「あら?」
久しぶりの再会を果たした一行は、バチカルの街をみんなで歩いていた。
その一人である少女、アルセリアの足元に何かがぶつかった。
それは、ボールであった。
そのボールを追いかけて、一人の少年がこちらに向かって走ってきた。
「これは、君のボール?」
「うん、お姉ちゃんありがとう!」
アルセリアがそのボールを少年に渡すと、少年は礼儀正しく礼を言った。
幼いながらも、端正な顔立ちをした少年だった。
「(あれ…この顔、なんだかどこかで見覚えがあるような……)」
アルセリアはどこかその少年の容姿に既視感を覚えた。
しかしその既視感の正体に気付く前に、少年は広場で待つ同年代の子供たちのもとへ戻っていった。
昼になり、一行は昼食をとった。
そして午後からは自由行動にしようと言う事になったのだった。
とはいっても、レイノスとリン、セネリオとスクルド、そしてクレア、シノンアルセリアと、それぞれ3グループに別れて行動することになったわけだが。
「ふんふんふ〜ん♪」
シノンが、鼻歌を歌いながら元気よく歩いている。
「シノンさん、ごきげんですね」
「うん!だってみんなとこうやってまた会えたんだもん♪」
アルセリアの言葉に、嬉しそうにそう答えるシノン。
「…俺は、本来ならこんなところにいるべきじゃないんだけどな」
「クレアさん…」
「本来なら俺は牢屋に入れられて罪を償わないといけないはずだからな…」
顔をうつむかせてそう答えるクレア。
だが、すぐに顔を上げると、ニッと笑って言った。
「…まあ、そうはいってもせっかくもらった機会だからな。今日一日、楽しむとしようぜ」
「クレア……うん、そうだね!」
クレアの言葉に嬉しそうに返事をするシノン。
その様子を、アルセリアはじっと見つめる。
そして、シノンの肩に乗っているチーグル、ハノンに小さな声で話しかけた。
「(あの、ハノンさん)」
「みゅう?」
「(シノンさん、もしかしてクレアさんに好意を寄せてらっしゃるんでしょうか?)」
「みゅうう?」
彼女のパートナーであるハノンの反応を待つアルセリアだったが、ハノンは首をかしげるだけだった。
おそらく、分からないというジェスチャーなのだろう。
「(シノンさんは、クレアさんのことどう思ってるんでしょう…)」
元々クレアとシノンは一緒に行動することも多く仲がいいのだが、なんとなくアルセリアにはシノンのクレアに対する態度に、それ以上の感情があるように思えた。
実際、今日バチカルに来た時もレイノスの屋敷に寄らず真っ先にクレアに会いに行っているし、クレアが牢屋から出て一緒に行動できると聞いたときは一番喜びを表していた。
そういえば、決戦前夜の夜にクレアの話題を出したら、急に顔を真っ赤にしていたような…
「(まあ、後でそれとなく聞いてみようかな…)」
ダアトに帰るのは明日の予定だし、先程シノンに聞いてみたところ彼女も今日の夜はバチカルに留まるらしい。レイノスの屋敷に泊まるにせよ、宿屋に泊るにせよ、どちらにしても同部屋になる可能性が高いし、その時にでも聞いてみよう。
「あ、皆さん!」
セリアが考え事をしながら歩いているところに、誰かが声をかけてきた。
3人がそちらに顔を向けると、そこにいたのは…
「ロストロさん!?」
そう、そこにいたのはダアト教会現導師のロストロ・タトリンの姿であった
「どうしたの、こんなところで?」
「ええ、実は……」
シノンが尋ねると、ロストロは答える。
なんだか慌てている様子だ。
「所用でバチカルにやってきたんですけど、秘書の子がいなくなってしまって…」
「秘書?そんなのがいたのか?」
初耳な情報にクレアが反応した。
彼は数か月前から牢に入れられていたため細かい世事に関しては疎かった。
「はい、僕の遠縁の親戚の子なんですが…」
「あの、ダアトにいた私も初耳な話なのですが…」
ロストロに秘書がいたという話は、ダアトにいたアルセリアにとっても初めて聞く話だった。
セネリオからもそういう話は聞かなかったが…
「ええ、決まったばかりのことでまだ正式発表はしていないので、親族以外はまだ誰も知らないんですよ」
「なるほど、そうだったんですか…」
「はい…あ、これがその子の写真です」
そういってロストロは、3人に写真を見せた。
「…ああっ!この子は!!」
「知ってるんですか!?セリアさん!」
知っているも何も、数時間前にあったばかりだった。
そう、その子は……先程アルセリアがボールを拾ってあげた、あの少年だった。
「なるほど、公園で子供たちと……」
「ええ、でも数時間前のことなので、もうどこか別の場所にいる可能性も…」
「そうですか…」
アルセリアの返答に、がっくり
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