ゲーノベ :: ゲーム小説掲示板 > NANA > Re:開闢の宴・最終章

Re:開闢の宴・最終章

NANA

INDEX

  • あらすじ
  • 01 メモリアル1
  • 02 メモリアル2
  • 03 メモリアル3
  • 04 再会とお披露目会
  • 05 やりたい事
  • 06 ツバサの正体
  • 07 恋心の絆
  • 08 手を差し出す方法
  • 09 心残り
  • 10 生まれ変わった拠点
  • 11 一日の終わり
  • 12 オーバーチュア&クリムゾンブリッツ
  • 13 叶えた夢
  • 14 正体不明の敵
  • 15 陣の使い手
  • 16 弟子同士の対決(けんか)
  • 17 親友としての思い
  • 18 使徒との交流
  • 叶えた夢

     アンセムの研究所に続く通路の広場。
     昨日は互いに持ち合わせている情報を交換し合ったその場所で、激しい音が鳴り響く。
     戦っているのは――ツバサとスピカだ。

    「はあぁ!」

    「っ…! だあぁ!」

     スピカの握る剣――クリムゾンブリッツの斬撃をかわし、カウンターとばかりに突きを放つツバサ。
     即座にスピカは手を翳し、魔法の障壁で防御して弾く。

    (クウの弟子って公言していた事はあるわね…果敢に攻めてくる所は本当にそっくり。それだったら、私も普通に対処出来るんだけど…)

     追撃をされないように、弾いた衝撃を利用して距離を取ったツバサ。そのまま間髪入れずに炎の魔法を放つ。
     僅かな時間も無駄にせず、的確に攻撃と回避を行っている。クウのように力任せに行わず、状況を判断しながら行動に移しているのだ。そんなツバサのパターンを頭で分析しながら、身体を動かし続ける。

    「そこっ!」

    「ふっ!」

     ガンブレードの引き金を引いて銃弾を放つが、ツバサは武器を光らせて――ガンブレードを二丁拳銃に変えて、それを打ち消すように銃弾をぶつける。
     遠距離に特化したスタイル《フィルアーム・モード》。ビフロンスにて大勢の人達と交流を持った影響か、はたまたツバサに戻ったからか、レプリカとして身に着けた特殊能力も更に進化を遂げたようだ。

    (独自に戦闘スタイルを変えるから、下手に動けば不意を突かれる。打つべき一手を見極めるのに、どうしても時間をかける必要がある)

     次々と放たれる銃弾に、ガンブレードの銃弾だけでは捌き切れない。そう判断し、スピカは攻撃を止めると横に走って回避する。
     ツバサは好機とばかりに攻撃の手を止めずに銃弾を放ち続けて、スピカとの距離を縮めないように牽制する。

    (本当に…良い弟子として育てたわね、クウは。いいえ…両親であるあの二人の血もあるのかもしれないわね)

     戦闘能力はもちろん、誰かを信頼し行動に移す人柄。内側と外側、二つの強さをこの子は兼ね備えている。
     そう育てたのは、師であるクウだけではない。間違いなく彼女の両親、そして周りの人達だろう。

    (もうそろそろ、かしらね…!)

     回避出来ない銃弾を剣で弾く。足を止めた所でツバサは引き金を連続で引くが、スピカは尚も捌き続ける。
     決定打にならないと分かったのだろう。ツバサは攻撃の手を止めて、再び武器を光らせる。変わったのは、弓の形状だ。

    「そろそろ決めさせてもらうよ!」

     弦となる部分を引いて、スピカに向かって光の矢を一直線に放つ。
     あの弓は追尾の効果も持っている。回避が難しい以上、剣や魔法で防ぐのが一番だろう。

    (力を貸して――オーバーチュア!)

     もう片方の手を胸に押し当てて意識を向ける。思いを汲み取り、光が零れる。
     光の矢がスピカへと着弾し、白い爆発を起こした。勝負ありと、ツバサは構えていた弓を下す。
     だが、爆発が晴れると――スピカは無傷のまま立っていた。
     腕に装着された白い盾を翳したまま。

    「へっ!?」

    「そこぉ!」

     動揺した所を狙い、スピカは握っていたガンブレードを、あろう事かツバサ目掛けて投げつけた。

    「うわわ、っと!?」

     慌てて身を屈めて投げつけられた刃を避ける。ガンブレードはそのまま後ろの壁に突き刺さる。
     ホッとツバサが息を吐く。しかし、気づいた時には盾が白銀のガンブレード――オーヴァーチュアへと姿を変えていた。

