それは、一行がラジエイトゲートでの任務の後、修行の日々に明け暮れていたある日のこと…
『海開き!!??』
ピオニー皇帝の言葉に、一同は目を見開いて驚きの声を上げた。
「ああ、わがグランコクマでは毎年一月ほど、プライベートビーチを開放して、海開きをしているんだ」
「どこかのバカな皇帝が、『せっかくビーチを作ったのに、水着美女がいないなんてさみしすぎる!』と駄々をこねたのでね」
ピオニーの言葉に、呆れたように返すのは彼の側近でありマルクト軍元帥であるジェイド。
「でも、クラノスとの戦争を控えた大事な時期に、そんなことをしていて大丈夫なんですか?」
「なあに、分かってるさ。こんな時期だからな。遊んでる暇などないと大臣たちがうるさいし、今年は一週間だけの開放ということになった」
リンのもっともな意見に、ピオニーはなんでもないかのように返す。
「はあ…でも、それが俺たちと何の関係が?」
続いてレイノスが質問する。
「ああ、お前たちにも海で遊んでもらおうと思ってな」
「俺たちが!?」
「お前たちには十分すぎるくらい頑張ってもらってるからな。明日一日ぐらい、羽を伸ばしてこい!」
そう、ピオニーがレイノス達を呼んだのは、彼らを海水浴場へと招待するためだったのだ。
「しかし陛下、俺たちは水着などもっていない」
「安心しろセネリオ!俺が用意しておいた!」
「へ、陛下が!?」
「兵士に着衣室へ案内させるからな!そこでそれぞれの水着を受け取ってくれ!」
翌日、海水浴場は多くの老若男女の人々が集まり、にぎわっていた。
「シノンさん、ご機嫌ですね」
「うん!私海で遊ぶの初めてだもん!」
「みゅう!」
砂浜で仲良く話に花を咲かせているのはシノンとアルセリアだ。
シノンの水着は、某無口斧使いも着用していた水色の水着だ。
そしてアルセリアの水着は、某遺跡マニアが着用していたのと同じデザインの黒色のビキニ水着だ。
ちなみにハノンもどうやって用意したのか、ミニサイズの海パンらしきものを履いていた。
「他のみんなはどこにいるかな?」
シノンはあたりをきょろきょろと探す。
「あ、スクルドさんとリンさんです!」
アルセリアが見つけたリンとスクルドのもとには、ちょっとした人だかりができていた。
まあ、それも無理はないだろう。
リンの水着は、南国の蝶をイメージとした、かつてキムラスカの某王女(現女王)も着た水着だった。20年の月日がたち、微妙に改良を加えられているが。
そしてスクルドの水着は白色のビキニ。
その布地は小さく、彼女の豊満な胸は否が応でも激しく自己主張をしていた。
要するに、二人はナンパされているのだ。
水着の派手さと二人自身の容姿も相まって、このビーチの中でも二人は一際目立っていた。
「ねえねえ、俺たちと遊ぼうZE!」
「あの、その…」
「悪いけど、先客がいるから!」
「女の子か!?それならノープロブレムだ!その子たちもまとめてオールオッケーだ!」
「い、いえ、男の人です!だからごめんなさい!」
「そんなこと言わずに、遊ぼうよ〜」
一応なんとか断っているものの、男たちの群れはしつこく、引き下がる様子はない。
「私たちがいっても、まとめてナンパの対象にされるだけで効果がありそうにないですね…」
「レイ兄とセネセネはどこにいるんだろ?私、ちょっと探してくる!」
「ねえねえ君、可愛いね〜!どこから来たの?」
「そのウサギ耳、似合ってるよ!」
リンやスクルド同様、クレアもまた複数の女性に絡まれていた。
女性たちの言葉の中に「ウサギ耳」という言葉が出てきたが、確かにクレアは今ウサ耳をしていた。
あのピオニー皇帝が水着と共にチョイスした装備だ。
ちなみに彼の肌は結構白く、水着も白いため今の彼はガチでウサギのコスプレをしたような格好となっていた。
当然クレアはそんなもの着ける気はなかったのだが、
『もし途中で外したことが分かれば、あなたのウサ耳水着の写真をシェリダンへ送ります……と陛下が言っていましたよ』
というジェイド元帥の脅しまがいの警告を受けたため、うかつに外すことが出来なかった。
とりあえず目立たない場所でじっとしていたのだが、こうして現在女たちに絡まれている。
まあ、若い女性に注目されるというのは悪くはない。
男としてではなく、ガキとして注目されるというのはちょっと癪だが。
「あ、クレア!」
「みゅう!」
そんな時、一人の少女とチーグルが現れた。
「シノン、ハノン」
「レイ兄とセネセネ知らない?」
「いや、知らないな」
「そっか、じゃあ探すの一緒に手伝って!」
そういうとシノンは、女性たちをしり目に、強引にクレアの手を引き砂浜を駆けた。
「あんなところで、なにしてたの?」
クレアに尋ねるシノ
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