第59話『ユニーク武器と思念の力』
「飛天翔駆!」
ユージーンとティトレイの2人からの攻撃を正面で捌(さば)いているギュナルスの背後からカインが急降下してくる。
それをギュナルスは後ろも振り向かずにカインの足がギュナルスの後頭部をとらえる直前に身を捻った。
「閃空裂破!」
回転斬をしながら上昇していくギュナルスの渦にユージーン、ティトレイ、カインは弾かれる。
そこへジークとルルがデュナルスへ向かって跳躍する。
ギュナルスのこのパターンはこれまで散々見てきている。
彼はこのまま何もせずに着地しようとすればその隙を狙われると予想して空襲剣か紅蓮剣で周囲に威嚇する。
しかしそれをただ防ぐのではなく、こちらから向かい討てばまだ勝機を生み出せるかもしれない。
ギュナルスは宙を蹴り空中を水平移動する。
「飛燕連脚!」
「旋空閃!」
こちらに向かってくるギュナルスにジークは飛び蹴りを、ルルは如意棒をプロペラを回すかのように手首を回転さえ振り回す。
「空襲剣!」
ギュナルスは2人を気にも留めずに空中を走り抜け、まるでトラックが路上に放置された障害物を跳ね飛ばすかのようにジークとルルを吹き飛ばした。
「ジーク!ルル!」
背中を打ち付け、肺から酸素が押し出され咳き込むジークとルルにギュナルスが剣を振りかざす。
そこへヴェイグが走りこむ。
が、ギュナルスとの距離が2、3m開いたままのところでヴェイグの体を覆っていた青白いオーラが消えた。
「君も限界のようだな」
ギュナルスはターゲットをヴェイグに変更し、剣を横凪に振るうことでヴェイグに剣圧を飛ばす。
「させるか!」
それをヴェイグは大剣でガードするが思いのほか威力が重く、大剣を上に逸らしてしまう。
するとギュナルスは既に剣を鞘に収めており、一瞬のうちに抜刀する。
「真空破斬!」
ヴェイグが先程の衝撃で大剣を上段の構えのように持ち上げているおかげで首から下ががら空きのところへ真空破が飛び交う。
「させない!!」
そこへフィオナが真空破とヴェイグの間に割り込むと、扇で真空破を防ぎ切った。
フィオナとギュナルスとの距離は約1m。
フィオナの閉じた扇でも十分間合いに入っている。
「はぁ!」
フィオナはバットを振るようにして扇を振るう。
それをギュナルスはヴェイグ相手に散々やってきたように剣の刀身を斜めに傾け、扇を滑らせるようにして受け流す。
(やっぱり!)
フィオナの顔が確信に変わるのと当時にフィオナは振り切った体勢のまま扇をバッと開く。
「何!?」
ギュナルスがここに来て初めて動揺するがフィオナはお構いなしに振り切った体勢から返す力で右から左へ扇を振るう。
ギュナルスは跳躍し、扇からは逃れるが扇から発生した竜巻に捕まってしまいドラム式の洗濯機に放り込まれたかのように回転しながら上空へ打ち上がった。
「攻守交代よ!あんたらはアニーの陣の中で休んでなさい!」
「はぁ!?ふざけんな!」
フィオナの後方、今までマオ達が詠唱していた後衛とフィオナの間にギュナルスが落下するとフィオナは踵を返し、その背中に向かってジークは怒鳴る。
しかし突然膝に力が入らなくなり雪原に片膝を着いてしまう。
隣を見るとルルも両膝両手を地面について肩で息をしていた。
無理も無い。
慣れない雪原でギュナルスから距離を取ろうとしたり詰めたりとバスケットの試合が1試合はできるほど走り回ったのだから。
ジークはフィオナの言葉を信じてこちらに走ってくるアニーの姿を見た。
* * *
雹は先程よりも更に激しく、最早嵐のように吹き荒れていた。
大量に降ってくる雹はまるでバケツの中に詰めた大量の小石を頭から一気にかけられている気分だった。
その雹の嵐によりどこへ逃げてもダメージを負ってしまう。
確かに雪原は慣れているとは言え、ギュナルスは早目に決着をつけたかった。
フィオナから『意外』な一撃を受けて雪原に倒れていたギュナルスは一度頭を振り立ち上がる。
位置は中衛から後衛の間、ここからなら後衛に攻撃をしかけることができる位置取りだ。
ギュナルスは一瞬で状況整理を済ませ、さっさとこの戦闘を終わらせるために後衛へターゲットを向ける。
しかし今詠唱していなければならないはずのマオとヒルダの姿が無く、今詠唱しているのはブライトとジンだけだ。
(どこに……?)
