「シノンさん達、大丈夫でしょうか…」
先に進みつつも、後ろを振り返りながらシノンとクノンの心配をするアルセリア。
2人は、自分達を進めるためにフォルクスと戦っているのだ。
「フォルクス程度の実力なら、クノンがいれば切り抜けられるだろう。心配するな」
「そ、そうですよね!」
セネリオが、クノンがいれば大丈夫だとアルセリアを励ます。
セネリオの言葉に、セリアは少し安心した様子を見せた。
(アルセリアにはああ言ったが、実際の所かなり厳しい戦いになるだろうな)
アルセリアには心配はいらないと声をかけたセネリオだったが、現実はそう甘くないだろうと心中では考えていた。
確かにフォルクス単体の実力なら、あの二人でも十分に対処は可能だろう。
だが、フォルクスはこの周辺の魔物を支配下に置いている。
グランコクマの襲撃や、エンゲーブに向かう途中の百体近い魔物との戦いのように、数で対抗してくれば、持久戦になる。
セネリオの見立てでは、クノンもシノンもあまり持久力のあるタイプではない。
一応クノンには少し多めにグミを渡しておいたが、楽観視はできなかった。
やがてレイノス達は、再び広い空間にやってきた。
「YO!youたち、よくここまで来たな!楽しみにしてたぜ!」
そこにいたのは、クノン同様おかしな口調でしゃべる一人の男だった。
が、レイノスの目に入ったのは、男の姿ではなく、男によって抱きかかえられている、一人の少女の姿であった。
「スクルド!」
そう、男によって抱きかかえられているのは、この旅の目的である、妹のスクルドであった。
気を失ったまま、フォルクスにお姫様抱っこの状態で抱えられている。
「おい、てめえ!スクルドを返しやがれ!」
「俺の名前はバックス!よろしくNA!」
「てめえの自己紹介なんてどうでもいいんだよ!」
スクルドを返せというレイノスの言葉を思いっきり無視して、男は勝手に自己紹介を始めた。
その態度にレイノスは苛立ちをぶつける。
「HAHAHA!落ち着けよboy!この俺とのgameに勝てたらこのgirlは返してやるよ!」
「ゲームだと?」
「そうだ、そしてそのgameの内容とは…」
そこで一端、バックスは焦らすように言葉を止める。
レイノス達は彼の独特のテンションとノリに苛立ちつつも、バックスの言葉を待つ。
そして、バックスの口から語られるゲームの内容。
それは…
「鬼ごっこSA!返してほしけりゃ、俺を捕まえてみな!」
そういうと、バックスは一目散に逃げ出した。
「逃がすか!」
一同がバックスの行動にポカンとする中、セネリオはいち早く反応してバックスを追った。
「あの野郎ナメやがって…リン、追うぞ!」
「ええ!」
セネリオに遅れて、レイノスとリンもバックスを追いかける。
「私たちも行きましょう!ミステリアスさん!」
アルセリアとミステリアスもそれに続こうと走ろうとするが、
「セリア!避けろ!」
「え!?」
ミステリアスの突然の指示に、アルセリアは戸惑った様子を見せる。
そして、咄嗟に後ろを振り向くと、
「なっ…!?」
目前に迫る敵の姿。
アルセリアはこちらを貫かんとする槍から身を守るため、斧で槍の一撃を受け止める。
攻撃を防がれた敵は、後方へ下がり、体勢を立て直す。
「ちぇ、防がれちゃったか…血がドバーって出るの、見たかったのに」
襲撃者は、女性であった。
彼女は、セリアに攻撃が決まらなかったことを無念そうにしている。
「……………」
続けて女性の隣に一人の男が黙って現れる。
「遅いよアレン〜」
「……………」
女性に声をかけられても、アレンと呼ばれた男は無言のままで、こちらを見つめていた。
「なんだ、てめえら?いきなり襲ってくるとはいい度胸じゃねえか」
ミステリアスは現れた男女に向けてそう言いながら銃口を向ける。
ミステリアスの言葉に、女性の方が反応して口を開いた。
「ふふ、私の名前はアテネ。こっちは弟のアレンだよ」
「きょ、姉弟ですか?」
現れた男女が姉弟であると知り、戸惑った様子を見せるアルセリア。
「……………」
「あはは、無愛想で似てないでしょ?これでも、私にとっては唯一の肉親なんだから」
「!唯一、の…!」
アテネの話を聞き、更に動揺を見せるアルセリア。
(ち、これ以上話をさせたらまずそうだな)
そんなセリアの様子を見て、ミステリアスはまずいと感じる。
これ以上アテネに話をさせたら、最悪セリアは戦えなくなってしまうかもしれない。
「御託はどうでもいいんだよ。てめえら、何の用だ?」
「ふふ、バックスだけ遊ぶんじゃ、ずるいもん。あなた達は、私達と遊んでよ」
「遊びだと…?」
「そう、私たちに切り刻まれて、真っ赤で綺麗
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