第74話『闇と光』
まるでお祭り会場の電飾のようにヴェイグ達を炎に包まれた枝が囲むなか、青々しい樹木がたくましく成長していく。
そこへ今度はブライトがジンを連れてくる。
ブライトはジンの腕をとり、遠くへ合図を送るかのようにジンの腕を振らせる。
(……何これ?)
ブライトにされるがまま腕を振りながらもブライトの顔を見る。
すると、だんだんと息苦しい感覚が消えていくのが分かった。
その間にもティトレイは樹木を育て続け、ヒルダがカードにて枝を切断する。
その切断された枝をマオが燃やすのと同時にヴェイグも氷を張り続ける。
そして灰の山にユージーンがフォルスを流すと、そこからまた新たな樹木をティトレイが成長させる。
氷は段々と分厚いものが作れるようになり、ジンが空中を腕でかき回せばかき回すほど呼吸をしやすくなり、炎の勢いも増していく。
しかし突然、ルルが吹き飛んでくると背中を樹木に強打した。
(もう来やがったのか!)
ブライトはルルが吹き飛んできた方向を見る。
するとそこにはファルブが炎に照らされていた。
ブライトは普段左手で使うライフルに銃弾を装填し両手で構える。
そして引き金を引くと銃声が響かないことが幸いし、ファルブはブライトに狙われていたことさえ気付かずに肩を打ち抜かれ、衝撃で吹き飛んだ。
逆にブライト本人もいつもはフォルスで衝撃も緩和しているが今回はダイレクトに伝達されるためよろけてしまい次弾を打つまでに手間取っていた。
その間にファルブは立ち上がるが、体勢を立て直したルルと扇を閉じたままのフィオナがファルブに接近戦を挑む。
(えぇい!!)
ルルは通常サイズの如意棒を目一杯振り下ろすが、ファルブとは力の差がありすぎるため弾き返されてしまう。
そこへフィオナがファルブの横からバットを振るように閉じたままの扇をスイングする。
ファルブは応戦するように大鎌を振り下ろし、力が拮抗する。
(瞬迅槍!)
フィオナとファルブが均衡を保っている隙にルルの如意棒がファルブの脇腹に食い込む。
圧力は物体が接する面積が狭ければ狭い程強くなるため下手に如意棒を太くするよりも深く突き刺さり、ファルブは一瞬息ができなくなる。
そこを見逃さなかったフィオナは一気に押し切り扇でファルブを突く。
ファルブは後方に吹き飛び、ルルとフィオナはさらに追い討ちをかけるために追いかける。
しかし受身をとり膝立ち状態だったファルブが大鎌を横に振るとフィオナとルルを切り裂いた。
直前にフィオナがルルを横に突き飛ばし左右に分かれたためルルは右腕、フィオナは左腕に切り傷を受けた。
『こんな時にジークは何やってるの!?』
(あいつ……まだ来てなかったのか?)
ブライトは炎に包まれた空間内を見渡すが確かにジークの姿がなかった。
ジークのことも気がかりだが今はヴェイグ達の作業を邪魔させないためにもファルブの足止めをする必要がある。
そのためにも、この作戦の要ともいえる『結合』のフォルスにより原子から分子へ、分子を分子へ結合させるジンを死守する必要があるブライトはジンのそばから離れるわけにはいかない。
ブライトは照準をファルブに合わせ、引き金を引く。
すると、鳴らないはずの銃声が空間内に響き渡るとファルブは咄嗟に大鎌で銃弾を弾く。
「今だヒルダ!!」
ブライトの声が飛ぶ。
木々を燃やす音、氷が溶ける音などが耳に入ってくるようになる。
ヒルダは詠唱を始めるとファルブはヒルダに標的を絞る。
そのファルブの行き先を封じるようにヴェイグ、ティトレイ、ユージーンの三人が立ちふさがる。
「うおおおお!!!」
ファルブが突進してくる。
ヴェイグ、ティトレイ、ユージーン、ルル、フィオナの5人も迎え撃つ。
だが、5人が接近したところでファルブは大鎌の柄を地面に突き立てる。
「地鍔陣!!」
ファルブの周囲が揺れ始める。
その刹那、5人の体が宙に浮くと地面からのエネルギー波を回避した。
ヴェイグ達の後方で重力を0にしたブライトによるものだ。
重くすることはできないが、減らすことならばこの空間においてはいくらでもできる。
ブライトはすぐに全員の重力を戻すと、ヴェイグ達はファルブと剣を交える。
「何故だ!?なぜこの空間で音がでる!?なぜまだ呼吸ができる!?」
ファルブは大鎌を振り回しながら怒鳴るとユージーンが槍を突き出し大鎌の動きを止める。
「俺が教えてやろうファルブ。答えは大気を作ったからだ」
「作った……だと!?」
ファルブは歯を剥き出しにしながら大鎌に力を込める。
ユージーンの槍と擦れ、ギリギリと金属音が木霊する。
「あぁそうだ。通常、音は大気を振動させることで届くがお前のこの空間の中では大気を構成する物が少量の酸素しかなかった。だから俺達は窒素から水素まで自分達で作った」
「ガッハハ!そんなことできるわけねぇだろ!」
「不可能を可能にするのが仲間の力だ。お前は自分の力を過信しすぎだファルブ」
ユージーン1人ならファルブは押し切ることも難しくはない。
だが今はヴェイグの大剣も同時に防御している。
大鎌の柄の部分で左右から振り下ろされる槍と大剣を防御するこの状況。
バルカ城の屋上でも同じ状況があった。
あの時は簡単に跳ね除けることができた。
しかし今はビクともしない。
「濁流よ、全てを吹きとばせ!」
ヒルダの詠唱が終わる。
だが、ファルブは笑みを浮かべる。
「ガッハハ!言っておくが、この空間は導術ごときでは破壊できんぞ!」
ヒルダは腕をクロスさせる。
「アクアストリーム!!」
ファルブも、そして燃え盛る枝も無い空間に突如濁流が噴出する。
枝を伝い燃え盛る炎、そして拡散しようとする水素を一点にかきあつめたアクアストリーム。
これで全ての条件が揃った。
ヒルダは間を置かずに次の詠唱に入る。
「何だ!?何をしようとしている!?」
ファルブは直感から焦り始めるが、ヴェイグとユージーンとの押し合いに勝てない。
(一旦下がれば簡単なんだろうが、こいつら相手に退けるかよコンチクショウが!!)
