第69話『羽衣と飛翔』
夜が明けて、ヴェイグ達は再びピピスタの裏側へ集った。
日もまだ浅く、涼しげな風が吹くなか銀色に輝く二枚羽が悠然と佇んでいる。
その機体の前に緑のモブ子とカイトは立っていた。
「おはよう、みんな」
「本当にもう飛べるの?」
カイトが出迎えてくれるなりマオは銀色の機体を見上げた。
「誰に向かって言ってんだ?完璧に仕上げてあっから安心しな!」
緑のモブ子が胸を張るとメロンがたゆんと揺れる。
「ちなみに名前もあるんだよ?」
どうやらこの機体を呼称する時に名前がないといろいろと不便なためカイト自ら命名したらしい。
「羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)っていうんだ。結構悩んだんだけど、どうかな?」
感想を求められ、ヴェイグ達は固まった。
(な、名前が長すぎて覚えられません!)
ニノンはあたふたしながらブライトを見る。
(完全に中二病だな……)
視線のパスを受けたブライトも口を引きつらせながらジークを見る。
すると、何故かジークの目が輝いていた。
「か、かっけぇな……」
「「ぇえっ!?」」
「だろ!?」
ヴェイグ達が一斉に引くのとは対象にカイトも目を輝かせた。
「特に残骸(レムナント)ってところがミソだな!」
「そうなんだよ!羽衣だけじゃ何か気取ってる感じがしてさ!」
「あたしは改名しろって言ったんだ……」
ジークとカイトが熱弁する傍らで額に手を当て溜息をつきながらモブ子は言うと、ヒルダが肩を二回叩いた。
「設計図を書いたのはカイトだしジーク君も気に入ってるみたいだから別に良いけどさ、流石に長すぎない?いちいちその……セレスティなんとかとか言ってたら疲れちゃうよ」
カインが苦笑いをしながら提案する。
その後ろではヴェイグ達も強く頷いていた。
「羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)ね。でも確かに呼ぶ時は不便かもね」
(呼ぶために名づけたんじゃなかったのか!?)
珍しくヴェイグが心の中でツッコミを入れる。
「だったらレムナント(残骸)に略すか」
「そうだね……。羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)略してレムナントならまだマシだね」
(何で残骸を残すんだ!?羽衣が主題じゃないの!?)
ジンが心の中でツッコムがジークとカイトに届くことはなかった。
「でも僕達の心の中では羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)だからね!」
「当たり前だ!」
カイトとジークは爽やかな笑顔を交わす。
それをフィオナは冷めた目付きで見ていた。
「アホらし……」
「と、兎に角!いつでも飛べっから準備できたらカイトに声をかけること。以上!」
「そういえばまだグミを買い足していなかったな。一旦ピピスタに戻るか」
ヴェイグの提案により一同は一旦街に戻ることにする。
ならばその間にモブ子もシャワーを浴びたいということで街まで一緒に戻り、それから別行動となった。
ヴェイグ達は新しい武器が入荷されていないか等いろいろな店舗を巡っていると日も高くなり街の住民も外に出てき始める時間帯となった。
しかし住民の様子が何時も通りではなかった。
確かに何時ものように外に出て井戸端会議をするヒトはいるのだがその数が多い。
しかも大勢がまとまって話しており、表情も曇っていることから何やら明るい話題ではなさそうだ。
ヴェイグ達は気になり井戸端会議より少し離れたところで立ち止まり、聞き耳を立てる。
「聞いたか?昨日アニカマルででっかい喧嘩があったらしいぞ?」
「そうなの?先週バルカで暴動があってからなんか物騒じゃない?この前だってキョグエンで暴動があったって言うじゃない?」
「昨日と言えば、暴動じゃないらしいがノルゼンでも派手な喧嘩があったみたいだ。何でも1人の刀を振り回す男を50人がかりで止めようとしたのに返り討ちにあったっていう話だ」
「何それ?それってゲームかなんかの話じゃないの?極道もののやつ」
最後の話は明らかに尾ヒレが付いていたがアニカマルの話を放っておくわけにはいかない。
恐らくそこにいるのはファルブとジルバのどちらかだ。
まだ大事にはなっていないようだが、到着が遅れれば遅れた分だけアニカマルの被害が大きくなってしまう。
「すぐに出発するぞ!」
ユージーンの号令によりヴェイグ達はピピスタの裏へ回ろうとする。
「ふぃ〜さっぱりしたぁ〜」
そこへ調度宿屋から出てきた緑のモブ子と鉢合わせになった。
アニカマルの件で危うく忘れそうになったがモブ子をベルサスに送り届けるという約束もしている。
しかしベルサスへ行ってからアニカマルでは遠回りになってしまい時間を大きくロスしてしまう。
北海道から沖縄へ行くのに中国へ寄るようなものだ。
「深刻な顔をしてどうした?もしかしてあたしがシャワーを浴びているところを覗きたかったのか?」
モブ子は悪戯っぽく笑みを浮かべるが、ヴェイグの真剣な表情を見てすぐに真顔になる。
「話せ、何があった?」
ヴェイグ達はさっき井戸端会議で聞いたことをモブ子に話した。
そして、自分達はそれを止めにいかなければならないことを伝えると、モブ子は舌打ちしながら後ろ髪をわしゃわしゃとかいた。
「チッ、ついてねぇな〜。あたしはいつになったら帰れんだ?」
緑のモブ子は少しの間天を仰いだ後、ヴェイグ達を見つめる。
「良いよ。あんたらの用事を先に済ませな」
「でもあんたも妹さんがベルサスで待ってんだろ?」
「ここまで来たら1日や2日変わらねぇさ。嫌われるのは確定だろうけどな……」
心配そうにティトレイが言うと緑のモブ子は苦笑いしながら返した。
すると、今度はジークが舌打ちした。
「ちょっと待ってろ」
「ジーク!?」
フィオナの言葉も聞かずにジークは何処かへ走り去ってしまった。
「どうしたんだ?あいつ……」
緑のモブ子は自分の掌でサンバイザーを作りながらジークが走って行った方向を眺めていると、ノースリーブの裾を掴まれる感触がした。
視線を下げてみるとルルがこちらを見上げながら裾を握りしめていた。
「あのね?そんなに簡単には嫌いにならないと思うよ?」
「あたしの妹の話か?」
ルルは頷く。
「だってお姉さん何でもできて格好良いもん。それに家族なんだから、そう簡単には嫌いになれないんもんなんだよ?」
それを聞いてモブ子は微笑んだ。
「そっか……。お前は兄ちゃん達が好きなんだな」
「ジーク兄さんは嫌い」
「おい……」