    「うっそぉ!?」

     心剣・反剣と言えど、キーブレードとはまた別の物だ。持ち主以外には振るう事は叶わず、意志一つで自由に呼び戻す事が出来ない。だから、武器を手放したスピカに勝ったと思ったのだ。
     その油断が命取り。そう言わんばかりに、スピカは最速でツバサに近付くと首元に銀の刃を添えた。

    「っ…取ったわ…!」

    「…ま、参りましたぁ…」

     降参して両手を上げるツバサ。息切れを起こしながらも勝利を掴んだスピカは、武器を下すと胸元に刃を突きつける形で剣を戻す。
     こうして勝負を終わらせると、遠くで見ていたのだろう。ソラ達がやってくる。

    「凄いです、スピカさん!」

    「弱体化しているとは思えない!」

    「ありがとう…でも、私の中では全然よ…」

     称賛の声をかけるアクアとオパールだが、スピカは疲れを隠さずに答える。
     突き刺さった反剣の方も回収すると、ツバサを介抱していたクウが呆れた顔で見てきた。

    「ったく、負けず嫌いなのは相変わらずだな。子供相手に容赦ないだろ」

    「受けられた勝負は全力で挑むものでしょ…? ふぅ…少し休憩するわ…」

    「えー! 次は俺が戦いたいのに!」

    「俺もスピカさんと戦ってみたい!」

    「そこの二人、無茶言わないでください! 姉さんが倒れたらどうするんですか!?」

     強さに感化されてソラとヴェンが勝負を申し出るが、スピカの体調を心配してウィドが叱りつける。
     スピカは広場から通路の方に移動して、岩の所に腰かける。一息吐くと、カイリが気遣ってか声をかけてきた。

    「スピカさん、何か飲み物買ってきましょうか?」

    「そう? なら、お願いしようかしら?」

    「うん! 任せて!」

     頼られるのが嬉しいのだろう。カイリは笑顔で頷くと、街までの護衛の為にリクに手を振る。
     その間にも、模擬戦は続く。ツバサも今はクウに擦り寄っている形で横になっている。スピカは仲間達から目を離し自分の掌を見つめる。

    「――反剣、クリムゾンブリッツ…」

     先程まで振るっていた赤と黒を象徴としたガンブレードを出現させる。

    「心剣、オーバーチュア…」

     もう片方の手も、胸に手を当てて白銀を象徴としたガンブレードを抜き取る。

    「そして、あの世界である程度戻ったこの魔力…足手纏いには、ならないはず」

     二つの剣を翳し、別の世界で修業した数日間の記憶を思い出す。
     半年ぶりに再会したリズ達。けれど、こちらと違って100年以上の時が経っていた。
     あの出会いから――戦いから、100年以上も。

    「ルジス…グラッセ…」


     ―――あたしはリズに全てを返しちゃうけど…あたしの事を、ルジスと言う半端者が居た事を覚えていてね…それだけであたしは幸せだから…

     ―――スピカさん、もしアイツが何事も無かったかのように明るく話している時は…相談に乗ってあげて下さい。


     別の平行世界の意思によって引きずり込まれ、闇の戦いに巻き込まれた。その時に出会った、もういない二人の言葉を思い出す。
     どちらもいない…どちらも、別世界でありながら友人としての絆を築いていたのに、何も出来ないまま失ってしまった。

    (覚えておきなさい、スピカ)

     二つの刀身に映る、陰りのある自分の顔。それを見て、出発前に密かにイリアドゥスに言われた言葉を思い返す。

    (今の貴方では、全力で戦えても数分が限界よ)

     力を手にした。魔力もある程度は戻った。
     けれど、仮面の術と反剣を抜いた反動の傷は未だに精神と身体を蝕んでいる。現に、ツバサには勝ったが息切れを起こしてしまう。
     どれだけ力があっても、短期でしか戦えない身体となってしまった。時間をかけて治療すれば改善出来るが、そんな時間はない。
     ここで、一人だけ、立ち止まるのはもう嫌なのだ。

    「この日を、ずっと待ってた。夢見てた」

     大切な人と、語り合える未来を手に入れた。
     もう二度と会えないと思った人と、再び出会うことが出来た。
     ルジスのように、守れなかった者達だっている。傷つけた人だって、沢山いる。
     けれど、まだ終わっていない。自分達の世界に関係なかったとしても…助けを求めた以上、見て見ぬ振りは出来ない。