一瞬、ギュナルスの右側の視界に光る物が移る。
その光は極一瞬で小さいものだったが見逃さなかったギュナルスは自分の目の前に一本の線を引くように剣を瞬時に振り上げる。
すると、何か弾くようなキンという音が剣から木霊する。
「今のが見えるなんて大したものね。それとも、ただの勘かしら?」
ヒルダがカードを指に挟むようにしてキャッチしながら笑みを浮かべる。
どうやら今弾いたのはヒルダのカードだったらしい。
「えぇい!」
ギュナルスは咄嗟に振り返りつつガードする。
するとマオのトンファーとギュナルスの剣がぶつかりあう。
(私としたことが……)
謎の飛来物の正体を探ることに集中し、マオのことを忘れていた。
しかし、その隙が命取りとなる。
「フォルスフレイム!!」
マオは突然トンファーを引っ込め、体を広げてジャンプするとまるで花火のように体を広げるのと同時にマオの体が爆発した。
「ぐおおおお!!!」
マオの熱風は防ぐことができず、ギュナルスは雪原の上を何回も転がった。
そしてなんとか止まり立ち上がろうとするが、左半身が火傷を負っていた。
ギュナルスは雪原の中に右足と左足を即座に突っ込む。
「ぐぅ……!!」
左半身を剣山で刺すような痛みが走り、ギュナルスは顔をしかめる。
即座に応急処置をすませ、その場から瞬時に飛び退く。
すると、ギュナルスが片腕を突っ込んでいた位置に銃弾が乱射される。
一瞬でも判断が遅れていれば避けるのは厳しかった。
「突き刺せ!アイスニードル!」
「懲(こ)りんなぁ、君も!」
ギュナルスは再び氷の砲弾を受け流すために剣の刀身を斜めにして構える。
そして氷の弾丸が剣に当たった瞬間、衝撃を逃がすために踏ん張っていたギュナルスの右足が滑り思わず片膝を着いてしまう。
「っ!?」
氷の弾丸は軌道が逸れ、なんとかギュナルスの右肩を掠(かす)めていく程度だった。
改めて足場を見てみると雪と泥が混じり合い、更に雪も半分溶けかけてぬかるんでいた。
恐らく先程のヒルダのストーンブレイクで地面が掘り起こされ、その後のマオのバーンストライクで雪が溶かされこのような地形になったのだろう。
(この場に追い込まれたという訳か……。だがまだ甘いな)
ギュナルスにとって地形はさしたるハンデにはならない。
確かにノルゼンでぬかるみにはまるという予想外の地形に遭遇したが、そこにぬかるみがあると分かればあとは地元のラジルダがある湿地帯とほぼ変わらない。
「はぁっ!!」
と、そこへフィオナが跳躍しながら閉じたままの扇を振り下ろす。
それをギュナルスは剣を横に構え、正面からガードした。
「ぐっ…!!」
落下速度が加算された衝撃にギュナルスの手首が悲鳴を上げる。
「やっぱり、今度は避けなかったわね」
鍔迫り合いながらフィオナが確信に迫る。
「ほう?ハッタリで私の精神を揺さぶる作戦か。頭を使うようになったじゃないかフィオナ」
「ハッタリがどうか、確かめてみれば!?」
フィオナは鍔迫り合いを押し切ると、即座に扇を開く。
ギュナルスもよろめきながらも後退しつつ、フィオナが扇を開いている瞬間に剣を鞘に収める。
「ウィンドスラッシュ!」
「真空破斬!」
風の刃と真空の鎌居達が交差し、大気が捻じ曲がる。
「貫け、サンダースピア!」
「結局はハッタリではないか」
ギュナルスは右に飛ぶことで直線にしか進む無い紫電の矢を回避する。
フィオナが何か掴んだようなことを言っていたが、これではひたすら攻撃してくる最初の作戦と何も変わっていない。
ギュナルスは背後より走ってくる足音を捉え、振り返る。
するとルルが雷の槍をすれすれで避けるようにしながら接近していた。
「瞬迅槍!」
ギュナルスの左は未だにサンダースピアの軌跡が残っている。
フィオナの扇を受け、手首が痺れているため直接ガードも避けたい。
ならばバックステップで距離をとり、ぎりぎりで間合いの外に出ればいい。
数々の武器を熟知しているギュナルスにとってその武器にとっての最適の間合いは全て知っている。
故に当たるか当たらないかのぎりぎりのラインで攻撃を回避することはお手のもので、これまでユージーンやティトレイ、ジークやカインの攻撃もそうやって回避してきた。
ギュナルスは今までと同じように地面を前に蹴り、体を後ろに飛ばす。
ルルの如意棒はギュナルスの胸の辺りを捉えているが、拳一つ分届かないまま距離が縮まらない。
「伸びろ!!」
ルルが何かを言った。
だが音が言葉になる前に如意棒が突然伸縮し、ギュナルスの胸を突いた。
「カハッ!!」
ギュナルスの体がくの字に曲がり、肺から酸素が叩き出される。
「氷結よ、我が命に答え敵をなぎ払え……」
ルルの瞬迅槍により吹き飛び、雪原を滑った体が止まった頃にはルルから大分離されていた。
しかしただでさえ息切れしていたルルが多少体力を回復させたとは言え雪原の上のダッシュはきつかったのか仰向けに倒れていた。
「おのれ、よくも……」
完全に頭に血が上ったギュナルスはヒルダが張った伏線に気付かない。
あのサンダースピアはただ単に攻撃のためのものではないと。
冷静なギュナルスであれば何故あそこで直線にしか進まないサンダースピアを詠唱したのか推測したはずだった。
ヒルダの詠唱が終わる。
「フリーズランサー!!」
ヒルダが腕をクロスさせると自信の前に魔法陣が展開され、そこから5本の巨大な氷の槍が5本扇状に打ち出される。
5本の槍のうち真ん中の槍がギュナルスを捉えており、残りの4本がギュナルスの左右を塞ぐため左右に回避することはできない。
「ならば!!」
ギュナルスは剣を振り、剣圧を飛ばすことでマオのバーンストライクを回避した時のように切り裂こうとする。
しかし氷の槍は何もなかったかのように剣圧を弾き飛ばし、ギュナルスへ直撃する。
「ぐぁああああああ!!!」
爆風に雪が巻きあげられ霧散し煙のように立ち上るなか、ギュナルスの体が空を舞うように打ち上げられた。
「慢心が命取りだったな、ギュナルス」
ブライトは先程ギュナルスに斬られた箇所を押さえる。
「確かにお前はどんな武器も使いこなせるだけの知識はあるんだろうが、全てじゃねぇ。世の中にはナイフやフォークを武器にして戦うやつだっているんだからよ」
