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キングダムハーツ【Five・Blade/Extra Story1】

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    ここはデスティニーアイランド。ソラやリクの故郷であり、常に季節が夏と言えるほど気温が高い。ここの山付近にある高台に彼はいた。

    「はぁ…疲れたー!」

    俺――レイは勢いに身を任せその場に寝転がる。先程まで長時間に渡る作業をしていた為、眠気が一気に出てきてしまい、つい目を閉じた途端眠りについてしまった。

    眠りの中、俺が誰かと結婚している夢を見た。紫色の髪の人が俺の隣にいる。クロナだといいと思うが、残念な事に夢はここで途切れてしまった。

    「……ーイ、レイ君?」

    眠り始めてから数分後、誰かに額を突っつかれた。目を開けてみると目の前にクロナの顔があった。

    「うわっ!!」

    驚きのあまり彼女の額にぶつかってしまい、痛みを堪えながら立ち上がった。

    「いっつ〜!」
    「ごめん、大丈夫!?」
    「うん、そっちも大丈夫そうだね」

    彼女の名前はクロナ。俺の幼馴染みで一番好きな人でもある。この高台は俺達にとっては何時もの場所であり、それでクロナも俺がここにいる事がわかったのだろう。

    「それにしても…脅かさないでよ、もぉ〜!」
    「そっちが勝手に驚いたんじゃん!レイ君の事だから寝てると思ったんだよね〜!」

    俺達の他愛無い会話は続く。そもそもクロナは俺が呼んだのだが、デスティニーアイランドとだけ言ったので少々不安だったが、無事に出会う事が出来た。そして、そもそも何故デスティニーアイランドで待ち合わせしたのかと言うと……

    「見てあれ!」

    そう、パオプの実だ。デスティニーアイランドに生えてる木の実で、これを食べさせあった二人は必ず結ばれると言う言い伝えがあるらしい。所詮おまじないと馬鹿にする人もいるが、少なくともこの世界の子供達全員は信じているだろう。

    「わぁー、おっきい木の実だね?レイ君、これは?」
    「パオプの実って言ってね、不思議な言い伝えがあるんだ。それはね……」
    「オーイレイ、クロナ!」

    パオプの実の解説をしようとしたとき、丁度島に来ていたソラに出会った。茶髪でツンツンした髪型、青い瞳を持つキーブレードの勇者だ。一時期一緒に旅したこともあり、今では大切な友達である。

    「あっ、ソラ君!」
    「おはよソラ!」
    「二人共朝早くからどうしたんだ?もしかして今日がバレンタインだからみんなでとか?」
    「そう!それだよ!!」
    「ははっ、羨ましいな」
    「それは君もだろっ」

    俺はソラを挑発するかのように肘で彼を突っついた。その途端にソラが顔を赤くしたのは言うまでもない。

    「ソラ君、カイリさんからもらえるもんね〜」
    「いや違うって!まだ決まった訳じゃないっての!!」

    取り乱してクロナの意見を否定してはいるが、今の真っ赤な顔では説得力が無い。クロナはカイリとは仲が良いので、色々と聞いているらしく、彼女曰く『カイリはソラに作る』宣言していたらしい。ちなみにその時にソラ(と俺を含む男性陣)はいなかったので、全く知らない。一応俺はクロナを通じて知ってはいたので他のみんなが来るまでソラを弄りつつ競争をしたりして遊んだ。その時にクロナがパオプの木(人が数人座れるほど極端に曲がった木)に座って見ていたのはお約束。

    そして、昼頃に全メンバーが揃った。と言っても、バレンタインに該当するメンバーのみだが。

    結果ここにいるのは俺、クロナ、ダーク、フィオ、ライガ、ヒトミ、ソラ、リク、カイリ、紫音、そして意外にもディアがいた。

    「えーと……」
    「なにやってるんだレイ?」

    あるものの割合を計っていた俺にライガが話し掛けてきた。彼は本編から離れてもやはりしっかり者であり、個性が強いこのメンバーの中、上手く注意しては振り回されている。

    「男性七人女性4人…これじゃ3人余んない?」
    「あぁ、男女の数数えてたの…」

    そうとう俺の考えている事が深刻だと勘違いしていたのか、とてつもなく呆れてしまった。だがライガはすぐに立て直し、ダークに話し掛けた。

    「なぁダーク、このメンバーで、どんなペアが生まれると思う?」

    あまりにも単純な質問だった。誰と誰が結ばれるか、早い話それだった。このペースで行くと二人余る事になるが、確かに気になる所である。

    「えっとそうだな…レイ&クロナ組とソラ&カイリ組は確定だと思うんだ」
    「ほう」
    「それでフィオ&紫音組もありそうなんだが……後のやつがわからん」
    「後のやつってあいつか?」

