その村は村の外とは隔離されていて最近の技術は全く無く、
暮らしも豊かではありませんでした。
でもその村は一つだけ村の外より進歩している部分があります。
それは魔法が使えることです。
一体何時からどのように入ってきたのかは誰にもわかりませんが
皆はそれを『神様からの贈り物』として使い、幸せに暮らしてきました。
そしてある日に一つの家庭が村の外に出ようとしていました。
村人は村の外の技術が高いことはわかっているので若者が憧れるのもしょうがないと思い、『村の外では魔法を使わない』ことを条件に村の外に出す予定でした。
しかしその家庭の娘は村の外に出ることの猛反発しました。
何故ならその娘の夢は『最強の魔法使いになる』ことだったからです。
父や母は村の外の良いところなどを言って必死に説得しようとしましたが娘は聞かず、
とうとう家出してしまいました。
父達は慌てて村長の所に行き、村人全員で必死に捜索しましたが
証拠すら見つかりませんでした。
娘が見つからないまま数日が経ち、
村人の間で『もう野犬にでも食べられているんじゃないか』という噂まで流れ始め、
父や母は泣く泣く娘を置いて村の外に行くことにしました。
今でもその娘の行方は分かりません。
――――――――――――――
「あっちぃ…こりゃ冷凍魔法でも覚えればよかった…」
そう言いながら私は空を見上げる。
ギラギラと照りつける太陽によって空は歪んでいるように見えるほどだ。
ちなみに村の外じゃ今は『夏』という季節らしく、
『海』という場所で泳ぐらしいが私には調合に使うものが取れやすい時期でしかない。
暑さに参りそうになりながらも私は茸や調合に使えそうなものを探すがこういう時に限って見つからない…いや暑さのせいで見つけられないだけだろう。
「しっかしこの暑さは異常なレベルね…」
「教科書では自然破壊は終わって元に戻ってきたって言ってたけどあれは嘘じゃない?」
「…そこの野犬もそう思わない?」
「ガルルルル…」
私がそういうとすぐに野犬が2匹ほど飛び出してすぐさま戦闘態勢に入る。
別に気配を察したわけじゃないんだけど…と頭をかきながらながら思っていると
それを隙だと思ったのか1匹の野犬が飛びかかってくる。
「グァ!!!」
「そんな隙だらけの攻撃じゃ…ねぇ!!」
私は手に持っていた箒で野犬を叩き潰すと仲間がやられて逃げ出そうとする
もう一匹の野犬にせっかくなので必殺技を浴びせることにした。
「マジック…ボムッ!!!」
かっこよく言った割にはただの魔法瓶を投げただけの技だけど威力は必殺級。
野犬の目の前で2回ほどバウンドした後に盛大な爆発音を鳴らしながら
青い爆風を放ち、野犬は跡形もなく消し飛んた。
「う〜んちょっとやりすぎちゃったかな…」
「ま、いいか!もう昼時だし早く家に帰っていつも通り鍵山にご飯を貰おうっと!」
私は必殺技に使ってスカッとしたので茸採りはやめて鍵山の食事を奪うことにした。
…この後まさかあんなことになるとは私はまだ気づいていない。
いや、気づきたくなかっただけかもしれない。
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