朝。太陽がこんなにまぶしかったなんて思わなかった。果てしない輝きに、俺の魂は今まさに焼かれてしまいそうだ。
「さて、と…」
ベッドから体を起こし、新たなる冒険へと旅立つ……
「何かっこつけてんのよ?さっさと着替えて行くわよ」
「おわっ!!なんで…」
ここに、と言おうとしたが、昨日の晩の会話を思い出し、その言葉を止めた。
そう、あれは昨日の夜の事だ。
コン、コン
俺が使っている小さな部屋の入り口からノック音が聞こえた。
「?どうぞー」
こんな時間に誰かと思ったが、まあ別に怪しい人間ならノックはしないから大丈夫だろう。
そんな事を思ったのが間違いだったのか、いや、決して不審者や知らない奴ではなかったのだが…
「…ちょっと、いい?」
なんだかいつもと様子が違うように見えるが…
「なんだ?どうかしたのか」
まあ、理由は明白だが…強がってはいるが、一応こいつもガキだったわけだ。
「その…あ、あんたが寂しいだろうと思って来てあげたのよ。感謝しなさい!」
まあ、こういうのも悪くはないか。妹と思えばなんて事無い。
不安に駆られている少女を、せめて安らかに眠らせてやってもバチは当たらないだろう。
「その…いいい一緒に寝てあげてもいいわよ」
こういうところは子供っぽくてほっとするね。
だからこそ気を許してしまったのさ。無論断ってなどないさ。丁重に返答をした。
「ああ、頼むよ」
別に何をしようなんて気はさらさら無い。ただ、その笑顔にやられただけだ。
というエピソードが、昨晩あったのだが…
いくら何でも無防備すぎやしないか?10ぐらいの女の子なんだぜ?何もしないけど、…なあ。
そんなこんなで一緒に寝たわけだが……無論、何もなかったぞ、ほんとに。
「おまっ…!!」
「ちょっと…着替えるんだから、あんまりこっち見ないでよ…」
うおっ!?パジャマを着替えてるところをモロに見てしまった!!
Yシャツのボタンをちょうど閉めようとした所を直撃! 下をはいていないという、なんとも言えない状況だ。
「ほ、ホラ!さっさとしなさい!」
俺はせかされるままに、仕度を始めた。無論後ろを向いて。
少し動揺したのか、すこし支度の時間が遅れてしまったようで、後ろでツグミがこちらを向いて座っていた。しかもお前はこっちを見てるし。
「準備できたわね。…それじゃあ行きましょう」
ゴクリ、と唾を飲む。翔はもちろん、ツグミすら経験した事のないこと。
一歩、また一歩、旅人の扉のある部屋へと向かう。
(なんだ?怖いような、懐かしいような…)
翔は自分の心のなかの不安を振り払えずにいた。
そして…
「……準備はいい?」
「…ああ」
迷う事なんか無いさ。元々、元の世界に戻れる保証は無いんだ。だったらもう何があっても関係ねぇ。
「ツグミ、頼む…」
コクン、と小さく頷き、中へと入っていく。
そして、一度深呼吸をしてからツグミが台に石を置いた。
石が光り、やがてオレンジ色の旅人の扉が出来た。
「……とりあえず、今のところは大丈夫みたいね」
再び深呼吸をする。
「じゃあ、行って来るよ。じゃあな…」
翔はスラッシュ達を連れて、旅の扉に入っていった。
そこには、いつも通り?の平原が広がっていた。
「特に異常はなさそうだな…」
これと言って不審な点も見つからないので、とりあえず歩いてみる事にした。
懐かしい感じもしなければ、別段恐怖感も無い。ただあるのは、いつも通りの感じ。
またあっさり魔王を倒して戻れるのだろう。
などと思っている内に、いかにもな建物が見えてきた。
「今回も村人とかに遇わないのか…なんか悲しいな」
自分でも緊張感に欠けると思ってはいるが、とりあえず大きな門を開いた。
「おや、旅人かい?ようこそ。ここはメダル王の城だよ」
門を開け、入るとそこには椅子におそらく王様かその辺の人が座っていて、今の台詞はそのそばにいた奴だな。
「ホッホッホ、ようこそ。わしはメダル王。世界中に散らばる小さなメダルを集める事を仕事にしている。いま持っているかね?もし持っているならメダルの枚数に応じて、何か物と交換してあげよう!」
結構な年のように見えるが、その元気さはうちのじいちゃんよりもいいかもしれない。まさかこの人が魔王……なわけないか。
「いえ、特にそういうのは持ってないんですけど…」
「そうか…だが、これからどこかで見つけるかもしれん。そのときはきちんと拾って私の元へと届けてくれ!」
「はあ…ああ、王様。一つ質問をいいですか?魔王について何かご存じのことはないでしょうか?」
自分でも嫌になるほど簡素な質問だな。一体いつまでこんな事が続くのやら……
しばらく王様は考えていたが、やがて結論が出たようだ。
「おお、そうそ
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