    そう言ってライガはある人を見た。ヒトミだ。確かに彼女だけろくに候補が挙がらない。

    「おい、俺はどうなんだ?」

    二人の話にリクが割って入ってきた。その表情は何処か不安げであった。

    「俺は誰とペア組むと予想する?」
    「うーん、余る」

    ダークの率直な意見。本編での出番も中途半端であったリクはここでも中途半端に終わってしまうのだろうか。あまりにも率直すぎる意見にリクは黙って真顔で頷いていた。

    「あぁ所で、カイリってやっぱソラに渡すのか?」
    「うん、女性陣にはすでに宣言してあるけど…」

    ライガは何処か不安そうな声で質問をした。それにカイリは素直に答える。

    「そ、そうか………」
    「?」

    その表情は何処か辛そうで、カイリから目を反らしていた。

    「あの、フィオさん」

    ライガが何かに挫けている中、紫音がフィオに話し掛けた。紫音よりも頭1つほど身長の低いフィオは彼女を見上げて言った。

    「どうしたの?」
    「ライガさんってもしかして……カイリさんに気があるのでしょうか……?」
    「そうじゃない?」

    フィオは何となく答えた。そう言えばライガは俺達三人を除けば一番先に来ていて、カイリが来た途端彼女から目を反らしてしまった。つまり彼女は三人からも想いを寄せられている事になる。

    「それはそうとフィオさん」

    改まって紫音がフィオにとある物を渡した。

    「日頃のお礼です。私の気持ち」
    「……ありがとう、紫音!!」
    「おっ、早速成立か」

    いつの間にか復活していたリクがフィオと紫音のペア成立の様子を見ていた。その表情はまるで先程の死に様が嘘のように穏やかな物だった。

    「リクいつの間に!?」

    あまりにも突然の事だった為、俺は思わず突っ込んでしまった。

    「勝機はあると思ったからな。何時までも挫けてちゃいけないと思ってな」
    「さ、流石の自信だね……」

    リクは常に自信満々であったとソラに聞いた事があったので少々安心した。器用でクール。それがリクと言う人間である。

    「所でみんな!!」

    俺がみんなを呼ぶと全員振り向いてくれた。俺は満面の笑みでみんなに対して言った。

    「俺実はみんなの為に特別特性チョコ作って来ました!!なんとーーー!!」

    そしてとある物を取り出した。それはトリュフと言う種類のチョコだった。俺自身も好みであり、みんなの為にと作って来た。だが………

    「デカすぎるわ!!!!」
    「軽く15メートルあるだろあれ!!!!」

    そう、特別特性チョコはとてつもなく大きかった。これならみんな驚いてくれるかと思ったが、予想通りだった。でもなんだか様子がおかしい気がする。

    「ちょっとレイ君!?」

    突然マジの表情となってクロナが強きな声で言った。

    「これが本当に"特別"なの!?」
    「な、何を……?」
    「レイ君、キーブレードを構えなさい!!勝負よ!」

    その台詞と共にクロナは自らの左手にキーブレードを出現させた。

    「私が勝ったら、私の言うことを聞いてもらう!」
    「だったら俺は……」

    その瞬間にキーブレードを出現させ、右手で構えた。

    「俺が勝ったら渡したい物がある!」
    「OK!掛かっておいで!!」

    と言うわけで、どういう事か俺とクロナの1vs1の対決が始まってしまった。みんなも空気を読んでくれたのかその場を離れてくれた。

    「さぁ始まりました!!バレンタインデーの情熱対決!!実況は私、ヒトミがお送りします!!」

    突然何をやっているんだと突っ込む暇もなく、ヒトミは謎の実況を続ける。それにどういうわけか実況席まで用意されている。

    「なんとクロナさんが自らお兄ちゃんに対戦を挑みました!しかもそれに勝てば何でも1つ言うことを聞いてもらうとのこと!!これは熱い展開になって来たぁ!!そして解説は二人います!」

