「あははは!いつまで逃げるつもりなのかなぁ!」
「くそ…」
ミステリアスは状況の過酷さに舌打ちする。
オーバーリミッツを発動したのち、しばらくは優位に立つことも出来たが、短い時間内で制圧できるほど甘い相手でもなかった。
アテネもアレンも、ミステリアスがオーバーリミッツを発動している間は防御に徹していたが、切れた後は果敢に攻めてきて、今度はこっちが防衛に努めなければならなくなった。
(くそ、誰でもいいからこっちに来てくれよな)
中衛・後衛型の自分が前衛型の相手二人を相手にするなど、かなり無茶だ。
「……………」
「!?いつの間に背後に!」
果敢に攻めてくる槍使いの女アテネに気を取られている間に、背後から大剣使いの男アレンが背後から忍び寄ってきていた。
くそ、なんだよこの無口キャラ。
存在感薄いにもほどがあるぞ!
「あはは!やっちゃえアレン!」
大柄で大きな剣を使っているにも関わらずアレンの動きは俊敏で、素早い動きで剣を振り下ろす。
「エナジーブラスト!」
が、そんなアレンの身体に突如エネルギー体が炸裂し、わずかに動きを止める。
その間にミステリアスはどうにかアレンから離れることに成功する。
「ミステリアスさん!大丈夫ですか!?」
「おう、助かったぜリン」
救援に来た少女に礼を言う。
「ってか、一人かよ?レイノスと一緒だと思ったんだが」
「レイノスはスクルドを追って…というか、そういうミステリアスさんこそセリアと一緒じゃないんですか?」
「ああ、ちょっと色々とあってな…」
ともかく、こうして救援が来てくれたのはありがたい。
もっとも、一応剣士とはいえ基本は後衛のリンだけでは、あの二人に勝つことは厳しいが。
「リン、接近戦が苦手な俺達だけじゃあの二人にはまず勝てない。ひとまず、他の奴らが戻ってくるまで、時間を稼ぐぞ」
「分かりました」
「話し合いは終わったかな〜?それじゃ、行こうかアレン」
「了解だ、姉さん」
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一方こちらは、フォルクスを相手にするクノン
amp;シノン。
が、二人が相手にしているのはフォルクスではなかった。
「焔!」
火属性を持った短剣がスピアフォークに命中する。
「みゅううううう!!」
そこへ追撃としてハノンの炎――通称ハノンファイアが浴びせられ、敵は倒れる。
「臥竜空破!」
その横で、クノンもまた別の魔物を倒す。
そう、先ほどから二人と一匹はフォルクスの洗脳を受けた魔物達と戦っていた。
既に彼らは十体ほどの魔物を倒していた。
「ほう、ガキのクセにやりますね」
彼らの戦いを眺めていたフォルクスは感心した様子を見せる。
「はあ、はあ…魔物をけしかけたりしないで、アンタが戦ったらどうヨ?」
「クノンの言う通りだよ!戦えー!」
「みゅうみゅう!」
クノンはそんなフォルクスに抗議の声をあげ、シノンとハノンも同調する。
「すみませんが、こちらにも事情があるのですよ…六神将になるため、あなた達を確実に殺さなければなりません」
が、フォルクスはそんな抗議に耳を貸すことはない。
「ハ、な〜にが六神将ダヨ。自分の力で戦えないようなヤツにそんなの務まるわけ?」
「…なに?」
「あんた、師団長サマなんだっけ?魔物に頼ってばっかで本人の実力が大したことないから、六神将に選ばれずに師団長サマの中で一人だけはぶられてんじゃないの?」
「くうう…言わせておけば!」
クノンの挑発に、フォルクスは歯ぎしりをする。
「…分かりました。魔物達は下がらせてわたくし自らが相手をしましょう」
そういうと、それまでクノンたちを襲っていた魔物達は突然攻撃をやめ、どこかへ行ってしまった。
「さあ、それじゃあ始めましょうか…といいたいとこですが、3対1というのはこちらに不利です」
「あれだけの魔物にボク達襲わせといて、よく言うよ…大体、魔物は下がらせるんじゃなかったっけ?」
「ええ、新たに魔物を投入することはしませんよ…そんなことしなくても、『2対2』にすればいいんですから」
そういってフォルクスはニヤリと嫌味ったらしい笑みを浮かべる。
「『2対2』?」
クノンはその言葉の意味を考える。
3対1から2対2…この言葉が意味するのはつまり、こちらの戦力が一つ減って向こうの戦力が一つ増えるということだ
現在敵はフォルクスが一人で、一方こちらは自分とシノンと、そしてハノン…
「!まさか…」
そこまで考えたところで、クノンはフォルクスの思惑に気づいた。
「ハノン!目を閉じろ!」
「もう遅いですよ!」
フォルクスは、ハノンをじっと見つめる。
「みゅ!?」
フ
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