第61話『春と方向音痴』
ルルはぴょんっとフィオナのベッドに飛び乗りフィオナに身を寄せるようにしながらヒルダに滲み寄る。
「あ、皆さん気が付いたんですね」
タイミングを見計らっていたかのようにニノンが部屋に入ってくると、三人の視線がニノンに集中した。
特に約二名からの視線が何故か邪悪なものに満ちていた。
「ご、ごめんなさい!!まさか3人とも起きてるとは思わなくて!ノノノ、ノックとかするべきでした!本当にごめんなさい!!」
「だ、大丈夫だよニノン!?私達怒ってないから!!ね!?」
涙目になって必死になって謝ってくるニノンにルルが急いでベッドから出て駆け寄る。
ニノンはとりあえず落ち着くとここに来た用事を思い出し羽をパタパタさせる。
「そうでした!ヴェイグさん達も気が付かれたのでフィオナさん達の様子をみてくるように頼まれたんでした!」
「そう、みんな無事なのね」
ヒルダはベッドから降りると身支度をする。
「みんな下の談話室にいるのでお待ちしていますね」
「私達も準備ができたらすぐに行くわ」
* * *
ヴェイグ達男性陣は宿屋一回にある談話室のソファに腰をかけ、沈黙していた。
アニーからヒルダは目を覚ましたということは聞いたが未だに目を覚まさないフィオナとルルのことが気にかかっていた。
特にフィオナは実の父親と剣を交え、精神的なダメージも大きかったはずである。
もしかしたらショックでしばらくは目を覚まさないかもしれない。
今上の階では女子トークが行われてるとは知る由も無い男性陣の心には不安が募るばかりだ。
そんな時、ニノンがぽてぽてと階段を降りてくるなり羽で階段の上を指す。
「み、皆さん、フィオナさんとルルさんも目覚ましたよ!」
朗報に笑みと安堵の溜息が漏れる。
「はぁぁ〜〜〜」
ジークは特に大きな溜息を吐きながらソファに深く沈みこんだ。
彼にとってはフィオナもルルもとても大切な存在である。
勿論他のメンバーも大切だと思っているが彼の場合は特に強い。
そのため心労も計り知れないものがあったのだろう。
「良かったですね!ジークさん」
「あ?あ、あぁ……」
アニーが微笑みながら言うがジークは何故アニーがわざわざ自分に向かって言うのか分からず生返事をした。
するとアニーも何故ジークの反応が薄いのか疑問に思い首を傾げる。
(もっと喜ぶと思ったのに……)
アニーが首を傾げるのを見て訳が分からずジークも首を傾げた。
「あの2人は何をやってるんだ?」
そんな2人を見てヴェイグは誰とも無しに疑問を投げ掛けるが本人達も分かってないことを誰かが答えられるはずもなく、ヴェイグが視線を送っても皆肩をすくめるだけだった。
「3人とも降りてくるみたいだよ?」
ジンが耳をピクっと動かしながら言うと、次第に階段の上から声が聞こえてくる。
「ねぇヒルダ〜!誰なの〜?」
真っ先にルルの甘えたような声が聞こえてくる。
「また今度教えてあげるわよ。機会があればね」
続いてヒルダの落ち着いた声が聞こえたと思うとヒルダ、ルル、フィオナの順で女性陣が談話室に入ってきた。
談話室に入るなり全員無事なことを確認するとようやく全員の緊張の糸が切れた。
「まっ!今回は惜しかったんじゃねぇか?前回は手も足も出せなかったギュナルスをギリギリまで追い詰めることができたんだからよ!今回の反省を活かして次回は……」
ブライトの言葉をそこまで聞いてフィオナは俯いていた顔を突然上げた。
「お父さんはどうなったの!?」
「それなんだがな、フィオナ……」
ユージーンが言い憎そうに眉間に皺を寄せていると、また誰かが談話室に入ってきた。
「ダメだな、この街にはもう居ないようだ。やはりあの時の船で逃亡したと見て間違いないだろう」
「ウチ歩きすぎてもうクタクタや〜」
ルーベルトが報告する脇を通って着物の女性はソファにダイブすると足袋を脱ぎ捨て足を放り出した。
アニーとニノン以外全員、2人の顔を見て唖然とする。
「オーちゃん!?てか2人共何でここにいんの!?」
ジンがルーベルトと着物の女性を交互に見ながら問うとアニーがソファーから立ち上がった。
「この2人が皆さんを介抱するのを手伝ってくださったんです。それに、ギュナルスさんが逃げたのもこの二人が来てくれたからなんです」
「そっか……お父さんは逃げたんだ……」
フィオナは残念なような悔しいような複雑な心境のまま再び俯いた。
「そうか、命の恩人だったか。雹(ひょう)も降っていたというのにかたじけない。良ければ名前を教えてはくれないだろうか?」
ユージーンは着物の女性に訪ねると、彼女は小首を傾げて微笑む。
「ウチの名前はテーゼン・アイン。親しみを込めて『アイちゃん』て呼んでくれると嬉しいなぁ」
テーゼンと呼ぼう。
13人は心の中でシンクロした。
「あ、あと礼はいらんよ?ウチ、親友のとこへ向かう途中やってんけどウチがここら辺を通ると何時も雹が降んねん」
「雨女ならぬ雹女ってとこね。でもそんなのただの偶然でしょ?」
ヒルダは下唇を人差し指で触りながら言うとテーゼンは唇を尖らせた。
「ウチもそう思ったんやけどな?親友が絶対ウチの所為や言うねん。何でもウチの『春』のフォルスが悪いらしいんやけど、んなアホなと思うやろ?」
テーゼンのフォルスの話を聞いて全員がテーゼンに視線を集中させる。
「な、何なん……?」
12人からの熱い視線を受けてテーゼンは胸に腕を寄せ大袈裟に引いてみせる。
対してティトレイは腕を組みながらうなった。
「いや〜、今まで会った四季のフォルスの奴等って変っていうか掴み所が無かったからよ、テーゼンが『春』のフォルスの能力者って聞いて意外だったていうか、むしろ納得っていうか……」
「それってウチ変わってるってこと!?地味に傷付くわ〜」
テーゼンは首を項垂れるが、12人はティトレイの言葉に何故か納得でき逆に頷いていた。