ファルブは筋肉を膨張させ、鼻息荒く大鎌をぐいぐい押してくる。
対するヴェイグとユージーンも限界以上の力を込めて押し返す。
筋肉が悲鳴を上げるがそんなことはどうでも良い。
ルルとフィオナも加勢すれば一気にかたはつく。
だがそれはブライトがさせなかった。
過去を乗り越え、成長するプロセスに必要なことだから。
「聖なる意思よ……」
ヒルダが言葉を紡ぐごとに彼女自身の体が強く光り始める。
それに呼応するかのように木々を燃やしていた炎が激しく揺れ始める。
まるでヒルダが炎を吸収しているかのように、炎が小さくなればなるほどヒルダの光が強くなる。
「ふんぬおおおおおおおお!!!!」
「はぁぁああああああああ!!!!」
「むぉぉおおおおおおおお!!!!」
三人の声が闇の空間に木霊する。
今まで周囲を照らしていた炎は段々小さくなり、視界も薄暗くなる。
そして、炎が完全に消えるとヒルダの光だけが頼りとなり、ファルブ、ヴェイグ、ユージーンの姿は完全に見えなくなった。
瞬間、キィイイイイン!と金属同士が弾く音が木霊した
「我に仇なす敵を討て」
音と同時にヒルダの詠唱が終わり腕をクロスさせる。
「ディバインセイバー!!!」
まるで卵の殻をぶち破るように2つの落雷が降り注ぐ。
その落雷の間にはファルブがよろけており、次にファルブの前後に2つの落雷が降り注ぐとヴェイグとユージーンが武器を振りぬいている姿が顕(あら)わになった。
(また……負けたのか?)
体勢が崩れ、上向きになっている所為でファルブの目に自分の斜め前後に降り注ぐ落雷が映る。
6方向に落下した雷により闇の空間が砕けていき、外から光が差し込み始める。
そしてまた二つの落雷が落下すると光の柱がファルブの八方を塞いだ。
「認めねぇ…」
ファルブはよろける足で地面を踏みしめる。
「断じて認めねぇ!」
ファルブは大鎌を構える。
すると雷の柱に体のあちこちが触れ焼け焦げるが、ファルブは気にも留めずに斜め前方を見据える。
ファルブの目線の先には彗星のように巨大な光の束が降り注ごうとしていた。
ヒトの体の10倍はあろうかという光の束がファルブを飲み込む瞬間、ファルブは渾身の力で大鎌を振るう。
しかし光の束は無常にも滝のようにファルブを飲み込むと光は拡散し、あっという間に空間一帯が光に包まれヴェイグ達の視界は真っ白になった。
* * *
突然目に入ってきた強烈な光に目が眩んでいると、肌を焼くようなじりじりとした熱を感じた。
耳をすませば近くの池で鯉が跳ねる音も聞こえる。
光に眼を慣らそうとゆっくり瞼を開こうとすると微風が吹き小さな砂が舞い上がり肌に当たる。
ヴェイグ達の眼前にはアニカマルの景色が広がっていた。
「何……で?」
フィオナが口を両手で覆いながら崩れるように膝を地面に突いた。
本来ならば闇の空間を抜けたことに歓喜しても良さそうなものだが、誰一人歓喜する者はいなかった。
「ガッハハ……ガッハ…ハ…」
あちこちが焦げた体から煙を上げ、笑う度に口から黒い煙を吐くファルブが最早ボロ雑巾のように立っていた。
だがフィオナが見ているのはファルブではない。
ファルブの遥か後方。
宿屋へと続く道の近くでジークは切り傷だらけの体で片膝をついていた。
下手をすればファルブよりも重傷に見える。
「ジークさん!」
「ジーク君!」
いつでも回復できるようにとスタンバイしていたアニーと、それを護衛していたカインがジークに駆け寄る。
「何で……皆私の『声』を聞いて集まってきたのに、何でジークだけ来なかったの……」
「おいしっかりしろ!!」
ブライトはフィオナの肩を揺すり、注意を惹かせる。
(よく考えてみれば俺達が無傷であそこまで大気を生成できるわけなかったんじゃねぇか!何でもっと早く気付かなかった!?早く気付いてればジークも1人で狙い撃ちされずにすんだだろうが!)
ブライトは自分自身の不甲斐なさを感じながらもフィオナの肩を揺すり続ける。
一方ファルブも戦意の無い者には興味がないのか、そこまで余裕がないのか、ジークの所へ向かうために擦れ違うアニーとカインを黙って素通りさせた。
アニーは急いで杖を地面に突く。
だが今回は陣を描かない。
描かずに精神を集中させる。
「ガッハハ……俺は負けない……」
ファルブは気持ちの悪い笑みを浮かべる。
と、同時にファルブの体から煙と混ざって闇の霧が溢れ出す。
「まだやるというのか」
ヴェイグは大剣のグリップを握り締める。
先程闇の空間でフォルスを使いすぎたせいであまり体力は残っていない。
特にヒルダは奥義まで出した後のため、カードを構えているが肩で息をしている。
髪は乱れ、いつもの冷静沈着なヒルダではなかった。
「負けないで……ライズ・エリキシル!」
アニーが一回くるりと回転してから再び地面に杖を突き刺すと色とりどりの輪がアニーの周辺に広がり、虹色の光が柱となってジークを包み込んだ。
「悪い……」
「治癒功!」
ゆっくりと立ち上がるジークにカインが更に回復をかける。
「お前……」
「大丈夫、これは最近覚えた燃費の良い技だから」
カインが微笑む。
その遥か後ろでファルブは地面に大鎌の柄を突きたてた。
「俺様は強い!!」
ファルブの雄叫びが木霊する。
と同時に闇がファルブを綿菓子のように包み込む。
「先手を打つぞ!」
ユージーンの号令でヴェイグ、ティトレイ、ジン、ルルの前衛がユージーンに続く。
「俺達も行くぞカイン!」
「あぁ!」
ジークとカインも走り出し、ユージーン達と挟み撃ちをする形となる。
その姿を見てフィオナも自分のやるべきことを思い出す。
「ごめんなさいブライト!今は戦闘に集中するわ!」
「分かれば良い!」
2人も中距離から援護するために準備をする。
「クソッタレがぁあ!!」
ファルブが怒鳴るとその覇気により周囲に突風が吹き荒れる。
〜続く〜
そこへ今度はブライトがジンを連れてくる。
ブライトはジンの腕をとり、遠くへ合図を送るかのようにジンの腕を振らせる。
(……何これ?)
