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ダブルクロスThe 3rd Edition【君に捧げる詩】

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 セッションの準備編
  • 02 PC1紹介
  • 03 PC2紹介
  • 04 PC3紹介
  • 05 PC4紹介
  • 06 オープニングフェイズ1&2
  • 07 オープニングフェイズ3&4
  • 08 ミドルフェイズ1(前編)
  • 09 ミドルフェイズ1(中編)
  • 10 ミドルフェイズ1(後編)
  • 11 ミドルフェイズ2(前編)
  • 12 ミドルフェイズ2(後編)
  • 13 ミドルフェイズ3
  • 14 ミドルフェイズ4
  • 15 ミドルフェイズ5&6
  • 16 ミドルフェイズ6(潜入編1)
  • 17 ミドルフェイズ6(潜入編2)
  • 18 ミドルフェイズ6(戦闘編)
  • 19 ミドルフェイズ6(調査編)
  • 20 ミドルフェイズ7(前編)
  • 21 ミドルフェイズ7(後編)
  • 22 クライマックスフェイズ1
  • 23 クライマックスフェイズ2
  • 24 クライマックスフェイズ3
  • 25 クライマックスフェイズ4
  • 26 クライマックスフェイズ5
  • 27 クライマックスフェイズ6
  • 28 クライマックスフェイズ7&バックトラック
  • 29 エンディングフェイズ1
  • 30 エンディングフェイズ2
  • オープニングフェイズ1&2


     オープニングフェイズ シーン1〈Ifの世界〉
     シーンプレイヤー 大晴響


    GM「まずは響のシーンから行きましょう」

    オパール「えーと、あたしはまだ覚醒してないから浸食率は上げなくていいのよね?」

    GM「ええ。このシーンですが、エンドラインがどう言った世界なのかを演出したいと思っています。で、響さんは学生なので学校を舞台にしたいんですよ」

    オパール「分かった。あ、どうせなら友達用意してほしいんだけど」

    GM「ふむ…いいですよ」



     暗い、暗い、闇の中。
     何も見えない、何も感じない。
     ただ、歌が響くのみ。

     ――…き…びき…

     歌の歌詞は日本語でなければ英語でもない。
     だが、その歌声の旋律はとても綺麗で、傷ついた心を癒してくれた。
     しばらくは、この歌を聴いていたい…。

     ―――ひびき、おきて…響っ!


    『…いい加減起きなさい、大晴さーんっ!!』

    『ふみゃあああああぁ!!?』

     耳元で怒鳴られ、響は悲鳴を上げて起き上がる。
     視界に映ったのは、授業中の風景。そして、隣で青筋を立てて睨んでいる担任の教師。
     どうやら、授業中に居眠りしてしまったようだ。

    『私の授業で寝るのは何度目かしら、大晴さん?』

    『あ、あはは…すみません、先生!』

    『全くもう! そんな事では、歌手どころか立派なオーヴァードになれないわよ!』

    『は〜い…』

     お小言もそこそこに、教師は再び教壇に戻る。
     すぐに響が教科書を確認していると、隣から小さな声で話し掛けられた。

    『響、社会の教科書P34だよ』

    『分かった。ありがと、璃々』

     小声でお礼を言うと、隣の女子生徒――響の友達である璃々が微笑む。
     そうして教科書のページを合わせると、教師の話が再開した。

    『さて、どこまで話したかしら…ああ、ここだったわね。
     一年前、何もなかったこの世界にある事実が齎されました。それが《レネゲイド》と呼ばれるウイルスです。このウイルスに感染した生物、または無機物は超人になってしまうと言う素晴らしいものです。尚、レネゲイドに感染し力を得れた人種は《オーヴァード》と呼ばれます。
     とは言え、突然このような情報の発表に最初は社会も混乱を予期しました。ですが、レネゲイドに関する情報を齎したFHと言う組織の手腕により、現在レネゲイドとオーヴァードは様々な形で用いられるようになりました。
     そんな訳で、世界に改革を齎したFHによって世界の仕組みが変わり、発展し統治されています。これからの時代は、人間から進化したオーヴァードによって更なる発展と歩みが期待されると言われています。
     ですが、FHの他にこの情報を隠蔽していた組織があります。さっき居眠りしていた大晴さん、答えなさい』

