎悪を生む必要があり、この世界で最もその感情が生まれやすいのが種族間による暴動だ。しかし、手段はそれだけではない。例えば……」
ギュナルスは振り返りながら剣を抜く。
「こんなふうにな!!」
ギュナルスは跳躍しながら今までギュナルスの背後にあった人魚像を横一文字に切り裂く。
その真下ではジークが拳を空振りしていた。
瞬時に距離を詰めたものの、ジークがギュナルの言いたいことを理解した瞬間から次にギュナルスがどんな行動をとるのかを理解したように、ギュナルスもジークがどんな行動にでるかは理解していた。
故にギュナルスはジークが地面を蹴った瞬間に跳躍し、ジークが拳をふりかざした瞬間には既にギュナルスは剣を振り抜いていた。
人魚像の魚の部分とヒトの部分が分断されるかのように上半身がゆっくりとスライドしていき、ドスン!という鈍い音を響かせながら人魚像の上半身が広場に落下した。
「な、なんだなんだ?」
「何の音?」
「すっごい音がしたわよ?」
大きな音を聞きつけた住民が宿屋や、広場の周りに並び立つ民家から顔を出す。
そして真っ二つにされた人魚像を見るなり顔色を驚愕に染める。
この人魚像はノルゼンにとっての街のシンボルである。
そのシンボルを破壊されたとなれば自然と憎悪が膨らむ。
「おいあんた!」
そんな中、白髪の老人が杖をつきながら民家から出てギュナルスに歩み寄る。
「わしは見ておったぞ!あんたが人魚像を斬るところをな!!どうしてくれるんじゃ!!」
「ふっ」
杖をぶんぶん振り回しながら激怒する老人に対してギュナルスは鼻で笑いながら剣を振るう。
しかし振り切る前にジークがギュナルスの前に出るとギュナルスの右手首を掴み、剣が振り切られることはなかった。
しかしジークが止めるまでに振られた分の剣圧が地面を切り裂き、老人の足元すれすれの位置には雪原に大きな傷跡ができていた。
「ひ、ひぇえぇええ!!!」
老人は何回も転びながらもなんとか民家に避難する。
「あのヒトを殺す必要はねぇだろうが!」
ジークはなおも手首を掴んだままギュナルスを睨むが、ギュナルスは眉をひそめる。
「それは違うな。思念を集めるためには憎悪だけでは足りんのだよ。私は憎悪よりも恐怖心のほうが効率的に集め易いと考えているのでね」
「これは……」
いつでもジークの援護にいけるよう大剣を構えていたヴェイグだったが周囲を見て唖然とする。
老人とギュナルスのやりとりを見たのであろう広場の周りの民家から黒い霧が大量に立ち上り始めた。
まるで火事でも起きているかのような霧の量に確かに恐怖心のほうが思念を増長させるという裏付けがされてしまう。
フィオナは扇を強く握り締める。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート39】
takeshi「祝!3000view突破!!」
ガルム「おぉ!めでたいじゃねぇか!!」
チャリティ「ここまで長かったわね〜」
takeshi「本当ですよ!気になって確認してみたところですね、この掲示板に来てこの小説を立ち上げたのが調度3年前なんですよ!」
ガルム「てことは1年に1000view計算か」
チャリティ「ショボ……」
takeshi「しょぼくねーし!でもGAYMにいた頃は3ヶ月とか早い人だと半月で1000人を越えていた人とか居たことを考えると人口の差とか小説の力量とか色々なことが怖くなってしまいます」
チャリティ「私は肉が怖いわ」
ガルム「俺は酒だな」
takeshi「あんたら落語家気取りですか……。あぁでも父の日にお酒あげましたよ?もらい物ですが」
ガルム「おい……それ微妙だぞ……」
チャリティ「知らないって幸せよね〜」
takeshi「ちなみにガルムさんにはマリアさんの時とは違って何も企画を作れませんでしたが3000突破記念がプレゼントということで勘弁してください」
チャリティ「そもそもお父さん死んでないしね」
ガルム「おいおい、父の日を死んでなきゃ労ってもらえない日みたいに言うんじゃねぇよ!!つっても、チャリティは無理だろうけどよ」
チャリティ「えっへん!」
takeshi「たまにチャリティさんがルルの姉だということを実感する時があるんですよね……」
ガルム「マリアの遺伝なんだ、気にしないでやってくれ……」