ブライトにされるがまま腕を振りながらもブライトの顔を見る。
すると、だんだんと息苦しい感覚が消えていくのが分かった。
その間にもティトレイは樹木を育て続け、ヒルダがカードにて枝を切断する。
その切断された枝をマオが燃やすのと同時にヴェイグも氷を張り続ける。
そして灰の山にユージーンがフォルスを流すと、そこからまた新たな樹木をティトレイが成長させる。
氷は段々と分厚いものが作れるようになり、ジンが空中を腕でかき回せばかき回すほど呼吸をしやすくなり、炎の勢いも増していく。
しかし突然、ルルが吹き飛んでくると背中を樹木に強打した。
(もう来やがったのか!)
ブライトはルルが吹き飛んできた方向を見る。
するとそこにはファルブが炎に照らされていた。
ブライトは普段左手で使うライフルに銃弾を装填し両手で構える。
そして引き金を引くと銃声が響かないことが幸いし、ファルブはブライトに狙われていたことさえ気付かずに肩を打ち抜かれ、衝撃で吹き飛んだ。
逆にブライト本人もいつもはフォルスで衝撃も緩和しているが今回はダイレクトに伝達されるためよろけてしまい次弾を打つまでに手間取っていた。
その間にファルブは立ち上がるが、体勢を立て直したルルと扇を閉じたままのフィオナがファルブに接近戦を挑む。
(えぇい!!)
ルルは通常サイズの如意棒を目一杯振り下ろすが、ファルブとは力の差がありすぎるため弾き返されてしまう。
そこへフィオナがファルブの横からバットを振るように閉じたままの扇をスイングする。
ファルブは応戦するように大鎌を振り下ろし、力が拮抗する。
(瞬迅槍!)
フィオナとファルブが均衡を保っている隙にルルの如意棒がファルブの脇腹に食い込む。
圧力は物体が接する面積が狭ければ狭い程強くなるため下手に如意棒を太くするよりも深く突き刺さり、ファルブは一瞬息ができなくなる。
そこを見逃さなかったフィオナは一気に押し切り扇でファルブを突く。
ファルブは後方に吹き飛び、ルルとフィオナはさらに追い討ちをかけるために追いかける。
しかし受身をとり膝立ち状態だったファルブが大鎌を横に振るとフィオナとルルを切り裂いた。
直前にフィオナがルルを横に突き飛ばし左右に分かれたためルルは右腕、フィオナは左腕に切り傷を受けた。
『こんな時にジークは何やってるの!?』
(あいつ……まだ来てなかったのか?)
ブライトは炎に包まれた空間内を見渡すが確かにジークの姿がなかった。
ジークのことも気がかりだが今はヴェイグ達の作業を邪魔させないためにもファルブの足止めをする必要がある。
そのためにも、この作戦の要ともいえる『結合』のフォルスにより原子から分子へ、分子を分子へ結合させるジンを死守する必要があるブライトはジンのそばから離れるわけにはいかない。
ブライトは照準をファルブに合わせ、引き金を引く。
すると、鳴らないはずの銃声が空間内に響き渡るとファルブは咄嗟に大鎌で銃弾を弾く。
「今だヒルダ!!」
ブライトの声が飛ぶ。
木々を燃やす音、氷が溶ける音などが耳に入ってくるようになる。
ヒルダは詠唱を始めるとファルブはヒルダに標的を絞る。
そのファルブの行き先を封じるようにヴェイグ、ティトレイ、ユージーンの三人が立ちふさがる。
「うおおおお!!!」
ファルブが突進してくる。
ヴェイグ、ティトレイ、ユージーン、ルル、フィオナの5人も迎え撃つ。
だが、5人が接近したところでファルブは大鎌の柄を地面に突き立てる。
「地鍔陣!!」
ファルブの周囲が揺れ始める。
その刹那、5人の体が宙に浮くと地面からのエネルギー波を回避した。
ヴェイグ達の後方で重力を0にしたブライトによるものだ。
重くすることはできないが、減らすことならばこの空間においてはいくらでもできる。
ブライトはすぐに全員の重力を戻すと、ヴェイグ達はファルブと剣を交える。
「何故だ!?なぜこの空間で音がでる!?なぜまだ呼吸ができる!?」
ファルブは大鎌を振り回しながら怒鳴るとユージーンが槍を突き出し大鎌の動きを止める。
「俺が教えてやろうファルブ。答えは大気を作ったからだ」
「作った……だと!?」
ファルブは歯を剥き出しにしながら大鎌に力を込める。
ユージーンの槍と擦れ、ギリギリと金属音が木霊する。
「あぁそうだ。通常、音は大気を振動させることで届くがお前のこの空間の中では大気を構成する物が少量の酸素しかなかった。だから俺達は窒素から水素まで自分達で作った」
「ガッハハ!そんなことできるわけねぇだろ!」
「不可能を可能にするのが仲間の力だ。お前は自分の力を過信しすぎだファルブ」
ユージーン1人ならファルブは押し切ることも難しくはない。
だが今はヴェイグの大剣も同時に防御している。
大鎌の柄の部分で左右から振り下ろされる槍と大剣を防御するこの状況。
バルカ城の屋上でも同じ状況があった。
あの時は簡単に跳ね除けることができた。
しかし今はビクともしない。
「濁流よ、全てを吹きとばせ!」
ヒルダの詠唱が終わる。
だが、ファルブは笑みを浮かべる。
「ガッハハ!言っておくが、この空間は導術ごときでは破壊できんぞ!」
ヒルダは腕をクロスさせる。
「アクアストリーム!!」
ファルブも、そして燃え盛る枝も無い空間に突如濁流が噴出する。
枝を伝い燃え盛る炎、そして拡散しようとする水素を一点にかきあつめたアクアストリーム。
これで全ての条件が揃った。
ヒルダは間を置かずに次の詠唱に入る。
「何だ!?何をしようとしている!?」
ファルブは直感から焦り始めるが、ヴェイグとユージーンとの押し合いに勝てない。
(一旦下がれば簡単なんだろうが、こいつら相手に退けるかよコンチクショウが!!)
