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ダブルクロスThe 3rd Edition【Hate and pain】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッション準備編
  • 02 トレーラー紹介&PC紹介1
  • 03 PC2紹介
  • 04 PC3紹介
  • 05 PC4紹介
  • 06 オープニングフェイズ1&2
  • 07 オープニングフェイズ3&4
  • 08 ミドルフェイズ1
  • 09 ミドルフェイズ2
  • 10 ミドルフェイズ3
  • 11 ミドルフェイズ4&5
  • 12 ミドルフェイズ6(前編)
  • 13 ミドルフェイズ6(後編)
  • 14 ミドルフェイズ7(前編)
  • 15 ミドルフェイズ7(中編)
  • 16 ミドルフェイズ7(後編)
  • 17 ミドルフェイズ8
  • 18 ミドルフェイズ9
  • 19 クライマックスフェイズ1
  • 20 クライマックスフェイズ2
  • 21 クライマックスフェイズ3
  • 22 クライマックスフェイズ4
  • 23 クライマックスフェイズ5
  • 24 クライマックスフェイズ6
  • 25 バックトラック&エンディングフェイズ1
  • 26 エンディングフェイズ2
  • 27 エンディングフェイズ3
  • 28 外伝・月の決意(リラさん誕生日作品)
  • 29 外伝・月の決意2(リラさん誕生日作品)
  • 30 外伝・月の決意3(リラさん誕生日作品)
  • オープニングフェイズ3&4


     オープニングフェイズ3 シーン3〈新たな力、UGNの依頼〉
     シーンプレイヤー 七雲空


    GM「オープニングフェイズ3、次は空の番だ」

    空「おし、シーンインだ!」


     《シーン登場》
     空1D→5 33%→38%


    空「よし、今回もまずますだな」

    GM「それでは初めて行こう。このシーンでは、依頼を受ける場面になるんだが、場所とか要望はあったりする?」

    空「あ、だったらGM。演出の事でちょっと相談があるんだが…」

    GM「――ふむふむ。だったら…」



     志武谷の裏路地にある、古びたビルの二階にある一軒の喫茶店。
     立地が悪く、仮に表を通っても看板もなく目立たない場所で経営している為、客は1人もいない。
     そんな店の一番奥の席に、彼はいた。

    「ふあぁ…あ〜、クソねみぃ…」

     壁は所々罅割れ、あちこちへこんでいるテーブルに肘をつき、大きな欠伸を噛み締める空。
     寝不足なのか、半ば目がボーっとしている。眠気覚ましに注文したブラックのコーヒーを啜り出した。

    (大丈夫か? 依頼人に会う前だぞ?)

     すると、己の内側から声がかけられる。
     少々の違和感を感じるが、それは紛れもなく自身の中の――蒼空が放った言葉だった。
     もう一人の自分が話し掛けてくると、空は一気に不機嫌全開になる。

    「誰の所為だと思ってるんだよ…!」

    (いや、確かにもっと力が使えるようになりたいって呟いたが……まさか毎日夜遅くまで教えてくれるなんてな。意外と面倒見いいんだな、俺なのに)

    「だが、知ってて損はない内容だ。『戦闘用人格』の力量も備わっているんだ。今のお前はそれだけのレネゲイドの力を使えるからな」

     そう教えると、蒼空は黙って話を聞く体制になる。
     自分の知らないレネゲイドに関する知識を、彼は――【戦闘用人格】はよく知っているのだから。

    「俺の…お前の扱う力の大部分はレネゲイドの浸食を限界以上にまで発揮した時に起こるものだ。だからこそ、レネゲイドの本質でもある『衝動』に身を任せる事で更なる力を発揮出来る」

    (衝動に身を任せる…諸刃の剣、って所だよな)

    「あの時…符宴と戦った際、俺と一体化した事で衝動による力を理解出来たはずだ。で、夜通しの特訓で基礎は出来上がってきたんだ。強い力を得れる方法を習得した以上――レネゲイドの暴走が起こった際、これまで通りにはいかない」

    (どういう事だ?)