ギュナルスの体が雪原にドシャっと打ち付けられる。
ブライトの言うとおり、ギュナルスはルルの如意棒やマオのトンファー、ヒルダのカードなど普通軍の兵士が使わないような武器に関する知識は無い。
故に間合い等が分からず、ルルの最初の攻撃だけは受け流すことも回避することもせずに正面からガードした。
フィオナの武器も同様にユニーク武器のためギュナルスの知識にはない。
彼女はそれを察知したからこそ旅に出る時扇をチョイスしたのかもしれない。
「ふ……」
ギュナルスは仰向けのまま口を開く。
雹はいまだに止む気配がなく、しかしもはや顔に当たっている感覚はない。
「ふははははは!!!」
ギュナルスは一頻り笑った後、ゆっくりと立ち上がる。
フィオナ達は勝ったはずだ。
しかし気味の悪さが全身を離そうとしない。
「まさか、貴君等相手にコレを使うことになるとはな」
ギュナルスの体から黒い霧のような物が噴出す。
「おいあれって!!」
陣の中で状況を見守っていたティトレイがギュナルスを指差す。
「はぁっ!!」
ギュナルスが気合を入れるように叫ぶのと同時に、ギュナルスの体から突発的な風が噴出した。
直後、黒い霧がギュナルスの体に纏わりつき、まるでオーラを発しているかのように見えた。
「これが思念の力だ」
ギュナルスが威圧の込もった不適な笑みを浮かべる。
ジークとジンが即座に走り出す。
「まずは手始めだ」
ギュナルスは仰向けに倒れたままのルルに視線を向け、剣を振るう。
すると、先程とは比べ物にならない大きさの剣圧がルルを襲う。
「きゃあ!!」
思わずルルは目を閉じ悲鳴を上げる。
しかしルルの体には何も起こらない。
ルルはゆっくりと目を開けると眼前には雪で見えるはずのない大地が抉られており、その上空を2人の兄が血を流しながら舞っていた。
「お兄ちゃん!!!」
ルルが悲痛な叫びを上げる。
〜続く〜
ユージーンとティトレイの2人からの攻撃を正面で捌(さば)いているギュナルスの背後からカインが急降下してくる。
それをギュナルスは後ろも振り向かずにカインの足がギュナルスの後頭部をとらえる直前に身を捻った。
「閃空裂破!」
回転斬をしながら上昇していくギュナルスの渦にユージーン、ティトレイ、カインは弾かれる。
そこへジークとルルがデュナルスへ向かって跳躍する。
ギュナルスのこのパターンはこれまで散々見てきている。
彼はこのまま何もせずに着地しようとすればその隙を狙われると予想して空襲剣か紅蓮剣で周囲に威嚇する。
しかしそれをただ防ぐのではなく、こちらから向かい討てばまだ勝機を生み出せるかもしれない。
ギュナルスは宙を蹴り空中を水平移動する。
「飛燕連脚!」
「旋空閃!」
こちらに向かってくるギュナルスにジークは飛び蹴りを、ルルは如意棒をプロペラを回すかのように手首を回転さえ振り回す。
「空襲剣!」
ギュナルスは2人を気にも留めずに空中を走り抜け、まるでトラックが路上に放置された障害物を跳ね飛ばすかのようにジークとルルを吹き飛ばした。
「ジーク!ルル!」
背中を打ち付け、肺から酸素が押し出され咳き込むジークとルルにギュナルスが剣を振りかざす。
そこへヴェイグが走りこむ。
が、ギュナルスとの距離が2、3m開いたままのところでヴェイグの体を覆っていた青白いオーラが消えた。
「君も限界のようだな」
ギュナルスはターゲットをヴェイグに変更し、剣を横凪に振るうことでヴェイグに剣圧を飛ばす。
「させるか!」
それをヴェイグは大剣でガードするが思いのほか威力が重く、大剣を上に逸らしてしまう。
するとギュナルスは既に剣を鞘に収めており、一瞬のうちに抜刀する。
「真空破斬!」
ヴェイグが先程の衝撃で大剣を上段の構えのように持ち上げているおかげで首から下ががら空きのところへ真空破が飛び交う。
「させない!!」
そこへフィオナが真空破とヴェイグの間に割り込むと、扇で真空破を防ぎ切った。
フィオナとギュナルスとの距離は約1m。
フィオナの閉じた扇でも十分間合いに入っている。
「はぁ!」
フィオナはバットを振るようにして扇を振るう。
それをギュナルスはヴェイグ相手に散々やってきたように剣の刀身を斜めに傾け、扇を滑らせるようにして受け流す。
(やっぱり!)
フィオナの顔が確信に変わるのと当時にフィオナは振り切った体勢のまま扇をバッと開く。
「何!?」
ギュナルスがここに来て初めて動揺するがフィオナはお構いなしに振り切った体勢から返す力で右から左へ扇を振るう。
ギュナルスは跳躍し、扇からは逃れるが扇から発生した竜巻に捕まってしまいドラム式の洗濯機に放り込まれたかのように回転しながら上空へ打ち上がった。
「攻守交代よ!あんたらはアニーの陣の中で休んでなさい!」
「はぁ!?ふざけんな!」
フィオナの後方、今までマオ達が詠唱していた後衛とフィオナの間にギュナルスが落下するとフィオナは踵を返し、その背中に向かってジークは怒鳴る。
しかし突然膝に力が入らなくなり雪原に片膝を着いてしまう。
隣を見るとルルも両膝両手を地面について肩で息をしていた。
無理も無い。
慣れない雪原でギュナルスから距離を取ろうとしたり詰めたりとバスケットの試合が1試合はできるほど走り回ったのだから。
ジークはフィオナの言葉を信じてこちらに走ってくるアニーの姿を見た。
* * *
雹は先程よりも更に激しく、最早嵐のように吹き荒れていた。
大量に降ってくる雹はまるでバケツの中に詰めた大量の小石を頭から一気にかけられている気分だった。
その雹の嵐によりどこへ逃げてもダメージを負ってしまう。
確かに雪原は慣れているとは言え、ギュナルスは早目に決着をつけたかった。
フィオナから『意外』な一撃を受けて雪原に倒れていたギュナルスは一度頭を振り立ち上がる。
位置は中衛から後衛の間、ここからなら後衛に攻撃をしかけることができる位置取りだ。
ギュナルスは一瞬で状況整理を済ませ、さっさとこの戦闘を終わらせるために後衛へターゲットを向ける。
しかし今詠唱していなければならないはずのマオとヒルダの姿が無く、今詠唱しているのはブライトとジンだけだ。
(どこに……?)
