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第4章『魔獣使いとパートナー、その絆』 2

「ソッカ、ハノンがね…」

クノンは、宿屋の男性部屋に来ていた。
医者の家にいたのだが、戻ってきた医者から事情を聞かされ、こちらにやってきたのだ。

「お前の方は、怪我は大丈夫なのかよ?」
「バッチリ♪」

怪我の治り具合について心配するレイノスに、クノンはグッとサムズアップで返す。

「お医者サンからもお墨付きもらったし、戦いも操縦もドンとこいダヨ!」

そういってクノンは、元気に手足を動かして見せる。
既に包帯も外されており、完全に回復したようだ。

「…ってなわけで、チョットハノンのお見舞いに行ってくるネ!ソンジャッ!」

そういって、クノンは部屋を飛び出していった。

「ははは、クノンの奴すっかり元気になったみたいだな」
「全く、元気になったらなったでうるさい奴だ」

部屋を出て行ったクノンの様子を、レイノスとセネリオは苦笑しながら見送る。

「…………………」

ただ一人、ミステリアスは黙って彼の姿を見送っていた。
胸に宿る、かすかな疑念を仮面の下に隠して。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



一方の女性部屋。
いつもは女子4人が集まって華やかなものであるが、今日はそうもいかない。
4人の中でも特に明るい少女、シノンのパートナーであるハノンが熱を出して倒れてしまったのだ。
ハノンを医者に診せた後、シノンはずっとハノンにつきっきりで看病している。

「シノンさん…もう休みましょう」

そんなシノンをみかねて、アルセリアが休むように言う。
このまま続けさせていては、シノンの身体がもたず、今度はシノンが倒れることになってしまいかねない。

「私なら大丈夫!セリアたちこそ休んでよ!」

しかしシノンは、大丈夫だと笑顔で返す。
しかしその笑顔はいつものような天真爛漫なものではなく、あきらかに疲れがにじみ出ている。

「無理しないで、シノン。看病なら私達もするから」
「…ハノンは私のパートナーだもん。私がちゃんと見てないと」

リンの説得にも、応じない。
このままでは、いつまでも看病を続けることだろう。

「…シノンちゃん、ごめんね」


♪トゥエ レィ ズェ クロア リュォ トゥエ ズェ


スクルドの第一譜歌『ナイトメア』。
それにより、シノンはその場で眠ってしまった。
手荒い方法ではあるが、こうでもしないとシノンはいつまでも休むことをしなかっただろう。

「ハノン…ハノン」
「シノンさん、夢の中でもハノンさんの事を。本当に大切に想ってるんですね」

寝言でハノンの名を呼ぶシノンの頭をなでてやりながら、アルセリアは呟いた。
この調子ではたとえ眠っていようと体力は戻るが気力は消耗するばかりだろう。

「私達で、しっかりシノンのフォローをしないとね」

リンの言葉に、スクルドとアルセリアはコクリと頷いた。
15/07/09 20:36更新 / わっくん

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