    「ああ、まだ説明してなかったな…確か、凍矢の衝動は《嫌悪》だったな――これは防衛反応が過剰に働いている状態だ。そいつが酷くなった際、味方であろうが全ての物を拒絶して行動に支障が出てしまう」

     周りの全てに嫌悪感を感じる。つまり誰かがいればいる程、ストレスや煩らしさが募りその分だけ行動を鈍らせる事になってしまう。

    「月は《闘争》――こいつを暴走させると、戦闘が止められなくなる。だが、俺達とは違ってちゃんと敵と味方の区別がつくし、戦いに特化している月にしてみれば逆に好都合かもしれない。とは言え、暴走のままにのめり込む事は戦いに対するブレーキが利かないも同然だがな」

     敵を前にして自らのレネゲイドが闘争心を煽り、戦いを、激しい闘争を求めるようになる。そうなれば歯止めが利かなくなり、簡単に正気に戻れなくなってしまう。

    「んで、翼は《恐怖》――これも防衛反応にも思えるが、行き過ぎた感情は危険だ。全ての物に恐怖を感じれば、頭ではどう思おうが肉体は何も出来ずに竦み上がってしまう。防御や警戒を通り越して身動きが出来ない状態になり、酷い場合は精神疾患を起こしたりするんだぜ」

     宿主を護る為に引き起こされる感情。だが、過剰な恐怖に駆られてしまえば最後、歩く事さえままならなくなり、戦いの最中なのに勝手に身体の不調を起こしたりもする。

    「で、俺達の衝動は《憎悪》――三人と比べたら俺達の持つ衝動は危険すぎるんだよ。理由は…分かってるんだろ?」

    (憎悪の齎す力は強い。だからこそ、コントロール出来ないと誰構わずにぶつけて振り回されてしまう。敵ならまだいいが、下手すれば味方をも傷つける事になる…そうなんだろ?)

     UGNに入る前に起こした暴走を思い返し、蒼空は答えを述べる。
     自分の理性や心が、激しい怒りと憎しみの炎に囚われる。そうなってしまえば、黒い炎から解放されたい為に何振り構わず攻撃してしまう。例えそれが味方であろうと。

    「…そうだよ。凍谷と翼は内側で、行動に多少の制限がかかるだけ。月は俺達と似てるが、戦闘にのめり込んで簡単に正気に戻れないだけ。そんな三人と違って、俺達は外側に向くんだ。攻撃されたら誰構わず敵と認識してしまう…守りたい者が守れなくなる」

    (けど、そんな事は)

    「前の符宴みたいに敵が他人を操るタイプだったら? 月のように敵と割り切って襲い掛かったら? 暴れる俺達を止める為に敢えて攻撃して来たら? …結局の所、断言なんて出来ない。それが現実だ、宿主」

     最後に釘を刺し、空は話を終わらせる。
     深く知れば知るほど、これまでのようにはいかない。自分達はより強い力を習得した代償に、より衝動に振り回される体質になってしまったのだから。
     もう一度コーヒーを啜ろうとカップの持ち手を摘まんだ所で、僅かに蒼空が笑っている事に気づいた。

    (…言い換えれば、今後も意志をしっかり持てって事だろ? 分かってるよ、相棒)

    「ったく…」

     これだけの話を聞かされても何とかしようとする自分に、空は苦いコーヒーを一気に飲み干す事で込み上がる甘い感情を隠そうとした。



     二杯目のコーヒーを頼み、一人で店を経営している不愛想な老人のマスターが持ってくる。
     彼が再び奥の方へ引っ込んだと同時に、店のドアが開いて来訪者を告げるベルの音が鳴り響いた。

    蒼空(さて、今回の依頼は何だろうな。バイクのローンが払えるくらい報酬取らないとな)

    空『何で楽しそうなんだよ宿主。何でも屋とは言え、FHの俺達に依頼持ち込む奴だぜ? ちょっとは警戒しろっての』

     気楽な宿主に注意をして、再びコーヒーを啜る。
     そんな空の向かい側の席に、碧の紙に金眼の黒のシルクハットにスーツ姿の男が座り込んだ。

    狭間『どうも、初めまして。私、UGN諜報部、祐嗣狭間(ゆうきはざま)と申します。以後お見知りおきを』

    空&蒼空『(ブフゥーーー!!!)』(思いっきりコーヒーを噴き出す)

    狭間『出会ってそうそう汚いですね。ああ、このスーツ新調したばかりだと言うのに…』

    蒼空(…オイ)

    空(何も言うな、宿主。俺の本能も告げている、こいつは危険だ…!!)

