第57話『変化と曇天』
ギュナルスが剣を振るう手首をジークが抑えるという状態のまま2人は硬直している。
ジークが次の攻撃に移るために手首を握る力を少しでも緩めればその瞬間にギュナルスは手首を返し、ジークの腕を切断する。
先程からジークの脳裏にはそのイメージが焼きついていた。
対してギュナルスはそのプレッシャーを楽しむかのようにあえて動こうとしないようにしていた。
そのため、11人も武器を構えたまま下手に動けない。
「お父さん、もう止(や)めようよ……。こんなことしたってお母さんが帰ってこないことぐらい私にでも分かる!」
まくし立てるようにフィオナが怒鳴るとギュナルスは力を緩め、ジークの後ろにいる11人の仲の1人、フィオナの顔を見た。
その隙にジークはバックステップで背後に飛び、隊列に戻る。
「では逆に訊こう。何もしなければ母さんは帰ってくるのか?」
「それは……」
そんなことは有り得ない。
極常識なことである。
今している問答はそんな常識的な会話であり、逆にそんな常識的な会話をしなければならないほど既にギュナルスは壊れかけていた。
「私はなぁフィオナ、ヒトが憎いからユリスの元にいるわけではないのだよ。この世界が憎いんだ。お前の母さんがいなくても、私達にとって大切な世界の一部分だった母さんがいなくても平然と、何食わぬ顔で廻り続けるこの世界がどうしようもなく憎い。そしてこの世界は間もなくユリスの手によって一掃される。ならば今ヒトが1人死のうがそれは早いか遅いかの違いでしかないのさ」
「違う!!」
フィオナは拳を強く握り閉め、叫ぶように声を張り上げる。
フィオナはギュナルスを説得して一緒に帰るために旅をしてきた。
そしてようやくギュナルスと話す機会がまわってきた。
彼を説得するなら今しかない。
それが分かってるからこそヴェイグ達も攻撃をしかけないで待ってくれている。
フィオナは一生懸命脳を回転させ、自分の言葉を探し出す。
「私のお父さんは……私のお父さんはそんなヒトじゃない……少なくとも、ヒトを殺しても何も思わないヒトじゃなかった!」
ギュナルスは一瞬視線を上に上げる。
そして肩の力を抜き、やさしく微笑みかける。
「フィオナ、お前の言う父というのは誰だ?家庭を重んじ、誰よりも家族を愛する男のことか?」
「そうよ?私のお父さんは優しくて強い、私にとってのヒーローなんだから!!」
「……そうか」
ギュナルスは再び空を見上げる。
言葉は届いている。
フィオナは確信しながら言葉を紡ぐ。
が、その前にギュナルスが残酷な口を開く。
「ならば早々に諦めることだフィオナ。そのような男はもうこの世にはいないのだからな」
フィオナは涙を目に溜めたまま言葉が出せない。
何を言えば良いのか、否定してその後どんな言葉を紡げばいいのか分からない。
「ヒトは変わるのだよフィオナ。この世界、この雪の降らなくなった街のようにな」
その変化の象徴とも言える真っ二つになった人魚像の上半身をギュナルスは踏みつける。
まるで一縷の望みを信じていた心を踏みにじるかのように。
フィオナが両手で顔を覆い隠しながら地面に膝を着く。
その音と同時にジークはギュナルスの懐に入る。
「どうした?自慢のスピードも雪の上では出せないか」
ギュナルスは既に剣の切っ先をジークに向け眼球を突き刺す。
しかしジークは首を僅かに傾げながらそれでもスピードを緩めることなく切っ先を頬にかすめながら、右手をギュナルスの口へ伸ばす。
そして口を抑え込むようにギュナルスの顔面を鷲掴みにしたまま雪原に押し倒した。
「……もう黙れよ。フィオナが泣いちまう」
ギュナルスの顔からミシミシミシ!という骨の軋む音が鳴り始め、ギュナルスは仰向けになった状態のままジークを蹴り上げる。
ジークはギュナルスの膝が腹部に当たる寸前に後ろへ大きく跳躍し、ギュナルスはなおも平然な顔をして雪を払いながら立ち上がる。
「フィオナ!まさかもう諦めたんじゃねぇだろうな!?まだやれることは残ってんだろうが!!」
フィオナは膝を折ったまま立ち上がろうとしない。
その左右をルルやヒルダがギュナルスに向かって駆けて行く。
「ふむ、貴君等とは気が合いそうだ。話し合いよりも殺し合うほうが単純であり明快だ。貴君等を片付けた後の方が住民も殺しやすいだろうしな」
「勘違いをするな!」
ヴェイグは大剣を振り下ろすがギュナルスは横へ身をよじることでかわす。
直後剣を振ることで雪を巻き上げるとティトレイ、カイン、ユージーンの視界を塞ぐ。
そして大剣を振り上げようとするヴェイグの大剣を踏みつけ、剣で貫こうとするが突如後ろへ大きく下がりヴェイグとの距離をとる。
するとヴェイグの眼前に閃光の雨が降り注いだ。
舌打ちするヒルダの隣ではマオとブライトも詠唱している。
「私達はあんたを殺すつもりはないわ。でもその代わりにあんたは手足を切り捨ててでも止めるわ。胴体と頭だけは残しといてあげるから、その後はフィオナに時間をかけて説教してもらうことね」
ヒルダは再びライトニングソーサリーで詠唱時間を短縮してから詠唱に入る。
「みんな……」
フィオナは呆然と周囲を見回す。
11対1だというのにギュナルスは全ての攻撃をいなしている。
そんな時、フィオナは不意に背中の襟首を掴まれ強引に立たされた。
その手元から顔まで辿っていくと頬から血を流すジークがいた。
「フィオナ、お前やれること全部やったのか?」
「……え?」
「ギュナルスを説得するんだろ?やれることはまだ残ってる。いや、まだまだ沢山あるはずだ!だから、一回言葉が出なかったからって落ち込むんじゃねぇよ」
ジークはそれだけ言ってギュナルスの元へと走って行った。
上空では暗雲が立ち込み、この街に着く前までの晴れ間が嘘のようだった。
「君は残酷なやつだなジーク」
ギュナルスはジークの拳をかわしながら言葉とは裏腹に笑みを浮かべる。
