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FINAL FANTASY Z

960

INDEX

  • あらすじ
  • 01 序章T 「その戦士、孤独」
  • 02 序章U 「その戦士、焦る」
  • 03  第一話 「ザックス」
  • 04 第二話 「ウータイ」
  • 05 第三話 「灯」
  • 06 第四話 「夢・記憶@」
  • 07 第五話 「曲者揃い」
  • 08 第六話 「対面」
  • 09 第七話 「シスネ」
  • 10 第八話 「黒の訪問者」
  • 11 第九話 「ルシア」
  • 12 第十話 「四人」
  • 13 第十一話 「戯れ」
  • 14 第十二話 「邂逅」
  • 15 第十三話 「エアリス」
  • 16 第十四話 「騒動」
  • 17 第十五話 「神の都市」
  • 18 第十六話 「少女」
  • 19 第十七話 「胎動」
  • 20 第十八話 「虚実」
  • 21 第十九話 「ペア@」
  • 22 第二十話 「ペアA」
  • 23 第二十一話 「夢・記憶A」
  • 24 第二十二話 「夢・記憶B」
  • 25 第二十三話 「宣告」
  • 26 第二十四話 「リバーシ」
  • 27 第二十五話 「接触」
  • 28 第二十六話 「見据える者」
  • 29 第二十七話 「ルーツ」
  • 第四話 「夢・記憶@」




     “彼ら”と出会ったのは―――――・・・何年前になるんだろう―――――・・・



     セフィロスは今でも鮮明に覚えてる・・・
     俺が入社してすぐ、年が近そうだったから、俺から喋りかけたんだ・・・
     確かそれから3年間、女の子だと思われてたんだっけな・・・



     アンジールとジェネシスは、俺よりも入社が後だったかな・・・
     俺よりも年上なのに入社歴は俺の方が先輩だから、言葉遣いとか色々戸惑ったな・・・
     ―――――そう言えばアンジールの老けっぷりにはびっくりしたな・・
     あれでジェネシスらと年近いとか言うんだから、笑いものだった



     そう言えば当時はクロウはまだ小さかったし、ソルジャーなんて危険なものにはさせたくなかったから、無理言ってタークスの養成施設に預けてたっけな・・・
     後から自分でこっちに来た時は何かすごい泣いた気がする・・・



     それから―――――え・・・と―――――・・・




     ・・・・・・何だっけ・・・





     ・・・思い―――――・・・







     出せ・・・・・・な・・・・・










    「―――――クロウはかなり嫌がっているそうだ。」

    「・・・そうかもしれません。でもこっちの『道』は歩かせたくない。」


     年端もいかない少年は、自身に向かって言葉を発す大人にその真っ直ぐな視線を向けながら首を横に振った。
     戦った経験もない自分が、ソルジャーになれるかどうかなんてのは、正直分からないし自信もない。けどならなければ駄目だった。自分は訓練兵として一生を終える為にここに来たんじゃない。“奴”に復讐出来る為の力を求めてここへ来たんだ。クロウの為にも・・・俺がソルジャーになる―――――・・・。

    「そうか。では施設へは私から連絡しておこう。―――おっと、もう昼だな。君も昼食を取りに行ったらどうだ?午後からも訓練は続くからな、野望の為にも成果は残してもらわないと。」

    「・・・そうですね。失礼します。」





     少年は一人颯爽と廊下を歩いていた。白銀のミディアムヘアに蒼眼、長いまつげに雪のような白い肌。神羅で最近噂になっている入社したての訓練兵―――――ロゼ。しかし傍から見れば余裕のたたずまいの少年の心境は、入社三日目にも関わらず未だに兵士用の食堂の位置が分からない事に焦燥感を感じていた。が、生い立ち上、迷子などという事態には一度も遭遇した事がない為、少年はその涼やかな表情の裏今にも泣きそうであった。