一瞬、ギュナルスの右側の視界に光る物が移る。
その光は極一瞬で小さいものだったが見逃さなかったギュナルスは自分の目の前に一本の線を引くように剣を瞬時に振り上げる。
すると、何か弾くようなキンという音が剣から木霊する。
「今のが見えるなんて大したものね。それとも、ただの勘かしら?」
ヒルダがカードを指に挟むようにしてキャッチしながら笑みを浮かべる。
どうやら今弾いたのはヒルダのカードだったらしい。
「えぇい!」
ギュナルスは咄嗟に振り返りつつガードする。
するとマオのトンファーとギュナルスの剣がぶつかりあう。
(私としたことが……)
謎の飛来物の正体を探ることに集中し、マオのことを忘れていた。
しかし、その隙が命取りとなる。
「フォルスフレイム!!」
マオは突然トンファーを引っ込め、体を広げてジャンプするとまるで花火のように体を広げるのと同時にマオの体が爆発した。
「ぐおおおお!!!」
マオの熱風は防ぐことができず、ギュナルスは雪原の上を何回も転がった。
そしてなんとか止まり立ち上がろうとするが、左半身が火傷を負っていた。
ギュナルスは雪原の中に右足と左足を即座に突っ込む。
「ぐぅ……!!」
左半身を剣山で刺すような痛みが走り、ギュナルスは顔をしかめる。
即座に応急処置をすませ、その場から瞬時に飛び退く。
すると、ギュナルスが片腕を突っ込んでいた位置に銃弾が乱射される。
一瞬でも判断が遅れていれば避けるのは厳しかった。
「突き刺せ!アイスニードル!」
「懲(こ)りんなぁ、君も!」
ギュナルスは再び氷の砲弾を受け流すために剣の刀身を斜めにして構える。
そして氷の弾丸が剣に当たった瞬間、衝撃を逃がすために踏ん張っていたギュナルスの右足が滑り思わず片膝を着いてしまう。
「っ!?」
氷の弾丸は軌道が逸れ、なんとかギュナルスの右肩を掠(かす)めていく程度だった。
改めて足場を見てみると雪と泥が混じり合い、更に雪も半分溶けかけてぬかるんでいた。
恐らく先程のヒルダのストーンブレイクで地面が掘り起こされ、その後のマオのバーンストライクで雪が溶かされこのような地形になったのだろう。
(この場に追い込まれたという訳か……。だがまだ甘いな)
ギュナルスにとって地形はさしたるハンデにはならない。
確かにノルゼンでぬかるみにはまるという予想外の地形に遭遇したが、そこにぬかるみがあると分かればあとは地元のラジルダがある湿地帯とほぼ変わらない。
「はぁっ!!」
と、そこへフィオナが跳躍しながら閉じたままの扇を振り下ろす。
それをギュナルスは剣を横に構え、正面からガードした。
「ぐっ…!!」
落下速度が加算された衝撃にギュナルスの手首が悲鳴を上げる。
「やっぱり、今度は避けなかったわね」
鍔迫り合いながらフィオナが確信に迫る。
「ほう?ハッタリで私の精神を揺さぶる作戦か。頭を使うようになったじゃないかフィオナ」
「ハッタリがどうか、確かめてみれば!?」
フィオナは鍔迫り合いを押し切ると、即座に扇を開く。
ギュナルスもよろめきながらも後退しつつ、フィオナが扇を開いている瞬間に剣を鞘に収める。
「ウィンドスラッシュ!」
「真空破斬!」
風の刃と真空の鎌居達が交差し、大気が捻じ曲がる。
「貫け、サンダースピア!」
「結局はハッタリではないか」
ギュナルスは右に飛ぶことで直線にしか進む無い紫電の矢を回避する。
フィオナが何か掴んだようなことを言っていたが、これではひたすら攻撃してくる最初の作戦と何も変わっていない。
ギュナルスは背後より走ってくる足音を捉え、振り返る。
するとルルが雷の槍をすれすれで避けるようにしながら接近していた。
「瞬迅槍!」
ギュナルスの左は未だにサンダースピアの軌跡が残っている。
フィオナの扇を受け、手首が痺れているため直接ガードも避けたい。
ならばバックステップで距離をとり、ぎりぎりで間合いの外に出ればいい。
数々の武器を熟知しているギュナルスにとってその武器にとっての最適の間合いは全て知っている。
故に当たるか当たらないかのぎりぎりのラインで攻撃を回避することはお手のもので、これまでユージーンやティトレイ、ジークやカインの攻撃もそうやって回避してきた。
ギュナルスは今までと同じように地面を前に蹴り、体を後ろに飛ばす。
ルルの如意棒はギュナルスの胸の辺りを捉えているが、拳一つ分届かないまま距離が縮まらない。
「伸びろ!!」
ルルが何かを言った。
だが音が言葉になる前に如意棒が突然伸縮し、ギュナルスの胸を突いた。
「カハッ!!」
ギュナルスの体がくの字に曲がり、肺から酸素が叩き出される。
「氷結よ、我が命に答え敵をなぎ払え……」
ルルの瞬迅槍により吹き飛び、雪原を滑った体が止まった頃にはルルから大分離されていた。
しかしただでさえ息切れしていたルルが多少体力を回復させたとは言え雪原の上のダッシュはきつかったのか仰向けに倒れていた。
「おのれ、よくも……」
完全に頭に血が上ったギュナルスはヒルダが張った伏線に気付かない。
あのサンダースピアはただ単に攻撃のためのものではないと。
冷静なギュナルスであれば何故あそこで直線にしか進まないサンダースピアを詠唱したのか推測したはずだった。
ヒルダの詠唱が終わる。
「フリーズランサー!!」
ヒルダが腕をクロスさせると自信の前に魔法陣が展開され、そこから5本の巨大な氷の槍が5本扇状に打ち出される。
5本の槍のうち真ん中の槍がギュナルスを捉えており、残りの4本がギュナルスの左右を塞ぐため左右に回避することはできない。
「ならば!!」
ギュナルスは剣を振り、剣圧を飛ばすことでマオのバーンストライクを回避した時のように切り裂こうとする。
しかし氷の槍は何もなかったかのように剣圧を弾き飛ばし、ギュナルスへ直撃する。
「ぐぁああああああ!!!」
爆風に雪が巻きあげられ霧散し煙のように立ち上るなか、ギュナルスの体が空を舞うように打ち上げられた。
「慢心が命取りだったな、ギュナルス」
ブライトは先程ギュナルスに斬られた箇所を押さえる。
「確かにお前はどんな武器も使いこなせるだけの知識はあるんだろうが、全てじゃねぇ。世の中にはナイフやフォークを武器にして戦うやつだっているんだからよ」
ギュナルスの体が雪原にドシャっと打ち付けられる。