ヴェイグとティトレイからジークの背後から左右に分かれ旋回しながら挟み込むようにギュナルスを挟撃するがギュナルスは剣を一振りするだけで強烈な剣圧を生み出し二人を吹き飛ばす。
「あのまま戦意を失っていれば私と戦わずに済むではないか。君は親子で殺し合いをさせようと言うのか?」
「殺し合いじゃねぇ!少なくとも俺達には殺す気はないってさっきヒルダが言っただろうが!」
「では何故フィオナを立たせた!?あくまでこれは父親としての勘だが君はフィオナに大変気に入られているようじゃないか!だが君のようなハーフにはたとえ挨拶に来られたとしてもフィオナはやれんな!」
ジークは拳をいままで以上に強く握る。
「認めたくねぇが、あんたの言うとおりフィオナの父親ってのは別人みてぇだな!」
ジークは一瞬でギュナルスの懐に入ると渾身の力でギュナルスの脇腹に拳を突き刺す。
しかし、やはり慣れない雪原で足元に力を入れにくいためにスピードが若干落ちる。
その若干のタイムラグの間にギュナルスは紙一重で回避する。
それでもジークはしつこくギュナルスに食いつく。
「フィオナのお気に入りは俺じゃねぇ!全てが終わってあんたのとこに挨拶に行くのは別の男だ!!」
「……ジークさん?」
フィオナの目の前で陣術の用意をしているアニーがぽつりと呟いた。
「ジークがどうかしたの?」
「えっ?だって今……」
アニーはフィオナを振り返る。
するとフィオナの両隣でマオとジンが詠唱しておりどうやらギュナルスとジークの会話は2人の詠唱でかき消されていたようだった。
ジークは一瞬フィオナの隣にいるジンを見る。
するとジンと目が合い、彼は小さく頷く。
「アニー!ジークがどうしたの!?」
「そ、それは……」
ジークの言葉の真意が分からない以上迂闊なことは言えない。
そんな中ジンが詠唱を終える。
「これで!!」
ジークは再び懐に潜り込み、拳を振りかぶる。
「君もしつこいな。もう見切っているのだよ」
ギュナルスは右足を後ろに引く。
その瞬間を見計らってジークは咄嗟にしゃがんだ。
「凍てつく槍よ。アイスニードル!」
ジンが切っ先をギュナルスへ向けると氷のカラーコーンのような物が発射され、ジークがしゃがむのと同時に彼の上を通過する。
ジンはギュナルスから見てジークと重なるような位置取りをしていたため氷の槍は完全に死角に入っていた。
故にジークがしゃがむことでようやくアイスニードルを視認できるわけだが既に鋭利に光る氷の切っ先はギュナルスの胸板の直前まで来ている。
しかし、それでもギュナルスは剣で逸らす。
ギュナルスはアイスニードルを防御したわけでも、叩き切ったわけでもなかった。
受け流すように氷の切っ先の表面に剣の刀身を滑らせ、軌道を逸らした。
更にその軌道も計算済みだったのか氷の槍は速度を落とすことなくユージーンへ直撃した。
同時に足元でしゃがんでいるジークをサッカーボールを蹴るかのように顔面を蹴り飛ばす。
「がぁあ!!!」
「そんな……何で……」
ジンは呆然と立ち尽くす。
今のは完璧なタイミングだった。
ジークがしゃがむタイミンが早すぎたわけでもない。
むしろ一瞬でも遅れていれば兄を貫いていた。
「これでも軍の教官をやっていたのでね。そういった勘は衰えていないつもりだ」
ギュナルスはジークがジンとアイコンタクトをした瞬間を見逃していなかった。
右足を一歩引いたのもジークの攻撃を避けるための初動と見せかけて槍が胸に届く瞬間をほんの一瞬遅らせるため。
更に左足が前にある姿勢というのは右手で剣を振る者にとって一番最適な姿勢でもある。
「むぅうう……」
氷の槍が砕け、雪と氷が霧散することで発生した雪煙が晴れるとユージーンは胸の当たりを抑えていた。
見るとあの鋼鉄の鎧にヒビが入っていた。
「ユージーン!!」
アニーはユージーンの治療のために即座に駆け寄る。
ジークも頭を蹴られた反動で目眩がするがよろよろと立ち上がる。
しかしその間にもギュナルスの剣がジークの頭上に降りかかる。
「ツインバレット!」
そこへ詠唱を破棄したブライトが二丁の拳銃で連射しギュナルスは弾丸を剣で防ぎながら後退する。
「てめぇさっきから聞いてりゃあ父親だの教官だのと……フィオナには悪いがてめぇが言うと反吐(へど)が出んだよ!!!」
「そうか」
ギュナルスはそれだけ言って笑みを浮かべると、ジークにピーチグミを渡すためにアイテムポーチをまさぐっているルルへ駆け出す。
「ルル!!」
思わずマオは詠唱を中断してしまう。
これまで上級導術を詠唱しており、その詠唱も終え発動する隙を伺っていたがそれどころではなくなってしまった。
今からピンポイントの下級導術を詠唱しても既にギュナルスは剣を振り上げている。
「ウィンドスラッシュ!!」
風が雪を巻き上げながらギュナルスに迫る。
ギュナルスは即座に向きを変えながら風の刃に向かって剣圧を飛ばす。
疾風の刃はギュナルスの手前で剣圧とぶつかり相殺されるがうねった風がギュナルスの頬に傷を付けた。
「……」
ギュナルスはその傷を指でなぞり、指に付着した自分の血を眺める。
「ブライト、私のことは気にしなくて良いわ。あいつだけは絶対に許さない!!」
「おいおい、実の父親をあいつ呼ばわりとは酷いなぁ」
ギュナルスはとぼけたように肩をすくめて見せる。
それが更にフィオナの感情を逆撫でする。
「あんたが言ったのよ、私の父親じゃないって!!」
フィオナは再び突風を巻き起こす。
それをギュナルスは片手間で剣圧を飛ばし相殺させる。
「あぁ、本気になってもらえると私も助かるよ。ぐだぐだと戦われても無駄に長引くだけだからね」
ギュナルスはまたもや空を見上げる。
空は真っ黒な雲が覆っており、風も吹き始めていた。
「荒れそうだね。天気が崩れる前に終わらせてもらうとしよう。その後じっくりと住民を殺させてもらう」
ギュナルスは指の血を舐めながら不適に笑う。
〜続く〜