嫌いにならないんじゃなかったのかと言いたかったが、とりあえず大きな胸の中にしまっておくことにした。
そんなことをしている間にジークが戻ってきた。
「漆黒の翼に話をつけてきた。港に行けば黒船でベルサスまで送ってくれるってよ」
「そういえば昨日海賊が出たからとか言って立ち往生してたわね」
フィオナは昨日ギンナル達が明日出発しようと話し合っていた光景を思い出した。
ジークはそれを思い出しピピスタの街中で漆黒トリオを発見し、交渉してきたらしい。
「良かったネ!漆黒の船だったら半日でベルサスに着けるよ!」
マオが親指を立てながら言うとモブ子は目を見開いた。
「マジでか!!うわ〜、ありがとうな!」
緑のモブ子はジークの手を両手で握り締める。
「この礼は絶対してやるから絶対いつかベルサスに来いよな!!良いか?絶対だぞ!?」
モブ子は自分の胸の中の渓谷へジークの手を沈めながら懇願するとジークの顔が真っ赤になった。
「れ、礼なんていらねぇよ!むしろ本当なら俺達が礼をするべきなんだよ!」
ジークは強引に手を振り払う。
「……妹、大事にしろよ」
「あぁ!」
モブ子はルルにウィンクしながら返事をした。
「なぁ、一つ聞きたいんだが今ベルサスで何か起こってんのか?」
これはモブ子がベルサス出身だと知ってからずっと訪ねたいと思っていた事だった。
ヤコにはいつかベルサスに行ってほしいと言われていたがなかなか行く暇がない。
そこでベルサスに行けない代わりに現状だけでも把握したいと考えていた。
「いや?『いつもどおり』だと思う。何せ1週間以上は帰ってないからな、最近のことは分からないけど特に何も起きないだろ」
「そっか……」
ヤコに頼まれたのも先週辺りだ。
ならば何も大きなことは起きていないのだろう。
全てが終わったらモブ子に会いに行く用事も含めてベルサスへ行こう。
そうジークは決意するのだった。
「じゃああたし行くわ」
「本当にお世話になりました」
アニーが礼を言い、別れを告げるとモブ子は港へ走り、ヴェイグ達はレムナントの元へ急いだ。
* * *
レムナントのそばではカイトが欠伸をしながらプロペラの調整を行っていた。
そんなところへヴェイグ達が血相を変えて走ってきたためカイトも慌てて駆け寄る。
「ど、どうしたの皆!?そんなに慌てて……」
「カイト、今すぐに飛べるか?」
ヴェイグが言うとカイトは首を傾げた。
何時ものことだがヴェイグは言葉が一つ二つ足りない。
「アニカマルでやべぇことが起きてるらしいんだ!」
ティトレイが補足することでようやく要領を得たカイトは慌ててハッチを開けた。
「乗って!今すぐにでも飛べるよ!」
カイトの後に続くようにヴェイグ達もレムナントに乗り込む。
カイトは前方の操縦席に行くと、ヴェイグ達は後方の座席につくよう指示された。
即興で造っただけあって天井は低く、ユージーンは勿論ヴェイグも少し屈まなければ歩けない。
横の広さはビジネスクラスの約半分、長椅子が壁に寄り添うように対面に二つあるためヴェイグ達は二手に分かれて向き合うように座った。
自衛隊がよく乗っている車両の席を想像すると分かりやすいかもしれない。
唯一の違いは窓が多く、外の景色を眺めることができ、コックピッドとも直結しているため前方を見れば進行方向の景色がパノラマで見ることができる。
「発進するから捕まってて!」
カイトはスイッチを押すと小さな爆音が連発しエンジンが白い煙を出しながら回り始める。
同時にプロペラが高速回転し始め、エンジンとプロペラの音が共鳴する。
カイトはゆっくりアクセルを踏むと機体は直進し始め、ルルは後ろの窓を見たり向かい側の窓を見たり前方の窓を見たりしてこの貴重な初体験の瞬間を目に焼き付けようと必死になっている。
十分速度がついたところでカイトがレバーを手前に引く。
すると、ふわっという前に一度味わった重力が軽くなる感覚が襲ってきたと思った瞬間、レムナントは大空へ羽ばたいた。
「ふぅ、なんとか離陸できたかな」
カイトは息を漏らしながらレバーを操作して機体を安定させようとする。
「他人の力を借りて飛ぶってのも不思議な感覚だな」
ブライトは窓の向こうの景色を見ながら言うが対面に座っているルルは外の景色に夢中で全く聞いていなかった。
「すごいねニノン!水平線が丸く見えるよ!」
地上からは水平線が直線に見えるがあたり一帯視界を遮るものがなければ水平線は曲線に見える。
それがルルには新鮮で仕方無かった。
「ちょっと待って。おかしくない?」
ヒルダは前方の窓に目を向ける。
「黒い霧はどこにいったの?今まで霧が邪魔して遠くまで見えなかったはずよね」
ヒルダは確認するように言うが、どうしても今自分が見てる景色が信じられなかった。
「霧が晴れているな……」
ヴェイグも自分の後方部にある窓から顔を覗かせながら外海を見渡す。
するとティトレイがヴェイグの隣で首を傾げた。
「俺達が暴動を止めすぎた所為で思念が集まらなくなったんじゃねぇか?」
「ユリスの力が弱まってるってことか……そんな単純な話なら良いんだけどな……」
どうも腑に落ちないブライトはしばらく海面を眺めていると景色が海から砂漠へと変化した。
「そろそろ到着するからみんな座って!」
「もう着くのか!?」
ジークはコックビットに問いかける。
「空は航路とか障害物とか無いからね。どんな場所にでもあっという間につけるよ」
「さすが羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)だな」
「名前は関係無いでしょ……」
目を輝かせるジークの隣でフィオナがジト目になっていると、内臓が浮遊するような感覚が一同を襲う。
外の景色を見ると段々と高度が下がっていっているのが分かる。
そして、少しの衝撃と共に砂を巻き上げながらレグナントはアニカマルから少し離れた位置に着陸した。
〜続く〜
日もまだ浅く、涼しげな風が吹くなか銀色に輝く二枚羽が悠然と佇んでいる。
その機体の前に緑のモブ子とカイトは立っていた。
「おはよう、みんな」
「本当にもう飛べるの?」
カイトが出迎えてくれるなりマオは銀色の機体を見上げた。
「誰に向かって言ってんだ?完璧に仕上げてあっから安心しな!」
緑のモブ子が胸を張るとメロンがたゆんと揺れる。
「ちなみに名前もあるんだよ?」
どうやらこの機体を呼称する時に名前がないといろいろと不便なためカイト自ら命名したらしい。
「羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)っていうんだ。結構悩んだんだけど、どうかな?」
感想を求められ、ヴェイグ達は固まった。
(な、名前が長すぎて覚えられません!)