    「・・・こんな障害があるなんて・・・この会社広いから・・・。」

    そうぶつぶつ呟きながら歩いていた少年はお約束の展開で誰かにぶつかる。その反動は物凄く、ぶつかった側である少年の方が思わず尻もちをつくほどであった。

    「っ・・ごめんなさい!」

     声に、前を歩いていた少年は後ろを振り返ると、そっと手を差し伸べる。

    「大丈夫か?」

    見上げた先にいたのは自身とさほど年の変わらない銀髪の少年。同じ訓練兵の格好をしてはいるが、身長は10cm以上も高ければ、体格だって結構良い。温室育ちで華奢な体つきの自分とは似ても似つかない。こういうのがソルジャーになるんだろうか、などと思ってその手を取ると、やはり少年の力は強いらしく、軽々と立ち上がることが出来た。

    「ありがとう。―――あ、そうだ、兵士用の食堂ってどこだか分りますか?入社したてだからその・・・まだ覚えられなくて・・・。」

    恥ずかしさあまりに赤面しながら目の前の少年向かってそう尋ねると、少年は表情一つ変えずに親切に場所を教えてくれた。
     そうして彼と別れてすぐ教えてもらった食堂に向かったが、少年の中には先程の彼に対するある一種の敬意が生まれていた。それは自分とは比べ物にならない身体つきや、見ず知らずの自分に対しても振り分けてくれた優しさなどからくる一方的なものだった。

    「・・・いいな。俺も彼みたいになりたい。」


     これが、後神羅の軍事部門を率いていくことになる2人の少年の出会い―――――。





     食堂は腹を空かせた訓練上がりの兵士達で込み合っていた。ロゼは行きかう兵士たちを難なくかわしていき、そうして食堂の中腹付近で配られていたメニューを受け取るとそこに視線を落とした。
     温室育ち―――――無くなってしまったとは言え、実質は王族の血を引く彼にとって神羅での生活は地獄そのもの。誰からも敬われず全てが対等、いや、階級なら存在していたが、自身がその中の一番下であるという事は今でも信じ難いものだった。剣術なら多少は心得がある。殺された父親に定期的に習っていた。だがこういった軍服に身を包む事も、ましてや今こうして手に取っているメニューの中にある食べ物の名を見ることも、自身にとっては初めての経験だった。

     新鮮か―――――?

     新鮮だよ―――――・・・

     でも・・・こんなかたちで味わいたくなかったな・・・

     自問自答を繰り返すのは、今日でもう一ヶ月目だ。一か月前―――――10月14日―――――クロウの5歳の誕生日―――――・・・。あの日にあんな事が起こらなきゃ、今俺はこうしてここにいることもなく、こんな争いに満ちた世界を知ることも、なかった。でももう割り切らなきゃな・・・。後悔したって始まらないし、そんなことで疲れるのには、もう飽きてしまったから―――――・・・。

