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第4章『魔獣使いとパートナー、その絆』 7

ケセドニアの港は、毎日たくさんの人が出入りするため、当然人が多い。
しかし今日は、いつも以上に人が多かった。
神託の盾の主席総長がやってきたという噂を聞いて、その姿を一目見ようという野次馬が多いのだろう。

「俺は宿で身を隠している。素性は割れているとはいえ、クラノスとはあまり顔を合わせるべきではないからな」
「あ、それじゃあ私も残るわ。念のために変装しといた方がいいでしょ」
「また女装か…」

そんなわけでセネリオとリンとは一度別れ、港にやってきたレイノス、スクルド、アルセリア、ミステリアス。

「これだけ人が多いと、探すのも大変そうですね」

いつも以上に混雑した港に辟易としながら、アルセリアは辺りを見回す。

「クラノスの奴、どこにいるんだ?」

そういってレイノスもクラノスを探して辺りをきょろきょろと見る。



「私をお探しかな?」



その時、声が聞こえてきた。
その声に反応して一同は驚きつつもそちらの方向に目を向ける。
そこにいたのは、白い教団服に身を包んだ男がいた。
歳はまだ二十代前半という所だろうか。
しかし、まだ若く見えるというのにその姿にはどことなく威厳のようなものが感じられて。

「クラノス様、ここでは目立ちすぎます。彼らを連れて、一度宿屋の方へ」

その人物…神託の盾主席総長クラノス・グラディウスの隣に立っているのは、赤髪の少女だった。
年齢はレイノスやリンよりは少し上、セネリオと同じくらいだろうか。
六神将の一人、シンシア・レビラーノンだ。
クラノスのお供として同行しているらしい。
シンシアはレイノスと目が合うと、ニコッと可愛らしい笑みを見せて、思わずレイノスは赤面した。

「ふむ、そうだな。…そういうわけだ、君達、私達を宿屋に案内してくれないかな?君達も、私達に話があったのだろう?」



そんなわけで、クラノスの提案に反対する理由も特になかったため、レイノス達は彼らを伴って宿屋へと向かっていた。
強いて言えば宿にいるセネリオ達が気になったが、身を隠すといっていたしクラノスが宿にやってくることを考慮に入れていないとも思えないので、まあ大丈夫だろう。
ロストロと接点を持つミステリアスは、クラノスとなにやら話をしているようだった。

「導師にこのような部下がいたとは、知らなかったな」
「あくまで導師の世話係だからな。軍に身を置いているわけでもないし、知らなくても当然だ」
「ふむ…しかし君の戦いには、どことなく軍人のそれを彷彿とさせるものがあるように思うのは、気のせいかな?」
「どこで俺の戦いを見たのかは知りませんが、気のせいでしょう」

話をしながら、ミステリアスは内心で舌打ちする。
クラノスは自分に探りを入れてきている。
まさかとは思うが、自分の正体を知られているのだろうか。
アニス・タトリンしか知り得ない、自分の正体を…



そうして、宿屋に辿り着いた一行。
クラノスの姿に緊張した様子を見せる宿の主人を尻目に、部屋の一つに入った。

「さて、それじゃあさっそく聞かせてもらうぜ。――何故俺達を襲った?」

部屋に入ってすぐ、ミステリアスが切り出した。
他の面々も、厳しい面持ちでクラノス達をみつめ、彼の返答を待つ。
答えたのは、シンシアだった。

「そのことについては、ルージェの説明不足を謝るわ。彼は、ある任務であなた達に接触したの。あなた達の仲間の一人…赤い眼をした童顔の男を捕らえるためにね」
「クノンさんを!?」

アルセリアが驚きの言葉を漏らす。
ルージェニアはクノンを捕らえる為に自分達に接触したというのだ。
いったいクノンが何をしたというのか。

「クノンを捕らえるって…何のためだよ!?」

当然レイノスは何故クノンを捕らえるのか尋ねる。
しかしレイノスのその問いには答えず、クラノスは逆に聞いてきた。

「今度はこちらから質問させてもらう――君たちの仲間…クノンはどこにいる?隠せばろくなことにならないよ」

クラノスのその言葉に、レイノスはゾクッとする。
穏やかな口調なのに、何故だかとてつもなく凄みを感じた。
スクルドもアルセリアも、同様のようだ。
唯一平然としている(仮面をしているのではっきりとは分からないが)ミステリアスが、問いに答えた。

「現在行方不明中だ」
「それは本当か?」

疑わしそうな表情でクラノスが尋ねる。
それに対してミステリアスは首を縦に振る。

「残念ながら本当のことだ。証拠だってある」

そう言ってミステリアスは、今朝見つけたシノンの書置きをクラノスに渡した。
クラノスとシンシアは、それを読む。

「…ふむ、なるほど。つまりクノンはこの手紙を書いた者、シノンと共にキノコロードへ向かったと」
「ああ。追いかける手段もなく、どうしようかと困っていたところだ」

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