ニノンはあたふたしながらブライトを見る。
(完全に中二病だな……)
視線のパスを受けたブライトも口を引きつらせながらジークを見る。
すると、何故かジークの目が輝いていた。
「か、かっけぇな……」
「「ぇえっ!?」」
「だろ!?」
ヴェイグ達が一斉に引くのとは対象にカイトも目を輝かせた。
「特に残骸(レムナント)ってところがミソだな!」
「そうなんだよ!羽衣だけじゃ何か気取ってる感じがしてさ!」
「あたしは改名しろって言ったんだ……」
ジークとカイトが熱弁する傍らで額に手を当て溜息をつきながらモブ子は言うと、ヒルダが肩を二回叩いた。
「設計図を書いたのはカイトだしジーク君も気に入ってるみたいだから別に良いけどさ、流石に長すぎない?いちいちその……セレスティなんとかとか言ってたら疲れちゃうよ」
カインが苦笑いをしながら提案する。
その後ろではヴェイグ達も強く頷いていた。
「羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)ね。でも確かに呼ぶ時は不便かもね」
(呼ぶために名づけたんじゃなかったのか!?)
珍しくヴェイグが心の中でツッコミを入れる。
「だったらレムナント(残骸)に略すか」
「そうだね……。羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)略してレムナントならまだマシだね」
(何で残骸を残すんだ!?羽衣が主題じゃないの!?)
ジンが心の中でツッコムがジークとカイトに届くことはなかった。
「でも僕達の心の中では羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)だからね!」
「当たり前だ!」
カイトとジークは爽やかな笑顔を交わす。
それをフィオナは冷めた目付きで見ていた。
「アホらし……」
「と、兎に角!いつでも飛べっから準備できたらカイトに声をかけること。以上!」
「そういえばまだグミを買い足していなかったな。一旦ピピスタに戻るか」
ヴェイグの提案により一同は一旦街に戻ることにする。
ならばその間にモブ子もシャワーを浴びたいということで街まで一緒に戻り、それから別行動となった。
ヴェイグ達は新しい武器が入荷されていないか等いろいろな店舗を巡っていると日も高くなり街の住民も外に出てき始める時間帯となった。
しかし住民の様子が何時も通りではなかった。
確かに何時ものように外に出て井戸端会議をするヒトはいるのだがその数が多い。
しかも大勢がまとまって話しており、表情も曇っていることから何やら明るい話題ではなさそうだ。
ヴェイグ達は気になり井戸端会議より少し離れたところで立ち止まり、聞き耳を立てる。
「聞いたか?昨日アニカマルででっかい喧嘩があったらしいぞ?」
「そうなの?先週バルカで暴動があってからなんか物騒じゃない?この前だってキョグエンで暴動があったって言うじゃない?」
「昨日と言えば、暴動じゃないらしいがノルゼンでも派手な喧嘩があったみたいだ。何でも1人の刀を振り回す男を50人がかりで止めようとしたのに返り討ちにあったっていう話だ」
「何それ?それってゲームかなんかの話じゃないの?極道もののやつ」
最後の話は明らかに尾ヒレが付いていたがアニカマルの話を放っておくわけにはいかない。
恐らくそこにいるのはファルブとジルバのどちらかだ。
まだ大事にはなっていないようだが、到着が遅れれば遅れた分だけアニカマルの被害が大きくなってしまう。
「すぐに出発するぞ!」
ユージーンの号令によりヴェイグ達はピピスタの裏へ回ろうとする。
「ふぃ〜さっぱりしたぁ〜」
そこへ調度宿屋から出てきた緑のモブ子と鉢合わせになった。
アニカマルの件で危うく忘れそうになったがモブ子をベルサスに送り届けるという約束もしている。
しかしベルサスへ行ってからアニカマルでは遠回りになってしまい時間を大きくロスしてしまう。
北海道から沖縄へ行くのに中国へ寄るようなものだ。
「深刻な顔をしてどうした?もしかしてあたしがシャワーを浴びているところを覗きたかったのか?」
モブ子は悪戯っぽく笑みを浮かべるが、ヴェイグの真剣な表情を見てすぐに真顔になる。
「話せ、何があった?」
ヴェイグ達はさっき井戸端会議で聞いたことをモブ子に話した。
そして、自分達はそれを止めにいかなければならないことを伝えると、モブ子は舌打ちしながら後ろ髪をわしゃわしゃとかいた。
「チッ、ついてねぇな〜。あたしはいつになったら帰れんだ?」
緑のモブ子は少しの間天を仰いだ後、ヴェイグ達を見つめる。
「良いよ。あんたらの用事を先に済ませな」
「でもあんたも妹さんがベルサスで待ってんだろ?」
「ここまで来たら1日や2日変わらねぇさ。嫌われるのは確定だろうけどな……」
心配そうにティトレイが言うと緑のモブ子は苦笑いしながら返した。
すると、今度はジークが舌打ちした。
「ちょっと待ってろ」
「ジーク!?」
フィオナの言葉も聞かずにジークは何処かへ走り去ってしまった。
「どうしたんだ?あいつ……」
緑のモブ子は自分の掌でサンバイザーを作りながらジークが走って行った方向を眺めていると、ノースリーブの裾を掴まれる感触がした。
視線を下げてみるとルルがこちらを見上げながら裾を握りしめていた。
「あのね?そんなに簡単には嫌いにならないと思うよ?」
「あたしの妹の話か?」
ルルは頷く。
「だってお姉さん何でもできて格好良いもん。それに家族なんだから、そう簡単には嫌いになれないんもんなんだよ?」
それを聞いてモブ子は微笑んだ。