「それならキョグエンで桜が咲いてた理由は分かりますけど、なぜノルゼン周辺に来ると雹が降り出してしまうんでしょう?」
アニーは頬に手を当て自分でも考えながら質問する。
するとしばらくしてからブライトが立ち上がる。
「気温の急激な変化が原因だな。雹ってのは冷たい空気の下に暖かい空気が急に潜り込むと降り易くなる。テーゼン自信が温暖な空気そのものなら歩いてここを通れば文字通り冷たい空気の真下に温暖の塊が進入する図が完成するわけだ」
「ほー、なんか先生みたいやね」
「先生なんだがな」
テーゼンはブライトに拍手を送る。
「でもここを通るたんびに雹が降るんじゃ大変だね」
カインが言うとテーゼンはおもむろに着物の袖の中に手を突っ込み、小さな指輪を取り出した。
「そうでもあらへんよ?前に親友からもらったこの指輪を付けていればフォルスの力を抑えることができんねん。力を抑えておけば雹も降らへんし、万事解決や!」
「ならば最初から付けとけ!!」
ここまで黙っていたルーベルトが辛抱たまらず突っ込む。
「それは嫌や!ウチ、自分のフォルス好きやもん!抑えつけるなんて可愛そすぎる!!」
「フォルスに感情を押し付けるな!そもそもフォルスに感情等ないわ!!」
「ありますぅ〜ウチのフォルスにはありますぅ〜!エライヒトには分からんのや!」
「なっ、なんだと貴様ぁ!?」
ルーベルトとテーゼンが至近距離で睨み合う。
それをユージーンが強引に引き離した。
「話が逸れているな。テーゼン、お前のフォルスへの愛着は理解し難いが下手をすれば人命にも関わる。せめてノルゼン地方だけででも付けてはくれまいか?」
「……分かった」
テーゼンは頬を膨らませながら渋々指輪をはめる。
「そして改めてルーベルトとテーゼンの2人には礼を言わせてほしい。本当に助かった、恩に着る」
ユージーンはルーベルトとテーゼンに頭を下げると2人は照れくさそうに頬をかいた。
「しかしルーベルトは何故ノルゼンに居たんだ?お前はピピスタへ向かったあずだろう」
ヴェイグが訪ねるとルーベルトは後ろ髪をかいた。
「あ〜、それなんだがな……。俺も確かにピピスタへ向かっていたはずだったのだが気付いたらここにいたのだ」
「……どういうこと?」
ルーベルトの意味不明な発言にヒルダは眉をしかめる。
「幻術か、それともテレポートの一種かな?」
マオはこめかみに指を当てて推測するがルーベルトは首を横に振る。
「いや、どちらも有り得ない。ここに来るまで誰にも会わなかったし、俺のフォルスにもそのような能力はないはずだ」
では一体なぜルーベルトはピピスタとは真反対に位置するノルゼンへ来てしまったのか。
謎が深まり談話室に静寂が広がる。
そんな中、ニノンが頭を抱えながらキョロキョロしているのがブライトの目に留まった。
「どうかしたのか?ニノン」
「い、いえ、ピピスタってここからだとどっちにあったか分からなくなってしまいまして……。以前にヴェイグさん達に旅行記をお貸しいただいたので世界地図は頭に入っているんですけど、その、わ、私、実際に行ったこともないし行くことになるとも思っていなかったので混乱しちゃって……」
「そうか、ならば無理もないだろう。ちなみにピピスタはあっちだ」
ルーベルトは北の方角を指差した。
ちなみにピピスタはここから南である。
「なるほど、謎は解けたな」
名探偵の称号を持つヴェイグが納得したように頷く。
「ルーベルト、お前方向音痴だろう?」
「なっ!何をぬかすか!?この俺が方向音痴だと!?侮辱するにも程度というものがあるぞ!?」
ルーベルトはテーブルに勢いよく手を突き猛抗議する。
「だったらキョグエンがある方向を指差してみろよ」
ジークが言うとルーベルトは得意気に鼻で笑って見せた。
「とことん甘くみられたものだな。さっきまで己の足で歩いてきた方向を間違えるわけがあるまい。……あっちだ」
ルーベルトは再び北を指す。
「そっちはモクラド村よ」
ヒルダは溜息を吐きながら言うと、ルーベルトは膝をついた。
「バ、バカな!!大陸が移動したとでも言うのか!?」
「バカはお前だ馬鹿野郎」
ブライトはテーブルにワールドマップを開いた後ルーベルトの首根っこを掴んで強引に立たせ、ワールドマップに描かれている大陸の右上をコンコンと音を立てて指差した。
「ここが今俺達がいるところな?で、ピピスタはここから下にさがっていったところにある。分かったか?」
「下というと地下に潜るのか?」
「ちげぇよ!物の比喩だ!正確に言うと南に進むと、だ」
「だから南はあっちだろう」
ルーベルトは再び北を指差す。
「南は逆だっつってんだろうが!!」
「何だと!?この国はいつから北のことを南と呼ぶようになったのだ!?」
「昔から変わってねぇよ!!」
「アホや!アホがおる!!」
テーゼンは腹を抱えながら爆笑していた。
「貴様、アホとは俺のことか……?」
「てめぇはこっちに集中しやがれ!!」
ブライトの熱心な個人授業がその後しばらく続いたが、ルーベルトが方角を認識する気配は全く見られなかった。
「なんか……レラーブさんとルーベルトさんがなかなか会えない理由が分かった気がします」
「天然ボケと方向音痴のポンコツコンビじゃ奇跡でも起きない限り会えないかもね」
アニーとカインが苦笑いを漏らすとルルがルーベルトに歩み寄った。
「ねぇねぇ、オーちゃんが最後にレラーブと会ったのって何時なの?」
「マティアスに暗殺されかけてからは一度も会っていないが、それがどうかしたか?」
要するに一度離れ離れになってからというもの一度も会えていないという事だった。
「質問を質問で返してねぇで、お前はこっちに集中しろ!」
ユージーンの御株を奪いながら、ルーベルトに事細かく教えるブライトだった。
〜続く〜