ファルブは筋肉を膨張させ、鼻息荒く大鎌をぐいぐい押してくる。
対するヴェイグとユージーンも限界以上の力を込めて押し返す。
筋肉が悲鳴を上げるがそんなことはどうでも良い。
ルルとフィオナも加勢すれば一気にかたはつく。
だがそれはブライトがさせなかった。
過去を乗り越え、成長するプロセスに必要なことだから。
「聖なる意思よ……」
ヒルダが言葉を紡ぐごとに彼女自身の体が強く光り始める。
それに呼応するかのように木々を燃やしていた炎が激しく揺れ始める。
まるでヒルダが炎を吸収しているかのように、炎が小さくなればなるほどヒルダの光が強くなる。
「ふんぬおおおおおおおお!!!!」
「はぁぁああああああああ!!!!」
「むぉぉおおおおおおおお!!!!」
三人の声が闇の空間に木霊する。
今まで周囲を照らしていた炎は段々小さくなり、視界も薄暗くなる。
そして、炎が完全に消えるとヒルダの光だけが頼りとなり、ファルブ、ヴェイグ、ユージーンの姿は完全に見えなくなった。
瞬間、キィイイイイン!と金属同士が弾く音が木霊した
「我に仇なす敵を討て」
音と同時にヒルダの詠唱が終わり腕をクロスさせる。
「ディバインセイバー!!!」
まるで卵の殻をぶち破るように2つの落雷が降り注ぐ。
その落雷の間にはファルブがよろけており、次にファルブの前後に2つの落雷が降り注ぐとヴェイグとユージーンが武器を振りぬいている姿が顕(あら)わになった。
(また……負けたのか?)
体勢が崩れ、上向きになっている所為でファルブの目に自分の斜め前後に降り注ぐ落雷が映る。
6方向に落下した雷により闇の空間が砕けていき、外から光が差し込み始める。
そしてまた二つの落雷が落下すると光の柱がファルブの八方を塞いだ。
「認めねぇ…」
ファルブはよろける足で地面を踏みしめる。
「断じて認めねぇ!」
ファルブは大鎌を構える。
すると雷の柱に体のあちこちが触れ焼け焦げるが、ファルブは気にも留めずに斜め前方を見据える。
ファルブの目線の先には彗星のように巨大な光の束が降り注ごうとしていた。
ヒトの体の10倍はあろうかという光の束がファルブを飲み込む瞬間、ファルブは渾身の力で大鎌を振るう。
しかし光の束は無常にも滝のようにファルブを飲み込むと光は拡散し、あっという間に空間一帯が光に包まれヴェイグ達の視界は真っ白になった。
* * *
突然目に入ってきた強烈な光に目が眩んでいると、肌を焼くようなじりじりとした熱を感じた。
耳をすませば近くの池で鯉が跳ねる音も聞こえる。
光に眼を慣らそうとゆっくり瞼を開こうとすると微風が吹き小さな砂が舞い上がり肌に当たる。
ヴェイグ達の眼前にはアニカマルの景色が広がっていた。
「何……で?」
フィオナが口を両手で覆いながら崩れるように膝を地面に突いた。
本来ならば闇の空間を抜けたことに歓喜しても良さそうなものだが、誰一人歓喜する者はいなかった。
「ガッハハ……ガッハ…ハ…」
あちこちが焦げた体から煙を上げ、笑う度に口から黒い煙を吐くファルブが最早ボロ雑巾のように立っていた。
だがフィオナが見ているのはファルブではない。
ファルブの遥か後方。
宿屋へと続く道の近くでジークは切り傷だらけの体で片膝をついていた。
下手をすればファルブよりも重傷に見える。
「ジークさん!」
「ジーク君!」
いつでも回復できるようにとスタンバイしていたアニーと、それを護衛していたカインがジークに駆け寄る。
「何で……皆私の『声』を聞いて集まってきたのに、何でジークだけ来なかったの……」
「おいしっかりしろ!!」
ブライトはフィオナの肩を揺すり、注意を惹かせる。
(よく考えてみれば俺達が無傷であそこまで大気を生成できるわけなかったんじゃねぇか!何でもっと早く気付かなかった!?早く気付いてればジークも1人で狙い撃ちされずにすんだだろうが!)