ジークが次の攻撃に移るために手首を握る力を少しでも緩めればその瞬間にギュナルスは手首を返し、ジークの腕を切断する。
先程からジークの脳裏にはそのイメージが焼きついていた。
対してギュナルスはそのプレッシャーを楽しむかのようにあえて動こうとしないようにしていた。
そのため、11人も武器を構えたまま下手に動けない。
「お父さん、もう止(や)めようよ……。こんなことしたってお母さんが帰ってこないことぐらい私にでも分かる!」
まくし立てるようにフィオナが怒鳴るとギュナルスは力を緩め、ジークの後ろにいる11人の仲の1人、フィオナの顔を見た。
その隙にジークはバックステップで背後に飛び、隊列に戻る。
「では逆に訊こう。何もしなければ母さんは帰ってくるのか?」
「それは……」
そんなことは有り得ない。
極常識なことである。
今している問答はそんな常識的な会話であり、逆にそんな常識的な会話をしなければならないほど既にギュナルスは壊れかけていた。
「私はなぁフィオナ、ヒトが憎いからユリスの元にいるわけではないのだよ。この世界が憎いんだ。お前の母さんがいなくても、私達にとって大切な世界の一部分だった母さんがいなくても平然と、何食わぬ顔で廻り続けるこの世界がどうしようもなく憎い。そしてこの世界は間もなくユリスの手によって一掃される。ならば今ヒトが1人死のうがそれは早いか遅いかの違いでしかないのさ」
「違う!!」
フィオナは拳を強く握り閉め、叫ぶように声を張り上げる。
フィオナはギュナルスを説得して一緒に帰るために旅をしてきた。
そしてようやくギュナルスと話す機会がまわってきた。
彼を説得するなら今しかない。
それが分かってるからこそヴェイグ達も攻撃をしかけないで待ってくれている。
フィオナは一生懸命脳を回転させ、自分の言葉を探し出す。
「私のお父さんは……私のお父さんはそんなヒトじゃない……少なくとも、ヒトを殺しても何も思わないヒトじゃなかった!」
ギュナルスは一瞬視線を上に上げる。
そして肩の力を抜き、やさしく微笑みかける。
「フィオナ、お前の言う父というのは誰だ?家庭を重んじ、誰よりも家族を愛する男のことか?」
「そうよ?私のお父さんは優しくて強い、私にとってのヒーローなんだから!!」
「……そうか」
ギュナルスは再び空を見上げる。
言葉は届いている。
フィオナは確信しながら言葉を紡ぐ。
が、その前にギュナルスが残酷な口を開く。
「ならば早々に諦めることだフィオナ。そのような男はもうこの世にはいないのだからな」
フィオナは涙を目に溜めたまま言葉が出せない。
何を言えば良いのか、否定してその後どんな言葉を紡げばいいのか分からない。
「ヒトは変わるのだよフィオナ。この世界、この雪の降らなくなった街のようにな」
その変化の象徴とも言える真っ二つになった人魚像の上半身をギュナルスは踏みつける。
まるで一縷の望みを信じていた心を踏みにじるかのように。
フィオナが両手で顔を覆い隠しながら地面に膝を着く。
その音と同時にジークはギュナルスの懐に入る。
「どうした?自慢のスピードも雪の上では出せないか」
ギュナルスは既に剣の切っ先をジークに向け眼球を突き刺す。
しかしジークは首を僅かに傾げながらそれでもスピードを緩めることなく切っ先を頬にかすめながら、右手をギュナルスの口へ伸ばす。
そして口を抑え込むようにギュナルスの顔面を鷲掴みにしたまま雪原に押し倒した。
「……もう黙れよ。フィオナが泣いちまう」
ギュナルスの顔からミシミシミシ!という骨の軋む音が鳴り始め、ギュナルスは仰向けになった状態のままジークを蹴り上げる。
ジークはギュナルスの膝が腹部に当たる寸前に後ろへ大きく跳躍し、ギュナルスはなおも平然な顔をして雪を払いながら立ち上がる。
「フィオナ!まさかもう諦めたんじゃねぇだろうな!?まだやれることは残ってんだろうが!!」
フィオナは膝を折ったまま立ち上がろうとしない。
その左右をルルやヒルダがギュナルスに向かって駆けて行く。
「ふむ、貴君等とは気が合いそうだ。話し合いよりも殺し合うほうが単純であり明快だ。貴君等を片付けた後の方が住民も殺しやすいだろうしな」
「勘違いをするな!」
ヴェイグは大剣を振り下ろすがギュナルスは横へ身をよじることでかわす。
直後剣を振ることで雪を巻き上げるとティトレイ、カイン、ユージーンの視界を塞ぐ。
そして大剣を振り上げようとするヴェイグの大剣を踏みつけ、剣で貫こうとするが突如後ろへ大きく下がりヴェイグとの距離をとる。
するとヴェイグの眼前に閃光の雨が降り注いだ。
舌打ちするヒルダの隣ではマオとブライトも詠唱している。
「私達はあんたを殺すつもりはないわ。でもその代わりにあんたは手足を切り捨ててでも止めるわ。胴体と頭だけは残しといてあげるから、その後はフィオナに時間をかけて説教してもらうことね」
ヒルダは再びライトニングソーサリーで詠唱時間を短縮してから詠唱に入る。
「みんな……」
フィオナは呆然と周囲を見回す。
11対1だというのにギュナルスは全ての攻撃をいなしている。
そんな時、フィオナは不意に背中の襟首を掴まれ強引に立たされた。
その手元から顔まで辿っていくと頬から血を流すジークがいた。
「フィオナ、お前やれること全部やったのか?」
「……え?」
「ギュナルスを説得するんだろ?やれることはまだ残ってる。いや、まだまだ沢山あるはずだ!だから、一回言葉が出なかったからって落ち込むんじゃねぇよ」
ジークはそれだけ言ってギュナルスの元へと走って行った。
上空では暗雲が立ち込み、この街に着く前までの晴れ間が嘘のようだった。
「君は残酷なやつだなジーク」
ギュナルスはジークの拳をかわしながら言葉とは裏腹に笑みを浮かべる。
ヴェイグとティトレイからジークの背後から左右に分かれ旋回しながら挟み込むようにギュナルスを挟撃するがギュナルスは剣を一振りするだけで強烈な剣圧を生み出し二人を吹き飛ばす。