【※テーゼン・アインがキャラクター名鑑・中に更新されました】
「あ、皆さん気が付いたんですね」
タイミングを見計らっていたかのようにニノンが部屋に入ってくると、三人の視線がニノンに集中した。
特に約二名からの視線が何故か邪悪なものに満ちていた。
「ご、ごめんなさい!!まさか3人とも起きてるとは思わなくて!ノノノ、ノックとかするべきでした!本当にごめんなさい!!」
「だ、大丈夫だよニノン!?私達怒ってないから!!ね!?」
涙目になって必死になって謝ってくるニノンにルルが急いでベッドから出て駆け寄る。
ニノンはとりあえず落ち着くとここに来た用事を思い出し羽をパタパタさせる。
「そうでした!ヴェイグさん達も気が付かれたのでフィオナさん達の様子をみてくるように頼まれたんでした!」
「そう、みんな無事なのね」
ヒルダはベッドから降りると身支度をする。
「みんな下の談話室にいるのでお待ちしていますね」
「私達も準備ができたらすぐに行くわ」
* * *
ヴェイグ達男性陣は宿屋一回にある談話室のソファに腰をかけ、沈黙していた。
アニーからヒルダは目を覚ましたということは聞いたが未だに目を覚まさないフィオナとルルのことが気にかかっていた。
特にフィオナは実の父親と剣を交え、精神的なダメージも大きかったはずである。
もしかしたらショックでしばらくは目を覚まさないかもしれない。
今上の階では女子トークが行われてるとは知る由も無い男性陣の心には不安が募るばかりだ。
そんな時、ニノンがぽてぽてと階段を降りてくるなり羽で階段の上を指す。
「み、皆さん、フィオナさんとルルさんも目覚ましたよ!」
朗報に笑みと安堵の溜息が漏れる。
「はぁぁ〜〜〜」
ジークは特に大きな溜息を吐きながらソファに深く沈みこんだ。
彼にとってはフィオナもルルもとても大切な存在である。
勿論他のメンバーも大切だと思っているが彼の場合は特に強い。
そのため心労も計り知れないものがあったのだろう。
「良かったですね!ジークさん」
「あ?あ、あぁ……」
アニーが微笑みながら言うがジークは何故アニーがわざわざ自分に向かって言うのか分からず生返事をした。
するとアニーも何故ジークの反応が薄いのか疑問に思い首を傾げる。
(もっと喜ぶと思ったのに……)
アニーが首を傾げるのを見て訳が分からずジークも首を傾げた。
「あの2人は何をやってるんだ?」
そんな2人を見てヴェイグは誰とも無しに疑問を投げ掛けるが本人達も分かってないことを誰かが答えられるはずもなく、ヴェイグが視線を送っても皆肩をすくめるだけだった。
「3人とも降りてくるみたいだよ?」
ジンが耳をピクっと動かしながら言うと、次第に階段の上から声が聞こえてくる。
「ねぇヒルダ〜!誰なの〜?」
真っ先にルルの甘えたような声が聞こえてくる。
「また今度教えてあげるわよ。機会があればね」
続いてヒルダの落ち着いた声が聞こえたと思うとヒルダ、ルル、フィオナの順で女性陣が談話室に入ってきた。
談話室に入るなり全員無事なことを確認するとようやく全員の緊張の糸が切れた。
「まっ!今回は惜しかったんじゃねぇか?前回は手も足も出せなかったギュナルスをギリギリまで追い詰めることができたんだからよ!今回の反省を活かして次回は……」
ブライトの言葉をそこまで聞いてフィオナは俯いていた顔を突然上げた。
「お父さんはどうなったの!?」
「それなんだがな、フィオナ……」
ユージーンが言い憎そうに眉間に皺を寄せていると、また誰かが談話室に入ってきた。
「ダメだな、この街にはもう居ないようだ。やはりあの時の船で逃亡したと見て間違いないだろう」
「ウチ歩きすぎてもうクタクタや〜」
ルーベルトが報告する脇を通って着物の女性はソファにダイブすると足袋を脱ぎ捨て足を放り出した。
アニーとニノン以外全員、2人の顔を見て唖然とする。
「オーちゃん!?てか2人共何でここにいんの!?」
ジンがルーベルトと着物の女性を交互に見ながら問うとアニーがソファーから立ち上がった。
「この2人が皆さんを介抱するのを手伝ってくださったんです。それに、ギュナルスさんが逃げたのもこの二人が来てくれたからなんです」
「そっか……お父さんは逃げたんだ……」
フィオナは残念なような悔しいような複雑な心境のまま再び俯いた。
「そうか、命の恩人だったか。雹(ひょう)も降っていたというのにかたじけない。良ければ名前を教えてはくれないだろうか?」
ユージーンは着物の女性に訪ねると、彼女は小首を傾げて微笑む。
「ウチの名前はテーゼン・アイン。親しみを込めて『アイちゃん』て呼んでくれると嬉しいなぁ」
テーゼンと呼ぼう。
13人は心の中でシンクロした。
「あ、あと礼はいらんよ?ウチ、親友のとこへ向かう途中やってんけどウチがここら辺を通ると何時も雹が降んねん」
「雨女ならぬ雹女ってとこね。でもそんなのただの偶然でしょ?」
ヒルダは下唇を人差し指で触りながら言うとテーゼンは唇を尖らせた。
「ウチもそう思ったんやけどな?親友が絶対ウチの所為や言うねん。何でもウチの『春』のフォルスが悪いらしいんやけど、んなアホなと思うやろ?」
テーゼンのフォルスの話を聞いて全員がテーゼンに視線を集中させる。
「な、何なん……?」
12人からの熱い視線を受けてテーゼンは胸に腕を寄せ大袈裟に引いてみせる。
対してティトレイは腕を組みながらうなった。
「いや〜、今まで会った四季のフォルスの奴等って変っていうか掴み所が無かったからよ、テーゼンが『春』のフォルスの能力者って聞いて意外だったていうか、むしろ納得っていうか……」
「それってウチ変わってるってこと!?地味に傷付くわ〜」
テーゼンは首を項垂れるが、12人はティトレイの言葉に何故か納得でき逆に頷いていた。