「そっか……。お前は兄ちゃん達が好きなんだな」
「ジーク兄さんは嫌い」
「おい……」
嫌いにならないんじゃなかったのかと言いたかったが、とりあえず大きな胸の中にしまっておくことにした。
そんなことをしている間にジークが戻ってきた。
「漆黒の翼に話をつけてきた。港に行けば黒船でベルサスまで送ってくれるってよ」
「そういえば昨日海賊が出たからとか言って立ち往生してたわね」
フィオナは昨日ギンナル達が明日出発しようと話し合っていた光景を思い出した。
ジークはそれを思い出しピピスタの街中で漆黒トリオを発見し、交渉してきたらしい。
「良かったネ!漆黒の船だったら半日でベルサスに着けるよ!」
マオが親指を立てながら言うとモブ子は目を見開いた。
「マジでか!!うわ〜、ありがとうな!」
緑のモブ子はジークの手を両手で握り締める。
「この礼は絶対してやるから絶対いつかベルサスに来いよな!!良いか?絶対だぞ!?」
モブ子は自分の胸の中の渓谷へジークの手を沈めながら懇願するとジークの顔が真っ赤になった。
「れ、礼なんていらねぇよ!むしろ本当なら俺達が礼をするべきなんだよ!」
ジークは強引に手を振り払う。
「……妹、大事にしろよ」
「あぁ!」
モブ子はルルにウィンクしながら返事をした。
「なぁ、一つ聞きたいんだが今ベルサスで何か起こってんのか?」
これはモブ子がベルサス出身だと知ってからずっと訪ねたいと思っていた事だった。
ヤコにはいつかベルサスに行ってほしいと言われていたがなかなか行く暇がない。
そこでベルサスに行けない代わりに現状だけでも把握したいと考えていた。
「いや?『いつもどおり』だと思う。何せ1週間以上は帰ってないからな、最近のことは分からないけど特に何も起きないだろ」
「そっか……」
ヤコに頼まれたのも先週辺りだ。
ならば何も大きなことは起きていないのだろう。
全てが終わったらモブ子に会いに行く用事も含めてベルサスへ行こう。
そうジークは決意するのだった。
「じゃああたし行くわ」
「本当にお世話になりました」
アニーが礼を言い、別れを告げるとモブ子は港へ走り、ヴェイグ達はレムナントの元へ急いだ。
* * *
レムナントのそばではカイトが欠伸をしながらプロペラの調整を行っていた。
そんなところへヴェイグ達が血相を変えて走ってきたためカイトも慌てて駆け寄る。
「ど、どうしたの皆!?そんなに慌てて……」
「カイト、今すぐに飛べるか?」
ヴェイグが言うとカイトは首を傾げた。
何時ものことだがヴェイグは言葉が一つ二つ足りない。
「アニカマルでやべぇことが起きてるらしいんだ!」
ティトレイが補足することでようやく要領を得たカイトは慌ててハッチを開けた。
「乗って!今すぐにでも飛べるよ!」
カイトの後に続くようにヴェイグ達もレムナントに乗り込む。
カイトは前方の操縦席に行くと、ヴェイグ達は後方の座席につくよう指示された。
即興で造っただけあって天井は低く、ユージーンは勿論ヴェイグも少し屈まなければ歩けない。
横の広さはビジネスクラスの約半分、長椅子が壁に寄り添うように対面に二つあるためヴェイグ達は二手に分かれて向き合うように座った。
自衛隊がよく乗っている車両の席を想像すると分かりやすいかもしれない。
唯一の違いは窓が多く、外の景色を眺めることができ、コックピッドとも直結しているため前方を見れば進行方向の景色がパノラマで見ることができる。
「発進するから捕まってて!」
カイトはスイッチを押すと小さな爆音が連発しエンジンが白い煙を出しながら回り始める。
同時にプロペラが高速回転し始め、エンジンとプロペラの音が共鳴する。
カイトはゆっくりアクセルを踏むと機体は直進し始め、ルルは後ろの窓を見たり向かい側の窓を見たり前方の窓を見たりしてこの貴重な初体験の瞬間を目に焼き付けようと必死になっている。
十分速度がついたところでカイトがレバーを手前に引く。
すると、ふわっという前に一度味わった重力が軽くなる感覚が襲ってきたと思った瞬間、レムナントは大空へ羽ばたいた。
「ふぅ、なんとか離陸できたかな」
カイトは息を漏らしながらレバーを操作して機体を安定させようとする。
「他人の力を借りて飛ぶってのも不思議な感覚だな」
ブライトは窓の向こうの景色を見ながら言うが対面に座っているルルは外の景色に夢中で全く聞いていなかった。
「すごいねニノン!水平線が丸く見えるよ!」
地上からは水平線が直線に見えるがあたり一帯視界を遮るものがなければ水平線は曲線に見える。
それがルルには新鮮で仕方無かった。
「ちょっと待って。おかしくない?」
ヒルダは前方の窓に目を向ける。
「黒い霧はどこにいったの?今まで霧が邪魔して遠くまで見えなかったはずよね」
ヒルダは確認するように言うが、どうしても今自分が見てる景色が信じられなかった。
「霧が晴れているな……」
ヴェイグも自分の後方部にある窓から顔を覗かせながら外海を見渡す。
するとティトレイがヴェイグの隣で首を傾げた。
「俺達が暴動を止めすぎた所為で思念が集まらなくなったんじゃねぇか?」
「ユリスの力が弱まってるってことか……そんな単純な話なら良いんだけどな……」
どうも腑に落ちないブライトはしばらく海面を眺めていると景色が海から砂漠へと変化した。
「そろそろ到着するからみんな座って!」
「もう着くのか!?」
ジークはコックビットに問いかける。
「空は航路とか障害物とか無いからね。どんな場所にでもあっという間につけるよ」
「さすが羽衣の残骸(セレスティアルレムナント)だな」
「名前は関係無いでしょ……」