ブライトの言うとおり、ギュナルスはルルの如意棒やマオのトンファー、ヒルダのカードなど普通軍の兵士が使わないような武器に関する知識は無い。
故に間合い等が分からず、ルルの最初の攻撃だけは受け流すことも回避することもせずに正面からガードした。
フィオナの武器も同様にユニーク武器のためギュナルスの知識にはない。
彼女はそれを察知したからこそ旅に出る時扇をチョイスしたのかもしれない。
「ふ……」
ギュナルスは仰向けのまま口を開く。
雹はいまだに止む気配がなく、しかしもはや顔に当たっている感覚はない。
「ふははははは!!!」
ギュナルスは一頻り笑った後、ゆっくりと立ち上がる。
フィオナ達は勝ったはずだ。
しかし気味の悪さが全身を離そうとしない。
「まさか、貴君等相手にコレを使うことになるとはな」
ギュナルスの体から黒い霧のような物が噴出す。
「おいあれって!!」
陣の中で状況を見守っていたティトレイがギュナルスを指差す。
「はぁっ!!」
ギュナルスが気合を入れるように叫ぶのと同時に、ギュナルスの体から突発的な風が噴出した。
直後、黒い霧がギュナルスの体に纏わりつき、まるでオーラを発しているかのように見えた。
「これが思念の力だ」
ギュナルスが威圧の込もった不適な笑みを浮かべる。
ジークとジンが即座に走り出す。
「まずは手始めだ」
ギュナルスは仰向けに倒れたままのルルに視線を向け、剣を振るう。
すると、先程とは比べ物にならない大きさの剣圧がルルを襲う。
「きゃあ!!」
思わずルルは目を閉じ悲鳴を上げる。
しかしルルの体には何も起こらない。
ルルはゆっくりと目を開けると眼前には雪で見えるはずのない大地が抉られており、その上空を2人の兄が血を流しながら舞っていた。
「お兄ちゃん!!!」
ルルが悲痛な叫びを上げる。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート42】
takeshi「ども〜!今回は文字数4999字とチキンレースなら間違いなく優勝なtakeshiです!」
チャリティ「んなもんやったっところで度胸は測れないでしょうが」
takeshi「早速本編の話なのですが今回ヒルダが放ったフリーズランサーですが、威力高すぎじゃね?と思った方のために一応補足しておきますとリバースではフリーズランサーが上級導術の更に上の奥義なんです」
チャリティ「サンダースピアが布石だったわけね」
takeshi「これ、今更の説明なのですがリバースでは上級以下の導術を使用もしくは特技を使用した直後でないと奥義を発動できないのです。ちなみに何時サンダースピアなんて撃ったっけ?という方は上にスクロールして本分中盤辺りを読み直してみてください」
チャリティ「……」
takeshi「……どうしました?」
チャリティ「なんか静かね」
takeshi「ここ二ヶ月、話数にして10話分ゲストがいましたからね〜。なんでしたら誰かゲスト呼びます?」
チャリティ「別に私はあんたと2人でもいいけど?」
takeshi「なんとっ!?2人きりのほうが良いですって!?急に照れちゃってチャリティさんも可愛いとこありますねー!!」
チャリティ「それはない」
takeshi「でしょうね」
チャリティ「それよりオマケよ!何で遺跡船に行くことになってんの!?私の書いたシナリオにはなかったはずだけど!?」
takeshi「あ〜、今月海の日があるんですよ」
チャリティ「……だから?」
takeshi「いえね?私GAYMにいた頃は海の日はシャーリィの日だー!とか言って毎年限定企画をやってたんですよ」
チャリティ「……それで?」
takeshi「よく考えたら7月って七夕もあるじゃないですか。で、七夕といえば星。星といえばヴェスペリア」
チャリティ「……つまり?」
takeshi「天の川と海の日。つまりはヴェスペリアとレジェンディアということで折角ヴェスペリアを主軸にしてストーリーを進めているんだからレジェンディアとコラボしたいなぁと思ったわけです!」
チャリティ「ほう」
takeshi「どうでしょう?」
チャリティ「まっ、何処へ行こうと私の狙い通りの展開でストーリーが進んでいるから構わないんだけどね。好きにすれば?」
takeshi「あざっす!」
チャリティ「……」
takeshi「……」
チャリティ「ねぇ、私達ってこんなに会話が続かなかったっけ?」
takeshi「ど、どうでしたかね……?今月まだ始まったばっかりだから話の種が無いというのはありますけども……」
チャリティ「私達もそろそろ潮時かもしれないわね」
takeshi「そろそろっていうか、最初からでしたけどね!」
チャリティ「あんたそんなこと思ってたの!?」
takeshi「最初の頃は読者の方々に出番の全くないチャリティさんのキャラクターを知ってもらうために呼んだのですが全然波長が合わなくて、「こいつやりにくいな〜。まだミミーの方がマシだったかもしれん」とか思ってましたし。おっと無駄な時間を過ごすならオマケを進めろって話ですね。ではまた〜」
チャリティ「ちょっt」
―――オマケ―――
『アーセルム号』
リタ「な、何回来ても薄気味悪い所ね……」
カロル「アレクセイは結局一緒に来てくれないし……幽霊とかに会わないうちにさっさと済ませようよユーリ」
ユーリ「その幽霊に会わねぇと用事が済まないんだけどな」
フレン「しかし、どこにいるんだろうか?」
ラピード「バウ!」
ユーリ「最深部か……。結構遠いな」
エステリーゼ「ではパッと行きましょう!」
『アーセルム号最深部』
リタ「何今の?どうやったの!?」
エステリーゼ「選択画面でカーソルを「はい」に合わせて○ボタンを押す簡単なお仕事です♪」
フレン「これはまずいな……」
カロル「ど、どうしたのフレン?」
フレン「僕がパーティに加わったからには積極的にレベル上げをさせるはずが、もう最深部に着いてしまうなんて……!!」
カロル「あぁ…そう……」
ラピード「バウ!」
ユーリ「誰かいるぞ!!」
???「……ない……どこにも……ない……」
―――白い布を被った何かが動いている。
リタ「お化けよ!きっとお化けだわ!どうしよどうしよどうすんのよ!?」