「それならキョグエンで桜が咲いてた理由は分かりますけど、なぜノルゼン周辺に来ると雹が降り出してしまうんでしょう?」
アニーは頬に手を当て自分でも考えながら質問する。
するとしばらくしてからブライトが立ち上がる。
「気温の急激な変化が原因だな。雹ってのは冷たい空気の下に暖かい空気が急に潜り込むと降り易くなる。テーゼン自信が温暖な空気そのものなら歩いてここを通れば文字通り冷たい空気の真下に温暖の塊が進入する図が完成するわけだ」
「ほー、なんか先生みたいやね」
「先生なんだがな」
テーゼンはブライトに拍手を送る。
「でもここを通るたんびに雹が降るんじゃ大変だね」
カインが言うとテーゼンはおもむろに着物の袖の中に手を突っ込み、小さな指輪を取り出した。
「そうでもあらへんよ?前に親友からもらったこの指輪を付けていればフォルスの力を抑えることができんねん。力を抑えておけば雹も降らへんし、万事解決や!」
「ならば最初から付けとけ!!」
ここまで黙っていたルーベルトが辛抱たまらず突っ込む。
「それは嫌や!ウチ、自分のフォルス好きやもん!抑えつけるなんて可愛そすぎる!!」
「フォルスに感情を押し付けるな!そもそもフォルスに感情等ないわ!!」
「ありますぅ〜ウチのフォルスにはありますぅ〜!エライヒトには分からんのや!」
「なっ、なんだと貴様ぁ!?」
ルーベルトとテーゼンが至近距離で睨み合う。
それをユージーンが強引に引き離した。
「話が逸れているな。テーゼン、お前のフォルスへの愛着は理解し難いが下手をすれば人命にも関わる。せめてノルゼン地方だけででも付けてはくれまいか?」
「……分かった」
テーゼンは頬を膨らませながら渋々指輪をはめる。
「そして改めてルーベルトとテーゼンの2人には礼を言わせてほしい。本当に助かった、恩に着る」
ユージーンはルーベルトとテーゼンに頭を下げると2人は照れくさそうに頬をかいた。
「しかしルーベルトは何故ノルゼンに居たんだ?お前はピピスタへ向かったあずだろう」
ヴェイグが訪ねるとルーベルトは後ろ髪をかいた。
「あ〜、それなんだがな……。俺も確かにピピスタへ向かっていたはずだったのだが気付いたらここにいたのだ」
「……どういうこと?」
ルーベルトの意味不明な発言にヒルダは眉をしかめる。
「幻術か、それともテレポートの一種かな?」
マオはこめかみに指を当てて推測するがルーベルトは首を横に振る。
「いや、どちらも有り得ない。ここに来るまで誰にも会わなかったし、俺のフォルスにもそのような能力はないはずだ」
では一体なぜルーベルトはピピスタとは真反対に位置するノルゼンへ来てしまったのか。
謎が深まり談話室に静寂が広がる。
そんな中、ニノンが頭を抱えながらキョロキョロしているのがブライトの目に留まった。
「どうかしたのか?ニノン」
「い、いえ、ピピスタってここからだとどっちにあったか分からなくなってしまいまして……。以前にヴェイグさん達に旅行記をお貸しいただいたので世界地図は頭に入っているんですけど、その、わ、私、実際に行ったこともないし行くことになるとも思っていなかったので混乱しちゃって……」
「そうか、ならば無理もないだろう。ちなみにピピスタはあっちだ」
ルーベルトは北の方角を指差した。
ちなみにピピスタはここから南である。
「なるほど、謎は解けたな」
名探偵の称号を持つヴェイグが納得したように頷く。
「ルーベルト、お前方向音痴だろう?」
「なっ!何をぬかすか!?この俺が方向音痴だと!?侮辱するにも程度というものがあるぞ!?」
ルーベルトはテーブルに勢いよく手を突き猛抗議する。
「だったらキョグエンがある方向を指差してみろよ」
ジークが言うとルーベルトは得意気に鼻で笑って見せた。
「とことん甘くみられたものだな。さっきまで己の足で歩いてきた方向を間違えるわけがあるまい。……あっちだ」
ルーベルトは再び北を指す。
「そっちはモクラド村よ」
ヒルダは溜息を吐きながら言うと、ルーベルトは膝をついた。
「バ、バカな!!大陸が移動したとでも言うのか!?」
「バカはお前だ馬鹿野郎」
ブライトはテーブルにワールドマップを開いた後ルーベルトの首根っこを掴んで強引に立たせ、ワールドマップに描かれている大陸の右上をコンコンと音を立てて指差した。
「ここが今俺達がいるところな?で、ピピスタはここから下にさがっていったところにある。分かったか?」
「下というと地下に潜るのか?」
「ちげぇよ!物の比喩だ!正確に言うと南に進むと、だ」
「だから南はあっちだろう」
ルーベルトは再び北を指差す。
「南は逆だっつってんだろうが!!」
「何だと!?この国はいつから北のことを南と呼ぶようになったのだ!?」
「昔から変わってねぇよ!!」
「アホや!アホがおる!!」
テーゼンは腹を抱えながら爆笑していた。
「貴様、アホとは俺のことか……?」
「てめぇはこっちに集中しやがれ!!」
ブライトの熱心な個人授業がその後しばらく続いたが、ルーベルトが方角を認識する気配は全く見られなかった。
「なんか……レラーブさんとルーベルトさんがなかなか会えない理由が分かった気がします」
「天然ボケと方向音痴のポンコツコンビじゃ奇跡でも起きない限り会えないかもね」
アニーとカインが苦笑いを漏らすとルルがルーベルトに歩み寄った。
「ねぇねぇ、オーちゃんが最後にレラーブと会ったのって何時なの?」
「マティアスに暗殺されかけてからは一度も会っていないが、それがどうかしたか?」
要するに一度離れ離れになってからというもの一度も会えていないという事だった。
「質問を質問で返してねぇで、お前はこっちに集中しろ!」
ユージーンの御株を奪いながら、ルーベルトに事細かく教えるブライトだった。
〜続く〜
【※テーゼン・アインがキャラクター名鑑・中に更新されました】
■作者メッセージ
【楽談パート44】