「あのまま戦意を失っていれば私と戦わずに済むではないか。君は親子で殺し合いをさせようと言うのか?」
「殺し合いじゃねぇ!少なくとも俺達には殺す気はないってさっきヒルダが言っただろうが!」
「では何故フィオナを立たせた!?あくまでこれは父親としての勘だが君はフィオナに大変気に入られているようじゃないか!だが君のようなハーフにはたとえ挨拶に来られたとしてもフィオナはやれんな!」
ジークは拳をいままで以上に強く握る。
「認めたくねぇが、あんたの言うとおりフィオナの父親ってのは別人みてぇだな!」
ジークは一瞬でギュナルスの懐に入ると渾身の力でギュナルスの脇腹に拳を突き刺す。
しかし、やはり慣れない雪原で足元に力を入れにくいためにスピードが若干落ちる。
その若干のタイムラグの間にギュナルスは紙一重で回避する。
それでもジークはしつこくギュナルスに食いつく。
「フィオナのお気に入りは俺じゃねぇ!全てが終わってあんたのとこに挨拶に行くのは別の男だ!!」
「……ジークさん?」
フィオナの目の前で陣術の用意をしているアニーがぽつりと呟いた。
「ジークがどうかしたの?」
「えっ?だって今……」
アニーはフィオナを振り返る。
するとフィオナの両隣でマオとジンが詠唱しておりどうやらギュナルスとジークの会話は2人の詠唱でかき消されていたようだった。
ジークは一瞬フィオナの隣にいるジンを見る。
するとジンと目が合い、彼は小さく頷く。
「アニー!ジークがどうしたの!?」
「そ、それは……」
ジークの言葉の真意が分からない以上迂闊なことは言えない。
そんな中ジンが詠唱を終える。
「これで!!」
ジークは再び懐に潜り込み、拳を振りかぶる。
「君もしつこいな。もう見切っているのだよ」
ギュナルスは右足を後ろに引く。
その瞬間を見計らってジークは咄嗟にしゃがんだ。
「凍てつく槍よ。アイスニードル!」
ジンが切っ先をギュナルスへ向けると氷のカラーコーンのような物が発射され、ジークがしゃがむのと同時に彼の上を通過する。
ジンはギュナルスから見てジークと重なるような位置取りをしていたため氷の槍は完全に死角に入っていた。
故にジークがしゃがむことでようやくアイスニードルを視認できるわけだが既に鋭利に光る氷の切っ先はギュナルスの胸板の直前まで来ている。
しかし、それでもギュナルスは剣で逸らす。
ギュナルスはアイスニードルを防御したわけでも、叩き切ったわけでもなかった。
受け流すように氷の切っ先の表面に剣の刀身を滑らせ、軌道を逸らした。
更にその軌道も計算済みだったのか氷の槍は速度を落とすことなくユージーンへ直撃した。
同時に足元でしゃがんでいるジークをサッカーボールを蹴るかのように顔面を蹴り飛ばす。
「がぁあ!!!」
「そんな……何で……」
ジンは呆然と立ち尽くす。
今のは完璧なタイミングだった。
ジークがしゃがむタイミンが早すぎたわけでもない。
むしろ一瞬でも遅れていれば兄を貫いていた。
「これでも軍の教官をやっていたのでね。そういった勘は衰えていないつもりだ」
ギュナルスはジークがジンとアイコンタクトをした瞬間を見逃していなかった。
右足を一歩引いたのもジークの攻撃を避けるための初動と見せかけて槍が胸に届く瞬間をほんの一瞬遅らせるため。
更に左足が前にある姿勢というのは右手で剣を振る者にとって一番最適な姿勢でもある。
「むぅうう……」
氷の槍が砕け、雪と氷が霧散することで発生した雪煙が晴れるとユージーンは胸の当たりを抑えていた。
見るとあの鋼鉄の鎧にヒビが入っていた。
「ユージーン!!」
アニーはユージーンの治療のために即座に駆け寄る。
ジークも頭を蹴られた反動で目眩がするがよろよろと立ち上がる。
しかしその間にもギュナルスの剣がジークの頭上に降りかかる。
「ツインバレット!」
そこへ詠唱を破棄したブライトが二丁の拳銃で連射しギュナルスは弾丸を剣で防ぎながら後退する。
「てめぇさっきから聞いてりゃあ父親だの教官だのと……フィオナには悪いがてめぇが言うと反吐(へど)が出んだよ!!!」
「そうか」
ギュナルスはそれだけ言って笑みを浮かべると、ジークにピーチグミを渡すためにアイテムポーチをまさぐっているルルへ駆け出す。
「ルル!!」
思わずマオは詠唱を中断してしまう。
これまで上級導術を詠唱しており、その詠唱も終え発動する隙を伺っていたがそれどころではなくなってしまった。
今からピンポイントの下級導術を詠唱しても既にギュナルスは剣を振り上げている。
「ウィンドスラッシュ!!」
風が雪を巻き上げながらギュナルスに迫る。
ギュナルスは即座に向きを変えながら風の刃に向かって剣圧を飛ばす。
疾風の刃はギュナルスの手前で剣圧とぶつかり相殺されるがうねった風がギュナルスの頬に傷を付けた。
「……」
ギュナルスはその傷を指でなぞり、指に付着した自分の血を眺める。
「ブライト、私のことは気にしなくて良いわ。あいつだけは絶対に許さない!!」
「おいおい、実の父親をあいつ呼ばわりとは酷いなぁ」
ギュナルスはとぼけたように肩をすくめて見せる。
それが更にフィオナの感情を逆撫でする。
「あんたが言ったのよ、私の父親じゃないって!!」
フィオナは再び突風を巻き起こす。
それをギュナルスは片手間で剣圧を飛ばし相殺させる。
「あぁ、本気になってもらえると私も助かるよ。ぐだぐだと戦われても無駄に長引くだけだからね」
ギュナルスはまたもや空を見上げる。
空は真っ黒な雲が覆っており、風も吹き始めていた。
「荒れそうだね。天気が崩れる前に終わらせてもらうとしよう。その後じっくりと住民を殺させてもらう」
ギュナルスは指の血を舐めながら不適に笑う。
〜続く〜
■作者メッセージ
takeshi「ども〜!今月は何故か久し振りに忙しく感じたtakeshiです」
チャリティ「今月は先月より更新できなかったわね〜」
ガルム「おいおいそろそろ俺帰っちまうのに大丈夫なのかよ?」