チャリティ「ていうかヴィーナが毎日お見舞いに行ってるんだから、ヴィーナから何か貰ったりしてないの?」
ガルム「あ、あぁ、そういや家からジークが漬けた糠漬けを持ってきてくれたっけな。俺は酒が良いって言ったんだが……」
takeshi「ジークの糠漬けは本人不在でも生存してたんですね……」
チャリティ「でも誰が管理してんの?」
ガルム「イーリスが家の掃除がてら混ぜてるんだとよ。あいつもジークに認められるためとはいえよくやるよな」
チャリティ「あ、あれ?私は?私に認められなくても良いの?」
takeshi「そういえば先週モンスターズ見てきたんですよ〜」
ガルム「おっ!どうだった?」
チャリティ「おっかしいな〜、私が姑の立ち位置のはずなんだけどなぁ〜」
takeshi「やはり実力派若手が集うと凄いですね!内容的には、「お前等いい加減学習しろよ!」と思う所や『藁の盾』を見た後だったので「それ逆効果!」と思う所があったりしたのですが藤原達也が足を引き摺るシーンとか凄くリアルでしたし山田孝之のアクションシーンとか流石でしたし、1800円の価値はあったと思います。ただ劇場のシーンで友達が出てたらしく、それっぽい人は見つけたのですが確信を得られなかったのが無念でした」
ガルム「そうなると剣心の映画も楽しみだな」
takeshi「ですね!あとゴジラはどうせなら3Dで見てみたいです。3D映画はまだ見たことありませんしスターウォーズ3Dを劇場で見た友達はめちゃくちゃ満足していたので」
チャリティ「あっれれ〜?おかしいぞぉ〜?お父さんも私を無視するぅ〜」
ガルム「冗談だチャリティ。そう拗ねんな」
takeshi「さてさて、そろそろいい加減に滞りなく本編の話を無難にしようと思うのですが」
ガルム「何でそんなに言葉を飾ってんだよ……うぜぇぞ?」
takeshi「ちょっと西尾維新さんを意識してみました」
チャリティ「土下座しなさいよ土下座。西尾大先生に失礼だわ」
takeshi「今更土下座とか倍返しとか時代遅れも甚(はなは)だしいですよ?けたたましく甚(はなは)だしいです」
ガルム「お前そんな適当に真似してると痛い目に遭うぞ?」
チャリティ「私にね!!」
takeshi「まあそれは兎も角、今回は気になる箇所全てに合図を入れてみたのですが如何でしたでしょうか?私としては案外記号だらけのページにならず読みやすくなったんじゃないかなぁと思うのですが、合図が多すぎてウザイという声があればすぐに改善しようと思います」
チャリティ「あんたは『*』マークを使ったけど『☆』マークを使った場合プラネタリウムになっちゃうものね」
ガルム「合図が多すぎるのも考え物だな」
takeshi「というかそもそも、それほどまでに合図を多用しなければならないくらい場面転換してたらあっちへ行ったりこっちへ行ったりで読んでるほうも落ち着かないと思うんですよね。なので必然的に合図はそんなに多くならないはずです」
ガルム「つまり合図の数が読みやすさの指標になるわけか。うまいな……」
takeshi「合図を入れることを提案してくださった雷電さんには頭が上がりません」
チャリティ「あとギュナルスも久し振りに登場したわね!」
takeshi「登場して早々公共物を破壊しましたがね……。きっとあの人魚像のモデルとなった人魚の名前はフレンダですよ」
ガルム「あ?何で言い切れるんだ?」
takeshi「上半身と下半身を切断されるって、それって最早フレ/ンダじゃないですか」
チャリティ「あんたもうちょっと万人に分かるようなネタ出せないの?」
takeshi「何言ってんですか?チャリティさん。元々このコメント欄に書かれる内容なんて万人に理解されようと書かれた試しがないじゃないですか。今更ですよ」
チャリティ「……最低ね」
ガルム「……最低だな」
takeshi「で、ではまた〜」
―――オマケ―――
『ケーブモック大森林』
ユーリ「いきなりここからスタートかよ。便利だねぇ」
エステリーゼ「経費削減、です」
カロル「ギャー!!虫ー!!」
野生のムルモが飛び出してきた。
ムルモ「失敬な!ボクは虫じゃないやい!!」
ユーリ「ったく、こんなちっくい虫に何びびってんだよ?」
ユーリの蒼破刃。
ムルモに100のダメージ。
ムルモ「や、や〜ら〜れ〜た〜」
ムルモは力尽きた。
ユーリ達にそれぞれ50の経験値!
