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Re:開闢の宴・最終章

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 メモリアル1
  • 02 メモリアル2
  • 03 メモリアル3
  • 04 再会とお披露目会
  • 05 やりたい事
  • 06 ツバサの正体
  • 07 恋心の絆
  • 08 手を差し出す方法
  • 09 心残り
  • 10 生まれ変わった拠点
  • 11 一日の終わり
  • 12 オーバーチュア&クリムゾンブリッツ
  • 13 叶えた夢
  • 14 正体不明の敵
  • 15 陣の使い手
  • 16 弟子同士の対決(けんか)
  • 17 親友としての思い
  • 18 使徒との交流
  • 一日の終わり


     眠るにはまだ早い時間帯。時間潰しの為に大きめのリビングに集まり、談笑をする者、これからの事を話す者、部屋で寝床を用意する人、明日の朝食の仕込みをする人と、それぞれ思い思いに過ごしている。
     そんな中、クウとスピカはソファに座って寛いでいる。

    「ふふ、みんな楽しそうね」

    「そうだな…」

     同意はするが、隣に座るクウの反応はどこか素っ気ない。
     振り向くと、複雑な表情を浮かべて顔を合わせずに逸らしている。なかなか顔を向けてくれないクウに、スピカは不安げに話しかける。

    「まだ、怒ってる?」

    「そんなんじゃねえよ」

    「…私と再会するの、嫌だった?」

    「違う!」

     やっとこちらを向いてくれたクウ。しかし、目を合わせると急に顔が赤くして、また視線を逸らす。

    「まあ、その…何だ。すごく、綺麗になってるから…落ち着いた今、近づかれるとお前の顔、まともに見れないって言うか…!」

     言ってて恥ずかしくなったのか、更に顔を真っ赤にしてスピカから背ける。
     この本音を聞いて、曇っていたスピカの顔は一気に明るくなった。

    「クウ…! 嬉しい、そんな事言ってくれるなんて!」

    「だ、抱き着くなよっ!!」

     思いっきり抱き着くと、やはりと言うかクウが怒鳴る。しかし、拒絶はしないようで文句は言うが手は出してこない。
     その優しさを良い事に、スピカはクウの両頬を掴んで逃げようとする視線を無理やり合わせる。
     まだ彼が子供だった頃の幼さは残っておらず、成人男性として…普通の人よりも整った顔つきになっている。体系だって、筋肉もついてがっしりしている。もうあの頃の自分達ではないけれど、それでもこうして触れ合える事が愛おしく感じる。

    「クウも私より背が伸びててビックリしたわ。しかも、こんなに男前になって」

     至近距離で笑いかけると、クウの顔がこれほどかっていう程赤く染まる。とうとう耐え切れずに力づくで振りほどこうとする。すると、スピカはわざと手を放す。いきなり放された事によって、クウはソファに倒れ込む事になってしまう。
     起き上がろうとするが、その前にスピカがクウの上に覆いかぶさって動きを封じた。

    「もっ、もういいだろ!? 他の奴らが見てる!!」

    「だーめ。もうちょっと」

     上機嫌で黒い前髪を弄るスピカ。それにより離れた所からドス黒いオーラを感じる。倒れた体制では見えないが、十中八九ウィドだろう。
     スピカも気づいている筈なのに、弄る指を止めようとはしない。周りすら気にしない遠慮の無さ…ここまで考えた所で、クウは違和感を覚える。

    「…スピカ」

    「なに?」

     名前を呼ぶと、スピカは小さく首を傾げて答える。
     特におかしい所は何もない。何もないからこそ…芽生えた違和感が強くなる。

    「なんか、あったのか?」

    「なによ、急に」

     問いかけに不機嫌になったのか、唇を尖らせる。
     クウは確信する。スピカがここまで自分に甘えたくなるほどの何かがあったのだと。その何かは分からないが…気を紛らせたい程悲しい事か、辛い事か。聞いたとしても、スピカは決して口にはしないだろう。
     だから、クウは動かせる左手でスピカの頭に手を置いて優しく撫でた。

    「何もないならいいが、あんま抱え込むな」

     急に頭を撫でられたからか、内心を見透かされたからか、幸せそうな顔をしていたスピカの頬が僅かに赤く染まった。

    「もう…」

    「ずるいです! 私も撫でてくださいー!」

    「ボクもー!」

    「うおっ!?」

     二人のやり取りが羨ましくなったのか、レイアとツバサもクウに飛び掛かる。
     更に二人の少女が混ざった事によってクウがもみくちゃにされていると、ブチンと何かが切れる音が聞こえた。