目を輝かせるジークの隣でフィオナがジト目になっていると、内臓が浮遊するような感覚が一同を襲う。
外の景色を見ると段々と高度が下がっていっているのが分かる。
そして、少しの衝撃と共に砂を巻き上げながらレグナントはアニカマルから少し離れた位置に着陸した。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート51】
takeshi「ども〜!よくみたら前回調度50回だったんじゃねぇか!!と、祝い損ねたことを後悔しているtakeshiです」
マリア「あらあら、変なことばっかり考えてるからそうなるのよ?」
takeshi「あなたが変なことをしなければ忘れずにすんだんですよ……」
マリア「それよりチャリティちゃんとアガーテちゃんはどこかしら?」
アガーテ「すみません、遅くなりました」
チャリティ「あ、机どかしたのね」
takeshi「机をどかせばなんとか4人入れそうだったので」
マリア「2人共何かしていたの?」
アガーテ「更衣室で下着の見せ合いっこをしていました♪」
マリア「あらあら、私も混ざりたかったわ」
チャリティ「やめておいた方が良いわよ……お母さん」
takeshi「テンション低いですね、何かあったんですか?」
チャリティ「格差社会というのを文字通りこの身で思い知ったわ……」
takeshi「あぁ、貧富の差ってやつですか……」
アガーテ「そ、そんな!確かに私が治めていた時は混乱していましたが地位や名誉は皆平等だったはずです!」
マリア「違うのよアガーテちゃん。今は胸の話をしているの」
takeshi「胸囲の格差社会ってやつですね」
アガーテ「あぁ、言われてみれば本当にこの方と同じ更衣室に入って大丈夫だったのか心配になるレベルのお胸でしたね」
チャリティ「そこまでぺったんこじゃなかったでしょ!?」
アガーテ「じょ、冗談です!色と艶は素晴らしいと思いましたよ?」
チャリティ「何よ……同情するなら胸をくれってのよ!むしろくれ!!」
アガーテ「キャー!!チャリティさんやめてください!そんなご無体な!」
takeshi「4人だと消費する文字数がマッハなので本編を振り返りますね」
マリア「私、気になったのだけど緑のモブ子ちゃんといいウチのチャリティちゃんといい、この世界には痴女しかいないのかしら?」
takeshi「その中に自分も含まれていることは分かってます?」
マリア「何か言ったかしら?」
takeshi「も、モブ子は冗談で言ったんじゃないですか!?それにちゃんと純情派も何人かいますし!フィオナとか!」
マリア「困ったことにそれがあの子の唯一のヒロイン要素なのよね……」
チャリティ「グッヘッヘッヘ!お姉ちゃん、良い乳しとるの〜♪」
アガーテ「イヤー!!」
マリア「……あの子は生まれ変わってもヒロインになれそうにないわね」
チャリティ「私がどうかした?」
takeshi「いえ、こっちの話です」
アガーテ「もうお嫁にいけません……」
チャリティ「そういえばあんたさぁ、あの飛行機の名前何なの?」
takeshi「羽衣の残骸(セレスティアルレグナント)ですか?」
チャリティ「名前無駄に長いし中二病というよセンスを疑うわ。墜落する未来が丸見えじゃない」
takeshi「ほう?そんなこと言っちゃって良いんですか?確かに名前を付けたのは私ですがこれに関して文句を言うならばもっと大きな存在を敵に回すことになりますよ?」
チャリティ「な、何よ?それ……」
アガーテ「私も一つ気になったのですが、あの乗り物の燃料はどうなっているんですか?ガソリンという燃料は我が国には存在しないはずですが……」
takeshi「そこはファンタジーの世界ですからね、水素と窒素で動いています。窒素は大気中にいくらでも浮遊していますからね、あとはそこに川とかで汲んできた水を注げば簡単に飛べますよ」
アガーテ「そういえばバルカを走る機関車も水蒸気をエネルギーにしてると聞いたことがあります」
takeshi「ちなみに更に細かく説明すると窒素と水素を化合させて、その時に発生する化合物を燃料にして動いています。化学式でいうと窒素原子1つと水素原子3つがくっついている状態のものです」
アガーテ「そ、そんなものが燃料になっているのですか!?」
takeshi「一応エンジンの中で化合されるので無臭ですが、万が一漏れたらじょじょじょって事になりますね」
チャリティ「何?どういうこと?」
マリア「ググってみれば良いんじゃないかしら?」
takeshi「乗ってるヴェイグ達も含めて知らぬが仏ってやつです。ちなみに羽衣は天と機体の軽さを暗喩していて、残骸はエンジンがもともとは古代の飛行機の残骸から引っ張り出してきた物の名残を表しているんですよ?」
チャリティ「さっき触った時に思ったんだけど、アガーテの肌って触ってて心地良いわね」
アガーテ「だ、だからって今触る必要無いですよね!?」
チャリティ「えー、良いじゃん触るぐら〜い」
アガーテ「チャ、チャリティさんの手つきが何故か卑猥なのでダメです!」
チャリティ「そう?」
アガーテ「さり気なく撫でないでくださいっ!!」
マリア「女王様気質の子が攻められると可愛いわね〜」
takeshi「リンドブロム家って、フリィース家に弱いんですね……」
チャリティ「どれどれ?ここはどんな感じかしら?」
アガーテ「そ、そこは!!」
takeshi「念のため説明しておきますと、今チャリティさんが触っているのはアガーテ女王のアゴの下です」
チャリティ「フフフ、全てを私に委ねなさい?」
アガーテ「お、お姉さま……」