アップルグミを手に入れた。
ユーリ「ちっ、しけてんな」
カロル「ユーリはやっぱり頼りになるね!(ポッ///」
エステリーゼ「ダンジョンの中で釣り橋効果ってカロルとなんです!?そんなのダメです!!」
ユーリ「俺だって嫌だっての」
カロル「でもキュモールはどこにいるんだろうね?」
エステリーゼ「あ!あんなところに人がいますよ?」
アニス「ここから先へ行きたいなら通行料を払ってもらうよ!」
ユーリ「通行料だと?」
エステリーゼ「えぇっと、ちなみにいくらなのでしょうか?」
アニス「1億5千万」
ユーリ「ふざけんな!!」
アニス「ガルドだから安心して☆」
カロル「安心できないよ!僕達1億5千万ガルド払ったばっかりなんだよ!?」
アニス「でもでも〜、今から1億5千万手に入る予定があるんでしょ?ならここで前払いしてもプラマイ0になるでしょ?」
ユーリ「ならねぇよ。結局俺達がマイナスじゃねぇか」
アニス「むぅ〜!貧乏人主人公のクセに頭の良い男ってアニスちゃん嫌〜い。トクナガで捻り潰してやるんだから!」
エステリーゼ「ま、待ってください!話し合いましょう!」
ユーリ「いや、剣のほうが手っ取り早い!さっさと倒して通してもらうぜ!」
アニスが勝負をしかけてきた
ラピード「バウ!」
ラピードの魔神犬
アニス「イタッ!」
アニスに50のダメージ。
エステリーゼ「えい!」
エステリーゼの攻撃。
アニス「許さないんだから!」
アニスに30のダメージ
カロル「臥龍アッパー!」
カロルの臥龍アッパー
アニス「やろーてめーぶっ殺す!!」
アニスに65のダメージ
ユーリ「閃いたぜ!円閃牙!」
ユーリの円閃牙
3コンボ。
アニスに80のダメージ。
ユーリ「こいつ、強ぇ」
アニス「アニスちゃんの番だよ!」
アニスの歌う
アニス「ヒーメヒメ♪」
カロル「な、何の歌?」
エステリーゼ「ユ、ユーリ!?」
ユーリ「大好きヒメ♪」
ユーリはノリノリだ。
ラピード「バウ!?」
ラピードは混乱した。
アニスは仲間を呼び、エトスが加わった。
カロル「また虫!?」
エトスの輪唱。
アニス&エトス「ヒーメヒメ♪ヒメ♪大好きヒメ♪」
カロルとエステルは眠ってしまった。
エステリーゼ「そ、そんな……」
アニス&エトス「ヒメは♪ヒメで♪ヒメな〜のだ♪」
※歌詞はうろ覚えです
パーティは全滅した。
ユーリは目の前が真っ暗になった。
『ザーフィアス地下牢』
ユーリ「また最初からかよ。こんなことなら小まめにセーブしとくんだったな」
レイヴン「だからね、青年。ここは青年の家じゃないの。周りをよく見てみな」
カロル「ユーリ、ボクはユーリの目がハートマークになるところなんて見たくなかったよ……」
エステリーゼ「一生の思い出にしますね♪」
ラピード「クゥ〜ン……」
ユーリ「カロル、それにエステルも捕まってんのか!ステータスもリセットされてねぇし、どうなってんだ?」
エステリーゼ「私達が戦ったあの2人は負けないといけないイベントだったのでしょうか?」
ユーリ「どんだけ負けイベント多いんだよ……。クソゲーだなこれ」
カロル「でも何でエステルも捕まってるんだろうね?お姫様を牢屋に入れるなんて普通じゃないよ」
ルブラン「それは姫様が勝手に何処かへ行ってしまわれぬようにだ」
カロル「あっ!銭○警部みたいな人!」
ユーリ「かなりの劣化品だけどな」
ルブラン「それならば貴様は劣化ル○ンといったところか」
ユーリ「俺人の心とか盗まねぇし」
