眩しい…
目が覚めると辺りには平原が広がっていた。
日はまだ昇ってはおらず、朝早い時間のようだった。
(俺は確か、村に戻ってきたはず…)
しばし考え込む。
(そうだ!ケーリーは!?)
辺りを見渡す。しかしやはり平原が広がっているだけだった。
ルークは地面に座ったままだったが、少しでもい位置から見ようと立ち上がる。
ズシリ、と右手には重さが広がる。
「なっ、!?」
そこには白き輝きを放ち、すらりとした細い剣があった。
(これは…)
重い剣からルークの中に何かが流れ込む。
ルーク、助けて…
かすれているのにはっきりと聞こえる。よく知っている声だ。
(魔、界?)
闇に覆われている。
別に魔界とは限らない。しかし、そう感じた。ただそれだけ。
(行かなきゃ。ケーリーの元に、魔界へ…)
ここからルークの旅は始まった。
(…とは言ったものの)
なんの当てもなくただ通を歩いているだけなので、全く先も見えない状態だ。
(とりあえず、近くの町にでも出て魔界についての情報でも集めようか)
ルークはひとまず近くの町にむかった。
半日以上かけて到着したのは旅人の集うにぎやかな町、ミール。
ここはかつて、勇者の出身地の町として有名だ。
ルークはまず酒場へ向かった。
ざわ、ざわ…
そこには見るからに強そうな戦士や、黒いマントに身を隠している魔法使いと思わしき人がたくさんいた。
「マスター。ちょっと話を聞いても良いかな」
「おや、ボウズ。子供がこんなところで何もしているんだ?…ほほう、ずいぶんと立派な剣
を持っているじゃないか。ただの子供ってわけでもないようだな」
マスターの表情はルークの持っている剣を見るなり真剣なものになった。
「俺は、…魔界に行きたいんだ」
辺りがざわつく。
「魔界だと…」
「あんな子供が…」
ルークの発言に店の中の全ての客は一瞬ルークを見たが、子供の戯言と思い皆お互いに話し始め、酒場がにぎやかになった。
「…行かなきゃならないんだ」
ルークの強い意志のこもったまなざしにマスターは、
「…フッ、いい目だ。だがこの町には魔界の道を開く物はないぜ」
「…マスター、アンタなんか知ってんのか」
「さぁ。ただ、魔界への扉を開くには波の苦労じゃ行けねぇさ。
………あんなところに行くやつの気が知れねぇな。あんな…」
ぼそりと最後の台詞を言うとグラスを磨きながら話していたマスターの手が止まった。
「!!」
ルークの顔が思わずこわばる。
「マスター…まさか、アンタ魔界に行ったことがあるのか…?」
こちらも小声、というより低い声で問う。
「っと、口が滑っちまった。…ってもう遅せぇな」
周りに聞こえないように小声で言う。
「一旦店を出て裏口から入りな」
マスターはその一言を言うとミルクのカップを片づけた。
ガチャ、
「…来たか。その辺に座って待ってろ。すぐ行く」
いくつものグラスを棚に並べるとマスターはすぐに来た。
「お前、名前は?」
「俺は…」
ルーク、と答えると一息あけて、
「…そうか。俺はジャック。かつて…勇者と呼ばれたこともあった。…昔の話だがな。
俺は別に勇者なんてたいそうなもんじゃない。ただ、復讐のために魔王を倒しただけだ。
…この話はやめだな。さてっ、と。ルーク、理由はどうあれ魔界に行くなら覚悟しとけ」
男がカウンターに戻ろうとすると、
「待ってくれ」
ルークは一息吸って、
「俺と…一緒に来てくれないか?」
「バカ言うな!俺を道連れにする気か!」
「…アンタ、そんなに弱くはないだろう」
「………帰ってくれ」
ルークは何か言おうとしたが、言葉を封じられてしまった。
仕方なく酒場を出た。
道具屋で薬草を買い、雑貨屋で保存食を少し買った。
そうして旅支度をすませて町を出ようとしたが、
(今夜はもう遅いから宿屋に泊まるか)
ルークは宿屋に向かった。
「おう、」
宿屋には先程まで話していたジャックがいた。
しかし、その服装は軽装と盾と剣、そして軽い鎧と兜だった。
「アンタ、どうして…?」
「お前が来てくれって言ったんだろ?」
こうして、旅が始まってからの長い一日は終わった…
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