ブライトは自分自身の不甲斐なさを感じながらもフィオナの肩を揺すり続ける。
一方ファルブも戦意の無い者には興味がないのか、そこまで余裕がないのか、ジークの所へ向かうために擦れ違うアニーとカインを黙って素通りさせた。
アニーは急いで杖を地面に突く。
だが今回は陣を描かない。
描かずに精神を集中させる。
「ガッハハ……俺は負けない……」
ファルブは気持ちの悪い笑みを浮かべる。
と、同時にファルブの体から煙と混ざって闇の霧が溢れ出す。
「まだやるというのか」
ヴェイグは大剣のグリップを握り締める。
先程闇の空間でフォルスを使いすぎたせいであまり体力は残っていない。
特にヒルダは奥義まで出した後のため、カードを構えているが肩で息をしている。
髪は乱れ、いつもの冷静沈着なヒルダではなかった。
「負けないで……ライズ・エリキシル!」
アニーが一回くるりと回転してから再び地面に杖を突き刺すと色とりどりの輪がアニーの周辺に広がり、虹色の光が柱となってジークを包み込んだ。
「悪い……」
「治癒功!」
ゆっくりと立ち上がるジークにカインが更に回復をかける。
「お前……」
「大丈夫、これは最近覚えた燃費の良い技だから」
カインが微笑む。
その遥か後ろでファルブは地面に大鎌の柄を突きたてた。
「俺様は強い!!」
ファルブの雄叫びが木霊する。
と同時に闇がファルブを綿菓子のように包み込む。
「先手を打つぞ!」
ユージーンの号令でヴェイグ、ティトレイ、ジン、ルルの前衛がユージーンに続く。
「俺達も行くぞカイン!」
「あぁ!」
ジークとカインも走り出し、ユージーン達と挟み撃ちをする形となる。
その姿を見てフィオナも自分のやるべきことを思い出す。
「ごめんなさいブライト!今は戦闘に集中するわ!」
「分かれば良い!」
2人も中距離から援護するために準備をする。
「クソッタレがぁあ!!」
ファルブが怒鳴るとその覇気により周囲に突風が吹き荒れる。
〜続く〜
■作者メッセージ
【楽談パート54】
takeshi「ども〜!ファルブ戦がなかなか終わらなくてトホホなtakeshiです」
チャリティ「何?今時トホホとか使う人久し振りに見たわよ?生きる時代を間違えてるんじゃない?」
takeshi「たった一言で散々な言われようですね……」
チャリティ「それに『作者スマブラのため休載』って何?舐めてんの?」
takeshi「違うんですよ!いろいろとトラブルがあったんですよ!ネットで!だから本編を書くのにやっとで楽談やってる時間がなかったんです!スマブラなんて1日1時間しかやってませんよ!実に眼に優しい生活でしたよ!」
チャリティ「じゃあそう書けば良いじゃない」
takeshi「ほら、雑誌の連載作家さんって体調不良とか締め切り落とした時とかも『作者取材のため休載します』って書くじゃないですか。あれを真似したかったんです」
チャリティ「昔はそうだったけど……今もそうなの?」
takeshi「ここ数年読んでないから分からないですね……」
チャリティ「(`・ω・´)」
takeshi「ひ、久し振りに顔文字使いましたね」
チャリティ「最近使ってなかったな〜と思ってね」
takeshi「さて!そんなことより本編なのですが、今回も例に漏れず連続更新なのでここから読み始めた方はもう手遅れかもしれませんが72話から読み始めていただけると幸いです。そして今回の本編では大気を作ってみました!」
チャリティ「本当にあんなんでできんの?」
takeshi「今回はフォルス能力という反則技があったのでものの数分でできましたが、あれを実際にやると数千年はかかるんじゃないですか?」
チャリティ「私おばあちゃんになっちゃうじゃない」
takeshi「そこまで生きてたらもう妖怪になってますよきっと。で、今回の要となったのがジンとヒルダですね」
チャリティ「ジン君頑張ってたわね!それに比べてジークはまったく!何が「俺は死なねぇ!」よ!早速死に掛けてんじゃない!いっそのこと私が引導を渡してくれようかしら」
takeshi「で、でもちゃんと生きてましたから!それに、ヒルダは光の詠唱だけでなく、微細な雷で電気分解もしてたんですよ?書くの面倒だったので描写してませんが」
チャリティ「先にあんたに引導を渡してやろうかしら?」
takeshi「チャリティさんって……意外とストイックですよね……」
チャリティ「あんたが適当なだけでしょ」
takeshi「更に付け加えると、あの闇の空間は酸素が微妙に存在する宇宙空間のようなものだったのですが、実は宇宙でも音は響くんですよ。土星だったと思うんですが、地球と似たような大気だったためカメラがシューという音を捉えたらしいんです」
チャリティ「つまり大気さえあれば音は響くのね?」
takeshi「宇宙の神秘ですよね〜。そして欲を言えばもう少し化学っぽくしたかったです。久し振りに触れると案外忘れてることが多いです。あと陰陽道に5行説というのがあるのですが、それが木は燃えると炎を生み、その灰が堆積し土となり土が集まって山となった鉱山から金が生まれる。そしてその金が腐食して水に帰ると木を成長させるというものなんです。金が腐食して水に、という部分はよく分かりませんが大体合ってる気がするから昔の人って恐いですよね〜」
チャリティ「あんたの長話も久し振りな気がするわ……」
takeshi「しかもですね?陰陽って魔術みたいなものと認識しやすいですが、実は科学の化学寄りだったらしいんですよ!だとしたら5行説に辿り着くのも納得ですね!」
チャリティ「陰陽とか5行とか聞いてるとシャーマンキング思い出すわねー」
takeshi「実はですね!?シャーマンキングでカラッカラに乾燥しているフィールドで戦闘になって雷と氷が使えない場面があったんですよ!それを数年前に読み返した時に、この状況って何とか打開できないものかと考えたことがあったんです!それが今回ここに繋がったという過去の私とのバトンリレーがしっかりと続いている感じです!しかも調度良く必要な人材も揃っていましたし、まさに奇跡でした!」
チャリティ「で、ファルブはいつ倒れるの?」
takeshi「ファルブは攻撃力メインだとファルブ自身が思い込んでいるのですが、実は彼の長所はタフさだったりするので私も何でこんなにタフに設定したのかと実は後悔しています……」