エステリーゼ「それより私を閉じ込める詳しい理由を教えてください。何処へも行かないようにするなら部屋の中に監禁しても良い筈です」
ルブラン「姫様にこの事を伝えると窓から脱走する恐れがあるためです」
エステリーゼ「……教えてください」
ルブラン「実は……独立国家ダングレストを治める……」
ユーリ「何時の間にダングレストは独立国家になったんだ?」
レイヴン「そういう設定なんだから突っ込まないであげようじゃないの」
ルブラン「国王の子息、ヨーデルとの政略結婚が決まったのです」
レイヴン「それって近親そ」
ユーリ「黙れオッサン!!そういう設定なんだから突っ込まないであげようぜ」
エステリーゼ「あの……その縁談を断るとどうなるのでしょうか?」
ルブラン「ダングレストと戦争になります」
シュバーン「よろしい、ならば戦争だ」
カロル「レイヴン、何時の間に着替えたの……?部屋が違うから見えなくて助かったけど」
ルブラン「私は下町の見回りがありますので、これで」
ユーリ「うっし、ならさっさと出て戦争しに行こうぜ。天然殿下とエステルがくっ付いちまったら年齢制限が飛躍的に上がっちまうからな」
カロル「なんか遊びに行くようなノリで言うけど、ラピードも一緒に捕まってるのにどうやって脱出するの?」
ラピード「バウ」
エステリーゼ「それなら問題ありません」
エステリーゼは『ユーリが捨てた割り箸』を使った。
ザギ「ユーリローウェルゥゥウウウウ!!!!」
ザギが現れた。
カロル「うわああああ!!!ザ、ザギ!?」
エステリーゼ「よ〜しよしよしよしよし。ザギ、待てです、待・て」
ザギ「ユ、ユーリ、ユーリロー……」
レイヴン「嬢ちゃん何でザギを手懐けてんの!!?」
エステリーゼ「ザギ、この牢屋を斬ってくれたらこの箸をあげますよ〜」
ザギ「へェア!!」
牢が切り刻まれた。
エステリーゼ「はい、お利口さんです♪」
エステリーゼは『ユーリが捨てた割り箸』を投げた。
ザギ「ユーリローウェルゥウウウウウ!!!!」
カロル「物凄い勢いで追いかけて行っちゃったけど、良いの?」
エステリーゼ「はい♪」
ユーリ「一応聞いておきたいんだが、他にも持ってんのか?」
エステリーゼ「何をです?」
ユーリ「いや、何でもねぇ。やっぱ怖くなってきた……」
レイヴン「結局おっさんは出してもらえないのね……」
〜続く〜
takeshi「祝!3000view突破!!」
ガルム「おぉ!めでたいじゃねぇか!!」
チャリティ「ここまで長かったわね〜」
takeshi「本当ですよ!気になって確認してみたところですね、この掲示板に来てこの小説を立ち上げたのが調度3年前なんですよ!」
ガルム「てことは1年に1000view計算か」
チャリティ「ショボ……」
takeshi「しょぼくねーし!でもGAYMにいた頃は3ヶ月とか早い人だと半月で1000人を越えていた人とか居たことを考えると人口の差とか小説の力量とか色々なことが怖くなってしまいます」
チャリティ「私は肉が怖いわ」
ガルム「俺は酒だな」
takeshi「あんたら落語家気取りですか……。あぁでも父の日にお酒あげましたよ?もらい物ですが」
ガルム「おい……それ微妙だぞ……」
チャリティ「知らないって幸せよね〜」
takeshi「ちなみにガルムさんにはマリアさんの時とは違って何も企画を作れませんでしたが3000突破記念がプレゼントということで勘弁してください」
チャリティ「そもそもお父さん死んでないしね」
