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第4章『魔獣使いとパートナー、その絆』 1

ノームとの契約を終えて、レイノス達はケセドニアへと戻ってきた。
既に陽は沈みかけていて、熱さも和らいできている。

「ここに戻ってくるまでに、随分日数が経ってしまいましたけど、クノンさんは元気でしょうか」

街に入ってきてすぐ、アルセリアがクノンの様子を気にかける。
怪我をした彼をケセドニアに残してから、なんだかんだで1週間近く経ってしまった。
あのクノンのことだから元気にやっていただろうと思うが、それで怪我の様子などが気になるものだ。

「宿に行く前に、様子をみにいこうぜ」

レイノスの提案に反対はなく、一行はクノンのいるだろう医師の家に向かうこととなった。

「行こう!ハノン!」

シノンが、パートナーであるチーグルに声をかける。

「…………」
「ハノン?」

しかし、いつもなら「みゅう」と、可愛らしい鳴き声でシノンの呼びかけに応じるハノンが、何故か黙っている。
呼びかけに応じないハノンを、シノンは不審に思う。

「どうしたの、ハノン………えっ!」

心配そうな様子でハノンを抱きかかえたシノンは、驚きの声を上げる。
ハノンの身体が、とっても熱かったのだ。
そして、ハノン自身も、具合が悪そうな顔をしている。

「みゅ…みゅう」
「ハノン!ハノン!しっかりして!」


〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇


ハノンは、すぐに宿の部屋に運ばれた。
そして、クノンを看てくれていた医者により診察が行われる。

「先生、ハノンは大丈夫なんですか!?」
「…私も動物、ましてや聖獣と呼ばれるチーグルは専門外だ。はっきりとしたことは分かりかねるが…おそらくこの砂漠の暑さにやられて発熱したんだろうと思う」

医師の返答は曖昧であった。
彼は獣医ではなく、人を看るのが専門であるためはっきりしたことが分からないのだという。
ましてやチーグルは、聖獣と呼ばれる特別な生き物であり、ペットとして人々の間で飼われるようなことも普通はないのだ。
ゆえにその身体構造なども謎が多くはっきりとしていない部分が多いのだ。
仮に獣医に見せたとしても、満足のいく診察を行うのは難しかっただろう。

「明日以降も、時間を見つけて様子を見る。今日は、氷枕で頭を冷やして、安静にしておくように」

医師はそういうと、宿から出て行った。

「ハノン…」

苦しそうなハノンの様子を、シノンは悲しみの表情で見つめる。

(私の…私のせいだ。ハノンのパートナーなのに、具合が悪いことにすぐに気付いてあげられなかったから…!ハノン…!)
15/07/07 22:14更新 / わっくん
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