    そこまでやってあるのかと呆れる暇もなくヒトミの隣の解説席に座っていた解説担当が自己紹介をした。

    「解説のディアだ」

    なんとディアだった。普段絶対にするはずも無いディアが何故か自ら解説担当として出席している。所謂キャラ崩壊と言うやつだろうか。その表情は何処か張り切っている。

    「そしてゲストとして、もう一人の解説には『神矢レイラ』さんにお越し頂いています!!」
    「皆さんどうも!レイラでーす!」

    なんとまさかの作者その者だった。作者はこの世界では神矢レイラと言う名前で出演するのは知ってはいたが、いくらなんでも突然すぎたのでもうほかっておく事にした。

    「行くよレイ君!!」

    高らかな叫び声と共にクロナはキーブレードから花びらの竜巻を発生させ、俺を攻撃した。クロナの得意とする技、フラワーストームだ。

    「ならっ」

    俺も応戦するべく、キーブレードの剣先に赤い光を集中させ、そのままエネルギー弾として大量に放出した。これが俺の得意技、ラグナロクRDだ。

    「おぉーっと!!ここで両者共に得意技を繰り出したぁー!!」
    「どちらも物凄い威力ですね」

    お互いの技がぶつかり合い、激しい爆発が発生した。

    「うぉっ!!」
    「きゃっ!!」

    お互いに吹き飛ばされ、クロナは茂みに、俺は海の中にそれぞれ放り投げられた。

    「おっと両者共に負傷か!?」
    「いやまだですね」
    「何故ですかレイラさん?」
    「彼らがそう簡単に諦めると思いますか?」

    作者のコメントははっきり言って政論だった。俺達は攻撃を受けても尚立ち上がり、再び戦う。そう、俺達は自分達の理想を叶えるまで諦めはしない!

    「行くよレイ君っ!!」
    「来いクロナっ!!」

    俺達の気が最大限に高まり、本気の力を解放した。恐らくこれが最後の一撃になるだろう。俺はありったけの本気を解放した。

    「4刀流っ!!!」

    本編のカオスエンド戦にて解き放った二刀流のさらに上を行く4刀流を解放した。それに呼応するかのようにクロナもまた物凄い力を発動させた。

    「D-リンク・アディア!!」

    その叫び声と共にクロナの髪型がアディアを足したような物となり、髪色もそれに近い物になった。D-リンクによってアディアの力を借りたのだ。

    「4刀流神剣・アルティメット!!!」

    四つのキーブレードにそれぞれ炎、氷、雷、風の力を宿し、全ての力を使って強大なエネルギー砲を放った。

    「夢の字斬り!!」

    クロナもまたキーブレードを物凄いスピードで動かし、エネルギー砲を全て切り刻んで見せた。その時キーブレードを持っている手がまるで見えなかった。

    「……流石だよクロナ、完敗」

    クロナの実力を認め、俺はお手上げのポーズをした。クロナはそれを承知したのかキーブレードを無に還した。

    「決まったーーー!!勝者はクロナさん!お兄ちゃんはやはりクロナさんには勝てないのでしょうか!?」
    「レイラさん、レイのやつはクロナに対してどのくらいの勝率の設定なんだ?」
    「えっと0%」

    なんだよそれと思わず突っ込みたくなるが、そこはぐっと我慢し、今はクロナに負けたので言うことを聞く事にした。

    「それじゃあレイ君、隠している物を見せて」
    「えっ?」
    「さっきのばかでかいトリュフよりも特別なチョコ持ってるんでしょ?」
    「ははっ、クロナにはバレてたか」

    確かにクロナの言う通りだ。ちなみにあのデカトリュフはみんなで手分けして食べてくれたらしいので今はもう無い。俺は大人しく隠し持っていた物を渡した。

    「開けてみて」

    小さな可愛らしい箱をクロナに手渡し、彼女はそれを明ける。するとそこにはハート型のチョコが1つ入っていた。

    「これは……!」

    クロナはそれを見て非常に驚いていた。それもそのはず、そのチョコにはとある刻印が施してあったからだ。

    『I Love you Qurona』

    「英語……間違ってるかもしれないけど……どうかな?」
    「………」
    「クロナ?」

    バレンタインプレゼントを渡してからと言う物のクロナは数十秒間黙っていた。みんなもその様子を見守っていた。流石に心配になった俺はクロナの近くに歩み寄ろうとしたその時、突如クロナに抱きつかれた。

    「レイ君ありがとう!私、今まで生きてきた中で一番嬉しい!!」

    俺は今一番近くにいる大切な人の想いをしっかりと受け取っている。俺はふと、心の中で呟いた。

    (その言葉、また言う事になるかもよ……)

    14/02/15 22:44 レイラ   

    ■作者メッセージ
    いやー、思いきってとうとう俺も登場しちゃいました!これから先イベントがある度に出てくるかもしれませんw
    さて、今日この日を皆さんはどう過ごしましたか?皆さんとっても充実した一日を過ごせたと思います!
    それでは、これからもこの俺レイラ共々、キングダムハーツ【Five・Blade】を宜しくお願いします!!
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