ガルム「おいおい、父の日を死んでなきゃ労ってもらえない日みたいに言うんじゃねぇよ!!つっても、チャリティは無理だろうけどよ」
チャリティ「えっへん!」
takeshi「たまにチャリティさんがルルの姉だということを実感する時があるんですよね……」
ガルム「マリアの遺伝なんだ、気にしないでやってくれ……」
チャリティ「ていうかヴィーナが毎日お見舞いに行ってるんだから、ヴィーナから何か貰ったりしてないの?」
ガルム「あ、あぁ、そういや家からジークが漬けた糠漬けを持ってきてくれたっけな。俺は酒が良いって言ったんだが……」
takeshi「ジークの糠漬けは本人不在でも生存してたんですね……」
チャリティ「でも誰が管理してんの?」
ガルム「イーリスが家の掃除がてら混ぜてるんだとよ。あいつもジークに認められるためとはいえよくやるよな」
チャリティ「あ、あれ?私は?私に認められなくても良いの?」
takeshi「そういえば先週モンスターズ見てきたんですよ〜」
ガルム「おっ!どうだった?」
チャリティ「おっかしいな〜、私が姑の立ち位置のはずなんだけどなぁ〜」
takeshi「やはり実力派若手が集うと凄いですね!内容的には、「お前等いい加減学習しろよ!」と思う所や『藁の盾』を見た後だったので「それ逆効果!」と思う所があったりしたのですが藤原達也が足を引き摺るシーンとか凄くリアルでしたし山田孝之のアクションシーンとか流石でしたし、1800円の価値はあったと思います。ただ劇場のシーンで友達が出てたらしく、それっぽい人は見つけたのですが確信を得られなかったのが無念でした」
ガルム「そうなると剣心の映画も楽しみだな」
takeshi「ですね!あとゴジラはどうせなら3Dで見てみたいです。3D映画はまだ見たことありませんしスターウォーズ3Dを劇場で見た友達はめちゃくちゃ満足していたので」
チャリティ「あっれれ〜?おかしいぞぉ〜?お父さんも私を無視するぅ〜」
ガルム「冗談だチャリティ。そう拗ねんな」
takeshi「さてさて、そろそろいい加減に滞りなく本編の話を無難にしようと思うのですが」
ガルム「何でそんなに言葉を飾ってんだよ……うぜぇぞ?」
takeshi「ちょっと西尾維新さんを意識してみました」
チャリティ「土下座しなさいよ土下座。西尾大先生に失礼だわ」
takeshi「今更土下座とか倍返しとか時代遅れも甚(はなは)だしいですよ?けたたましく甚(はなは)だしいです」
ガルム「お前そんな適当に真似してると痛い目に遭うぞ?」
チャリティ「私にね!!」
takeshi「まあそれは兎も角、今回は気になる箇所全てに合図を入れてみたのですが如何でしたでしょうか?私としては案外記号だらけのページにならず読みやすくなったんじゃないかなぁと思うのですが、合図が多すぎてウザイという声があればすぐに改善しようと思います」
チャリティ「あんたは『*』マークを使ったけど『☆』マークを使った場合プラネタリウムになっちゃうものね」
ガルム「合図が多すぎるのも考え物だな」
takeshi「というかそもそも、それほどまでに合図を多用しなければならないくらい場面転換してたらあっちへ行ったりこっちへ行ったりで読んでるほうも落ち着かないと思うんですよね。なので必然的に合図はそんなに多くならないはずです」
ガルム「つまり合図の数が読みやすさの指標になるわけか。うまいな……」
takeshi「合図を入れることを提案してくださった雷電さんには頭が上がりません」
チャリティ「あとギュナルスも久し振りに登場したわね!」
