レイノス達は、スクルドを助ける為にシュレーの丘へとやってきていた。
シュレーの丘はセントビナーからそんなに遠くなかったため、すぐに辿り着くことが出来たのだが…
「やはり見張りがいるな」
物陰に姿をひそめたミステリアスが、小声でつぶやく。
シュレーの丘には、数人の賊が見張りとして立っていた。
「マ、あの程度の見張りなら楽勝だよネ♪」
「いくぞ、クノン」
「リョウカイだよ、漆黒ー」
次の瞬間、クノンとセネリオは目にも止まらぬ速さで見張りの賊に接近。
見張りをしていた賊は、一言も言葉を発する間もなく攻撃をくらい、気絶させられた。
気絶させた賊をその辺に寝かしといてやると、彼らはシュレーの丘の内部へと入った。
「ここがシュレーの丘、か」
中へ入り、レイノスは辺りを見回す。
道は一つしかなく、しばらくは一本道のようだった。
「すっごい長いね、ハノン。もしかしたらチーグルの森より広いかもしれないよ」
「みゅっみゅう」
シノンとハノンも、その一本の道の長さに驚いた様子を見せる。
ともかく彼らは、足早にその道を歩き始めた。
「ち、また魔物か!」
現れたフェニックスゴーレムに舌打ちしつつ、レイノスは剣を抜く。
「虎牙破斬!」
剣を抜いたレイノスは、ゴーレムに斬撃をあびせる。
「荒れ狂う流れ!スプラッシュ!」
「煌めき轟け!フォトン!」
レイノスの攻撃に怯んだゴーレムに対し、リンとミステリアスの譜術がさく裂し、ゴーレムは動かなくなった。
「くっそ、なんだよここ、モンスター多すぎだろ!」
思わず悪態をつくレイノス。
まだそれほど進んでいないというのに、彼らはモンスターの襲撃を何度も受け続けていた。
「ホーリーボトル、壊れてるんでしょうか?」
アルセリアは先ほど空にしたホーリーボトルの瓶を見つめながらつぶやく。
魔物との余計な戦闘を回避するために内部へはいってすぐに使用したのだが、これでは効き目があるとは言い難い。
「う〜ん…なんか変だよ。ここの魔物、殺気というか雰囲気というか…それが他の魔物と違う気がする」
そうつぶやいたのはシノンだった。
彼女は、ここにいる魔物達の様子に、違和感を感じていた。
「ともかく、魔物に出会ったら適当に切り上げて、先に進むぞ」
セネリオがそう言って再び歩き出す。
他の一同も魔物に警戒しつつ、先へと進んだ。
やがて、彼らは少し広い空間へと足を踏み入れた。
といっても、まだまだ直線の一本道は続くようだが。
そして、その広い空間の中に…一人の男がいた。
「ふふ…ここまで来たという事は、グラシャラボラスも退けたというわけですね。全く…気に入りませんね!」
その男とは、初対面ではなかった。
目つきの悪い顔に、他人を小馬鹿にしたような嫌味な態度。
そして一度、交戦したことがある相手。
「フォルクス…てめえ」
レイノスが、怒りを込めた表情でその人物…フォルクス・ソレイユを睨む。
一方のフォルクスはそんなレイノスに怯む様子もなく、武器であるチャクラムを構える。
「あなた達に生きてもらっていては困ります…ここで、この【道化のフォルクス】に殺されなさい!」
レイノス達には、スクルド誘拐に関わっていることを知られてしまっている。
ゆえに、口封じのために彼らを殺さなければ…せっかくの六神将への出世の道が断たれてしまう。
「まだ私たちの邪魔をするっていうの!?いい加減しつこいわよ!」
リンが鬱陶しげに叫ぶ。
「黙らっしゃい!おとなしくチーグルの森で殺されておけば良かったものを、しつこく抵抗するあなた達が悪いのですよ!」
リンの言葉に対し、フォルクスは必死の形相で言い返す。
そう、彼は必死だった。
自らの栄光の障害を、倒すために。
「なるほどな、ここの魔物の様子がおかしかったのも、お前の仕業か」
セネリオは、フォルクスが立ちはだかったことで、このシュレーの丘で魔物とのエンカウントが妙に多かったこと、シノン曰く様子に違和感があった理由を察した。
「その通りですよセネリオ。ここにいる魔物には、私が催眠術をかけておきましたからね。私の配下の魔物達の襲撃で、そちらは相当消耗しているようです」
ニヤニヤしながらフォルクスは種明かしをする。
確かに彼の言う通り、ここに来るまでの戦闘で彼らはそれなりに消耗をしていた。
「あなたたちが疲労している今がチャンスです…レイトラスト!」
フォルクスのチャクラムが一直線に放たれる。
「レイトラスト!」
フォルクスがいるのとは反対側、つまりはレイノス達の側から、フォルクスが叫んだのと同じ技名が聞こえてくる。
その瞬間、フォルクスのとは別のチャクラムが飛び出してきて、二つのチャクラムはぶつかり合った。
ぶつか
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