チャリティ「ダークガーデンに時間費やし過ぎたんじゃない?」
takeshi「あそこらへんは文字数にも余裕があったので詰めようと思えば詰められたのですが、それをすると中途半端なところで切れてしまうので嫌だったんです。本当ならダークガーデンを抜けたところで切りたいぐらいでしたし。それに、ファルブはバカな分本能に従って動いている上にバカなりに無意識に考えて動いているので実は厄介なタイプだったりします。簡単に言ってしまえばロイドが闇落ちした感じですね!」
チャリティ「その例えはどうなの?ロイドファンに怒られても知らないわよ?」
takeshi「ロイドと言えばTOSが最初に出たのってゲームキューブなのに何故スマブラにロイド出ないんでしょう?」
チャリティ「出すとハーツとかイノセンスとか出さないといけなくなってキリがなくなるからじゃない?」
takeshi「そんなの間違ってますよ!でも3DS版のスマブラも捨てたもんじゃないですよ?石川県の友達と通信対戦したのですが、スムーズにできましたし。まぁ、発売日だったからユーザーが少なくサーバーも安定していたからかもしれませんがね?画面小さいからアイテム見にくいしボタン小さいからスマッシュ決めにくいし、投げ技がもうほとんど投げ技として機能してないしアイテム強すぎだし」
チャリティ「ちょ、ちょっと!?ネガティブ要素多くない!?」
takeshi「そうですか?結構楽しんでますよ?」
チャリティ「その割りにポジティブ要素一個しか出てないわよ!?そもそもあんたがゲームを1時間で終われること自体変よ!」
takeshi「それはもしかしたらPSvitaのラブライブを買おうか迷ってるからかもしれませんね」
チャリティ「あっそ……」
takeshi「さぁ何だかんだでファルブ戦も大詰めです!ではまた〜」
―――オマケAfter story―――
『シャイコス遺跡』
エステリーゼ「ユーリ、キュモールはケーブモック大森林です」
ユーリ「分かってるっての」
カロル「さすがに10週目だもんね……」
ラピード「クゥ〜ン……」
レイヴン「今気付いたんだけど、おっさん城の牢屋で待ってたほうが楽かも」
ユーリ「そしたら誰がダイクのおっさんにエターナルソード作るように頼むんだよ?」
ジュディス「ユーリ?それだともう私達が魔界に行くこと前提になっているわよ?」
ユーリ「チッ、しまった……。俺達はケーブモック大森林でキュモールに会って許可状さえもらえれば後は解決なんだったぜ。どうも忘れがちになっちまうな」
レイヴン「年なんじゃない?」
ユーリ「おっさんに言われたくねぇな」
カロル「年なんじゃない?」
ユーリ「カロル先生に言われたら自殺するしかねぇな……」
カロル「何でさ!?ていうか僕に対して失礼じゃない!?」
パティ「ユーリユーリ、離婚届も忘れてもらっては困るのじゃ」
リタ「兎に角、デイドン砦かクオイの森でヨーデルと会わなければ良いんでしょ?」
フレン「何か案があるのかい?」
リタ「簡単な話よ。バウルに乗って空からケーブモック大森林まで行けばヨーデルに会わなくてすむでしょ?」
エステリーゼ「た、確かに!どうして今まで気付かなかったんでしょう……?」
ジュディス「残念だけど、今のバウルはまだ成長する前だから無理よ?」
リタ「まだ二週目の序盤だってことを忘れてたわ……」
ユーリ「今の俺達なら素手でラゴウを倒せるけどな」
ラピード「バウ!」
レイヴン「んで?結局どうすんの?」
カロル「さっきはデイドン砦で会って、その前はクオイの森で会ったんだよね。で更にその前はデイドン砦だったから……」
ユーリ「カロル先生よく覚えてんな」
カロル「若いからね!」
ユーリ「……」
カロル「ウソウソ!ジョーダンだってば!一応メモしてたんだ!」
ユーリ「おっさん、若さって何だ?」
レイヴン「振り向かないことじゃない?」
リタ「宇宙刑事か!」
エステリーゼ「えっと、よく分からないのですが、何でリタが知ってるんです?」
ジュディス「カロル、続けてちょうだい」
カロル「あ、うん。それでね?デイドン砦とクオイの森、交互に居るみたいなんだよね」
ジュディス「ということはさっきデイドン砦で会ったから今はクオイの森に居るってことね」
リタ「はんっ!甘いわね!」
カロル「ど、どこがさ?」
リタ「それこそあいつの思う壺なのが分からない訳?これだから考え無しは困るのよね。良い?これまではあいつの伏線、つまり交互に出現すると私達に思わせるための罠なのよ!」
カロル「ぇえっ!?そうなの!?」
パティ「ヨ、ヨーデル……恐ろしい子!なのじゃ!」
エステリーゼ「あの……一応私の親戚みたいなものなのですが……」
リタ「たとえオツムが残念なカロルとお天道様は騙せても私は騙されないわ!次にヨーデルが居る場所は絶対にデイドン砦よ!」
ユーリ「うっし、じゃあデイドン砦に行くとすっか」
リタ「何でだ!!?ちょ、あたしの話ちゃんと聞いてたんでしょうね!?」
ユーリ「聞いてたさ。失敗フラグビンビンの台詞をな」
リタ「き、聞き捨てならないわね……!私の言うことが信じられないってこと?」
ユーリ「ちげぇよ。俺だって怪しいと思ったさ。でもこういう推理を胸張ってした後に行くと必ず失敗するのがセオリーだろ?」
レイヴン「おっさんも青年の意見に同意だわ」
リタ「な、なによ……みんなして」
パティ「リタ姐?」
リタ「行くなら絶対にクオイの森だし!デイドン砦とか考えられないし!あ、あんなとこ行ったって変人しかいないし!!」
ユーリ「子供かよ……」
フレン「ユーリ、リタは子供だぞ?」
ジュディス「そうね、私もクオイの森だと思うわ」
エステリーゼ「ジュディもですか?」
ジュディス「えぇ。何か問題ある?」
ユーリ「仕方ねぇ。クオイの森に行くか」
レイヴン「青年本気!?」
リタ「ま、まったくしょうがないわね!あんたらがどうしてもって言うなら私の案を使わせてあげてもいいわよ?」
ユーリ「め、面倒臭ぇ……」
ジュディス「その代わり、責任はあなたが取るのよ?リタ」
リタ「わ、分かってるわよ……」
『クオイの森』
ヨーデル「やぁ皆さん!ご機嫌如何ですか?」
リタ「……」