ユーリ「落ち着けリタ!俺の服を引っ張るな!襟(えり)が伸びるだろうが!」
リタ「もう十分伸びてんだから良いでしょ!?」
ユーリ「てめッ、今まで俺の胸元見てそんなこと思っていやがったのか!!」
リタ「うっさい下町育ち!早く何とかしなさいよ!!さもないと胸元を今よりワイルドにするわよ!?」
エステリーゼ「ダメですリタ!ユーリにワイルドなんてギャグまで付けたら余計に時代遅れになってしまいます!ここは私が!」
エステリーゼはユーリが捨てた剣の鞘を使った。
ザギ「ユーリ・ローウェルウウウウウウ!!!!!」
カロル&リタ「「ギャアアアアアアア!!!!」」
ザギが現れた。
リタ「って、ザギじゃない!」
エステリーゼ「よーしよしよしよしよしよし。よーしよしよしよしよし」
ザギ「ユー、ユー…ユーリ……」
リタ「エステルがどっかの動物王国の主みたいになってるんだけど?」
???「ユーリ?もしかしてユーリなのか?」
ユーリ「ぁあ?この声はまさか……」
パティ「ユーリー!会いたかったのじゃ〜!」
フレン「パティ!?」
エステリーゼ「幽霊の正体はパティだったんです!?」
パティ「何の話じゃ?」
リタ「ったく、脅かすんじゃないわよ!まぁ、あたしは驚かなかったけど」
パティ「うぅ、よく分からんが悪かったのじゃリタ姐……」
ザギ「ローウェル〜」
エステリーゼ「これならザギは必要ありませんでしたね」
エステリーゼはユーリが投げ捨てた剣の鞘を放り投げた。
ザギ「ユーリイイイイイィィィィ……」
リタ「ね、ねぇエステル。あんたが今投げたようなやつって他にも持ってんの?べ、別に興味はないんだけどさ……」
エステリーゼ「ユーリの鞘だったら一週目で沢山拾ったのでいっぱい持ってますよ?ただパンツや靴下はユーリが穴が空いても使い続けてしまうのでレアなんです」
リタ「へ、へぇ〜」
カロル「リタ、何物欲しそうな顔してんの?」
リタ「ばっ、そんな顔してないわよバーカ!」
ユーリ「つうか、パティがザギと一緒に俺の鞘を追いかけていったのは良いのかよ?」
エステリーゼ「パティー!帰ってきてくださ〜い!!」
フレン「だ、大丈夫なのだろうかこのパーティで……」
パティ「あ、危うくエステルの飼い魚になるところだったのじゃ……」
カロル「お帰りパティ」
ユーリ「んで?パティはこんなとこで何してたんだ?何か探してたみたいだが……」
パティ「ウチか?ウチは船のパーツを探しておったのじゃ!」
カロル「何で?」
パティ「それがのぅ、ウチの船が故障して動かなくなってしまったのじゃ。そこでここに来ればまだ使える部品があるかと思ってきたのじゃがなかなか見つからんのじゃ……」
リタ「あんた船持ってんの!?」
パティ「この前ガストに行った時船の設計図がビビビっと閃いて急いで造ったのじゃ!」
フレン「そんなに簡単に造れるものではないと思うんだが……」
エステリーゼ「ということは修理したらまた使えるんです?」
パティ「勿論じゃ!特別にユーリ達も乗せてやるのじゃ。ユーリとウチ専用の部屋も作ったしのう」
ユーリ「で?そのパーツってのは手に入りにくいもんなのか?」
カロル「華麗にスルーするんだね……」
パティ「肝心の動力部が壊れてしまってのう……。詳しく説明するとハムスターがよく走ってる滑車に第六天魔王みたいな声で舞茸聖剣とか言う白髪の男を走らせれば直るのじゃが、なかなか条件に当てはまる男が見つからんのじゃ……」
リタ「それって……」
ユーリ「うし!外に戻るぞ!」
パティ「もしかして知っておるのか!?」
フレン「話は後だ!逃げられる前に兎に角外へ!」
『アーセルム号付近の海上』
アレクセイ「ふむ、ようやく戻ったか。って、うわっ!何をする!?」
パティ「おぉ!条件通りなのじゃ!流石ユーリ!」
ユーリ「さっさと運ぼうぜ」
『パティの船内』
―――動力部に滑車がある
どうしますか?
ユーリ「ここでさっき手に入れたアレクセイを使えば良い訳か」
パティ「ユーリユーリ!ウチと一緒に入れるのじゃ!ウチ、きょうどうさぎょうというやつに憧れて……」
ユーリ「よっこいしょういちっと」
ユーリはアレクセイを滑車に設置した。
アレクセイ「みなぎってきたぜぇええええ!!!」
リタ「す、すごい回転数だわ!」
パティ「バンエルティア号の完成なのじゃ〜!!」
ユーリ「……どっかで聞いた名前だな」
エステリーゼ「私もです……」
バンエルティア号を手に入れた!
行ける所が増えました。
カロル「この船で遺跡船っていう所にも行けるんだね」
パティ「ユーリ達は遺跡船に行きたいのか?」
ユーリ「あぁ、ちょいと野暮用でな」
パティ「だったらウチも行くのじゃ!」
フレン「そもそもパティが居なければ船も操縦できないしね」
ユーリ「よろしく頼むぜ?パティ」
パティ「お墓の中まで頼まれたのじゃ!」
パティが仲間になりました。
リタ「ねぇ、何でパティだけちゃんとパーティに入るイベントがあんの?あいつ実は満更でもないんじゃない?」
エステリーゼ「今回のは仕方ないような気が……」
パティ「それじゃあ遺跡船に向けて出航なのじゃー!!」
カロル「おー!!」
『遺跡船』
ユーリ「そういやそろそろパーティ編成考えねぇとな」
エステリーゼ「突然どうしたんです?」
リタ「そうね、遺跡船には部外者を立ち入らせないために変わった種族が護ってるって古文書に書いてあったし、戦闘は免れないと思うわ」
カロル「でもその古文書って税込みで108エンだったんでしょ?あてになるのかな〜?」
リタ「失礼ね!270エンよ!ちなみに現在の消費税8%込みでね!」
エステリーゼ「これを読み返している人は既に10%になっているのでしょうか?」
フレン「と、兎に角!その戦闘に備えて僕達7人の中から戦闘レギュラー4人を選出しないといけないんだね?」
ユーリ「そういうこった。とりあえず俺は確定として、後は……」
フレン「ちょっと待ってくれ!円閃牙と蒼破刃がしか使えない人間が固定レギュラーというのは納得いかないな」
ユーリ「じゃあフレンも確定にすれば文句ねぇだろ?」
エステリーゼ「私の回復も必須ですよね!?」
リタ「後ろからの援護も必要よね」
パティ「嫁と夫はいつでも一心同体なのじゃ!!」
ラピード「バウ!」
カロル「ぼ、僕だって戦うよ!(ベンチにしてベンチにしてお願いだからベンチにして!)」