takeshi「帰るといっても本編に帰るだけじゃないですか。それと前回の更新からそんなに日が経ってないのですが、二つの作品に感想を書いてきたんですよ!」
チャリティ「前回の更新からまだ一週間も経ってないわね」
ガルム「で、それがどうかしたのか?」
takeshi「いやぁ初めましての人に感想を書くのはドキドキしますね!!例えるなら入ったことのないラーメン屋に入ってメニューを選ぶ時のような、そんなドキドキでした」
チャリティ「……なんか微妙なドキドキね」
takeshi「こちらでは初対面というだけですし、完全に初対面だとしてもテイルズ仲間ですからね。流石に清水の舞台から飛び降りるような緊張感はありませんよ」
ガルム「感想を書くだけでそこまで緊張はしねぇだろ」
takeshi「いえいえ!書き始めた頃なんて緊張しまくりでしたよ!ただ今回は緊張以前に非常に怒ってはいますけど……」
チャリティ「オコなの?激オコなの?」
takeshi「もう激オコプンプン丸ですよ!!何ですかねあの文字数制限の少なさは!?1000字だと思ってたら500字じゃないですか!!な、何を書けと言うのか…!!」
ガルム「500字じゃあ1分スピーチでも時間が余っちまうな……」
takeshi「マジ何なん!?舐めてるの?ペロリンチョなんですか?ねぇねぇ?試しに500字で小学校の思い出とか語ってみろよ!!」
チャリティ「お、落ち着きなさいって!言ってることが稚拙すぎてバカがばれるわよ!?」
takeshi「何ていうか、雷電さんが仏に思えますよ……」
ガルム「そこで第三者の名前を出すんじゃねぇ!!」
チャリティ「そういえば今月はモンスターズだけじゃなくてペルソナ3も見てきたんでしょ!?」
takeshi「あぁ……前売り券持ってくの忘れたから結局劇場で買ったやつね……」
ガルム「チャリティ!お前、余計に落ち込ませてどうすんだ!」
チャリティ「わ、私は話題を変えようと思っただけだし!!」
takeshi「ペルソナ3もゲームBGMを要所要所に使用してるし、一斉攻撃の時の台詞や気絶した時の台詞なども随所に入れてて面白かったですよ?それと、一応言っておきますがモンスターズとペルソナ3を見た日は別の日です」
チャリティ「二つも見ると終電に間に合わないものね」
takeshi「ただ一つだけ気になることがあるとしたらアイギスの演技が人間寄りになってたことですかねぇ。ゲームでは「ナナコロビヤオキでアリマス」や「ナルホドナー」と言った感じだったんですが映画では「七転び八起き、であります」や「なるほどなぁ」になってたんですよ」
ガルム「文字だと伝わりにくいな……」
takeshi「ていうかちひろが出ない!!何で!?ペルソナ3で一番可愛い攻略対象であるちひろが出ないってどういうことなの!?バカなの!?」
ガルム「急にテンションが上がったな……」
チャリティ「こいつには可愛い子を与えておけば万事解決ってことね」
takeshi「さてさて、鬱憤も晴らしたところで本編の話をしようと思うのですが……特にないですね」
ガルム「普通に戦ってるだけだしなぁ〜」
takeshi「ではちょっと裏話をさせていただくのですが、先々月だったかな?パソコンを変えたって話はしましたよね?」
チャリティ「引越しの話をしていた時ね」
takeshi「で、新しく買ったPCは中古の物を買ったのですが、ようやくワードが私色に染まってきたんですよ」
ガルム「お前はいつもわけの分からないことを言うよな。最初から分かりやすく言えよ」
takeshi「つまり一発変換で私が欲する漢字が出るようになってきたということですよ!今ではもう「あお」と打って変換すれば「蒼」と一発で出ますし「い」と打って変換すると「ィ」になります」
チャリティ「「ィ」なんて何に使うの?」
takeshi「『シャーリィ』に使うんですよ。ちなみに「剣」と変換しようとしたら「券」になったり「保健」と変換しようとしたら「保険」になっていたりした時は、このPCを前に使ってた人は証券会社に勤めてたのかな?と色々推測していました」
ガルム「じゃあこのPCを次に使うやつは不幸だな」
takeshi「何でですか!?」
チャリティ「「中二の頃の思い出」って打とうとしたら「厨二の頃の想い出」って変換されて誤字に気付かずに提出しちゃったら、あんただったらどうすんのよ?」
takeshi「登校拒否になりますね」
ガルム「さすがにそこまでは行かねぇとは思うが……」
takeshi「大丈夫ですよ!私PCは売りませんし!それより6月も残り僅かですし、最低でも今月中に後1回は更新するのでガルムさんは何かメッセージを考えておいてくださいね」
ガルム「まぁ結局はお前が考えるんだけどな」
takeshi「メタ発言禁止!あ、「発言」と変換しようとするとよく「発現」になってしまうのですが、本当に前の持ち主は何をされてる方なんですかね?って、その話じゃなくて、確かにキャラクターの言動は私が考えているところが大きいですが、勝手に会話を始めることもよくあるんです。だからガルムさんも自分の言葉で話してくださいね」
ガルム「んな無茶な……」
takeshi「チャリティさんは半年前から勝手に喋り始めてますよ?ではまた〜」
―――オマケ―――
『デイドン砦』
カロル「ユーリ、セーブとかしなくていいの?」
ユーリ「ぁあ?この一回キリのヒリヒリ感が良いんじゃねぇか」
エステリーゼ「それはユーリだけです……」
ラピード「バウ!」
ユーリ「ラピードも俺と同意見みたいだぜ?」
カロル「でも僕達は今……」
フレン「止まれ」
エステリーゼ「フレン!!」
ユーリ「お前、エステルの警護もしねぇでこんなことで何やってんだよ?」
フレン「バカを言うな。僕はヨーデル殿下専属騎士だ。何故敵国の姫を護衛する必要がある」
カロル「そういう設定なんだね」