レイヴン「えぇっと……リタッチ?」
エステリーゼ「ダメです……完全に石化してますぅ……」
ユーリ「気を取り直してもう一周するとしますか!」
以下略
『シャイコス遺跡』
エステリーゼ「ユーリ、キュモールは……」
ユーリ「だから分かってるっつっただろ?それで、次はどっち行くんだ?」
リタ「どっちでも構わないわ!どっちに転ぼうがあたしがけじめをつけてやる!」
ユーリ「頼もしいねぇ」
エステリーゼ「順番通りなら今度はデイドン砦にいるんですよね?」
カロル「そうだよ!」
パティ「それじゃあ今度こそ離婚届をもらうためにクオイの森へ出発進行なのじゃー!!」
レイヴン「おー!」
『クオイの森』
ヨーデル「おや皆さん!」
リタ「メテオスォーム!!」
エステリーゼ「り、リタ!?」
リタ「今のうちに面駆るわよ!!」
ユーリ「ナイスだリタ!」
ジュディス「貴方のそういう所、私好きよ♪」
エステリーゼ「ちょっ、えぇぇえぇえぇ!?」
ラピード「バウ!」
〜続く〜
takeshi「ども〜!ファルブ戦がなかなか終わらなくてトホホなtakeshiです」
チャリティ「何?今時トホホとか使う人久し振りに見たわよ?生きる時代を間違えてるんじゃない?」
takeshi「たった一言で散々な言われようですね……」
チャリティ「それに『作者スマブラのため休載』って何?舐めてんの?」
takeshi「違うんですよ!いろいろとトラブルがあったんですよ!ネットで!だから本編を書くのにやっとで楽談やってる時間がなかったんです!スマブラなんて1日1時間しかやってませんよ!実に眼に優しい生活でしたよ!」
チャリティ「じゃあそう書けば良いじゃない」
takeshi「ほら、雑誌の連載作家さんって体調不良とか締め切り落とした時とかも『作者取材のため休載します』って書くじゃないですか。あれを真似したかったんです」
チャリティ「昔はそうだったけど……今もそうなの?」
takeshi「ここ数年読んでないから分からないですね……」
チャリティ「(`・ω・´)」
takeshi「ひ、久し振りに顔文字使いましたね」
チャリティ「最近使ってなかったな〜と思ってね」
takeshi「さて!そんなことより本編なのですが、今回も例に漏れず連続更新なのでここから読み始めた方はもう手遅れかもしれませんが72話から読み始めていただけると幸いです。そして今回の本編では大気を作ってみました!」
チャリティ「本当にあんなんでできんの?」
takeshi「今回はフォルス能力という反則技があったのでものの数分でできましたが、あれを実際にやると数千年はかかるんじゃないですか?」
チャリティ「私おばあちゃんになっちゃうじゃない」
takeshi「そこまで生きてたらもう妖怪になってますよきっと。で、今回の要となったのがジンとヒルダですね」
チャリティ「ジン君頑張ってたわね!それに比べてジークはまったく!何が「俺は死なねぇ!」よ!早速死に掛けてんじゃない!いっそのこと私が引導を渡してくれようかしら」
takeshi「で、でもちゃんと生きてましたから!それに、ヒルダは光の詠唱だけでなく、微細な雷で電気分解もしてたんですよ?書くの面倒だったので描写してませんが」
チャリティ「先にあんたに引導を渡してやろうかしら?」
takeshi「チャリティさんって……意外とストイックですよね……」
チャリティ「あんたが適当なだけでしょ」
takeshi「更に付け加えると、あの闇の空間は酸素が微妙に存在する宇宙空間のようなものだったのですが、実は宇宙でも音は響くんですよ。土星だったと思うんですが、地球と似たような大気だったためカメラがシューという音を捉えたらしいんです」
チャリティ「つまり大気さえあれば音は響くのね?」
takeshi「宇宙の神秘ですよね〜。そして欲を言えばもう少し化学っぽくしたかったです。久し振りに触れると案外忘れてることが多いです。あと陰陽道に5行説というのがあるのですが、それが木は燃えると炎を生み、その灰が堆積し土となり土が集まって山となった鉱山から金が生まれる。そしてその金が腐食して水に帰ると木を成長させるというものなんです。金が腐食して水に、という部分はよく分かりませんが大体合ってる気がするから昔の人って恐いですよね〜」
チャリティ「あんたの長話も久し振りな気がするわ……」
takeshi「しかもですね?陰陽って魔術みたいなものと認識しやすいですが、実は科学の化学寄りだったらしいんですよ!だとしたら5行説に辿り着くのも納得ですね!」
チャリティ「陰陽とか5行とか聞いてるとシャーマンキング思い出すわねー」
takeshi「実はですね!?シャーマンキングでカラッカラに乾燥しているフィールドで戦闘になって雷と氷が使えない場面があったんですよ!それを数年前に読み返した時に、この状況って何とか打開できないものかと考えたことがあったんです!それが今回ここに繋がったという過去の私とのバトンリレーがしっかりと続いている感じです!しかも調度良く必要な人材も揃っていましたし、まさに奇跡でした!」
チャリティ「で、ファルブはいつ倒れるの?」
takeshi「ファルブは攻撃力メインだとファルブ自身が思い込んでいるのですが、実は彼の長所はタフさだったりするので私も何でこんなにタフに設定したのかと実は後悔しています……」
チャリティ「ダークガーデンに時間費やし過ぎたんじゃない?」
takeshi「あそこらへんは文字数にも余裕があったので詰めようと思えば詰められたのですが、それをすると中途半端なところで切れてしまうので嫌だったんです。本当ならダークガーデンを抜けたところで切りたいぐらいでしたし。それに、ファルブはバカな分本能に従って動いている上にバカなりに無意識に考えて動いているので実は厄介なタイプだったりします。簡単に言ってしまえばロイドが闇落ちした感じですね!」
チャリティ「その例えはどうなの?ロイドファンに怒られても知らないわよ?」
takeshi「ロイドと言えばTOSが最初に出たのってゲームキューブなのに何故スマブラにロイド出ないんでしょう?」
チャリティ「出すとハーツとかイノセンスとか出さないといけなくなってキリがなくなるからじゃない?」