    「この先何が起ころうとも、私は――私の守りたい人達の為に…」

    「姉さん、少しよろしいですか?」

     覚悟を口にしていると、目の前にウィドがいた。
     すぐに両手の剣を納めると、ウィドは隣に座る。

    「どうしたの、ウィド? 私の体調なら大丈夫よ、少し休めばまた」

     すると、ウィドは無言でスピカに肩を寄り掛からせた。

    「ウィド?」

    「ずっと、夢見てました。姉さんとこうして会える事を」

     甘える声で呟くが、目線は向けようとしない。ただただ『ここにいる』と言う事だけを、実感するように。

    「姉さんが消えてしまったあの日から、私達家族にずっと穴が空いていた。それでも、最初は取り戻そうと父さんも母さんも、村の人も姉さんの事を探してた」

    「…心配かけたわね」

    「違う。姉さんは、怒っていい」

     静かに、それでいて断言するようにウィドは遮る。

    「一ヵ月経っても、姉さんが見つからないってなって…村の人達は捜索する事を諦めた。だから、私達の両親も諦めて…姉さんが最初からいないものとして、日常に戻ったのだから」

    「…そう」

    「私は、諦めなかった。諦めたくなかった。でも、姉さんの面影を見つける度に、探そうとする度に、止められた。『お前に姉はいないんだ。最初からいなかったんだ』って…姉さんの存在全てを、否定して、捨て去った。自分達が楽になりたいばかりに姉さんを…!」

    「ウィド」

     怒りをあらわにするウィドに、スピカは彼の手を握る。
     そして、同じように肩を寄せ合う。

    「ごめんね。辛い思い、ずっとさせて」

     そう言うと、ウィドは黙って頭を摺り寄せる。それは昔と変わらない、甘える時の仕草。
     長い年月が経って、お互い大人になって。それでも変わらない部分に、スピカは笑みを零す。

    「実を言うとね。私、一年前に戻って来ていたの。クウを探しに行く旅の前にね。でも私の事、分からなかった。実の家族なのに、よそ者扱いされて追い出されちゃったの」

     故郷に留まる気はなかった。それでも、最後に何も言えずに別れた家族の顔を見ようと思った。
     両親はやはりと言うべきだろう。自分の事が分からず「娘だ」と公言した瞬間、怒鳴り散らしながら自分を家から追い出した。もう戻らない。その事を認めたくないあまり、記憶からも存在した事を拒絶してしまったのだと、すぐに分かった。

    「姉さんも…」

    「そう。ウィドもだったのね」

    「はい…姉さんもだったんですね」

    「でも、良かった。ウィドは私の事覚えていてくれて」

    「忘れる筈ないじゃないですか」

     断言し、ウィドは顔を上げてスピカの目を見る。

    「姉さんは…私のたった一人の、大好きな姉さんなんですから」

     そうして、笑顔で笑いかける。
     偽りのない、純粋な思い。吊られるようにスピカも笑い、昔やったようにウィドの頭を優しく撫でた。

    「私の弟が、あなたで良かった…ありがとう、ウィド」

     言いたい事や伝えたい事を話し合い、姉弟は笑う。
     だが、ウィドはふと視線別の方向に向ける。今も尚、ツバサが甘えているクウに。

    「あと…姉さんが認めても、私は認める気、ないですからね」

    「ふふ、クウも大変ね」



     街を見渡せる位置にある、城のバルコニー。
     そこに、白いローブの青年と、黒いワンピースを着た長い黒髪を二つに結んだ少女がいる。
     二人が見下ろしているのは、模擬戦を行っているソラ達だ。

    「――そろそろ、襲撃をかけますか……?」

    「んー。今は良しとこうよ、ニーちゃん。大切なお話に割り込む程、俺達無粋じゃないでしょ?」

    「意外、です……そんなの、関係なしに……戦うと、思ってました……」

    「ひっどいなー。まー、確かに襲い掛かりたい気分ではあるけどさー。ここで攻撃しかけたら、スーちゃんきっと激怒するじゃん。そうなったら俺達の方がやられるよ? あと人数も沢山いるし」

    「同感、です……」

    「折角こっち側の世界に来られたんだしさ、観光がてら少し見て回ろうよ。時間はまだあるし」

     腕を後ろに組んで能天気な提案をする青年に、少女は呆れた溜息を吐く。しかし、提案は賛成なのか一足先にその場から飛び降りて、ソラ達に見つからないように移動する。
     青年もまた後を追いかけようとした所で、再び目線を向ける。
     ツバサやレイアと戯れて、楽しそうに笑顔を浮かべているクウに。

