翌日、一行はガイに見送られながらグランコクマを発った。
チーグルの森は徒歩でこそ数日かかるとはいえそこまで遠くもないので、すぐに着いた。
森のチーグルや魔物を刺激しないように少し離れた所にアルビオールを停め、そこからは徒歩で向かった。
森に入り、魔物を倒しながら歩いていると、一軒の木造の家のようなものが見えた。
どちらかというと小屋というのが近いかもしれない。
「前はここにこンなのナかったよネ?」
クノンの言うように、スクルド以外の4人がここへ訪れた際にはこのようなものはなかった。
あれ以降に建てられたのだろう。
よく見れば、使われている木材も新しい。
「パパ、ママ、行ってきま〜す」
家の扉が開く。
そこから現れたのは、幼い少女だ。
少女は、家のなかの両親に出発の挨拶をすると、正面を向いた。
「え!?」
そこにいた人達の姿に、シノンは驚いた表情を見せる。
しかしそれは一瞬のことで、すぐに喜びの表情に変わると、
「みんな!久しぶりだね!!」
「どうしたのシノン?大きな声出して」
「おお、あんたらよう来たのう」
シノンと彼女の両親から歓迎されながら、一行は家の中へと迎えられた。
この家は、以前の家がグラシャラボラスの襲撃により破壊されてしまった為に新しく造ったものらしい。
セネリオはここに来た理由をシノンの両親に話す。
しかし、世俗から離れた生活をしているためか、どちらもセネリオの話をほとんど理解できていないようだった。
「…よう分からんが、ようするにシノンを連れて行きたいっちゅうことか?」
「ええ、そうです」
それでも、なんとか最低限の意図は伝わったらしい。
「ワイはかまわんぞ。シノンの好きにしたらええ」
「私も異論はないです。旅の話をシノンやあなたから聞いて、あなたたちとの旅がシノンによい刺激を与えてくれているということがよく分かりましたから」
前回快くシノンの旅に賛成してくれた父親は勿論、以前は渋々ながらの了承だった母親も認めてくれた。
シノンの母のいう『あなた』とはセネリオのことだ。
前回の旅が終わった時にセネリオはシノンをチーグルの森に連れ帰ったのだが、その際に少し旅の様子について話をしたらしい。
「ありがとう!パパ、ママ!」
「おう、しっかり頑張るんじゃぞ」
「身体には気をつけてね」
こうして両親にも認められ、シノンは再びレイノス達と旅をすることになったのであった。
シノンの旅支度を待つためエンゲーブへ向かおうとしたレイノス達だったが、以前森を救ってくれたお礼がしたいということで昼食を御馳走になることとなった。
とはいえまだ昼には早い時間だったためしばらく自由時間となった。
「ハノンライジング!」
「みゅみゅ!」
シノンの指示が飛ぶと、穴を掘り始めるハノン。
地面に潜り、あっという間に姿が見えなくなってしまった。
「みゅみゅーっ!」
「うおおおっ!?」
しばらくして、レイノス・セネリオ・クノンの真下から現れるハノン。
セネリオとクノンはすぐに気配を察知して飛びのいたが、レイノスは盛大にすっ転んでしまった。
「アハハハハハハハ!坊ちゃんバッカでぇ〜」
「て、てめえら俺置いて逃げてんじゃねえよ」
ゲラゲラと笑うクノンにレイノスは抗議の声をあげる。
「おいレイノス、よそ見している場合ではないぞ」
「へ?」
セネリオの言葉にきょとんとしていると、
「えいっ!ハノングライダー!」
「なっ!」
空を飛んだハノンに持ち上げられたシノンがチャクラムを持ってこちらに向かってきていた。
レイノスはかろうじて体勢を低くしてシノンの攻撃を避ける。
攻撃をかわされたシノンとハノンはレイノスの上を通り過ぎていく。
「へへっ!今度は避け…」
ザクッ
攻撃をかわして立ち上がろうとしたところを、飛んできたナイフがレイノスの腕に刺さる。
攻撃をかわされた後、シノンはすぐにナイフを投擲していたのだ。
「いってええええ!」
「えっへへ〜!油断大敵だよレイ兄」
「みゅみゅ〜」
シノンに持ち上げられて空を飛んでいたシノンが地面に着地すると、得意顔でナイフの攻撃の痛みに堪えているレイノスに向けてVサインを作る。
シノンを地面に降ろして再び彼女の肩に乗っているハノンもご満悦の様子だ。
チーグルの住む場所にてハノンと合流した後、ハノンが新しい技を覚えたので見てほしいというシノンの要望により男性陣3人が実験台となったのだ。
そうして、ハノンの技をレイノスが受けて、今に至るというわけだ。
「穴を掘っての地面からの攻撃にシノンを持ち上げての空中からの攻撃か。なかなか多彩だな」
「ありがとうセネセネ!」
「みゅう!」
「後は、穴を掘る際に気配をなるべく断つことと、空を飛ぶ際に小回りが利く
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