takeshi「文字数が余ったので放っておきましたが、変な展開になってきましたね……」
マリア「私達は何時までここにいられるのかしら?」
takeshi「次いつ更新できるか分かりませんが、一応次回の更新でお別れの予定です」
マリア「そう。だったらアガーテちゃん、今の内にたっぷりと可愛がってもらいなさい」
アガーテ「見てないで助けてください!!」
takeshi「私、こんなに楽しそうなチャリティさんを見るのは初めてな気がします」
マリア「あらあら、私も嬉しいわ〜」
アガーテ「ひ、ヒトの話を聞いて……お、お姉さま?それ以上は!キャー!!」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
レイヴン「おっさん、ここで死んだら楽談の世界に行けたりして」
ユーリ「おっさん、レイヴンの衣装に戻ってんぞ」
レイヴン「だってシュバーンの衣装って疲れるんだも〜ん!それに、どうせ正体バレてるんだし、どっちでも一緒でしょ?」
ユーリ「なら最初からレイヴンで出て来いよ……」
アレクセイ「戦闘中だ、口を慎め」
レイヴン「へいへい」
レイヴンの攻撃。
しかしレイヴンは動くことができない。
アレクセイ「貴様……舐めているのか?」
レイヴン「しょうがないっしょ〜?俺様、女子供には手を出さない主義だし、ジュディスちゃんに嫌われたくないもん」
アレクセイ「それでは役に立たんではないか!」
レイヴン「相手が青年達だったらボッコボコにしてやったんだけどね〜」
アレクセイ「えぇい!やはり貴様を当てにした私が愚かだったわ!」
アレクセイは純粋な怒りによりオーバーリミッツを発動した。
アレクセイ「生きては返さんぞ!」
アレクセイの舞茸聖剣
エステリーゼ「そうはさせません!」
リタ「え?何?」
エステリーゼ「ユーリのリップクリームでインターセプト!ザギを召喚です!」
カロル「何時の間にカードファイトになったの!?」
パティ「ユーリのリップクリーム!!!」
ザギ「ユーリ・ローウェルゥウウウウウ!!!!!」
アレクセイ「き、貴様も寝返るというのか!!」
ユーリ「おい待て!リップクリームだけはやめろ!!」
フレン「僕のだぞっ!!」
ジュディス「はい?」
フレン「いや、何でもない」
ユーリ「何でだ!?失くしてたと思ってたのに何でエステルが持ってんだ!?」
エステリーゼ「ユーリってリップクリームを使った後適当にしまう癖があるんです。その所為でどこにしまったか忘れたユーリは新しいのを買ってまた失くすという無限ループを繰り返していたので何個か拝借しておいたんです♪」
ユーリ「いつか言ってやろうと思ってたが気付いてたなら言えよ!!」
エステリーゼ「嫌です!!」
ユーリ「何時も謙遜するくせに何でそこだけ頑固なんだよ!?」
エステリーゼ「そ、それは……ユーリには秘密です」
アレクセイ「閃覇嵐星塵!!」
ザギ「ぐあああああ!!!」
ザギに8018のダメージ。
エステリーゼ「ザギ!」
ユーリ「何やってんだアレクセイ!手加減してんじゃねぇぞ!」
エステリーゼ「それはこちらの台詞ですユーリ!何でザギを応援してあげないんです!?フィアンセが傷付いているんですよ!?」
ユーリ「フィアンセじゃねぇ!!」
エステリーゼ「仕方がありません。ここは一旦ザギを回復させます」
フレン「パーティメンバー以外にグミを使うことはできないはずですが……」
エステリーゼ「使いますね?」
エステリーゼは婚約届けを使った。
ユーリ「……は?」
ジュディス「あら?ユーリの名前がもう書かれているわね」
ザギ「おぉぉぉ……!!!」
ザギは体力が全回復した。
パティ「これはどういうことじゃユーリ!!?」
ユーリ「俺だって知らねぇよ!!むしろ俺が聞きたいくらいだ!!」
エステリーゼ「あれは5分前のことです」
『5分前』
エステリーゼ「そういえばユーリ。ユーリは下町育ちなのに字の読み書きはできるんです?」
ユーリ「そりゃ読み書きできなきゃ士官学校にも入れねぇだろ」
エステリーゼ「では試しに『ここ』にユーリの名前を書いてみてください」
ユーリ「ったく、面倒くせぇな……。ほら、これでいいだろ?」
エステリーゼ「ユーリって意外と字が綺麗なんですね……」
ユーリ「放っとけ。しかし変わった紙だな」
エステリーゼ「異世界の紙だからじゃないですか?」
ユーリ「ふぅ〜ん、世界が違うと材質も変わんのか」
『現在』
ユーリ「あ、あの時か……」
リタ「アホかあんたは!!異世界だろうが何だろうが紙である以上材質は同じに決まってるでしょ!!!」
ユーリ「よ、羊皮紙とかあるじゃねぇか!」
リタ「有機物か無機物かくらい分かれ!バカ!!」
レイヴン「なになに?俺の知らないところで青年、ザギと結婚することになってたの?おめでと〜!結婚式には呼ばないでね?」
ユーリ「ザギ!あのカラス(笑)を八つ裂きにしろ!」
レイヴン「ちょ、人の名前の後ろに(笑)とか付けないでくれる!?これでも結構クロウにするかで悩んだんだからさ!」
ザギ「俺とユーリの関係を笑う奴は蜂の巣だぁ!ヒャッハァー!!」
ザギの魔導光天陣
敵全体に愛の力で9999のダメージ
レイヴン「カッコワル……」
アレクセイ「我が覇道もここまで……か……」
レイヴンは力尽きた
アレクセイは力尽きた
180000の経験値を獲得!
ジュディス「美少女軍団は無敵ね♪」
エステリーゼ「美少女軍団良い感じです〜」
リタ「美少女軍団の意味あったのかぁ?」
なんとレイヴンは起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている。
仲間にしてあげますか?
