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第六話 『進』

整備されているとはお世辞にも言えない道を通る、周りは草原、遠くに目を向けると山が見える、草原の外れには森が見えた
ガタゴトガタゴトと馬車は進む
同じ馬車の中なのでアイルたちと話しながら暇をつぶす
「そういやアイル達はなんで冒険者をやってるんだ?」
「ん?しいて言うなら困っている人を助けたかったからかな?」
「俺はアイルのお守り」
「違うだろ、ゼノア!恥かしいこと言うなよ!」
するとミリヤが
「私は修行だな」
「何で修行するんだ?」
質問してやる
「更なる高みにを目指したいがため、だな」
「へぇ、そうか」
アイシスちゃんはミリヤの後ろに隠れながらも外のけしきをぼんやり見ている
「そういうヨウヘイはどうなんだ?」
ゼノアが聞いてくる、いいづらいな、逃亡のためとは言えないからな
「世界を見て回りたいからだな」
間違ってはいないはずだ
のんびりと馬車は進む

唐突に馬車が減速をする
「どうしかした?」
アイルが御者に問いかける、
「ああ、道にクローベアーがたむろしているから、まわり道かどこかに行くまでまつんだ」
窓から前方を見ると道の左側にクローベアー4匹居る、
「見たところ親子だろうが…どれが親か分りにくいな」
ミリヤが言う、たしかに子供の方も体が大きい
仕方が無い
「俺に任せろ」
そういって皆が荷物を置いている場所に近づき武器を取り出す、ふりをして能力で狙撃銃を造りだす、
「ヨウヘイ、なんだその棒は?」
俺が創りだしたのはM1903A1、アメリカ生まれの狙撃銃だ、精度が高い事で有名
「秘密兵器」
別に秘密ってほどじゃないけどな

俺はそれを担いだまま馬車の屋根に登った、屋根は木製なので普通に安定した足場だ
俺は屈んでM1903A1に弾をこめるためにボルトアクションをする、ちなみにM1903A1を選んだ理由はボルトアクションが好きだからという理由もある
そしてスコープを覗き込み狙いを定める、頭より少し上を狙う
そして俺は引き金を引いた、
耳にパァンと音が響く、外した、上すぎる、もう一度ガチャリとボルトアクションを行う、次はもう少し下を狙った
命中、スコープで様子を窺うと血飛沫をあげて倒れるクローベアー、手際よく弾を込めてまた狙いを定めて放つ、一撃、また一匹倒れた
異変を察知したのか逃げ出すクローベアー、それを後ろから狙い打つ、
そして呆気なく一匹倒れた
残った一匹を狙い放つが外れ、近くの森に逃げられてしまった
「ふぅ…」
俺はため息を漏らす、やはりサバゲーのようには行かない、それに狙撃は集中力を使う、
銃を打った手が痺れているので手をブラブラしながら馬車の中に戻る

「今の武器はなんだったんだ!?」
降りて着た瞬間にゼノアに言われた
「すごい音と共にクローベアーが血飛沫を上げて倒れていったが、あれは武器か?それとも魔法なのか?」
ミリヤに問いかけられる、答えづらい
「武器でもあるし、魔法…というよりスキルでもあるな」
「どういうことだそれ?」
さらに聞かれる、ああ、めんどくせぇ
「そこらへんにしてあげといてよ、ヨウヘイが困っているだろう」
アイルが助けてくれた、
「むぅ…、仕方が無い」
二人とも断念してくれたようだ
そのまま馬車は少しずつ加速していく

その後しっかりクローベアーの爪を剥いだ(毛皮はアイル達にあげた、俺は剥げないから)後は、特に無く長い時間を馬車にゆられて過ごす、辺りも少し暗くなってきた
すると後方から声がかかる
「止まれー!、ここで野営を行う!」
馬車が止まり、馬車から出るとそこは川の近くですぐ隣には岩山がある、
「明日はそこの洞窟を潜るようだ」
ミリヤが言う、岩山をよく見ると確かに洞窟がある
「そこまで長い洞窟じゃないから魔物にも気をつけなくていいらしい」
「ありがとう」
周りを見ると野営の準備に取り掛かっている、しかし…
「食料とか全然持ってきてないわ…」
アイル達の方を見ると野営の準備のほかに食料が置いてある、まぁ食料と言っても携帯食料と野菜のようなものだけだ
商人達や他の冒険者を見てみても特に変わらない、商人の方には調味料やパンが少しだけあるくらいだ
「さて、どうしようか」
少し歩けば森がある、狩をしてみるか?
考えた結果手段はそれぐらいしか思いつかない、誰かに分けてもらうのも手だが気が引ける
俺は見つからないようにそこから離れた

森に着いた、まだ日は完全に落ちきってはいないが早く終わらせた方がいいだろう、
森の中は木が生い茂り、動物が住むにはうってつけの環境だろう
森の中を無防備に歩く事10数分、猪みたいなのがいた
その猪はでかい、軽く2m半はある、こちらに気付いたのか正面をこちらに向けそして低く唸る、
威嚇のつもりだろう、もちろん俺も十分にびびっちゃいるが、負ける気はしない
しばらく睨み合いが続く、先
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