takeshi「登場して早々公共物を破壊しましたがね……。きっとあの人魚像のモデルとなった人魚の名前はフレンダですよ」
ガルム「あ?何で言い切れるんだ?」
takeshi「上半身と下半身を切断されるって、それって最早フレ/ンダじゃないですか」
チャリティ「あんたもうちょっと万人に分かるようなネタ出せないの?」
takeshi「何言ってんですか?チャリティさん。元々このコメント欄に書かれる内容なんて万人に理解されようと書かれた試しがないじゃないですか。今更ですよ」
チャリティ「……最低ね」
ガルム「……最低だな」
takeshi「で、ではまた〜」
―――オマケ―――
『ケーブモック大森林』
ユーリ「いきなりここからスタートかよ。便利だねぇ」
エステリーゼ「経費削減、です」
カロル「ギャー!!虫ー!!」
野生のムルモが飛び出してきた。
ムルモ「失敬な!ボクは虫じゃないやい!!」
ユーリ「ったく、こんなちっくい虫に何びびってんだよ?」
ユーリの蒼破刃。
ムルモに100のダメージ。
ムルモ「や、や〜ら〜れ〜た〜」
ムルモは力尽きた。
ユーリ達にそれぞれ50の経験値!
アップルグミを手に入れた。
ユーリ「ちっ、しけてんな」
カロル「ユーリはやっぱり頼りになるね!(ポッ///」
エステリーゼ「ダンジョンの中で釣り橋効果ってカロルとなんです!?そんなのダメです!!」
ユーリ「俺だって嫌だっての」
カロル「でもキュモールはどこにいるんだろうね?」
エステリーゼ「あ!あんなところに人がいますよ?」
アニス「ここから先へ行きたいなら通行料を払ってもらうよ!」
ユーリ「通行料だと?」
エステリーゼ「えぇっと、ちなみにいくらなのでしょうか?」
アニス「1億5千万」
ユーリ「ふざけんな!!」
アニス「ガルドだから安心して☆」
カロル「安心できないよ!僕達1億5千万ガルド払ったばっかりなんだよ!?」
アニス「でもでも〜、今から1億5千万手に入る予定があるんでしょ?ならここで前払いしてもプラマイ0になるでしょ?」
ユーリ「ならねぇよ。結局俺達がマイナスじゃねぇか」
アニス「むぅ〜!貧乏人主人公のクセに頭の良い男ってアニスちゃん嫌〜い。トクナガで捻り潰してやるんだから!」
エステリーゼ「ま、待ってください!話し合いましょう!」
ユーリ「いや、剣のほうが手っ取り早い!さっさと倒して通してもらうぜ!」
アニスが勝負をしかけてきた
ラピード「バウ!」
ラピードの魔神犬
アニス「イタッ!」
アニスに50のダメージ。
エステリーゼ「えい!」
エステリーゼの攻撃。
アニス「許さないんだから!」
アニスに30のダメージ
カロル「臥龍アッパー!」
カロルの臥龍アッパー
アニス「やろーてめーぶっ殺す!!」
アニスに65のダメージ
ユーリ「閃いたぜ!円閃牙!」
ユーリの円閃牙
3コンボ。
アニスに80のダメージ。
ユーリ「こいつ、強ぇ」
アニス「アニスちゃんの番だよ!」
アニスの歌う
アニス「ヒーメヒメ♪」
カロル「な、何の歌?」
エステリーゼ「ユ、ユーリ!?」
ユーリ「大好きヒメ♪」
ユーリはノリノリだ。
ラピード「バウ!?」
ラピードは混乱した。
アニスは仲間を呼び、エトスが加わった。
カロル「また虫!?」
エトスの輪唱。
アニス&エトス「ヒーメヒメ♪ヒメ♪大好きヒメ♪」
カロルとエステルは眠ってしまった。
エステリーゼ「そ、そんな……」
アニス&エトス「ヒメは♪ヒメで♪ヒメな〜のだ♪」
※歌詞はうろ覚えです
