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第4章『魔獣使いとパートナー、その絆』 6

朝。
燃えるような太陽の朝日が降り注ぐ中、リンは目を覚ました。

「ハノンは…」

ここ数日、目を覚ましたらハノンの様子を見るのが日課になっている。
ハノンが眠っているであろうベッドに目を向けると、

「あれ?」

そこには、いつもならハノンが眠っているはずだった。
しかし、チーグルの姿は見えない。
代わりに、なにか紙切れのようなものが置いてある。

「ハノン、いったいどこに…」

嫌な予感がしながらも、リンはベッドに置いてある紙切れを手に取った。

「これは…!」





30分後、リンの呼びかけに応じて宿屋のロビーにクノンとシノンを除く全員が集まることとなった。
全員が集まると、リンは早速ベッドに置いてあった紙切れを出した。
その紙切れには、こう書いてあった。


『ハノンの病気を治すためにキノコロードにルグニカ紅テングダケを採りにいってきます。
 私とクノンのことは心配しないでください。
 ケセドニアで、ハノンのこと看ててね。
 ハノンは、お医者さんのところにいるから。    シノン』


「これはどうやら…シノンが残した書置きのようだな」


紙切れの文字を読んだセネリオが、そう結論付けた。
どうやら、シノンとクノンはキノコロードへと向かったらしい。

「キノコロードって…確かかなり強いモンスターがいるところだって聞きます!二人で向かうなんて危険です」

キノコロード。
その名の通りにキノコのよく採れる森だ。
書置きに書いてあるルグニカ紅テングダケも、そこへ行かないと見つからない。
しかし、アルセリアが言うように、出現する魔物が結構手強いのだ。

「それなら、すぐに二人を追いかけないとまずいんじゃないのか?」

レイノスがそう言うのはもっともだった。
しかし、ミステリアスがそれに待ったをかけた。

「とりあえずまずは、医者の家に行かないか?ハノンのことをほっとくわけにもいかないだろ?」

書置きによれば、ハノンは医者に預けているらしい。
シノンやクノンのことも気がかりだが、病気のハノンを放置するわけにもいかない。
そういうわけで一行は、医者のもとへ向かった。




もう何度顔を合わせただろうかというくらいに顔なじみになった医者の家に到着する。
ドアを叩くと医者が出迎えてくれて、一行は家のなかへと入った。

「例のチーグルは、この通り今は安静にして眠っているよ」

ハノンの姿を見て、一行は安堵する。
書置きがあったとはいえ、宿屋から病気のハノンが消えていることに、少なからず不安があったのだ。

「あの、聞いていいですか?どうしてハノンはここにいるんですか?」

スクルドが医者に訊ねる。
ハノンは、昨日の夜確かに宿屋にいたはずだった。
それなのに、朝になってみるとこのように医者の家にいたのだ。
おそらくはシノンが預けたのだと思われるが、そうだとしてもそんなことをする理由が分からなかった。

「シノンというあの少女から事情を聞いてないのかい?今は姿が見えないようだが…」
「事情?何のことだよ?」

医者の言葉にレイノスが疑問符を浮かべながら何のことだと尋ねる。

「ああ、実は昨日の深夜の事なんだが…」


医者は昨日の夜の事を順を追って話した。
クノンが街の外にいるハノンを保護したこと。
シノンと共に自分のところへ駈け込んで来たこと。
病状を悪化させたハノンを、預かることになったことを。

「クノンという少年によれば、このチーグルはこんな身体の状態で訓練をしていたそうだ」
「く、訓練!?ハノンさん、なんでそんなことを…!」

医者の話に驚愕したアルセリアは、ハノンの方を見た。
しかしハノンの病気は深刻なようで、とても話が出来る状態ではない。(元気だったとしてもどっちみち言葉が分からないけど)




その後、ハノンは引き続き医者に預けることとなり、一行は医者の家を後にした。

「さて、これからどうするか…」

セネリオが腕を組んでこれからの行動について考える。

「どうするかなんて、決まってるだろ!すぐにシノンたちを追いかけようぜ」

レイノスが迷いなくそう答える。
先ほども話に出たように、キノコロードは二人で歩くには危険な森だ。
すぐにでも、合流するべきだ。
しかし、セネリオはすかさず反論した。

「二人を追いかけるとは言うが、どうやってだ?アルビオールはおそらく、クノンたちが持って行ったぞ」
「う、そうか…」

セネリオの反論に言葉が詰まる。
確かに、シノンたちは当然アルビオールでキノコロードへと向かったはずだ。
それゆえに、追いかけようにもその為のアルビオールがこちらにはなく、そもそもパイロットのクノンもいない。




ザワ ザワ ザワ ザワ ザワ




「?なんか街の様子が騒がしいわね」

辺りを見回しながら
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