takeshi「ども〜!結局七夕になってしまったtakeshiです」
チャリティ「連続で更新するなら最初にそう言いなさいよ!時系列が変なせいで前回のトークがおかしなことになってるじゃない!」
takeshi「最初は前回の分で最後にして2話連続更新になる予定だったのですが、オマケが中途半端な所で切れてしまったので、オマケを間を空けずに読んでもらうために3話連続更新になってしまいました。本当なら最初の59話だけの単独更新のはずだったのですが、そうすると今度は本編が中途半端でしたし……」
チャリティ「何にしても、7月7日にここから読み始めた人は今回は3話連続だから59話まで戻ってね」
takeshi「さてさて、本編の話なのですが着物の女性の名前が明らかになりましたね!」
チャリティ「テーゼン・アインって女の子の名前にしては硬くない?」
takeshi「なのでアイちゃんと呼んであげてください。如何せん随分昔に作った名前なので何が元ネタだったか忘れてしまったんですよ……。多分桜を何処かの国の言葉に翻訳したものだったような気がするのですが、それさえも危ういです」
チャリティ「しかも彼女が『春』のフォルスの持ち主だったのね〜」
takeshi「残るは冬だけです!ちなみに、四季のフォルスの能力者はプロフィール欄で微妙にリンクしているので暇な人は探してみてくださいね!更新したと言っても名前とかしかいじらず基本的に『その他』の部分はいじってないので!」
チャリティ「たとえ暇だったとしても探さないと思うけどね〜」
takeshi「何でですか!?」
チャリティ「暇つぶしにもならないもん」
takeshi「ナルホドナ〜。あっ!後オマケの中でのカップリングですが、私はどんなにキャラを崩壊させてもレジェンディア以外は公式カップリングを貫きますのでご了承ください」
チャリティ「何でレジェンディアは例外なのよ?」
takeshi「レジェンディアは恋愛要素も含めて面白いので色々試してみたいんですよ。シンフォニアも同等に恋愛要素が面白いのですが、下手にいじるより公式に従った方が面白いような気がするってところの違いですかね?」
チャリティ「なんかこれ久々に言うけど私に聞くな!」
takeshi「で!ここで突然ですが次回予告です!」
チャリティ「本当に突然ね!!急にどうしたの?」
takeshi「いえ、予告というか今後の更新予定なのですが、とりあえず次回は恒例の『すきっとだらけ』になると思います。ところにより本編が更新される確立10%です」
チャリティ「まぁ今となっては恒例ね。ていうか天気予報みたいなその言い方は何?」
takeshi「そしてその次なのですが、そろそろこの物語も長いので総集編を行おうと思っています。総集編が行われる確立60%です」
チャリティ「折り畳み傘が必要な数字ね……」
takeshi「ちなみに本編には『あらすじ』というものがあるので、総集するのは1〜60話までにするつもりです」
チャリティ「ふぅ〜ん。まぁ良いんじゃない?」
takeshi「で、ですね?総集編の下にオマケを付けると格好が付かないのでやらない代わりに次回はオマケオンリーになります」
チャリティ「あら、久し振りね」
takeshi「予定は未定ですが、そんな感じでいくのでよろしくお願いします」
チャリティ「オッケー!……で?私達はいつまで立って話してれば良いの?立ち話をするコーナーだっけ?これ」
takeshi「前回暴れたせいで色々壊してしまいましたからね〜。実は修理の時間を稼ぐために次回はオマケオンリーにしたっていうところもありますし」
チャリティ「まぁ私も大人気なかったわ。あんたがニコちゃんを大事にしてくれてるっていうのは知ってたのに」
takeshi「いえ、私もμ’sの中ではニコニーが一番好きなクセに取り乱してしまって、申し訳なかったです」
チャリティ「ナイスファイトだったわよ!」
takeshi「チャリティさんもナイスガッツでした!ではまた〜」
―――オマケ―――
エステリーゼ「さぁザギ!やっておしまい!」
ザギ「二度とこの世の土を踏ませねぇ!ハハッ蜂の巣だぁ!ヒャハハー!!」
ザギの魔導光天陣
敵全体に5555のダメージ
セネル「こんなところで……」
クロエ「無念だ……」
ウィル「なんとぉぉっ!」
傷付いた白い野獣は力尽きた
ツンデレ剣士は力尽きた
ゴリラは出荷された
ユーリ達は8765の経験値を獲得!
ユーリ「テレッテッテ〜♪ユーリ・ローウェルは、レベルアップ〜」
エステリーゼ「何です?それ」
リタ「アホっぽい……」
ユーリ達はまとめてレベルが上がった!
フレン「えらく雑なような気が……。しかも約1名出荷されてないかい?」
ウィル「誰が出荷などされるかバカ者が!」
クロエ「だが悔しいが負けは負けだ」
セネル「お前達案外やるな」
リタ「私達じゃなくてザギが、だけどね……」
パティ「ザギは何処へ行ったのじゃ?」
エステリーゼ「アップルグミを与えて帰らせましたよ?」
パティ「ウチも欲しかったのじゃ……」
リタ「あんなもんただのゴミじゃない。1文の価値もないわ」
ジュディス「あら、そんなことを言う割には物欲しそうな顔をしてるわよ?」
リタ「だ、だからしてないっての!!」
ジュディス「私のだったらあげるけど?」
リタ「いらないわよッ!!」
ユーリ「さてと、ラピードにライフボトル使ってやんねぇとな」
ユーリはライフボトルを使った。
ラピード「ブルルルル!」
ユーリ「さっ、約束どおりそこを通してもらうぜ?」
クロエ「仲間がもう1人戦闘不能になっているが良いのか?」
ジュディス「すっかり忘れてたわ」
リタ「寝てたほうが静かで良いわよ」
セネル「お前達、仲間にさんざんな言いようだな……」
なんとカロルは起き上がった!