    『え!? えーと…!』

    『UGN』

     狼狽えていると、また璃々が小声で助け舟を出してくれた。

    『ユ、ユージーエムです! せんせー!』

    『UG“M”じゃないわ、UG“N(エヌ)”よ』

    『は、発音の間違いですよ先生〜』

    『あなたもう高校三年生でしょ…この調子だと先が思いやられるわ』

     はぁ、と大きな溜息を吐き、教師は持っていた本のページをめくる。

    『このUGNと言う組織ですが、FHと違いこの事実を一般人に隠蔽して裏で私利私欲に使っていました。レネゲイドの情報が公開されてからはFHの人々によって粛清はされましたが、今も尚UGNと言う組織は世界各地で凶悪なテロ活動を起こしています。
     この町の治安はFHの方により守られていますが、万が一彼らに遭遇してしまったら、迷わず逃げる事。例えオーヴァードであろうとあなた達は学生です。FHに通報し、事件に関わらないように』

     話が終わると同時に、授業終了のチャイムが鳴り渡る。
     ざわつき始める教室で、教師は他の教材を纏めながら今後の事について話す。

    『それでは今日の授業はここまで。次はレネゲイド能力のテストとなります、レネゲイドが使える人達は体育館に。それ以外の人は教室で待機するように』

     そう言って、教師は教室を後にする。そして他の生徒達は次の授業場所である体育館に向かう。

    『行こうぜー! 今日は俺が一番だって証明してやる!』

    『無駄無駄。これでも俺はテロを起こそうとしたUGNの奴らを倒した事があるんだ、負けはしない』

    『二人は今日も居残りなんだー。ま、オーヴァードにも慣れない落ちこぼれじゃしょうがないかー』

    『ムッ…!』

     教室を去り際に小馬鹿にしてくる女子生徒に、響は顔を顰める。
     このクラスの殆どが、今やオーヴァードとなっている。その中でまだ非適格者――人間なのは、響と璃々だけなのだ。
     大勢のクラスメイトが喋りながら立ち去り、教室に残されたのは響と璃々だけだった。

    『響、あんな奴の言葉気にしない方がいいよ!』

    『でも…!』

    『私なら大丈夫。それに響が凄いじゃない、非適格者なのに《ワーディング》内でも自由に行動出来るんだから』

    『う、うん…』


    オパール「なにこの設定?」

    GM「響さんは【賢者の石】持ち設定ですからね。このくらいは優遇してもいいかと思いまして」

    SM(他のPCと合流する時、楽になりそうだしねぇ)

    クウ「なるほど。《ワーディング》が効かないのは【賢者の石】の効果だが、学校側は《AWF》と誤認しているって感じだな」

    オパール「ふーん。でも、その方が真実知ってる設定とかやりやすそうだからいいかな」


     璃々以外いなくなり、静かになった教室を見回して響は机の上に膝を置く。
     そのまま手に顎を乗せて、ぼんやりと遠い目を作った。

    『……なーんかさ、変わったよね』

    『響?』

    『1年前までは皆が皆、音楽って言う目標に向かって進んでいた。なのに、レネゲイドとかオーヴァードとか公表してから、誰が上とか落ちこぼれとかそんな話ばっかり。クラスで同じだった気持ちが、バラバラになっていった気がして…』

     何でもない日常。誰もが何の力も持てず、裏での戦いも知らず、平和に過ごし合っていた日々。
     得られたものは確かに大きい。適合しない者を省き、誰もが超能力のような力を使える事であらゆる分野が急成長を遂げた。現に、この学校から芸能人の仲間入りをした人だって続出した。
     だが、それと引き換えに大切な何かが奪われている。そんな感じがするのだ――FHとUGNの“真実”を知っている分、余計に。
     そんな弱気になる響の手を、突然璃々が両手で握り込む。

    『大丈夫だよ。例え私がオーヴァードになっても、響がオーヴァードになっても、私たちはずっと友達だよ』

     そうして、響に笑いかける。安心してと言わんばかりに。
     目まぐるしく変わりゆく世界。その中でも変わらないモノも、ちゃんとあるのだと。

    『もちろんだよ、璃々』

     友達が握る温かな手を、響もまた笑顔で握り返した。


    GM「では、友情を確認し合った所でシーンを終了しましょうか」

    オパール「あー、楽しかった! やっぱ女の友情ってこうでないと!」

    クウ「それにしても、全然キャラ違うな」

    ルキル「本編と大違いだろ。あと、リリィとこんなに仲良かったか?」

    スピカ「本編じゃ殺伐としてるものね」

    SM「素の状態だと男勝ってるもんね、あんた」

    オパール「あんたら今すぐ本編第一章のエピソード8見直してきなさい!! ちゃんとリリィと仲良いシーンあるし、女らしい部分だってちゃんとあるわよ!! てか、あたしより男勝りで料理下手なラックとかに言われたくない!!」

    SM「ちょっとそれどういう意味だい!?」

    オパール「少なくともア〇ムト〇ムに果敢に突っ込む力も体力もないし、料理だってモザイクかけられるほど下手じゃないわよ!!」

    クウ「料理、ねぇ…」(チラッ)

    スピカ「クウ? 今何を考えたのかしら?」(グッ!)