    「俺は俺の道を行く――ただ、それだけ」

     それは、クウが何度も口にしている覚悟の言葉。
     その言葉を青年は呟くと、今度こそ少女の後を追った。

    18/06/07 23:08 NANA   

    ■作者メッセージ
    久々の投稿。寧ろ久々過ぎる!色々すみません、最近忙しいんだ。新しい仕事だったりもそうだが、最近はGM家業でシナリオ作ったり敵データ作ったり! そしてスマホゲームも!……はい、すみません。次回はもう少し早くなるように頑張ります、はい。



    さて。KHUxはアップデートで更にメダルが強化されたり、他プレイヤーと戦えたり、大幅にリニューアルされました。
    正直、他プレイヤーと戦いは「俺の屍超えていけ!」見たいな感じでいいかなーなんて思っていたんですよ。報酬とかも特に興味ないし踏み台になればいいやーと言う感じでした。
    けど、何て言うか…報酬がかなり重要アイテムで。開発者酷い、ガチャ回してでも強化する必要あるじゃねーか。まあ、ガチャ回した所で他のプレイヤーに比べたらかなり弱いですけどね! 嫌でも「俺の屍超えていけ」状態ですがね!(泣


    次は例によってFGOのお話。ネタバレ含みますので、6章クリアしていない方はここでバックを。


    やっとのこさで、6章クリアいたしましたー。今までアポコラボやミステリーイベントだったり復刻ぐだぐだ明治維新とかでメインストーリーおざなりになってましたが、やっと進めたよ。
    いやー、円卓ボス本当に大変だった…。一番最後の槍のあのお方が物凄く大変だった…うちの沖田さんで20万ダメージ与えられたとは言え、令呪使って復活しないと倒せなかったぜ…。円卓戦ではありがとう、友達のオルタニキ。フレポ貢いでおいたからな。
    ストーリーも中々良かった。それぞれの信念のぶつかり合い。生きるとは何か、騎士とは何か。三蔵ちゃんとか、最後のファラオ組、ベティヴィエールも最後の最後で意外な事実が明らかになって…。
    今は7章。やっと賢王に会える…と思ったら、初っ端から怒涛の展開。「ここでこの人登場ー!?」とか「ここで登場するのかお前…って、怪しいと思ったけどこんな裏切り心抉るわー…」とか「うん、なるほど。ろくでなしって意味が分かるわこいつ人をイラつかせる天才だな」とか……うん、色々とツッコミどころ満載でした! でも敵が強いのには変わりない。当たり前だが。

    良かったと言えば、上のイベントもですね。アポクリファはアニメ全部見ていたので、こんな形でサーヴァントが語らったりするのか…とか。ジーク君仲間もかなり嬉しくて、意地で宝具LvMAXにしたぜハハハハハ!
    ミステリーは殺人事件の犯人を推理すると言う、戦いからかけ離れたイベントです。けど、うん。私解けませんでした。
    推理が難しいとかそう言う話ではない。解こうと思えば誰でも解ける。ただ一つ「先入観に囚われなければ」ですが。私は見事に囚われた。殺人事件とは関係ない謎は分かったんだけど何の役にも立たないよ。
    ぐだぐだ明治維新は、信長と新選組の話で楽しかったです。6月にまたイベントあるようですが…終章でないと参加出来なくてね…来週までにクリア? 絶対無理に決まってんだろうがー!!
    むっちゃん初期刀としては、新しく出るサーヴァントの坂本竜馬欲しいのに…! 参加しないと貰えないとかひでぇ…こうなりゃオルタ沖田さん狙ってやるぅ…!!(ギリィ


    完全な余談
    アポイベント・ミステリーでのガチャ。天草四郎とホームズ目当てで引きました。石全部使い果たす程引きました。
    アポイベントでは、何故かアタランテ3枚とエリちゃん1枚が戦利品。宝具強化できたが、新しいサーヴァントすら来ないって酷くね?
    ミステリーでは、なんとなんと…不夜城のキャスター当たったぜ。星5のキャスターだぜ。喜ぶべき事なんだろうが、嬉しくねえ!!! 金のキャスター来てほしいとは言ったが、ギル様(賢王)にニトリクスにジーク君まで来たんだ、新しいの増えても育てきれるかぁぁぁ!!!(涙)
    HOME
    Copyright NANA All Rights Reserved.
    CGI by まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.34c