ユーリ「ったく、約束は約束だからな。ついてこいよ、おっさん」
レイヴン「ようやく青年もおっさんの有り難味が分かったみたいね!」
エステリーゼ「ザギ、ご苦労様でした♪」
エステリーゼはユーリのリップクリームを投げた。
ザギ「ユーリ・ローウェルウウゥゥゥ……」
レイヴン「あれは……なにがどうなってんの?」
カロル「レイヴン、ユーリのためにも聞かないであげてよ」
レイヴン「いつのまにか少年が成長するくらいのことが起きたのね……」
フレン「そんなことよりシュバーン隊長、先程ヒロインがどこにいるか知っているとおっしゃられていましたが、一体どこに?」
レイヴン「あ〜それね。なんかおっかない人に最上階へ連れて行かれちゃってさ〜。おっさん超恐かったんだから!」
ユーリ「最上階か。ならさっさと行こうぜ!」
カロル「張り切ってるねユーリ!」
ユーリ「こうなったらさっさとヒロイン助けてキュモールから離婚届をもらいに行ってやるぜ!」
ジュディス「あなた達、キュモールから離婚届をもらうために旅をしていたの?流石に二週目はストーリーが変わるのね」
リタ「あたしはただ魔界の行き方を教えるために付いてきただけだから知らないけど……どうなの?エステル?」
エステリーゼ「ユーリコレクションが底を突いてきました……」
リタ「これはダメね……」
ラピード「バウ!」
リタ「どうしたのよ?ワンコ」
ラピード「バウバウ!」
ジュディス「あら?そういえばパティがいないわね」
リタ「結構怒ってたし、家出でもしたんじゃない?」
ジュディス「……」
〜続く〜
takeshi「ども〜!よくみたら前回調度50回だったんじゃねぇか!!と、祝い損ねたことを後悔しているtakeshiです」
マリア「あらあら、変なことばっかり考えてるからそうなるのよ?」
takeshi「あなたが変なことをしなければ忘れずにすんだんですよ……」
マリア「それよりチャリティちゃんとアガーテちゃんはどこかしら?」
アガーテ「すみません、遅くなりました」
チャリティ「あ、机どかしたのね」
takeshi「机をどかせばなんとか4人入れそうだったので」
マリア「2人共何かしていたの?」
アガーテ「更衣室で下着の見せ合いっこをしていました♪」
マリア「あらあら、私も混ざりたかったわ」
チャリティ「やめておいた方が良いわよ……お母さん」
takeshi「テンション低いですね、何かあったんですか?」
チャリティ「格差社会というのを文字通りこの身で思い知ったわ……」
takeshi「あぁ、貧富の差ってやつですか……」
アガーテ「そ、そんな!確かに私が治めていた時は混乱していましたが地位や名誉は皆平等だったはずです!」
マリア「違うのよアガーテちゃん。今は胸の話をしているの」
takeshi「胸囲の格差社会ってやつですね」
アガーテ「あぁ、言われてみれば本当にこの方と同じ更衣室に入って大丈夫だったのか心配になるレベルのお胸でしたね」
チャリティ「そこまでぺったんこじゃなかったでしょ!?」
アガーテ「じょ、冗談です!色と艶は素晴らしいと思いましたよ?」
チャリティ「何よ……同情するなら胸をくれってのよ!むしろくれ!!」
アガーテ「キャー!!チャリティさんやめてください!そんなご無体な!」
takeshi「4人だと消費する文字数がマッハなので本編を振り返りますね」
マリア「私、気になったのだけど緑のモブ子ちゃんといいウチのチャリティちゃんといい、この世界には痴女しかいないのかしら?」
takeshi「その中に自分も含まれていることは分かってます?」
マリア「何か言ったかしら?」
takeshi「も、モブ子は冗談で言ったんじゃないですか!?それにちゃんと純情派も何人かいますし!フィオナとか!」
マリア「困ったことにそれがあの子の唯一のヒロイン要素なのよね……」
チャリティ「グッヘッヘッヘ!お姉ちゃん、良い乳しとるの〜♪」
アガーテ「イヤー!!」
マリア「……あの子は生まれ変わってもヒロインになれそうにないわね」
チャリティ「私がどうかした?」
takeshi「いえ、こっちの話です」
アガーテ「もうお嫁にいけません……」
チャリティ「そういえばあんたさぁ、あの飛行機の名前何なの?」
takeshi「羽衣の残骸(セレスティアルレグナント)ですか?」
チャリティ「名前無駄に長いし中二病というよセンスを疑うわ。墜落する未来が丸見えじゃない」
takeshi「ほう?そんなこと言っちゃって良いんですか?確かに名前を付けたのは私ですがこれに関して文句を言うならばもっと大きな存在を敵に回すことになりますよ?」
チャリティ「な、何よ?それ……」
アガーテ「私も一つ気になったのですが、あの乗り物の燃料はどうなっているんですか?ガソリンという燃料は我が国には存在しないはずですが……」
takeshi「そこはファンタジーの世界ですからね、水素と窒素で動いています。窒素は大気中にいくらでも浮遊していますからね、あとはそこに川とかで汲んできた水を注げば簡単に飛べますよ」
アガーテ「そういえばバルカを走る機関車も水蒸気をエネルギーにしてると聞いたことがあります」
takeshi「ちなみに更に細かく説明すると窒素と水素を化合させて、その時に発生する化合物を燃料にして動いています。化学式でいうと窒素原子1つと水素原子3つがくっついている状態のものです」
アガーテ「そ、そんなものが燃料になっているのですか!?」
takeshi「一応エンジンの中で化合されるので無臭ですが、万が一漏れたらじょじょじょって事になりますね」
チャリティ「何?どういうこと?」
マリア「ググってみれば良いんじゃないかしら?」
takeshi「乗ってるヴェイグ達も含めて知らぬが仏ってやつです。ちなみに羽衣は天と機体の軽さを暗喩していて、残骸はエンジンがもともとは古代の飛行機の残骸から引っ張り出してきた物の名残を表しているんですよ?」
チャリティ「さっき触った時に思ったんだけど、アガーテの肌って触ってて心地良いわね」
アガーテ「だ、だからって今触る必要無いですよね!?」
チャリティ「えー、良いじゃん触るぐら〜い」
アガーテ「チャ、チャリティさんの手つきが何故か卑猥なのでダメです!」
チャリティ「そう?」
アガーテ「さり気なく撫でないでくださいっ!!」
マリア「女王様気質の子が攻められると可愛いわね〜」
takeshi「リンドブロム家って、フリィース家に弱いんですね……」
チャリティ「どれどれ?ここはどんな感じかしら?」
アガーテ「そ、そこは!!」
takeshi「念のため説明しておきますと、今チャリティさんが触っているのはアガーテ女王のアゴの下です」
チャリティ「フフフ、全てを私に委ねなさい?」
アガーテ「お、お姉さま……」
takeshi「文字数が余ったので放っておきましたが、変な展開になってきましたね……」
マリア「私達は何時までここにいられるのかしら?」