    クウ「何にも考えてません!! ひ、響のシーン終わったなら次俺のシーンになるのかジェダイト!?」

    GM「え、あ! そう、ですね。OPはPC順にしてますので、次は蒼空さんのシーンと行きましょう!」



     オープニングフェイズ シーン2〈血塗られた日常〉
     シーンプレイヤー 黒羽蒼空


    SM「それでは、蒼空のシーンです」

    クウ「よし、シーンインだ」

     《シーン登場》
     蒼空1D→6 30%→36%

    クウ「微妙に上がったな…マスターの称号持ってるからか?」

    GM「それでは、始めていきましょう」


     どこか暗い場所。その辺り一帯、焦げと血の臭いが充満している。
     手に握るのは、巨大な得物。
     目の前には、全身に血塗れの女が身体を切り裂かれて倒れている。
     女は愛を囁き、笑い――赫い刃に、貫かれた。


    『うぁ…また、あの夢…』

     頭を押え、蒼空はベッドから起き上がる。住んでいる所は高級マンションの一室なだけあって、広さも十分で町が一望出来る好物件だ。
     少し前から毎日のように見る夢。自分であって自分でない人が、一人の女を殺す夢。
     たったそれだけの光景は悪夢と化して、彼女を毎夜苦しめている。

    『ま、所詮夢は夢。そう割り切ってるのにな…』

     悪夢に魘されたからか、冷汗で服が湿っている。蒼空は徐にその場で寝間着を脱ぎ出す。

    《止めさない。人前、しかも男性の前で服を脱ぐなんて、常識の欠片もないですよ》

     そんな彼女に、咎める声がかけられる。
     黒髪金眼の白い服を纏った男。だが、その姿は半透明で幽霊を思わせる。
     彼の名前は“エン”。少し前から――悪夢を見る日に蒼空に憑りついたレネゲイドビーイングだ。

    『ちっ…俺が何処で脱ごうが勝手だろ。あっち行けよ』

    《なら、あなたが脱衣所に行きなさい。私だったから良かったですが、誰かがいてもそうするんですか?》

    『そんな事するかよ。いいから別の所に行け』

    《やれやれ…》

     そう言って、エンはドアをすり抜ける様に部屋から立ち去る。
     下着も全て脱ぎ終え、蒼空が浴室へと向かっていると連絡用の端末から音が鳴った。

    『ん? 連絡か?』

     すぐに踵を返し、蒼空は端末を手に取る。
     そこには、マスターエージェントとして与えられる任務が届いていた。

    『“裏切り者(ダブルクロス)”の始末及び、“遺産”の回収か…』

     それを確認し、蒼空は1人溜息を吐く。
     マスター。その称号を持つオーヴァードは世間では栄光の象徴とされ、厚い賞賛を贈られている。だが、実際は普通では手に負えなくなった事件を人知れず処理するのが仕事だ。
     端末の情報を全て画面に表示させてから、部屋の外にいるエンに強めに声を掛ける。

    『おい、任務だ。俺がシャワー被っている間にこいつを調べておけ』

    《私、物体に触れられないのですが》

    『レネゲイドの能力使えばいいだろうが。おら、世界が誇るマスター様に寄生してんだから仕事しとけ』

    《全く、人使いが荒い……“ドレス”は使いますか?》

    『当たり前だ。調整やっとけよ』

     任務の準備を話し合い、蒼空は浴室に入った。
     これから赴く任務もまた、血で彩られるだろう。
     現実でも、夢の中でも、結局自分は血に塗れているのだ。


    クウ「――と、こんな所でシーンを終了しようかな。どうだ、大人な女性って感じだろ?」

    SM「大人な女性って言うか、結構内面荒れている感じがするけど…」

    クウ「そりゃ、FHに従って真実知ってる身ではそうなるだろ。しかもタイミング悪く悪夢に魘されていたしな」

    スピカ「大丈夫! その荒らすんだ心を、私が癒せれば万事解決よ!」

    ルキル「ぶれませんね、スピカさん…」

    GM「では、ここで蒼空さんのシーンを終了しましょう。次は星華さんです」

    17/02/23 02:37 NANA   

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