フレン「兎に角、ここで会えたのなら好都合です。エステリーゼ様、一緒に来てください。そうすればこの戦争も終わるはずです」
エステリーゼ「フレン……」
ユーリ「話し合いじゃ埒が明かないことぐらい分かってんだろ?フレン。俺達が顔を合わせたら、まずはこれ(剣)だろ」
フレン「ふっ、そうだな」
フレンが勝負をしかけてきた。
ユーリ「さしで勝負だ!フレン!」
フレン「望むところだ!」
ユーリ「円閃牙!」
ユーリの円閃牙
フレン「遅い!」
ミス
フレン「はぁっ!」
フレンの攻撃。
ユーリ「ぐお!」
ユーリに100のダメージ。
ユーリ「やるなフレン!」
フレン「まだまだ!」
ユーリ「蒼破!」
ユーリの蒼破刃
フレン「ぐっ…」
フレンに110のダメージ。
フレン「虎牙破斬!」
フレンの虎牙破斬
ユーリ「油断した……」
ユーリに250のダメージ。
ユーリ「あらよっと」
フレン「何故君は何時もそこまで抗うんだユーリ!?力量の差は歴然だ!」
ユーリ「1週目の時に散々言ったはずだぜフレン。誰かのための犠牲なんて間違ってる!」
フレン「なら君のやってる行為は正しいと言えるのか!?君はエステリーゼ様を渡さない所為で戦争になっているんだぞ!?」
ユーリ「じゃあお前は年齢制限の規制を引き上げて15歳未満の子供達は我慢してろって言うのかよ!?」
フレン「それぐらい我慢しろよ!!」
ユーリ「……それもそうだな」
エステリーゼ「納得しないでください!!」
ユーリ「まっ、たとえ納得したとしても負ける気はねぇけどな」
フレン「だから君には勝ち目がないとさっき言っただろう」
ユーリ「んなもんやってみないと分からねぇだろうが」
フレン「では聞くが、蒼破刃と円閃牙しか覚えてない君が現時点でレベル30の僕にどうやって勝つって言うんだい?」
カロル「だからセーブしようって言ったのに……」
フレン「レベル上げを怠った君の落ち度だ。リセットして出直してくるんだな」
ユーリ「お前は大事なことを見落としてるぜ?フレン」
フレン「何……だと……」
ユーリ「さっき言ったよな?「1週目で散々言ったはずだ」って。つまり今の俺達は2週目ってわけだ」
フレン「……だからどうした?」
ユーリ「引継ぎって知ってっか?」
フレン「まさか!?」
ユーリ「気付くのか遅かったな!」
ユーリはアワーグラスを使った
ユーリ「今だ!タコ殴りにしてやるぜ!!」
カロル「ユーリ……ここまでの負けイベントでも使ってれば勝てたのに……」
エステリーゼ「敢えてフレンと戦うまで温存しておいたんですね!そんな容赦の無さに痺れる憧れます!!」
フレン「ぐああああ!!!」
フレンは力尽きた。
それぞれ4000の経験値を獲得!
ユーリはレベルアップ!
ユーリ「全身に力が漲(みなぎ)るぜ……!」
エステリーゼはレベルアップ!
エステリーゼ「力が湧いてきました!」
ラピードはレベルアップ!
ラピード「アオオォォォン!!」
カロルはレベルアップ!
カロル「みなぎってきたよ!」
リバースドールを手に入れた。
フレン「君は……あくまで2人の婚約を認めないと言う訳か……」
ユーリ「まぁな。R18指定なんてごめんだぜ」
フレン「君は、その道を選ぶんだね?」
なんとフレンは立ち上がり、仲間になりたそうな目をしてこちらを見ている。
カロル「え?そうなの?」
ユーリ「選ぶんじゃねぇ。もう、選んだんだよ」
フレンが仲間になった!
エステリーゼ「男の子の友情って素敵です!」
カロル「そうなの!?」
ヨーデル「どうやら、負けてしまったようですね」
フレン「殿下!!私が合図を出すまで出てきてはならないと言ったではありませんか!」
ヨーデル「フレン、「敗者は何を言っても無意味」と本田選手も言っていましたよ?」
フレン「時事ネタをここで出さないでください!」
ヨーデル「ユーリ、貴方にはまた迷惑をかけてしまったようですね」
ユーリ「まったくな」
フレン「ユーリ!!」
ヨーデル「よしなさいフレン。今度は「口だけになってしまい申し訳なく思っています」と言わなくてはならなくなりますよ?」
フレン「あの…殿下、私と本田選手を重ねていませんか?」
ヨーデル「別に顔がうるさいとまでは思っていないので安心してください」
フレン「今の発言を聞いて余計に穏やかでいられなくなったのですが……!!」
ヨーデル「そんなことよりユーリ、エステリーゼ。2人に聞いていただきたいことがあるのです」
エステリーゼ「はい……?」
ヨーデル「今回の縁談、実は僕も反対なのです」
ユーリ「そうなのか?」
ヨーデル「はい。僕の知らない所で縁談の話が進んでおり、実際に父に問い質そうともしたのですが面会さえも叶わず……」
エステリーゼ「つまり、ヨーデルの父上と直接会って話す必要がある、ということです?」
ヨーデル「そういうことになりますね」
ユーリ「ん?最初からヨーデルも反対してたってことは、フレンと戦う必要は無かったんじゃねぇか?」
フレン「ハハハ、ここで少しでもレベルを上げておかないと後で困るだろ?」
ユーリ「つっても相変わらず蒼破刃と円閃牙しか使えないけどな」
フレン「君達さっきまでレベルいくつだったんだい!?」
カロル「う〜ん、ユーリがステータスなんて関係ねぇって言って全然見せてくれなかったから分からないけど、不戦勝記録だけは伸びてたよ」
エステリーゼ「履歴書に学歴なんて関係ねぇって言うニートみたいでした♪」
ユーリ「蒼破刃と円閃牙縛りでクリアするのも面白いかもしれねぇだろ?つうか、ヨーデルの親父ってまさかクラトスじゃねぇだろうな?」
ヨーデル「いえいえ、それは有り得ないので安心してください。ドン・ホワイトホースですよ」
ユーリ「それはそれで有り得ねぇだろ……」
カロル「あのドンが人の意見を無視して勝手に話を進めるとは思えないけど……」
エステリーゼ「とにかく行ってみましょう!」
〜続く〜
チャリティ「今月は先月より更新できなかったわね〜」