フレン「まだライフボトルは使ってないのにどうして……?」
カロルは仲間になりたそうな目をしてセネル達を見ている。
パティ「カロルが寝返ろうとしているのじゃ!!」
フレン「ユーリ!君がカロルを不遇に扱ったりするからだぞ!!」
ユーリ「俺だけのせいかよ!?」
仲間にしますか?
ウィル「悪いが俺達は既にパーティがいっぱいでな。これ以上は仲間にできんのだ」
セネル「いっそのことモーゼスと合成すれば良いんじゃないか?」
クロエ「名案だなクーリッジ!」
カロル「い、いやァアあああああ!!!!」
ジュディス「お帰りなさい♪カロル」
カロル「合成怖い合成嫌合成怖い合成嫌」
ユーリ「カロル、その…なんだ……」
カロル「……ユーリ?」
ユーリ「お前は俺達のギルドのリーダーなんだからよ、これからも頼むぜ?カロル先生!」
カロル「しょ、しょがないな〜」
リタ「単純……」
セネル「約束だ、遺跡船に入ることを許可してやる」
フレン「本当ですか!?」
ウィル「だが一つ聞かせてくれ。お前達はこの遺跡船に何の目的で来た?」
エステリーゼ「それは、魔界へ行くため、です」
クロエ「魔界?」
リタ「遺跡船に魔界へ通じるゲートがあるって古文書に書いてあったのよ」
セネル「ウィル、知ってるか?」
ウィル「いや、初耳だが……」
エステリーゼ「そんな……」
リタ「隠したって無駄よ!私達(ザギ)はあんたらに勝ったんだから、こっちで勝手にくまなく調べさせてもらうわ!」
クロエ「待ってくれ!私達は本当に知らないんだ!」
ウィル「いや、もしかしたらあいつなら知ってるかもしれん」
ジュディス「あいつ?含みのある言い方ね」
セネル「俺達の仲間に情報屋がいるんだ。不可視という二つ名が付く程度には信頼できる腕だ」
パティ「ふ菓子かの?」
クロエ「何故そうなる……」
セネル「兎に角会ってみた方が早い。付いてきてくれ」
『モフモフ族集落』
ジュディス「これだけラッコが沢山いると壮観ね」
セネル「本人達にラッコって言うなよ?怒られるからな」
ウィル「あの家だ」
『キュッポ達の家』
セネル「邪魔するぞ〜」
ユーリ「こんなとこに本当に情報屋がいんのかよ?」
クロエ「心配するな。あそこいるのが……」
ヨッツァ「ジェイと思ったかい?ざ〜んねん!ヨッツァさんでした!」
ジェイ「誰ですか貴方はーー!!!」
ヨッツァ「ちょっ、待てよ!冷静になろうぜ?俺ッチだってこんなことはしたくなかったさ。でもさぁ、本編で全然全く出番は無いわ楽談でも触れられないわで寂しかったんだぜ?情報屋ヨッツァって言えば裏の業界じゃ有名なんだぜ?だから少しくらい……」
ジェイ「帰ってください!!」
ヨッツァ「ちぇ……」
ヨッツァは立ち去った。
セネル「……ジェイ?」
ジェイ「あぁ、皆さん。遠いところをわざわざご苦労様です」
カロル(ねぇ、なんかしれっと話してるけど、さっきのシーン無かったことにしようとしてない?)
ジェイ「今日は何の用ですか?」
フレン(カロルの言うとおりだ!何も無かったことにする気だ!)
パティ「ふ菓子には見えんのう……」
ジェイ「はい?さっきからこそこそと何を話してるんですか?」
ジュディス「気にしないで、こっちの話よ?それより、あなたが情報屋さんで合ってるのね?」
ジェイ「あまり素性を明かすのは好ましくないのですが、概(おおむ)ねその通りです」
リタ「ふぅ〜ん、チビのくせに自信だけは一人前なのね。だったら魔界へのゲートの在り処も勿論知ってるんでしょうね?」
ジェイ「えぇ、勿論。ただあなたの場合はゲートの場所の前に自分の身長を知ることから始めるのをお勧めしますよ」
リタ「なっ!?」
クロエ「本当にあるのか!?」
セネル「さすがジェイ。何でも知ってるな」
ジェイ「何でもは知りませんよ。知ってることだけです」
リタ「何?あの作品に出てればその台詞使って良いの?あたしも出たいんだけど」
ユーリ「んで?そのゲートは何処にあるんだ?」
ジェイ「この遺跡船に光跡翼というものがあるのですが、それを使えば行けますよ。ただその際、遺跡船にある列車では異世界へ飛ぶことは不可能なので貴方達がここまで来るのに乗ってきた特殊な船を使ってもらいます」
パティ「それなら問題ないのじゃ!」
ジェイ「本当に良いんですか?光跡翼専用の列車じゃない限り光跡翼を渡るために大量のエネルギーを消費しますよ?」
エステリーゼ「舞茸を与えておけば大丈夫です」
ユーリ「よしカロル先生!舞茸を買ってきてくれ!ダッシュで!」
カロル「オッケー!競争だよラピード!」
ラピード「バウ!」
ジェイ「機械の調整に時間がかかると思います。その間に少し街でも見て行ったらどうですか?」
セネル「そうだな。折角星祭をやってるんだ、案内しよう。なぁクロエ」
クロエ「あ、あぁ(クーリッジと2人で回る予定だったのに……!!)」
ウィル「と、ところでパティと言ったか?」
パティ「何じゃ?」
ウィル「あーなんだ……「パパ大好き」と言ってみてくれないか?」
パティ「セクハラの臭いがするから嫌じゃ」
ウィル「何だと!!?」
ユーリ「てめぇゴリラ!うちの仲間に手ぇ出しやがったら動物園に送るぞ!!」
パティ「ユーリ〜!ウチ怖かったのじゃあ!!」
エステリーゼ「パティは隠れててください!」
セネル「ウィル……お前やっぱり……」
フレン「ユーリ!やはりあのゴリラもロリコンのようだ!」
ジュディス「リタ!貴方も私の後ろに隠れてなさい!」
リタ「そ、そうね……」
ウィル「誤解だぁあああああ!!!!」
クロエ「まともなやつはいないのか……?」
ジェイ「まったくです……」
〜続く〜
takeshi「ども〜!結局七夕になってしまったtakeshiです」
