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第7章『救出大決戦』 1

レイノス達は、エンゲーブを後にするとセントビナーへと向かう事とした。
セントビナーは、かつての大戦の際一度は崩落してしまったが、その後の復興作業により今ではそんな過去など感じさせないほどに明るく活気のある町。
…そのはずだったのだが。


「え?入れない?」


封鎖された入口の前に立つマルクト兵の言葉に、レイノスは目を丸くする。

「現在セントビナーは、進入禁止となっている。すまないがお引き取り願おう」
「何かあったんですか?」

セントビナーに入れないことを告げる兵士に、リンは何があったのか尋ねる。
兵士は、やや苦い顔をしつつも、答えた。

「賊にやられたんだ」
「え!?」
「ファブレ令嬢をさらったという賊の拠点がこの近くにあることを突き止め、わが軍は乗り込もうとしたのだが…先手をうたれた。奴ら、奇襲を仕掛けてきて街は壊滅状態だ」

入口の見張りをする兵士たちはみな、そういうとガックリしたように顔を俯かせた。

「ハア、マッタク、天下のマルクト軍がチンピラまがいの賊に下手をウツなんて、なっさけナイんじゃないノ!?」
「クノンさん、言いすぎですよ」

クノンの言葉にさらに肩を落とすマルクト兵達。
そんな様子にアルセリアがクノンの暴言をたしなめる。

「どうしても入ることは出来ないのか?」
「ダメだ、街の復興が終わるまで誰も入れるなというのが元帥殿の命令だ」

ミステリアスが街の中に入れないのかと聞くが、兵士は断固としてそれを承認しない。


「待て」


「ま、マクガヴァン元帥!」

突然現れたのは五十、六十代程と思われる初老の男だった。
マクガヴァン元帥と呼ばれたその人物に、マルクト兵達は一斉に敬礼する。

「……………」
「な、なんだよアンタ」

一方マクガヴァン元帥は、レイノスの前に立つと、じっと見つめる。
対するレイノスは、じっと見られて戸惑いの様子を見せる。

「君が、レイノスか」
「へ?あ、ああ、そうだけど」
「…ジェイド元帥から話は聞いている。街へ入ることを許可しよう」



「私の名はグレン・マクガヴァン。このセントビナーのマルクト基地の軍事顧問をしている」

セントビナーへ入ることを許可されたレイノス達が連れてこられたのは、マルクト軍の基地であった。
先ほど兵士たちに敬礼されていた男は、一行に自己紹介をする。

「兵士たちが言っていた通り、わがセントビナー駐在のマルクト軍は、例の賊に壊滅的なまでにやられた」

先ほどの兵士たち同様に、無念の表情を見せるマクガヴァン元帥。

「街の様子は簡単にみたが、随分とひどい有様だ。賊はそれほどに強かったのか?」

セネリオが賊の戦力について元帥に聞く。
ちなみに彼は元帥に正体は隠したままである。

「数はそれほどではないが、粗削りながら侮れない実力を持っていた。そしてなにより…リーダーとある3人の部下の強さが他よりも圧倒的に抜きんでていた」
「リーダーと3人の部下…」

まだ見ぬ強敵に、一行は警戒を強める。

「その上、奴らが強襲してくるのとほぼ同時に、モンスターの大群が押し寄せてきた」
「モンスターの大群って…もしかして、フォルクスって人の仕業なの?」
「…フォルクス?それはもしや神託の盾の第三師団師団長、フォルクス・ソレイユのことか?」

シノンの言葉に、マクガヴァン元帥が反応を示す。

「フォルクスはこの賊の一件に関わっている可能性が高い。俺達も何度か魔物の大群に襲われ、一度はフォルクス本人が姿を現したこともあった」
「なんてことだ、神託の盾がこの一件に絡んでいるなんて…」

セネリオの話にマクガヴァン元帥は驚愕の表情を見せる。

「一応ダアトの教団関係者としてフォローしとくが…少なくとも教団はこのことに関わってはいないぜ。神託の盾については保証しかねるが、フォルクスの単独って可能性も無きにしも非ずだ」

ミステリアスがフォローを入れる。
一応彼としては、ダアトとマルクトの関係に確証もなしに下手なひびを入れたくはないのだろう。

「ふむ、そうか…それで、君たちはこれからどうするつもりだ?」

レイノス達を真剣な表情で見つめ、マクガヴァン元帥は聞く。
それに対し、レイノスは迷いなく答えた。

「決まってます!賊の奴らを倒して、スクルドを取り戻す!」
「私の話を聞いてもなお、止まるつもりはないのか?」
「当然です!俺はその為にここまで来たんですから!」
「他の者も彼と同じく止まるつもりはないのか?」

そういって元帥はレイノス以外の他の6人の方に顔を向ける。
彼らはみな、コクリと頷いた。


「スクルドは私にとっても妹みたいなものだもの…絶対に取り戻して見せるんだから!」

と、リン。


「目の前に障害が立ち塞がると言うのなら、切り捨てるまでだ(クラノスの野望を止め
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