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第4章『魔獣使いとパートナー、その絆』 3

「う、ううん…?」

翌日。
シノンは、目を覚ました。

「あ、シノンちゃん」
「おはようございます、シノンさん」

目を覚ますと、スクルドとアルセリアが声をかけてきた。

「スクルド…セリア……」

ぼーっとした表情で、シノンはつぶやく。
起きたばかりで、まだ頭が働いていなかった。

「……あ!そうだ、ハノン!」

しばらくぼーっとしていたシノンは、ようやく意識が覚醒したのか、ガバっと起き上がる。
そして、ハノンの元にかけよった。

「みゅううう…みゅうう」
「ハノン…まだ病気治ってないんだ」

一日経ったが、ハノンはいまだ苦しそうであった。
その様子に、シノンは自分のことのようにガクリとうなだれる。

「とりあえず、ハノンさんは私とスクルドさんでしばらく看ていますから、シノンさんは下に降りて昼食をとってください」
「う、うん………昼食?」

アルセリアの言葉に、シノンは首をかしげる。
昼食という言葉が今聞こえた気がした。
まさか…

「今はもうお昼だよ、シノンちゃん」
「ええ!?」

スクルドの言葉に、シノンは驚きの声をあげる。
やはり自分は、昼まで眠っていたらしい。

「うう…これじゃレイ兄のこと笑えないよ」
「あはは、お兄ちゃんの場合、起こしても起きないから」

スクルドの兄、レイノスは基本的に寝ぼすけである。
旅の間は、男性陣はいつも彼を起こすのに一苦労することになるのだ。

「…もしかして、わざと起こさなかったの?」

シノンが、じっと二人を見つめて尋ねる。
シノンの問いに二人は困った様子で顔を見合わせると、やがてスクルドが言った。

「…うん、ごめん。シノンちゃん疲れてるだろうから、起こさなかったの。それに昨日の夜は無理やり寝かしつけちゃってごめんなさい」

起こさなかったことと、無理やり寝かせたことを、スクルドは頭を下げて謝罪する。

「…ううん、いいよ。昨日は私もテンぱってて、ちょっと意固地になってた」

昨日は、ハノンの病気に責任を感じて、夜通しで看病を行おうとしていたシノン。
しかし一日経って、ある程度冷静さを取り戻したようだ。
内心はまだ不安に違いないだろうが、昨日よりは顔色もよくなっているように見える。

「シノンさん、あなたがハノンさんのパートナーであるように、私たちにとってもハノンさんは大切な仲間です。もちろんシノンさんも」
「セリア…」
「ですから…私たちをもう少し頼ってください。私たちは、お互いに助け合う仲間なんですから」

アルセリアはそういいながら、シノンの両手を自分の両手でぎゅっと握った。
遅れて、スクルドも自分の手を重ねる。

「セリア、スクルド…ありがとう」

シノンは、涙をこらえながら二人に礼を言った。
そうだ、自分は一人じゃないんだ。
ハノンのことを、こんなに大切に想ってくれる仲間がいる。
一人でかかえこむ必要など、なかったのだ

「スクルド〜、セリア〜、そろそろ交代…って、シノン!起きたのね、おはよう」
「はは、シノン、今日は俺より寝ぼすけだな」

そこへ、リンとレイノスが現れた。
スクルドとセリアに代わって、今度は彼らが看病を行うらしい。

「行こう!シノンちゃん」
「うん!」

スクルドに手をひかれ、シノンは昼食を食べに向かった。
15/07/27 01:11更新 / わっくん

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