takeshi「次いつ更新できるか分かりませんが、一応次回の更新でお別れの予定です」
マリア「そう。だったらアガーテちゃん、今の内にたっぷりと可愛がってもらいなさい」
アガーテ「見てないで助けてください!!」
takeshi「私、こんなに楽しそうなチャリティさんを見るのは初めてな気がします」
マリア「あらあら、私も嬉しいわ〜」
アガーテ「ひ、ヒトの話を聞いて……お、お姉さま?それ以上は!キャー!!」
takeshi「ではまた〜」
―――オマケ―――
レイヴン「おっさん、ここで死んだら楽談の世界に行けたりして」
ユーリ「おっさん、レイヴンの衣装に戻ってんぞ」
レイヴン「だってシュバーンの衣装って疲れるんだも〜ん!それに、どうせ正体バレてるんだし、どっちでも一緒でしょ?」
ユーリ「なら最初からレイヴンで出て来いよ……」
アレクセイ「戦闘中だ、口を慎め」
レイヴン「へいへい」
レイヴンの攻撃。
しかしレイヴンは動くことができない。
アレクセイ「貴様……舐めているのか?」
レイヴン「しょうがないっしょ〜?俺様、女子供には手を出さない主義だし、ジュディスちゃんに嫌われたくないもん」
アレクセイ「それでは役に立たんではないか!」
レイヴン「相手が青年達だったらボッコボコにしてやったんだけどね〜」
アレクセイ「えぇい!やはり貴様を当てにした私が愚かだったわ!」
アレクセイは純粋な怒りによりオーバーリミッツを発動した。
アレクセイ「生きては返さんぞ!」
アレクセイの舞茸聖剣
エステリーゼ「そうはさせません!」
リタ「え?何?」
エステリーゼ「ユーリのリップクリームでインターセプト!ザギを召喚です!」
カロル「何時の間にカードファイトになったの!?」
パティ「ユーリのリップクリーム!!!」
ザギ「ユーリ・ローウェルゥウウウウウ!!!!!」
アレクセイ「き、貴様も寝返るというのか!!」
ユーリ「おい待て!リップクリームだけはやめろ!!」
フレン「僕のだぞっ!!」
ジュディス「はい?」
フレン「いや、何でもない」
ユーリ「何でだ!?失くしてたと思ってたのに何でエステルが持ってんだ!?」
エステリーゼ「ユーリってリップクリームを使った後適当にしまう癖があるんです。その所為でどこにしまったか忘れたユーリは新しいのを買ってまた失くすという無限ループを繰り返していたので何個か拝借しておいたんです♪」
ユーリ「いつか言ってやろうと思ってたが気付いてたなら言えよ!!」
エステリーゼ「嫌です!!」
ユーリ「何時も謙遜するくせに何でそこだけ頑固なんだよ!?」
エステリーゼ「そ、それは……ユーリには秘密です」
アレクセイ「閃覇嵐星塵!!」
ザギ「ぐあああああ!!!」
ザギに8018のダメージ。
エステリーゼ「ザギ!」
ユーリ「何やってんだアレクセイ!手加減してんじゃねぇぞ!」
エステリーゼ「それはこちらの台詞ですユーリ!何でザギを応援してあげないんです!?フィアンセが傷付いているんですよ!?」
ユーリ「フィアンセじゃねぇ!!」
エステリーゼ「仕方がありません。ここは一旦ザギを回復させます」
フレン「パーティメンバー以外にグミを使うことはできないはずですが……」
エステリーゼ「使いますね?」
エステリーゼは婚約届けを使った。
ユーリ「……は?」
ジュディス「あら?ユーリの名前がもう書かれているわね」
ザギ「おぉぉぉ……!!!」
ザギは体力が全回復した。
パティ「これはどういうことじゃユーリ!!?」
ユーリ「俺だって知らねぇよ!!むしろ俺が聞きたいくらいだ!!」
エステリーゼ「あれは5分前のことです」
『5分前』
エステリーゼ「そういえばユーリ。ユーリは下町育ちなのに字の読み書きはできるんです?」
ユーリ「そりゃ読み書きできなきゃ士官学校にも入れねぇだろ」
エステリーゼ「では試しに『ここ』にユーリの名前を書いてみてください」
ユーリ「ったく、面倒くせぇな……。ほら、これでいいだろ?」
エステリーゼ「ユーリって意外と字が綺麗なんですね……」
ユーリ「放っとけ。しかし変わった紙だな」
エステリーゼ「異世界の紙だからじゃないですか?」
ユーリ「ふぅ〜ん、世界が違うと材質も変わんのか」
『現在』
ユーリ「あ、あの時か……」
リタ「アホかあんたは!!異世界だろうが何だろうが紙である以上材質は同じに決まってるでしょ!!!」
ユーリ「よ、羊皮紙とかあるじゃねぇか!」
リタ「有機物か無機物かくらい分かれ!バカ!!」
レイヴン「なになに?俺の知らないところで青年、ザギと結婚することになってたの?おめでと〜!結婚式には呼ばないでね?」
ユーリ「ザギ!あのカラス(笑)を八つ裂きにしろ!」
レイヴン「ちょ、人の名前の後ろに(笑)とか付けないでくれる!?これでも結構クロウにするかで悩んだんだからさ!」
ザギ「俺とユーリの関係を笑う奴は蜂の巣だぁ!ヒャッハァー!!」
ザギの魔導光天陣
敵全体に愛の力で9999のダメージ
レイヴン「カッコワル……」
アレクセイ「我が覇道もここまで……か……」
レイヴンは力尽きた
アレクセイは力尽きた
180000の経験値を獲得!
ジュディス「美少女軍団は無敵ね♪」
エステリーゼ「美少女軍団良い感じです〜」
リタ「美少女軍団の意味あったのかぁ?」
なんとレイヴンは起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている。
仲間にしてあげますか?
ユーリ「ったく、約束は約束だからな。ついてこいよ、おっさん」
レイヴン「ようやく青年もおっさんの有り難味が分かったみたいね!」
エステリーゼ「ザギ、ご苦労様でした♪」
エステリーゼはユーリのリップクリームを投げた。
ザギ「ユーリ・ローウェルウウゥゥゥ……」
レイヴン「あれは……なにがどうなってんの?」
カロル「レイヴン、ユーリのためにも聞かないであげてよ」
レイヴン「いつのまにか少年が成長するくらいのことが起きたのね……」
フレン「そんなことよりシュバーン隊長、先程ヒロインがどこにいるか知っているとおっしゃられていましたが、一体どこに?」
レイヴン「あ〜それね。なんかおっかない人に最上階へ連れて行かれちゃってさ〜。おっさん超恐かったんだから!」
ユーリ「最上階か。ならさっさと行こうぜ!」
カロル「張り切ってるねユーリ!」
ユーリ「こうなったらさっさとヒロイン助けてキュモールから離婚届をもらいに行ってやるぜ!」
ジュディス「あなた達、キュモールから離婚届をもらうために旅をしていたの?流石に二週目はストーリーが変わるのね」
リタ「あたしはただ魔界の行き方を教えるために付いてきただけだから知らないけど……どうなの?エステル?」
エステリーゼ「ユーリコレクションが底を突いてきました……」
リタ「これはダメね……」
ラピード「バウ!」
リタ「どうしたのよ?ワンコ」
ラピード「バウバウ!」
ジュディス「あら?そういえばパティがいないわね」
リタ「結構怒ってたし、家出でもしたんじゃない?」
ジュディス「……」
〜続く〜