チャリティ「連続で更新するなら最初にそう言いなさいよ!時系列が変なせいで前回のトークがおかしなことになってるじゃない!」
takeshi「最初は前回の分で最後にして2話連続更新になる予定だったのですが、オマケが中途半端な所で切れてしまったので、オマケを間を空けずに読んでもらうために3話連続更新になってしまいました。本当なら最初の59話だけの単独更新のはずだったのですが、そうすると今度は本編が中途半端でしたし……」
チャリティ「何にしても、7月7日にここから読み始めた人は今回は3話連続だから59話まで戻ってね」
takeshi「さてさて、本編の話なのですが着物の女性の名前が明らかになりましたね!」
チャリティ「テーゼン・アインって女の子の名前にしては硬くない?」
takeshi「なのでアイちゃんと呼んであげてください。如何せん随分昔に作った名前なので何が元ネタだったか忘れてしまったんですよ……。多分桜を何処かの国の言葉に翻訳したものだったような気がするのですが、それさえも危ういです」
チャリティ「しかも彼女が『春』のフォルスの持ち主だったのね〜」
takeshi「残るは冬だけです!ちなみに、四季のフォルスの能力者はプロフィール欄で微妙にリンクしているので暇な人は探してみてくださいね!更新したと言っても名前とかしかいじらず基本的に『その他』の部分はいじってないので!」
チャリティ「たとえ暇だったとしても探さないと思うけどね〜」
takeshi「何でですか!?」
チャリティ「暇つぶしにもならないもん」
takeshi「ナルホドナ〜。あっ!後オマケの中でのカップリングですが、私はどんなにキャラを崩壊させてもレジェンディア以外は公式カップリングを貫きますのでご了承ください」
チャリティ「何でレジェンディアは例外なのよ?」
takeshi「レジェンディアは恋愛要素も含めて面白いので色々試してみたいんですよ。シンフォニアも同等に恋愛要素が面白いのですが、下手にいじるより公式に従った方が面白いような気がするってところの違いですかね?」
チャリティ「なんかこれ久々に言うけど私に聞くな!」
takeshi「で!ここで突然ですが次回予告です!」
チャリティ「本当に突然ね!!急にどうしたの?」
takeshi「いえ、予告というか今後の更新予定なのですが、とりあえず次回は恒例の『すきっとだらけ』になると思います。ところにより本編が更新される確立10%です」
チャリティ「まぁ今となっては恒例ね。ていうか天気予報みたいなその言い方は何?」
takeshi「そしてその次なのですが、そろそろこの物語も長いので総集編を行おうと思っています。総集編が行われる確立60%です」
チャリティ「折り畳み傘が必要な数字ね……」
takeshi「ちなみに本編には『あらすじ』というものがあるので、総集するのは1〜60話までにするつもりです」
チャリティ「ふぅ〜ん。まぁ良いんじゃない?」
takeshi「で、ですね?総集編の下にオマケを付けると格好が付かないのでやらない代わりに次回はオマケオンリーになります」
チャリティ「あら、久し振りね」
takeshi「予定は未定ですが、そんな感じでいくのでよろしくお願いします」
チャリティ「オッケー!……で?私達はいつまで立って話してれば良いの?立ち話をするコーナーだっけ?これ」
takeshi「前回暴れたせいで色々壊してしまいましたからね〜。実は修理の時間を稼ぐために次回はオマケオンリーにしたっていうところもありますし」
チャリティ「まぁ私も大人気なかったわ。あんたがニコちゃんを大事にしてくれてるっていうのは知ってたのに」
takeshi「いえ、私もμ’sの中ではニコニーが一番好きなクセに取り乱してしまって、申し訳なかったです」
チャリティ「ナイスファイトだったわよ!」
takeshi「チャリティさんもナイスガッツでした!ではまた〜」
―――オマケ―――
エステリーゼ「さぁザギ!やっておしまい!」
ザギ「二度とこの世の土を踏ませねぇ!ハハッ蜂の巣だぁ!ヒャハハー!!」
ザギの魔導光天陣
敵全体に5555のダメージ
セネル「こんなところで……」
クロエ「無念だ……」
ウィル「なんとぉぉっ!」
傷付いた白い野獣は力尽きた
ツンデレ剣士は力尽きた
ゴリラは出荷された
ユーリ達は8765の経験値を獲得!
ユーリ「テレッテッテ〜♪ユーリ・ローウェルは、レベルアップ〜」
エステリーゼ「何です?それ」
リタ「アホっぽい……」
ユーリ達はまとめてレベルが上がった!
フレン「えらく雑なような気が……。しかも約1名出荷されてないかい?」
ウィル「誰が出荷などされるかバカ者が!」
クロエ「だが悔しいが負けは負けだ」
セネル「お前達案外やるな」
リタ「私達じゃなくてザギが、だけどね……」
パティ「ザギは何処へ行ったのじゃ?」
エステリーゼ「アップルグミを与えて帰らせましたよ?」
パティ「ウチも欲しかったのじゃ……」
リタ「あんなもんただのゴミじゃない。1文の価値もないわ」
ジュディス「あら、そんなことを言う割には物欲しそうな顔をしてるわよ?」
リタ「だ、だからしてないっての!!」
ジュディス「私のだったらあげるけど?」
リタ「いらないわよッ!!」
ユーリ「さてと、ラピードにライフボトル使ってやんねぇとな」
ユーリはライフボトルを使った。
ラピード「ブルルルル!」
ユーリ「さっ、約束どおりそこを通してもらうぜ?」
クロエ「仲間がもう1人戦闘不能になっているが良いのか?」
ジュディス「すっかり忘れてたわ」
リタ「寝てたほうが静かで良いわよ」
セネル「お前達、仲間にさんざんな言いようだな……」
なんとカロルは起き上がった!