ユーリ「チッ、しょうがねぇな。じゃあローテーションにすっか」
パティ「それはダメじゃ!ユーリがいない時にウチだけ戦闘しても退屈なのじゃ」
フレン「というか、ローテーションが一周するほど戦闘しないだろ」
エステリーゼ「それは言えてます」
リタ「ここは公平にじゃんけんにするべきよ!」
ラピード「バウ!」
ユーリ「ラピードは俺が通訳してやるよ。それじゃ、じゃんけんで決定な」
パティ「港が見えてきたのじゃ!」
〜続く〜
【楽談パート42.5】
チャリティ「ねぇ、本当に最初そう思ってたの?ねぇ?」
takeshi「いやぁ、やっぱとろーりクリームプリンは美味しいですね〜。あのお値段でこの美味しさは有り得ないですよ」
チャリティ「私の分は!?」
takeshi「そこらへんにありますよ?」
チャリティ「甘い物を食べると細かい事とかどうでもよくなるわよね〜」
takeshi「ですよね〜。ではまた〜」
takeshi「ども〜!今回は文字数4999字とチキンレースなら間違いなく優勝なtakeshiです!」
チャリティ「んなもんやったっところで度胸は測れないでしょうが」
takeshi「早速本編の話なのですが今回ヒルダが放ったフリーズランサーですが、威力高すぎじゃね?と思った方のために一応補足しておきますとリバースではフリーズランサーが上級導術の更に上の奥義なんです」
チャリティ「サンダースピアが布石だったわけね」
takeshi「これ、今更の説明なのですがリバースでは上級以下の導術を使用もしくは特技を使用した直後でないと奥義を発動できないのです。ちなみに何時サンダースピアなんて撃ったっけ?という方は上にスクロールして本分中盤辺りを読み直してみてください」
チャリティ「……」
takeshi「……どうしました?」
チャリティ「なんか静かね」
takeshi「ここ二ヶ月、話数にして10話分ゲストがいましたからね〜。なんでしたら誰かゲスト呼びます?」
チャリティ「別に私はあんたと2人でもいいけど?」
takeshi「なんとっ!?2人きりのほうが良いですって!?急に照れちゃってチャリティさんも可愛いとこありますねー!!」
チャリティ「それはない」
takeshi「でしょうね」
チャリティ「それよりオマケよ!何で遺跡船に行くことになってんの!?私の書いたシナリオにはなかったはずだけど!?」
takeshi「あ〜、今月海の日があるんですよ」
チャリティ「……だから?」
takeshi「いえね?私GAYMにいた頃は海の日はシャーリィの日だー!とか言って毎年限定企画をやってたんですよ」
チャリティ「……それで?」
takeshi「よく考えたら7月って七夕もあるじゃないですか。で、七夕といえば星。星といえばヴェスペリア」
チャリティ「……つまり?」
takeshi「天の川と海の日。つまりはヴェスペリアとレジェンディアということで折角ヴェスペリアを主軸にしてストーリーを進めているんだからレジェンディアとコラボしたいなぁと思ったわけです!」
チャリティ「ほう」
takeshi「どうでしょう?」
チャリティ「まっ、何処へ行こうと私の狙い通りの展開でストーリーが進んでいるから構わないんだけどね。好きにすれば?」
takeshi「あざっす!」
チャリティ「……」
takeshi「……」
チャリティ「ねぇ、私達ってこんなに会話が続かなかったっけ?」
takeshi「ど、どうでしたかね……?今月まだ始まったばっかりだから話の種が無いというのはありますけども……」
チャリティ「私達もそろそろ潮時かもしれないわね」
takeshi「そろそろっていうか、最初からでしたけどね!」
チャリティ「あんたそんなこと思ってたの!?」
takeshi「最初の頃は読者の方々に出番の全くないチャリティさんのキャラクターを知ってもらうために呼んだのですが全然波長が合わなくて、「こいつやりにくいな〜。まだミミーの方がマシだったかもしれん」とか思ってましたし。おっと無駄な時間を過ごすならオマケを進めろって話ですね。ではまた〜」
チャリティ「ちょっt」
―――オマケ―――
『アーセルム号』
リタ「な、何回来ても薄気味悪い所ね……」
カロル「アレクセイは結局一緒に来てくれないし……幽霊とかに会わないうちにさっさと済ませようよユーリ」
ユーリ「その幽霊に会わねぇと用事が済まないんだけどな」
フレン「しかし、どこにいるんだろうか?」
ラピード「バウ!」
ユーリ「最深部か……。結構遠いな」
エステリーゼ「ではパッと行きましょう!」
『アーセルム号最深部』
リタ「何今の?どうやったの!?」
エステリーゼ「選択画面でカーソルを「はい」に合わせて○ボタンを押す簡単なお仕事です♪」
フレン「これはまずいな……」
カロル「ど、どうしたのフレン?」
フレン「僕がパーティに加わったからには積極的にレベル上げをさせるはずが、もう最深部に着いてしまうなんて……!!」
カロル「あぁ…そう……」
ラピード「バウ!」
ユーリ「誰かいるぞ!!」
???「……ない……どこにも……ない……」
―――白い布を被った何かが動いている。
リタ「お化けよ!きっとお化けだわ!どうしよどうしよどうすんのよ!?」
ユーリ「落ち着けリタ!俺の服を引っ張るな!襟(えり)が伸びるだろうが!」
リタ「もう十分伸びてんだから良いでしょ!?」
ユーリ「てめッ、今まで俺の胸元見てそんなこと思っていやがったのか!!」
リタ「うっさい下町育ち!早く何とかしなさいよ!!さもないと胸元を今よりワイルドにするわよ!?」
エステリーゼ「ダメですリタ!ユーリにワイルドなんてギャグまで付けたら余計に時代遅れになってしまいます!ここは私が!」
エステリーゼはユーリが捨てた剣の鞘を使った。
ザギ「ユーリ・ローウェルウウウウウウ!!!!!」
カロル&リタ「「ギャアアアアアアア!!!!」」
ザギが現れた。
リタ「って、ザギじゃない!」
エステリーゼ「よーしよしよしよしよしよし。よーしよしよしよしよし」
ザギ「ユー、ユー…ユーリ……」
リタ「エステルがどっかの動物王国の主みたいになってるんだけど?」
???「ユーリ?もしかしてユーリなのか?」
ユーリ「ぁあ?この声はまさか……」