     脳内で密かに会話をすると、狭間はにっこりと笑う。

    狭間『そんな身構えないでくださいよぉ。私は味方ですよぉ?』

    空&蒼空『(お前のような味方がいてたまるかぁ!!!)』


    ツバサ「何この人…さっきからハザマのRPが上手すぎるんだけど…」

    SM「一度こう言うキャラ、演じて見たかったんです…!」

    グラッセ「ウィドさん、鏡見てください。あなた今とんでもない歪んだ笑顔してますよ…!」

    クウ「なあ…他のキャラ出してもいいのか?」

    GM「そんなの今更だろうが。僕としては盛り上がればそれでいい!」

    ムーン「こいつが敵だとしても、リクを倒してからでも遅くないだろ!」

    クウ「お前はいい加減抹殺計画から離れろ! あー、もう。RPの続きだ!」


    空『ハァハァハァ…! 宿主、いやもう一人の俺の声が聞こえるって事はやっぱてめぇもオーヴァードか』

    狭間『ええ、UGNに所属していますからね。いやぁ、UGNに仇名す悪名高きFHの何でも屋と聞いていたのですが…意外とドン臭い方ですねぇ』

    空『殴っていいよな宿主』

    蒼空(許可したいがまあ待て、今手を出したら負けだ。全員と合流してからでも遅くはない)


    ツバサ「完全に敵と認識してる…!」

    グラッセ「気持ちは分からなくもないけど…!」


    狭間『まあその話は置いといてですね。今日はあなたに依頼があります』

    空『依頼? UGNエージェントがFHに鞍替えした俺にどんな依頼持って来たんだよ?』

    狭間『実は、我々が所属している日本支部に資金提供している企業グループがありまして…ですが、最近裏でFHと繋がっているようなのです。あなたには、その企業グループの社長を秘密裏に暗殺して頂きたいのです』

    蒼空(企業グループの社長? まさか神城グループか?)

    狭間『いいえ。こちらの写真の男性――闇代グループの現社長、闇代陸と言う人物です。あなたには、彼の始末をお願いしたいのです』

    蒼空(闇代、ってまさか!)

    空『宿主黙れ。UGNに所属している奴が、よくもまあこんな物騒な依頼持ってきたな? てめぇ、実はFHじゃないのか?』

    狭間『いえいえ。これでも私は立派なUGNですよー?』


    PL四人「「「「滅茶苦茶胡散臭い…」」」」

    SM(狭間)「おやー? 何のことやら?」

    クウ「マジでこの場で始末したい…!」

    ツバサ「駄目だよ師匠。このラスボスに攻撃したら死ぬほど甚振られるか、右腕切り落とされるか、ヒロイン利用して襲い掛かるかの三択だよ」

    ムーン「とりあえず、こいつがヤバいキャラって事は理解した…」


    空『…とにかく依頼は受けるぜ。その代わり、報酬は通常の五割増し。あとお前が不穏な動きしたら逆に始末させて貰う。それでいいな?』

    狭間『やだなぁ〜。そんな怖い顔しないでくださいよぉ』

    空『あれは後で裏切る目だ。俺には分かる』

    狭間『ではそのように。よろしくお願いします、FHの何でも屋さん――いえ、元UGNさん?』

    空『チッ…』



    GM「では、依頼を受けたと言う事でこのシーンは終了だ。最後のオープニングに進むよ」



     オープニングフェイズ4 シーン4〈極秘情報〉
     シーンプレイヤー 海命凍矢

    GM「最後のオープニングは凍矢だ。シーンインよろしく」

    凍矢「じゃ、シーンイン!」


     《シーン登場》
     凍矢1D→2 29%→31%


    凍矢「やった、低い数字だ!」

    SM「それでは、初めて行きましょう」



     時刻は午後。凍矢は学校に出ていつも通り授業をしていた。
     月は休みを取って来ていなかったが、今日も何事もなく日常を過ごす予定だった。
     テレーズからの連絡がなければ。