フレン「まだライフボトルは使ってないのにどうして……?」
カロルは仲間になりたそうな目をしてセネル達を見ている。
パティ「カロルが寝返ろうとしているのじゃ!!」
フレン「ユーリ!君がカロルを不遇に扱ったりするからだぞ!!」
ユーリ「俺だけのせいかよ!?」
仲間にしますか?
ウィル「悪いが俺達は既にパーティがいっぱいでな。これ以上は仲間にできんのだ」
セネル「いっそのことモーゼスと合成すれば良いんじゃないか?」
クロエ「名案だなクーリッジ!」
カロル「い、いやァアあああああ!!!!」
ジュディス「お帰りなさい♪カロル」
カロル「合成怖い合成嫌合成怖い合成嫌」
ユーリ「カロル、その…なんだ……」
カロル「……ユーリ?」
ユーリ「お前は俺達のギルドのリーダーなんだからよ、これからも頼むぜ?カロル先生!」
カロル「しょ、しょがないな〜」
リタ「単純……」
セネル「約束だ、遺跡船に入ることを許可してやる」
フレン「本当ですか!?」
ウィル「だが一つ聞かせてくれ。お前達はこの遺跡船に何の目的で来た?」
エステリーゼ「それは、魔界へ行くため、です」
クロエ「魔界?」
リタ「遺跡船に魔界へ通じるゲートがあるって古文書に書いてあったのよ」
セネル「ウィル、知ってるか?」
ウィル「いや、初耳だが……」
エステリーゼ「そんな……」
リタ「隠したって無駄よ!私達(ザギ)はあんたらに勝ったんだから、こっちで勝手にくまなく調べさせてもらうわ!」
クロエ「待ってくれ!私達は本当に知らないんだ!」
ウィル「いや、もしかしたらあいつなら知ってるかもしれん」
ジュディス「あいつ?含みのある言い方ね」
セネル「俺達の仲間に情報屋がいるんだ。不可視という二つ名が付く程度には信頼できる腕だ」
パティ「ふ菓子かの?」
クロエ「何故そうなる……」
セネル「兎に角会ってみた方が早い。付いてきてくれ」
『モフモフ族集落』
ジュディス「これだけラッコが沢山いると壮観ね」
セネル「本人達にラッコって言うなよ?怒られるからな」
ウィル「あの家だ」
『キュッポ達の家』
セネル「邪魔するぞ〜」
ユーリ「こんなとこに本当に情報屋がいんのかよ?」
クロエ「心配するな。あそこいるのが……」
ヨッツァ「ジェイと思ったかい?ざ〜んねん!ヨッツァさんでした!」
ジェイ「誰ですか貴方はーー!!!」
ヨッツァ「ちょっ、待てよ!冷静になろうぜ?俺ッチだってこんなことはしたくなかったさ。でもさぁ、本編で全然全く出番は無いわ楽談でも触れられないわで寂しかったんだぜ?情報屋ヨッツァって言えば裏の業界じゃ有名なんだぜ?だから少しくらい……」
ジェイ「帰ってください!!」
ヨッツァ「ちぇ……」
ヨッツァは立ち去った。
セネル「……ジェイ?」
ジェイ「あぁ、皆さん。遠いところをわざわざご苦労様です」
カロル(ねぇ、なんかしれっと話してるけど、さっきのシーン無かったことにしようとしてない?)
ジェイ「今日は何の用ですか?」
フレン(カロルの言うとおりだ!何も無かったことにする気だ!)
パティ「ふ菓子には見えんのう……」
ジェイ「はい?さっきからこそこそと何を話してるんですか?」
ジュディス「気にしないで、こっちの話よ?それより、あなたが情報屋さんで合ってるのね?」
ジェイ「あまり素性を明かすのは好ましくないのですが、概(おおむ)ねその通りです」
リタ「ふぅ〜ん、チビのくせに自信だけは一人前なのね。だったら魔界へのゲートの在り処も勿論知ってるんでしょうね?」
ジェイ「えぇ、勿論。ただあなたの場合はゲートの場所の前に自分の身長を知ることから始めるのをお勧めしますよ」
リタ「なっ!?」
クロエ「本当にあるのか!?」
セネル「さすがジェイ。何でも知ってるな」
ジェイ「何でもは知りませんよ。知ってることだけです」
リタ「何?あの作品に出てればその台詞使って良いの?あたしも出たいんだけど」
ユーリ「んで?そのゲートは何処にあるんだ?」
ジェイ「この遺跡船に光跡翼というものがあるのですが、それを使えば行けますよ。ただその際、遺跡船にある列車では異世界へ飛ぶことは不可能なので貴方達がここまで来るのに乗ってきた特殊な船を使ってもらいます」
パティ「それなら問題ないのじゃ!」
ジェイ「本当に良いんですか?光跡翼専用の列車じゃない限り光跡翼を渡るために大量のエネルギーを消費しますよ?」
エステリーゼ「舞茸を与えておけば大丈夫です」
ユーリ「よしカロル先生!舞茸を買ってきてくれ!ダッシュで!」
カロル「オッケー!競争だよラピード!」
ラピード「バウ!」
ジェイ「機械の調整に時間がかかると思います。その間に少し街でも見て行ったらどうですか?」
セネル「そうだな。折角星祭をやってるんだ、案内しよう。なぁクロエ」
クロエ「あ、あぁ(クーリッジと2人で回る予定だったのに……!!)」
ウィル「と、ところでパティと言ったか?」
パティ「何じゃ?」
ウィル「あーなんだ……「パパ大好き」と言ってみてくれないか?」
パティ「セクハラの臭いがするから嫌じゃ」
ウィル「何だと!!?」
ユーリ「てめぇゴリラ!うちの仲間に手ぇ出しやがったら動物園に送るぞ!!」
パティ「ユーリ〜!ウチ怖かったのじゃあ!!」
エステリーゼ「パティは隠れててください!」
セネル「ウィル……お前やっぱり……」
フレン「ユーリ!やはりあのゴリラもロリコンのようだ!」
ジュディス「リタ!貴方も私の後ろに隠れてなさい!」
リタ「そ、そうね……」
ウィル「誤解だぁあああああ!!!!」
クロエ「まともなやつはいないのか……?」
ジェイ「まったくです……」
〜続く〜