パティ「ユーリー!会いたかったのじゃ〜!」
フレン「パティ!?」
エステリーゼ「幽霊の正体はパティだったんです!?」
パティ「何の話じゃ?」
リタ「ったく、脅かすんじゃないわよ!まぁ、あたしは驚かなかったけど」
パティ「うぅ、よく分からんが悪かったのじゃリタ姐……」
ザギ「ローウェル〜」
エステリーゼ「これならザギは必要ありませんでしたね」
エステリーゼはユーリが投げ捨てた剣の鞘を放り投げた。
ザギ「ユーリイイイイイィィィィ……」
リタ「ね、ねぇエステル。あんたが今投げたようなやつって他にも持ってんの?べ、別に興味はないんだけどさ……」
エステリーゼ「ユーリの鞘だったら一週目で沢山拾ったのでいっぱい持ってますよ?ただパンツや靴下はユーリが穴が空いても使い続けてしまうのでレアなんです」
リタ「へ、へぇ〜」
カロル「リタ、何物欲しそうな顔してんの?」
リタ「ばっ、そんな顔してないわよバーカ!」
ユーリ「つうか、パティがザギと一緒に俺の鞘を追いかけていったのは良いのかよ?」
エステリーゼ「パティー!帰ってきてくださ〜い!!」
フレン「だ、大丈夫なのだろうかこのパーティで……」
パティ「あ、危うくエステルの飼い魚になるところだったのじゃ……」
カロル「お帰りパティ」
ユーリ「んで?パティはこんなとこで何してたんだ?何か探してたみたいだが……」
パティ「ウチか?ウチは船のパーツを探しておったのじゃ!」
カロル「何で?」
パティ「それがのぅ、ウチの船が故障して動かなくなってしまったのじゃ。そこでここに来ればまだ使える部品があるかと思ってきたのじゃがなかなか見つからんのじゃ……」
リタ「あんた船持ってんの!?」
パティ「この前ガストに行った時船の設計図がビビビっと閃いて急いで造ったのじゃ!」
フレン「そんなに簡単に造れるものではないと思うんだが……」
エステリーゼ「ということは修理したらまた使えるんです?」
パティ「勿論じゃ!特別にユーリ達も乗せてやるのじゃ。ユーリとウチ専用の部屋も作ったしのう」
ユーリ「で?そのパーツってのは手に入りにくいもんなのか?」
カロル「華麗にスルーするんだね……」
パティ「肝心の動力部が壊れてしまってのう……。詳しく説明するとハムスターがよく走ってる滑車に第六天魔王みたいな声で舞茸聖剣とか言う白髪の男を走らせれば直るのじゃが、なかなか条件に当てはまる男が見つからんのじゃ……」
リタ「それって……」
ユーリ「うし!外に戻るぞ!」
パティ「もしかして知っておるのか!?」
フレン「話は後だ!逃げられる前に兎に角外へ!」
『アーセルム号付近の海上』
アレクセイ「ふむ、ようやく戻ったか。って、うわっ!何をする!?」
パティ「おぉ!条件通りなのじゃ!流石ユーリ!」
ユーリ「さっさと運ぼうぜ」
『パティの船内』
―――動力部に滑車がある
どうしますか?
ユーリ「ここでさっき手に入れたアレクセイを使えば良い訳か」
パティ「ユーリユーリ!ウチと一緒に入れるのじゃ!ウチ、きょうどうさぎょうというやつに憧れて……」
ユーリ「よっこいしょういちっと」
ユーリはアレクセイを滑車に設置した。
アレクセイ「みなぎってきたぜぇええええ!!!」
リタ「す、すごい回転数だわ!」
パティ「バンエルティア号の完成なのじゃ〜!!」
ユーリ「……どっかで聞いた名前だな」
エステリーゼ「私もです……」
バンエルティア号を手に入れた!
行ける所が増えました。
カロル「この船で遺跡船っていう所にも行けるんだね」
パティ「ユーリ達は遺跡船に行きたいのか?」
ユーリ「あぁ、ちょいと野暮用でな」
パティ「だったらウチも行くのじゃ!」
フレン「そもそもパティが居なければ船も操縦できないしね」
ユーリ「よろしく頼むぜ?パティ」
パティ「お墓の中まで頼まれたのじゃ!」
パティが仲間になりました。
リタ「ねぇ、何でパティだけちゃんとパーティに入るイベントがあんの?あいつ実は満更でもないんじゃない?」
エステリーゼ「今回のは仕方ないような気が……」
パティ「それじゃあ遺跡船に向けて出航なのじゃー!!」
カロル「おー!!」
『遺跡船』
ユーリ「そういやそろそろパーティ編成考えねぇとな」
エステリーゼ「突然どうしたんです?」
リタ「そうね、遺跡船には部外者を立ち入らせないために変わった種族が護ってるって古文書に書いてあったし、戦闘は免れないと思うわ」
カロル「でもその古文書って税込みで108エンだったんでしょ?あてになるのかな〜?」
リタ「失礼ね!270エンよ!ちなみに現在の消費税8%込みでね!」
エステリーゼ「これを読み返している人は既に10%になっているのでしょうか?」
フレン「と、兎に角!その戦闘に備えて僕達7人の中から戦闘レギュラー4人を選出しないといけないんだね?」
ユーリ「そういうこった。とりあえず俺は確定として、後は……」
フレン「ちょっと待ってくれ!円閃牙と蒼破刃がしか使えない人間が固定レギュラーというのは納得いかないな」
ユーリ「じゃあフレンも確定にすれば文句ねぇだろ?」
エステリーゼ「私の回復も必須ですよね!?」
リタ「後ろからの援護も必要よね」
パティ「嫁と夫はいつでも一心同体なのじゃ!!」
ラピード「バウ!」
カロル「ぼ、僕だって戦うよ!(ベンチにしてベンチにしてお願いだからベンチにして!)」
ユーリ「チッ、しょうがねぇな。じゃあローテーションにすっか」
パティ「それはダメじゃ!ユーリがいない時にウチだけ戦闘しても退屈なのじゃ」
フレン「というか、ローテーションが一周するほど戦闘しないだろ」
エステリーゼ「それは言えてます」
リタ「ここは公平にじゃんけんにするべきよ!」
ラピード「バウ!」
ユーリ「ラピードは俺が通訳してやるよ。それじゃ、じゃんけんで決定な」
パティ「港が見えてきたのじゃ!」
〜続く〜
【楽談パート42.5】
チャリティ「ねぇ、本当に最初そう思ってたの?ねぇ?」
takeshi「いやぁ、やっぱとろーりクリームプリンは美味しいですね〜。あのお値段でこの美味しさは有り得ないですよ」
チャリティ「私の分は!?」
takeshi「そこらへんにありますよ?」
チャリティ「甘い物を食べると細かい事とかどうでもよくなるわよね〜」
takeshi「ですよね〜。ではまた〜」