一方のシュレーの丘。
賊を率いるリーダー、ゼウスは例の商人と対面していた。
「約束通り、ファブレの令嬢は返す」
商人は、スクルドをゼウスに引き渡す。
「確かに受け取ったぜ」
ゼウスは下卑た笑みを浮かべながら、少女を受け取る。
「それでは、さらばだ。もう会う事もないだろう…」
そういって商人は、その場を立ち去った。
「ふっふっふ…これで完璧です!」
商人の変装を解いた目つきの悪い男…フォルクスはほくそ笑む。
無事にレイノス達に奪われることなくスクルドをダアトに連れていき、賊に再び返還することができた。
これで自分は晴れて六神将の仲間入りだ。
「待て」
と、意気揚々とシュレーの丘を立ち去ろうとしていたフォルクスの耳に、そっけない女性の声が響いた。
「グレイシアさん」
「フォルクス、貴様まさか、このままダアトへ帰ろうというわけではあるまいな?」
「? 任務は無事に終わらせましたし、そのつもりですが」
「無事に、な…セネリオ達に正体を知られたにもかかわらずか」
グレイシアのその言葉に、フォルクスはギクッとする。
確かに、セネリオ達には自分が暗躍していたことを気づかれてしまった。
まさか、そのことをグレイシアに知られていたとは。
「お前がファブレの令嬢誘拐に関わっていることが明るみになれば、クラノス様に余計な嫌疑がかかることになる…そんなことになれば、お前の六神将への道も、閉ざされることになるだろうな」
「そ、そんな…いったい、どうすれば!」
「簡単なことだ…死人に口なし、というだろう?」
そういうとグレイシアは、にやりと口元をゆがめた。
こちらはセントビナーの夜。
宿屋の男性部屋に、女性陣も含めて全員が集まっていた。
なぜ全員で集まってるのかと言うと、
「そういえばさ〜、スクルドってどんな子ナノ?」
というクノンの質問がきっかけだった。
そう言う話ならリンもいた方が説明しやすいだろうという事でリンを呼びに行き、アルセリアとシノンもスクルドのことについて興味があったためついてきたのだ。
「で、スクルドってどんな女の子なの?美人さん?」
さっそく、クノンが聞く。
「ん〜、まあ兄のひいき目を抜きにしても、美人なんじゃないか?」
「そうね、可愛い系の美人って感じ」
美人なのかという質問にレイノスもリンも肯定した。
「ソッカ〜、それならナンパしよっかナ♪」
「な…何言ってやがるクノン!そんなの許さねえぞ!」
クノンの発言に、凄まじい剣幕で食って掛かるレイノス。
あまりの剣幕に、周りの面子も少し引いている。
「れ、レイノスさん、妹想いなんですね…」
「ていうかかなりのシスコンっぷりだな」
「ミステリアスさん!もうちょっとオブラートに包んで…」
「は〜い質問!スクルドの好きなものって、な〜に?」
続けて質問したのはシノンだった。
「可愛い子動物にはよく目を輝かせてるわね。きっとハノンの事も気にいるんじゃないかしら」
「そっか、良かったねハノン!」
「みゅう!」
「よ、数日ぶりだな、ファブレのお嬢様」
「……………」
ゼウスの言葉に、スクルドは反応を示さない。
彼らに連れられてもうそれなりに経つが、スクルドはほとんど口を聞いていなかった。
「け、可愛げのねえ女だぜ…お前の部屋は、こっちだ」
そういってゼウスは、部屋へ案内した。
そこには、十数人ほどの女子供が悲しみの表情を浮かべていた。
「…この人たちは?」
驚きの表情を浮かべつつ、スクルドは聞いた。
ゼウスは相変わらず嫌らしい笑みを浮かべながら答えた。
「近くの街でさらってきた。あんたみたいな貴族の令嬢ほどじゃねえが、女やガキってのはいい金になるんだぜ」
「……して」
「あ?」
「どうして、あなたたちはこんなひどいことをするんですか!?こんな…こんな……!」
スクルドは声を荒げ、怒りをぶつけた。
今までは逆らうわけにはいかないと耐えてきたが、こんなものを見せられては我慢の限界だった。
「どうして、だって?決まってるだろ、金になるからだ」
「そんなことの為に…!」
「は!何不自由ない生活をしてる貴族サマに何が分かるってんだ?世の中金なんだよ!ガハハハハハハハハハ!!」
下品な笑い声を響かせながら、ゼウスは立ち去った。
「お父さん、お母さん、お兄ちゃん…」
「一つ聞いていいか」
次に質問をしてきたのは…なんとセネリオだった。
「アッレ〜?漆黒がこういう話にノってくるなんて珍しいね」
「ちょっと気になることがあっただけだ」
「それで、聞きたいことってなんだよ?」
レイノスがセネリオに質問の内容を促した。
「彼女は…なにか特別な力を持っていないか?」
「特別な力?」
「ああ」
「そういわれ
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