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第4章『魔獣使いとパートナー、その絆』 10

シノンとクノンは探し続ける。
途中何度も魔物に襲われつつ、歩き続けてクタクタになりながらも歩き続けた。

「見つからないネ」
「うん…」

しかし、ルグニカ紅テングダケは見つからない。
日が暮れたのか、辺りはだんだん暗くなっていく。

「夜の森はアブナイし、そろそろ戻った方がイイヨ」
「うん…分かったよ」

クノンの忠告に、シノンは残念そうな顔をしながらも従う。
そうして、二人は帰路を歩く。





「ん?」

しばらく歩いていると、シノンが足を止めた。

「どしたの?」
「ねえ、あそこなんかちょっと明るくない?」

シノンが指差す方向を見る。
すると確かに、暗い森の中に微かな光が見える。

「…確かルグニカ紅テングダケって、ぼんやりと光を放つって聞いたことがあるヨ。もしかして…!」

クノンの言葉が終わるよりも前に、シノンは駆けだした。
慌ててそれを追うクノン。
光源まで近づくと、そこの地面が不自然に光を放っていた。
二人がその場所を掘ってみると…

「あった…!」

それは、シノンとクノンが探し求めていたもの。
正真正銘の、ルグニカ紅テングダケであった。

「…ウン。これで間違いないヨ」
「やった…!やった!!」

二人の顔に、安堵と笑みがこぼれる。
特にシノンは、その場でピョンピョン飛び跳ねるほどに喜んでいた。

「クノン、本当にありがとう!ここまで頑張れたのも、クノンが協力してくれたおかげだよ!」
「にゃはは、褒めすぎだって………っ!」

シノンの礼に笑顔で返答していたクノンだったが…突然、その表情を引き締める。
そして、辺りをキョロキョロと見回す。

「どうしたの?クノン」
「…どうやら光に誘われたのはボクたちだけじゃないみたいだヨ」
「え…?」

シノンも辺りの気配を探る。
そこで、ようやく彼女も状況を飲み込んだ。
辺りに、沢山の魔物の気配を感じる。
ルグニカ紅テングダケを見つけた嬉しさで、周囲の様子への警戒が疎かになっていたようだ。
すでに、かなりの魔物が近づいてきている。

「走るよ、お嬢ちゃん!」
「うん!」

クノンはシノンの手を引いて、走り出す。
幸いにもここの魔物は強いものの動きは決して俊敏とは言えない。
メデュサローパーという敵はそれなりに早いもののそれでもクノンやシノンほどの俊敏さは持たなかった。
それゆえここまでの探索でも比較的容易に戦闘を回避することができていた。
しかし…

「うげ…サイアクだ」
「完全に囲まれちゃったよ…」

今回は数が多すぎた。
逃げても逃げてもどんどんと敵が現れ、とうとう退路を失われてしまった。

「レイトラスト !」
「獅子戦吼!」

それでもなんとか抵抗してみるも、敵の数はこちらが1匹倒す間に5匹は増えるという有様で、まったくもってキリがない。

「ウジャウジャウジャウジャと…!」
「せっかく見つけたのに…!」

やがて二人は体力が尽き、その場に倒れてしまった。
その様子を見て、魔物達は一斉に二人に襲い掛かろうとする。
しかし、


「エンシェントノヴァ!」


突如放たれた譜術に、魔物達は一斉に焼き払われた。
そして現れたのは、一人の女性。

「お、お姉さんは…?」
「シノン・エルメスさん……と、クノンさんですね。私はシンシア、あなた達を助けに来ました」
「シンシアって…」

前にセネセネから聞いた名前だ。
確か、パートナーのドラゴンと話をするとか。
でも確か、この前襲ってきたルージェニアの仲間で、敵だったんじゃあ…

そんなシノンの思考に気付いたのか、シンシアはニコッと安心させるように微笑むと言った。

「安心して、今はあなた達の味方だから。あなた達の仲間も、すぐにここに来るわ」


「シノン!クノン!無事か!」


シンシアの言葉を証明するかのごとく、レイノスが現れる。
他の仲間達も、続々とこちらにやって来る。

「シノンさん、クノンさん、立てますか?」

アルセリアが、二人に手を差し伸べる。

「う、うん…まだ、戦えるよ」
「サンキュー、こっちも大丈夫ダヨ♪」

アルセリアに手を引かれて、シノンとクノンは立ち上がる。
そして、すぐに戦闘の態勢をとった。

「敵は多いが…この人数ならどうにかなる数だ。一気に行くぞ!」

セネリオの号令と共に、一行は一斉に駆けだした。
2人が8人になり、凄まじい速さで敵が駆逐されていく。

「フィーニア、お願い!」

最後の一匹がシンシアの指示を受けたフィーニアのブレスにより倒され、こうして戦闘は終了するのであった。
15/11/02 13:10更新 / わっくん

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