    「あの、この“かれー”っていうの、ください。」



     初めて、しかもまだ僅か9歳であるということから、食堂にいたおばさんはカレーに甘口のルーをかけてくれた。

    「甘口・・・?辛さにも“階級”があるのか?」

     取り敢えず空いている席を適当に見つけ、そこに腰を下ろしながら見たこともない食べ物にじろじろ目を凝らしてロゼはそう呟いた。

     初めて見た・・・
     ニンジンに、これは・・・じゃがいもかな・・・?
     城に居た頃に食べてたものとは全然違って何か色は気色悪いけど―――――・・・

    「・・・―――でも・・・いい匂いがする・・・。」

    「―――“カレー”を食べるのは初めてか?お前、さっきぶつかった奴だろ?」

     突如上からかけられた声には聞き覚えがあった。本日二度目―――――見上げた先にはやはり、先程ぶつかった少年の姿があった。

    「さっきの・・・。」

    少年は隣の空席に腰を下ろすと自身が持ってきた箸を手にし、そうしてロゼの返答も待たずに黙々と茶碗を手に取り白米を口の中に放った。少年はさほど気にかけてはいないようだが、一方的な尊敬を抱くロゼにとっては注意が少年に移るのも仕方がなかった。例えるなら宝石のようにその目を輝かせ少年の姿を見詰めるロゼはその容貌に魅入った。
     先程の短い接触では気付かなかったが、この少年は何と美しい面立ちをしているのだろうか。ここにいる兵士は把握しかねるが、ソルジャーの説明を受けた時、彼らは実験の過程で皆目が青色に染まると聞いた。自分は元々蒼眼だからどうせ同じような色になる他人の目なんて特に気にしなかったが、この色には見覚えがある。まるで魔晄そのものを思わせる緑眼。そう、こんな緑眼の人間を見るのは父さん以来になる。

    「―――そうだね。こんな見かけに反していい匂いをさせる食べ物は初めてだね。メニューにあったもの全部知らなかったよ。」

     スプーンを手に取り、ロゼはこのあまずっぱい匂いを充満させる食べ物を口へと運んだ。何とも言えない感じがして暫くロゼは黙っていたが、口の中にあるカレーを全て喉の奥へと飲み込むと、今度は少年の方に向かってにんまりと笑って見せた。緑色の目をした人間との食事など久方ぶりなのに付け加え、年が近いことで何かしらの親近感が味に付け加わった。

    「おいしいね、カレー。」

    「・・・変わってるな、お前。」

    呆れたような表情で自分を見詰める少年に、ロゼはへへへっと言って笑って返した。

    「君の食べてるのも珍しいね。それは何て言うの?」

    「・・・和食、だけど・・・。」

    「ワショク?初めて聞く。」

    「・・・お前今まで何を食べて生きてきたんだ。」



     食堂を出ると、少年たちは残った休み時間を無駄にはすまいと真っ先にトレーニングルームに向かった。今横にいる相手が自分と同じ場所に向かおうとしていることには双方多少なりしの驚きはあったものの、それでも少年たちは前を向いてひたすらに歩き続けた。
     トレーニングルームの中には誰もおらず、少年たちは黙々と装置を弄ると一息つく間もなく設定した世界へと入り込んでしまう。そうして約20分した後現実世界へと意識を戻した二人は漸く互いが互いに視線を交えると、それから口元を笑わせた。

    「―――お前、名前は?」

    「ロゼ。ロゼ・ボルフィード。・・・君は?」

    ロゼの名を聞いた少年はその名前を反復すると、今度は彼が笑って言葉を発した。

    「セフィロスだ―――――!」

    「セフィロス・・・ね・・・。よろしく、セフィロスっ。」

    そうして少年たちは再び笑った。その笑いは本当にささやかなもので、そうして同時にこの戦場の中に芽生えた儚く脆い『絆』の象徴でもあった。この、神羅という名の大きすぎる戦場に―――――





    17/05/06 09:34 960   

    ■作者メッセージ
    どうもお久しぶりです、960ですw
    受験生という事もありなかなか執筆出来ずにいましたが、ようやくの更新です!

    今回もハチャメチャ設定が入ってますが、どうぞご勘弁を・・・
    そもそも神羅に食堂とかあるんでしょうか・・・、あったらいいなという、あくまでも個人の妄想です(>_<)

    ロゼとクロウ、セフィロスの年齢設定はすごいあやふやなんですが、おかしいところがあればすぐご指摘ください!
    調べているのですが、ザックスとセフィロスの年齢差が分からないので、それによってロゼとクロウの年齢差も変更する恐れありです、ハイ・・・
    もし知っている方がいらっしゃればぜひ教えてください!

    これまでに読んでくださっていた方々、これを読んで下さっている方々、本当に感謝です!!
    ただ受験も迫っております故、またまた更新が遅れます、本当に申し訳ありません・・・

    では、またw
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