パーティは全滅した。
ユーリは目の前が真っ暗になった。
『ザーフィアス地下牢』
ユーリ「また最初からかよ。こんなことなら小まめにセーブしとくんだったな」
レイヴン「だからね、青年。ここは青年の家じゃないの。周りをよく見てみな」
カロル「ユーリ、ボクはユーリの目がハートマークになるところなんて見たくなかったよ……」
エステリーゼ「一生の思い出にしますね♪」
ラピード「クゥ〜ン……」
ユーリ「カロル、それにエステルも捕まってんのか!ステータスもリセットされてねぇし、どうなってんだ?」
エステリーゼ「私達が戦ったあの2人は負けないといけないイベントだったのでしょうか?」
ユーリ「どんだけ負けイベント多いんだよ……。クソゲーだなこれ」
カロル「でも何でエステルも捕まってるんだろうね?お姫様を牢屋に入れるなんて普通じゃないよ」
ルブラン「それは姫様が勝手に何処かへ行ってしまわれぬようにだ」
カロル「あっ!銭○警部みたいな人!」
ユーリ「かなりの劣化品だけどな」
ルブラン「それならば貴様は劣化ル○ンといったところか」
ユーリ「俺人の心とか盗まねぇし」
エステリーゼ「それより私を閉じ込める詳しい理由を教えてください。何処へも行かないようにするなら部屋の中に監禁しても良い筈です」
ルブラン「姫様にこの事を伝えると窓から脱走する恐れがあるためです」
エステリーゼ「……教えてください」
ルブラン「実は……独立国家ダングレストを治める……」
ユーリ「何時の間にダングレストは独立国家になったんだ?」
レイヴン「そういう設定なんだから突っ込まないであげようじゃないの」
ルブラン「国王の子息、ヨーデルとの政略結婚が決まったのです」
レイヴン「それって近親そ」
ユーリ「黙れオッサン!!そういう設定なんだから突っ込まないであげようぜ」
エステリーゼ「あの……その縁談を断るとどうなるのでしょうか?」
ルブラン「ダングレストと戦争になります」
シュバーン「よろしい、ならば戦争だ」
カロル「レイヴン、何時の間に着替えたの……?部屋が違うから見えなくて助かったけど」
ルブラン「私は下町の見回りがありますので、これで」
ユーリ「うっし、ならさっさと出て戦争しに行こうぜ。天然殿下とエステルがくっ付いちまったら年齢制限が飛躍的に上がっちまうからな」
カロル「なんか遊びに行くようなノリで言うけど、ラピードも一緒に捕まってるのにどうやって脱出するの?」
ラピード「バウ」
エステリーゼ「それなら問題ありません」
エステリーゼは『ユーリが捨てた割り箸』を使った。
ザギ「ユーリローウェルゥゥウウウウ!!!!」
ザギが現れた。
カロル「うわああああ!!!ザ、ザギ!?」
エステリーゼ「よ〜しよしよしよしよし。ザギ、待てです、待・て」
ザギ「ユ、ユーリ、ユーリロー……」
レイヴン「嬢ちゃん何でザギを手懐けてんの!!?」
エステリーゼ「ザギ、この牢屋を斬ってくれたらこの箸をあげますよ〜」
ザギ「へェア!!」
牢が切り刻まれた。
エステリーゼ「はい、お利口さんです♪」
エステリーゼは『ユーリが捨てた割り箸』を投げた。
ザギ「ユーリローウェルゥウウウウウ!!!!」
カロル「物凄い勢いで追いかけて行っちゃったけど、良いの?」
エステリーゼ「はい♪」
ユーリ「一応聞いておきたいんだが、他にも持ってんのか?」
エステリーゼ「何をです?」
ユーリ「いや、何でもねぇ。やっぱ怖くなってきた……」
レイヴン「結局おっさんは出してもらえないのね……」
〜続く〜