「なにい!?ファブレの令嬢を奪われただと!?」
「ひいっ!す、すみませんでした!!」
頭であるゼウスの怒声に、分隊隊長の男は悲鳴をあげてすくみ上がった。
彼は、ファブレ家令嬢・スクルドを伴ってシュレーの丘に分隊を率いて潜伏していたのだが、突然の奇襲を受け、肝心のスクルドを奪われてしまった。
交戦したもののその連中は少数にも関わらず部下を次々倒していき、とてもかなわなかったのだ。
「で、すごすご戻ってきたわけか」
「はい…」
ゼウスは彼の言葉にしばらく憤慨したような表情を浮かべていたが、やがて尋ねた。
「その襲ってきた連中はどうしてる?」
「はい、どうやらこちらに向かっているようです」
恐る恐る答える部下の言葉に、ゼウスはにまあと笑った。
「そいつはおもしれえじゃねえか!ガハハハハ!俺様がまとめてぶっ潰してやるぜ!ガハハハハハハハ!」
甲高い声で笑うゼウスを見て、分隊隊長はほっとする。
どうやら機嫌を直してくれたようだ。
「ガハハハハハ……ああ、そうだ」
ゼウスは何か思い出したのか、笑うのをやめると分隊隊長に向き直った。
「おまえ、こっちに向かってきてる連中のことを、あいつらに伝えろ」
「あいつら…とは?」
「あいつらっていったらあいつらだよ!バッカス・アテネ・アレスだ」
「ええ!?わ、私がですか!?」
ゼウスの言葉に仰天する分隊隊長。
バッカス・アテネ・アレス。
彼らはゼウスの部下の中でも特にとりわけ戦闘能力が高く、またそれ以上に変わり者であった。
出来ることなら関わりたくはない。
「文句言ってねえでさっさとつたえて来い!!」
しかし、頭の命令に逆らえるわけもなく。
彼は3人を探し始めるのだった。
「よお!たっぷりangryされたみたいだな!」
「あ…バッカスさん」
ゼウスと別れた直後、現れたのはバッカスだった。
「ちょうどよかった!バッカスさんに伝えたいことが…」
「what?いったいなんだ?」
この人はしゃべる時の発音がおかしく、いつもよく分からない言葉を混ぜて会話をしてくる。
故に彼は、この男と話をするのは苦手だった。
分隊隊長はバッカスにもうすぐここに訪れる連中のことを話した。
すると…
「ひゃっほーーーーーーーーー!!!」
バッカスは叫びながら大ジャンプをした。
やがて、10メートルはあるだろうジャンプを終えて着地したバッカスは満面の笑顔で言った。
「Wow!great!最高だぜ!楽しいpartyの予感だ!」
そういいながら彼はスキップしながらその場を去って行った。
「はあ…やっぱりあの人と話すのは疲れるな…」
分隊隊長はため息をついた。
「あ!見つけた!アレスさん!」
しばらく歩いていると、剣の素振りをしているアレスを見つけた。
「あの、アレスさん!」
「…………」
「お話ししたいことが…」
「…………」
こちらが話しかけても、アレスは見向きもせずに、黙々と素振りを続けている。
「あのー、聞こえてます?」
「………コクリ」
分隊隊長の言葉に、アレスは素振りをしながら小さく頷いた。
一応自分の言葉に耳は傾けてくれてるらしい。
彼は、黙々と素振りを行うアレスに、伝言を伝えた。
「……とまあ、こんなところです」
「…………」
「あ、あの!これで私は失礼します!」
「…………」
沈黙に耐えられず、分隊隊長は逃げるようにその場を去った。
「あ!いた!」
しばらく歩き回り、ようやく3人目を見つけた。
その3人目…アテネはうつむいてなにやらぶつぶつと言っている。
このアテネと先程であったアレスは双子である。
アレスが兄だったかアテネが姉だったかはちょっと思い出せないが。
彼女はこの集団の中で唯一の女性、つまり紅一点というやつである。
しかし彼女は、普段は一人でぶつぶつ独り言を言っているかと思えば、戦闘になると人だろうと魔物だろうと関係なく相手を全身真っ赤な鮮血に染めて高笑いをしているのだ。
そのため、誰も彼女に近づこうとはしない。
「あの〜…」
アレス同様、こちらが話しかけても見向きもしない。
分隊隊長はそれに構わず、用件を話した。
「……以上です!それでは失礼します!」
一方的に伝えることを伝えてその場を去ろうとした分隊隊長。
すると、突然アテネは顔をあげ、じっと彼を見つめた。
「あ、あの、アテネさん…?」
「…………」
こちらをじっと見つめるアテネに、どぎまぎしながら彼女の様子をうかがう。
アテネは確かに不気味ではあるが、顔立ちは結構整っていて、普通にしていれば十分美少女と呼べる器量を持っている。
やがて、アテネは彼のもとへゆっくり近づき、そして…
ずぶり。
「え?」
右腕に激しい痛みを感じる。
見れば、アテネの持つ槍が右腕
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