    凍矢『それは本当なんですか!?』

     現在凍矢は休み時間を利用し、屋上でテレーズと通信を繋いでいる。
     彼女が凍矢に話したのは、闇代グループの社長について。月や空が聞かされたのとほぼ似たような内容だ。
     何処か必死の凍矢に対し、テレーズは深刻な表情をして何枚もの資料を手にしている。

    テレーズ《ええ。日本支部内で報告が上がってたの。今はまだ私の手元に情報はあるから中枢評議会にはもちろん霧谷にも通ってないけど、それも時間の問題になるわ…》

    凍矢『でも、それが事実でもムーンは何も悪くない! 悪いのは彼の父親じゃないですか!』

    テレーズ《そんなの言い訳にならないわ。例え決別したと言えども家族は家族――このままでは、闇代月まで強制拘束されてUGN本部に送検されてしまうわ》

    凍矢『何か方法はないんですか!? ムーンが助かる方法は…!!』

    テレーズ《あるとすれば、彼の父親がFHに繋がっていると言う話自体を否定する何かがあればいいのだけれど…もし事実だったら、FHと繋がってしまった彼の父親を裁く事しかないわ》

     どうしようもない事態に、テレーズの声も低くなる。
     そんな中で、ようやく凍矢は言葉を口にした。

    凍矢『………だったら、俺が探します』

    テレーズ《凍矢…?》

    凍矢『ムーンはこんな俺と友達になってくれたんです。だから、俺は友達としてムーンを助けます。必ず助ける方法を見つけ出します! 今度は俺がムーンを助ける番です!』

     こうして自分の決意を伝えると、固かったテレーズの表情が和らいでいった。

    テレーズ《…強くなったわね、凍矢》

    凍矢『いえ。俺はまだまだですよ…』

    テレーズ《そんな事ないわ。凍矢、私も出来る限りはあなたに力を貸すわ。闇代月の事、一緒に助けましょう》

    凍矢『もちろん!』



    GM「では、ここで凍矢のシーンは終了だ。次からはいよいよミドルフェイズに突入だ」

    16/09/28 23:31 NANA   

    ■作者メッセージ
     補足コーナー:変異暴走について

     『レネゲイズアージ』にて追加されたルールで、アージエフェクトを一つでも習得した際、バッドステータスの暴走の内容を変更し適応する。
     変異暴走は衝動ごとに効果が違っている。今回は四人のPCが変異暴走になった場合どのような効果を発揮するのか紹介する。

     【変異暴走:嫌悪】:〈暴走〉を受けている間、同じエンゲージに他のキャラが隣接していた場合、あらゆる判定の達成値を−10する。援護・タンク(壁)要因の凍矢には、実はさしてデメリットではなかったりする。

     【変異暴走:闘争】:通常の〈暴走〉の効果に加えて、〈暴走〉を回復する為の手段がメジャーアクションの使用のみ、もしくは〈暴走〉を回復できるエフェクトを使う事に変更される。回避も防御も取れなくなるが、攻撃一点の月には大したデメリットではなかったりする。

     【変異暴走:恐怖】:通常の〈暴走〉の効果に加えて、〈暴走〉を受けた際に〈硬直〉のバッドステータスも同時に受ける事になる。尚、この〈硬直〉は〈暴走〉とは別のアクションを取って回復をする必要がある。リアクションが取れず移動出来なくなるが、遠距離で攻撃する翼には大したデメリットではなかったりするが、敵が近づいて来るタイプならば危険。

     【変異暴走:憎悪】:通常の〈暴走〉の効果に加えて、〈暴走〉を受けている間、何らかの攻撃によって1点でもダメージを受けたらバッドステータス〈憎悪〉も受ける。〈憎悪〉の対象は攻撃を行ったキャラクターになる。アタッカーである空にはさして問題はない、攻撃を仕掛けるのが敵であればの話だが。
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