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第三章 魔を司る者

魔界を目指す勇者御一行は魔界への扉を開けるべく、その鍵となる物を探しているのだった。
「ジャック、それで次はどこに行けばいいんだ?」
地図を見ながらジャックは言う。
「次はそうだな…どちらも遠いな…若干だがここに一番近いのはレインウォール城だな。
 レインウォールはなかなか治安の良い場所でな。多くの山に囲まれている。その為か金
 や鉄などの採掘量が多い。鉄が多く、武具の生産が多く城下町は基本的に魔物が来る
 ことはない」
ふーん、と適当に相づちを打って歩き出す。
「それよりも先程の戦いの事をどう思う?」
「? どうって?」
「さっきの攻撃だ。お前が剣を振るったらスライムどもが全滅しただろう。
不思議には思わなかったのか?色々準備しておかなければいざというとき困るだろう」
味方に当たったらどうする、と言葉を付け加えた。
「確かにそうだけど…レインウォールまで遠いんだろ?だったら急がなきゃ」
「普通に歩いたらそうだな…五日ほどかかるか。だが三日も歩けば馬車が通っている」
問題ない、そういうと近くにあった大きな岩に腰を下ろした。
「ちょっと剣を見せてみろ」
ルークは不本意ながらもう一つの岩に座って真っ白に輝いている剣を渡した。
「……」
しばしの沈黙が流れる。

「…どうかしたか?」
しばらく立っても黙っているジャックに問いかける。
「…ちょっとこの剣を振ってみろ」
少し不審に思いながらもルークは言われたとおりにする。
もちろんジャックの反対側に向かってだが。
ルークが一閃すると白いかまいたちのような物がとんでいった。
「これ…この前の……」
「…今のはただのかまいたちか?…いや…」
「どうしたんだよジャック。剣から真空波がでただけだろう」
「……やはり解らんな。仕方ない、とりあえず専門家に聞くか」
「専門家?」
少し歩けば着く、といってジャックは再び歩き出した。
しかし、その方向は道から少し外れていた。


小一時間歩くと目の前に大きな井戸が現れた。
「着いたぞ。ここをおりるんだ」
ジャックが勝手に進んでいくのでルークも続いてロープを伝って降りた。

不思議な感覚だった。
井戸の中でまるで洞窟のようなその場所は不思議な光に包まれていた。
とてもふわふわした感覚がルークを襲う。
「うわっ、何だ?」
ジャックは見向きもしないで、「こっちだ」というとどんどん奥に進んでいく。
ルークは少し不思議な感じがしたがジャックの後をついて行った。

数分歩くと着いたのは家だった。
家と言ってもジャックやルークのではない。
とても大きなその家は全てが岩で造られていた。石よりも大きい石材なので岩で妥当だろう。
扉だけは木で出来ていた。ジャックはそのドアを軽くノックする。
「はーい、どちら様〜?」
陽気な声で出てきたのはすらりとした若めの女性で歳は二十ぐらいだろうか。ジャックよりも十歳ほど年下に見える。
髪は腰まで伸びていてとても力強い赤い色をしている。ちなみに身長も胸も控えめである。
「あ、おじさん久しぶり〜。最後は魔王を封印した時だから…十年ぶりだね♪」
「ああ久しいな。突然押しかけてきてすまないが、コイツのことで少し話があるんだが…」
ジャックはこれまでのいきさつをその女性に話すと、
「なるほどね〜。えっと、ルーク君だっけ?私はリーネ。よろしくっ♪」
陽気な感じで挨拶してきたリーネ。
「リーネ、本題だがこの剣を少し調べてもらいたい。どうやらただの剣ではなさそうだ」
ジャックがルークの持っていた剣をリーネに渡した。
「これ?どれどれ…」
さっきまで笑ってばかりいたリーネの顔が少し真剣になった。
「…なるほど。強力な光の力があるわね。あんまり大きいんで力が暴走しているのよ。
本来光の属性を高めるはずなんだけど、ルーク君は光の属性じゃないの?」
「へ?」
ルークは特に魔法などについての知識はなく、自分が何を聞かれているのかが解らなかった。
「あ、えっと、闇属性は水と雷と土で、光属性は炎と氷と風。ルーク君はどの属性を持ってるの?」
「……」
もちろんルークは自分の属性など知る統べもなかったし、知る必要もなかった。
ついでに言うと属性は魔法のみで人はそれを操っているだけだと思っていたほどだ。
「じゃあ検査するからちょっとこっちに来て」
手招きされたので家の中に入る。どうやらジャックは入ってこないようだった。

「この玉を両手で握ってね。それでそこに意識を集中させるの」
ルークは言われたとおりに渡された直径二センチもない様な水晶玉を握りしめた。
「……」
握りしめた水晶に意識を集中させる。
ふわっ、と手の中から小さな光がこぼれ落ちた。
ルークは静かに手を開くと、最初は透明だった水晶玉が深い青色に染まっていた。
「あら、ルーク君ってば闇の属性だったのね。この
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