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第4章『魔獣使いとパートナー、その絆』 8

「…ちゃん、お嬢ちゃん」
「ふにゃ…?」

朝。
自分を呼ぶ声で、シノンは目を覚ました。

「クノン…おはよう」
「おっはよう、お嬢ちゃん!」

キノコロードに到着した後、シノンはクノンの勧めで明るくなるまで仮眠を取ることにしたのだ。
ここ数日ハノンの看病などで疲れていたしあまり眠っていなかったシノンはクノンの厚意を快く受け取り、先ほどまで眠っていたのだ。
まだ寝ぼけまなこな状態でクノンに挨拶し、それに対してクノンはいつものように元気よく挨拶を返した。

「腹が減ってはナントカっていうからネ、これでも食べなヨ」

そういってクノンが取り出したのは一つのおにぎりだった。
結構な大きさであり、おいしそうだ。

「あ、うん、ありがとー」

まだ完全に眠気から覚醒しきっていないシノンは、生返事で礼を言うとおにぎりを受け取り、ムシャムシャと食べる。
塩がよく効いていて、おいしい。
具はなにか入ってるのかなと思っていると、

「か、か、か、から〜〜〜!?」
「ニャハハハハハハハハ♪」



「むー、ひどいよクノン」

水をゴクゴクと飲みながら、シノンはクノンに対して文句を言う。
先ほど食べたおにぎりには、からしが入っていたのだった。
クノンに、思いっきり騙されたというわけだ。

「まあまあ、目も覚めただろうし、イイジャン♪」
「う〜〜〜」
「ほらほら期限なおして。お口直しにこれでも食って、出発しようヨ♪」

そういって、出されたのは数個のおにぎり。
疑わしそうな表情でおにぎりを睨みつつも、シノンはその内のひとつを手に取り、食べた。
今度は普通の塩おにぎりだった。




そうして二人は、朝食を終えると森の中へと入っていった。
森の中には、多種多様なキノコがあっちこっちに生えている。
中には、明らかにやばそうな毒々しいキノコもあったりする。
よく注意して、探す必要があるだろう


「グギャアアアアア…」


だが、注意すべきはそれだけではない。
現れる魔物にも注意しなくてはならない。
二人の目の前に、グールの群れが現れる。

「まともに相手してたら、ヘバっちゃうからネ。出来るだけ戦闘は避けていくヨ……獅子戦吼!」

そう言ってクノンはグールの群れを吹っ飛ばしてみせると、シノンの手を引き逃走した。



それから数時間が経過した。
お日様は既に真上まで昇っており、お昼になっている。
そこら辺に生えている安全なキノコで作ったスープを飲みながら、シノンとクノンは休息していた。

「見つからないネ、ルグニカ紅テングダケ」
「うん…」

クノンの言葉に、シノンは顔を俯かせて返事をした。
この数時間、森の中を歩き回っているが、目当てのものを見つけ出すことはできていなかった。

「お嬢ちゃん、大丈夫?疲れてない?」
「だ、大丈夫だよ、そろそろ行こう…うわあ!」

疲労している様子のシノンを気遣うクノン。
それに対しシノンは元気であることをアピールして出発しようとするが、つまづいて転倒してしまった。

「…ヤッパリ疲れてるよ。魔物だって強いんだし、無理せず行コウ」
「うう…了解」
「まあ、マジでやばそうになったらボクがなんとかするし、お嬢ちゃんはキノコを探すのに集中してればいいヨ。5体でも10体でも、ドント来いだよ!」
「クノン…」

クノンの気遣いに、シノンは顔をほころばせる。
少し顔が熱く感じるのは気のせいだろうか。
普段はいじわるでふざけてばっかりだけど、いざという時には必ずこうやって助けてくれる。
助けてもらってばかりというのが、少し申し訳なくもあるのだが…

「クノン…いつも本当にありがとう」
「へ?どしたのいきなり」

突然礼を言われて、キョトンとした表情になるクノン。
シノンは言葉を続ける。

「クノンにはいつも助けられてばっかりだったからさ…ちゃんとお礼を言っておきたくて」
「ハハ、そりゃドーモ」
「今は助けられてばかりだけど…いつかクノンがピンチの時は、今度は私がクノンを助けるから」
「…ま、期待しないで待ってるよ」

クノンの表情に、一瞬影が差したような気がした。
どうしたんだろと不思議に思うシノンだったが、クノンはすぐにいつものような元気な表情を見せた。

「サ!そろそろ休憩も終わりにして、行こッカ!」
「う、うん(さっきの表情、なんだったんだろう)」

こうして、彼らの探索は続いていくのであった。
ハノンの病気を、一刻も早く治すために。


スキット「森のキノコ」
クノン「あっ!あのキノコは!」
シノン「見つけたの!?」
クノン「バクショウダケだ!」
シノン「…へ?」
クノン「お嬢ちゃん、このキノコはバクショウダケって言って食べると…」
シノン「笑いが止まらなくなるんでしょ?ママから聞いたことがあるよ」
クノン「ニャヒヒ、お坊ちゃん
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