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第3章『土煙の小人』 4

ダアトからダアト港までを徒歩で数時間、アルビオールからザオ遺跡付近の街ケセドニアまでをさらに数時間で移動し、既に夕方となっていた。
既に日が暮れているからか、砂漠とはいえそれほど暑くはなかったのは幸いだっただろうか。
もっとも砂漠というのは、夜は案外寒いものなので、これからまた数時間後には逆の意味で苦しむことになるかもしれないが。
ともかくレイノス達一行は、今日はそこで泊まることとなった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


『シルフ…結界を……』

途切れ途切れだが声が聞こえる。
誰の声かは分からない。
しかし声をかけられた少年は、こちらを向いた。
先ほどの声の主は、私?

『分かった。なるべく急いでザオ遺跡に向かうから、それまで頼んだよ』

少年は、部屋を出て行った。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


ガバッと身体を起こし、スクルドは目を覚ました。
またあの夢だ。
誰か知らない人と話しているあの夢。
今出てきた少年も、何度か見覚えがある。
そして…正体が分からなかったその少年が誰なのかも、分かった。
ダアトに訪れた際に、顔写真を見たのだ。
あの少年は…

「六神将…『操り人形のルージェニア』……!」




翌日、レイノス達はアルビオールで遺跡の近くにあるオアシスまで飛び、その付近にアルビオールをとめると、熱さに苦しみながらもザオ遺跡に徒歩で向かった。
しかし…

「な、なんだこれ!?」

レイノス達の目の前には、遺跡がすぐそこにあった。
しかし彼らは、そこに近づくことができなかった。
何故ならば…

「うひゃ〜!?すごい竜巻だねハノン!?」
「みゅみゅう!?」

そう、遺跡の周囲に、竜巻が発生していたのだ。
ご丁寧に、まるで遺跡を取り囲むかのように。

「こ、これじゃ近づけませんよ!」

アルセリアが斧を杖代わりにしながら、竜巻に巻き込まれないようにゆっくりと後退する。
他のみんなも近づくことはかなわないと判断し、後退していく。

「この竜巻…自然発生的な物じゃないわ。譜術の気配がする!それもかなり濃厚な…」

譜術の能力がメンバーの中でも特に高いリンは、すぐにこの竜巻が自然発生したものではないということを察知した。

「で、でもこんな強力で濃度の高い譜術なんて人の手で行えるとは思えません!」

スクルドも譜術の濃度の強さは感じていたが、しかしこれほどの譜術を人の手で扱うのは不可能だと語る。

「…人によって起こされたものではないのかもしれないな」

竜巻を遠巻きに見つめながら、セネリオが呟いた。
おそらくこれは、クラノス達が既に契約をかわしたというシルフの力ではないだろうか。
セネリオは一同にそのような見解を示した。

「シルフ…!」

セネリオの見解に、スクルドは昨日の夢の内容を思い出していた。


『シルフ…結界を……』


途切れ途切れで誰が発しているのかすら分からなかったが、確かにその声はシルフという言葉を口にしていた。
夢とはいえ、無関係とは思えない。

「とりあえず、一端オアシスに戻って、しばらく様子を見ることにしようぜ」

ミステリアスがそう提案する。
確かにこのままではどうしようもない。
ここはいったん退却し、2,3日ほど事態が好転することを願って様子を見るべきかもしれない。
ミステリアスの提案に反対は出ず、一同はオアシスへと戻った。



その後、レイノス達はオアシスから竜巻が止むのをまった。
もしもセネリオのいうようにこれが意識集合体の力によるものならば、先にシルフがいるタタル渓谷に向かうべきかもしれない。
そこで、3日経っても竜巻が止まない時は、タタル渓谷へ向かうことになった。

「でもさ〜、モシタタル渓谷にモ竜巻あったらドウスんの?クラノスがボクたちの邪魔しようって言うナラ、それくらいはスルんじゃない?」
「さすがに何か所もの場所に異常気象を引き起こす真似はクラノスもしない…と信じるしかないな」

クノンの問いに、セネリオが重苦しい声でそう言った。
もっとも、彼らの懸念は結局杞憂に終わることとなる。
ザオ遺跡の竜巻は、2日ほどで止んでしまったからだ。

こうして一行は、改めてザオ遺跡へと向かうこととなったのだった。




スキット「遺跡にて待つ者」
ルージェニア「ふう…やっとザオ遺跡についたよ。あいつもちゃんとしっかり足止めしてくれたみたいだね」

ルージェニア「さて、セネリオ達、君たちがやってくるのを楽しみにしてるよ」
15/04/07 13:13更新 / わっくん
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