「倒した…のね」
動かないアテネとアレンを見て、リンがつぶやく。
二人の姉弟は、二度と動くことはないのだ。
「こうするしか…なかったんでしょうか?」
アルセリアが、屍となったアテネ達を見て、言った。
「やらなきゃこっちがやられてたとはいえ…あまり気分のいいもんじゃないね」
「みゅう…」
半ば正当防衛とはいえ、人を殺した事実に、まだ幼い少女シノンと、そのパートナーは悲しそうな表情を浮かべていた。
「はあ、はあ…あー、しんど」
「全く、無理はそうそうするもんじゃないな」
一方アテネとアレンにとどめを刺した張本人である二人、クノンとミステリアスは、その場にへなへなと倒れていた。
オーバーリミッツ、そして秘奥義を使った反動が来たのだ。
いつもだったらここまでへばりはしなかっただろうが、今日は朝から激戦の連続だ。
魔物やフォルクスと戦った後急行軍でアテネ・アレン戦に臨んだクノンと、アテネ達姉弟と長時間戦い続け、一つの戦闘で二度もオーバーリミッツを放つはめになったミステリアスの疲労は、秘奥義の使用でピークに達していた。
「…………」
ミステリアスは、動かないアテネとアレンの遺体を見つめる。
「…ふん、人殺しの悪党にはお似合いの姿だぜ」
「っ!」
ミステリアスの言葉に、クノンはビクッとした。
彼の言葉は、底冷えするほど冷たいものであった。
そしてまるで、自分自身を弾劾しているかのようで…
「どうした、クノン?」
「い、イヤ…なんでもないヨ」
ともかく、一つの戦いはこれにて終わった。
しかし彼らは強敵を倒した直後の安堵と疲労もあり、注意力が少し欠けていた。
それは、感傷に浸っていたリンたちも同様だ。
「これでも食らいなあ!煉獄崩爆破ァ!」
故に気づけなかった。
新たな敵の存在に。
「クノンさん!ミステリアスさん!」
突如現れた敵の攻撃に、クノンとミステリアスは悲鳴さえ上げる暇もなく吹っ飛ばされてしまった。
「…大丈夫。意識を失ってるだけだわ」
リンが、二人の様子を診て、とりあえず命に別状はなさそうなことを伝える。
「あなた、誰なの!?いきなり現れて!」
「みゅうみゅう!」
シノンとハノンが、突然現れて襲撃してきた男に文句を言う。
「俺か?俺はな…」
男は、ニヤニヤと下卑た笑みを浮かべながら、答える。
「俺の名はゼウス。ここを取り仕切ってるボス…つまりはお前たちの言う賊って奴のリーダーよ」
「よし、もうすぐだ。あの先が、俺達がバックスって奴と出会った場所だ」
レイノス、セネリオ、スクルドは、ミステリアスたちがアテネ&アレンと戦っていた場所の近くまで来ていた。
「早くリンさんに会いたいな〜♪」
「ああ、すぐに会えるさ」
リンとの再会を心待ちにしているスクルドに対し、レイノスはすぐに会えると声をかける
その様子には、スクルドを助けることができたことへの安堵が感じられる。
一方で、セネリオの表情は少し険しかった。
「どうしたんですか?セネリオさん」
「いや、なんでもない…少し胸騒ぎがしてな」
ともかく、こうして彼らはそこに辿り着いた。
そして、そこで見た光景に絶句する。
「み、みんな…」
そこには、クノンが、ミステリアスが、アルセリアが、シノンが、ハノンが。
仲間たちが、倒れていたのだ。
「お、おい!しっかりしろセリア!」
レイノスは、すかさず近くに倒れていたアルセリアに駆け寄る。
「う、うう…レイノス、さん?」
「良かった…無事だったんだな!」
目を覚ましたアルセリアに、ホッとするレイノス。
どうやら、無事のようだ。
「れ、レイノスさん…リンさんを…早く……」
「リン!?」
アルセリアの言葉に、レイノスは辺りを見回す。
そういえば、リンはどこだ?
ミステリアスやアルセリアを助けに向かったのだから、ここにいるはずだ。
しかし、どこを見てもそれらしき姿はなかった。
「リンは!?リンはどこに行ったんだ!?」
「リンさんは…ぐっ!」
答えようとするアルセリアだったが、傷が開いたのか、苦悶の表情を見せる。
「お兄ちゃん落ち着いて!まずはこの人や他の皆さんを治療しないと!…ヒール!」
スクルドはアルセリアに近づき、治癒の術をかける。
「俺は他の奴らを回収してくる。そちらはセリアの治療に専念してくれ」
そういうとセネリオは倒れている他の仲間達を連れてくるために動き出した。
「さっきは悪い、セリア。…改めて、何があったのか、リンがどうなったのか、話してくれるか?」
「リンさんは…」
スクルドの治療を受けて、アルセリアの傷はだいぶ癒えてきていた。
レイノスは、先ほどの非礼を詫び、何があったのか改めて聞いた。
アルセリアは、口を開いて言
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