takeshi「そんなの間違ってますよ!でも3DS版のスマブラも捨てたもんじゃないですよ?石川県の友達と通信対戦したのですが、スムーズにできましたし。まぁ、発売日だったからユーザーが少なくサーバーも安定していたからかもしれませんがね?画面小さいからアイテム見にくいしボタン小さいからスマッシュ決めにくいし、投げ技がもうほとんど投げ技として機能してないしアイテム強すぎだし」
チャリティ「ちょ、ちょっと!?ネガティブ要素多くない!?」
takeshi「そうですか?結構楽しんでますよ?」
チャリティ「その割りにポジティブ要素一個しか出てないわよ!?そもそもあんたがゲームを1時間で終われること自体変よ!」
takeshi「それはもしかしたらPSvitaのラブライブを買おうか迷ってるからかもしれませんね」
チャリティ「あっそ……」
takeshi「さぁ何だかんだでファルブ戦も大詰めです!ではまた〜」
―――オマケAfter story―――
『シャイコス遺跡』
エステリーゼ「ユーリ、キュモールはケーブモック大森林です」
ユーリ「分かってるっての」
カロル「さすがに10週目だもんね……」
ラピード「クゥ〜ン……」
レイヴン「今気付いたんだけど、おっさん城の牢屋で待ってたほうが楽かも」
ユーリ「そしたら誰がダイクのおっさんにエターナルソード作るように頼むんだよ?」
ジュディス「ユーリ?それだともう私達が魔界に行くこと前提になっているわよ?」
ユーリ「チッ、しまった……。俺達はケーブモック大森林でキュモールに会って許可状さえもらえれば後は解決なんだったぜ。どうも忘れがちになっちまうな」
レイヴン「年なんじゃない?」
ユーリ「おっさんに言われたくねぇな」
カロル「年なんじゃない?」
ユーリ「カロル先生に言われたら自殺するしかねぇな……」
カロル「何でさ!?ていうか僕に対して失礼じゃない!?」
パティ「ユーリユーリ、離婚届も忘れてもらっては困るのじゃ」
リタ「兎に角、デイドン砦かクオイの森でヨーデルと会わなければ良いんでしょ?」
フレン「何か案があるのかい?」
リタ「簡単な話よ。バウルに乗って空からケーブモック大森林まで行けばヨーデルに会わなくてすむでしょ?」
エステリーゼ「た、確かに!どうして今まで気付かなかったんでしょう……?」
ジュディス「残念だけど、今のバウルはまだ成長する前だから無理よ?」
リタ「まだ二週目の序盤だってことを忘れてたわ……」
ユーリ「今の俺達なら素手でラゴウを倒せるけどな」
ラピード「バウ!」
レイヴン「んで?結局どうすんの?」
カロル「さっきはデイドン砦で会って、その前はクオイの森で会ったんだよね。で更にその前はデイドン砦だったから……」
ユーリ「カロル先生よく覚えてんな」
カロル「若いからね!」
ユーリ「……」
カロル「ウソウソ!ジョーダンだってば!一応メモしてたんだ!」
ユーリ「おっさん、若さって何だ?」
レイヴン「振り向かないことじゃない?」
リタ「宇宙刑事か!」
エステリーゼ「えっと、よく分からないのですが、何でリタが知ってるんです?」
ジュディス「カロル、続けてちょうだい」
カロル「あ、うん。それでね?デイドン砦とクオイの森、交互に居るみたいなんだよね」
ジュディス「ということはさっきデイドン砦で会ったから今はクオイの森に居るってことね」
リタ「はんっ!甘いわね!」
カロル「ど、どこがさ?」
リタ「それこそあいつの思う壺なのが分からない訳?これだから考え無しは困るのよね。良い?これまではあいつの伏線、つまり交互に出現すると私達に思わせるための罠なのよ!」
カロル「ぇえっ!?そうなの!?」
パティ「ヨ、ヨーデル……恐ろしい子!なのじゃ!」
エステリーゼ「あの……一応私の親戚みたいなものなのですが……」
リタ「たとえオツムが残念なカロルとお天道様は騙せても私は騙されないわ!次にヨーデルが居る場所は絶対にデイドン砦よ!」
ユーリ「うっし、じゃあデイドン砦に行くとすっか」
リタ「何でだ!!?ちょ、あたしの話ちゃんと聞いてたんでしょうね!?」
ユーリ「聞いてたさ。失敗フラグビンビンの台詞をな」
リタ「き、聞き捨てならないわね……!私の言うことが信じられないってこと?」
ユーリ「ちげぇよ。俺だって怪しいと思ったさ。でもこういう推理を胸張ってした後に行くと必ず失敗するのがセオリーだろ?」
レイヴン「おっさんも青年の意見に同意だわ」
リタ「な、なによ……みんなして」
パティ「リタ姐?」
リタ「行くなら絶対にクオイの森だし!デイドン砦とか考えられないし!あ、あんなとこ行ったって変人しかいないし!!」
ユーリ「子供かよ……」
フレン「ユーリ、リタは子供だぞ?」
ジュディス「そうね、私もクオイの森だと思うわ」
エステリーゼ「ジュディもですか?」
ジュディス「えぇ。何か問題ある?」
ユーリ「仕方ねぇ。クオイの森に行くか」
レイヴン「青年本気!?」
リタ「ま、まったくしょうがないわね!あんたらがどうしてもって言うなら私の案を使わせてあげてもいいわよ?」
ユーリ「め、面倒臭ぇ……」
ジュディス「その代わり、責任はあなたが取るのよ?リタ」
リタ「わ、分かってるわよ……」
『クオイの森』
ヨーデル「やぁ皆さん!ご機嫌如何ですか?」
リタ「……」
レイヴン「えぇっと……リタッチ?」
エステリーゼ「ダメです……完全に石化してますぅ……」
ユーリ「気を取り直してもう一周するとしますか!」
以下略
『シャイコス遺跡』
エステリーゼ「ユーリ、キュモールは……」
ユーリ「だから分かってるっつっただろ?それで、次はどっち行くんだ?」
リタ「どっちでも構わないわ!どっちに転ぼうがあたしがけじめをつけてやる!」
ユーリ「頼もしいねぇ」
エステリーゼ「順番通りなら今度はデイドン砦にいるんですよね?」
カロル「そうだよ!」
パティ「それじゃあ今度こそ離婚届をもらうためにクオイの森へ出発進行なのじゃー!!」
レイヴン「おー!」
『クオイの森』
ヨーデル「おや皆さん!」
リタ「メテオスォーム!!」
エステリーゼ「り、リタ!?」
リタ「今のうちに面駆るわよ!!」
ユーリ「ナイスだリタ!」
ジュディス「貴方のそういう所、私好きよ♪」
エステリーゼ「ちょっ、えぇぇえぇえぇ!?」
ラピード「バウ!」
〜続く〜