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外伝 闇を封じし者達

序章
これは魔王がこの世から消えるほんの十数年前の物語…
魔王は復活を遂げ、賢者も消えてしまった。そこに一人の人間が立ち上がる…



外伝〜闇を封じし者達〜

ある日、世に魔物があふれた。
ほんの五年前のこと。
人々はそれらを畏れ、拒絶した。
やがて、次第に人間は魔物を受け入れはじめた。
しかし、魔物があふれた二年後、魔物を生み出したとされる魔王が復活した。
再び人々は魔を拒絶した。
そんな中、一人の少年が言った。
− もう一度、魔物と共に。
しかし、魔物たちは日に日に凶暴になり人を襲うようになった。
それでも、少年の思いは変わらない。
少年は考えた。魔王さえいなければ、と。
その想いを為すため、少年は旅立った。

何も手がかりのないまま半年が過ぎた。
山を越え谷を越え、時には海をも越え。
世界中を回ったが、たった16の少年には見つけることが出来なかった。
少年の中の光りは閉ざされてしまった。
しかし、少年に小さな手がさしのべられた。
まだ六つの小さな少女。小さすぎたその手は、しかし閉ざされた心を開くのには十分だった
彼女の持つ力はあまりに大きすぎたが、彼女の力はとても頼りになった。
魔王とは遙か昔、魔界より現れた闇の化身であり、魔界に行くには三つの宝玉が必要であること。
そして、賢者のいない今、魔王を封印する術を…
二人は世界を回った。様々な地を訪れ、宝玉を集めた。
しかし、様々な場所に様々な宝玉があり、どの宝玉なのかが分からなかった。
やがて、魔物の名前を冠する宝玉がちょうど三種類あることを知った。
そして、その三つの宝玉を求め、三度目の旅が始まった。

三つの宝玉は様々な場所で神としてまつられていた。
その宝玉は三つそろうと、まばゆい輝きを放った。
目が覚めると、二人は闇に包まれた世界にいた。
生き物は何も存在していないような、悲しみに包まれた世界。
辺りには魔物がいたが、今までみたものとはまるで違う。
幼い子供達。闇との戦いはあまりにも過酷だった。
やがて少年の魔力を全て注ぎ込み、少女の魔力で封印に成功した。
再び世界に平和が訪れると思った。
しかし、その平和は幼い少年の一部が犠牲になったものだ。
だが、それだけの犠牲を払っても、再び人と魔物とが共存することはなかった。
闇は封じた。しかし、その使徒であるはずの魔物達は凶暴化したままだった。
少年の行為はいったい何だったのか。それは誰にも分からない。
それでも、人々は彼を英雄とした。

しかし彼は、何一つ納得などしていなかった。

11/12/26 22:20更新 / デロリン・デ・ローデ
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