    「いい加減に離れろーーーー!!!」

     直後、ウィドの怒鳴り声と共にクウの頭に分厚い本が落下した。



     騒動も一段落し、そろそろ寝る時刻に差し掛かる。
     ここでオパールは一度皆を集めて、部屋割りの話をする。

    「みんなの寝る場所なんだけどさ…1部屋に3人分しか用意出来なかったのよ」

    「3人分?」

     ソラが言葉を反芻すると、オパールは頷く。

    「うん。あたしと父さんと母さん、それと客間が一つ。それぞれベッドが一つあるから、そこで二人で寝る事になって、もう一人は床に寝袋敷く事になる感じ」

    「仕方ないわね」

     普通の家より大きいとはいえ、宿泊施設ではないのだ。満足のいく設備でなくて当然だろう。
     誰もが妥協する雰囲気になった所で、リクは彼女の話におかしい点がある事に気づく。

    「ん…ちょっと待て? 4部屋しかないんだよな?」

    「うん」

    「俺達は何人いる?」

    「13人」

    「…1人余るよな?」

    「だから、余った人はそこのソファで寝て頂戴。あ、掛け布団とかないからそのつもりでー。ちなみにあたしは自分の部屋でベッドで寝るから」

    「「「おい!!」」」

     1人だけ不当な扱いを強いられるだけでなく、ちゃっかりとベットを手に入れるオパールにリク・ルキル・クウが同時にツッコミを入れる。

    「嫌なら、野宿してもいいのよ?」

    「家主の特権使いやがって…!」

     即座に脅しを込めて玄関を指差すオパールに、クウは恨めし気に声を上げる。
     だが、野宿よりはマシだとここで異論を押し留める中、明るい声も響き渡る。

    「俺、ヴェンと一緒の部屋がいいー!」

    「俺もー!」

     まるでお泊り会のノリで、ソラとヴェンの二人は意気投合する。二人が同室となる空気で、テラは改めて部屋割りを確認する。

    「流石に異性で同室はマズいよな…女性達で2部屋使って貰って、俺達の誰かがソファで寝る事になるだろう」

    「あら、別に私はクウと同室でもベットで一緒でも問題ないわよ?」

    「ぶふぉ!? なに言ってんだよスピカァ!!」

     サラリと問題発言に等しい言葉を良いのけるスピカに、思わずクウが噴き出す。だが、その反応にスピカは意味ありげに笑い返す。

    「もう、いいじゃない。昔は一緒に寝てたでしょ?」

    「ぐふぅ!?」

    「えっ、そうなの!?」

    「こ、子供の頃の話だぁ!!」

     目を輝かせるカイリに、すぐさまクウが追撃のダメージから立ち直って訂正する。
     しかし、後ろから殺気と共に軽い金属音が鳴る。

    「…どうやら、首から上は要らないと見たぁ…!!!」

    「居合に構えるな!?」

     闇に呑まれいるのではと思わせる黒いオーラを纏うウィドに、とにかくクウは叫ぶ。でないと、引き抜こうとする剣によって真っ二つにされてしまう。

    「だったら、私もクウさんと同じ部屋がいいです!」

    「ボクもー!!」

     そして負けじと、レイアとツバサがクウに抱き着く。
     再びわちゃわちゃとなる状況に、成り行きを見ていた家主のオパールはキレた。

    「…だーーー!!! うるっさーーーーーい!!! クウ、あんたがあのソファよ!! はい決定!!」

    「何でだよ!?」

    「あんたの所為で話が終わらないし、下手すれば家を壊されるからに決まってるでしょ!!?」

    「いやいやいや! こう言うのは公平にじゃんけんで!」

     家主の特権で1人だけソファ(掛け布団無し)と言う最低な扱いを間逃れようと、クウが他の男性陣達に目くばせすると。

    「ヴェンー! 早く行こうぜー!」

    「テラ、今の内に部屋に行こう! ソファになっちゃ堪らないよ!」

    「すまない、クウ」

    「さあルキル、リク。さっさと部屋に入りましょうそして寝ましょう。快適な睡眠は私達で貪りましょう」

    「「じゃあな」」

    「おいマテェェェ!!!」

     誰もがクウの事を見捨てて用意された部屋に入り込む。そして、無情にも扉を閉めた。
     見事に捨て駒にされてしまったクウは、一人寂しい夜を過ごす事になったそうな。



     闇の世界のどこかに存在する、巨大な黒の館。
     最上階付近に位置する所に、暗闇に閉ざされた一室がある。そこで、二人の人物が会合をしていた。
     一人は杖を持った背の低い老人の男。白い髭を蓄えており時折弄っている。もう一人は長めの金髪に片眼鏡(モノクル)を付けた男性だ。

    「…で、俺が呼ばれたって訳か」

     老人からの話が終わり、男性は気怠げに溜息を吐く。その手には、封が切られた黒い手紙が握られている。
     これからの事にやる気を見せない男性に、老人はさほど気にしてないのか笑ってみる。

    「お主ほどの適任者はいないと思うがのぉ」

    「へいへい、了解だ。ぱぱっと言って様子を見に行くよ」

     どうあっても意見を変えようとしない老人に折れたようで、男性は被っていた帽子の縁を摘まんでズレた部分を直す。

    「――その任。俺に任せてくれませんか?」

     いざ男性が向かおうと決めた所で、若い男の声が聞こえる。
     振り返ると、何時の間に部屋に入ったのだろうか。部屋の扉に、ハチミツ色をした淡い金髪に緑の目をした青年がいた。金の刺繍が入った白いローブを着ている事から、魔導士を思わせる。

