3日が経った。
ハノンの容態は、良くならない。
それでもシノンは、懸命に看病を続けていた。
その日も夜遅くまで看病をし、やがて次の日に備えて眠りについた。
そうして全員が眠りについてからしばらく時間が経ったころ…
「みゅ、みゅう…」
チーグル、ハノンは立ち上がった。
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
シノンは、夢を見ていた。
それは、まだハノンとパートナーになる前のこと。
『調子はどう?シノン』
『う〜、まだ体が熱い…』
そのころシノンは、今のハノンのように熱を出して、何日も寝込んでいた。
熱を出した理由については、少し前に起きたとある事件に起因しているのだが、それについての詳しい説明は省かせてもらう。
『これ食べて早く元気になりなさい』
『これ…スープ?』
『ええ、これはルグニカ紅テングダケっていうキノコで作ったスープなのよ』
そのキノコは、父がキノコロードというところから一人で採りに行ったらしい。
父とはその頃、喧嘩してしまって気まずい感じだったので、父の行動は素直に嬉しかった。
『ルグニカ紅テングダケはどんな病気も治してしまうのよ』
○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○
「はっ………夢、か」
シノンは目を覚ました。
空はまだ暗く、まだ真夜中のようだ。
「懐かしい夢だったな」
まだ、魔獣使いになる前の話だ。
ハノンが熱を出しているから、あんな夢を見たんだろうか。
「ルグニカ紅テングダケ…」
母がスープにして食べさせてくれたあのキノコがあれば、ハノンの病気も治るだろうか。
そんなことを考えていると…ふと、異変に気づいた。
「あ、あれ!?ハノンがいない!?」
慌てて辺りを見回すが、ハノンの姿はない。
部屋の中を一通り探しても、見つからない。
「まさか…外に?」
クノンは、夜の散歩に出ていた。
特に目的があるわけではない。
ただ、こうして今のうちに外の世界を満喫しておきたかったのだ。
自分に残された自由な時間は、おそらく限られているだろうから。
―……ううー!
―…みゅううう!
「ん?」
町の入り口付近をぶらついていると、どこからか声がする。
声の聞こえる方向は、町の外だ。
「なんか、聞き覚えあるコエ…」
嫌な予感がして、クノンは町の外へ出た。
「みゅうううう!みゅううううう!」
嫌な予感は、的中した。
声の正体は、熱を出して寝込んでいるはずのハノンだった。
ハノンは、掛け声と共に火を噴いたり、空を飛んでみたり、穴を掘ったりしていた。
しかし、技を出す度、ふらふらとしている。
まだ体調が戻っていない証拠だ。
「あいつ…なにしてるんだ!」
すぐにクノンは、ハノンのもとへ駆け寄る。
「おい、ハノン!無茶するな!」
ハノンのもとへやってきて彼を抱えると、叱責する。
「みゅ、みゅう…」
ハノンは、明らかに苦しそうな様子だった。
そして、その身体はとても熱い。
「く…これは、やばそうダネ」
クノンは急いで町へと戻った。
町へと戻り、ひとまず医者の家に向かおうとしていたクノン。
しかしその途中で、見慣れた姿をみかける。
ハノンのパートナーであるシノンだ。
「お嬢ちゃん!」
「クノン!…と、ハノン!?」
「詳しい説明はアト!今はお医者さんのトコロに行こう!」
「わ、分かった!」
医者の家へやってきた二人は、ドアをガンガン叩いて医者を叩き起こした。
真夜中に叩き起こされて医者は迷惑そうだったが、ぐったりとしたハノンの姿を見ると、すぐに診察に応じてくれた。
「これは…数日前よりも、悪化している」
診察を終えた医者は、そう告げた。
ハノンの容態は、最初に診察を行ったときよりも悪化しているらしい。
「チーグルのこの様子といい、こんな時間にやってきたことといい、いったい何があったんです?」
医者にそう聞かれて答えたのは、クノンだった。
町の外でのことを話す。
「ボクには、ハノンが訓練をしているように見えたヨ」
「訓練だって!?夜は涼しいとはいえ、熱も下がりきってない状態でそんな無茶を…!」
クノンの話に、医者は信じられないといった様子で驚いていた。
一方シノンは、なにか考え込んでいるようだった。
「どしたの?お嬢ちゃん」
「うん…実はね、スクルドを助ける旅が終わって森に帰ってから、ハノン、今まで以上に特訓に精を出すようになったの」
「へえ…」
「そのおかげで新しい技も覚えたし、私もハノンが強くなってくれて嬉しかったんだけど…だけど、こんな無茶をするなんて」
「前の旅が終わった後にネエ」
シノンの言葉を受けて、クノンは前回の旅を振り返ってみる。
おそらく
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