ガルム「おいおいそろそろ俺帰っちまうのに大丈夫なのかよ?」
takeshi「帰るといっても本編に帰るだけじゃないですか。それと前回の更新からそんなに日が経ってないのですが、二つの作品に感想を書いてきたんですよ!」
チャリティ「前回の更新からまだ一週間も経ってないわね」
ガルム「で、それがどうかしたのか?」
takeshi「いやぁ初めましての人に感想を書くのはドキドキしますね!!例えるなら入ったことのないラーメン屋に入ってメニューを選ぶ時のような、そんなドキドキでした」
チャリティ「……なんか微妙なドキドキね」
takeshi「こちらでは初対面というだけですし、完全に初対面だとしてもテイルズ仲間ですからね。流石に清水の舞台から飛び降りるような緊張感はありませんよ」
ガルム「感想を書くだけでそこまで緊張はしねぇだろ」
takeshi「いえいえ!書き始めた頃なんて緊張しまくりでしたよ!ただ今回は緊張以前に非常に怒ってはいますけど……」
チャリティ「オコなの?激オコなの?」
takeshi「もう激オコプンプン丸ですよ!!何ですかねあの文字数制限の少なさは!?1000字だと思ってたら500字じゃないですか!!な、何を書けと言うのか…!!」
ガルム「500字じゃあ1分スピーチでも時間が余っちまうな……」
takeshi「マジ何なん!?舐めてるの?ペロリンチョなんですか?ねぇねぇ?試しに500字で小学校の思い出とか語ってみろよ!!」
チャリティ「お、落ち着きなさいって!言ってることが稚拙すぎてバカがばれるわよ!?」
takeshi「何ていうか、雷電さんが仏に思えますよ……」
ガルム「そこで第三者の名前を出すんじゃねぇ!!」
チャリティ「そういえば今月はモンスターズだけじゃなくてペルソナ3も見てきたんでしょ!?」
takeshi「あぁ……前売り券持ってくの忘れたから結局劇場で買ったやつね……」
ガルム「チャリティ!お前、余計に落ち込ませてどうすんだ!」
チャリティ「わ、私は話題を変えようと思っただけだし!!」
takeshi「ペルソナ3もゲームBGMを要所要所に使用してるし、一斉攻撃の時の台詞や気絶した時の台詞なども随所に入れてて面白かったですよ?それと、一応言っておきますがモンスターズとペルソナ3を見た日は別の日です」
チャリティ「二つも見ると終電に間に合わないものね」
takeshi「ただ一つだけ気になることがあるとしたらアイギスの演技が人間寄りになってたことですかねぇ。ゲームでは「ナナコロビヤオキでアリマス」や「ナルホドナー」と言った感じだったんですが映画では「七転び八起き、であります」や「なるほどなぁ」になってたんですよ」
ガルム「文字だと伝わりにくいな……」
takeshi「ていうかちひろが出ない!!何で!?ペルソナ3で一番可愛い攻略対象であるちひろが出ないってどういうことなの!?バカなの!?」
ガルム「急にテンションが上がったな……」
チャリティ「こいつには可愛い子を与えておけば万事解決ってことね」
takeshi「さてさて、鬱憤も晴らしたところで本編の話をしようと思うのですが……特にないですね」
ガルム「普通に戦ってるだけだしなぁ〜」
takeshi「ではちょっと裏話をさせていただくのですが、先々月だったかな?パソコンを変えたって話はしましたよね?」
チャリティ「引越しの話をしていた時ね」
takeshi「で、新しく買ったPCは中古の物を買ったのですが、ようやくワードが私色に染まってきたんですよ」
ガルム「お前はいつもわけの分からないことを言うよな。最初から分かりやすく言えよ」
takeshi「つまり一発変換で私が欲する漢字が出るようになってきたということですよ!今ではもう「あお」と打って変換すれば「蒼」と一発で出ますし「い」と打って変換すると「ィ」になります」
チャリティ「「ィ」なんて何に使うの?」
takeshi「『シャーリィ』に使うんですよ。ちなみに「剣」と変換しようとしたら「券」になったり「保健」と変換しようとしたら「保険」になっていたりした時は、このPCを前に使ってた人は証券会社に勤めてたのかな?と色々推測していました」
ガルム「じゃあこのPCを次に使うやつは不幸だな」
takeshi「何でですか!?」
チャリティ「「中二の頃の思い出」って打とうとしたら「厨二の頃の想い出」って変換されて誤字に気付かずに提出しちゃったら、あんただったらどうすんのよ?」
takeshi「登校拒否になりますね」
ガルム「さすがにそこまでは行かねぇとは思うが……」
takeshi「大丈夫ですよ!私PCは売りませんし!それより6月も残り僅かですし、最低でも今月中に後1回は更新するのでガルムさんは何かメッセージを考えておいてくださいね」
ガルム「まぁ結局はお前が考えるんだけどな」
takeshi「メタ発言禁止!あ、「発言」と変換しようとするとよく「発現」になってしまうのですが、本当に前の持ち主は何をされてる方なんですかね?って、その話じゃなくて、確かにキャラクターの言動は私が考えているところが大きいですが、勝手に会話を始めることもよくあるんです。だからガルムさんも自分の言葉で話してくださいね」
ガルム「んな無茶な……」
takeshi「チャリティさんは半年前から勝手に喋り始めてますよ?ではまた〜」
―――オマケ―――
『デイドン砦』
カロル「ユーリ、セーブとかしなくていいの?」
ユーリ「ぁあ?この一回キリのヒリヒリ感が良いんじゃねぇか」
エステリーゼ「それはユーリだけです……」
ラピード「バウ!」
ユーリ「ラピードも俺と同意見みたいだぜ?」
カロル「でも僕達は今……」
フレン「止まれ」
エステリーゼ「フレン!!」
ユーリ「お前、エステルの警護もしねぇでこんなことで何やってんだよ?」
フレン「バカを言うな。僕はヨーデル殿下専属騎士だ。何故敵国の姫を護衛する必要がある」