    「お前…」

    「師匠だと、甘くなるじゃないですか。ちゃんと見極めるのなら、同じ元で修行して育った俺の方が適任の筈だ。いいですよね――師匠?」

    「…けどよ」

    「行くのは一人じゃない。“彼女”も連れて行くから」

     意地でも行きたいのだろう。こちらが一つ言えば、すぐに意見を潰しにかかってくる。
     そんな青年の強情さに、男性は早々に折れて直したばかりの帽子を深く被って思いっきり溜息を吐いた。

    「…分かったよ。行きたきゃ行け」

     そう言って、男性は持っていた手紙を青年へ押し付ける。青年は無言で受け取り、部屋を出て行った。
     扉が閉まるまで見送ると、成り行きを見ていた老人が男性を見上げる。

    「良かったのか?」

    「あいつの言葉は正論だ。それに…」

     ここで言葉を止めて、男性は天井を見上げる様に目を閉じる。
     青年は始終笑顔を浮かべていた。何の感情も篭っていない、薄っぺらの仮面。なのに、彼の瞳に宿っていたのは、たった一つの想い。
     『許せない』と言う、裏切りによって生まれた傷痕。

    「自分の後始末も出来ないようじゃ、世界を救うなんて出来る訳ねーだろ」

     勇者と呼ばれる者がいようが、世界の守護者と言われる者がいようが、これからぶつかるであろう青年の手によって倒れるのならそれまでだ。
     人一人救えないで、世界を守るだの救うだの出来る訳がない。彼らがただ大口を叩くだけの奴か。そうでないのか…見極めるには絶好の機会だ。
     そう男性が頭の中で理屈を並べるが、心は僅かな不安を抱いていた。

    18/03/08 02:18 NANA   

    ■作者メッセージ
    久々にこちらを投稿。いやー、何か月ぶりだろうな本当に。

    さて。こっちの投稿が大幅に遅れている間に、KH3の情報も出ましたね。やっと、やっと今年発売かぁ…ハハハ、PS4本格的に買わないといけないかなぁ…!(汗
    まあ、何と言うか…KH3は宇多田ヒカルの新作で本当に良かった! そして新ワールドと一緒に、マールーシャにヴァニタス登場か…いやまあ、マールーシャはKHUxに似たような(まんまな気もしないでもないけど)キャラ出てたし、ヴァニタスもフラグはあったから驚きはしませんよ。
    ただね、リクの奴はちょっとビビッた! キーブレード折れるってヤバいですよねあれ! もう一人の俺ってあれですか、もしかしてあのキャラですか? もしそうだったら私ちょっと嬉しいですよ忘れ去られているキャラを使っている身ですしねハイ!
    KHUxの方はFFとコラボ中だけど…運営が高性能のメダルラッシュを1週間置きに出している所為か、最近イベントクエストもストーリーもきついんですよね…。結構古い方だけど、ガチャ運低い方だから…もうちょっと優しくしてくれないかなぁ…。


    話は変わり、個々から先はKHとは全く関係ないFGOの話。興味がない、知らない方はここで戻るをしても構いません。正直愚痴に近いです、ハイ。



    最近やっと6章のキャメロットに突入して、ストーリーを進めました。
    その前から、FGOをしている友達を含めた先人達から「6章からヤバイ」「6章の所で心折れるから覚悟してね」「6章は敵の強さが一気に上がるから」と散々忠告や警告をされてきました。
    それもそうだわ。初っ端から敵がボス並みの強さなんだもん。いや、その辺はまだいいですよ? まだいいんですよ?
    円卓のサーヴァント戦が強いんだよ! いやあれは強いなんてもんじゃないチートだチートの域に達しているんだよ!! とにかく弱点ついてる筈なのに固い!! 状態異常かかりにくい!! 攻撃も防御バフかけているのに半分以上HP削られるし!! 極めつけは宝具を撃つスピード早いんだよ!! 連発ガラティーーーンされたら弓サーヴァントも耐久スキルあるヘラクレスも死ぬわ! てか死ねるわぁぁぁ!! 真の耐久力ナンバーワンを誇る槍ニキは相性的に役に立たないしオルタニキなんて持ってねーよ!!
    誰か私に全員無敵&回復状態出来るジャンヌさんかマーリンくれぇぇぇ!!! いやフレンドさんが持ってるんだけどね!! 全体回避出来るダビデもいるけど全く育ててないよエウリュアレ重点的に育ててたんだもん!! 弓サーヴァントのレアはエミヤとアタランテしかいないよ剣サーヴァントなら沖田さんとアルテラいるけど!! てか友達すげーよ何でプロト二回目当たるんだよ既に持ってるだろに寧ろその運を私にも分けてよいやそれ言ったらお前オジマン持ってるだろうがってツッコミ返しされたけども!!
    当面はレベル上げだ…ガヴェインぜってー倒してやるからな…!!
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