カロル「そういう設定なんだね」
フレン「兎に角、ここで会えたのなら好都合です。エステリーゼ様、一緒に来てください。そうすればこの戦争も終わるはずです」
エステリーゼ「フレン……」
ユーリ「話し合いじゃ埒が明かないことぐらい分かってんだろ?フレン。俺達が顔を合わせたら、まずはこれ(剣)だろ」
フレン「ふっ、そうだな」
フレンが勝負をしかけてきた。
ユーリ「さしで勝負だ!フレン!」
フレン「望むところだ!」
ユーリ「円閃牙!」
ユーリの円閃牙
フレン「遅い!」
ミス
フレン「はぁっ!」
フレンの攻撃。
ユーリ「ぐお!」
ユーリに100のダメージ。
ユーリ「やるなフレン!」
フレン「まだまだ!」
ユーリ「蒼破!」
ユーリの蒼破刃
フレン「ぐっ…」
フレンに110のダメージ。
フレン「虎牙破斬!」
フレンの虎牙破斬
ユーリ「油断した……」
ユーリに250のダメージ。
ユーリ「あらよっと」
フレン「何故君は何時もそこまで抗うんだユーリ!?力量の差は歴然だ!」
ユーリ「1週目の時に散々言ったはずだぜフレン。誰かのための犠牲なんて間違ってる!」
フレン「なら君のやってる行為は正しいと言えるのか!?君はエステリーゼ様を渡さない所為で戦争になっているんだぞ!?」
ユーリ「じゃあお前は年齢制限の規制を引き上げて15歳未満の子供達は我慢してろって言うのかよ!?」
フレン「それぐらい我慢しろよ!!」
ユーリ「……それもそうだな」
エステリーゼ「納得しないでください!!」
ユーリ「まっ、たとえ納得したとしても負ける気はねぇけどな」
フレン「だから君には勝ち目がないとさっき言っただろう」
ユーリ「んなもんやってみないと分からねぇだろうが」
フレン「では聞くが、蒼破刃と円閃牙しか覚えてない君が現時点でレベル30の僕にどうやって勝つって言うんだい?」
カロル「だからセーブしようって言ったのに……」
フレン「レベル上げを怠った君の落ち度だ。リセットして出直してくるんだな」
ユーリ「お前は大事なことを見落としてるぜ?フレン」
フレン「何……だと……」
ユーリ「さっき言ったよな?「1週目で散々言ったはずだ」って。つまり今の俺達は2週目ってわけだ」
フレン「……だからどうした?」
ユーリ「引継ぎって知ってっか?」
フレン「まさか!?」
ユーリ「気付くのか遅かったな!」
ユーリはアワーグラスを使った
ユーリ「今だ!タコ殴りにしてやるぜ!!」
カロル「ユーリ……ここまでの負けイベントでも使ってれば勝てたのに……」
エステリーゼ「敢えてフレンと戦うまで温存しておいたんですね!そんな容赦の無さに痺れる憧れます!!」
フレン「ぐああああ!!!」
フレンは力尽きた。
それぞれ4000の経験値を獲得!
ユーリはレベルアップ!
ユーリ「全身に力が漲(みなぎ)るぜ……!」
エステリーゼはレベルアップ!
エステリーゼ「力が湧いてきました!」
ラピードはレベルアップ!
ラピード「アオオォォォン!!」
カロルはレベルアップ!
カロル「みなぎってきたよ!」
リバースドールを手に入れた。
フレン「君は……あくまで2人の婚約を認めないと言う訳か……」
ユーリ「まぁな。R18指定なんてごめんだぜ」
フレン「君は、その道を選ぶんだね?」
なんとフレンは立ち上がり、仲間になりたそうな目をしてこちらを見ている。
カロル「え?そうなの?」
ユーリ「選ぶんじゃねぇ。もう、選んだんだよ」
フレンが仲間になった!
エステリーゼ「男の子の友情って素敵です!」
カロル「そうなの!?」
ヨーデル「どうやら、負けてしまったようですね」
フレン「殿下!!私が合図を出すまで出てきてはならないと言ったではありませんか!」
ヨーデル「フレン、「敗者は何を言っても無意味」と本田選手も言っていましたよ?」
フレン「時事ネタをここで出さないでください!」
ヨーデル「ユーリ、貴方にはまた迷惑をかけてしまったようですね」
ユーリ「まったくな」
フレン「ユーリ!!」
ヨーデル「よしなさいフレン。今度は「口だけになってしまい申し訳なく思っています」と言わなくてはならなくなりますよ?」
フレン「あの…殿下、私と本田選手を重ねていませんか?」
ヨーデル「別に顔がうるさいとまでは思っていないので安心してください」
フレン「今の発言を聞いて余計に穏やかでいられなくなったのですが……!!」
ヨーデル「そんなことよりユーリ、エステリーゼ。2人に聞いていただきたいことがあるのです」
エステリーゼ「はい……?」
ヨーデル「今回の縁談、実は僕も反対なのです」
ユーリ「そうなのか?」
ヨーデル「はい。僕の知らない所で縁談の話が進んでおり、実際に父に問い質そうともしたのですが面会さえも叶わず……」
エステリーゼ「つまり、ヨーデルの父上と直接会って話す必要がある、ということです?」
ヨーデル「そういうことになりますね」
ユーリ「ん?最初からヨーデルも反対してたってことは、フレンと戦う必要は無かったんじゃねぇか?」
フレン「ハハハ、ここで少しでもレベルを上げておかないと後で困るだろ?」
ユーリ「つっても相変わらず蒼破刃と円閃牙しか使えないけどな」
フレン「君達さっきまでレベルいくつだったんだい!?」
カロル「う〜ん、ユーリがステータスなんて関係ねぇって言って全然見せてくれなかったから分からないけど、不戦勝記録だけは伸びてたよ」
エステリーゼ「履歴書に学歴なんて関係ねぇって言うニートみたいでした♪」
ユーリ「蒼破刃と円閃牙縛りでクリアするのも面白いかもしれねぇだろ?つうか、ヨーデルの親父ってまさかクラトスじゃねぇだろうな?」
ヨーデル「いえいえ、それは有り得ないので安心してください。ドン・ホワイトホースですよ」
ユーリ「それはそれで有り得ねぇだろ……」
カロル「あのドンが人の意見を無視して勝手に話を進めるとは思えないけど……」
エステリーゼ「とにかく行ってみましょう!」
〜続く〜